説明

カートリッジ及び画像形成装置

【課題】プロセス手段の軸受部材を枠体に対して精度良く支持するとともに、軸受部材の枠体からの取り外しを容易に行うこと。
【解決手段】画像形成装置本体に着脱自在なカートリッジであって、像担持体に作用する軸を備えたプロセス手段と、前記軸を支持する軸受部材と、前記軸受部材を移動可能に支持する支持部を備える枠体と、前記軸受部材は、前記支持部を移動することにより、前記プロセス手段が前記像担持体に作用するような位置である第一位置と、前記第一位置よりも前記像担持体から遠ざかるような位置である第二位置と、を移動可能であり、前記軸受け部材を前記第二位置から前記第一位置へ向かう方向へ付勢する付勢部材と、前記付勢部材により付勢された前記軸受け部が前記支持部から外れるのを抑制する抑制部と、前記第二位置において前記軸受け部材を前記枠体から外すことが可能なように設けられた取り外し部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に着脱自在なカートリッジ及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の方式として電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置がある。電子写真画像形成装置においては、プロセスカートリッジ方式が採用されるものがある。プロセスカートリッジ方式は、電子写真感光体及び前記電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱自在とする。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによることなくユーザー自身で行うことができるため、格段に操作性を向上させることができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は、画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
このようなプロセスカートリッジは、現像剤を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そこで、画像形成を行うに従って現像剤を消費する。そして、プロセスカートリッジの使用者にとって満足できる品質の画像を形成することが出来なくなる程度まで現像剤が消費された際に、プロセスカートリッジとしての商品価値を喪失する。
【0004】
そこで従来、プロセスカートリッジの再生産が行われている。(例えば、特許文献1参照)プロセスカートリッジに使用される部品は分解、或いは交換され、再び商品化される。そのため、プロセスカートリッジに使用される部品には分解容易性が求められている。
【0005】
従来のプロセスカートリッジにおいて、プロセス手段を回転可能に支持している軸受部材は、枠体に対して抜け止めされた状態で支持されている。(例えば、特許文献2参照)そのため、軸受部材を枠体から取り外す際には、枠体を弾性変形させ、軸受部材を枠体から取り外す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3363889号
【特許文献2】特開平6−301249
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来の構成においては、プロセス手段の軸受部材をドラム支持枠体から取り外す際に、支持部を弾性変形させて支持部が拡がった状態を維持しつつ、感光体ドラム方向に引き抜いていた。このように取り外しを行うと、支持部を拡げ過ぎて当該支持部が白化したり、変形したりしてしまうおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、プロセス手段の軸受部材を枠体に対して精度良く支持するとともに、軸受部材の枠体からの取り外しを容易に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、画像形成装置本体に着脱自在なカートリッジであって、像担持体に作用する軸を備えたプロセス手段と、前記軸を支持する軸受部材と、前記軸受部材を移動可能に支持する支持部を備える枠体と、前記軸受部材は、前記支持部を移動することにより、前記プロセス手段が前記像担持体に作用するような位置である第一位置と、前記第一位置よりも前記像担持体から遠ざかるような位置である第二位置と、を移動可能であり、前記軸受け部材を前記第二位置から前記第一位置へ向かう方向へ付勢する付勢部材と、前記付勢部材により付勢された前記軸受け部が前記支持部から外れるのを抑制する抑制部と、前記第二位置において前記軸受け部材を前記枠体から外すことが可能なように設けられた取り外し部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、プロセス手段軸受部材は枠体に対して精度良く支持するとともに、枠体からの軸受部材の取り外しを容易に行うことができる。このように取り外しが容易となることで分解性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る軸受部材の支持構成の斜視図。
【図2】第1実施形態に係る電子写真画像形成装置の模式的断面図。
【図3】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの模式的断面図。
【図4】第1実施形態に係るドラムユニットの組立および分解の斜視図。
【図5】第1実施形態に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図。
【図6】第1実施形態に係るドラムユニットに対する現像ユニットの組立の斜視図。
【図7】第2実施形態に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図。
【図8】第2実施形態に係る軸受部材の斜視図。
【図9】第3実施形態に係る軸受部材の支持構成の説明図。
【図10】第3実施形態に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図。
【図11】第3実施形態に係る軸受部材の支持構成の斜視図。
【図12】第3実施形態の変形例に係る軸受部材の支持構成の斜視図。
【図13】第3実施形態の変形例に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図。
【図14】第4実施形態に係るプロセスカートリッジの模式的断面図。
【図15】第5実施形態に係る軸受部材の支持構成の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。
【0013】
以下の説明において、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0014】
また、プロセスカートリッジとは、像担持体たる電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱自在とするものである。プロセス手段としては、帯電手段、現像手段又はクリーニング手段、又は転写手段の少なくとも何れか一つを有する。
【0015】
また、プロセスカートリッジの長手方向とは、プロセスカートリッジを装置本体へ着脱する方向と交差する方向(略直交する方向、像担持体の軸線方向)であり、記録媒体の表面と平行であり、かつ記録媒体の搬送方向と交差(略直交)する方向である。
【0016】
〔第1実施形態〕
(電子写真画像形成装置全体の説明)
まず、電子写真画像形成装置(以下、「画像形成装置」という)の全体構成について、図2を参照して概略説明する。図2は第1実施形態に係る電子写真画像形成装置の模式的断面図である。より具体的には、画像形成装置の一形態であるレーザービームプリンタの模式的断面図である。
【0017】
図2に示すように、第1実施形態に係る画像形成装置(レーザービームプリンタ)Aは、光学手段としての光学系1から画像情報に基づいた情報光をドラム形状の電子写真感光体(像担持体、以下「感光体ドラム」という)7へ照射する。そして、感光体ドラム7に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像剤(以下「トナー」という)で現像されトナー像が形成される。
【0018】
一方、前記トナー像の形成と同期して、記録媒体(例えば、記録紙、OHPシート、布等)2が、カセット3aからピックアップローラ3b及びこれに圧接する圧接部材3cにて一枚ずつ分離給送される。
【0019】
給送された記録媒体2は、プロセスカートリッジBの感光体ドラム7と転写手段としての転写ローラ4とが対向する転写部Tに搬送される。
【0020】
転写部Tに搬送された記録媒体2は、電圧印加された転写ローラ4により感光体ドラム7上に形成されたトナー像が転写され、定着手段5へと搬送される。
【0021】
定着手段5は、駆動ローラ5aとヒータ5bとを内蔵し、通過する記録媒体2に熱及び圧力を印加して転写されたトナー像を定着する。
【0022】
排出ローラ3dは、トナー像が定着された記録媒体2を搬送し、反転搬送経路を通して排出部6へと排出するよう構成している。
【0023】
(プロセスカートリッジ)
次に、プロセスカートリッジの全体構成について、図3を参照して概略説明する。図3は第1実施形態に係るプロセスカートリッジの模式的断面図である。
【0024】
図3に示すように、プロセスカートリッジBには、ドラムユニット11に、感光体ドラム7と、少なくとも1つのプロセス手段を備えたものである。ここでプロセス手段としては、例えば、感光体ドラム7を帯電させる帯電手段、感光体ドラム7に形成された静電潜像を現像する現像手段、感光体ドラム7に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング手段等がある。
【0025】
第1実施形態に係るプロセスカートリッジBは、感光層を具備した感光体ドラム7を有する。感光体ドラム7は、帯電手段である帯電ローラ8から電圧印加されることによって、その表面が一様に帯電する。この帯電した感光体ドラム7に対して、光学系1(図2参照)からの画像情報に基づいた情報光(光像)が、露光開口9bを通して露光される。これにより感光体ドラム7表面に静電潜像が形成される。この後、静電潜像を現像ユニット10が現像するように構成される。
【0026】
現像ユニット10は、トナー収容部であるトナー室10a内のトナーを、回転可能なトナー送り部材10bで送り出す。そして、固定磁石10cを内蔵した現像剤担持体10dを回転させる。これと共に、現像ブレード10eによって摩擦帯電電荷を付与したトナー層を現像剤担持体10dの表面に形成し、そのトナーを前記静電潜像に応じて感光体ドラム7に転移させる。この動作によってトナー像を形成して可視像化する。
【0027】
そして転写ローラ4に前記トナー像と逆極性の電圧を印加してトナー像を記録媒体2に転写する(図2参照)。その後、クリーニングブレード11aによって感光体ドラム7に残留したトナーを掻き落とし、除去トナー収容部11cへ集めるよう構成している。
【0028】
第1実施形態に係るプロセスカートリッジBは、感光体ドラム7を回転可能に支持する。また、クリーニングブレード11a、帯電ローラ8が組み込まれたドラム支持枠体11d、現像剤担持体10d及びトナー室10aを組み込んだ現像枠体10fから構成される。
【0029】
(ドラムユニット)
次に、プロセスカートリッジBの一部を構成するドラムユニット11について図3、図4を参照して構成を詳細に説明する。図4は第1実施形態に係るドラムユニットの組立および分解の斜視図である。ただし、図4では図3におけるドラムシャッター12は省略した。
【0030】
ドラムユニット11は、感光体ドラム7とドラム支持枠体11dと帯電ローラ8とクリーニングブレード11aとドラムシャッター12とから構成される。
【0031】
感光体ドラム7は、その一端にドラムギア50が結合される。ドラムギア50は、画像形成装置本体からプロセスカートリッジBへの駆動伝達手段であるカップリング40、感光体ドラム7がドラム支持枠体11dに回転可能に支持されるための軸部52、現像剤担持体10dに駆動伝達する駆動伝達ギア41が一体となる。また、感光体ドラム7の他端は、支持穴53を有するフランジ51が結合される。
【0032】
感光体ドラム7のカップリング40側には軸受60がビス等の固定手段によりドラム支持枠体11dに結合される。そして、感光体ドラム7の他端側では、金属性の位置決めピン61がドラム支持枠体11dの位置決め部62内に圧入されている。これにより、感光体ドラム7はドラム支持枠体11dに対して回転可能に支持される。
【0033】
フランジ51には金属製のアース板(不図示)がドラムシリンダー内径と接触するように取り付けられ、感光体ドラム7のシリンダー内径と位置決めピン61とに当接することで、感光体ドラム7と位置決めピン61との電気的導通を確保している。
【0034】
帯電ローラ8は感光体ドラム7の表面を帯電させるためのものであり、ドラム支持枠体11dに回転可能に設けている。この帯電ローラ8は金属製のローラ軸8aに導電性の弾性層を設け、更にその上に高抵抗の弾性層を設け、更にその表面に保護膜を設けてなる。
【0035】
(帯電ローラの支持構成)
次に、帯電ローラ8の支持構成について図1および図5を用いて詳細に説明する。
【0036】
図1は第1実施形態に係る軸受部材の支持構成の斜視図である。図5は第1実施形態に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図である。
【0037】
ローラ軸8aの両端は、軸受部材80aが回転可能に支持する。また、軸受部材80aは、支持部90aに取付けられる。支持部90aはドラム支持枠体11d(枠体)に設けられる。
【0038】
支持部90aは後述するように1対の腕形状となっている。軸受部材80aは、支持部90aを弾性変形させながら腕形状の間の空間に強制的に挿入される。軸受部材80aは、支持部90aの内部のレールに沿って感光体ドラム7の半径方向にスライド可能に取付けられる。更に支持部90aの先端には凸部(抑制部)90bが設けてある。これによってドラム組付け時は軸受部材80aが支持部90aから脱落しないようになっている。
【0039】
また、支持部90aには、軸受部材80aを付勢部材として圧縮スプリング71が取り付けられる。この圧縮スプリング71によって、軸受部材80aを介して、帯電ローラ8は感光体ドラム7方向に付勢される。
【0040】
図5に示すように、軸受部材80aは支持部90aに支持され、帯電ローラ8を感光体ドラム7に当接させる位置(第一位置)と、離間させる位置(第二位置)との間をスライド移動可能に構成されている。
【0041】
なお、第一位置は、帯電ローラ8等のプロセス手段が感光体ドラムに作用するような位置である。第1実施形態では、帯電ローラ8は感光体ドラム7と当接して感光体ドラム7を帯電するがこれに限られるものではない。帯電ローラ8と感光体ドラム7とが微小なギャップをもって帯電をするような場合は、帯電ローラ8と感光体ドラム7とが微小なギャップを持つような軸受部材80aの位置が第一の位置である。また、第二位置は、軸受部材80aが感光体ドラム7から遠ざかるような位置である。
【0042】
ここで、図5(a)は帯電ローラ8が感光体ドラム7に当接する位置である第一位置における側面図であり、図5(b)は第一位置における断面図、図5(c)は帯電ローラ8が感光体ドラム7から離間する位置である第二位置における断面図を示している。
【0043】
軸受部材80aには、前記スライド方向に延伸した凸形状からなる軸受長手規制部80b(規制部)が設けられる。
【0044】
図5(b)に示すように、軸受長手規制部80bが第一位置にあるとき、軸受長手規制部80bは、長手方向両側に隣接して、挟み込むように構成された一対の腕形状である支持部90aに挟持される。当該腕形状は、帯電ローラ8の軸線方向に対して交差する方向に一対に設けられている。具体的には、軸受長手規制部80bは、支持部90aにおける枠体長手規制部90c、つまり枠体長手規制部内側90c1と枠体長手規制部外側90c2に挟持される。このため、軸受部材80aの長手方向への移動が、枠体長手規制部内側90c1および枠体長手規制部外側90c2と、軸受長手規制部80bとに接触することで規制される。
【0045】
また、図5(c)に示すように、軸受長手規制部80bが第二位置にあるとき、軸受部材80aの長手方向への移動は、上述と同様に、枠体長手規制部内側90c1と枠体長手規制部外側90c2に規制される。また、枠体長手規制部内側90c1に軸受長手規制部80bが通過する大きさの切欠きがある切欠部(取り外し部)90dが設けられる。このとき、軸受長手規制部80bが枠体長手規制部内側90c1や、枠体長手規制部外側90c2と接触しない為、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aを長手方向への取り外しが可能である。
【0046】
ここで第1実施形態においては、切欠部90dを、枠体長手規制部内側90c1、枠体長手規制部外側90c2のいずれか一方に形成する。これにより、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aを取り外す方向を、長手方向のうちの一方に限定することができる。
【0047】
第1実施形態においては、長手内側である枠体長手規制部内側90c1に切欠部90dを形成することで、第二位置において長手方向内側(図5(c)の矢印方向)へ軸受部材80aを取り外し可能な構成である。また、軸受部材80aの長手方向外側への移動は、長手外側に設けられた枠体長手規制部外側90c2と軸受長手規制部80bとが接触することで規制される。
【0048】
即ち、軸受部材80aは、第一位置において、支持部90aの、帯電ローラ8の軸線方向の少なくとも一方に設けられた軸受長手規制部80bを有する。そして、第一位置において、軸受長手規制部80bは、帯電ローラ8の軸線方向から見たとき支持部90aと重なる。一方、第二位置において、支持部90aは、軸受長手規制部80bを帯電ローラ8の軸線方向から見たとき支持部90aと重ならないようになり、取り外しが可能となる。
【0049】
尚、第1実施形態においては、支持部90aへの軸受部材80aの組付けを感光体ドラム7側から行っている。しかしながら、これに限ることなく、長手方向から組み付けを行ってもよい。具体的には、枠体長手規制部内側90c1に設けられた切欠部90dに対して、軸受長手規制部80bが入るように長手方向(図5(c)の矢印の反対方向)に軸受部材80aを支持部90aに組み付けることができる。この場合、切欠部90dは組み付け部となる。その際、長手方向への組み付け位置は第二位置であり、その後、圧縮スプリング71の付勢力により、軸受部材80aは第一位置方向に移動し、支持部90aの先端に設けられた凸部90bに突き当たる位置に収まる。
【0050】
ここで、軸受部材80aは図1に示すように、ローラ軸8aを受けられるようにU字状の嵌合部81を有し、ローラ軸8aは軸受部材80aから脱落しないように構成されている。具体的には、嵌合部81先端の侵入口82が、ローラ軸8aの直径よりも狭くなるように構成される。この構成にてローラ軸8aを組み付ける際には、ローラ軸8aを侵入口82から嵌合部81へ強制嵌入することになる、侵入口82が弾性変形して押し広げられ、ローラ軸8aが嵌合部81に完全に嵌まり込むと、押し広げられた侵入口82が弾性復帰する。こうして、ローラ軸8aは、軸受部材80aの嵌合部81に嵌まりこむ。
【0051】
画像形成に際しては、帯電ローラ8が感光体ドラム7の回転に従動回転し、このとき帯電ローラ8に電圧を印加することにより感光体ドラム7の表面を均一に帯電させる。そのため、長手両端に設けられた軸受部材80aのうち、一方を導電性ポリアセタール樹脂等の導電性部材で構成している。そして、画像形成装置本体Aから、接点部材70(図4)、軸受部材80aを付勢する導電性の圧縮スプリング71を経てローラ軸8aに電圧が印加される。また、他端側の軸受部材80aにおいても、金属製のローラ軸8aとの摺動性が良く、且つ耐摩耗性に優れているポリアセタール樹脂で構成してある。
【0052】
(プロセスカートリッジリサイクル)
次に第1実施形態に係るプロセスカートリッジのリサイクルについて説明する。
【0053】
プロセスカートリッジが使用者にとって満足できる品質の画像を形成することが出来なくなる程度まで現像剤が消費された際に、プロセスカートリッジBとしての商品価値を喪失する。そこで、省資源、省エネルギー、廃棄物低減を目的として、従来から部品のリサイクル(再生、再利用)が行われている。
【0054】
リサイクルに際して、帯電ローラ8や現像剤担持体10d等は、選別、清掃、検査等の工程を経て再組立して使用するが、ドラム支持枠体11d等はクラッシュして材料としての再利用が行われている。このとき、ドラム支持枠体11dと軸受部材80aとが異種材料で構成してあると、これらを一緒にクラッシュすると材料として再利用したときに機械的性質が低下してしまう。このため、ドラム支持枠体11dと軸受部材80aは本来、同材質で形成されることが望ましい。
【0055】
しかし、必要な機能を得るために、軸受部材80aは前述のようにポリアセタール樹脂、ドラム支持枠体11dはポリスチレン樹脂と、異なる材質によって構成されている。このため、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aを取り出し分別する必要があり、容易に取り外し可能な構成が求められる。
【0056】
第1実施形態においては、前述のような構成により、分解時に支持部90aを弾性変形させる必要がない。このため、容易に支持部90aから軸受部材80aを取り外すことができる。
【0057】
使用済みプロセスカートリッジBの分解方法について図4および図6を用いて詳細に説明する。図6は第1実施形態に係るドラムユニットに対する現像ユニットの組立の斜視図である。
【0058】
まず、穴11e、結合穴10g8に嵌められたピン30を長手方向に抜き、現像ユニット10とドラムユニット11を分離する。ドラムユニット11の軸受60に固定されたビスを外し、軸受60および位置決めピン61を取り外すことで、感光体ドラム7がドラム支持枠体11dから取り出される。このあと、帯電ローラ8を感光体ドラム7方向に引き抜き、軸受部材80aから帯電ローラ8を取り外す。帯電ローラ8のローラ軸8aの直径は、1対の凸部90bの間隔よりも小さいため感光体ドラム7方向に引き抜くことができる。クリーニングブレード11aは、両端に固定されたビスを外すことで取り外し可能となる。そして、除去トナー収容部11cの残留トナーを取り除く。
【0059】
現像ユニット10についても各部品を分解した後、トナー室10a、現像室10i(図3)の残留トナーを取り除けば、分解作業が完了となる。
【0060】
この状態において前述のように、軸受部材80aを、感光体ドラム7側から押す。そして軸受部材80aを第二位置へとスライドさせた後、長手方向にずらす。これにより、容易にドラム支持枠体11dから軸受部材80aを取り外すことができる。
【0061】
ここで、軸受部材80aと圧縮スプリング71とを一体に固定することで、軸受部材80aと圧縮スプリング71とをドラム支持枠体11dから同時に取り外すことができる。軸受部材80aと圧縮スプリング71とを一体に固定する手段として、圧縮スプリング71のインサート成型がある。また、例えば、図8のように軸受部材80aに円形の凸形状からなる圧入部80cを設け、圧縮スプリング71の内径を圧入部の外径より小さく設定し、圧縮スプリング71に圧入部80cを挿入して固定しても良い。
【0062】
〔第2実施形態〕
ドラム支持枠体の軸受部材支持構成の第2実施形態について、図7および図8を用いて説明する。第1実施形態と同様の構成については同一の符号としている。図7は第2実施形態に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図である。ここで、図7(a)は帯電ローラ8が感光体ドラム7に当接する位置である第一位置における側面図であり、図7(b)は第一位置における断面図、図7(c)は帯電ローラ8が感光体ドラム7から離間する位置である第二位置における断面図を示している。図8は第2実施形態に係る軸受部材の斜視図である。
【0063】
ここで支持部90aは、軸受部材80aを挟み込むように構成された一対の腕形状である枠体長手規制部90cを形成する。また、軸受部材80aには、規制部としてスライド方向に延伸した凸形状からなる軸受長手規制部内側80b1、軸受長手規制部外側80b2が設けられる。そして、第一位置において、枠体長手規制部90cの長手両側に軸受長手規制部内側80b1、軸受長手規制部外側80b2が隣接している。このため、第一位置においては、軸受部材80aの長手方向への移動が枠体長手規制部90cと、軸受長手規制部内側80b1軸受長手規制部外側80b2とが接触することで規制される。
【0064】
また、図7(c)に示すように、枠体長手規制部90cには切欠部90dを設ける。これにより、第二位置においては、軸受長手規制部内側80b1、軸受長手規制部外側80b2の少なくとも一方が枠体長手規制部90cと接触しない。このため、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aを長手方向(矢印方向)へと取り外すことができる。
【0065】
その際、図7(b)及び図7(c)に示すように、軸受長手規制部内側80b1又は軸受長手規制部外側80b2の一方のみが長くなるように、スライド方向の規制幅を設定する。これにより、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aを取り外す方向を一方向に限定することができる。
【0066】
第2実施形態においては、長手内側の軸受長手規制部内側80b1の、スライド方向の幅を長く設定する。これにより、第二位置において長手方向内側(図7(c)の矢印方向)へのみ軸受部材80aを取り外すことができる。その際、軸受部材80aの長手方向外側(矢印の反対方向)への移動は、枠体長手規制部90cと軸受長手規制部内側80b1とが接触することで規制される。
【0067】
また、図8に示すように、軸受部材80aに、帯電ローラ8の長手方向の移動を規制するための突当部(接触部)83を設けてもよい。
【0068】
第2実施形態においては、第1実施形態よりも、支持部90aの剛性を低く設定することができる。このため、支持部90aを弾性変形させながらの軸受部材80aの挿入が容易となる。
【0069】
〔第3実施形態〕
ドラム支持枠体の軸受部材支持構成の第3実施形態について、図9および図10、図11を用いて説明する。第1実施形態と同様の構成については同一の符号としている。図9は第3実施形態に係る軸受部材の支持構成の説明図である。図10は第3実施形態に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図である。ここで、図10(a)は帯電ローラ8が感光体ドラム7に当接する位置である第一位置における側面図であり、図10(b)は第一位置における断面図、図10(c)は帯電ローラ8が感光体ドラム7から離間する位置である第二位置における断面図を示している。図11は第3実施形態に係る軸受部材の支持構成の斜視図である。
【0070】
図10及び図11に示すように、支持部90aにスライド方向に対して角度をもって傾斜した案内部91を設ける。軸受部材80aが第一位置から第二位置へ移動すると、軸受部材80aは、案内部91が接触しながら長手内側方向へとガイドされる。長手内側方向とは、帯電ローラ8の軸線方向で且つ、帯電ローラ8の中央部の方向である。
【0071】
また、軸受長手規制部内側80b1、軸受長手規制部外側80b2のスライド方向の規制幅を、図10のように軸受長手規制部内側80b1のみが長くなるように設定する。これにより、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aを取り外す方向を長手内側に限定することができる。
【0072】
また、図9に示すように、帯電ローラ8の両端部に、軸受部材80aの突当部(接触部)83を設けてある。
【0073】
こうすることで、帯電ローラ8が軸受部材80aに組み付けられた状態においては、長手内側方向への軸受部材80aの帯電ローラ8の移動が、帯電ローラ8と突当部83が接触することで規制されるため、軸受部材80aは第二位置へと移動することができない。そのため、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aが外れることはない。また、帯電ローラ8が軸受部材80aから取り外された状態においては、感光体ドラム7側から軸受部材80aを押すことで容易にドラム支持枠体11dから取り外すことができる。
【0074】
次に、第3実施形態の変形例について図12及び図13を用いて説明する。図12は第3実施形態の変形例に係る軸受部材の支持構成の斜視図である。図13は第3実施形態の変形例に係る軸受部材の支持構成の側面図および断面図である。ここで、図13(a)は、帯電ローラ8が感光体ドラム7に当接する位置である第一位置における側面図であり、図13(b)は第一位置における断面図、図13(c)は軸受部材80aが案内部91に接触する位置における断面図を示している。
【0075】
図12に示すように、ドラム支持枠体11dの支持部90aの長手方向外側に、軸受部材80aが第一位置から第二位置へ移動する際にローラ軸8aと当接するローラ軸突当部92を設ける。これにより、帯電ローラ8が軸受部材80aに組み付けられた状態においては軸受部材80aが第二位置へ移動することができない。このため、ドラム支持枠体11dから軸受部材80aが外れることはない。また、帯電ローラ8が軸受部材80aから取り外された状態においては、感光体ドラム7側から軸受部材80aを第二位置方向へ押すことで容易にドラム支持枠体11dから取り外すことができる。
【0076】
〔第4実施形態〕
ドラム支持枠体の軸受部材支持構成の第4実施形態について、図14を用いて説明する。第1実施形態と同様の構成については同一の符号としている。図14は第4実施形態に係るプロセスカートリッジの模式的断面図である。
【0077】
ここで、図14は転写ローラ4をプロセスカートリッジBに一体的に配置したものである。転写ローラ4の軸両端を軸受部材(不図示)が回転可能に支持し、軸受部材はドラム支持枠体11dに設けられた支持部(不図示)に取付けられる。また、転写ローラ4は支持部をレールとして感光体ドラム7の半径方向にスライド可能に取付けられ、付勢手段である圧縮スプリング(不図示)によって感光体ドラム7方向に付勢されている。
【0078】
ここで、プロセス手段を転写手段とし、転写ローラ4のドラム支持枠体11dに対する支持構成を、前述の帯電ローラ8の場合と同様な構成とする。これにより、帯電ローラ8の場合と同様に、ドラム支持枠体からの軸受部材の取り外しが容易となり、転写ローラ4分解性が向上する。
【0079】
〔第5実施形態〕
ドラム支持枠体の軸受部材支持構成の第5実施形態について、図15を用いて説明する。第1実施形態と同様の構成については同一の符号としている。図15は第5実施形態に係るプロセスカートリッジの模式的断面図である。
【0080】
軸受部材80aは支持部90aに支持され、帯電ローラ8を感光体ドラム7に当接させる位置(第一位置)と、離間させる位置(第二位置)との間をスライド移動可能に構成されている。支持部90aの先端部分90eは、圧縮スプリング71により付勢された軸受部材80aが支持部90aから外れるのを抑制する抑制部である。ここで、図15(a)は帯電ローラ8が感光体ドラム7に当接する位置である第一位置における斜視図であり、図15(b)は帯電ローラ8が感光体ドラム7から離間する位置である第二位置における斜視図を示している。
【0081】
この構成によれば、第一位置においては軸受部材80aを取り外すことが出来ないが、第2位置においては、図15(b)の矢印方向(感光体ドラム7の軸線に垂直な断面方向)に取り外すことが可能となる。また、取り外し方向が感光体ドラム7の存在する方向とは異なるので、感光体ドラム7が取り付けられた状態においても軸受部材80aの取り外しが可能となるため、分解性が向上する。
【符号の説明】
【0082】
A…画像形成装置本体
B…プロセスカートリッジ
7…感光体ドラム
80a…軸受部材
80b…軸受長手規制部
80b1…軸受長手規制部内側
80b2…軸受長手規制部外側
81…嵌合部
90a…支持部
90c…枠体長手規制部
90d…切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱自在なカートリッジであって、
像担持体に作用する軸を備えたプロセス手段と、
前記軸を支持する軸受部材と、
前記軸受部材を移動可能に支持する支持部を備える枠体と、
前記軸受部材は、前記支持部を移動することにより、前記プロセス手段が前記像担持体に作用するような位置である第一位置と、
前記第一位置よりも前記像担持体から遠ざかるような位置である第二位置と、を移動可能であり、
前記軸受け部材を前記第二位置から前記第一位置へ向かう方向へ付勢する付勢部材と、
前記付勢部材により付勢された前記軸受け部が前記支持部から外れるのを抑制する抑制部と、
前記第二位置において前記軸受け部材を前記枠体から外すことが可能なように設けられた取り外し部と、を有することを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記軸受け部材は、前記第一位置において、前記プロセス手段の軸線方向へ前記軸受けが移動するのを規制する規制部を備え、
前記支持部は、前記規制部を挟み込む形状であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記軸受け部材は、前記第一位置において、前記プロセス手段の軸線方向へ前記軸受けが移動するのを規制する対となる規制部を備え、
前記規制部は前記支持部を挟み込む形状であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記取り外し部は、前記支持部に設けられた切欠部であり、
前記支持部は、前記第一位置において前記プロセス手段の軸線方向への前記軸受部材の移動を規制し、且つ、前記第二位置において前記切欠部から前記軸受部材を取り外せるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記取り外し部は、前記軸受部材を前記プロセス手段の軸線方向に取り外し可能なように設けられており、
前記軸受部材が前記第一位置から前記第二位置の方向へと移動する際に、
前記軸受部材と当接して前記軸受部材を前記プロセス手段の軸線方向へと移動させる案内部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記取り外し部は、前記軸受部材を前記プロセス手段の軸線方向であって、且つ、前記プロセス手段の中央部の方向に取り外し可能に設けられており、
前記軸受部材は、前記軸の端部と接触する接触部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記支持部は、前記プロセス手段の軸線方向に対して交差する方向に一対で設けられた腕形状であり、前記支持部を弾性変形させて前記腕形状の間の空間に前記軸受部材を挿入が可能なように前記支持部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記プロセス手段は前記像担持体を帯電させる帯電手段とすることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記プロセス手段は転写手段とすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記軸受部材は、導電性の部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記カートリッジは、前記像担持体を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のカートリッジと、前記画像形成装置本体を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置本体に着脱自在なカートリッジに設けられた軸受部材を枠体から分解する分解方法であって、
前記カートリッジは、
像担持体に作用する軸を備えたプロセス手段と、
前記軸を支持する前記軸受部材と、
前記軸受部材を移動可能に支持する支持部を備える前記枠体と、
前記軸受部材は、前記支持部を移動することにより、前記プロセス手段が前記像担持体に作用するような位置である第一位置と、
前記第一位置よりも前記像担持体から遠ざかるような位置である第二位置と、を移動可能であり、
前記軸受け部材を前記第二位置から前記第一位置へ向かう方向へ付勢する付勢部材と、
前記付勢部材により付勢された前記軸受け部が前記支持部から外れるのを抑制する抑制部と、
前記第二位置において前記軸受け部材を前記枠体から外すことが可能なように設けられた取り外し部と、を有し、
前記支持部に支持された前記軸受け部材を前記第二位置へ移動させる工程と、
前記第二位置において前記軸受け部材を前記枠体から外す工程と、を有する分解方法。
【請求項14】
画像形成装置本体に着脱自在なカートリッジに設けられた軸受部材を枠体に組み付ける組み付け方法であって、
前記カートリッジは、
像担持体に作用する軸を備えたプロセス手段と、
前記軸を支持する前記軸受部材と、
前記軸受部材を移動可能に支持する支持部を備える前記枠体と、
前記軸受部材は、前記支持部を移動することにより、前記プロセス手段が前記像担持体に作用するような位置である第一位置と、
前記第一位置よりも前記像担持体から遠ざかるような位置である第二位置と、を移動可能であり、
前記軸受け部材を前記第二位置から前記第一位置へ向かう方向へ付勢する付勢部材と、
前記付勢部材により付勢された前記軸受け部が前記支持部から外れるのを抑制する抑制部と、
前記第二位置において前記軸受け部材を前記枠体に組み付けることが可能なように設けられた組み付け部と、を有し、
前記第二位置において前記軸受け部材を前記枠体に組み付ける工程、を有する組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−88689(P2012−88689A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190350(P2011−190350)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】