説明

カードコネクタ

【課題】 カードの外形寸法公差が大きい状況においても、スイッチレバーの変位量を大きくすることなくスイッチ接点を安定して切り替えることを可能にする。
【構成】 カードAが挿脱されるカードスロット13を有したケース部10と、ケース部10内においてカードスロット13に挿入されたカードAの当接により移動可能に支持されたスライド部20と、ケース部10のカード幅方向の外側に設けられたスイッチ切片であり且つカードAの挿脱をスイッチ接点として出力するスイッチ接点部60と、ケース部10にスイッチ接点部60に内側から当接可能に設けられており且つスライド部20の当接により開放先端部分が弾性変形してスイッチ接点部20を短絡可能に押圧させるレバー片70とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカードの挿脱を検出するスイッチ接点を有したカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカードコネクタにおいて、ハウジング内にスイッチ接点が設けられ、カードがハウジング内に挿入されて挿着位置にロックされた時、カードの接触によりスイッチ接点が変位し、これによりカードが挿脱を検出する機能を有するものがある。スイッチ接点としては、金属弾性体による片持ちバリ構造のスイッチレバーを使用するのが一般的である(特許文献1、2、3等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−252045号公報
【特許文献2】特開2001−338729公報
【特許文献3】特願平11−97110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例による場合、スイッチ接点がカードの接触により変位する構成となっていることから、カードの外形寸法公差が大きいときには、スイッチレバーの変位量を大きくとらなければ、スイッチ接点が安定して切り替わらないという問題があった。これは、スイッチ接点の切り替わり位置がカードの外形寸法やカード挿入位置等に依存しているためである。スイッチレバーの変位量を大きくすると、カードコネクタ自体の大型化が避けられない。即ち、カードの外形寸法公差が大きい状況において、カード挿脱検出の安定化とカードコネクタの小型薄型化との双方を図ることは非常に困難であった。
【0005】
本発明は上記した背景の下で創作されたものであり、その目的とするところは、カードの外形寸法公差が大きい状況においても、スイッチレバーの変位量を大きくすることなくスイッチ接点を安定して切り替えることが可能なカードコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカードコネクタは、カードが挿脱されるカードスロットを有したケース部と、ケース部内においてカードスロットに挿入されたカードの当接により移動可能に支持されたスライド部と、ケース部のカード幅方向の外側に設けられたスイッチ切片であり且つカードの挿脱をスイッチ接点として出力するスイッチ接点部と、ケース部にスイッチ接点部に内側から当接可能に設けられており且つスライド部の当接により開放先端部分が弾性変形してスイッチ接点部を開放/短絡可能に押圧させるレバー片とを備えている。
【0007】
レバー片の代わりに次のようなレバーブロック部を使用しても良い。即ち、レバーブロック部は、スライド部に設けられており且つスライド部の移動に伴ってスイッチ接点部を開放/短絡可能に押圧させる構成となっている。
【0008】
本発明に係る他のカードコネクタは、カードが挿脱されるカードスロットを有したケース部と、ケース部内においてカードスロットに挿入されたカードにより押圧移動自在に支持されたスライド部と、ケース部に設けられたスイッチ切片であり且つカードの挿脱をスイッチ接点として出力するスイッチ接点部とを備えており、スライド部は、カードの挿入に伴う移動によりスイッチ接点部に当接可能であり、当該当接部分にスイッチ接点部を開放/短絡可能にさせるための凹部又は凸部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明の請求項1に係るカードコネクタによる場合、挿入されたカードの当接によりスライド部が移動し、スライド部の押圧によりレバー片の開放先端部が弾性変形し、レバー片の押圧によりスイッチ接点部が開放/短絡する構成となっている。そのため、カードの外形寸法公差に関係なく、カードの挿入に伴うレバー片の変位量が僅かであってもスイッチ接点を安定して切り替えることが可能になる。よって、カードの外形寸法公差が大きい状況の下で、カード挿脱検出の安定化とカードコネクタの小型薄型化との双方を図ることが可能になるという効果を奏する。
【0010】
本発明の請求項2に係るカードコネクタによる場合、挿入されたカードの当接によりスライド部が移動し、スライド部に設けられたレバーブロック部の押圧によりスイッチ接点部が開放/短絡する構成となっているので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0011】
本発明の請求項3に係るカードコネクタによる場合、挿入されたカードの当接によりスライド部が移動し、スライド部に設けられた凹部又は凸部によりスイッチ接点部が開放/短絡する構成となっているので、請求項1と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はカードコネクタの内部を示す斜視図、図2は同カードコネクタの外観を示す斜視図、図3はカードコネクタに挿入されたカードがロックされる前の状態を示すカードコネクタの内部斜視図、図4はカードコネクタに挿入されたカードがロックされた状態を示すカードコネクタの内部斜視図である。
【0013】
ここに掲げるカードコネクタは、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、デジタルオーディオ機器等の電子機器に記憶媒体として使用されるカード、例えば、スマートメディア(商標)、メモリースティック(商標)、SDカード(商標)等のカード用のものであって、プッシュ−プッシュイジェクト機能の他、カードの挿脱を検出する機能を有している。
【0014】
即ち、図1乃至図4に示すように、カードAが挿脱されるカードスロット13を有したケース部10と、ケース部10内においてカードスロット13に挿入されたカードAの当接により移動可能に支持されたスライド部20と、スライド部20をカード排出方向に付勢させるバネ部30と、スライド部20をカード挿入位置でロックするとともにカード排出位置でロック解除するプッシュ−プッシュイジェクト機構40と、ケース部10に取り付けられており且つカードAの外部電極に電気接触する複数のコンタクト50と、ケース部10のカード幅方向の外側に設けられたスイッチ切片であり且つカードの挿脱をスイッチ接点として出力するスイッチ接点部60と、ケース部10にスイッチ接点部60に内側から当接可能に設けられており且つスライド部20の当接により開放先端部分が弾性変形してスイッチ接点部60を開放/短絡可能に押圧させるレバー片70とを備えた基本構成となっている。以下、各部について詳細に説明する。
【0015】
ケース部10はカードAが収容可能な薄型の樹脂製箱体であって、上ケース12と下ケース11とを有している。ケース部10の手前側面にはカードスロット13となる開口が形成されている。下ケース11上の手前側にはスライド部20及びプッシュ−プッシュイジェクト機構40が移動自在に設けられ、その奥側にはコンタクト50及びバネ部30が取り付けられている。
【0016】
下ケース11の奥側端面にはコンタクト50の外部端子51及びスイッチ接点部60の外部端子63が設けられている。下ケース11の図1中左側の端面にはスイッチ接点部60の外部端子64が設けられている。下ケース11の図1レバー片70が一体的に形成され、その外側にスイッチ接点部60に取り付けられている。
【0017】
スライド部20は図1に示すような形状に形成された金属板であって、カードAの挿入時にその奥側端面に当接する折り曲げ部21、22を有しており、図1中右側部にプッシュ−プッシュイジェクト機構40が取り付けられている。即ち、スライド部20は、カードAがカードスロット13に挿入されると、折り曲げ部21、22に当接し、バネ部30の弾性力に抗してプッシュ−プッシュイジェクト機構40とともに移動するようになっている。
【0018】
バネ部30は下ケース11上に形成された突脈の間に取り付けられたスプリングであって、下ケース11の奥側端面とプッシュ−プッシュイジェクト機構40との間に位置しており、スライド部20をプッシュ−プッシュイジェクト機構40を通じてカード排出方向に付勢させるようになっている。
【0019】
プッシュ−プッシュイジェクト機構40は、断面コ字状をなした金属部材41を主要構成とした周知のフック機構である。即ち、カードAが挿入され、これに伴ってスライド部20がカード挿入位置にまで移動すると、金属部材41に形成された図外の係合片が下ケース11の一部に形成された図外の穴に係合してロックする一方、この状態でカードAが更に若干奥に挿入され、これに伴って、スライド部20がカード排出位置にまで移動すると、前記係合片が前記穴から外れてロック解除する基本構成となっている。
【0020】
コンタクト50はカードAの外部電極に対応したピッチ間隔で下ケース11に取り付けられた金属端子片であって、その後端部が外部電極51となっている。即ち、スライド部20がカード挿入位置にある状態において先端部がカードAの外部電極の所定位置に電気接触するようになっている。
【0021】
スイッチ接点部60は、基端部が下ケース11の奥側端面に形成されたスリットに取り付けられたL字状のスイッチ切片61と、基端部が下ケース11の図1中左側端面に形成されたスリットに取り付けられた直線状のスイッチ切片62とを有したノーマルオープンタイプのリードスイッチである。スイッチ切片61の後端部、スイッチ切片62の後端部が外部端子63、64となっている一方、スイッチ切片61の先端部とスイッチ切片62の先端部との間が接点となっており、この接点の外側は露出している一方、その内側はレバー片70の開放先端部に対向している。
【0022】
レバー片70は下ケース11と一体的に形成された樹脂製の板状の弾性片であって、その開放先端部がスライド部20の折り曲げ部21に当接可能になっている。レバー片70の開放先端部は常時図3に示すように下ケース11の図1中左側端面とほぼ平行であるが、カードAの挿入に伴ってスライド部20がカード挿入位置にまで移動すると、折り曲げ部21の押圧により図4に示すように外側に弾性変形するようになっている。この結果、スイッチ切片62の先端部が押圧され、スイッチ切片61の先端部と接触するようになっている。
【0023】
この結果、ケース部10のカードスロット13にカードAが挿入され、スライド部20がプッシュ−プッシュイジェクト機構40によりロックされる状態になると、スイッチ接点部60がレバー片70により押圧され、スイッチ接点出力がオフからオンに変化する。一方、カードAが更に若干奥に挿入され、スライド部20がカード排出位置にまで移動すると、プッシュ−プッシュイジェクト機構40によりロック解除され、カードAがスライド部20を通じてバネ部30の弾性力によりカード排出方向に移動し、その一部がカードスロット13から外に出る。この状態になると、スイッチ接点部60がレバー片70により押圧されず、スイッチ接点出力がオンからオフに変化する。この結果、スイッチ接点部60によりカードAの挿脱の状態が検出される。
【0024】
以上のように構成されたカードコネクタによる場合、ケース部10に挿入されたカードAの当接によりスライド部20が移動し、スライド部20の押圧によりレバー片70の開放先端部が弾性変形し、レバー片70の押圧によりスイッチ接点部60が短絡する構成となっている。
【0025】
そのため、カードAの外形寸法公差に関係なく、カードAの挿入に伴うレバー片70の変位量が僅かであってもスイッチ接点部60のスイッチ接点を安定して切り替えることが可能になる。よって、カードAの外形寸法公差が大きい状況の下で、カード挿脱検出の安定化とカードコネクタの小型薄型化との双方を図ることが可能になる。特に、スイッチ接点部60及びレバー片70がカードAの側方位置に配設されている点で、カードコネクタの大幅な薄型化を図ることが可能になった。
【0026】
次に、カードコネクタの変形例を図5を参照して説明する。上記実施形態は異なるのは、レバー片70の代わりにレバーブロック部80を使用したという点である。レバーブロック部80は、スライド部20の折り曲げ部21に装着された樹脂製の直方状ブロックであって、スライド部20の移動に伴ってスイッチ接点部60を短絡可能に押圧させるようになっている。この変形例による場合も上記と全く同様の効果を奏する。
【0027】
次に、カードコネクタの別の変形例を図6を参照して説明する。上記実施形態と大きく異なるのは、ケース部10、スライド部20、コンタクト50及びスイッチ接点部60の代わりに,ケース部10’、スライド部20’、コンタクト50’及びスイッチ接点部60’をそれぞれ用いたという点である。
【0028】
スイッチ接点部60’については、下ケース11’の奥側に取り付けられた直線状のスイッチ切片61’、U字状のスイッチ切片62’とを有したノーマルクローズタイプのスイッチである。スイッチ切片61’の後端部、スイッチ切片62’の後端部が図外の外部端子となっている一方、スイッチ切片61’の先端部とスイッチ切片62’の先端部との間が接点となっている。
【0029】
スライド部20’については、ケース部10’内において挿入されたカードAにより押圧移動自在に支持されたL字状の樹脂製のブロックであって、基端部がプッシュ−プッシュイジェクト機構40に連結されている。スライド部20’の先端部23’は内側に張り出しており、カードAの奥側端面に当接可能になっている。即ち、ケース部10’にカードAが挿入されると、スライド部20’の先端部23’にカードAが当接して、バネ部30の弾性力に抗してプッシュ−プッシュイジェクト機構40とともに移動するようになっている。
【0030】
特に、スライド部20’は、カードAの挿入に伴う移動によりスイッチ切片62’に当接可能であり、当該当接部分にスイッチ切片62’の先端部が入り込んで若干縮ませ可能な凹部24’が形成されている。即ち、カードAがカード挿入位置まで挿入され、これに伴ってスライド部20’が移動すると、スイッチ切片62’の先端部が凹部24’に入り込んで、スイッチ切片62’が縮まり、これによりスイッチ切片61’の先端部から離れる。この状態でスイッチ接点部60’の接点が開放するようになっている。一方、カードAの排出とともにスライド部20’が元の位置にまで移動すると、スイッチ切片62’の先端部が凹部24’から抜け、スイッチ切片62’が元の状態に拡がり、これによりスイッチ切片61’の先端部に接する。この状態でスイッチ接点部60’の接点が短絡するようになっている。
【0031】
なお、コンタクト50’については図示の通り下ケース11’に取り付けられている。これに伴ってケース部10’の形状が異なっている。これ以外の点につついては上記実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0032】
このようなカードコネクタによる場合、ケース部10’に挿入されたカードAの当接によりスライド部20’が移動し、スライド部20’に設けられた凹部24’によりスイッチ接点部60’の接点が開放するようになるノーマルオープンタイプのリードスイッチ構造も可能である。スイッチ接点部60’の接点出力は上記実施形態とは逆になるものの、スイッチ接点部60’によりカードAの挿脱の状態が検出される。この場合も上記実施形態の場合と全く同様の効果を奏する。
【0033】
なお、本発明のカードコネクタは上記実施の形態に限定されず、ケース部、スライド部、スイッチ接点部、レバー片又はレバーブロック部に関して、同一の機能を有するものであれば、どのような構成のものを用いてもかまわない。特にレバー片又はレバーブロック部については、レバー片又はスライド部の移動に伴ってスイッチ接点部を開放/短絡可能に押圧させるものである限り、どのようなものを用いても良い。また、スライド部については、カードの挿入に伴う移動によりスイッチ接点部に当接可能であり、当該当接部分にスイッチ接点部を開放/短絡可能にさせるための凸部を設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための図であって、カードコネクタの内部を示す斜視図である。
【図2】同カードコネクタの外観を示す斜視図である。
【図3】同カードコネクタに挿入されたカードがロックされる前の状態を示すカードコネクタの内部斜視図である。
【図4】同カードコネクタに挿入されたカードがロックされた状態を示すカードコネクタの内部斜視図である。
【図5】同カードコネクタの変形例を説明するための図であって、カードコネクタの内部を示す斜視図である。
【図6】同カードコネクタの別の変形例を説明するための図であって、カードコネクタの内部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
A カード
10 ケース部
13 カードスロット
20 スライド部
40 プッシュ−プッシュイジェクト機構
50 コンタクト
60 スイッチ接点部
70 レバー片
80 レバーブロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿脱されるカードスロットを有したケース部と、ケース部内においてカードスロットに挿入されたカードの当接により移動可能に支持されたスライド部と、ケース部のカード幅方向の外側に設けられたスイッチ切片であり且つカードの挿脱をスイッチ接点として出力するスイッチ接点部と、ケース部にスイッチ接点部に内側から当接可能に設けられており且つスライド部の当接により開放先端部分が弾性変形してスイッチ接点部を開放/短絡可能に押圧させるレバー片とを備えていることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のカードコネクタにおいて、レバー片の代わりにレバーブロック部を使用しており、レバーブロック部は、スライド部に設けられており且つスライド部の移動に伴ってスイッチ接点部を開放/短絡可能に押圧させる構成となっていることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項3】
カードが挿脱されるカードスロットを有したケース部と、ケース部内においてカードスロットに挿入されたカードにより押圧移動自在に支持されたスライド部と、ケース部に設けられたスイッチ切片であり且つカードの挿脱をスイッチ接点として出力するスイッチ接点部とを備えており、スライド部は、カードの挿入に伴う移動によりスイッチ接点部に当接可能であり、当該当接部分にスイッチ接点部を開放/短絡可能にさせるための凹部又は凸部が設けられていることを特徴とするカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−147156(P2006−147156A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331408(P2004−331408)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】