説明

カードコネクタ

【課題】トレイをコネクタ本体に対して正規の位置に容易に挿入すること。
【解決手段】カードを収容するトレイと、基板に実装され上記トレイが挿入されるコネクタ本体と、を備え、上記トレイに収容されたときの上記カードの表面と平行に位置する上記トレイと上記コネクタ本体との相互に対向する面に、相互に嵌合し上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入方向に沿って延びるガイドレールとガイド溝とをそれぞれ備え、上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入端と、上記コネクタ本体の内部に位置する挿入端受け部とに、上記トレイが上記コネクタ本体に挿入されたときに上記ガイドレールと上記ガイド溝とが相互に嵌合するよう上記挿入端と上記挿入端受け部とが相互に当接して上記トレイの上記コネクタ本体に対する位置を矯正する位置矯正手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードコネクタにかかり、特に、基板に実装され、カードを収容したトレイが挿入されるカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの電子機器は、メモリカードなどの小型なカードを装着することが可能なよう、カードコネクタを実装している。このカードコネクタは、特許文献1に示すように、電子機器内の基板に実装されたコネクタ本体と、このコネクタ本体に挿入されるトレイと、を備えている。そして、トレイにカードを収容してコネクタ本体に挿入することで、カードを電子機器に装着することができる。
【0003】
ここで、カードコネクタの構成について、図1乃至図6を参照して説明する。まず、図1は、カードコネクタを構成するコネクタ本体101を示している。この図に示すように、コネクタ本体101は、一端側に半田付け部114の端子が並び、その反対側である他端側が開口した開口部113を有する箱型の形状をしている。そして、コネクタ本体101の内部には、開口部113から半田付け部114に向けて、カードが収納されたトレイ102(図3参照)が挿入される。以下、カードコネクタを構成するコネクタ本体101及びトレイ102の構成について、さらに詳述する。
【0004】
図2は、コネクタ本体101の上面を覆っているコネクタシェル112を取り外した状態を示す図であり、内部の底面を構成するインシュレータ111を示している。そして、このインシュレータ111には、中央部に、トレイ102に収納されたカードのカード側端子(図示せず)と接触するコネクタ側端子115が設けられている。このコネクタ側端子115は、図2に示すように、コネクタ本体101の底面から当該コネクタ本体101の内部側つまり収容されるトレイ102が位置する上方に突出して斜めに延びて設けられている。
【0005】
また、トレイ102は、図3(A)の平面図及び図3(B)のB−B線断面図に示すように、略長方形状の平板状であり、カードが収容される凹部121(くぼみ)が形成されている。そして、トレイ102挿入端側は、二股に分岐して2つの分岐部122,123が形成されており、その中央部分は切除されている。この切除されている部分は、凹部121にカードが収容されると、当該カードの裏面に設けられたカード側端子が位置することとなる。従って、カードを収容したトレイ102を上記コネクタ本体101の開口部113から挿入することで、カードのカード側端子(図示せず)がトレイ102の切除部分から露出しており、コネクタ本体102のコネクタ側端子115に接触する。
【0006】
また、コネクタ本体101に挿入されたトレイ102は、コネクタ本体101内で容易に抜け出さないように保持されるために、図1に示すように、コネクタ本体101の両側に形成されたバネ状の押さえ梁112a,112bで挟持される。そして、このバネ状の押さえ梁112a,112bから受ける荷重をトレイ102が受けた場合には、トレイ102自体、特にトレイ102が二股に分岐している挿入端側が変形しないように、トレイの背面側(カードが収容される凹部の裏面側)に、図3(B)の断面図に示すような突起状のガイドレール124a,124bが形成されている。そして、このガイドレール124a,124bに対応して、コネクタ本体101側には、トレイ102のガイドレール124a,124bが嵌合されるガイド溝116a,116bが形成されている。
【0007】
なお、上述したカードコネクタは、通常、カードをトレイ102に収納し、カードとトレイ102を一体化した状態でコネクタ本体101に挿入する。ところが、カードをトレイ102に入れるのはエンドユーザであるため、電子機器等の装置を組み立てて出荷する際には、カードが無い状態でトレイ102のみをコネクタ本体101に挿入しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−351426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方で、近年では、情報処理装置の小型化に伴い、カードコネクタ自体の小型化、特に低背化が進んでいる。すると、コネクタ本体101の開口部が小さくなり、トレイ102の挿入が困難となる。その結果、図4に示すように、トレイ102がコネクタ本体101に挿入方向に対して斜めに挿入されると、点線で示すトレイ102のガイドレール124a,124bとコネクタ本体101のガイド溝116A,116Bとが、相互に嵌め合わされない状態となる。この図4の例では、例えば、下側に位置するガイドレール124bはガイド溝116bに入っているが、上側に位置するガイドレール124aは、ガイド溝116aに入らず、ずれている。
【0010】
そして、さらにこの状態のままトレイ102を挿入していくと、図1に示している押さえ梁112a,112bがトレイ102を鋏持しているため、図5(A)の平面図及び図5(B)のC−C線断面図に示すようになる。つまり、下側のガイドレール124bはガイド溝116bに嵌っているが、上側のガイドレール124aは、押さえ梁112aにより中央側に押さえられているので、ガイド溝116bからはずれたまま復帰しにくくなる。
【0011】
そして、上述した状態では、ガイドレール124aの突出高さの分だけ、トレイ102の側壁がインシュレータ111に対して浮いてしまい、コネクタシェル112と接触してしまう場合も生じる。すると、トレイ102はインシュレータ111とコネクタシェル112(図1参照)に挟まれることになるので、余計にガイドレール124aは、正規の位置に復帰しにくくなる。そして、さらにトレイ102をコネクタ本体101に対して最後まで押し込むと、図6のようにトレイ102が変形したまま挿入されてしまい、当該トレイ102が歪んでしまう。その結果、カードを収容する凹部121もカードの外形とは異なる形になってしまい、エンドユーザがカードを入れることができなくなる、という問題が生じる。
【0012】
ここで、仮に、ガイドレールがガイド溝に対してずれたことに気がついた場合には、トレイ102を一旦引き抜いて、再度挿入することになるが、再挿入でガイドレールが合うという保証はなく、カードを入れてみなくては、正規の位置にトレイが入ったかが分からない。
【0013】
以上のように、カードを収容するトレイをコネクタ本体に挿入するカードコネクタでは、トレイを正規の位置に挿入することが困難である、という問題があった。
【0014】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、トレイをコネクタ本体に対して正規の位置に挿入することの困難性を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的を達成するため本発明の一形態であるカードコネクタは、
カードを収容するトレイと、基板に実装され上記トレイが挿入されるコネクタ本体と、を備えている。
そして、上記トレイに収容されたときの上記カードの表面と平行に位置する上記トレイと上記コネクタ本体との相互に対向する面に、相互に嵌合し上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入方向に沿って延びるガイドレールとガイド溝とをそれぞれ備えている。
さらに、上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入端と、上記コネクタ本体の内部に位置する挿入端受け部とに、上記トレイが上記コネクタ本体に挿入されたときに上記ガイドレールと上記ガイド溝とが相互に嵌合するよう上記挿入端と上記挿入端受け部とが相互に当接して上記トレイの上記コネクタ本体に対する位置を矯正する位置矯正手段を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のように構成されることにより、容易にトレイをコネクタ本体に対して正規の位置に挿入することができ、ユーザの操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に関連するカードコネクタを構成するコネクタ本体の構成を示す図である。
【図2】図1に開示したコネクタ本体の構成を示す図であり、図1で上面を覆うコネクタシェルと取り外したときの構成を示す図である。
【図3】本発明に関連するカードコネクタを構成するトレイの構成を示す図である。
【図4】図1に開示したコネクタ本体に、図3で開示したトレイを挿入するときの様子を示す図である。
【図5】図1に開示したコネクタ本体に、図3で開示したトレイを挿入するときの様子を示す図である。
【図6】図1に開示したコネクタ本体に、図3で開示したトレイを挿入するときの様子を示す図である。
【図7】本発明の実施形態1におけるカードコネクタを構成するコネクタ本体の構成を示す図である。
【図8】図7に開示したコネクタ本体の構成を示す図であり、図7で上面を覆うコネクタシェルと取り外したときの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態1におけるカードコネクタを構成するトレイの構成を示す図である。
【図10】図9に開示したトレイにカードを収容した時の様子を示す図である。
【図11】図9に開示したトレイの構成を示す図であり、上面図、断面図、下面を示す。
【図12】図7に開示したコネクタ本体に、図9で開示したトレイを挿入するときの様子を示す図である。
【図13】図7に開示したコネクタ本体に、図9で開示したトレイを挿入するときの様子を示す図である。
【図14】図7に開示したコネクタ本体に、図9で開示したトレイを挿入するときの様子を示す図である。
【図15】図7に開示したコネクタ本体に、図9で開示したトレイを挿入するときの様子を示す図である。
【図16】本発明の実施形態2におけるコネクタ本体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図7乃至図15を参照して説明する。図7乃至図8は、コネクタ本体の構成を示す図であり、図9乃至図11は、トレイの構成を示す図である。図12乃至図15は、トレイをコネクタ本体に挿入するときの動作を示す図である。
【0019】
[構成]
本実施形態におけるカードコネクタは、携帯電話などの電子機器に実装されており、メモリカードなどの小型なカードを装着することを可能とするカードコネクタである。そして、カードコネクタは、電子機器内の基板に実装されたコネクタ本体1と、このコネクタ本体1に挿入されるトレイ2と、を備えている。以下、コネクタ本体1とトレイ2との構成について詳述する。
【0020】
まず、図7乃至図8を参照して、コネクタ本体1の構成を説明する。コネクタ本体1は、図1に示すように、外形は、所定の厚みを有する板形状であり、内部が空洞な箱型に形成されている。具体的に、コネクタ本体1は、底面部分を構成するインシュレータ11と、上面を覆うコネクタシェル12と、を備えており、インシュレータ11に板金で形成されたコネクタシェル12をかしめて固定することで、図7に示すコネクタ本体1の形状となる。また、コネクタシェル12の両側面には、トレイ2を挟持する押さえ梁12a,12bが形成されている。
【0021】
そして、コネクタ本体1の一端側には、開口している開口部13を形成しており、また、他端側には、基板(図示せず)に接続される端子が並んだ半田付け部14を備えている。上記開口部13から半田付け部14にかけては、上記インシュレータ11とコネクタシェル12と側壁で覆われた空洞部が形成され、筒状になっている。なお、コネクタ本体1の空洞の内部には、上述した開口部13からトレイ2が挿入される。そして、他端側の上記半田付け部14は、インシュレータ11にインサートモールドにより保持固定されるか、あるいは、圧入によって保持固定される。
【0022】
ここで、コネクタ本体1の内部構成について、図8を参照して説明する。図8は、図7のコネクタ本体1から上面を形成するコネクタシェル12を外した状態の上面図、つまり、インシュレータ11にて構成されているコネクタ本体1の底面の様子を示している。この図に示すように、インシュレータ11には、中央部分に、後述するようにトレイ2に収納されたカード3のカードPAD部31(カード側端子)(図10参照)と接触するコネクタ側端子15が設けられている。このコネクタ側端子15は、コネクタ本体1の底面から当該コネクタ本体1の内部側つまり収容されるトレイ2が位置する上方に突出して、斜め上方に延びて設けられている。
【0023】
また、インシュレータ11の表面には、後述するようにトレイ2の下面に突出して形成されたガイドレール24a,24bに嵌め合う所定の溝深さ及び溝幅を有する2本のガイド溝16a,16bが形成されている。なお、インシュレータ11の表面とは、コネクタ本体1に挿入されたトレイ2の裏面に対して対向する面であり、当該トレイ2に収容されたカードの表面と平行に位置する面である。これらガイド溝16a,16bは、それぞれ側壁付近に、開口部13から他端側にかけて直線状に形成されている。
【0024】
また、インシュレータ11の他端側つまり半田付け部14側には、当該インシュレータ11の上方に突出する2つの矯正壁17a,18a(受け部側テーパー部)が設けられている。具体的に、矯正壁17a,18aは、インシュレータ11の他端側の中央に設けられた半田付け部14の両脇に隣接し、つまり、半田付け部14と各ガイド溝16a,16bとの間にそれぞれ設けられている。そして、矯正壁17a,18aは、当該インシュレータ11の表面と垂直に形成された壁面17b,18bを有しており、この壁面17b,18bは、各ガイド溝16a,16bの長手方向つまりトレイ2が挿入される方向に対して斜めに傾いて形成されている。特に、図8に示すように、各矯正壁17a,18aの壁面17b,18bは、それぞれが他端側に向かうにつれてインシュレータ11の側部方向に近づくよう形成されている。そして、各矯正壁17a,17bの壁面17b,18bは、後述するトレイ2に設けられた角錐部22a,23aの傾斜壁22b,23bと当接する当接面となる。
【0025】
次に、トレイ2の構成について、図9乃至図11を参照して説明する。図9に示すように、トレイ2は、略長方形状の平板状であり、中央部分にカード(図示せず)が収容される略長方形状の凹んだ凹部21が形成されている。そして、トレイ2は、図11(A)の上面図に示すように、その一端側つまり上述したコネクタ本体1に対して挿入される先端側である挿入端側に、二股に分岐した2つの分岐部22,23を有している。具体的に、各分岐部22,23は、上記挿入端とは反対側が連結して、かかる連結箇所から二股に分かれており、トレイ2自体の中央部分が挿入端まで挿入方向に切除されていることで、略U字状に形成されている。なお、上述した凹部21には、図10に示すように、略長方形状のカード3が収容されることになるが、このときにカード3の裏面つまり凹部21への載置面側に設けられたカードPAD部31が、トレイ2の底面側に露出した状態となる。
【0026】
また、上記各分岐部22,23の裏面側には、図11(A)のA−A線断面図である図11(B)、及び、図11(C)の下面図に示すように、裏面側に突出するガイドレール24a,24bがそれぞれ形成されている。つまり、トレイ2の裏面には、各分岐部22,23に対応して当該分岐部22,23の長手方向つまりトレイ2の挿入方向に沿って、2本のガイドレール24a,24bが形成されている。そして、各ガイドレール24a,24bの幅や突出高さは、上述したインシュレータ11に形成されたガイド溝16a,16bに嵌合可能なよう、当該ガイド溝16a,16bの溝幅及び溝深さに対応して形成されている。
【0027】
さらに、トレイ2の各分岐部22,23の先端側、つまり、コネクタ本体1に対する挿入端側には、図11(A)のトレイ2の上面図に示すように、一部が角錐状の角錐部22a,23a(挿入端側テーパー部)がそれぞれ設けられている。この角錐部22a,23aは、各分岐部22,23の先端側(挿入端側)に向かうにつれて徐々に断面形状が狭くなるよう形成されている。従って、符号22b,23bに示す各分岐部22,23の相互に対向する面、つまり、トレイ2の中央側に向いた面は、トレイ2の底面に対して垂直方向に沿って形成されていると共に、トレイ2の挿入方向に対して斜めに傾いた傾斜面22b,23bを形成している。具体的には、図11(A)に示すように、トレイ2の傾斜面22b,23bは、トレイ2の中央から側方に向かって広がるよう、挿入方向に対して傾斜している。
【0028】
そして、上記各分岐部22,23の各傾斜面22b,23bは、上述したコネクタ本体1のインシュレータ11に設けられた矯正壁17a,18aの壁面17b,18bと当接する当接面となる。このとき、各傾斜面22b,23bの傾斜角度は、上記インシュレータ11に設けられた矯正壁17a,18aの壁面17b,18bの傾斜角度とほぼ同一である。そして、トレイ2をコネクタ本体1に挿入した際に、トレイ2の傾斜面22b,23bとコネクタ本体1の壁面17b,18bとが当接することで、当該壁面17b,18bが各分岐部22,23の角錐部22a,23aを、コネクタ本体1の側方に押し出すよう機能し、トレイ2をコネクタ本体1に対する適切な位置に矯正することができる。つまり、上述した角錐部22a,23a(傾斜面23b,23b)と矯正壁17a,18a(壁面17b,18b)とは、相互に当接してトレイ2のコネクタ本体1に対する位置を矯正する位置京勢手段として機能する。
【0029】
[動作]
次に、上述したカードコネクタの動作、つまり、コネクタ本体1にトレイ2を挿入するときの動作を、図12乃至図15を参照して説明する。なお、図12乃至図15では、説明の都合上、コネクタ本体1からコネクタシェル12を取り外した状態のものを図示して説明する。
【0030】
まず、カードを収容していないトレイ2をコネクタ本体1の開口部13から挿入していく際に、図12に示すように、挿入方向に対して斜めにトレイ2を挿入してしまった場合を考える。この時点では、トレイ2のガイドレール24a,24bと、コネクタ本体1のガイド溝16a,16bとの位置がずれてしまうが、操作者が抵抗感を感じることなく、そのままトレイ2を押し込んでしまうことがある。すると、図13に示すように、ガイドレール24aとガイド溝16aとが相互に嵌合せずに外れ、トレイ2が変形されたままの状態となる。
【0031】
その後、操作者が奥までトレイ2を押し込むと、トレイ2の先端の角錐部22aと、コネクタ本体1の矯正壁17aとが近づいていき、やがて図14に示すように、トレイ2の角錐部22aの傾斜面22bと、コネクタ本体1の矯正壁17aの壁面17bとが、相互に当接する。そして、さらにトレイ2をコネクタ本体1に対して押し込むと、トレイ2の角錐部22aは、コネクタ本体1の矯正壁17aの壁面17bに沿って、その位置が矯正される。つまり、図14及び図15に示すように、トレイ2の一方の分岐部22の先端部分に位置する角錐部22aは、コネクタ本体1の矯正壁17aの壁面17bにて当該コネクタ本体1の側方に向かって押圧され、かかる方向に広がるように位置が矯正され、当該角錐部22aの位置が正規の位置に復帰する。
【0032】
これにより、トレイ2の一方の分岐部22側のガイドレール24aと、これに対応するコネクタ本体1のガイド溝16bとが相互に嵌合することなる。また、トレイ2の他方の分岐部23側は、トレイ2を挿入した時点からガイドレール24bとガイド溝16bとが相互に嵌め合った状態であるため、そのまま挿入される。そして、最終的には、トレイ2がコネクタ本体1に対して、正規の位置に挿入されたこととなる。
【0033】
以上のように、本実施形態によると、トレイ2の位置がコネクタ本体1に対してずれて挿入された場合であっても、操作者が意識することなく、そのまま押し込むことで、自動的に正規の位置に矯正される。従って、操作者は、容易にトレイ2をコネクタ本体1に対して正規の位置に挿入することができ、操作性が向上しうる。
【0034】
ここで、上記では、角錐部と矯正壁とが、相互に挿入方向に対して傾斜する当接面を有していることを説明したが、必ずしも傾斜する当接面が形成されていることに限定されない。角錐部と矯正壁とは、たがいに当接して、トレイ2のコネクタ本体1に対する位置を矯正するよう機能していれば、いかなる形状であってもよい。
【0035】
また、上記では、二股に分岐されて構成されているトレイ2に対応して、相互に対応する矯正壁と角錐部とが2対設けられている場合を説明したが、必ずしも2対設けられている必要はない。例えば、一対の角錐部と矯正壁、つまり、一方の分岐部に対してのみ角錐部が設けられ、これに対応して1つの矯正壁のみが設けられていてもよい。そして、上記では、トレイ2が二股に分岐されて構成されている場合を説明したが、必ずしも二股に形成されていることに限定されない。
【0036】
さらに、上記では、トレイ2にガイドレールが設けられ、コネクタ本体1にガイド溝が設けられている場合を説明したが、逆に、コネクタ本体1にガイドレールが、トレイ2にガイド溝が設けられていてもよい。また、上記では、ガイドレールやガイド溝が2本設けられている場合を例示したが、1本でもよく、その本数は上述した本数に限定されない。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、図16を参照して説明する。図16は、本実施形態におけるコネクタ本体1を構成するインシュレータ11の構成を示す図である。なお、本実施形態におけるカードコネクタの他の構成は、上述した実施形態1の構成とほぼ同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図16に示すように、本実施形態におけるインシュレータ11のガイド溝16a,16bは、上述した実施形態1で説明したものと形状が異なる。つまり、本実施形態におけるガイド溝16a,16bは、コネクタ本体1の開口部13側に位置し、ガイドレールの先端が挿入される挿入口付近の溝幅が、挿入方向側の溝幅よりも幅広に形成されている。具体的には、図16に示すように、ガイド溝16a,16bの挿入口付近の溝幅が、挿入口の端部に向かうにつれて徐々に広くなるよう形成されている。特に、ガイド溝16a,16bの挿入口付近の溝幅が、インシュレータ11の中央側に向かって広く形成されている。
【0039】
これにより、トレイ2の各分岐部22,23が、コネクタ本体1に挿入方向に対して斜めに挿入された場合であっても、トレイ2に設けられたガイドレールを、コネクタ本体1のガイド溝16a,16bに誘導することができる。従って、ガイドレールとガイド溝とを容易に嵌合させることができ、トレイをコネクタ本体に対して正規の位置に挿入することがさらに容易となる。
【0040】
<実施形態3>
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態では、カードコネクタの概略を説明する。
【0041】
本実施形態におけるカードコネクタは、
カードを収容するトレイと、基板に実装され上記トレイが挿入されるコネクタ本体と、を備えている。
そして、上記トレイに収容されたときの上記カードの表面と平行に位置する上記トレイと上記コネクタ本体との相互に対向する面に、相互に嵌合し上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入方向に沿って延びるガイドレールとガイド溝とをそれぞれ備えている。
さらに、上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入端と、上記コネクタ本体の内部に位置する挿入端受け部とに、上記トレイが上記コネクタ本体に挿入されたときに上記ガイドレールと上記ガイド溝とが相互に嵌合するよう上記挿入端と上記挿入端受け部とが相互に当接して上記トレイの上記コネクタ本体に対する位置を矯正する位置矯正手段を備えている。
【0042】
また、上記カードコネクタでは、
上記位置矯正手段は、上記トレイの上記挿入端に形成された当接面を有する挿入端側テーパー部と、上記コネクタ本体の上記挿入端受け部に形成された当接面を有する受け部側テーパー部と、により構成されている。
そして、上記挿入端側テーパー部と上記受け部側テーパー部とにそれぞれ形成された上記各当接面は、上記トレイに収容されたときの上記カードの表面に対して垂直方向に沿って形成されていると共に、上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入方向に対して所定の角度だけ傾いてそれぞれ形成され、上記トレイが上記コネクタ本体に挿入されたときに相互に当接することで上記トレイの上記コネクタ本体に対する位置を矯正する、
という構成を有する。
【0043】
また、上記カードコネクタでは、
上記トレイの上記挿入端は、上記コネクタ本体に対する挿入方向に向かって二股に分かれた各分岐部を有しており、当該各分岐部に、上記挿入方向に沿って延びる上記ガイドレールあるいは上記ガイド溝がそれぞれ形成されており、上記各分岐部の上記各挿入端にそれぞれ上記挿入端側テーパー部が形成されている。
そして、上記コネクタ本体は、上記トレイの上記各分岐部にそれぞれ形成された上記各ガイドレールあるいは上記各ガイド溝に対応してそれぞれ嵌合する上記各ガイド溝あるいは上記各ガイドレールが形成され、上記各分岐部の挿入端にそれぞれ形成された上記各挿入端側テーパー部に対応して上記各受け部側テーパー部がそれぞれ形成されている、
という構成を採る。
【0044】
また、上記カードコネクタでは、
上記トレイの上記挿入端テーパー部と上記コネクタ本体の上記受け部側テーパー部とにそれぞれ形成された上記各当接面は、上記トレイの上記コネクタ本体に対する挿入方向に対して上記トレイの中央側から側方に向かって傾いてそれぞれ形成されている、
という構成を採る。
【0045】
上記構成のカードコネクタによると、まず、トレイにカードを収容し、当該トレイを挿入端からコネクタ本体の開口部に挿入する。そして、トレイをコネクタ本体の奥側に位置する挿入端受け部に向かって挿入し続けると、トレイの挿入端に形成された挿入方向に対して傾いて形成された当接面を有する挿入端側テーパー部が、当該挿入端側テーパー部と同じ角度に傾いて形成された当接面を有するコネクタ本体に形成された受け部側テーパー部に当接する。すると、相互に当接する各当接面が同じ角度に傾いていることにより、トレイの挿入端がコネクタ本体の受け部側テーパー部によって適切な位置に案内され、かかる位置が矯正される。特に、トレイの挿入端が二股に分岐している場合であっても、上記当接面の傾きを挿入方向に対してトレイの中央側から側方に向かって形成することで、当該挿入端の各分岐部を側方へと案内する。これにより、トレイとコネクタ本体との対向面に設けられたガイドレールとガイド溝とが相互に嵌合する位置に、自動的に矯正される。従って、容易にトレイをコネクタ本体に対して正規の位置に挿入することができ、ユーザの操作性の向上を図ることができる。
【0046】
また、上記カードコネクタでは、
上記トレイが上記コネクタ本体に対して挿入されることにより上記ガイドレールが挿入される上記ガイド溝の挿入口付近の溝幅を、当該ガイド溝の他の部分の溝幅よりも幅広に形成した、という構成を採る。
【0047】
また、上記カードコネクタでは、
上記ガイド溝の挿入口付近の幅広部分を、当該挿入口の端部に向かうにつれて徐々に溝幅が広くなるよう形成した、という構成とる。
【0048】
これにより、トレイをコネクタ本体に挿入する際に、ガイド溝の挿入口付近の溝幅が広く形成されているため、ガイドレールとガイド溝とを容易に嵌合させることができる。従って、トレイをコネクタ本体に対して正規の位置に挿入することがさらに容易となり、ユーザの操作性のさらなる向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、携帯電話などの電子機器にメモリカードなどのカードを装着するカードコネクタとして利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0050】
1 コネクタ本体
11 インシュレータ
12 コネクタシェル
12a,12b 押さえ梁
13 開口部
14 半田付け部
15 コネクタ側端子
16a,16b ガイド溝
17a,18a 矯正壁
17b,18b 壁面
2 トレイ
21 凹部
22,23 分岐部
22a,23a 角錐部
22b,23b 傾斜面
24a,24b ガイドレール
3 カード
31 カードPAD部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを収容するトレイと、基板に実装され前記トレイが挿入されるコネクタ本体と、を備え、
前記トレイに収容されたときの前記カードの表面と平行に位置する前記トレイと前記コネクタ本体との相互に対向する面に、相互に嵌合し前記トレイの前記コネクタ本体に対する挿入方向に沿って延びるガイドレールとガイド溝とをそれぞれ備えており、
前記トレイの前記コネクタ本体に対する挿入端と、前記コネクタ本体の内部に位置する挿入端受け部とに、前記トレイが前記コネクタ本体に挿入されたときに前記ガイドレールと前記ガイド溝とが相互に嵌合するよう前記挿入端と前記挿入端受け部とが相互に当接して前記トレイの前記コネクタ本体に対する位置を矯正する位置矯正手段を備えた、
カードコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のカードコネクタであって、
前記位置矯正手段は、前記トレイの前記挿入端に形成された当接面を有する挿入端側テーパー部と、前記コネクタ本体の前記挿入端受け部に形成された当接面を有する受け部側テーパー部と、により構成されており、
前記挿入端側テーパー部と前記受け部側テーパー部とにそれぞれ形成された前記各当接面は、前記トレイに収容されたときの前記カードの表面に対して垂直方向に沿って形成されていると共に、前記トレイの前記コネクタ本体に対する挿入方向に対して所定の角度だけ傾いてそれぞれ形成され、前記トレイが前記コネクタ本体に挿入されたときに相互に当接することで前記トレイの前記コネクタ本体に対する位置を矯正する、
カードコネクタ。
【請求項3】
請求項2記載のカードコネクタであって、
前記トレイの前記挿入端は、前記コネクタ本体に対する挿入方向に向かって二股に分かれた各分岐部を有しており、当該各分岐部に、前記挿入方向に沿って延びる前記ガイドレールあるいは前記ガイド溝がそれぞれ形成されており、前記各分岐部の前記各挿入端にそれぞれ前記挿入端側テーパー部が形成され、
前記コネクタ本体は、前記トレイの前記各分岐部にそれぞれ形成された前記各ガイドレールあるいは前記各ガイド溝に対応してそれぞれ嵌合する前記各ガイド溝あるいは前記各ガイドレールが形成され、前記各分岐部の挿入端にそれぞれ形成された前記各挿入端側テーパー部に対応して前記各受け部側テーパー部がそれぞれ形成されている、
カードコネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のカードコネクタであって、
前記トレイの前記挿入端テーパー部と前記コネクタ本体の前記受け部側テーパー部とにそれぞれ形成された前記各当接面は、前記トレイの前記コネクタ本体に対する挿入方向に対して前記トレイの中央側から側方に向かって傾いてそれぞれ形成されている、
カードコネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカードコネクタであって、
前記トレイが前記コネクタ本体に対して挿入されることにより前記ガイドレールが挿入される前記ガイド溝の挿入口付近の溝幅を、当該ガイド溝の他の部分の溝幅よりも幅広に形成した、カードコネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のカードコネクタであって、
前記ガイド溝の挿入口付近の幅広部分を、当該挿入口の端部に向かうにつれて徐々に溝幅が広くなるよう形成した、カードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−251222(P2010−251222A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101626(P2009−101626)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】