説明

カード用コネクタ装置

【課題】近接して設けられているコンタクト端子を選択的に押し下げることができるカード用コネクタ装置を提供すること。
【解決手段】第1カード10と第2カード20と第3カード30とを選択的に装着可能なハウジング、装着された第1カードの接触部と対応する第1の接点部を有する第1コンタクト端子、第1コンタクト端子とは互いの接点部が近接するとともに、互いに逆方向に延設しており、装着された第2カードの接触部のみと対応する第2の接点部を有する第2コンタクト端子、装着された第2又は第3カードの接触部と対応する第3の接点部を有する第3コンタクト端子、及び第3カードの装着時に第2コンタクト端子のみを第3カードから離間する方向に押下げる押下げ部を有する押下げ部材130を備え、押下げ部材には、第1コンタクト端子の第1の接点部がカード装着領域側に突出可能な開口部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタ装置に関し、複数種類のカードを選択的に装着可能なカード用コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリカードやICカード等として、サイズの異なる複数種類のカードがあり、これら複数種類のカードを選択的に装着可能とするカード用コネクタが考えられている(特許文献1参照)。
【0003】
このカード用コネクタにおいては、長さの短いカード用としてカード挿入口側に設けられたコンタクト端子と、長さの長いカード用として奥側に設けられたコンタクト端子とが近接していることにより、長さの長いカードを挿入して奥側のコンタクト端子に装着する場合には、カード挿入口に設けられたコンタクト端子を押し下げ部材によって押し下げ、該コンタクト端子とカードとが干渉することを防止する構成となっている。
【特許文献1】特開2004−71257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数種類のカードを選択的に装着可能なカード用コネクタにおいては、小型化を図ることによって、各カード用のコンタクト端子を近接して配置する必要があった。例えば、カード挿入口側からコンタクト端子を第1群、第2群、第3群と配列し、第1群のコンタクト端子と第2群のコンタクト端子とを近接して配列する構成とした場合、第2群のコンタクト端子のみを選択的に押し下げることは困難であった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、複数のコンタクト端子が近接して設けられている場合であっても、挿入されるカードの種類に応じて選択的にコンタクト端子を押し下げることができるカード用コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカード用コネクタ装置は、第1カードと前記第1カードよりも長さの長い第2カードと前記第2カードよりも厚さの厚い第3カードとをカード装着領域に選択的に装着可能なハウジングと、前記カード装着領域に装着された前記第1カードの接触部と対応する第1の接点部を有する第1コンタクト端子と、前記第1コンタクト端子とは互いの接点部が近接するとともに、互いに逆方向に延設しており、前記カード装着領域に装着された前記第2カードの接触部のみと対応する第2の接点部を有する第2コンタクト端子と、前記カード装着領域に装着された前記第2又は第3カードの接触部と対応する第3の接点部を有する第3コンタクト端子と、前記第3カードの装着時に前記第2コンタクト端子のみを前記第3カードから離間する方向に押下げる押下げ部を有する押下げ部材とを備え、前記押下げ部材には、前記第1コンタクト端子の第1の接点部が前記カード装着領域側に突出可能な開口部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記カード用コネクタ装置によれば、第2コンタクト端子が第1コンタクト端子と近接して設けられている場合であっても、押下げ部材によって第2コンタクト端子のみを押下げることができるので、カードの種類に応じて第2コンタクト端子の破損を未然に防止することができる。また、第2コンタクト端子のみを選択的に押し下げることができるので、押下げ部材の回動動作に影響されずに第1コンタクト端子と第1カードとを接続することができる。
【0008】
また上記カード用コネクタ装置において、前記第1コンタクト端子は、前記装着領域における前記各カードの装着方向に自由端を向けて延設され、前記第2コンタクト端子は、前記装着方向に対して逆方向に自由端を向けて延設されていることが好ましい。この場合には、第1コンタクト端子と第2コンタクト端子とを近接して設けることができる。
【0009】
また上記カード用コネクタ装置において、前記押し下げ部材は、前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記軸支位置から前記各カードの装着方向の奥側に向かって、前記開口部及び前記押下げ部の順番に設けられていることが好ましい。この場合には、軸支位置から遠い箇所に押下げ部を設けることで、第3カードにより押下げ部材が操作されたとき、第2コンタクト端子を大きく移動させることができる。
【0010】
また上記カード用コネクタ装置において、前記押し下げ部材が軸支されている位置は、前記装着方向に延設された前記第1コンタクト端子の両側方であることが好ましい。この場合には、押下げ部材が両側で軸支されることにより、安定して回動するように設置することができる。
【0011】
また上記カード用コネクタ装置において、前記押下げ部材は、前記第2カードの装着時に、前記第2カードの接触部と前記第2コンタクト端子の第2の接点部とが接触可能となる貫通孔を備えることが好ましい。この場合には、貫通孔から第2コンタクト端子を突出させることで押下げ部材の動作に関係なく第2コンタクト端子を第2カードに接続することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のコンタクト端子が近接して設けられている場合であっても、挿入されるカードの種類に応じて選択的にコンタクト端子を押し下げることができるカード用コネクタ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカード用コネクタ装置100及びこれに対して選択的に装着される複数のカード(第1カード10、第2カード20、第3カード30及び第4カード40)を示す斜視図である。カード用コネクタ装置100は、これら複数のカード(10、20、30、40)を選択的に装着可能なハウジング104と、各々のカード(10、20、30、40)の接触部と接触するように対応付けられた複数のコンタクト端子群とを備えている。
【0014】
すなわち、図1において、カード用コネクタ装置100は、第1カード10、第2カード20、第3カード30又は第4カード40のいずれかを選択的に挿入する挿入口102を箱型の筺体の一方の端部に有している。
【0015】
図2乃至図5は、本実施の形態に係るカード用コネクタ装置100に使用される第1カード10、第2カード20、第3カード30及び第4カード40を示す図である。図2(A)は、第1カード10の平面図であり、図2(B)は、第1カード10の側面図である。図3(A)は、第2カード20の平面図であり、図3(B)は、第2カード20の側面図である。図4(A)は、第3カード30の平面図であり、図4(B)は、第3カード30の側面図である。図5(A)は、第4カード40の平面図であり、図5(B)は、第4カード40の側面図である。
【0016】
図2に示す第1カード10は、他のカード(第2、第3、第4カード)に比べて、カード用コネクタ装置100に対する挿入方向の長さが最も短いカードであり、その端子形成面10bには、カード用コネクタ装置のカード挿入口に最も近い位置に配列された第1コンタクト端子群111(後述)に接触する複数の接触端子11aからなる接触部11が設けられている(図2(A))。この接触端子11aは、第1カード10の挿入方向側のカード端部10aに沿って配列されている。
【0017】
図3に示す第2カード20は、カード用コネクタ装置100に対する挿入方向の長さが、第1カード10よりも長いカードであり、その端子形成面20bには、カード用コネクタ装置100のカード挿入口から3番目の端子群として配列されている第3コンタクト端子群113(後述)に接触する複数の接触端子21aからなる第1接触部21と、カード用コネクタ装置100のカード挿入口から2番目の端子群として配列されている第2コンタクト端子群112(後述)に接触する複数の接触端子22aからなる第2接触部22とが設けられている(図3(A))。第1接触部21の接触端子21aは、第2カード20の挿入方向側のカード端部20aに沿って配列されており、また第2接触部22の接触端子22aは、カード端部20aから見えて、第1接触部21の接触端子21aの後列側に配列されている。また、図3(B)に示すように、この第2カード20は、第1カード10(図2(B))と略同等の厚みを有している。
【0018】
図4に示す第3カード30は、カード用コネクタ装置100に対する挿入方向の長さが、第2カード20と同程度のカードであり、その端子形成面30bには、カード用コネクタ装置100のカード挿入口から3番目の端子群として配列されている第3コンタクト端子群113(後述)に接触する複数の接触端子31aからなる接触部31が設けられている(図4(A))。接触部31の接触端子31aは、第3カード30の挿入方向側のカード端部30aに沿って配列されている。また、図4(B)に示すように、この第3カード30は、第1カード10(図2(B))及び第2カード20(図3(B))よりも厚く形成されている。
【0019】
図5に示す第4カード40は、他のカード(第1、第2、第3カード)に比べて、カード用コネクタ装置100に対する挿入方向の長さが、最も長いカードであり、その端子形成面40bには、カード用コネクタ装置100のカード挿入口から4番目(最も奥)の端子群として配列されている第4コンタクト端子群114(後述)に接触する複数の接触端子41aからなる接触部41が設けられている(図5(A))。接触部41の接触端子41aは、第4カード40の挿入方向側のカード端部40aに沿って配列されている。
【0020】
また、図5(B)に示すように、この第4カード40は、その本体部が第1カード10(図2(B))、第2カード20(図3(B))、第3カード30(図4(B))よりも厚く形成されている。なお、第4カード40においては、端子形成面40bは、本体部の外形をなす本体主面40dから段差により落ち込んだ位置に形成されている。
【0021】
カード用コネクタ装置100においては、以上説明した4種類のカードを選択的に挿入口102から挿入し、挿入されたカードの接触部を対応するコンタクト端子群に接触させることで、カードとコンタクト端子群との間の電気的な接触(接続)状態を得るようになされている。
【0022】
図1に示すように、カード用コネクタ装置100は、一方の端部に挿入口102を有するハウジング104と、このハウジング104を覆うカバー120によって筺体が構成されている。
【0023】
図6に示すように、カード用コネクタ装置100のハウジング104は、底面部105と、側面部103a、103bと、背面部103cとが一体に形成されている。ハウジング104においては、これら側面部103a、103b及び背面部103cによって三方が囲まれているのに対して、正面部は開放され、カードを挿入するための挿入口102が形成されている。
【0024】
図7に示すように、このハウジング104の側面部103a、103b及び背面部103cによって囲まれた内部空間は、第1カード10、第2カード20、第3カード30及び第4カード40の挿入空間(装着領域)を構成し、この内部の底面部には、導電性部材で形成された第1コンタクト端子群111と、第2コンタクト端子群112と、第3コンタクト端子群113と、第4コンタクト端子群114とが挿入口102から順次配置されている。
【0025】
図8は、第1コンタクト端子群111、第2コンタクト端子群112、第3コンタクト端子群113及び第4コンタクト端子群114を示す斜視図であり、図9はその側面図である。図6乃至図9に示すように、第1コンタクト端子群111は、挿入口102に沿って配列された複数のコンタクト端子111aを有する。各コンタクト端子111aには、ハウジング104内のカード挿入空間側(図8及び図9において上方)に湾曲した湾曲部111bが形成されており、この湾曲部111bは、第1カード10が挿入された際に、該第1カード10の接触端子11a(図2)に接触する接点部(第1の接点部)を構成している。
【0026】
また、第2コンタクト端子群112は、挿入口102に沿って配列された複数のコンタクト端子112aを有する。各コンタクト端子112aには、ハウジング104内のカード挿入空間側に湾曲した湾曲部112bが形成されており、この湾曲部112bは、第2カード20が挿入された際に、該第2カードの接触端子22a(図3)に接触する接点部(第2の接点部)を構成している。
【0027】
また、第3コンタクト端子群113は、挿入口102に沿って配列された複数のコンタクト端子113aを有する。各コンタクト端子113aには、ハウジング104内のカード挿入空間側に湾曲した湾曲部113bが形成されており、この湾曲部113bは、第2カード20が挿入された際に、該第2カード20の接触端子21a(図3)に接触する接点部(第3の接点部)を構成している。このコンタクト端子群113aの湾曲部113bは、第3カード30が挿入された際には、該第3カード30の接触端子31a(図4)に接触するようにもなされている。
【0028】
また、第4コンタクト端子群114(図7)は、挿入口102に沿って配列された複数のコンタクト端子114aを有する。各コンタクト端子114aには、ハウジング104内のカード挿入空間側に湾曲した湾曲部114bが形成されており、この湾曲部114bは、第4カード40が挿入された際に、該第4カード40の接触端子41a(図5)に接触する接点部(第4の接点部)を構成している。
【0029】
本実施の形態においては、第1コンタクト端子群111の各コンタクト端子111aの湾曲部111bと、第2コンタクト端子群112の各コンタクト端子112bの湾曲部112bとは、挿入されるカードの種類に応じて、近接した位置に配置する必要がある。これにより、第1コンタクト端子群111の各コンタクト端子111aと、第2コンタクト端子群112の各コンタクト端子112aとは、それぞれ逆方向に片持ち支持された構成となっている。
【0030】
すなわち、第1コンタクト端子群111の各コンタクト端子111aは、カードの挿入口102側において、先端部111c(自由端)をカード挿入空間の奥側に向けた状態でハウジング104の底面部105に片持ち支持されており、これに対して、第2コンタクト端子群112の各コンタクト端子112aは、カードの挿入空間の奥側において、先端部112c(自由端)を挿入口102側に向けた状態で底面部105に片持ち支持されている。
【0031】
また、図6及び図7に示すように、ハウジング104の内部空間には、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aをカード挿入空間の外方へ押し下げる押下げ部材としてのカム板130が設けられる。このカム板130は、回動軸131、132を介して、ハウジング104に回動可能に軸支される。すなわち、カム板130は、カードの挿入口102側に回動軸131、132を配置した状態で軸支されており、カードの挿入空間の奥側に回動端130aが向くように設けられる。回動軸131、132は、カードの装着方向に延設された第1コンタクト端子111aの両側方に設けられており、カム板130が安定して回動し得るようになされている。
【0032】
図10及び図11に示すように、カム板130には、複数の開口部133が形成されている。この開口部133は、第1コンタクト端子群111を構成する各コンタクト端子111aの湾曲部111bを挿通し得る程度の大きさに形成されている。
【0033】
すなわち、開口部133は、コンタクト端子111aの湾曲部111bよりも大きな形状に形成されていることにより、図12及び図13に示すように、開口部133内にコンタクト端子111aの湾曲部111bが挿入された状態において、カム板130が回動軸131、132を回動中心として矢印a方向に回動した場合においても、カム板130とコンタクト端子111aの湾曲部111bやその先端部111cとが干渉しないようになされている。これにより、挿入口102からカードが挿入されてこのカードによってカム板130が矢印a方向に回動された場合であっても、カードがコンタクト端子111aに接触しない場合には、該コンタクト端子111aは、カム板130の回動動作からの干渉を受けることなく、一定の状態を保つこととなる。
【0034】
また、カム板130の回動端側には、延設部134が延設されており、この延設部134には、開口部(貫通孔)135が形成されている。開口部135は、第2コンタクト端子群112を構成するコンタクト端子112aの湾曲部112bのカード挿入空間側に突出した部位を挿通し得る程度の大きさに形成されており、この開口部135の挿入口102側の一方の端部135aには、コンタクト端子112aの先端部112cが、カード挿入空間の外方から内方に向かって当接する構成となっている。この場合、コンタクト端子112aの先端部112cは、該コンタクト端子112aそのものの弾性力に応じた力で開口部135の端部135aに当接する。
【0035】
これにより、挿入口102からカードが挿入され、このカードによってカム板130が矢印a方向(カード挿入空間の内方から外方に向かう方向)に回動されると、開口部135の端部135aに当接したコンタクト端子112aの先端部112cは、端部135aによって矢印a方向に押し下げられる。すなわち、カム板130は、コンタクト端子112aに対する押下げ部材として機能することになり、端部135aは、押下げ部を構成することになる。
【0036】
因みに、カム板130においては、回動軸131、132が設けられた回動位置から、開口部133を介して開口部135が形成されていることにより、回動軸131、132が設けられた回動位置から回動端側の開口部135までの距離を大きくすることができ、これにより、コンタクト端子112aの先端部112cを大きく押し下げることができる。
【0037】
また、カム板130に形成された開口部135の他方の端部135bには、カム板130が矢印a方向に一定以上回動した際にコンタクト端子112aの湾曲部112bの根元側が当接するようになっている。これにより、挿入口102から挿入されたカードが一定以上押し込まれるまでは、上述の端部135aによってコンタクト端子112aの先端部112cが矢印a方向に押し下げられ、さらにカードが押し込まれてカム板130が一定以上回動されると、他方の端部135bによってコンタクト端子112aは矢印a方向に押し下げられる。
【0038】
これにより、コンタクト端子112aの先端部112cは、挿入されたカードの端子形成面10b、20b、30b、40bよりもカード挿入空間の外方に退いた状態となり、この退避動作により、カード挿入空間に挿入されたカードがコンタクト端子112aの先端部112cに当たることを回避することができ、該先端部112cの破損を未然に防止することができる。
【0039】
このように、接触端子11a、21a、22a、31a、41aの配置や外形形状が異なる複数種類のカードを選択的に挿入する構成においては、第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aの湾曲部111bと、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aの湾曲部112bとを近接させて配置させる必要があり、第1コンタクト端子群111の各コンタクト端子111aと、第2コンタクト端子群112の各コンタクト端子112aとを逆方向から片持ち支持させることにより、湾曲部111b及び112bが近接した構成とすることができる。
【0040】
また、1つのカム板130において、第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aの湾曲部111bに干渉しない開口部133を形成すると共に、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aの先端部112cに当接する端部135aを形成することにより、互いに近接して配置されたコンタクト端子111a及び112aのうち、一方のコンタクト端子112aのみをカム板130の回動動作によって退避動作させることができる。
【0041】
本実施の形態の場合、ハウジング104においては、第1カード10の挿入位置と、第2カード20の挿入位置と、第3カード30の挿入位置と、第4カードの挿入位置とにそれぞれ差異があり、例えば、第2カード20又は第4カード40を挿入する場合と、第1カード10又は第3カード30を挿入する場合とを比較すると、第1カード10又は第3カード30を挿入する場合には、該第1カード10又は第3カード30の端子形成面10b又は30bが第2カード20又は第4カード40の端子形成面20b又は40bよりもコンタクト端子側に近接した位置になるようにガイドされる。
【0042】
すなわち、第1カード10又は第3カード30を挿入する場合には、その端子形成面10b又は30bが第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aに接触する状態となるのに対して、第2カード20又は第4カード40を挿入する場合には、その端子形成面20b又は40bが第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aには接触しない状態となる。
【0043】
このように、挿入されるカードによってコンタクト端子111aに接触する場合と接触しない場合とがあり、本実施の形態においては、カム板130に開口部133を形成して、カム板130が回動動作した場合であっても、該カム板130によってコンタクト端子111aが押し下げられないようにすることで、コンタクト端子111aに接触しないカード(第2カード20又は第4カード40)が挿入された場合には、該カードによってカム板130が回動されてもコンタクト端子111aが押し下げられることはなくなる。
【0044】
このように、カム板130が矢印a方向に回動動作してもコンタクト端子111aが回動(退避)しない構成においては、コンタクト端子111aに接触端子11aを接触させる必要がある第1カード10を挿入した場合に、コンタクト端子111aと接触端子11aとの確実な接触を得ることが可能となる。
【0045】
一方、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aは、第3コンタクト端子群113と同様にカード挿入空間の奥側から挿入口102側に向かって延設されており、第3コンタクト端子群113よりも挿入口102側に設けられている分、コンタクト端子112aの長さが、コンタクト端子113aの長さよりも長くなっている。これにより、コンタクト端子112aにおいては、その先端に形成された湾曲部112bをコンタクト端子113aの湾曲部113bよりも上方(カード挿入空間の内方)に配置することで、カードの接触端子に対して十分な接触圧を得るようになされている。
【0046】
このようにコンタクト端子が上方(カード挿入空間の内方)に配置された構成においては、挿入口102から挿入されたカードが、コンタクト端子112aの先端部112cに当たって該先端部112cを破損するおそれがある。従って、本実施の形態においては、カム板130の延設部134に形成された端部135aがコンタクト端子112aの先端部112cを押さえる構成とし、カードが挿入された際には、該カードによってカム板130を矢印a方向に回動させ、これに伴ってコンタクト端子112aの先端部112cを矢印a方向(カード挿入空間の外方)へ退避させることにより、コンタクト端子112aの先端部112cにカードが当たって該先端部112cが破損することを防止している。
【0047】
因みに、挿入されたカードによってカム板130が矢印a方向に回動した状態においては、コンタクト端子112aの湾曲部112bのカード挿入空間側に突出した部位がカム板130からカード挿入空間側に突出した状態となる。これにより、該コンタクト端子112aの接触対象となる第2カード20(図3)が挿入された場合には、該第2カード20の第2接触部22の接触端子22aにコンタクト端子112aの湾曲部112bを接触させることができる。
【0048】
また、図6及び図7に示すように、ハウジング104の内部空間には、挿入されたカードに係合されるスライド部材140及びこのスライド部材140を挿入口102側へ付勢するためのコイルばね141が設けられる。このコイルばね141は、挿入されたカードを取り出す際の排出動作に利用されるものである。
【0049】
かくして、図7に示すように、第1コンタクト端子群111、第2コンタクト端子群112、第3コンタクト端子群113、第4コンタクト端子群114、カム板130、スライド部材140及びコイルばね141等の部品がハウジング104の内部空間に配置された状態で、カバー120によって上部を覆うことにより、カード用コネクタ装置100(図1)が構成される。
【0050】
以上説明したカード用コネクタ装置100に対して、第1カード10を選択的に挿入すると、図14に示すように、第1カード10によってカム板130が矢印a方向に回動され、これにより、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aが矢印a方向(カードの挿入空間の外方)へ退避する。
【0051】
また、第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aは、カム板130の回動動作に影響を受けることなく、挿入された第1カード10によって湾曲部111bが押し下げられる。そして、湾曲部111bのカード側に突出した部位が第1カード10の接触端子11aに接触する。この場合、該接触部では、コンタクト端子111aの弾性に応じた力で湾曲部111bと接触端子11aとが接触することになる。
【0052】
これに対して、カード用コネクタ装置100に対して、第2カード20を選択的に挿入すると、図15に示すように、第2カード20によってカム板130が矢印a方向に回動され、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aの先端部112cが矢印a方向(カードの挿入空間の外方)へ退避する。これにより、先端部112cは第2カード20の端子形成面20bよりも外方に退避することになり、挿入された第2カード20によって該先端部112cが破損することが回避される。そして、コンタクト端子112aの湾曲部112bの一部がカム板130からカード側に突出した状態となり、この状態において第2カード20の接触端子22aと湾曲部112bとが接触し、該湾曲部112bのカム板130から突出した分だけ該湾曲部112bが第2カード20の接触端子22aによってカム板130側へ押し込まれる。これにより、コンタクト端子112aの弾性に応じた力で該コンタクト端子112aの湾曲部112bが第2カード20の接触端子22aに接触することとなる。
【0053】
なお、上述したように、第1コンタクト端子群111の各コンタクト端子111aは、カム板130の回動動作に影響されないようになされているため、カム板130が矢印a方向に回動した場合、コンタクト端子111aの湾曲部111bがカム板130からカード側に相対的に大きく突出することとなるが、ハウジング104においては、第2カード20がカード挿入空間に挿入された際に、第2カード20の端子形成面20bが第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aの湾曲部111bに接触しないように該第2カード20をガイドするようになされている。
【0054】
また、第3コンタクト端子群113のコンタクト端子113aにおいて、その先端部113cは、挿入された第2カード20の端子形成面20bよりもカードの挿入空間の外方に配置された状態となっていることにより、第2カード20を挿入した場合、該第2カード20は先端部113aには当たらず湾曲部113bに当接した後、湾曲部113bを押し下げる。これにより、先端部113cが第2カード20に当たって破損することが回避される。そして、さらに第2カード20が挿入されることにより、湾曲部113bのカード側に突出した部位が、第2カード20の端子形成面20bの接触端子21aに接触する。この場合、該接触部では、コンタクト端子113aの弾性に応じた力で湾曲部113bと接触端子21aとが接触することになる。
【0055】
因みに、コンタクト端子113aの先端部113cは、ハウジング104の底面部105に形成された保護部108によって保護されていることにより、第2カード20等が挿入された場合において、該カードの挿入位置が図中下方にずれた場合であっても、カードは保護部108に当たることとなり、コンタクト端子113aの先端部113cが破損することを回避することができる。
【0056】
これに対して、カード用コネクタ装置100に対して、第3カード30を選択的に挿入すると、図16乃至図18に示すように、第3カード30によってカム板130が矢印a方向に回動され、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aの先端部112cが矢印a方向(カードの挿入空間の外方)へ退避する。これにより、先端部112cは第3カード30の端子形成面30bよりも外方に退避することになり、挿入された第3カード30によって該先端部112cが破損することが回避される。
【0057】
なお、第3カード30の端子形成面30bは、第2カード20の端子形成面20bよりも下方に位置するようになされていることにより、第3カード30がカム板130を一定の範囲で回動させる場合には、カム板130の開口部135の一方の端部135aによって押さえられ(図16)、さらに一定以上回動された場合には、開口部135の他方の端部135bによってコンタクト端子112aの湾曲部112bの根元側が押さえられ(図17)、これにより、コンタクト端子112aの湾曲部112bがカム板130からカード側に突出することを回避することができる(図18)。この結果、コンタクト端子112aの湾曲部112bが第3カード30に接触することを防止し得る。
【0058】
また、第3コンタクト端子群113のコンタクト端子113aにおいて、その先端部113cは、挿入された第3カード30の端子形成面30bよりもカードの挿入空間の外方(図16において下方)に配置された状態となっていることにより、第3カード30を挿入した場合、該第3カード30は先端部113aには当たらず湾曲部113bに当接した後、湾曲部113bを押し下げる。これにより、先端部113cが第3カード30に当たって破損することが回避される。そして、さらに第3カード30が挿入されることにより、湾曲部113bのカード側に突出した部位が、第3カード30の端子形成面30bの接触端子31aに接触する。この場合、該接触部では、コンタクト端子113aの弾性に応じた力で湾曲部113bと接触端子31aとが接触することになる。
【0059】
因みに、上述したように、コンタクト端子113aの先端部113cは、ハウジング104の底面部105に形成された保護部108によって保護されていることにより、第3カード30等が挿入された場合において、該カードの挿入位置が図中下方にずれた場合であっても、カードは保護部108に当たることとなり、コンタクト端子113aの先端部113cが破損することを回避することができる。
【0060】
これに対して、カード用コネクタ装置100に対して、第4カード40を選択的に挿入すると、図19に示すように、第4カード40によってカム板130が矢印a方向に回動され、第2コンタクト端子群112のコンタクト端子112aの先端部112cが矢印a方向(カードの挿入空間の外方)へ退避する。これにより、先端部112cは第4カード40の端子形成面40bよりも外方に退避することになり、挿入された第4カード40によって該先端部112cが破損することが回避される。
【0061】
なお、上述したように、第1コンタクト端子群111の各コンタクト端子111aは、カム板130の回動動作に影響されないようになされているため、カム板130が矢印a方向に回動した場合、コンタクト端子111aの湾曲部111bがカム板130からカード側に相対的に大きく突出することとなるが、ハウジング104においては、第4カード40がカード挿入空間に挿入された際に、第4カード40の端子形成面40bが第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aの湾曲部111bに接触しないように該第4カード40をガイドするようになされている。
【0062】
また、第3コンタクト端子群113のコンタクト端子113aにおいて、その先端部113cは、挿入された第4カード40の端子形成面40bよりもカードの挿入空間の外方(図19において下方)に配置された状態となっていることにより、第4カード40を挿入した場合、該第4カード40は先端部113aには当たらず湾曲部113bに当接した後、湾曲部113bを押し下げる。これにより、先端部113cが第4カード40に当たって破損することが回避される。
【0063】
そして、さらに第4カード40が挿入されることにより、第4コンタクト端子群114の各コンタクト端子114aの湾曲部114bが第4カード40の端子形成面40bの接触端子41aに接触する。この場合、該接触部では、コンタクト端子114aの弾性に応じた力で湾曲部114bと接触端子41aとが接触することになる。
【0064】
なお、コンタクト端子114aの先端部114cは、ハウジング104に固定された保護部材151により保護されていることにより、第4カード40等が挿入された場合において、該カードの挿入位置が図中下方にずれた場合であっても、カードは保護部材151に当たることとなり、コンタクト端子114aの先端部114cが破損することを回避することができる。
【0065】
かくして、カード用コネクタ装置100においては、第1コンタクト端子群111のコンタクト端子111aに設けられた湾曲部111b(第1の接点部)と第2のコンタクト端子群112のコンタクト端子112aに設けられた湾曲部112b(第2の接点部)とが近接して配置された構成であっても、カム板130を設けたことにより、第2のコンタクト端子群112の湾曲部112bのみを選択的に押し下げることができる。
【0066】
なお上述の実施の形態においては、第1カード10、第2カード20、第3カード30及び第4カード40を選択的に装着する場合について述べたが、これに限られるものではなく、さらに他の種々のカードを選択的に装着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係るカード用コネクタ装置及びこれに対して選択的に装着される複数のカードを示す斜視図である。
【図2】第1カードの平面図及び側面図である。
【図3】第2カードの平面図及び側面図である。
【図4】第3カードの平面図及び側面図である。
【図5】第4カードの平面図及び側面図である。
【図6】図1のカード用コネクタ装置の分解斜視図である。
【図7】図1のカード用コネクタ装置の内部構成を示す斜視図である。
【図8】図1のカード用コネクタ装置の第1コンタクト端子群、第2コンタクト端子群、第3コンタクト端子群及び第4コンタクト端子群を示す斜視図である。
【図9】図1のカード用コネクタ装置の第1コンタクト端子群、第2コンタクト端子群、第3コンタクト端子群及び第4コンタクト端子群を示す側面図である。
【図10】図1のカード用コネクタ装置のカム板(押下げ部材)を示す斜視図である。
【図11】図1のカード用コネクタ装置のカム板(押下げ部材)を示す平面図及び側面図である。
【図12】図1のカード用コネクタ装置の内部構成を示す断面図である。
【図13】図1のカード用コネクタ装置の内部構成を示す断面図である。
【図14】第1カードの装着状態を示す側面図である。
【図15】第2カードの装着状態を示す側面図である。
【図16】第3カードの装着過程の説明に供する側面図である。
【図17】第3カードの装着過程の説明に供する側面図である。
【図18】第3カードの装着過程の説明に供する側面図である。
【図19】第4カードの装着状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0068】
10 第1カード
10a、20a、30a、40a カード端部
10b、20b、30b、40b 端子形成面
11a、21a、22a、31a、41a 接触端子
20 第2カード
30 第3カード
40 第4カード
100 カード用コネクタ装置
102 挿入口
103a、103b 側面部
103c 背面部
104 ハウジング
105 底面部
108 保護部
111 第1コンタクト端子群
111a、112a、113a、114a コンタクト端子
111b、112b、113b、114b 湾曲部
111c、112c、113c、114c 先端部
112 第2コンタクト端子群
113 第3コンタクト端子群
114 弟4コンタクト端子群
130 カム板
131、132 回動軸
133、135 開口部
134 延設部
135a、135b 端部
151 保護部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カードと前記第1カードよりも長さの長い第2カードと前記第2カードよりも厚さの厚い第3カードとをカード装着領域に選択的に装着可能なハウジングと、
前記カード装着領域に装着された前記第1カードの接触部と対応する第1の接点部を有する第1コンタクト端子と、
前記第1コンタクト端子とは互いの接点部が近接するとともに、互いに逆方向に延設しており、前記カード装着領域に装着された前記第2カードの接触部のみと対応する第2の接点部を有する第2コンタクト端子と、
前記カード装着領域に装着された前記第2又は第3カードの接触部と対応する第3の接点部を有する第3コンタクト端子と、
前記第3カードの装着時に前記第2コンタクト端子のみを前記第3カードから離間する方向に押下げる押下げ部を有する押下げ部材とを備え、
前記押下げ部材には、前記第1コンタクト端子の第1の接点部が前記カード装着領域側に突出可能な開口部が形成されていることを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1コンタクト端子は、前記装着領域における前記各カードの装着方向に自由端を向けて延設され、前記第2コンタクト端子は、前記装着方向に対して逆方向に自由端を向けて延設されていることを特徴とする請求項1に記載のカード用コネクタ装置。
【請求項3】
前記押し下げ部材は、前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記軸支位置から前記各カードの装着方向の奥側に向かって、前記開口部及び前記押下げ部の順番に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカード用コネクタ装置。
【請求項4】
前記押し下げ部材が軸支されている位置は、前記装着方向に延設された前記第1コンタクト端子の両側方であることを特徴とする請求項3に記載のカード用コネクタ装置。
【請求項5】
前記押下げ部材は、前記第2カードの装着時に、前記第2カードの接触部と前記第2コンタクト端子の第2の接点部とが接触可能となる貫通孔を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカード用コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−205813(P2009−205813A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44043(P2008−44043)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】