説明

カード用コネクタ

【課題】 カードがコンタクトから離れることを防止すること。
【解決手段】 ハウジング21は、カード41を挿入したスライダ31をガイドする一対のフレーム部25a,25bと、該フレーム部25a,25b間に設けたブリッジ部29とを有し、前記フレーム部25a,25bは、前記スライダ31を前記嵌合方向A及び離脱方向Bへガイドするガイド溝25fを有し、前記スライダ31は、前記ガイド溝25fに対向する前記スライダ31の側面に形成したガイド部32e,32fと、前記嵌合方向Aの先端側に設けられた爪部31cとを有し、前記爪部31cの先端部には、傾斜部31eが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを挿入して接続対象物に電気的に接続するカード用コネクタに属する。
【背景技術】
【0002】
先行技術1としては、複数のコンタクト端子の各バネ片部を複数のバネ片ユニットに分割し、分割された各バネ片ユニットの質量、バネ定数およびカードの接触バッドに対する接触力を異ならせることにより、各バネ片ユニットの共振周波数(固有振動数)を異ならせているカード用コネクタが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
先行技術2としては、ICカードがベースインシュレータ内の所定挿入量を超えて挿入された時、カバーインシュレータの両側面に設けた突起部を挿入方向に対して斜めに案内するようにベースインシュレータに設けたカム溝に案内されカバーインシュレータが下方へ移動し、ICカードがコンタクトの接点部に接触するカード用コネクタが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
【特許文献1】特許3507434号公報
【特許文献2】特開平10−144422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1におけるカード用コネクタでは、個々のコンタクト端子の接点がそれぞれ瞬断を生じることは解決されていない。したがって、カードに設けられている接触パッドが接点の自由高さから離れるほど浮いた場合には、カード用コネクタとしての役目を果たすことができない。
【0006】
また、振動、衝撃時のカード端子の浮き量は曲げ剛性に依存する。衝撃時には、衝撃エネルギーの大きさに依存し、振動時には振動エネルギー及び固有振動数に依存して大きくなり得る。
【0007】
したがって、ある限界点を越えればコンタクト端子の接点は離れるので、予期せぬ振動、衝撃に対して限界点を定めることが困難であり、小型化を要求されるものの、剛性向上にも限界があり確実に接触を保つ保証はできないという問題がある。
【0008】
特許文献2では、カム溝に案内されカバーインシュレータが下方へ移動し、ICカードがコンタクトの接点部に接触するので、振動等によりカードが撓んだ場合、コンタクトが離れてしまうという問題がある。
【0009】
それ故に、本発明の課題は、振動、衝撃に対してカードがコンタクトから離れることを確実に防止できるカード用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、カードと接続対象物との電気的な接続を行うカード用コネクタにおいて、前記カードを嵌合方向へ挿入し該嵌合方向と交差する方向で前記カードに設けた相手コンタクトと接続するコンタクトと、該コンタクトを保持するハウジングと、前記カードと共に移動するスライダとを有し、前記ハウジングは、前記嵌合方向及び前記嵌合方向とは逆向きの離脱方向へ前記スライダをガイドする一対のフレーム部と、前記嵌合方向の奥部で前記フレーム部間に設けたブリッジ部とを有し、前記フレーム部は、前記スライダを前記嵌合方向及び前記離脱方向へガイドするガイド溝を有し、前記スライダは、前記ガイド溝に対向する前記スライダの側面に形成したガイド部と、前記嵌合方向の先端側に設けられた爪部とを有し、前記爪部の先端部には、前記ガイド溝と前記ガイド部とにより、前記カードが前記コンタクトに向けて押圧され、前記カードと前記コンタクトとが接続し前記爪部と前記ブリッジ部とが当接する際に、前記嵌合方向へ移動し当接して前記嵌合方向で前記ブリッジ部に当接しつつ前記ブリッジ部に形成されている切り欠き部へ移動する傾斜部が設けられていることを特徴とするカードコネクタであることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカード用コネクタによれば、爪部の傾斜部によって、スライダとハウジングのブリッジ部との干渉を避けることができる。
【0012】
また、本発明のカード用コネクタによれば、ガイド溝に傾斜部を形成し、カードを嵌合する時にスライダをコンタクトの方向へしならせることで振動などによるカードの撓みを防止することができる。
【0013】
また、本発明のカード用コネクタによれば、爪部の傾斜部によって、スライダとストッパー部材との干渉を避けることができる。
【0014】
さらに、本発明のカード用コネクタによれば、カードを嵌合する時に、スライダの爪部によって、ポンプを押し、排気されたポンプの負圧でカードをコンタクトの方向へ吸引することによって、振動等によるカードの撓みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のカード用コネクタは、カードと接続対象物との電気的な接続を行うカード用コネクタにおいて、前記カードを嵌合方向へ挿入し該嵌合方向と交差する方向で前記カードに設けた相手コンタクトと接続するコンタクトと、該コンタクトを保持するハウジングと、前記カードと共に移動するスライダとを有し、前記ハウジングは、前記嵌合方向及び前記嵌合方向とは逆向きの離脱方向へ前記スライダをガイドする一対のフレーム部と、前記嵌合方向の奥部で前記フレーム部間に設けたブリッジ部とを有し、前記フレーム部は、前記スライダを前記嵌合方向及び前記離脱方向へガイドするガイド溝を有し、前記スライダは、前記ガイド溝に対向する前記スライダの側面に形成したガイド部と、前記嵌合方向の先端側に設けられた爪部とを有し、前記爪部の先端部には、前記ガイド溝と前記ガイド部とにより、前記カードが前記コンタクトに向けて押圧され、前記カードと前記コンタクトとが接続し前記爪部と前記ブリッジ部とが当接する際に、前記嵌合方向へ移動し当接して前記嵌合方向で前記ブリッジ部に当接しつつ前記ブリッジ部に形成されている切り欠き部へ移動する傾斜部が設けられていることにより実現した。
【実施例1】
【0016】
図1乃至図3は、実施例1のカード用コネクタを示している。図1乃至図3を参照して、カード用コネクタは、導電性の第1のコンタクト11と、導電性の第2のコンタクト12と、第1及び第2のコンタクト11,12を所定位置に保持している絶縁性のハウジング21と、ハウジング21に取り付けられているスライダ31とを有する。
【0017】
第1のコンタクト11は、第1の保持部11aと、第1の保持部11aの一端に接続されている第1の接触部11bと、第1の保持部11aの他端に接続されている第1の端子部11cとを有する。
【0018】
第2のコンタクト12は、第2の保持部12bと、第2の保持部12bの一端に接続されている第2の接触部12bと、第2の保持部12bの他端に接続されている第2の端子部12cとを有する。
【0019】
第1のコンタクト11の第1の接触部11bの先端部分には、略逆U字状に曲げられている第1の接点部11dが形成されている。第2のコンタクト12の第2の接触部12bの先端部分には、略逆U字状に曲げられている第2の接点部12dが形成されている。
【0020】
なお、第1及び第2のコンタクト11、12は、金属製の薄板をプレス打ち抜きした後に、曲げ加工を施すことによって作ることができる。
【0021】
ハウジング21は、一対のフレーム部25a,25bと、ベース部27と、ブリッジ部29とを有している。ここで、一対のフレーム部25a,25bの長手方向における一方向を嵌合方向A(図2に示した矢印A方向)と呼び、嵌合方向Aとは逆向きの方向を離脱方向B(図2に示した矢印B方向)と呼ぶことにする。
【0022】
一対のフレーム部25a,25bのそれぞれは、嵌合方向A及び離脱方向Bに長い板形状である。ベース部27の一面27a上には、一対のフレーム部25a,25bが互いに平行に対向するように設けられている。また、ベース部27の一面27a上には、嵌合方向Aの奥部に位置している一対のフレーム部25a、25b間を端渡すようにブリッジ部29が設けられている。
【0023】
ブリッジ部29には、離脱方向B側の面29aにおいて嵌合方向Aへ沿って切り欠けられている切り欠き部29bが形成されている。切り欠き部29bは、ベース部27と対向している第1の面29cと、ブリッジ部29の離脱方向B側の前面29aと平行な第2の面29dとを有する。ブリッジ部29、一対のフレーム部25a、25b及びベース部27は、これらが一体となっている。
【0024】
さらに、ベース部27の一面27a上には、第1のコンタクト11を保持する第1のコンタクト保持部28aが設けられている。第1のコンタクト保持部28aには、第1の保持部11aが保持されている。さらに、ベース部27の一面27a上には、第2のコンタクト12を保持する第2のコンタクト保持部28bが設けられている。第2のコンタクト保持部28bには、第2の保持部12aが保持されている。
【0025】
第1及び第2のコンタクト11,12のそれぞれは、ベース部27の一面27a上において嵌合・離脱方向A、Bで互いに間隔をもって配置されている。第1及び第2の接触部11b,12bは、嵌合・離脱方向A、Bにおいて対向するように配置されている。また、第1及び第2のコンタクト11,12のそれぞれは、ベース部27の一面27a上において嵌合・離脱方向A、Bと直交する幅方向W(図3に示す矢印W方向)で複数本が互いに間隔をもって配列されている。
【0026】
なお、実施例1における第1のコンタクト保持部28aには、3本の第1のコンタクト11が保持されている。第2のコンタクト保持部28bには、3本の第2のコンタクト12が保持されている。
【0027】
また、ベース部27上には、嵌合・離脱方向A、Bにおける第1及び第2のコンタクト保持部27a,27b間に、受台部28cが立設されている。受台部28cは、図2の断面図によって見ると、略T字状となっている。受台部28cには、嵌合・離脱方向A,Bで対向する両側面に凹部28dが形成されている。凹部28dには、第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接触部11b,12bの自由端が対向するように位置している。
【0028】
一対のフレーム部25a,25bの対向する面のそれぞれには、図2乃至図4にも示すように、スライダ31を嵌合方向A及び離脱方向Bへガイドするガイド溝25fが形成されている。ガイド溝25fは、ベース部27の一面27a上における方向で受台部28cの上面よりも上方に位置している。
【0029】
ガイド溝25fは、一対のフレーム部25a,25bの離脱方向Bの先端から嵌合方向Aへ延びている。ガイド溝25fは、嵌合方向Aの先端がブリッジ部29の離脱方向B側の端面の近傍にまで延びている。嵌合方向A側のガイド溝25fの中間部分及び先端部分は、嵌合方向Aでベース部27へ向かって傾斜して延びている傾斜溝部25g,25g´と、傾斜溝部25g,25g´からベース部27と平行な方向で嵌合方向Aへ延びている先端溝部25h,25h´とを有する。
【0030】
第1のガイド部32eは、傾斜溝部25gと先端溝部32hに挿入され、第2のガイド部32fは、傾斜溝部25g´と先端溝部25h´に挿入される。これにより、カード41をコンタクト11,12に押し付ける。
【0031】
図5は、スライダ31と、スライダ31に挿入され、スライダ31とともに移動可能なカード41とを示している。図5をも参照して、スライダ31は、嵌合・離脱方向A,Bへ長い板状のスライダ本体部31aと、スライダ本体部31aの嵌合方向Aの端辺から略直角方向へ延びている当接部31b(図2を参照)と、当接部31bから嵌合方向Aへ延びている爪部31cとを有する。
【0032】
当接部31bは、スライダ本体部31aの嵌合方向Aの端辺からスライダ本体部31aに対して略直角に曲げられている部分である。爪部31cは、スライダ本体部31aと略平行に延びている平行部31dと、平行部31dから嵌合方向Aで下向きに傾斜している傾斜部31eを有する。
【0033】
さらに、スライダ本体部31aは、嵌合・離脱方向A,Bと直交する幅方向W(図3を参照)の両辺をスライダ本体部31aと平行となるように曲げることによって形成されている一対のガイド枠部31gを有する。
【0034】
当接部31bと爪部31cとは、スライダ本体部31aの嵌合方向A側の先端部分において、当接部31b、爪部31c及びスライダ本体部31aをクランク形状となるように折り曲げることによって形成することができる。即ち、平行部31dは、スライダ本体部31aの板面と略平行な段差面となる。
【0035】
スライダ31の幅方向Wの両側の外面には、嵌合方向A側に一対の第1のガイド部32eが形成されている。さらに、スライダ本体部31aの幅方向Wの両側の外面には、嵌合方向A側に一対の第2のガイド部32fが形成されている。第1及び第2のガイド部32e,32fは、スライダ本体部31aの幅方向Wの両側の外面から幅方向Wへ突出している。
【0036】
スライダ31の第1及び第2のガイド部32e,32fを除く部分は、金属製の薄板をプレス打ち抜きした後に、曲げ加工を施すことによって作ることができる。
【0037】
カード41は、薄板形状のものであり、内部にメモリ回路のような電子回路が内蔵されている。カード41の幅方向Wの両辺部は、スライダ31のガイド枠部31gに挿入され、嵌合方向Aの先端面がスライダ31の当接部31bの内面に当接するまで挿入される。
【0038】
図6は、カード41が第1及び第2のコンタクト11,12と接触している状態(嵌合状態)を示している。第1及び第2のガイド部32e,32fは、一対のフレーム部25a、25bのそれぞれに形成されているガイド溝25fに係合することにより嵌合方向A及び離脱方向Bへスライド移動が可能となっている。
【0039】
したがって、スライダ31は、カード41をハウジング21において嵌合又は離脱する時にフレーム部25a、25bに沿ってカード41とともに嵌合方向A及び離脱方向B間を移動することができる。
【0040】
ガイド溝25fの傾斜溝部25g及び先端溝部25hは、カード41と共に移動するスライダ31を介してカード41を第1及び第2のコンタクト11,12へ向けて押圧することにより、カード41と第1及び第2のコンタクト11,12とを接続させる役目を果たす。
【0041】
カード41を挿入する際には、スライダ31をカード41の嵌合方向Aへ押し、カード41とスライダ31が共に嵌合方向Aへ移動する。スライダ31は、ガイド部32eがフレーム部25a,25bのガイド溝25fに沿って移動する。
【0042】
ガイド溝25fには、スライダ31の爪部31cに傾斜部31eを持たせたので、傾斜部31eの上面がブリッジ部29の前面29aの下端に当たり、切り欠き部29bに誘い込まれるようにして挿入される。この際、ガイド溝25fの先端溝部25hには、第1のガイド部32eが位置する。
【0043】
カード41が嵌合方向Aの奥部まで挿入されると、ガイド溝25fが下方へ向かうように傾斜溝部25gが形成されているため、スライダ31を第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d,12d側へ押し付けつつ移動する。
【0044】
カード41が嵌合方向Aの一番奥に移動したときには、図5に示したカード41のカード接点部41aのそれぞれに第1及び第2の接点部11d,12dが接触する。この際、スライダ31の先端の爪部31cが切り欠き部29bに入り込み、スライダ31を撓ませないように規制する。即ち、スライダ31の当接部31bの外面がブリッジ部29の前面29aに当接し、爪部31cの平行部31dがブリッジ部29の第1の面29cと当接する。
【0045】
したがって、スライダ31のスライダ本体部31aは撓むことがなく、カード41自体も規制され撓まなくなり,第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d,12dをカード41のカード接点部41aに密着させることができる。
【0046】
カード41が嵌合方向Aの一番奥に移動したときには、ブリッジ部29の前面29aの切り欠き部29bにスライダ31の先端の爪部31cがもぐりこみ、スライダ31を撓ませないように規制する。この際、スライダ31は撓まないため、カード41自体も規制され撓まなくなり第1及び第2のコンタクト11、12に密着させることができる。
【0047】
なお、ベース部27は、プリント回路基板のような基板(接続対象物)に搭載される。このとき、第1及び第2のコンタクト11、12の第1及び第2の端子部11c、12cは、基板の回路に半田によって接続される。図2及び図3、図5及び図6に示したカード41が排出されている状態のカード用コネクタでは、スライダ31がフレーム部25a,25bのガイド溝25fにより、基板から遠ざかるようにガイドされるため、カード41と第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d、12dとは接触していない。
【0048】
したがって、スライダ31は、カード41が排出している時に基板から遠ざかっていることによりカード41が第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d,12dから離れ、第1及び第2の接点部11d,12dやカード41の表面の磨耗することを防止するようになっている。
【0049】
さらに、スライダ31が撓まないときには、スライダ31の爪部31cとブリッジ部29の前面29aとは接触せず、スライダ31が撓んだときに爪部31cとブリッジ部29の前面29aと接触するので、カード41と第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d,12dが離れることを防ぐことができる。
【0050】
カード41に設けられているカード接点部41aは、第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d,12dとスライダ31とによって挟み込むことにより安定した接触を実現する役割を果たす。この動作は、樹脂製のハウジング21に設けられたガイド溝25fにより案内される。
【0051】
カード41の挿入が完了した時には、スライダ31の爪部31cとブリッジ部29の前面29aとが常時接触しており、ブリッジ部29の前面29aは、スライダ31の爪部31cに対して基板の方向へ荷重を印加している。
【0052】
したがって、カード41は、第1及び第2のコンタクト11,12とスライダ31とによって弾性的に保持され、多少の振動、衝撃にも耐え得るように安定した電気的導通がなされる。このとき、スライダ31の爪部31cは、ブリッジ部29の前面29aに干渉しておらず、カード41を挿入するときに、この状態へ移行する際の感触の悪化、またカード41を排出するときにこの状態から移行する際の引っ掛かりによる排出不良などが生じない。
【0053】
なお、ブリッジ部29の前面29aは、カード41のカード接点部41aを第1及び第2のコンタクト11、12の位置へ案内するようにスライダ31を保持し基板に直接固定するか、又は他部品を介して間接的に基板に固定するようにしてもよい。
【実施例2】
【0054】
図7及び図8は、カード用コネクタの実施例2を示している。なお、実施例1と同じ部分には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
図7及び図8を参照してカード用コネクタは、第1のコンタクト11と、第2のコンタクト12と、第1及び第2のコンタクト11,12を所定位置に保持している絶縁性のハウジング121と、スライダ31と、ハウジング121に取り付けられているカバーハウジング123と、ストッパー部材125とを有する。
【0056】
ハウジング121は、一対のフレーム部25a,25bと、ベース部27と、ブリッジ部129とを有している。
【0057】
図9にも示したカバーハウジング123は、ブリッジ部129上に位置している部分において、ハウジング121に対して回動可能に一対のフレーム部25a,25bに設けられている一対の回転軸201a,201bを介して軸支している。カバーハウジング123には、嵌合方向A側の裏面に回転軸201a,201bを受け入れる回転用溝123dが形成されている。さらにカバーハウジング123には、ハウジング121のベース部27に対向するように押圧部123bが延びている。
【0058】
さらに、カバーハウジング123の嵌合方向A側には、図10にも示したストッパー部材125が設けられている。ストッパー部材125は、スライダ31の爪部31cが嵌合方向Aへ移動しカード41と第1及び第2のコンタクト11,12とが接続した際に、爪部31cと係合し第1及び第2のコンタクト11、12の弾性変位力を受ける。
【0059】
図11に示すように、カード41を嵌合方向Aへ移動させた際には、カード41を押し込むとガイド部がカード41を下方に押し、カード41を第1及び第2のコンタクト11,12に押し付ける。このとき、スライダ31に向かって回転可能なカバーハウジング123の押圧部123bによってカード41が下向きに押されることによって第1及び第2のコンタクト11,12とカード41のカード接点部41aとが接触する。
【0060】
カード41が排出されている状態のカード用コネクタでは、スライダ31がフレーム部25a,25bのガイド溝25fにより、ベース部27から遠ざかるようにガイドされるため、カード41と第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d、12dとは接触していない。
【0061】
したがって、スライダ31は、カード41が排出している時にベース部27から遠ざかっていることによりカード41が第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d,12dから離れ、第1及び第2の接点部11d,12dやカード41の表面の磨耗することを防止するようになっている。
【0062】
さらに、スライダ31が撓まないときには、スライダ31の爪部31cとストッパー部材125とは接触せず、スライダ31が撓んだときに爪部31cとストッパー部材125とは接触するので、カード41と第1及び第2のコンタクト11,12の接点部11d,12dが離れることを防ぐことができる。
【0063】
カード41に設けられているカード接点部41aは、第1及び第2のコンタクト11,12の第1及び第2の接点部11d,12dとスライダ31とによって挟み込むことにより安定した接触を実現する役割を果たす。この動作は、金属製の薄板に構成されたカバーハウジング123の押圧部123bもしくは樹脂製のハウジング121に設けられたガイド溝25fにより案内される。
【0064】
このカード用コネクタにおいては、爪部31cがストッパー部材125よりも嵌合方向A側に位置して露出しており、フレーム部25a、25bと干渉していないため、嵌合方向A及び離脱方向Bへ円滑に動作させることが可能である。
【0065】
カード41を挿入する時には、スライダ31の爪部31cとストッパー部材125とが常時接触しており、ストッパー部材125は、スライダ31の爪部31cに対してベース部27の方向、又はカード41を排出する嵌合方向Aへ荷重を印加している。
【0066】
したがって、カード41は、第1及び第2のコンタクト11,12とスライダ31とによって弾性的に保持され、多少の振動、衝撃にも耐え得るように安定した電気的導通がなされる。このとき、スライダ31の爪部31cは、ストッパー部材125に干渉しておらず、カード41を挿入するときに、この状態へ移行する際の感触の悪化、またカード41を排出するときにこの状態から移行する際の引っ掛かりによる排出不良などが生じない。
【0067】
なお、ストッパー部材125は、カード41のカード接点部41aを第1及び第2のコンタクト11,12の位置へ案内するようにスライダ31を保持しカバーハウジング123に直接固定するか、又は他部品を介して間接的にカバーハウジング123に固定するようにしてもよい。
【実施例3】
【0068】
図12及び図13は、カード用コネクタの実施例3を示している。なお、図1乃至図5によって説明した実施例1と同じ部分には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0069】
ハウジング21には、ブリッジ部29の切り欠き部29b内に、カード41を嵌合方向Aへ移動させた際に押圧されるポンプ151が組み込まれている。ポンプ151をスライダ31の爪部31cによって押圧することにより、ハウジング21に形成した排気弁151gを開き排気し、ハウジング21の受台部28cに形成した吸着弁151jによってカード41を吸引する。カード41を排出するときには、ブリッジ部29に設けられている吸気弁151hを開くことで、カード41の吸引を解除する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、携帯電話機、電話機、PDA、デジタルカメラ等の電子機器、メモリとして制御回路が内蔵されたSIM(subscriber identity module)カード、MMC(multi media card)カード、スマートメディア(商標)、SD(secure digital)カード、メモリスティック(商標)、ETC車載器に用いるETCカードなどのカードと、接続対象物であるプリント配線基板とを接続するカード用コネクタとしての用途にも適用できる。
【0071】
また、本発明は、カードを保持する必要がある携帯型決済端末あるいは金融決済端末機に搭載されるカード用コネクタとしての用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るカード用コネクタの実施例1を示す平面図である。
【図2】図1に示したカード用コネクタのII-II線断面図である。
【図3】図1に示したカード用コネクタを左側から見た状態の側面図である。
【図4】図2に示したカード用コネクタからスライダを取り外した状態を示した断面図である。
【図5】図1に示したカード用コネクタのスライダとカードとを示した斜視図である。
【図6】図2に示したカード用コネクタにカードを嵌合した後の状態を示す断面図である。
【図7】本発明のカード用コネクタの実施例2を示す断面図である。
【図8】図7に示したカード用コネクタのカードと嵌合する前の状態を示す断面図である。
【図9】図7に示したカバーハウジングを示した斜視図である。
【図10】図7に示したストッパー部材を示した斜視図である。
【図11】図7に示したカード用コネクタとカードとの嵌合状態示す断面図である。
【図12】本発明のカード用コネクタの実施例3を示す断面図である。
【図13】図12に示したカード用コネクタとカードと嵌合状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
11 第1のコンタクト
11d 第1の接点部
12 第2のコンタクト
12d 第2の接点部
21,121 ハウジング
25a,25b フレーム部
25f ガイド溝
25g,25g´ 傾斜溝部
25h,25h´ 先端溝部
27 ベース部
28a 第1のコンタクト保持部
28b 第2のコンタクト保持部
28c 受台部
29,129 ブリッジ部
29a 前面
29b 切り欠き部
29c 第1の面
29c ブリッジ部の第1の面
29d 第2の面
31 スライダ
31a スライダ本体部
31b 当接部
31c 爪部
31d 平行部
31e 傾斜部
31g ガイド枠部
32e 第1のガイド部
32f 第2のガイド部
41 カード
41a カード接点部
123 カバーハウジング
123b 押圧部
123d 回転用溝
125 ストッパー部材
151 ポンプ
151j 吸着弁
151g 排気弁
151h 吸気弁
201a,201b 回転軸
A 嵌合方向
B 離脱方向
W 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードと接続対象物との電気的な接続を行うカード用コネクタにおいて、
前記カードを嵌合方向へ挿入し該嵌合方向と交差する方向で前記カードに設けた相手コンタクトと接続するコンタクトと、該コンタクトを保持するハウジングと、前記カードと共に移動するスライダとを有し、
前記ハウジングは、前記嵌合方向及び前記嵌合方向とは逆向きの離脱方向へ前記スライダをガイドする一対のフレーム部と、前記嵌合方向の奥部で前記フレーム間に設けたブリッジ部とを有し、
前記フレーム部は、前記スライダを前記嵌合方向及び前記離脱方向へガイドするガイド溝を有し、
前記スライダは、前記ガイド溝に対向する前記スライダの側面に形成したガイド部と、前記嵌合方向の先端側に設けられた爪部とを有し、
前記爪部の先端部には、前記ガイド溝と前記ガイド部とにより、前記カードが前記コンタクトに向けて押圧され、前記カードと前記コンタクトとが接続し前記爪部と前記ブリッジ部とが当接する際に、前記嵌合方向へ移動し当接して前記嵌合方向で前記ブリッジ部に当接しつつ前記ブリッジ部に形成されている切り欠き部へ移動する傾斜部が設けられていることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のカード用コネクタにおいて、前記ハウジングには、前記ブリッジ部上で前記フレームに回転軸を介して回動可能なカバーハウジングが設けられており、前記カバーハウジングは、前記カードを前記嵌合方向へ移動させた際に、前記スライダを押し付け、前記カードを前記コンタクトへ向けて押圧する押圧部を有することを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項3】
請求項1記載のカード用コネクタにおいて、前記ハウジングは、前記嵌合方向側の前記カバーハウジング上に設けたストッパー部材を有し、
前記カードと前記コンタクトとが接続し前記爪部と前記ストッパー部材とが当接する際に、前記嵌合方向へ移動して当接して前記嵌合方向で前記ストッパー部材に当接しつつ前記傾斜部が移動することを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項4】
請求項1記載のカード用コネクタにおいて、前記カードを前記嵌合方向へ移動させた際に、押圧されるポンプを有し、ポンプを前記爪部によって押圧することにより、前記ハウジングに形成した排気弁を開き排気し、前記ハウジング形成した吸着弁によって前記カードを吸引し、前記カードを排出するときに前記吸気弁を開くことを特徴とするカード用コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−104795(P2009−104795A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272881(P2007−272881)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】