説明

カード認証システム、カード読取装置、認証システムおよびカード認証方法

【課題】 電波の不感地帯や店舗の密集した商業施設においても、カード使用者の正当性を確認することのできるカード認証システムの提供。
【解決手段】 カード認証システムは、商品またはサービスの対価の支払いの際に、ユーザから提示されたカードに書き込まれた情報を読み取って認証システムに送信し、カード利用者の正当性を問い合わせるカード読取装置と、前記カード読取装置から問い合わせを受けた際に、前記カード読取装置に対応する位置に配設されたフェムトセル基地局を用いて前記ユーザが所持する携帯端末の位置情報を確認し、当該カード利用者の正当性を応答する認証システムとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード認証システム、カード読取装置、認証システムおよびカード認証方法に関し、特に、移動通信システムのインフラストラクチャを利用したカード認証システム、カード読取装置、認証システムおよびカード認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、クレジットカードによる清算において、カード情報を読み取る販売店端末に識別番号を付し、認証センターで当該識別番号に対応する位置情報を検索する。一方カード情報からクレジットカード使用者が携帯する携帯端末の携帯電話番号を検索し、当該携帯端末の現在位置を検出し、この携帯端末の現在位置と販売店端末の位置を比較することで、クレジットカード使用者が正規のカード所持者か否かを判断するカード認証システムが開示されている。なお、同文献の段落0019には、携帯端末の位置情報としては、マクロセル基地局を用いる方法や複数のマクロセル基地局からの距離を元により詳しい位置を得る方法が例示されている。
【0003】
特許文献2にも、特許文献1と同様に、カード情報読み取り端末の設置場所と、被認証者のPHS(Personal Handy Phone System)の番号を元に移動通信システム事業者が提供する現在位置検索サービスを利用してカードの不正利用を防ぐ本人認証システムが開示されている。
【0004】
その他携帯端末の位置情報を特定する方法としては、携帯端末に備えられているGPS(Global Positioning System)機能にて測定した位置情報を用いる方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−288744号公報
【特許文献2】特開2002−133341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したマクロセル基地局情報や移動通信システム事業者から提供された位置情報やGPS情報を用いる方式では、地下街やビルの高層階などのいわゆる電波の不感地帯では位置を特定できないため、上記のようなシステムを利用できないという問題点がある。
【0007】
また、大きな建物内に複数の階に、複数の店舗が配置しているようなデパートやショッピングモールでは、位置情報上の同一位置にあたる上下の階にそれぞれ店舗が存在することが普通であり、例えば、カードを紛失したユーザの直下、直上の階におけるカードの不正使用を検出できないことが考えられる。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、上記電波の不感地帯や店舗の密集した商業施設においても、カード使用者の正当性を確認することのできるカード認証システム、カード読取装置、認証システムおよびカード認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点によれば、商品またはサービスの対価の支払いの際に、ユーザから提示されたカードに書き込まれた情報を読み取って認証システムに送信し、カード利用者の正当性を問い合わせるカード読取装置と、前記カード読取装置から問い合わせを受けた際に、前記カード読取装置に対応する位置に配設されたフェムトセル基地局を用いて前記ユーザが所持する携帯端末の位置情報を確認し、当該カード利用者の正当性を応答する認証システムとを含むこと、を特徴とするカード認証システムが提供される。
【0010】
本発明の第2の視点によれば、商品またはサービスの対価の支払いの際に、カード読取装置が、ユーザから提示されたカードに書き込まれた情報を読み取って認証システムに送信し、カード利用者の正当性を問い合わせるステップと、前記認証システムが、前記問い合わせに応じ、前記カード読取装置に対応する位置に配設されたフェムトセル基地局を用いて前記ユーザが所持する携帯端末の位置情報を確認し、当該カード利用者の正当性を応答するステップと、前記カード読取装置が、前記応答に従って当該カードに関わる処理を実行または拒否するステップと、を含むこと、を特徴とするカード認証方法が提供される。なお、本方法は、ユーザに対して項目を提示し、ユーザから項目の選択を受け付けるコンピュータという、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
本発明の第3の視点によれば、上記したカード認証システムを構成するカード読取装置および認証システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電波の不感地帯や店舗の密集した商業施設においても、カード使用者の正当性を確認した上で決済を済ませることが可能になる。その理由は、フェムトセル基地局をカード読取装置に対応する位置に配設し、カード使用者の正当性確認に用いる構成を採用したことにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の概要を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の構成を表したブロック図である。
【図3】カード使用者が事前に登録するカード情報の例である。
【図4】カード読取装置からフェムトセル基地局を割り出すためのテーブルの例である。
【図5】電話番号から端末識別情報を割り出すためのテーブルの例である。
【図6】本発明の第1の実施形態の動作を表したシーケンス図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の動作を表したシーケンス図である。
【図8】本発明の第3の実施形態で用いる位置情報から地理情報を割り出すためのテーブルの例である。
【図9】本発明の第3の実施形態の動作を表したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、本発明の概要について図1を参照して説明する。本発明は、クレジットカード、デビットカード、電子マネーカード、ポイントカード等の読取装置41(以下、「カード読取装置」と総称する。)と、商品購入者を包括しているフェムトセル基地局20の位置と、これらカードの正規利用者(以下、「正規利用者」という。)が所持している携帯端末10(以下、「端末」という。)の位置情報とが一致しているか否かを確認することで、正規利用者以外によるカード支払を防止するものである。
【0015】
例えば、図1の店舗40で正規利用者が商品またはサービスの対価の支払いの際にカードを提示された場合、カード読取装置41と、フェムトセル基地局20を経由して特定した携帯端末10の位置が一致するため、カード読取装置41から照会を受けた認証システム(図示省略)は、当該カードは正規利用者によって提示されているものと応答する。前記応答を受けたカード読取装置41は、当該カードに関する処理(支払い、ポイント行使、ポイント付与)等を実行する。他方、当該カードが店舗40の直下、直上の階に当たる店舗、例えば、図1の店舗40の直下の階にある店舗40Lで提示されている場合などは、カード読取装置41Lと携帯端末10の位置が一致しないことになる。これにより、当該カードに関する処理(支払い、ポイント行使、ポイント付与)等を拒否することが可能になる。
【0016】
[第1の実施形態]
続いて、本発明をクレジットカードの使用者の正当性確認に適用した第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の構成を表したブロック図である。
【0017】
図2を参照すると、端末10と、フェムトセル基地局20と、認証システム31とが示されている。
【0018】
フェムトセル基地局20(20L)は、クレジットカード加盟店(以下、「加盟店」)に設置され、加盟店内のカード読取装置41と商品購入者をカバーする半径数十メートル以内のフェムトセル(図1の100、100L参照)を構築する基地局装置である。なお、フェムトセル基地局20(20L)の設置台数は1つに限られず、加盟店内に複数のカード読取装置が離れて設置されている場合には、カード読取装置に対応付けて設置することができる。
【0019】
フェムトセル基地局GW(ゲートウェイ)22は、多くのフェムトセル基地局20を集束および制御するための装置であり、多くのフェムトセル基地局20を移動体通信交換局24に接続する。
【0020】
マクロセル基地局21は、半径数百メートル以上のマクロセルを構築する基地局装置である。基地局制御装置23は、マクロセル基地局21を制御する装置である。
【0021】
移動体通信交換局24は、回線交換局とパケット交換局を含む交換局である。例えば、Mobile Service Switching Center(MSC)やServing General Packet Radio Service Support Node(SGSN)が移動体通信交換局24に相当する。
【0022】
認証システム31は、クレジットカード情報(以下、カード情報)の有効性を判断するとともに、後記するカード使用者の正当性確認を行う。
【0023】
ここで、認証システム31が上記処理を行う際に参照する情報について説明する、図3は、カード使用者が事前に登録するカード情報の例である。図3の例では、正規利用者名、カード番号、電話番号が保持されたテーブルが示されている。図3では省略しているが、カード情報にはその他、利用上限金額、カード有効期限等が含まれる。
【0024】
図4は、カード読取装置41からフェムトセル基地局20を割り出すためのテーブルの例である。認証システム31は、図4に例示するテーブルを参照して、カード読取装置41に対応する位置に配置されたフェムトセル基地局20と、当該フェムトセル基地局20の制御するフェムトセル基地局GW22と特定することが可能となっている。
【0025】
格納サーバ30は、移動体通信交換局24と、認証システム31との間に配設され、電話番号から端末識別情報を割り出す処理や端末10の位置情報から地理的な位置情報(以下、地理情報)を割り出す処理を実行する。
【0026】
ここで、格納サーバ30が上記処理を行う際に参照する情報について説明する。図5は、電話番号から端末識別情報を割り出すためのテーブルの例である。端末識別情報としては、例えば、International Mobile Subscriber Identity(IMSI)等の端末を一意に識別する情報を用いることができる。
【0027】
なお、図2の例では、認証システム31と独立して格納サーバ30を設けた構成となっているが、認証システム31と格納サーバ30とを一体化した構成も採用可能である。また、上記した格納サーバ30および認証システム31がそれぞれ処理を行うに当たって参照する情報は、適当なデータベース等にて一元管理するようにしてもよい。
【0028】
加盟店は、商品やサービスを購入する際に、カード支払いが可能な店舗(図1の店舗40、40L参照)を表す。図1に示したように、カード読取装置41、41Lは、店員がカード支払いの手続きを行う際に、認証システム31へ問い合わせる機能を有している。
【0029】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図6は、本発明の第1の実施形態の動作を表したシーケンス図である。図6の実線で囲ったシーケンスは、カード正規利用者が支払いを行う場合のものであり、破線で囲ったシーケンスは、カード正規利用者以外が支払いを行う場合のものである。以下、それぞれの場合について説明する。
【0030】
カード正規利用者がカード決済を求めている場合(図6の実線枠内参照)、支払い前に正規利用者情報が認証システムに登録されている。ここでは、例として図3の正規利用者Aがカード読取装置Aが設置された店舗にて支払いを行うものとする。
【0031】
カード決済による商品購入時、カード読取装置41は、認証システム31に対し、自身のID(カード読取装置のID)とともに、カード番号を含んだ認証要求メッセージを送信する。
【0032】
認証要求メッセージを受信した認証システム31は、図4に示すテーブルを参照して、認証要求メッセージの送信元のカード読取装置41に対応するフェムトセル基地局20とフェムトセル基地局GW22の組(図4のフェムトセル基地局1、フェムトセル基地局GW1)を特定する。次に、認証システム31は、前記特定したフェムトセル基地局20とフェムトセル基地局GW22の組とともに、図3に示すテーブルを参照して、カード番号に対応する正規利用者情報を格納サーバ30に送信する。
【0033】
格納サーバ30は、図5に示すテーブルを参照して、正規利用者情報に含まれる正規利用者Aの電話番号(図3の090−abcd−efgh)に対応する端末識別情報(図5の111−222−3333333)を特定する。さらに、格納サーバ30は、認証システム31にて特定されたフェムトセル基地局20(カード決済を行っているエリアのフェムトセル基地局)を集束しているフェムトセル基地局GW22に対して、前記端末識別情報を送信する。
【0034】
フェムトセル基地局GW22は、正規利用者の端末識別情報を用いて、認証システム31にて特定されたフェムトセル内に在圏しているカード正規利用者の端末10に対してページング要求を行う。
【0035】
正規利用者の端末10は、フェムトセル基地局20を介し、フェムトセル基地局GW22に対してページング応答を行う。
【0036】
正規利用者の端末10が送信したページング応答は、フェムトセル基地局20を介し、フェムトセル基地局GW22に受信される。ページング応答を確認したフェムトセル基地局GW22は、格納サーバ30を介し、認証システム31に対しページング応答完了通知を送信する。
【0037】
ページング応答完了通知を確認した認証システム31は、カード情報の有効性を確認した後に、カード読取装置41に対し支払い成功メッセージを送信する。以上で、正規利用者は加盟店で支払いを完了し、商品購入ができる。
【0038】
一方、カード正規利用者以外が当該カードを用いてカード決済を求めている場合(図6の破線枠内参照)、正規利用者と同様の手順で、カード読取装置41に対応する位置にあるフェムトセル基地局20が、正規利用者の端末識別情報(図5の111−222−3333333)を使用してページング要求を行うが、正規利用者以外の端末10は当該フェムトセルに位置していないためページング要求に対して応答することが不可能である。
【0039】
フェムトセル基地局GW22は、ページングの応答待ちタイマー満了(図6の「ページングタイムアウト」)となると、格納サーバ30を介し、認証システム31に対し、ページング応答未了通知を送信する。
【0040】
ページング応答未了通知を受信した認証システム31は、カード読取装置41に対し支払い失敗メッセージを送信する。この場合、カード加盟店では、カード支払いを拒否することになる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、カード読取装置41をカバーしているフェムトセルエリアのページングに対し、ページング応答が得られないことをもって、カード正規利用者以外によるカードの不正利用を検出することができる。すなわち、カード情報が有効とは別に、本人の端末10の位置がカード読取装置41の位置と一致しているかどうかという観点で確認を行うことが可能となる。
【0042】
[第2実施形態]
続いて、上記第1の実施形態における端末からのページング応答に代えてフェムトセル基地局から受信した端末リストによりカード正規利用者であるか否かを判定するようにした本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、図2に例示した本発明の第1の実施形態と略同一の構成にて実現できるので、以下その動作上の相違点を中心に説明する。
【0043】
図7は、本発明の第2の実施形態の動作を表したシーケンス図である。図6と同様、図7の実線で囲ったシーケンスは、カード正規利用者が支払いを行う場合のものであり、破線で囲ったシーケンスは、カード正規利用者以外が支払いを行う場合のものである。以下、それぞれの場合について説明する。
【0044】
カード決済による商品購入時、カード読取装置41が、認証システム31に対し、自身のID(カード読取装置のID)とともに、カード番号を含んだ認証要求メッセージを送信までの動作は第1の実施形態と同様である。
【0045】
認証要求メッセージを受信した認証システム31は、図4に示すテーブルを参照して、認証要求メッセージの送信元のカード読取装置41に対応するフェムトセル基地局20とフェムトセル基地局GW22の組(図4のフェムトセル基地局1、フェムトセル基地局GW1)を特定する。次に、認証システム31は、格納サーバ30を介して、前記特定したフェムトセル基地局20を集束するフェムトセル基地局GW22に対して、前記特定したフェムトセル基地局20に在圏している端末リストの送信を求める端末識別情報リスト要求メッセージを送信する。
【0046】
端末識別情報リスト要求メッセージを受信したフェムトセル基地局GW22は、前記認証システム31にて特定されたフェムトセル基地局20に、端末識別情報リスト要求メッセージを送信する。
【0047】
端末識別情報リスト要求メッセージを受信したフェムトセル基地局20は、フェムトセル内に在圏しているすべての端末識別情報を列記した端末識別情報リストを作成し、フェムトセル基地局GW22を介し、格納サーバ30に送信する。
【0048】
格納サーバ30は、図5に示すテーブルを参照して、端末識別情報リストに含まれる各端末識別情報を電話番号リストに変換し、認証システム31に送信する。
【0049】
認証システム31は、格納サーバ30によって変換された電話番号リスト内に、今回カード決済を求める正規利用者の電話番号があるかどうか確認する。
【0050】
ここで、カード正規利用者がカード決済を求めている場合(図7の実線枠内参照)、電話番号リスト内に、今回カード決済を求める正規利用者の電話番号があるため、認証システム31は、カード読取装置41に対し支払い成功メッセージを送信する。
【0051】
一方、カード正規利用者以外がカード決済を求めている場合(図7の破線枠内参照)、電話番号リスト内に、今回カード決済を求める正規利用者の電話番号はないため、認証システム31は、カード読取装置41に対し支払い失敗メッセージを送信する。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、カード読取装置41をカバーしているフェムトセルに本人の端末10が在圏しているか否かをもって、カードの不正利用であるか否かを判定することができる。
【0053】
また、上記第1、第2の実施形態において加盟店以外でのカードの不正利用を判定するには、認証システム31が移動体通信交換局24、基地局制御装置23およびマクロセル基地局21に対して同様の手順により端末10のマクロセル上の位置と、カード読取装置41との一致/不一致を確認するようにしてもよい。
【0054】
[第3実施形態]
続いて、カード決済の都度照会を行うのではなく、格納サーバ30が端末10の位置管理装置として機能し、認証システム31に位置情報を提供するようにした本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の第3の実施形態は、図2に例示した本発明の第1の実施形態と略同一の構成にて実現できるので、以下その動作上の相違点を中心に説明する。
【0055】
図8は、格納サーバ30が端末10の位置情報から地理情報を割り出すためのテーブルの例である。位置情報としては、例えば、Location Area Identity(LAI)、Routing Area Identity(RAI)、Tracking Area Identity(TAI)等を用いることができる。また、本実施形態の認証システムには、図4に示すテーブルに代えて各カード読取装置41の設置位置が保持されているものとする。
【0056】
図9は、本発明の第3の実施形態の動作を表したシーケンス図である。図6、図7と同様、図9の実線で囲ったシーケンスは、カード正規利用者が支払いを行う場合のものであり、破線で囲ったシーケンスは、カード正規利用者以外が支払いを行う場合のものである。以下、それぞれの場合について説明する。
【0057】
図9に示したように、端末10は、基地局(フェムトセル基地局/マクロセル基地局のどちらでも良い。)、制御装置(フェムトセル基地局GW/基地局制御装置のどちらでも良い。)を介し、格納サーバ30に位置情報を送信する。格納サーバ30は、これら位置情報を端末識別情報と対応付けて保存する。
【0058】
カード決済による商品購入時、カード読取装置41が、認証システム31に対し、自身のID(カード読取装置のID)とともに、カード番号を含んだ認証要求メッセージを送信までの動作は第1、第2の実施形態と同様である。
【0059】
認証要求メッセージを受信した認証システム31は、図3に示すテーブルを参照して、カード番号に対応する正規利用者情報を含んだ位置情報要求メッセージを格納サーバ30に送信する。
【0060】
前記位置情報要求メッセージを受信した格納サーバ30は、前記正規利用者情報に含まれる正規利用者Aの電話番号(図3の090−abcd−efgh)に対応する端末識別情報(図5の111−222−3333333)を特定する。さらに、格納サーバ30は、前記特定した端末識別情報を持つ端末10の位置情報を検索して、図8に示すテーブルを参照して地理情報に変換した上で位置情報結果メッセージとして認証システム31に送信する。
【0061】
認証システム31は、位置情報結果メッセージに含まれる地理情報と、カード読み取り機の設置位置とが一致するか否かを確認する。
【0062】
ここで、カード正規利用者がカード決済を求めている場合(図9の実線枠内参照)、位置情報結果メッセージに含まれる地理情報と、カード読み取り機の設置位置とが一致するため、認証システム31は、カード読取装置41に対し支払い成功メッセージを送信する。
【0063】
一方、カード正規利用者以外がカード決済を求めている場合(図7の破線枠内参照)、位置情報結果メッセージに含まれる地理情報と、カード読み取り機の設置位置とが一致しないため、認証システム31は、カード読取装置41に対し支払い失敗メッセージを送信する。
【0064】
以上のように、カード読取装置41の位置と、本人の端末10の位置とが一致しているか否かをもって、カードの不正利用であるか否かを判定することができる。
【0065】
なお、上記のように端末10からの位置登録を受け付けて保持する格納サーバ30として、端末の位置情報、サービス加入情報、認証情報等を保持するHome Location Register(HLR)、サービス加入情報、認証情報等を一時的に保持するVisitor Location Register(VLR)、加入者識別機能、認証情報を備えているHome Subscriber Server(HSS)を用いることも可能である。また、VLR、HSSから位置情報をデータベースに格納する構成も採用可能である。
【0066】
また、フェムトセル基地局GW22で位置情報を保持する構成も採用可能である。この場合、格納サーバ30は不要となり、認証システム31は、フェムトセル基地局GW22に位置要求メッセージを送信し、フェムトセルGW22から認証システム31に位置情報結果メッセージを送信することになる。
【0067】
また上記した実施形態では、地理情報に変換した上で、一致/不一致を判定するものとして説明したが、図8に示した位置情報同士を照合して一致/不一致を判定するものとしもよい。
【0068】
以上、説明したように、カード支払時に、移動通信システムのインフラストラクチャを用いて署名以外の正当性確認を行うことが可能であるため、不正カード支払を防止することが可能となる。また、本実施形態では、カード会社にとっても、カード不正使用に伴う損害保険会社への支出を削減することができるという効果がある。
【0069】
また、カード決済認証システムを提供している会社と携帯電話会社とが共同して本発明のシステムを構築し、カード会社に提供することで、携帯電話会社、カード決済認証システムを提供している会社は収入を増加することが可能である。従って、本発明に関わるどの会社も、収益を上げることができ、さらに、安全かつ安心な社会インフラを構築することが可能となる。もちろん、カード会社が、カード決済認証システムを直接提供することも可能である。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、上記した実施形態では、クレジットカードへの適用を例に挙げて説明したが、その他、デビットカード、電子マネーカード、ポイントカード等の各種のカードを用いた決済やポイントの付与、ポイントの行使時に、カード名義人の本人性を確認する際に適用することができる。
【0071】
また、上記した第1、第2の実施形態では、認証システムが、図4に示すテーブルを参照して、認証要求メッセージの送信元のカード読取装置41に対応するフェムトセル基地局20とフェムトセル基地局GW22の組を特定するものとして説明したが、フェムトセル基地局の特定はフェムトセル基地局GW22に委ねてしまってもよい。例えば、フェムトセル基地局GW22が配下のフェムトセル基地局から該当端末を一斉に呼び出す構成も採用可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 端末
20、21L フェムトセル基地局
21 マクロセル基地局
22 フェムトセル基地局GW
23 基地局制御装置
24 移動体通信交換局
30 格納サーバ
31 認証システム
40、40L 店舗
41、41L カード読取装置
100、100L フェムトセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品またはサービスの対価の支払いの際に、ユーザから提示されたカードに書き込まれた情報を読み取って認証システムに送信し、カード利用者の正当性を照会するカード読取装置と、
前記カード読取装置から照会を受けた際に、前記カード読取装置に対応する位置に配設されたフェムトセル基地局を用いて前記ユーザが所持する携帯端末の位置情報を確認し、当該カード利用者の正当性を応答する認証システムとを含むこと、
を特徴とするカード認証システム。
【請求項2】
前記認証システムは、カードに書き込まれた情報に紐付けられたユーザの携帯端末情報により、前記ユーザの携帯端末を特定し、
前記カード読取装置が設置された位置に配設されたフェムトセル基地局から受信したページング応答により、前記特定した携帯端末と前記カード読取装置の位置情報との一致を確認する請求項1のカード認証システム。
【請求項3】
前記認証システムは、カードに書き込まれた情報に紐付けられたユーザの携帯端末情報により、前記ユーザの携帯端末を特定し、
前記カード読取装置が設置された位置に配設されたフェムトセル基地局から受信した携帯端末一覧に、前記特定した携帯端末が含まれているか否かにより、前記特定した携帯端末と前記カード読取装置の位置情報との一致を確認する請求項1のカード認証システム。
【請求項4】
前記認証システムは、カードに書き込まれた情報に紐付けられたユーザの携帯端末情報により、前記ユーザの携帯端末を特定し、
各携帯端末の位置情報を保持する位置管理装置から、前記特定した携帯端末の位置情報を取得することにより、前記特定した携帯端末と前記カード読取装置の位置情報との一致を確認する請求項1のカード認証システム。
【請求項5】
さらに、前記認証システムは、マクロセル基地局から携帯端末の位置情報を取得し、前記カード読取装置の位置情報との一致を確認する請求項1から4いずれか一のカード認証システム。
【請求項6】
請求項1から5いずれか一のカード認証システムの認証システムと接続され、
商品またはサービスの対価の支払いの際に、ユーザから提示されたカードに書き込まれた情報を読み取って前記認証システムに送信し、カード利用者の正当性を照会することを特徴とするカード読取装置。
【請求項7】
商品またはサービスの対価の支払いの際に、ユーザから提示されたカードに書き込まれた情報を読み取って送信するカード読取装置から、カード利用者の正当性の照会を受けた際に、前記カード読取装置に対応する位置に配設されたフェムトセル基地局を用いて前記ユーザが所持する携帯端末の位置情報を確認し、当該カード利用者の正当性を応答する認証システム。
【請求項8】
商品またはサービスの対価の支払いの際に、カード読取装置が、ユーザから提示されたカードに書き込まれた情報を読み取って認証システムに送信し、カード利用者の正当性を照会するステップと、
前記認証システムが、前記照会に応じ、前記カード読取装置に対応する位置に配設されたフェムトセル基地局を用いて前記ユーザが所持する携帯端末の位置情報を確認し、当該カード利用者の正当性を応答するステップと、
前記カード読取装置が、前記応答に従って当該カードに関わる処理を実行または拒否するステップと、を含むこと、
を特徴とするカード認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−108119(P2011−108119A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264259(P2009−264259)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】