説明

カーナビゲーション装置

【課題】 交差点周辺の施設に関する情報を簡単な操作で迅速に提示できるカーナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 地図データを取得する地図データ取得手段11と、現在位置を検出する現在位置検出手段10と、取得された地図データに基づき目的地までの経路を探索する経路探索手段12と、探索された経路上であって現在位置と目的地との間の交差点中から近傍の交差点を検索する交差点検索手段14と、検索された交差点名称を出力する交差点名称出力手段15と、出力された交差点名称から交差点を選択する交差点選択手段17と、選択された交差点の近傍に存在する施設を地図データから検索する施設検索手段18と、検索された施設の施設名称を出力する施設名称出力手段19と、出力された施設名称から施設を選択する施設選択手段20と、選択された施設に関する施設情報を地図データから抽出して出力する施設情報出力手段21とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は目的地までの経路を探索して経路案内を行うカーナビゲーション装置に関し、特に探索された経路上の交差点周辺の施設情報を容易に取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、探索された経路を走行中に自車の近傍または経路上の交差点の名称をリスト表示させる機能を有するカーナビゲーション装置が知られている。このカーナビゲーション装置は、自車の近傍または経路上の交差点をユーザに知らしめてユーザを安全に案内することを目的としているため、交差点リストを表示する機能または表示された交差点リストから選択された交差点の地図または交差点情報(名称、レーン数等)を表示させる機能を有するに止まっている。
【0003】
一方、カーナビゲーション装置は、通常、自車位置周辺施設検索、地図ポイント周辺施設検索、到着地周辺施設検索、経路周辺施設検索といった種々の周辺施設検索機能を有する。しかしながら、探索された経路上の交差点リストから所望の交差点を選択して、その周辺施設検索を実施する機能を有するカーナビゲーション装置は未だ存在しない。
【0004】
従って、従来のカーナビゲーション装置では、交差点の周辺施設を検索するためには、経路案内を一旦中止して画面に地図を表示させ、カーソルをリモートコントローラやジョイスティックを使用して地図上の所望の交差点に移動させて検索位置を設定し、その後、設定された検索位置を中心とする周辺施設検索を実施する必要がある。この従来のカーナビゲーション装置では、カーソルを移動させて地図上の特定のポイントにあわせるのは面倒であり、また、地図上の交差点にカーソルを合わせるという操作は、必然的に画面を凝視することになり運転の妨げになる。また、指でタッチパネルを操作することによって地図上のポイントを指定する場合は、画面を凝視する必要はないが、例えば大都市で画画上に交差点数が非常に多く存在する場合は、所望の交差点を正確に指定することが難しいという欠点がある。
【0005】
交差点を指定する方法として、上記以外にも、経路案内地図上の交差点を直接指定する方法も考えられるが、地図が自動移動により動いたり、交差点が画面の端に存在したり、地図のスケールにより交差点が画面上に存在しない場合や、逆に多数存在する場合などは交差点を指定する操作が難しくなる。また、交差するストリートを指定して交差点を特定し、特定された交差点の周辺施設検索を実施する方法も考えられるが、ストリートに名称が付されていない場合やユーザがストリートの名称を知らない場合は利用できない。
【0006】
なお、関連する技術として、特許文献1は、地図上の自車位置および案内経路上の現在位置近傍の複数の交差点名称を表示装置に表示する走行経路案内装置を開示している。この走行経路案内装置は、経路探索により選択された経路上の自車の現在位置近傍の複数の交差点名称をCD−ROM7から読み出し、地図、自車マークなどが表示された液晶ディスプレイに、複数の交差点名称をまとめて表示する。これにより、現在位置近傍の交差点情報を広い範囲にわたって把握できる。
【0007】
また、特許文献2は、ユーザの好みに合う道路を通って目的地に至る誘導経路を探索するナビゲーション装置の誘導経路探索方法を開示している。この誘導経路探索方法では、出発地から目的地までの第1の経路を探索し、経路内の交差点をリスト形式で表示する。ユーザが第1の経路内の交差点のうち所望の交差点と当該交差点からの進行方向とを指定すると、指定された交差点から指定された方向に進む道路のリンクコストを低く設定して、当該交差点から目的地までの経路(第2の経路)を探索する。そして、第1の経路のうち出発地から当該交差点までの経路と結合し、誘導経路とする。
【0008】
さらに、特許文献3は、規制・渋滞情報等を適切なタイミングで提供でき、また交差点に関する情報が予め表示される等、事前に交差点の状況が把握できるナビゲーション装置を開示している。このナビゲーション装置は、車両の進むべき方向の道路上に交通情報が存在することを検出するVICS受信機等の交通情報検出手段と、交通情報検出手段により交通情報が存在することが検出されると、車両の進むべき方向の道路上の交通情報の位置よりも手前にある交差点に関する交差点名称、交差点までの距離、交差点目印、交差点図、レーン図、道路図等の詳細情報を提供する交差点情報提供手段を備えている。
【0009】
【特許文献1】特開平9−133541号公報
【特許文献2】特開2003−121186号公報
【特許文献3】特開2002−286476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のカーナビゲーション装置においては、上述したように、自車位置周辺施設検索、地図ポイント周辺施設検索、到着地周辺施設検索、経路周辺施設検索といった幾つかの周辺施設検索機能を有する。しかしながら、これらの各々は利点および欠点を有するので、互いを補完するように使用される。例えば、ガソリンスタンドを急いで探したい場合は、まず、自車位置周辺施設検索を実施することが考えられる。しかし、この自車位置周辺施設検索では、自車の進行方向とは逆の方向に存在するガソリンスタンドが検索される場合がある。このような場合は、経路周辺施設検索を実施すると、進行方向に存在するガソリンスタンドのみが検索されるので、自車位置周辺施設検索の欠点を補うことができる。
【0011】
しかしながら、経路周辺施設検索では、経路上のすべての位置が検索対象となるので、必要性が低い到着地点周辺のガソリンスタンドまで検索され、また、検索に比較的長い時間を要する。従って、検索範囲や検索数を制限する等の処置が必要である。このような状況下では、さらに経路周辺施設検索の機能を補うような機能が必要になる。つまり、検索対象が自車の進行方向且つ近傍に存在し、検索範囲がそれなりに広く、しかも短時間で検索できる施設検索機能が必要になる。
【0012】
また、急いで施設検索を実施することが必要となった状況下では、誤った操作を行う可能性が高いと考えられるので、可能な限り操作回数を減らして操作を簡単にして、操作画面を凝視する時間を短くしなければならない。そして、検索操作をやり直す必要がないように、ユーザが欲しい情報を的確に検索して提供できる機能が必要である。
【0013】
この発明は、上述した要求に応えるためになされたものであり、交差点周辺の施設に関する情報を簡単な操作で迅速に提示できるカーナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係るカーナビゲーション装置は、上述した課題を解決するために、道路データ、交差点情報および施設情報を含む地図データを取得する地図データ取得手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、地図データ取得手段で取得された地図データに基づいて目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段で探索された経路上であって現在位置検出手段で検出された現在位置から目的地までの間に存在する交差点の中から現在位置の近傍の交差点を検索する交差点検索手段と、交差点検索手段で検索された交差点に付された交差点名称を出力する交差点名称出力手段と、交差点名称出力手段により出力された交差点名称を指定することにより交差点を選択する交差点選択手段と、交差点選択手段で選択された交差点の近傍に存在する施設を地図データ取得手段で取得された地図データから検索する施設検索手段と、施設検索手段で検索された施設に付された施設名称を出力する施設名称出力手段と、施設名称出力手段により出力された施設名称を指定することにより施設を選択する施設選択手段と、施設選択手段で選択された施設に関する施設情報を地図データ取得手段で取得された地図データから抽出して出力する施設情報出力手段とを備えている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、現在位置から目的地までに存在する交差点の名称が出力され、この出力された交差点名称を指定するだけで、その交差点の近傍に存在する施設を検索して出力できるので、交差点周辺の施設に関する情報を簡単な操作で提示できる。また、現在位置から目的地までに存在する交差点のみが検索の対象になるので、短時間で迅速に所望の施設を提示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このカーナビゲーション装置は、ディスク駆動部1、GPS受信機2、自立航法センサ3、操作部4、制御部5、表示部6、音声出力部7、音声入力部8および通信制御部9から構成されている。
【0017】
ディスク駆動部1は、DVD−ROMまたはCD−ROMを駆動し、これらに形成されている地図データベースから地図データを読み出す。地図データには、道路情報の他に、例えばショッピングセンタ、ガソリンスタンド、レストランといった、カテゴリ毎に分類された施設情報が含まれる。このディスク駆動部1で読み出された地図データは、制御部5に送られる。
【0018】
GPS受信機2は、GPS衛星から送られてくる電波を受信することにより得られたGPS信号に基づき、当該カーナビゲーション装置が搭載されている車両の現在位置(緯度および経度)を算出する。このGPS受信機2で算出された車両の現在位置を表すGPSデータは制御部5に送られる。
【0019】
自立航法センサ3は、角度センサおよび速度センサ(何れも図示を省略する)から構成されている。角度センサは、当該カーナビゲーション装置が搭載されている車両の進行方位を検出する。この角度センサで検出された進行方位は、方位データとして制御部5に送られる。速度センサは、当該カーナビゲーション装置が搭載されている車両が一定距離を走行する毎に発生されるパルスの数を計測する。この速度センサで計測されたパルス数は、速度データとして制御部5に送られる。
【0020】
操作部4は、ユーザがカーナビゲーション装置を操作するために使用される。この操作部4は、例えばリモートコントローラから赤外線で送られてくる操作情報を受信し、この受信した操作情報に応じた操作コマンドを生成して制御部5に送る。なお、操作部4は、表示部6の画面上に載置されたタッチパネルによって構成することもできる。この場合、タッチパネルは、タッチされた位置に応じた操作コマンドを生成して制御部5に送る。さらに、操作部4は、カーナビゲーション装置の前面に設けられたジョイスティックや十字ボタンといった操作ボタンによって構成することもできる。
【0021】
表示部6は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されており、制御部5からの表示データに従って、地図や交差点リストなどを表示する。音声出力部7は、例えばスピーカなどから構成されており、制御部5からの音声データに従って、音声による案内を行う。音声入力部8は、例えばマイクロフォンから構成されており、音声を音声信号に変換し、音声データとして制御部5に送る。この音声入力部8から入力された音声データは、制御部5の内部に設けられる音声認識手段(図示は省略する)を用いてカーナビゲーション装置を操作する場合にも使用される。通信制御部9は、当該カーナビゲーション装置と外部との間の通信を制御するために使用される。
【0022】
制御部5は、このカーナビゲーション装置の全体を制御する。この制御部5は、中央処理装置(以下、「CPU」という)5a、記憶型メモリ5b、一時メモリ5cおよびハードディスク装置(以下、「HDD」という)5dを含む。CPU5aは、各種処理やデータの受け渡しの処理を行う。記憶型メモリ5bは、例えばEEPROMから構成されており、自車両の現在位置、行き先地、速度センサおよび角度センサの補正値、利用者が登録した地図上のポイント、利用者の好みにあわせるための各種機器設定情報などを記憶する。一時メモリ5cは、例えばDRAMから構成されており、各種情報を一時的に保持するために使用される。HDD5dは、ディスク駆動部1で駆動されるDVD−ROMやCD−ROM等に格納されている地図データベースと同様の地図データベースが格納される。
【0023】
図2は、制御部5の機能的な構成を示すブロック図である。この制御部5は、現在位置検出手段10、地図データ取得手段11、経路探索手段12、交差点検索条件設定手段13、交差点検索手段14、交差点名称出力手段15、施設検索条件設定手段16、交差点選択手段17、施設検索手段18、施設名称出力手段19、施設選択手段20、施設情報出力手段21および予想通過経路算出手段22から構成されている。
【0024】
現在位置検出手段10は、GPS受信機2から送られてくるGPSデータ、自立航法センサ3を構成する角度センサから送られてくる方位データおよび自立航法センサ3を構成する速度センサから送られてくる速度データに基づき所定の演算を行うことにより、当該カーナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する。この現在位置検出手段10で検出された現在位置を表す現在位置データは、経路探索手段12および交差点検索手段14に送られる。
【0025】
地図データ取得手段11は、ディスク駆動部1に装着されたDVD−ROMまたはCD−ROM、あるいはHDD5dに形成されている地図データベースから地図データを取得する。この地図データ取得手段11で取得された地図データは、経路探索手段12、交差点検索手段14、施設検索手段18および施設情報出力手段21に送られる。経路探索手段12は、地図データ取得手段11で取得した地図データに基づいて、現在位置検出手段10から送られてくる現在位置データによって指定される位置から、操作部4から入力された目的地データで指定される位置までの経路を探索する。この経路探索手段12によって探索された経路を表す案内経路データは、交差点検索手段14に送られる。
【0026】
交差点検索条件設定手段13は、検索対象とする交差点を規定する交差点検索条件を設定する。具体的には、操作部4の操作に応じて、検索対象とする交差点の条件、例えば道路の幅員、レーン数、国道や県道といった道路の種別等を設定する。この交差点検索条件設定手段13で設定された交差点検索条件は、交差点検索手段14に送られる。交差点検索手段14は、地図データ取得手段11で取得された地図データに基づいて、経路探索手段12から送られてくる案内経路データで示される経路上であって現在位置検出手段10で検出された位置から目的地までの間に存在する交差点の中から、交差点検索条件設定手段13で設定された交差点検索条件に従って、現在位置の近傍の交差点を検索する。この交差点検索手段14で検索された交差点を表す交差点名称は、交差点名称出力手段15に送られる。
【0027】
交差点名称出力手段15は、最近傍の交差点から幾つかの交差点の名称を表示部6に送る。これにより、例えば図8に示すように、表示部6の画面の左半分に交差点名称が表示される。施設検索条件設定手段16は、検索対象とする施設を規定する施設検索条件を設定する。具体的には、操作部4の操作に応じて、検索対象とする施設の交差点からの距離または走行時間、交差点からの進路(直進および左折のみ、直進および右折のみ、主要道路、優先道路)の制限、施設の種類(ホテル、レストラン、ガソリンスタンド等)、施設が有する機能(駐車場の有無等)を設定する。この施設検索条件設定手段16で設定された施設検索条件は、施設検索手段18に送られる。
【0028】
交差点選択手段17は、操作部4の操作によって、交差点名称出力手段15により表示部6に表示された交差点名称が指定されることにより交差点を選択する。この交差点選択手段17で選択された交差点を表すデータは、施設検索手段18に送られる。施設検索手段18は、地図データ取得手段11で取得された地図データに基づいて、交差点選択手段17によって選択された交差点の周辺の施設を、施設検索条件設定手段16で設定された施設検索条件に従って検索する。この施設検索手段18で検索された施設は、施設名称出力手段19に送られる。
【0029】
施設名称出力手段19は、検索された施設の名称を表示部6に送る。これにより、例えば図9に示すように、表示部6の画面の左半分に施設の名称がリスト形式で表示される。施設選択手段20は、操作部4の操作によって、施設名称出力手段19により表示部6に表示された施設名称が指定されることにより施設を選択する。この施設選択手段20で選択された施設を表すデータは、施設情報出力手段21に送られる。施設情報出力手段21は、選択された施設に関する詳細な情報を地図データ取得手段11で取得された地図データの中から抽出し、表示部6に送る。これにより、例えば図11に示すように、表示部6の画面の左半分に施設の詳細な情報が表示される。
【0030】
予想通過経路算出手段22は、自立航法センサ3を構成する角度センサから取得される進行方向を表す方位データと進行中の道路と交わる道路について、地図データ取得手段11で取得された地図データに含まれる道路幅員やレーン数などに基づきリンクコストを計算し、コストの小さいものを予想通過経路として算出する。なお、コストとは、経路探索のために道路幅員や道路種別、右折、左折等に応じた定数を乗じた値であり、誘導経路の適正化を図るために数値化されたものである。この予想通過経路算出手段22で算出された予想通過経路を表すデータは、交差点検索手段14に送られる。
【0031】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置の動作を説明する。
【0032】
ユーザは、まず目的地を設定して経路案内を開始する前に、自分の好みにあった探索条件や経路案内条件等の諸条件を設定する。即ち、経路の交差点周辺検索を行う場合は、経路案内中に交差点リストを表示する必要があるため、ユーザは、操作部4に対して所定の操作を行って、図3に示すような交差点リストの設定画面を呼び出す。そして、「Maneuver List」をONに設定する。これにより、交差点リストの表示が有効になり、図9に示すように、表示部6の画面の左半分に交差点リストが表示され、右半分に経路案内地図が表示される状態に設定される。また、交差点リストの設定画面では、ユーザに必要な施設リストを得るために、検索される交差点の条件、例えば「交差する道路の種別」、「国市道交差点」、「主要道路交差点」、「レーン数が2車線以上の交差点」などを指定できる。これらの条件としては、地図データに含まれる道路の属性や交差点の属性として格納されている情報を使用できる。
【0033】
また、施設検索条件を設定する場合は、ユーザは、操作部4に対して所定の操作を行って、図4に示すような施設検索条件の設定画面を呼び出す。そして、この画面上において、交差点から施設までの距離または到達時間、施設の駐車場の有無、到着が容易な施設を表す進入制限等を設定することができる。交差点から施設までの距離を設定する場合は、ユーザが施設検索を所望する交差点からの距離を指定する。交差点から施設までの到達時間が設定された場合は、自車の平均速度が距離に換算される。平均速度は、予め定数で設定されるか、自立航法センサ3を構成する速度センサから取得した速度データに基づいて算出される。到着が容易な施設(進入制限)としては、自車の進行方向に対して、直進または左折(直進または右折)を最優先として到達できる施設を指定する。この場合、地図データに含まれるリンクコストおよびノードコストなどといった経路探索情報を利用して施設検索が行われる。
【0034】
さらに、検索対象とする施設を制限したい場合は、図4に示す画面の「Select」ボタンを操作して図5に示すような施設種別の詳細を設定する画面を呼び出す。そして、検索対象とする施設を指定する。図5では、空港(AIRPORT)とガソリンスタンド(AUTOMOBILE CLUB)が選択された例を示している。以上のようにして設定された内容は、記憶型メモリ5bに登録される。このように、施設検索時に、登録された種類の施設のみが施設リストに表示されるので、ユーザは、必要な施設リストのみを表示させることができる。
【0035】
上述した設定が完了すると、制御部5によって、図6のフローチャートに示す交差点検索処理および図7のフローチャートに示す施設検索処理が実行される。
【0036】
まず、案内経路データが既に存在するかどうかが調べられる(ステップST10)。即ち、経路探索手段12によって経路探索がなされているかどうかが調べられる。ここで、案内経路データが存在しない(行き先地が指定されていない)ことが判断されると、次いで、行き先地が指定されたかどうかが調べられる(ステップST11)。ここで、行き先地が指定されたことが判断されると、案内経路の計算、つまり経路探索が実行される(ステップST12)。その後、シーケンスはステップST14に進む。上記ステップST11で行き先が指定されていないことが判断されると、予想通過経路の計算が行われる(ステップST13)。即ち、予想通過経路算出手段22は、予想通過経路を算出し、予想通過経路データとして交差点検索手段14に送る。その後、シーケンスはステップST14に進む。上記ステップST10で、案内経路データが存在することが判断されると、シーケンスはステップST14に進む。
【0037】
ステップST14では、案内経路データによって示される経路または予想通過経路データによって示される予想通過経路に存在する交差点が取得される。そして、交差点リストが作成される。交差点リストは、自車両の近傍の幾つかの交差点について、通過予定順に、その交差点名称をリストアップしたものである。次いで、自車位置情報が取得される(ステップST15)。即ち、交差点検索手段14は、現在位置検出手段10から現在位置データを取得する。次いで、案内経路から外れたかどうかが調べられる(ステップST16)。これは、ステップST15で取得された現在位置データで示される位置が案内経路上に存在するかどうかを調べることにより行われる。ここで、案内経路を外れたことが判断されると、案内経路の再計算が実行される(ステップST17)。その後、シーケンスはステップST18に進む。
【0038】
上記ステップST16において、案内経路から外れていないことが判断されると、直近交差点を通過したかどうかが調べられる(ステップST21)。ここで、直近交差点を通過したことが判断されると、シーケンスはステップST18に進む。一方、直近交差点を通過していないことが判断されると、シーケンスはステップST19に進む。
【0039】
ステップST18では、交差点リストの更新が行われる。次いで、地図および交差点リストの表示が更新される(ステップST19)。次いで、交差点周辺の施設検索が行われる(ステップST20)。この交差点周辺の施設検索では、詳細は後述するが、ユーザによって指定された交差点の周辺施設の検索が行われる。その後、シーケンスはステップST15に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0040】
以上の処理により、図8に示すように、経路案内中の表示部6の画面の左半分には近傍の交差点リストが常に表示され、右半分に自車位置マークを含む経路案内の地図が表示される。そして、交差点リストは、自車が直近交差点を通過した場合、または自車が案内経路から外れて案内経路の再計算が行われた場合に更新される。また、自車の現在位置を表す自車位置マークを含む地図は、現在位置が変化する毎に更新される。なお、図3に示す画面表示例では、画面が2分割され、交差点リストは左側に表示されているが、これは1例であり画面上に経路案内の地図と交差点リストとが同時に表示されていれば、画面分割数や交差点リスト数等のレイアウトは任意である。
【0041】
次に、上記ステップST20で行われる交差点周辺の施設検索処理の詳細を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0042】
この施設検索処理では、まず、交差点が選択されたかどうかが調べられる(ステップST30)。交差点の選択方法としては、交差点リストからリモートコントローラ、ジョイスティック、十字ボタン、音声認識等により、交差点名称を選択したり、予め定められている交差点1、交差点2といったボタンを押下することにより選択する方法、操作部4がタッチパネルで構成されている場合は、交差点リストから所望の交差点をタッチして選択する方法などを採用できる。
【0043】
ステップST30で、交差点が選択されなかったことが判断されると、シーケンスは、この施設検索処理から図6のフローチャートに示す処理にリターンする。一方、交差点が選択されことが判断されると、次いで、検索条件の取得が行われる(ステップST31)。即ち、施設検索条件設定手段16によって設定された施設検索条件が取得される。次いで、周辺施設検索が実行される(ステップST32)。即ち、施設検索手段18は、地図データ取得手段11によって地図データベースから取得された地図データに基づいて、ステップST30において交差点選択手段17によって選択された交差点の周辺の施設を、ステップST32において施設検索条件設定手段16によって設定された施設検索条件に従って検索する。検索の範囲は、交差点位置(緯度および経度)から一定距離の範囲である。
【0044】
次いで、施設検索条件に該当する施設が存在するかどうかが調べられる(ステップST33)。ここで、施設検索条件に該当する施設が存在しないことが判断されると、その交差点の周辺の地図または該当する施設が存在しない旨のメッセージを表示して(ステップST34)施設検索処理を終了する。その後、シーケンスは、図6のフローチャートに示す処理にリターンする。一方、ステップST33において、施設検索条件に該当する施設が存在することが判断されると、施設リストおよび周辺地図の表示が行われる(ステップST35)。即ち、ステップST32で検索された施設の施設名称リストが作成され、図9に示すように、この作成された施設名称リストと交差点選択がなされた時の交差点の周辺地図とが施設名称出力手段19によって合成されて表示部6に表示される。なお、ステップST35では、図9に示すように、施設名称リストと交差点周辺地図とを表示するように構成したが、図10に示すように、施設名称リストと経路案内地図とを表示するように構成することもできる。この場合、図9に示すような施設名称リストと交差点周辺地図とを表示するか、図10に示すような施設名称リストと経路案内地図と表示するかをユーザが予め設定しておき、ステップST35では設定内容に従って表示するように構成することもできる。
【0045】
次いで、図9に示すような施設リストから1つの施設名称が選択されたかどうかが調べられる(ステップST36)。ここで、1つの施設が選択されたことが判断されると、施設の詳細情報が表示される(ステップST37)。即ち、施設情報出力手段21は、選択された施設に関する詳細な情報を地図データ取得手段11によって地図データベースから取得された地図データの中から抽出し、表示部6に送る。これにより、例えば図11に示すように、表示部6の画面の左半分に施設の詳細な情報が表示される。この場合、図12に示すように、表示部6の画面の全体に施設の詳細な情報が表示するように構成することもできる。これら施設の詳細な情報を表示する画面には、「Itinerary」ボタンおよび「Back」ボタンが形成されている。「Itinerary」ボタンは、その時点で表示部6に表示されている施設を経由地または目的地として登録するかどうかを指示するために使用される。また、「Back」ボタンは、初期の経路案内地図の画面に戻ることを指示するために使用される。
【0046】
次いで、登録指示があるかどうかが調べられる(ステップST38)。即ち、「Itinerary」ボタンが押下されたかどうかが調べられる。ここで、登録指示がある、つまり「Itinerary」ボタンが押下されたことが判断されると、選択された施設が経由地(または目的地)として記憶型メモリ5bに登録される(ステップST39)。その後、シーケンスは、図6のフローチャートに示す処理にリターンする。一方、ステップST38において、登録指示がない、つまり「Back」ボタンが押下されたことが判断されると、シーケンスは、図6のフローチャートに示す処理にリターンする。これにより、交差点リストと経路案内地図とが表示される初期画面に戻る。なお、上記ステップST36において施設名称が選択されない場合も、図6のフローチャートに示す処理にリターンする。
【0047】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置によれば、施設検索のために経路案内の画面から他の画面に切り替える必要がなく、また、表示部6に出力されている、現在位置から目的地までに存在する交差点の名称を操作部4によって指定するだけで、その交差点の近傍に存在する施設を検索して出力する。従って、交差点周辺の施設に関する情報を簡単な操作で提示できる。その結果、安全運転の面からも有益な効果が得られる。また、現在位置から目的地までの案内経路上または現在位置から車両の進行方向にある予想通過経路上に存在する交差点のみが検索の対象になるので、短時間で迅速に所望の施設を提示できる。
【0048】
また、国道なのか市道なのか等の交差する道路の種類・車線数や、右折を避け直進・左折優先にするとか、道に面した駐車場入口のある施設を優先するといった施設検索条件を設定できるので、ユーザの所望する施設の検索が容易になる。
【0049】
また、ユーザが各種の入力を行うために、音声認識やタッチパネルを利用することにより、施設検索の操作をさらに容易にすることができる。また、周辺施設の施設検索条件を事前に指定することにより、ユーザが所望する情報を的確に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置において使用される交差点リストの設定画面の例を示す。
【図4】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置において使用される施設検索条件の設定画面の例を示す。
【図5】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置において使用される施設種別の詳細を設定する画面の例を示す。
【図6】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置における交差点検索処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置における施設検索処理を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置における交差点リストの表示画面の例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置における交差点リストの表示画面の他の例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置における施設リストの表示画面の例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置における施設の詳細情報の表示画面の例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション装置における施設の詳細情報の表示画面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ディスク駆動部、2 GPS受信機、3 自立航法センサ、4 操作部、5 制御部、5a CPU、5b 記憶型メモリ、5c 一時メモリ、5d HDD、6 表示部、7 音声出力部、8 音声入力部、9 通信制御部、10 現在位置検出手段、11 地図データ取得手段、12 経路探索手段、13 交差点検索条件設定手段、14 交差点検索手段、15 交差点名称出力手段、16 施設検索条件設定手段、17 交差点選択手段、18 施設検索手段、19 施設名称出力手段、20 施設選択手段、21 施設情報出力手段、22 予想通過経路算出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路データ、交差点情報および施設情報を含む地図データを取得する地図データ取得手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記地図データ取得手段で取得された地図データに基づいて目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索された経路上であって前記現在位置検出手段で検出された現在位置から目的地までの間に存在する交差点の中から現在位置の近傍の交差点を検索する交差点検索手段と、
前記交差点検索手段で検索された交差点に付された交差点名称を出力する交差点名称出力手段と、
前記交差点名称出力手段により出力された交差点名称を指定することにより交差点を選択する交差点選択手段と、
前記交差点選択手段で選択された交差点の近傍に存在する施設を前記地図データ取得手段で取得された地図データから検索する施設検索手段と、
前記施設検索手段で検索された施設に付された施設名称を出力する施設名称出力手段と、
前記施設名称出力手段により出力された施設名称を指定することにより施設を選択する施設選択手段と、
前記施設選択手段で選択された施設に関する施設情報を前記地図データ取得手段で取得された地図データから抽出して出力する施設情報出力手段
とを備えたカーナビゲーション装置。
【請求項2】
検索対象とする施設を規定する施設検索条件を設定する施設検索条件設定手段を備え、
施設検索手段は、前記施設検索条件設定手段で設定された施設検索条件に従って、交差点選択手段で選択された交差点の近傍に存在する施設を前記地図データ取得手段で取得された地図データから検索することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
検索条件設定手段で設定される施設検索条件は、交差点選択手段で選択された交差点からの距離または走行時間を含むことを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
検索条件設定手段で設定される施設検索条件は、交差点選択手段で選択された交差点からの進路を規定する進路制限を含むことを特徴とする請求項2または請求項3記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
検索条件設定手段で設定される施設検索条件は、施設の種類または施設が有する機能を含むことを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
交差点選択手段および施設選択手段は、交差点名称出力手段により出力された交差点名称および施設名称出力手段により出力された施設名称をそれぞれ指定するためのキー、リモートコントローラ、タッチパネルまたは音声認識手段からなることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
検索対象とする交差点を規定する交差点検索条件を設定する交差点検索条件設定手段を備え、
交差点検索手段は、前記交差点検索条件設定手段で設定された交差点検索条件に従って、経路探索手段で探索された経路上であって現在位置検出手段で検出された現在位置から目的地までの間に存在する交差点の中から現在位置の近傍の交差点を検索することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
進行方位を検出する角度センサと、
前記角度センサにより検出された進行方位と地図データ取得手段で取得された地図データとに基づいて予想通過経路を算出する予想通過経路算出手段とを備え、
交差点検索手段は、経路探索手段による経路が探索されていない場合は、前記予想通過経路算出手段で算出された予想通過経路上に存在する交差点の中から現在位置の近傍の交差点を検索することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−78430(P2006−78430A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265352(P2004−265352)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】