カーボンナノチューブを活用した複合焼結材料及びその製造方法
この発明はカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を活用した複合焼結材料、及びその製造方法に関し、金属粉末とか、成形物、又は焼結物に、カーボンナノチューブを結合させるか、生成させる工程;前記工程から得られた金属粉末とか、成形物、或いは焼結物を成形、又は焼結してカーボンナノチューブを成長、及び合金化する工程;そして前記工程から得られた焼結物に、焼結工程とカーボンナノチューブ結合工程、又は生成工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程に行う。この発明のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料は、機械的、熱的、電気電子的特性が優れるから自動車用部品、及び電気電子機器用部品、宇宙航空機部品、金型及び切削工具素材として最適なものであること勿論、焼結温度も低いから材料、及び製造費用の節減をはかることが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む、以下同様)を活用した複合焼結材料及びその製造方法に関し、更に詳しくは、金属粉末にカーボンナノチューブを結合するか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成するか、或いは成形物や焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させた後に、カーボンナノチューブの成長、及び合金化させる工程を繰り返して機械的特性を強化させることを特徴とするカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料は、金属粉末粒子や、成形物、又は焼結物にカーボンナノチューブを均等に分散して結合するか、カーボンナノチューブを生成し成長、及び合金化させ焼結して得られる複合焼結材料であって、機械的、熱的、電気電子的特性に優れることは勿論、焼結温度が低くて材料及び製造費用の節減を図ることで出来、カーボンナノチューブを活用した複合焼結材料を含む自動車用部品、電気電子機器用部品、宇宙航空機部品、金型、及び切削工具素材に最適なものである。
【0003】
ナノチューブの代表格であるカーボンナノチューブ(CNT)は機械的、熱的、電気的特性が非常に優れ化学的、熱的にも安定であり、高弾性と高強度、及び伝導性がある複合材料に応用が出来るから、高分子、セラミック複合素材等、多様な分野の新素材として多くの技術研究が行われている物質である。
【0004】
周知のように、カーボンナノチューブは互いに強い凝集性があり、化学的安定性が高くて複合材料マトリックスに均等に分散し難いために、所望する特性のカーボンナノ複合材料を得ることが出来なかった。
【0005】
最近では、カーボンナノチューブの分散、及び化学処理を介したマトリックスとの強い結合力を用いて、前記カーボンナノチューブの優れた特性を得るための多方面の研究が進められている。
【0006】
公知の金属複合材料の製造方法の例として、酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体の内にマグネシウム蒸気を浸透、分散させると同時に、窒素ガスを注入して前記多孔質成形体の内に金属溶湯が浸透されるようにする鋳造方法と、炭素材料が分散された炭素系材料にエラストマーを用いる加圧、或いは非加圧浸透法で金属材料を溶湯に浸透させる方法が提案されているが、これらの方法から得られる複合材料の機械的、熱的、電気電子的特性は期待以下である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、前述した従来の問題点を解消するために研究開発されたもので、機械的、熱的、電気電子的特性が優れ、焼結温度が低いから材料及び製造費用の節減を図ることが出来、また自動車、電気電子、宇宙航空機等の部品や、金型及び切削工具素材等に最適な複合焼結材料及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を具現するこの発明の第1特徴は、カーボンナノチューブと金属粉末を結合して母合金を得る工程;前記工程から得られた母合金を成形し焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成されるか、カーボンナノチューブが含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0009】
この発明の第2特徴は、金属粉末にカーボンナノチューブを生成させる工程;カーボンナノチューブが生成された金属粉末で成形し焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0010】
この発明の第3特徴は、金属粉末からなる成形物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して前記成形物の気孔から金属粉末とカーボンナノチューブを結合させる工程;前記カーボンナノチューブが生成、又は結合された成形物を焼結してカーボンナノチューブを成長、或いは合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合する工程;及び前記カーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、若しくは焼結工程とカーボンナノチューブの含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0011】
この発明の第4特徴は、金属粉末を成形し焼結して得る焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して焼結物の気孔から金属粒子とカーボンナノチューブを結合させる工程;前記工程から得られた焼結物を再焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記カーボンナノチューブが成長されるか、合金化された焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0012】
この発明の第5特徴は、カーボンナノチューブを金属粉末に結合させて母合金を得るか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成させる工程;前記母合金、又はカーボンナノチューブが生成された金属粉末に他の金属粉末、或いはセラミック材料を混ぜ合わせる工程;前記工程から得られた混合物を成形し焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成されるか、カーボンナノチューブが含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0013】
この発明の第6特徴は、金属粉末にセラミック材料を混ぜ合わせる工程;前記工程から得られた混合物を成形、又は成形し焼結する工程;前記工程から得られた成形物、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;前記カーボンナノチューブが生成されるか、含浸結合された成形物、或いは焼結物を焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記カーボンナノチューブが成長、又は合金化された焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及びカーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された前記焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、若しくは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
この発明の第7特徴は、カーボンナノチューブと金属粉末を混ぜ合わせ結合して母合金を得るか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成させる工程;前記工程から得られた母合金、或いはカーボンナノチューブが生成された金属粉末に高分子材料を混ぜ合わせる工程;前記工程から得られた混合物を加熱装置から溶融してカーボンナノチューブを成長させる工程;前記工程から得られた混合溶融物を射出成形する工程;及び前記工程から得られた射出成形物を熟成する工程となる。
【0014】
この発明に関するカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料は、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合して母合金を得るか、又は成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸して結合するか、若しくは金属粉末粒子や成形物、焼結物にカーボンナノチューブを生成させた後、適宜に成形工程とか焼結工程を施すことにより、金属粉末粒子や成形物、又は焼結物に担持されたカーボンナノチューブが結合、成長、或いは合金化されて機械的、熱的、電気電子的特性が優れるようになる。
【0015】
この発明において、前記金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し結合させて母合金を得る工程や、成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程から添加されるカーボンナノチューブは、物理的、化学的処理を通じて分散された状態のものが好ましく、又、金属粉末や成形物、或いは焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程においては、まず金属粉末粒子や成形物、焼結物を化学的に処理した後に、炭化物が含有された液体とか、気体を注入することが望ましい。
【0016】
なお、前記カーボンナノチューブ生成工程からの化学的処理とは、ナイタル(NITAL:硝酸アルコール)、燐酸、フッ化水素酸(HF:Hydrofluoric)等の酸性溶液と、アンモニア、炭酸ガス、炭酸水、メタンガス、メタノール、アセチレン、ベンゼン等の炭化物が含有された液体、又は気体を採用出来る。
【0017】
前記カーボンナノチューブと結合させる工程からの金属粉末粒子、又はカーボンナノチューブを含浸する工程からの成形物と焼結物のマトリックス成分は、Fe、Ni、Co、W、Siが望ましいが、Fe、Ni、Co、W、Siが合金化されている合金粉末もよい。
【0018】
合金粉末に関する他の例としては、高融点金属粉末(Mo、Th、Ti等)、又は低融点金属粉末(Al、Cu、Bi、Pb、Cd、Zn、Ce、Cs、K、Na等)を採用出来る。
【0019】
また、カーボンナノチューブを生成する工程からの金属粉末粒子や成形物、焼結物のマトリックス成分もFe、Ni、Co、Siが望ましいが、Fe、Ni、Co、W、Siが合金化されている合金粉末もよい。
【0020】
この場合においても、合金粉末の他の例として前述した高融点金属粉末(Mo、Th、Ti等)、若しくは低融点金属粉末(Al、Cu、Bi、Pb、Cd、Zn、Ce、Cs、K、Na等)が採用出来る。
【0021】
この発明において、前記母合金を得る工程では、不活性ガス雰囲気下で温度300℃以下で加熱乾燥して母合金を得るか、又は金属粉末粒子から直接カーボンナノ粒子をカーボンナノチューブに成長させて母合金を得ることが好ましくて、金属粉末や成形物、或いは焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程では、不活性ガス雰囲気下で温度1200℃以下でカーボンナノチューブを生成させることが望ましくて、成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸させる工程では、含浸器で温度200℃以下で含浸させることが好ましく、カーボンナノチューブの成長工程では、不活性ガス雰囲気下で温度800℃以下でカーボンナノチューブを成長させることが望ましくて、カーボンナノチューブの合金化工程では、不活性ガス雰囲気下で温度900℃以上でカーボンナノチューブを合金化させることがよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度400℃のものを倍率200倍で撮った電子顕微鏡写真である。
【図2】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度500℃のものを倍率200倍で撮った電子顕微鏡写真である。
【図3】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度400℃のものを倍率400倍で撮った電子顕微鏡写真である。
【図4】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度400℃のものを倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度300℃のものを倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度500℃のものを倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度500℃のものを倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】図7において連結部位の部分拡大図である。
【図9a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度750℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図9b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度750℃のものを倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図10a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度900℃のものを倍率2000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図10b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度900℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図11a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを撮った走査型電子顕微鏡写真であって、aは倍率2500倍
【図11b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを撮った走査型電子顕微鏡写真であって、bは倍率25000倍である。
【図12a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1100℃のものを倍率1500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図12b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1100℃のものを倍率20000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図13a】この発明の実施例1において、純鉄粉末ABC100.30から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率2000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図13b】この発明の実施例1において、純鉄粉末ABC100.30から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率35000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図14a】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DABから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図14b】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DABから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率20000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図15a】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAEから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率2500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図15b】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAEから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率15000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図16a】この発明の実施例1において、鉄、錫の合金粉末KAPと純銅粉末から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図16b】この発明の実施例1において、鉄、錫の合金粉末KAPと純銅粉末から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを20000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図17】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたサンプルを1,000℃で焼結し曲げた部分の写真である。
【図18】この発明の実施例2から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度1,000℃で焼結し破断した断面の走査型電子顕微鏡写真(倍率50倍)である。
【図19a】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたDAEサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図19b】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたDAEサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率20,000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図20a】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたPASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図20b】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたPASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率20,000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図21】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた純鉄粉末AHC100.29サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図22】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた純鉄粉末ABC100.30サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図23】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DABサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図24】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAEサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図25】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図26】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄、錫の合金粉KAPサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図27】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた純銅粉末サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図28】靭性を付与するために、この発明の実施例4から得られたDAE粉末サンプル(密度6.8g/cm3)を1,100℃で再焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率25000倍)である。
【図29】この発明の実施例5から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末にカーボンナノチューブを生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率15000倍)である。
【図30a】この発明の実施例10から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図30b】この発明の実施例10から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図31a】この発明の実施例10から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図31b】この発明の実施例10から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図32a】この発明の実施例15から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率5000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【図32b】この発明の実施例15から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率25000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【図33a】この発明の実施例15から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率5000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【図33b】この発明の実施例15から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率20,000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の構成を実施例によって更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0024】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
【0025】
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス(Hoganas)社製品の純鉄粉末であるAHC100.29とABC100.30、また鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末であるDABとDAE、鉄と燐の合金粉末であるPASC60、鉄と錫の合金粉末であるKAP、そして純銅粉末に、分散されたカーボンナノチューブを混合し乾燥して所望の母合金を得た。
【0026】
この実施例1において、混合は分散されたカーボンナノチューブが均等に散らばるように、スプレ―方式の無重力混合器を用い、乾燥は不活性ガス雰囲気下で行った。
【0027】
なお、混合されたカーボンナノチューブは20nmの平均直径と10μmの長さになり、金属粉末粒子は50〜250μmの粒径になる商用製品を採用し、前記金属粉末とカーボンナノチューブとの配合は、カーボンナノチューブの含量が重量比基準で0.1wt%となるようにした。
【0028】
(b)成形工程
得られた母合金中、AHC100.29が混合された母合金は密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3、6.8g/cm3の四つに、そしてABC100.30、DAE、DAB、KAP、純銅粉末が混合された母合金は各々密度6.8g/cm3になるように、200tonプレスから加圧して各々の引張試験用試片形状のサンプル成形物を得た。また、前記密度値はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って焼結後の密度を測定したものである。
【0029】
(c)焼結工程
得られたAHC100.29の三つのサンプル成形物(密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3)を各々100℃、200℃、300℃、400℃、500℃の温度に、そして密度6.8g/cm3のサンプル成形物(AHC100.29、ABC100.30、DAE、DAB、KAP、純銅粉末)は各々750℃、900℃、1000℃、1100℃の温度で焼結した。また、焼結は窒素カス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉から1時間行い所望のサンプルを得た。
【0030】
2.電子顕微鏡による微細組織分析
得られたサンプル中、前記AHC100.29の三つの引張試験用試片に形成された開孔の大きさ、及び分布様態、純鉄粉末粒子の合金化程度を調査するために電子顕微鏡を通じて倍率200倍と400倍で測定した。
【0031】
また、電子顕微鏡から写真を撮影する為に、最終1μm粉末にウエハー(wafer)ポリッシングを実施したが、各々200℃、300℃、400℃、500℃で焼結した四つの引張試験用試片のみがポリッシング出来る機械的強度を持ち、100℃で焼結したサンプルはポリッシング途中に個々の粒子に砕けてポリッシングが出来なかった。
【0032】
図1はこの実施例1から得られたサンプル(密度6.2g/cm3)の焼結温度400℃のものから撮った電子顕微鏡写真(倍率200倍)であり、図2は焼結温度500℃のものから撮った電子顕微鏡写真(倍率200倍)であり、図3は焼結温度400℃のものから撮った電子顕微鏡写真(倍率400倍)である。
【0033】
図1乃至図3において、温度400℃で焼結されたサンプルの粉末粒子は形状を殆ど保持しているが、温度500℃で焼結されたサンプルの粉末粒子では既存の粉末冶金において鉄系粉末の焼結温度である1150℃で焼結した時に現れる焼結組織が形成されている。また、各々の粉末粒子ごとに微細な合金層(カーボンナノチューブの結合部位)が均等に分散された様相を示している。
【0034】
3.走査型電子顕微鏡(SEM)による微細組織分析
走査型電子顕微鏡を通じて前記工程から得られたAHC100.29の三つのサンプル(密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3)のカーボンナノチューブの分布形態と成長及び粉末粒子間の結合様態、そして破断時のカーボンナノチューブ形状を、倍率500倍と10000倍で測定した。
【0035】
図4はこの実施例1から得られたサンプル(密度6.2g/cm3)の焼結温度400℃のものから倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、図5は焼結温度300℃のものから倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、図6は焼結温度500℃のものから倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、そして図7は焼結温度500℃のものから倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、図8は前記図7に示した結合部位の部分拡大図である。
【0036】
図4乃至図8を見ると、カーボンナノチューブは全てのサンプルから均等に分散されるが、温度が高くなるほどカーボンナノチューブの成長速度も早くなるから、破断時に300℃ではカーボンナノチューブが成長しているが、互いに結合されない形状が多く存在している。しかし、温度500℃では殆ど結合されサンプル切断時に破断されることが分かる。
【0037】
また、カーボンナノチューブ(又は成長化合物)の終端部は粉末粒子と合金化されることにより結合し、成長化合物の破断形状は炭化物(セメンタイト、Fe3C)の斜方晶系の形状になり、結合部周辺の粉末粒子同士は焼結による結合となっている。
【0038】
なお、密度6.8g/cm3のサンプル(AHC100.29、ABC100.30、DAE、DAB、KAP、純銅粉末)において、各焼結温度(750℃、900℃、1000℃、1100℃)別カーボンナノチューブの分布形態と成長及び合金化形態、破断時のカーボンナノチューブ形状を走査型電子顕微鏡で調査した。
【0039】
図9はこの実施例1から得られたAHC100.29のサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度750℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率500倍、25000倍)であり、図10は焼結温度900℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍、5000倍)であり、図11は焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2500倍、25000倍)であり、図12は焼結温度1100℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1500倍、20000倍)であり、図13はABC100.30のサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍、35000倍)であり、図14はDABのサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍、20000倍)であり、図15はDAEサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2500倍及び15000倍)であり、図16はKAPのサンプルの焼結温度750℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍、20000倍)である。
【0040】
図9乃至図16を見ると、温度750℃、及び900℃では均等に分散された小さなカーボンナノチューブは消え去り、大きなカーボンナノチューブだけが存在することが分かり、前記大きなカーボンナノチューブ形状においても、チューブの形状はまだ残っているが、1000℃及び1100℃ではカーボンナノチューブ同士が固まっている様子に化しながら金属粒子の表面を覆っている様相となり、また、カーボンナノチューブが結合した部分では合金化が進められて、焼結温度が高くなるほど合金化される部分が広がることが分かる。
【0041】
前述したように、粉末粒子にカーボンナノチューブを均等に分散結合させた母合金を焼結すると、焼結温度の上昇に伴ってカーボンナノチューブと粉末粒子間の合金化が進められるだけでなく、カーボンナノチューブ同士が合体しながら成長し、特定温度以上ではチューブの形状がひび割れながら粉末粒子の表面を覆うことにより、前記粉末粒子との合金化が持続的に進められることが分かる。
【0042】
一方、KAPと純銅粉末の各々にカーボンナノチューブを分散結合させた母合金を焼結したサンプルではカーボンナノチューブが発見されなかった。
【0043】
4.硬度試験による機械的物性測定
この実施例1から得られたサンプルをビッカス硬度計でKSB0811(ビッカス硬度試験方法)に従う測定方法で機械的物性値を測定した。この際に試験荷重は98.1N(10kg)にして、10点測定後に上下各二つの測定値を除いて残り6点の平均値から硬度を算出した。
【0044】
密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3のAHC100.29のサンプルに関する焼結温度別ビッカス硬度試験結果を表1に示す。
【0045】
表1を見ると、既存粉末冶金からは硬度値の測定が不可能な程度の低い焼結温度にも拘らず、400℃と500℃から硬度値が測定され、また密度が増加するほど各焼結温度別硬度値も高まることが分かる。
【0046】
次に、密度6.8g/cm3の各サンプル(AHC100.29、ABC100.30、DAB、DAE、KAP、純銅)に関する焼結温度別ビッカス硬度試験結果を表2に示す。
【0047】
表2を見ると、既存の粉末冶金焼結温度(註1)より低い温度(1000℃以下)でも硬度値が非常に高く測定されるから、この発明は既存粉末冶金に比べて低い温度で焼結物の製造が出来ることを示唆し、ただ、1000℃と1100℃から焼結した二つのサンプルは硬度値が粉末種類別に異なるから、カーボンナノチューブの合金化温度は粉末種類別に差があることが分かる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
註1)自動車構造用焼結合金の場合、ビッカス硬度値は焼結完成品基準(焼結温度、大略1150℃)に、少なくともSMF4020Mは60、SMF4030Mは80、SMF4040Mは100、SMF9060Mは200である。
【0051】
(5)引張試験による機械的物性測定
この実施例1から得られたサンプル中から密度6.8g/cm3である各サンプル(AHC100.29、ABC100.30、DAB、DAE、KAP、純銅)をJISZ2550(機械構造部品用焼結材料)に基づいた試片に作り、これを容量500kNの万能材料試験機でKSB0802試験法(金属材料引張試験方法)に従う引張試験を行った。
【0052】
引張試験結果を次の表3に示す。
【0053】
表3を見ると、既存の粉末冶金焼結温度(註2)より低い温度(1000℃以下)でも引張強度を持っているが、カーボンナノチューブの含量0.1%では強度増加効果が足りないことが分かる。
【0054】
【表3】
【0055】
註2)自動車構造用焼結合金の場合、引張強度は焼結完成品基準(焼結温度大略1150℃)にSMF4020Mは20以上、SMF4030Mは30以上、SMF4040Mは40以上、SMF9060Mは60以上である。
【実施例2】
【0056】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
実施例1と同様に行った。
【0057】
(b)成形工程
AHC100.29、ABC100.30、DAB、DAE、KAP、純銅から得られた母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用試片形状になるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0058】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物を各々1000℃、1100℃の温度で1時間焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様に行った。
【0059】
(d)カーボンナノチューブ生成工程(靭性付与工程)
前記工程から得られた焼結物をHF希釈溶液やナイタル、燐酸に浸し、適宜な温度からアンモニアを注入した後、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してカーボンナノチューブが生成させることにより靭性を付与して所望のサンプルを得た。
【0060】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
得られたサンプルを走査型電子顕微鏡でカーボンナノチューブの分布形態と粉末粒子間結合様態、破断時の形状を測定した。
【0061】
前記測定は走査型電子顕微鏡倍率を50倍、1000倍、5000倍、20000倍で実施した。
【0062】
図17はこの発明の実施例2から1000℃で焼結して靭性を付与したサンプルのベンディング写真であり、図18は1000℃で焼結して靭性を付与した後、破断した断面の走査型電子顕微鏡写真(倍率50倍)であり、図19は1000℃で焼結して靭性を付与したDAEのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍と20000倍)であり、図20は1000℃で焼結して靭性を付与したPASC60のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍と20000倍)であり、図21は1000℃で焼結して靭性を付与したAHC100.30のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図22は1000℃で焼結して靭性を付与したABC100.30サンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図23は1000℃で焼結して靭性を付与したDABのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図24は1000℃で焼結して靭性を付与したDAEのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図25は1000℃で焼結して靭性を付与したPASC60のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図26は1000℃で焼結して靭性を付与したKAPのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図27は1000℃で焼結して靭性を付与した純銅のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【0063】
図17乃至図27を見ると、全てのサンプルから靭性付与後にカーボンナノチューブが均等に生成、結合され、金属粉末の表面にカーボンナノチューブがネット状に生成されて破断時に破断部位に沿って割れ出すことが分かり、これは前記焼結物が靭性を備えることを示唆することである。
【0064】
しかし、KAPのサンプルと純銅のサンプルではカーボンナノチューブの存在を発見しなかった。これはカーボンナノチューブを活用した銅や銅合金粉末の機械的、電気電子的、熱的特性を強化するには、Fe、Niの母合金粉末やFe、Ni粉末にカーボンナノチューブを生成した後に混合し焼結しなければならないことを示唆する。
【0065】
3.引張試験による機械的物性測定(実施例1の5と同様)
引張試験結果を次の表4に示す。
表4を見ると、靭性付与工程を経ても引張強度は靭性付与前と比べて大きく変わらないが、延伸率が非常に増加することが分かる。
【0066】
【表4】
【0067】
註3)自動車構造用焼結合金の場合、延伸率は焼結完成品基準(焼結温度大略1150℃)にSMF4020Mは1.0%以上、SMF4030Mは2.0%以上、SMF4040Mは1.2%以上、SMF9060Mは1.5%以上である。
【0068】
前述したように、この発明は焼結物に存在する気孔と接する金属粉末にカーボンナノチューブを生成、結合させることにより靭性を増加させるので、脆性が強い既存の焼結材料とは異なり、機械的特性が優れた複合焼結材料を提供する。
【実施例3】
【0069】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
実施例1と同様に行った。
【0070】
(b)成形工程
得られた母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用試片形状となるように200tonプレスから加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望のサンプル成形物を得た。
【0071】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物に1100℃の温度で1時間焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望の焼結物を得た。
【0072】
(d)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
得られた焼結物を前記実施例2と同様に施して靭性を付与した。
【0073】
(e)再焼結工程
靭性が付与された焼結物を窒素雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で焼結温度1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0074】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表5に示す。
【0075】
表5を見ると、温度1100℃から1時間再焼結した後の引張強度と延伸率測定結果は、延伸率の場合に靭性を付与したサンプルに比べて変化が殆どないが、引張強度は非常に増加することが分かる。
【0076】
【表5】
【0077】
前述したように、この発明は、焼結物に存在する気孔と接する金属粉末に生成、結合されるカーボンナノチューブを再焼結して成長、合金化すると、強度の増加のみならず靭性も保持されるから、より強化された機械的特性の複合焼結材料を提供するものである。
【実施例4】
【0078】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
実施例1と同様に行って所望の母合金を得た。
【0079】
(b)成形工程(実施例1と同様)
得られた母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用試片となるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望のサンプル成形物を得た。
【0080】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物を1100℃の温度で1時間焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望の焼結物を得た。
【0081】
(d)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
前記実施例2と同様に施した。
【0082】
(e)再焼結工程
前記実施例3と同様に施した。
【0083】
(f)靭性再付与工程
前記実施例2の工程(d)と同様に施して所望のサンプルを得た。
【0084】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られるサンプルからカーボンナノチューブの生成及び成長、合金化形状を走査型電子顕微鏡で調査した。
【0085】
図28はこの発明の実施例4から温度1100℃で再焼結した後、再び靭性を再付与したDAEのサンプルに関する走査型電子顕微鏡写真(倍率25000倍)である。
【0086】
図28を見ると、金属粉末粒子に混合されたカーボンナノチューブと靭性付与工程から生成されたカーボンナノチューブの成長の途中に合金化されることが分かり、再焼結した後の靭性再付与工程を経ながらカーボンナノチューブが再生成されることも分かる。これは焼結→靭性付与→再焼結→靭性再付与→再焼結工程を繰り返すことにより機械的物性をより一層強化することが出来ることを示唆する。
【実施例5】
【0087】
1.サンプル作り
(a)金属粉末粒子にカーボンナノチューブ生成工程
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品の鉄と燐の合金粉末のPASC60に、HF希釈溶液、又はナイタル、燐酸をスプレ―方式の無重力混合器で均等に混合した後、適宜な温度に熱を加えながらアンモニアを注入し、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してPASC60にカーボンナノチューブを生成させた母合金を得た。
【0088】
(b)成形工程
得た母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用のサンプル成形物となるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、密度測定とそれ以外は前記実施例1と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0089】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度600℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0090】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られるサンプルから金属粉末粒子に生成されたカーボンナノチューブが温度600℃で焼結する際に成長した形状を走査型電子顕微鏡で測定した。
【0091】
図29はこの発明の実施例5から得られた、カーボンナノチューブが生成された金属粉末粒子を温度600℃で焼結したサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1500倍)である。
【0092】
図29を見ると、カーボンナノチューブが金属粉末粒子にカーボン粒子と一緒に生成され前記金属粉末粒子の表面を覆っているが、カーボンナノチューブを均等に分散し結合させたサンプルとは異なり、温度600℃での焼結においても粗大なカーボンナノチューブに成長しないでいることが分かる。
【実施例6】
【0093】
1.サンプル作り
(a)金属粉末粒子にカーボンナノチューブ生成工程
前記実施例5と同様に行って所望の母合金を得た。
【0094】
(b)成形工程
前記実施例5と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0095】
(c)焼結工程
得られた母合金を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0096】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
焼結温度1100℃のものからの引張試験結果を次の表6に示す。
表6を見ると、この実施例のサンプルにおいて、0.1%のカーボンナノチューブを混合し結合した実施例1のサンプルより引張強度と延伸率が増加することが分かる。
【0097】
これは金属粉末粒子に生成されたカーボンナノチューブを計量し難いが、0.1%のカーボンナノチューブを混合した場合に比べて、より多くの量のカーボンナノチューブが形成されるためと考えられ、又は金属粉末粒子と混合し結合されるカーボンナノチューブは、特定温度以上の焼結ではチューブの形状が割れ出して、延伸率のような機械的物性に効果が少ない反面に、金属粉末粒子に形成されたカーボンナノチューブは温度1100℃でもその形状と延伸率が保持されるためと考えられる。
【0098】
また、金属粉末粒子に分散し結合させたカーボンナノチューブの量が増加するほど引張強度も増加することが分かるが、生成されるカーボンナノチューブの量を計量し難いから予め所望の機械的物性に附合する作業条件を設定する必要がある。
【0099】
【表6】
【実施例7】
【0100】
1.サンプル作り
(a)金属粉末粒子にカーボンナノチューブ生成工程
前記実施例5と同様に行った。
【0101】
(b)成形工程
前記実施例6と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0102】
(c)焼結工程
前記実施例6と同様に施して所望のサンプル焼結物を得た。
【0103】
(d)カーボンナノチューブ追加生成工程
前記実施例2の工程(d)と同様に施した。
【0104】
(e)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物に温度600℃と1100℃で1時間再焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例3と同様な工程を行って所望のサンプルを得た。
【0105】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表7に示す。
表7を見ると、カーボンナノチューブ生成工程と再焼結工程を経た後の引張強度と延伸率測定結果は、延伸率の場合金属粉末粒子にカーボンナノチューブを生成し焼結したサンプルと比べて殆ど差がなかった。また、引張強度の場合は温度600℃で再焼結したサンプルは殆ど差がなかったが、温度1100℃で再焼結したサンプルは10%程度の増加を示している。これは実施例6から得られたサンプルにカーボンナノチューブを追加に生成し再焼結する際に、合金化が形成される温度で焼結すると機械的強度が増加することを示唆する。
【0106】
【表7】
【実施例8】
【0107】
1.サンプル作り
(a)成形工程
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品、PASC60とDAEを200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用のサンプル成形物を得た。また、密度測定はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って行った。
【0108】
(b)成形物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程
得られるサンプル成形物を真空含浸機に入れ、カーボンナノチューブが分散した有機溶液を前記サンプル成形物の気孔に含浸させ、適宜な温度の熱を加えて前記サンプル成形物の気孔に接する金属粉末粒子にカーボンナノチューブを結合させた。
【0109】
(c)焼結工程
前記工程を経たサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0110】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表8に示す。
表8を見ると、サンプル成形物にカーボンナノチューブを含浸し焼結したサンプルが、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し焼結したサンプルと比べて機械的強度が弱いことが分かる。
【0111】
これは成形物にカーボンナノチューブを含浸し焼結すると、サンプル成形物に存在する気孔にカーボンナノチューブが結合し成長、及び合金化されるために、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し焼結したサンプルと比べて、カーボンナノチューブの分布がもっと不均等になり、また、カーボンナノチューブの量も少なくて機械的強度が弱くなることを示唆する。
【0112】
【表8】
【実施例9】
【0113】
1.サンプル作り
(a)成形工程
前記実施例8と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0114】
(b)成形物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程
得られたサンプル成形物に前記実施例8と同様な工程を施した。
【0115】
(c)焼結工程
前記実施例8と同様に行って所望のサンプル焼結物を得た。
【0116】
(d)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
得られたサンプル焼結物をHF希釈溶液やナイタル、燐酸に浸し、適宜な温度でアンモニアを注入した後、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してカーボンナノチューブが生成させることにより靭性を付与した。
【0117】
(e)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物に温度600℃と1100℃で1時間再焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例3と同様に行って所望のサンプルを得た。
【0118】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表9に示す。
【0119】
表9を見ると、実施例8のサンプル成形物にカーボンナノチューブを含浸し焼結してカーボンナノチューブを生成させ、温度600℃で再焼結したサンプルの引張強度は、前記実施例8のサンプルと比べて殆ど変化がなかったが、温度1100℃で再焼結したサンプルの引張強度は実施例8のサンプルより大きく増加することが分かる。
【0120】
これは生成されたカーボンナノチューブの合金化温度以上に再焼結すると強度が増加することを示唆する。また、延伸率は再焼結温度別に差があるが、カーボンナノチューブが生成されると再焼結温度に関係なく類似な延伸率を持つことを示唆する。
【0121】
【表9】
【実施例10】
【0122】
1.サンプル作り
(a)成形工程
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品、鉄合金粉末であるPASC60とDAEを密度6.8g/cm3の引張サンプルとなるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0123】
(b)成型物にカーボンナノチューブ生成工程
得られるサンプル成型物をHF希釈溶液やナイタル、燐酸に浸し、適宜な温度の熱を加えながらアンモニアを注入した後、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してカーボンナノチューブが生成させることにより靭性を付与した。
【0124】
(c)焼結工程
靭性が付与されたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度600℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0125】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られたサンプルを温度600℃で焼結する際のカーボンナノチューブの成長形状を走査型電子顕微鏡で測定した。
【0126】
図30は、この発明の実施例10のカーボンナノチューブが生成されたPASC60のサンプルを温度600℃で焼結する際の倍率20000倍(a)と50000倍(b)の走査型電子顕微鏡写真であり、図31はカーボンナノチューブが生成されたDAEのサンプルを温度600℃で焼結する際の倍率5000倍(a)と25000倍(b)の走査型電子顕微鏡写真である。
【0127】
図30と図31を見ると、カーボンナノチューブが成形物の気孔に接した金属粉末粒子から網目状に生成されていることが分かるが、カーボンナノチューブを混合し焼結したサンプルとは異なり、生成されたカーボンナノチューブは焼結温度600℃でも粗大なカーボンナノチューブの形状に成長しないでいることを示している。
【実施例11】
【0128】
1.サンプル作り
(a)成形工程
前記実施例10と同様に行ってサンプル成形物を得た。
【0129】
(b)カーボンナノチューブ生成工程
前記実施例10と同様に行った。
【0130】
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0131】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表10に示す。
【0132】
表10を見ると、成形物の気孔に接した金属粉末粒子にカーボンナノチューブが生成されたので、引張強度は金属粉末粒子にカーボンナノチューブを生成したサンプルに比べて低いが、表6のように、0.1%のカーボンナノチューブを混合し結合した実施例1のサンプルに比べて引張強度が増加することが分かり、これは複合焼結金属材料の機械的強度を増加させるには、増加されたカーボンナノチューブの量に混合、又は生成させなければならないことを示唆する。
【0133】
【表10】
【実施例12】
【0134】
1.サンプル作り
(a)成形工程
前記実施例10と同様に行って所望の成形物を得た。
【0135】
(b)カーボンナノチューブ生成工程
前記実施例10と同様に行った。
【0136】
(c)焼結工程
カーボンナノチューブが生成されたサンプルを前記実施例10と同様に焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0137】
(d)カーボンナノチューブ追加生成工程
得られたサンプル焼結物に前記実施例10と同様な工程を施した。
【0138】
(e)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で各々温度600℃と1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0139】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表11に示す。
【0140】
表11を見ると、引張強度はカーボンナノチューブを成形物に含浸し焼結した後にカーボンナノチューブを生成させたサンプルに比べて、成形物にカーボンナノチューブを生成させ焼結した後に再び追加にカーボンナノチューブを生成させたサンプルの方が高く、延伸率はほぼ同じ程度であった。これはサンプルの気孔にカーボンナノチューブを形成させると焼結物の脆性が改善されることを示唆するものである。
【0141】
【表11】
【実施例13】
【0142】
(1)サンプルの製作
(a)混合工程
【0143】
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品の鉄合金粉末であるPASC60とDAEに、HF希釈溶液やナイタル、燐酸をスプレ―方式の無重力混合機で混合して所望の母合金を得た。ここで、前記PASC60は商用製品として粒径が50〜250μmのものを用いた。
【0144】
(b)成形工程
得られる母合金を200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用サンプル成形物を得た。また、密度測定はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って行った。
【0145】
(c)成形物にカーボンナノチューブ生成工程
得られたサンプル成形物に適正な温度の熱を加えながらアンモニアを注入した後に、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入して成形物にカーボンナノチューブを生成させた。
【0146】
(d)焼結工程
実施例12と同様に焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0147】
(e)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
得られたサンプル焼結物に実施例10と同様な工程を施してカーボンナノチューブを生成した。
【0148】
(f)再焼結工程
前記工程を経たサンプル焼結物を前記実施例12と同様に再焼結して所望のサンプルを得た。
【0149】
(2)引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表12に示す。
表12を見ると、混合工程から化学的処理を通じてカーボンナノチューブを生成したサンプルが、成形した後の化学的処理によりカーボンナノチューブが生成されたサンプルに比べて機械的強度が高くなることが分かる。
【0150】
これは炭化物を含有した気体で金属粉末粒子状態から化学処理すると、カーボンナノチューブの生成に更に有利になることを示唆する。
【0151】
【表12】
【実施例14】
【0152】
1.サンプル作り
(a)成形工程
【0153】
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品、PASC60とDAEを200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用のサンプル成形物を得た。また、密度測定はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って行った。
【0154】
(b)焼結工程
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0155】
(c)焼結物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程
得られるサンプル焼結物を真空含浸機に入れ、カーボンナノチューブが分散した有機溶液を前記サンプル焼結物の気孔に含浸させ、適宜な温度の熱を加えて前記サンプル焼結物の気孔に接する金属粉末粒子にカーボンナノチューブを結合させた。
【0156】
(d)再焼結工程
前記工程を経たサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0157】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表13に示す。
【0158】
表13を見ると、焼結した後にカーボンナノチューブを含浸し再び再焼結したサンプルに比べて、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し焼結した後に再焼結したサンプルの引張強度が高くなることが分かる。また、焼結した後にカーボンナノチューブを含浸し再び再焼結したサンプルの場合には延伸率が殆どなかった。これは焼結物に含浸されたカーボンナノチューブが焼結物の気孔に含浸結合されるが、温度1100℃に再焼結する際にチューブの形状が割れて、延伸率の向上効果が消え去るからである。
【0159】
【表13】
【実施例15】
【0160】
1.サンプル作り
(a)成形工程
自動車構造用焼結合金に使用されているスウェーデン国ホガナス社の鉄合金粉末、PASC60とDAE粉末を200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用サンプル成形物を得た。そしてその外の密度測定等は実施例1と同様にした。
【0161】
(b)焼結工程
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0162】
(c)焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程
【0163】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られるサンプルから焼結物に生成されたカーボンナノチューブの形状を調査した。
【0164】
図32はこの実施例15からカーボンナノチューブが生成されたPASC60の焼結物に関する走査型電子顕微鏡写真(aは倍率5000倍、bは25000倍)であり、図33はカーボンナノチューブが生成されたDAEの焼結物に関する走査型電子顕微鏡写真(aは倍率5000倍、bは20000倍)である。
【0165】
図32と図33を見ると、カーボンナノチューブがサンプルの気孔に接した金属粉末粒子から網目形状に生成されていることが分かり、これによって脆性がある焼結物に靭性が付与される。
【0166】
3.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験の結果を次の表14に示す。
表14を見ると、サンプルの気孔に接した金属粉末粒子にカーボンナノチューブを生成したので機械的強度が不利だと考えられるが、表6の場合と類似して、0.1%のカーボンナノチューブを混合し結合した実施例2のサンプルに比べて引張強度が増加することが分かる。
【0167】
従って、金属粉末粒子に生成されたカーボンナノチューブを計量し難いが、0.1%のカーボンナノチューブを混合した場合に比べて、より多くの量のカーボンナノチューブが形成されると考えられ、一方、延伸率は幾らか少なく示された。
【0168】
【表14】
【実施例16】
【0169】
1.サンプル作り
(a)成形工程
実施例15と同様に成形して所望のサンプル成形物を得た。
【0170】
(b)焼結工程
実施例15と同様に焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0171】
(c)焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程
実施例15と同様な工程を行った。
【0172】
(d)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で各々温度600℃と1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0173】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験の結果を次の表15に示す。
表15を見ると、サンプル焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成させた後に再焼結し合金化させることにより引張強度が大きく増加することが分かる。これはカーボンナノチューブの生成工程と焼結工程を繰り返すことにより機械的物性を向上出来ることを示唆する。
【0174】
【表15】
【実施例17】
【0175】
1.サンプル作り
(a)引張試験用サンプル焼結工程
自動車構造用焼結合金であるSMF4040Mを焼結してサンプル焼結物を得た。
【0176】
(b)焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程
前記実施例15と同様な工程を行った。
【0177】
(c)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0178】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験の結果を次の表16として示す。
表16を見ると、既存焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸し結合させた後に、焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返すことにより前記既存焼結物の機械的特性が向上されることが分かる。
【0179】
【表16】
【0180】
前述したように、この発明のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料は、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを均等に結合するか、生成させ成長及び合金化し焼結完成するか、成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸結合するか、又は成形物や焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成させ成長及び合金化し焼結完成することにより自動車用部品等の素材として活用可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0181】
前述したように、この発明のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料及びその製造方法によると、機械的、熱的、電気電子的特性が優れて自動車用部品、電気電子機器用部品、宇宙航空機部品、金型及び切削工具素材に適合する。また、製造する際の焼結温度が低いからコスト節減効果もある。
【技術分野】
【0001】
この発明はカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む、以下同様)を活用した複合焼結材料及びその製造方法に関し、更に詳しくは、金属粉末にカーボンナノチューブを結合するか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成するか、或いは成形物や焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させた後に、カーボンナノチューブの成長、及び合金化させる工程を繰り返して機械的特性を強化させることを特徴とするカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料は、金属粉末粒子や、成形物、又は焼結物にカーボンナノチューブを均等に分散して結合するか、カーボンナノチューブを生成し成長、及び合金化させ焼結して得られる複合焼結材料であって、機械的、熱的、電気電子的特性に優れることは勿論、焼結温度が低くて材料及び製造費用の節減を図ることで出来、カーボンナノチューブを活用した複合焼結材料を含む自動車用部品、電気電子機器用部品、宇宙航空機部品、金型、及び切削工具素材に最適なものである。
【0003】
ナノチューブの代表格であるカーボンナノチューブ(CNT)は機械的、熱的、電気的特性が非常に優れ化学的、熱的にも安定であり、高弾性と高強度、及び伝導性がある複合材料に応用が出来るから、高分子、セラミック複合素材等、多様な分野の新素材として多くの技術研究が行われている物質である。
【0004】
周知のように、カーボンナノチューブは互いに強い凝集性があり、化学的安定性が高くて複合材料マトリックスに均等に分散し難いために、所望する特性のカーボンナノ複合材料を得ることが出来なかった。
【0005】
最近では、カーボンナノチューブの分散、及び化学処理を介したマトリックスとの強い結合力を用いて、前記カーボンナノチューブの優れた特性を得るための多方面の研究が進められている。
【0006】
公知の金属複合材料の製造方法の例として、酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体の内にマグネシウム蒸気を浸透、分散させると同時に、窒素ガスを注入して前記多孔質成形体の内に金属溶湯が浸透されるようにする鋳造方法と、炭素材料が分散された炭素系材料にエラストマーを用いる加圧、或いは非加圧浸透法で金属材料を溶湯に浸透させる方法が提案されているが、これらの方法から得られる複合材料の機械的、熱的、電気電子的特性は期待以下である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、前述した従来の問題点を解消するために研究開発されたもので、機械的、熱的、電気電子的特性が優れ、焼結温度が低いから材料及び製造費用の節減を図ることが出来、また自動車、電気電子、宇宙航空機等の部品や、金型及び切削工具素材等に最適な複合焼結材料及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を具現するこの発明の第1特徴は、カーボンナノチューブと金属粉末を結合して母合金を得る工程;前記工程から得られた母合金を成形し焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成されるか、カーボンナノチューブが含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0009】
この発明の第2特徴は、金属粉末にカーボンナノチューブを生成させる工程;カーボンナノチューブが生成された金属粉末で成形し焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0010】
この発明の第3特徴は、金属粉末からなる成形物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して前記成形物の気孔から金属粉末とカーボンナノチューブを結合させる工程;前記カーボンナノチューブが生成、又は結合された成形物を焼結してカーボンナノチューブを成長、或いは合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合する工程;及び前記カーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、若しくは焼結工程とカーボンナノチューブの含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0011】
この発明の第4特徴は、金属粉末を成形し焼結して得る焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して焼結物の気孔から金属粒子とカーボンナノチューブを結合させる工程;前記工程から得られた焼結物を再焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記カーボンナノチューブが成長されるか、合金化された焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0012】
この発明の第5特徴は、カーボンナノチューブを金属粉末に結合させて母合金を得るか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成させる工程;前記母合金、又はカーボンナノチューブが生成された金属粉末に他の金属粉末、或いはセラミック材料を混ぜ合わせる工程;前記工程から得られた混合物を成形し焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記工程から得られた焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及び前記カーボンナノチューブが生成されるか、カーボンナノチューブが含浸結合された焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
【0013】
この発明の第6特徴は、金属粉末にセラミック材料を混ぜ合わせる工程;前記工程から得られた混合物を成形、又は成形し焼結する工程;前記工程から得られた成形物、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;前記カーボンナノチューブが生成されるか、含浸結合された成形物、或いは焼結物を焼結してカーボンナノチューブを成長、又は合金化する工程;前記カーボンナノチューブが成長、又は合金化された焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸して結合させる工程;及びカーボンナノチューブが生成、又は含浸結合された前記焼結物に再び焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、若しくは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる工程となる。
この発明の第7特徴は、カーボンナノチューブと金属粉末を混ぜ合わせ結合して母合金を得るか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成させる工程;前記工程から得られた母合金、或いはカーボンナノチューブが生成された金属粉末に高分子材料を混ぜ合わせる工程;前記工程から得られた混合物を加熱装置から溶融してカーボンナノチューブを成長させる工程;前記工程から得られた混合溶融物を射出成形する工程;及び前記工程から得られた射出成形物を熟成する工程となる。
【0014】
この発明に関するカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料は、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合して母合金を得るか、又は成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸して結合するか、若しくは金属粉末粒子や成形物、焼結物にカーボンナノチューブを生成させた後、適宜に成形工程とか焼結工程を施すことにより、金属粉末粒子や成形物、又は焼結物に担持されたカーボンナノチューブが結合、成長、或いは合金化されて機械的、熱的、電気電子的特性が優れるようになる。
【0015】
この発明において、前記金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し結合させて母合金を得る工程や、成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程から添加されるカーボンナノチューブは、物理的、化学的処理を通じて分散された状態のものが好ましく、又、金属粉末や成形物、或いは焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程においては、まず金属粉末粒子や成形物、焼結物を化学的に処理した後に、炭化物が含有された液体とか、気体を注入することが望ましい。
【0016】
なお、前記カーボンナノチューブ生成工程からの化学的処理とは、ナイタル(NITAL:硝酸アルコール)、燐酸、フッ化水素酸(HF:Hydrofluoric)等の酸性溶液と、アンモニア、炭酸ガス、炭酸水、メタンガス、メタノール、アセチレン、ベンゼン等の炭化物が含有された液体、又は気体を採用出来る。
【0017】
前記カーボンナノチューブと結合させる工程からの金属粉末粒子、又はカーボンナノチューブを含浸する工程からの成形物と焼結物のマトリックス成分は、Fe、Ni、Co、W、Siが望ましいが、Fe、Ni、Co、W、Siが合金化されている合金粉末もよい。
【0018】
合金粉末に関する他の例としては、高融点金属粉末(Mo、Th、Ti等)、又は低融点金属粉末(Al、Cu、Bi、Pb、Cd、Zn、Ce、Cs、K、Na等)を採用出来る。
【0019】
また、カーボンナノチューブを生成する工程からの金属粉末粒子や成形物、焼結物のマトリックス成分もFe、Ni、Co、Siが望ましいが、Fe、Ni、Co、W、Siが合金化されている合金粉末もよい。
【0020】
この場合においても、合金粉末の他の例として前述した高融点金属粉末(Mo、Th、Ti等)、若しくは低融点金属粉末(Al、Cu、Bi、Pb、Cd、Zn、Ce、Cs、K、Na等)が採用出来る。
【0021】
この発明において、前記母合金を得る工程では、不活性ガス雰囲気下で温度300℃以下で加熱乾燥して母合金を得るか、又は金属粉末粒子から直接カーボンナノ粒子をカーボンナノチューブに成長させて母合金を得ることが好ましくて、金属粉末や成形物、或いは焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程では、不活性ガス雰囲気下で温度1200℃以下でカーボンナノチューブを生成させることが望ましくて、成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸させる工程では、含浸器で温度200℃以下で含浸させることが好ましく、カーボンナノチューブの成長工程では、不活性ガス雰囲気下で温度800℃以下でカーボンナノチューブを成長させることが望ましくて、カーボンナノチューブの合金化工程では、不活性ガス雰囲気下で温度900℃以上でカーボンナノチューブを合金化させることがよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度400℃のものを倍率200倍で撮った電子顕微鏡写真である。
【図2】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度500℃のものを倍率200倍で撮った電子顕微鏡写真である。
【図3】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度400℃のものを倍率400倍で撮った電子顕微鏡写真である。
【図4】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度400℃のものを倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度300℃のものを倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度500℃のものを倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.26g/cm3のサンプルの焼結温度500℃のものを倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】図7において連結部位の部分拡大図である。
【図9a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度750℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図9b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度750℃のものを倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図10a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度900℃のものを倍率2000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図10b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度900℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図11a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを撮った走査型電子顕微鏡写真であって、aは倍率2500倍
【図11b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを撮った走査型電子顕微鏡写真であって、bは倍率25000倍である。
【図12a】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1100℃のものを倍率1500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図12b】この発明の実施例1において、純鉄粉末AHC100.29から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1100℃のものを倍率20000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図13a】この発明の実施例1において、純鉄粉末ABC100.30から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率2000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図13b】この発明の実施例1において、純鉄粉末ABC100.30から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率35000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図14a】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DABから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図14b】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DABから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率20000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図15a】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAEから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率2500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図15b】この発明の実施例1において、鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAEから得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率15000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図16a】この発明の実施例1において、鉄、錫の合金粉末KAPと純銅粉末から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図16b】この発明の実施例1において、鉄、錫の合金粉末KAPと純銅粉末から得られた密度6.8g/cm3のサンプルの焼結温度1000℃のものを20000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図17】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたサンプルを1,000℃で焼結し曲げた部分の写真である。
【図18】この発明の実施例2から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度1,000℃で焼結し破断した断面の走査型電子顕微鏡写真(倍率50倍)である。
【図19a】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたDAEサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図19b】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたDAEサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率20,000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図20a】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたPASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図20b】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られたPASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し倍率20,000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図21】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた純鉄粉末AHC100.29サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図22】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた純鉄粉末ABC100.30サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図23】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DABサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図24】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAEサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図25】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図26】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた鉄、錫の合金粉KAPサンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図27】靭性を付与するために、この発明の実施例2から得られた純銅粉末サンプル(密度6.8g/cm3)を1,000℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1,000倍)である。
【図28】靭性を付与するために、この発明の実施例4から得られたDAE粉末サンプル(密度6.8g/cm3)を1,100℃で再焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率25000倍)である。
【図29】この発明の実施例5から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末にカーボンナノチューブを生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率15000倍)である。
【図30a】この発明の実施例10から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図30b】この発明の実施例10から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図31a】この発明の実施例10から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率5000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図31b】この発明の実施例10から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE成形物にカーボンナノチューブが生成させたサンプル(密度6.8g/cm3)を焼結温度600℃で焼結し倍率25000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真である。
【図32a】この発明の実施例15から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率5000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【図32b】この発明の実施例15から得られた鉄、燐の合金粉末PASC60粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率25000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【図33a】この発明の実施例15から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率5000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【図33b】この発明の実施例15から得られた鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末DAE粉末焼結物にカーボンナノチューブが生成させたサンプルの倍率20,000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の構成を実施例によって更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0024】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
【0025】
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス(Hoganas)社製品の純鉄粉末であるAHC100.29とABC100.30、また鉄と銅、ニッケル、モリブデンの合金粉末であるDABとDAE、鉄と燐の合金粉末であるPASC60、鉄と錫の合金粉末であるKAP、そして純銅粉末に、分散されたカーボンナノチューブを混合し乾燥して所望の母合金を得た。
【0026】
この実施例1において、混合は分散されたカーボンナノチューブが均等に散らばるように、スプレ―方式の無重力混合器を用い、乾燥は不活性ガス雰囲気下で行った。
【0027】
なお、混合されたカーボンナノチューブは20nmの平均直径と10μmの長さになり、金属粉末粒子は50〜250μmの粒径になる商用製品を採用し、前記金属粉末とカーボンナノチューブとの配合は、カーボンナノチューブの含量が重量比基準で0.1wt%となるようにした。
【0028】
(b)成形工程
得られた母合金中、AHC100.29が混合された母合金は密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3、6.8g/cm3の四つに、そしてABC100.30、DAE、DAB、KAP、純銅粉末が混合された母合金は各々密度6.8g/cm3になるように、200tonプレスから加圧して各々の引張試験用試片形状のサンプル成形物を得た。また、前記密度値はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って焼結後の密度を測定したものである。
【0029】
(c)焼結工程
得られたAHC100.29の三つのサンプル成形物(密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3)を各々100℃、200℃、300℃、400℃、500℃の温度に、そして密度6.8g/cm3のサンプル成形物(AHC100.29、ABC100.30、DAE、DAB、KAP、純銅粉末)は各々750℃、900℃、1000℃、1100℃の温度で焼結した。また、焼結は窒素カス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉から1時間行い所望のサンプルを得た。
【0030】
2.電子顕微鏡による微細組織分析
得られたサンプル中、前記AHC100.29の三つの引張試験用試片に形成された開孔の大きさ、及び分布様態、純鉄粉末粒子の合金化程度を調査するために電子顕微鏡を通じて倍率200倍と400倍で測定した。
【0031】
また、電子顕微鏡から写真を撮影する為に、最終1μm粉末にウエハー(wafer)ポリッシングを実施したが、各々200℃、300℃、400℃、500℃で焼結した四つの引張試験用試片のみがポリッシング出来る機械的強度を持ち、100℃で焼結したサンプルはポリッシング途中に個々の粒子に砕けてポリッシングが出来なかった。
【0032】
図1はこの実施例1から得られたサンプル(密度6.2g/cm3)の焼結温度400℃のものから撮った電子顕微鏡写真(倍率200倍)であり、図2は焼結温度500℃のものから撮った電子顕微鏡写真(倍率200倍)であり、図3は焼結温度400℃のものから撮った電子顕微鏡写真(倍率400倍)である。
【0033】
図1乃至図3において、温度400℃で焼結されたサンプルの粉末粒子は形状を殆ど保持しているが、温度500℃で焼結されたサンプルの粉末粒子では既存の粉末冶金において鉄系粉末の焼結温度である1150℃で焼結した時に現れる焼結組織が形成されている。また、各々の粉末粒子ごとに微細な合金層(カーボンナノチューブの結合部位)が均等に分散された様相を示している。
【0034】
3.走査型電子顕微鏡(SEM)による微細組織分析
走査型電子顕微鏡を通じて前記工程から得られたAHC100.29の三つのサンプル(密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3)のカーボンナノチューブの分布形態と成長及び粉末粒子間の結合様態、そして破断時のカーボンナノチューブ形状を、倍率500倍と10000倍で測定した。
【0035】
図4はこの実施例1から得られたサンプル(密度6.2g/cm3)の焼結温度400℃のものから倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、図5は焼結温度300℃のものから倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、図6は焼結温度500℃のものから倍率10000倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、そして図7は焼結温度500℃のものから倍率500倍で撮った走査型電子顕微鏡写真であり、図8は前記図7に示した結合部位の部分拡大図である。
【0036】
図4乃至図8を見ると、カーボンナノチューブは全てのサンプルから均等に分散されるが、温度が高くなるほどカーボンナノチューブの成長速度も早くなるから、破断時に300℃ではカーボンナノチューブが成長しているが、互いに結合されない形状が多く存在している。しかし、温度500℃では殆ど結合されサンプル切断時に破断されることが分かる。
【0037】
また、カーボンナノチューブ(又は成長化合物)の終端部は粉末粒子と合金化されることにより結合し、成長化合物の破断形状は炭化物(セメンタイト、Fe3C)の斜方晶系の形状になり、結合部周辺の粉末粒子同士は焼結による結合となっている。
【0038】
なお、密度6.8g/cm3のサンプル(AHC100.29、ABC100.30、DAE、DAB、KAP、純銅粉末)において、各焼結温度(750℃、900℃、1000℃、1100℃)別カーボンナノチューブの分布形態と成長及び合金化形態、破断時のカーボンナノチューブ形状を走査型電子顕微鏡で調査した。
【0039】
図9はこの実施例1から得られたAHC100.29のサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度750℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率500倍、25000倍)であり、図10は焼結温度900℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍、5000倍)であり、図11は焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2500倍、25000倍)であり、図12は焼結温度1100℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率1500倍、20000倍)であり、図13はABC100.30のサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍、35000倍)であり、図14はDABのサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍、20000倍)であり、図15はDAEサンプル(密度6.8g/cm3)の焼結温度1000℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率2500倍及び15000倍)であり、図16はKAPのサンプルの焼結温度750℃のものから撮った走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍、20000倍)である。
【0040】
図9乃至図16を見ると、温度750℃、及び900℃では均等に分散された小さなカーボンナノチューブは消え去り、大きなカーボンナノチューブだけが存在することが分かり、前記大きなカーボンナノチューブ形状においても、チューブの形状はまだ残っているが、1000℃及び1100℃ではカーボンナノチューブ同士が固まっている様子に化しながら金属粒子の表面を覆っている様相となり、また、カーボンナノチューブが結合した部分では合金化が進められて、焼結温度が高くなるほど合金化される部分が広がることが分かる。
【0041】
前述したように、粉末粒子にカーボンナノチューブを均等に分散結合させた母合金を焼結すると、焼結温度の上昇に伴ってカーボンナノチューブと粉末粒子間の合金化が進められるだけでなく、カーボンナノチューブ同士が合体しながら成長し、特定温度以上ではチューブの形状がひび割れながら粉末粒子の表面を覆うことにより、前記粉末粒子との合金化が持続的に進められることが分かる。
【0042】
一方、KAPと純銅粉末の各々にカーボンナノチューブを分散結合させた母合金を焼結したサンプルではカーボンナノチューブが発見されなかった。
【0043】
4.硬度試験による機械的物性測定
この実施例1から得られたサンプルをビッカス硬度計でKSB0811(ビッカス硬度試験方法)に従う測定方法で機械的物性値を測定した。この際に試験荷重は98.1N(10kg)にして、10点測定後に上下各二つの測定値を除いて残り6点の平均値から硬度を算出した。
【0044】
密度6.2g/cm3、6.4g/cm3、6.6g/cm3のAHC100.29のサンプルに関する焼結温度別ビッカス硬度試験結果を表1に示す。
【0045】
表1を見ると、既存粉末冶金からは硬度値の測定が不可能な程度の低い焼結温度にも拘らず、400℃と500℃から硬度値が測定され、また密度が増加するほど各焼結温度別硬度値も高まることが分かる。
【0046】
次に、密度6.8g/cm3の各サンプル(AHC100.29、ABC100.30、DAB、DAE、KAP、純銅)に関する焼結温度別ビッカス硬度試験結果を表2に示す。
【0047】
表2を見ると、既存の粉末冶金焼結温度(註1)より低い温度(1000℃以下)でも硬度値が非常に高く測定されるから、この発明は既存粉末冶金に比べて低い温度で焼結物の製造が出来ることを示唆し、ただ、1000℃と1100℃から焼結した二つのサンプルは硬度値が粉末種類別に異なるから、カーボンナノチューブの合金化温度は粉末種類別に差があることが分かる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
註1)自動車構造用焼結合金の場合、ビッカス硬度値は焼結完成品基準(焼結温度、大略1150℃)に、少なくともSMF4020Mは60、SMF4030Mは80、SMF4040Mは100、SMF9060Mは200である。
【0051】
(5)引張試験による機械的物性測定
この実施例1から得られたサンプル中から密度6.8g/cm3である各サンプル(AHC100.29、ABC100.30、DAB、DAE、KAP、純銅)をJISZ2550(機械構造部品用焼結材料)に基づいた試片に作り、これを容量500kNの万能材料試験機でKSB0802試験法(金属材料引張試験方法)に従う引張試験を行った。
【0052】
引張試験結果を次の表3に示す。
【0053】
表3を見ると、既存の粉末冶金焼結温度(註2)より低い温度(1000℃以下)でも引張強度を持っているが、カーボンナノチューブの含量0.1%では強度増加効果が足りないことが分かる。
【0054】
【表3】
【0055】
註2)自動車構造用焼結合金の場合、引張強度は焼結完成品基準(焼結温度大略1150℃)にSMF4020Mは20以上、SMF4030Mは30以上、SMF4040Mは40以上、SMF9060Mは60以上である。
【実施例2】
【0056】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
実施例1と同様に行った。
【0057】
(b)成形工程
AHC100.29、ABC100.30、DAB、DAE、KAP、純銅から得られた母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用試片形状になるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0058】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物を各々1000℃、1100℃の温度で1時間焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様に行った。
【0059】
(d)カーボンナノチューブ生成工程(靭性付与工程)
前記工程から得られた焼結物をHF希釈溶液やナイタル、燐酸に浸し、適宜な温度からアンモニアを注入した後、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してカーボンナノチューブが生成させることにより靭性を付与して所望のサンプルを得た。
【0060】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
得られたサンプルを走査型電子顕微鏡でカーボンナノチューブの分布形態と粉末粒子間結合様態、破断時の形状を測定した。
【0061】
前記測定は走査型電子顕微鏡倍率を50倍、1000倍、5000倍、20000倍で実施した。
【0062】
図17はこの発明の実施例2から1000℃で焼結して靭性を付与したサンプルのベンディング写真であり、図18は1000℃で焼結して靭性を付与した後、破断した断面の走査型電子顕微鏡写真(倍率50倍)であり、図19は1000℃で焼結して靭性を付与したDAEのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍と20000倍)であり、図20は1000℃で焼結して靭性を付与したPASC60のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍と20000倍)であり、図21は1000℃で焼結して靭性を付与したAHC100.30のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図22は1000℃で焼結して靭性を付与したABC100.30サンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図23は1000℃で焼結して靭性を付与したDABのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図24は1000℃で焼結して靭性を付与したDAEのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図25は1000℃で焼結して靭性を付与したPASC60のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図26は1000℃で焼結して靭性を付与したKAPのサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)であり、図27は1000℃で焼結して靭性を付与した純銅のサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【0063】
図17乃至図27を見ると、全てのサンプルから靭性付与後にカーボンナノチューブが均等に生成、結合され、金属粉末の表面にカーボンナノチューブがネット状に生成されて破断時に破断部位に沿って割れ出すことが分かり、これは前記焼結物が靭性を備えることを示唆することである。
【0064】
しかし、KAPのサンプルと純銅のサンプルではカーボンナノチューブの存在を発見しなかった。これはカーボンナノチューブを活用した銅や銅合金粉末の機械的、電気電子的、熱的特性を強化するには、Fe、Niの母合金粉末やFe、Ni粉末にカーボンナノチューブを生成した後に混合し焼結しなければならないことを示唆する。
【0065】
3.引張試験による機械的物性測定(実施例1の5と同様)
引張試験結果を次の表4に示す。
表4を見ると、靭性付与工程を経ても引張強度は靭性付与前と比べて大きく変わらないが、延伸率が非常に増加することが分かる。
【0066】
【表4】
【0067】
註3)自動車構造用焼結合金の場合、延伸率は焼結完成品基準(焼結温度大略1150℃)にSMF4020Mは1.0%以上、SMF4030Mは2.0%以上、SMF4040Mは1.2%以上、SMF9060Mは1.5%以上である。
【0068】
前述したように、この発明は焼結物に存在する気孔と接する金属粉末にカーボンナノチューブを生成、結合させることにより靭性を増加させるので、脆性が強い既存の焼結材料とは異なり、機械的特性が優れた複合焼結材料を提供する。
【実施例3】
【0069】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
実施例1と同様に行った。
【0070】
(b)成形工程
得られた母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用試片形状となるように200tonプレスから加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望のサンプル成形物を得た。
【0071】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物に1100℃の温度で1時間焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望の焼結物を得た。
【0072】
(d)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
得られた焼結物を前記実施例2と同様に施して靭性を付与した。
【0073】
(e)再焼結工程
靭性が付与された焼結物を窒素雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で焼結温度1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0074】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表5に示す。
【0075】
表5を見ると、温度1100℃から1時間再焼結した後の引張強度と延伸率測定結果は、延伸率の場合に靭性を付与したサンプルに比べて変化が殆どないが、引張強度は非常に増加することが分かる。
【0076】
【表5】
【0077】
前述したように、この発明は、焼結物に存在する気孔と接する金属粉末に生成、結合されるカーボンナノチューブを再焼結して成長、合金化すると、強度の増加のみならず靭性も保持されるから、より強化された機械的特性の複合焼結材料を提供するものである。
【実施例4】
【0078】
1.サンプル作り
(a)母合金工程
実施例1と同様に行って所望の母合金を得た。
【0079】
(b)成形工程(実施例1と同様)
得られた母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用試片となるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望のサンプル成形物を得た。
【0080】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物を1100℃の温度で1時間焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様な工程を行って所望の焼結物を得た。
【0081】
(d)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
前記実施例2と同様に施した。
【0082】
(e)再焼結工程
前記実施例3と同様に施した。
【0083】
(f)靭性再付与工程
前記実施例2の工程(d)と同様に施して所望のサンプルを得た。
【0084】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られるサンプルからカーボンナノチューブの生成及び成長、合金化形状を走査型電子顕微鏡で調査した。
【0085】
図28はこの発明の実施例4から温度1100℃で再焼結した後、再び靭性を再付与したDAEのサンプルに関する走査型電子顕微鏡写真(倍率25000倍)である。
【0086】
図28を見ると、金属粉末粒子に混合されたカーボンナノチューブと靭性付与工程から生成されたカーボンナノチューブの成長の途中に合金化されることが分かり、再焼結した後の靭性再付与工程を経ながらカーボンナノチューブが再生成されることも分かる。これは焼結→靭性付与→再焼結→靭性再付与→再焼結工程を繰り返すことにより機械的物性をより一層強化することが出来ることを示唆する。
【実施例5】
【0087】
1.サンプル作り
(a)金属粉末粒子にカーボンナノチューブ生成工程
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品の鉄と燐の合金粉末のPASC60に、HF希釈溶液、又はナイタル、燐酸をスプレ―方式の無重力混合器で均等に混合した後、適宜な温度に熱を加えながらアンモニアを注入し、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してPASC60にカーボンナノチューブを生成させた母合金を得た。
【0088】
(b)成形工程
得た母合金を密度6.8g/cm3の引張試験用のサンプル成形物となるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、密度測定とそれ以外は前記実施例1と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0089】
(c)焼結工程
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度600℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0090】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られるサンプルから金属粉末粒子に生成されたカーボンナノチューブが温度600℃で焼結する際に成長した形状を走査型電子顕微鏡で測定した。
【0091】
図29はこの発明の実施例5から得られた、カーボンナノチューブが生成された金属粉末粒子を温度600℃で焼結したサンプルの走査型電子顕微鏡写真(倍率1500倍)である。
【0092】
図29を見ると、カーボンナノチューブが金属粉末粒子にカーボン粒子と一緒に生成され前記金属粉末粒子の表面を覆っているが、カーボンナノチューブを均等に分散し結合させたサンプルとは異なり、温度600℃での焼結においても粗大なカーボンナノチューブに成長しないでいることが分かる。
【実施例6】
【0093】
1.サンプル作り
(a)金属粉末粒子にカーボンナノチューブ生成工程
前記実施例5と同様に行って所望の母合金を得た。
【0094】
(b)成形工程
前記実施例5と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0095】
(c)焼結工程
得られた母合金を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0096】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
焼結温度1100℃のものからの引張試験結果を次の表6に示す。
表6を見ると、この実施例のサンプルにおいて、0.1%のカーボンナノチューブを混合し結合した実施例1のサンプルより引張強度と延伸率が増加することが分かる。
【0097】
これは金属粉末粒子に生成されたカーボンナノチューブを計量し難いが、0.1%のカーボンナノチューブを混合した場合に比べて、より多くの量のカーボンナノチューブが形成されるためと考えられ、又は金属粉末粒子と混合し結合されるカーボンナノチューブは、特定温度以上の焼結ではチューブの形状が割れ出して、延伸率のような機械的物性に効果が少ない反面に、金属粉末粒子に形成されたカーボンナノチューブは温度1100℃でもその形状と延伸率が保持されるためと考えられる。
【0098】
また、金属粉末粒子に分散し結合させたカーボンナノチューブの量が増加するほど引張強度も増加することが分かるが、生成されるカーボンナノチューブの量を計量し難いから予め所望の機械的物性に附合する作業条件を設定する必要がある。
【0099】
【表6】
【実施例7】
【0100】
1.サンプル作り
(a)金属粉末粒子にカーボンナノチューブ生成工程
前記実施例5と同様に行った。
【0101】
(b)成形工程
前記実施例6と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0102】
(c)焼結工程
前記実施例6と同様に施して所望のサンプル焼結物を得た。
【0103】
(d)カーボンナノチューブ追加生成工程
前記実施例2の工程(d)と同様に施した。
【0104】
(e)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物に温度600℃と1100℃で1時間再焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例3と同様な工程を行って所望のサンプルを得た。
【0105】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表7に示す。
表7を見ると、カーボンナノチューブ生成工程と再焼結工程を経た後の引張強度と延伸率測定結果は、延伸率の場合金属粉末粒子にカーボンナノチューブを生成し焼結したサンプルと比べて殆ど差がなかった。また、引張強度の場合は温度600℃で再焼結したサンプルは殆ど差がなかったが、温度1100℃で再焼結したサンプルは10%程度の増加を示している。これは実施例6から得られたサンプルにカーボンナノチューブを追加に生成し再焼結する際に、合金化が形成される温度で焼結すると機械的強度が増加することを示唆する。
【0106】
【表7】
【実施例8】
【0107】
1.サンプル作り
(a)成形工程
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品、PASC60とDAEを200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用のサンプル成形物を得た。また、密度測定はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って行った。
【0108】
(b)成形物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程
得られるサンプル成形物を真空含浸機に入れ、カーボンナノチューブが分散した有機溶液を前記サンプル成形物の気孔に含浸させ、適宜な温度の熱を加えて前記サンプル成形物の気孔に接する金属粉末粒子にカーボンナノチューブを結合させた。
【0109】
(c)焼結工程
前記工程を経たサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0110】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表8に示す。
表8を見ると、サンプル成形物にカーボンナノチューブを含浸し焼結したサンプルが、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し焼結したサンプルと比べて機械的強度が弱いことが分かる。
【0111】
これは成形物にカーボンナノチューブを含浸し焼結すると、サンプル成形物に存在する気孔にカーボンナノチューブが結合し成長、及び合金化されるために、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し焼結したサンプルと比べて、カーボンナノチューブの分布がもっと不均等になり、また、カーボンナノチューブの量も少なくて機械的強度が弱くなることを示唆する。
【0112】
【表8】
【実施例9】
【0113】
1.サンプル作り
(a)成形工程
前記実施例8と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0114】
(b)成形物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程
得られたサンプル成形物に前記実施例8と同様な工程を施した。
【0115】
(c)焼結工程
前記実施例8と同様に行って所望のサンプル焼結物を得た。
【0116】
(d)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
得られたサンプル焼結物をHF希釈溶液やナイタル、燐酸に浸し、適宜な温度でアンモニアを注入した後、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してカーボンナノチューブが生成させることにより靭性を付与した。
【0117】
(e)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物に温度600℃と1100℃で1時間再焼結を施したことだけが異なり、それ以外は前記実施例3と同様に行って所望のサンプルを得た。
【0118】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表9に示す。
【0119】
表9を見ると、実施例8のサンプル成形物にカーボンナノチューブを含浸し焼結してカーボンナノチューブを生成させ、温度600℃で再焼結したサンプルの引張強度は、前記実施例8のサンプルと比べて殆ど変化がなかったが、温度1100℃で再焼結したサンプルの引張強度は実施例8のサンプルより大きく増加することが分かる。
【0120】
これは生成されたカーボンナノチューブの合金化温度以上に再焼結すると強度が増加することを示唆する。また、延伸率は再焼結温度別に差があるが、カーボンナノチューブが生成されると再焼結温度に関係なく類似な延伸率を持つことを示唆する。
【0121】
【表9】
【実施例10】
【0122】
1.サンプル作り
(a)成形工程
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品、鉄合金粉末であるPASC60とDAEを密度6.8g/cm3の引張サンプルとなるように200tonプレスで加圧成形したことだけが異なり、それ以外は前記実施例1と同様に行って所望のサンプル成形物を得た。
【0123】
(b)成型物にカーボンナノチューブ生成工程
得られるサンプル成型物をHF希釈溶液やナイタル、燐酸に浸し、適宜な温度の熱を加えながらアンモニアを注入した後、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入してカーボンナノチューブが生成させることにより靭性を付与した。
【0124】
(c)焼結工程
靭性が付与されたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度600℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0125】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られたサンプルを温度600℃で焼結する際のカーボンナノチューブの成長形状を走査型電子顕微鏡で測定した。
【0126】
図30は、この発明の実施例10のカーボンナノチューブが生成されたPASC60のサンプルを温度600℃で焼結する際の倍率20000倍(a)と50000倍(b)の走査型電子顕微鏡写真であり、図31はカーボンナノチューブが生成されたDAEのサンプルを温度600℃で焼結する際の倍率5000倍(a)と25000倍(b)の走査型電子顕微鏡写真である。
【0127】
図30と図31を見ると、カーボンナノチューブが成形物の気孔に接した金属粉末粒子から網目状に生成されていることが分かるが、カーボンナノチューブを混合し焼結したサンプルとは異なり、生成されたカーボンナノチューブは焼結温度600℃でも粗大なカーボンナノチューブの形状に成長しないでいることを示している。
【実施例11】
【0128】
1.サンプル作り
(a)成形工程
前記実施例10と同様に行ってサンプル成形物を得た。
【0129】
(b)カーボンナノチューブ生成工程
前記実施例10と同様に行った。
【0130】
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプルを得た。
【0131】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表10に示す。
【0132】
表10を見ると、成形物の気孔に接した金属粉末粒子にカーボンナノチューブが生成されたので、引張強度は金属粉末粒子にカーボンナノチューブを生成したサンプルに比べて低いが、表6のように、0.1%のカーボンナノチューブを混合し結合した実施例1のサンプルに比べて引張強度が増加することが分かり、これは複合焼結金属材料の機械的強度を増加させるには、増加されたカーボンナノチューブの量に混合、又は生成させなければならないことを示唆する。
【0133】
【表10】
【実施例12】
【0134】
1.サンプル作り
(a)成形工程
前記実施例10と同様に行って所望の成形物を得た。
【0135】
(b)カーボンナノチューブ生成工程
前記実施例10と同様に行った。
【0136】
(c)焼結工程
カーボンナノチューブが生成されたサンプルを前記実施例10と同様に焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0137】
(d)カーボンナノチューブ追加生成工程
得られたサンプル焼結物に前記実施例10と同様な工程を施した。
【0138】
(e)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で各々温度600℃と1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0139】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表11に示す。
【0140】
表11を見ると、引張強度はカーボンナノチューブを成形物に含浸し焼結した後にカーボンナノチューブを生成させたサンプルに比べて、成形物にカーボンナノチューブを生成させ焼結した後に再び追加にカーボンナノチューブを生成させたサンプルの方が高く、延伸率はほぼ同じ程度であった。これはサンプルの気孔にカーボンナノチューブを形成させると焼結物の脆性が改善されることを示唆するものである。
【0141】
【表11】
【実施例13】
【0142】
(1)サンプルの製作
(a)混合工程
【0143】
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品の鉄合金粉末であるPASC60とDAEに、HF希釈溶液やナイタル、燐酸をスプレ―方式の無重力混合機で混合して所望の母合金を得た。ここで、前記PASC60は商用製品として粒径が50〜250μmのものを用いた。
【0144】
(b)成形工程
得られる母合金を200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用サンプル成形物を得た。また、密度測定はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って行った。
【0145】
(c)成形物にカーボンナノチューブ生成工程
得られたサンプル成形物に適正な温度の熱を加えながらアンモニアを注入した後に、再びアセチレンやメタンガス、炭酸ガスを注入して成形物にカーボンナノチューブを生成させた。
【0146】
(d)焼結工程
実施例12と同様に焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0147】
(e)カーボンナノチューブを生成させる工程(靭性付与工程)
得られたサンプル焼結物に実施例10と同様な工程を施してカーボンナノチューブを生成した。
【0148】
(f)再焼結工程
前記工程を経たサンプル焼結物を前記実施例12と同様に再焼結して所望のサンプルを得た。
【0149】
(2)引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表12に示す。
表12を見ると、混合工程から化学的処理を通じてカーボンナノチューブを生成したサンプルが、成形した後の化学的処理によりカーボンナノチューブが生成されたサンプルに比べて機械的強度が高くなることが分かる。
【0150】
これは炭化物を含有した気体で金属粉末粒子状態から化学処理すると、カーボンナノチューブの生成に更に有利になることを示唆する。
【0151】
【表12】
【実施例14】
【0152】
1.サンプル作り
(a)成形工程
【0153】
自動車構造用焼結合金に用いられているスウェーデン国ホガナス社製品、PASC60とDAEを200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用のサンプル成形物を得た。また、密度測定はKSD0033(金属焼結体の焼結密度試験方法)に従って行った。
【0154】
(b)焼結工程
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0155】
(c)焼結物にカーボンナノチューブを含浸して結合させる工程
得られるサンプル焼結物を真空含浸機に入れ、カーボンナノチューブが分散した有機溶液を前記サンプル焼結物の気孔に含浸させ、適宜な温度の熱を加えて前記サンプル焼結物の気孔に接する金属粉末粒子にカーボンナノチューブを結合させた。
【0156】
(d)再焼結工程
前記工程を経たサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0157】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験結果を次の表13に示す。
【0158】
表13を見ると、焼結した後にカーボンナノチューブを含浸し再び再焼結したサンプルに比べて、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを混合し焼結した後に再焼結したサンプルの引張強度が高くなることが分かる。また、焼結した後にカーボンナノチューブを含浸し再び再焼結したサンプルの場合には延伸率が殆どなかった。これは焼結物に含浸されたカーボンナノチューブが焼結物の気孔に含浸結合されるが、温度1100℃に再焼結する際にチューブの形状が割れて、延伸率の向上効果が消え去るからである。
【0159】
【表13】
【実施例15】
【0160】
1.サンプル作り
(a)成形工程
自動車構造用焼結合金に使用されているスウェーデン国ホガナス社の鉄合金粉末、PASC60とDAE粉末を200tonプレスで加圧して密度6.8g/cm3の引張試験用サンプル成形物を得た。そしてその外の密度測定等は実施例1と同様にした。
【0161】
(b)焼結工程
得られたサンプル成形物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0162】
(c)焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程
【0163】
2.走査型電子顕微鏡による微細組織分析
前記工程から得られるサンプルから焼結物に生成されたカーボンナノチューブの形状を調査した。
【0164】
図32はこの実施例15からカーボンナノチューブが生成されたPASC60の焼結物に関する走査型電子顕微鏡写真(aは倍率5000倍、bは25000倍)であり、図33はカーボンナノチューブが生成されたDAEの焼結物に関する走査型電子顕微鏡写真(aは倍率5000倍、bは20000倍)である。
【0165】
図32と図33を見ると、カーボンナノチューブがサンプルの気孔に接した金属粉末粒子から網目形状に生成されていることが分かり、これによって脆性がある焼結物に靭性が付与される。
【0166】
3.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験の結果を次の表14に示す。
表14を見ると、サンプルの気孔に接した金属粉末粒子にカーボンナノチューブを生成したので機械的強度が不利だと考えられるが、表6の場合と類似して、0.1%のカーボンナノチューブを混合し結合した実施例2のサンプルに比べて引張強度が増加することが分かる。
【0167】
従って、金属粉末粒子に生成されたカーボンナノチューブを計量し難いが、0.1%のカーボンナノチューブを混合した場合に比べて、より多くの量のカーボンナノチューブが形成されると考えられ、一方、延伸率は幾らか少なく示された。
【0168】
【表14】
【実施例16】
【0169】
1.サンプル作り
(a)成形工程
実施例15と同様に成形して所望のサンプル成形物を得た。
【0170】
(b)焼結工程
実施例15と同様に焼結して所望のサンプル焼結物を得た。
【0171】
(c)焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程
実施例15と同様な工程を行った。
【0172】
(d)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で各々温度600℃と1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0173】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験の結果を次の表15に示す。
表15を見ると、サンプル焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成させた後に再焼結し合金化させることにより引張強度が大きく増加することが分かる。これはカーボンナノチューブの生成工程と焼結工程を繰り返すことにより機械的物性を向上出来ることを示唆する。
【0174】
【表15】
【実施例17】
【0175】
1.サンプル作り
(a)引張試験用サンプル焼結工程
自動車構造用焼結合金であるSMF4040Mを焼結してサンプル焼結物を得た。
【0176】
(b)焼結物にカーボンナノチューブを生成させる工程
前記実施例15と同様な工程を行った。
【0177】
(c)再焼結工程
靭性が付与されたサンプル焼結物を窒素ガス雰囲気下のメッシュベルト焼結炉で温度1100℃にて1時間再焼結して所望のサンプルを得た。
【0178】
2.引張試験による機械的物性測定(測定方法は実施例1と同様)
引張試験の結果を次の表16として示す。
表16を見ると、既存焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成、又は含浸し結合させた後に、焼結工程とカーボンナノチューブ生成工程、或いは焼結工程とカーボンナノチューブ含浸結合工程を繰り返すことにより前記既存焼結物の機械的特性が向上されることが分かる。
【0179】
【表16】
【0180】
前述したように、この発明のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料は、金属粉末粒子にカーボンナノチューブを均等に結合するか、生成させ成長及び合金化し焼結完成するか、成形物や焼結物にカーボンナノチューブを含浸結合するか、又は成形物や焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成させ成長及び合金化し焼結完成することにより自動車用部品等の素材として活用可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0181】
前述したように、この発明のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料及びその製造方法によると、機械的、熱的、電気電子的特性が優れて自動車用部品、電気電子機器用部品、宇宙航空機部品、金型及び切削工具素材に適合する。また、製造する際の焼結温度が低いからコスト節減効果もある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末とカーボンナノチューブを結合させることにより母合金を製造し;
母合金を成形し焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;
焼結物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを注入し結合させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項2】
金属粉末にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させ;
カーボンナノチューブが生成された金属粉末を成形し焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;
焼結物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを注入し結合させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合する工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項3】
金属粉末を成形して得る成形物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は成形物の気孔にカーボンナノチューブと金属粉末を結合するために成形物の気孔にカーボンナノチューブを注入させ;
カーボンナノチューブが生成されるか、又はカーボンナノチューブが結合された成形物を焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項4】
金属粉末を成形し焼結して得る完成品の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブと金属粉末を結合するために成形物の気孔にカーボンナノチューブを注入させ;
カーボンナノチューブが生成されるか、又はカーボンナノチューブが結合された焼結物を再焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項5】
金属粉末とカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を結合するか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成させることにより母合金を製造し;
カーボンナノチューブが生成された金属粉末に他の金属粉末、又はセラミック材料を混合し;
混合物を成形し焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;
焼結物の気孔にカーボンナノチューブを注入し結合させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項6】
金属粉末とセラミック材料を混合し;
混合物を成形、又は成形し焼結し;
成形物、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、注入するか、或いは成形物、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを結合させ;
成形物の焼結によりカーボンナノチューブを成長、または合金化させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項7】
カーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)に結合、又は生成される金属粉末粒子は、Fe、Ni、Co、W、及びSi粉末、又はFe、Ni、Co、W、及びSi合金粉末である前記請求項1〜6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項8】
カーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成、又は成長させる成形物のマトリックス成分と焼結物のマトリックス成分は、Fe、Ni、Co、W、及びSi粉末と、Fe、Ni、Co、W、及びSi合金粉末である請求項1〜6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項9】
前記請求項1〜6のうちのいずれか一つの請求項による製造方法から得られる複合焼結材料。
【請求項10】
金属粉末とカーボンナノチューブを結合させることにより母合金を製造するか、又は金属粉末にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させ;
母合金、又はカーボンナノチューブが生成された金属粉末に高分子材料を混合し;
加熱装置で混合物を溶融することによりカーボンナノチューブを成長させ;
混合された溶融材を射出成形し;および
射出成形物を熟成する段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項11】
カーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)が結合、又は生成される金属粉末粒子は、Fe、Ni、Co、W、及びSi粉末、或いはFe、Ni、Co、W、及びSi合金粉末となる請求項10項に記載のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項12】
前記請求項10項による製造方法から得られる複合焼結材料。
【請求項1】
金属粉末とカーボンナノチューブを結合させることにより母合金を製造し;
母合金を成形し焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;
焼結物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを注入し結合させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項2】
金属粉末にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させ;
カーボンナノチューブが生成された金属粉末を成形し焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;
焼結物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを注入し結合させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合する工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項3】
金属粉末を成形して得る成形物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は成形物の気孔にカーボンナノチューブと金属粉末を結合するために成形物の気孔にカーボンナノチューブを注入させ;
カーボンナノチューブが生成されるか、又はカーボンナノチューブが結合された成形物を焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項4】
金属粉末を成形し焼結して得る完成品の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブと金属粉末を結合するために成形物の気孔にカーボンナノチューブを注入させ;
カーボンナノチューブが生成されるか、又はカーボンナノチューブが結合された焼結物を再焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項5】
金属粉末とカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を結合するか、又は金属粉末にカーボンナノチューブを生成させることにより母合金を製造し;
カーボンナノチューブが生成された金属粉末に他の金属粉末、又はセラミック材料を混合し;
混合物を成形し焼結することによりカーボンナノチューブを成長、又は合金化させ;
焼結物の気孔にカーボンナノチューブを注入し結合させるか、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを生成させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項6】
金属粉末とセラミック材料を混合し;
混合物を成形、又は成形し焼結し;
成形物、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させるか、注入するか、或いは成形物、又は焼結物の気孔にカーボンナノチューブを結合させ;
成形物の焼結によりカーボンナノチューブを成長、または合金化させ;及び
焼結物にカーボンナノチューブの焼結工程と生成工程、又はカーボンナノチューブの注入と結合工程を繰り返して機械的特性を強化させる段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項7】
カーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)に結合、又は生成される金属粉末粒子は、Fe、Ni、Co、W、及びSi粉末、又はFe、Ni、Co、W、及びSi合金粉末である前記請求項1〜6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項8】
カーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成、又は成長させる成形物のマトリックス成分と焼結物のマトリックス成分は、Fe、Ni、Co、W、及びSi粉末と、Fe、Ni、Co、W、及びSi合金粉末である請求項1〜6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項9】
前記請求項1〜6のうちのいずれか一つの請求項による製造方法から得られる複合焼結材料。
【請求項10】
金属粉末とカーボンナノチューブを結合させることにより母合金を製造するか、又は金属粉末にカーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)を生成させ;
母合金、又はカーボンナノチューブが生成された金属粉末に高分子材料を混合し;
加熱装置で混合物を溶融することによりカーボンナノチューブを成長させ;
混合された溶融材を射出成形し;および
射出成形物を熟成する段階になるカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項11】
カーボンナノチューブ(炭化物ナノ粒子含む)が結合、又は生成される金属粉末粒子は、Fe、Ni、Co、W、及びSi粉末、或いはFe、Ni、Co、W、及びSi合金粉末となる請求項10項に記載のカーボンナノチューブを活用した複合焼結材料の製造方法。
【請求項12】
前記請求項10項による製造方法から得られる複合焼結材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31a】
【図31b】
【図32a】
【図32b】
【図33a】
【図33b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31a】
【図31b】
【図32a】
【図32b】
【図33a】
【図33b】
【公表番号】特表2010−502840(P2010−502840A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527304(P2009−527304)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004341
【国際公開番号】WO2008/032956
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509069777)シー・アンド・テク・カンパニー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004341
【国際公開番号】WO2008/032956
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509069777)シー・アンド・テク・カンパニー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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