説明

カーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線およびその製造方法

【課題】カーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下部電極と、前記下部電極と電気的に連結されるように設けられるカーボンナノチューブ成長用の触媒層と、前記触媒層表面から上方に成長する多数のカーボンナノチューブで構成され、上端部の個数密度が下端部の個数密度より高いカーボンナノチューブ束と、前記カーボンナノチューブ束を取り囲む層間絶縁層と、前記層間絶縁層上に前記カーボンナノチューブ束の上端部と電気的に連結されるように配置される上部電極と、を備えることを特徴とする、カーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線およびその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の層間配線およびその製造方法に係り、より詳しくは、高密度に凝集したカーボンナノチューブを用いて、電気抵抗を低下させ、電流密度を増大させることができる半導体素子の層間配線、および多数のカーボンナノチューブを高密度で凝集させる工程を含む該層間配線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、特に半導体メモリ素子は、DRAM、SRAM、PRAMおよびMRAMなどの多様な種類を含む。かようなメモリ素子は、スイッチング素子として、一般的にMOS(金属酸化物半導体)トランジスタを含む。そして、メモリ素子は、コンタクトおよびインターコネクトなどの電子移動通路として働く配線が設けられる。最近、半導体素子の高集積化によって、配線を通る電流の量が増加することに反して、配線の線幅は狭くなっている。そのため、単位面積当たりの電流量、すなわち、電流密度は高くなる傾向にある。半導体素子の配線の電流密度は、近い将来劇的に増えると予想され、例えば、2010年までに約10A/cmに至るものと予想される。
【0003】
従来、半導体素子には、主にアルミニウムまたは銅などの金属配線が使用されている。半導体素子の高集積化のためには、配線の線幅を狭めて電流密度を高めることが必須であるが、金属配線は、線幅を狭めて電流密度を高めることにおいて限界がある。それゆえ、前記のような理由により、金属配線を使用する半導体素子は、近い将来に、その高集積化が限界に達するものと予想される。
【0004】
したがって、最近は、半導体素子の高集積化における金属配線によって生じる限界を克服するために、金属配線に比べて狭い線幅で高い電流密度を維持できるカーボンナノチューブの配線で金属配線を置き換えようとする取り組みが行われている。
【特許文献1】韓国特許出願公開第2004−94065号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開第2003−1130号明細書
【非特許文献1】International Technology Roadmap for Semiconductors 2003 Edition
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体素子の開発の現在の傾向は、より高集積の半導体素子を必要としているため、トラブルなしに高い電流密度を維持できる配線が必要とされており、半導体素子の配線がカーボンナノチューブに置き換わっても、カーボンナノチューブの電流密度を上げることが問題となる。
【0006】
そこで、本発明は、電気抵抗を低減し、電流密度を増大させることができ、微細ビアホールにも適用可能であって半導体素子の超高集積化を達成できる半導体素子の層間配線構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような技術的課題を解決するために、本発明は、下部電極と、前記下部電極に電気的に連結されるように設けられるカーボンナノチューブ成長用の触媒層と、前記触媒層表面から上方に成長する多数のカーボンナノチューブで構成され、上端部の個数密度が下端部の個数密度より高いカーボンナノチューブ束と、前記カーボンナノチューブ束の周辺を取り囲む層間絶縁層と、前記層間絶縁層上に前記カーボンナノチューブ束の上端部と電気的に連結されるように配置される上部電極とを備える半導体素子の層間配線を提供する。
【0008】
また、本発明は、下部電極を形成する段階と、前記下部電極に電気的に連結されるように触媒層を形成する段階と、前記触媒層の表面から多数のカーボンナノチューブを成長させる段階と、前記カーボンナノチューブの上部を凝集させて上端部の個数密度が下端部の個数密度より高いカーボンナノチューブ束を形成する段階と、前記下部電極が形成された層を覆いながら前記カーボンナノチューブ束を取り囲み、前記カーボンナノチューブ束の上端部だけを露出させる層間絶縁層を形成する段階と、前記カーボンナノチューブ束の上端部と接触される上部電極を形成する段階と、を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線の製造方法を提供する。
【0009】
前記カーボンナノチューブ束を形成する段階は、前記カーボンナノチューブの間に液滴を分布させ、前記液滴を蒸発させる段階を含むことが好ましい。この場合、多数の前記カーボンナノチューブの間に液滴を分布させる方法は、前記カーボンナノチューブを液体に浸漬する方法、または前記カーボンナノチューブに液体を噴射する豊富が好ましい。前記液滴は、その表面張力が、前記カーボンナノチューブの復元力より大きいことが好ましい。そのような表面張力を有する液体としては、蒸留水またはアルコールが好ましい。
【0010】
前記層間絶縁層の形成段階は、前記下部電極が形成された層と前記カーボンナノチューブ束とを絶縁材料でコーティングする段階と、前記カーボンナノチューブ束の上端部が現れるように前記絶縁材料コーティングの上面を平坦化する段階とを含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による半導体素子の層間配線は、高密度のカーボンナノチューブを用いることにより、電気抵抗を低下させ、電流密度を増大させることができる。本発明による層間配線の製造方法は、高密度のカーボンナノチューブ束を備える半導体素子の層間配線を効率的に製造する方法である。また、本発明によれば、数十〜数百ナノメートルほどの超微細ビアホールにも適用可能であり、半導体素子の超高集積化を達成できる半導体素子の層間配線およびその製造方法が提供されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付した図面に基づき、本発明の特徴的な構成について実施形態を挙げて詳細に説明する。まず、本発明によるカーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線の構造について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線構造を示す断面概略図である。基板10上に、下部電極21が設けられている。触媒層22は、前記下部電極21の表面上に設けられ、その表面からカーボンナノチューブが成長する。カーボンナノチューブ束25は、触媒層22と上部電極41との間に形成される。カーボンナノチューブ束25は、電気的に下部電極21と上部電極41とを連結する層間配線である。
【0014】
前記下部電極21は、導電性材料から形成され、電極パターンの一部分であってもよく、層間配線によって連結される下層構造の一部分であってもよい。
【0015】
前記下部電極21の表面には、表面からカーボンナノチューブを成長させる触媒層22が設けられる。多数のカーボンナノチューブ23は、触媒層22の表面から上方に成長する。カーボンナノチューブ束25は、多数のカーボンナノチューブ23で形成される。前記カーボンナノチューブ束25の上端部は、上部電極41と接触し、前記カーボンナノチューブ束25の下端部は、下部電極21と接触している。図1に示すように、カーボンナノチューブ23のそれぞれの下端部は、触媒層22に固定されており、カーボンナノチューブ23が成長すると、互いに密接になるように移動する。それゆえ、カーボンナノチューブ束25の全体は、シリンダー状というよりむしろ円錐状になる。前記カーボンナノチューブ束25の上端部の直径(またはサイズ)は、前記カーボンナノチューブ束25の下端部の直径(またはサイズ)より小さい。したがって、前記カーボンナノチューブ束25の上部のカーボンナノチューブ23の個数密度は、前記カーボンナノチューブ束25の下部のカーボンナノチューブ23の個数密度より高い。前記カーボンナノチューブ束25の下部のカーボンナノチューブ23の個数密度は、触媒金属の粒径などのカーボンナノチューブの成長条件によって決定される。
【0016】
カーボンナノチューブ束25の位置およびサイズ(または直径)は、前記触媒層22の位置およびサイズ(または直径)により決定される。前記触媒層22の直径は、前記触媒層22に対する上部電極41の整列公差を考慮し、通常、カーボンナノチューブ束25の直径より大きく設定される。例えば、上端部の直径が240nmであるカーボンナノチューブ束25を形成する場合、触媒層22の直径は、約400nmほどである。
【0017】
前記触媒層22は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、金(Au)、パラジウム(Pd)、およびこれら金属の合金からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含むことが好ましい。
【0018】
前記カーボンナノチューブ束25は、層間絶縁層30によって取り囲まれており、前記カーボンナノチューブ束25の上端部が、上部電極41と接触するように前記層間絶縁層30の上面に露出されている。このように露出されている前記カーボンナノチューブ束25の上端部には、上部電極41が設けられる。前記上部電極41は、前述した下部電極21と同様に導電性材料から形成され、電極パターンの一部分であってもよく、層間配線によって下層構造と連結される上層構造の一部分であってもよい。
【0019】
カーボンナノチューブ23が成長する触媒層22のサイズ(または面積)が制御されうるため、前記触媒層22から成長するカーボンナノチューブ23の数も、効果的に制御されうる。例えば、カーボンナノチューブ23を流れる電流量を増大させるために、カーボンナノチューブ23の数は、触媒層22の面積を増大させることによって大幅に増やすことができる。
【0020】
以下、本発明のカーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線の製造方法について、好ましい実施形態を挙げながら、さらに詳細に説明する。
【0021】
図2Aは、凝集する前のカーボンナノチューブを示すSEM写真である。カーボンナノチューブは、触媒層の表面から実質的にまっすぐ成長している。図2Bは、凝集した後のカーボンナノチューブを示すSEM写真である。カーボンナノチューブの上部は、互いに集まっている。図2Bに示すように、一つの触媒層表面から成長された多数のカーボンナノチューブは、その中心部に凝集されて一つの束を形成できる。
【0022】
図3は、多数のカーボンナノチューブを凝集させる方法の一例である、湿式凝集方法を示す概略図である。まず、多数のカーボンナノチューブ23を成長させることによって、カーボンナノチューブ群24が形成される。前記カーボンナノチューブ群24において、カーボンナノチューブ群24の根部(下部)のカーボンナノチューブ23の個数密度は、それぞれのカーボンナノチューブ23が成長する触媒金属粒子の密度によって決定される。触媒金属粒子の密度は、触媒金属粒子の間の間隔によって決定されうる。次に、カーボンナノチューブ23の間に、液滴50が分布される。液滴50は、多数のカーボンナノチューブ23の表面に吸着される。前記液滴50中に含まれる液体を蒸発させると、液滴50によって小さくなった表面張力が高くなるため、隣接したカーボンナノチューブ23は互いに凝集する。カーボンナノチューブ23の間の液滴50は、また小さくなる。
【0023】
前記液滴50が全て蒸発して消えた後でも、ファンデルワールス力によって、カーボンナノチューブ23の塊が維持されている。結果として、カーボンナノチューブ群24の下部のカーボンナノチューブ23の個数密度が実質的に変化しないことに反して、カーボンナノチューブ群24の下部のカーボンナノチューブ23の個数密度は増加する。
【0024】
図4A〜図4Eは、本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線の製造方法を示す断面概略図である。
【0025】
図4Aを参照すると、下部電極21は基板10上に形成され、炭素ナノチューブの形成を促進する触媒層22が、下部電極21上に形成されている。基板10としては、例えば、シリコンウェハまたはガラスなどを用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、前記基板10は、カーボンナノチューブが成長できる半導体素子のいかなる層であってもよい。図4Aは、下部電極21上に形成された触媒層22を示しているが、本発明は、この構造に限定されるものではない。換言すれば、前記触媒層は、下部電極21の上部に触媒層22を形成する必要はなく、前記触媒層22と前記下部電極21との電気的な連結を維持することが必要である。例えば、前記触媒層22は、基板10の上部に形成されてもよく、前記触媒層22と前記下部電極21との間の電気的連結を維持するように、前記触媒層22の一部分だけが前記下部電極21と接触してもよい。
【0026】
前記触媒層22は、ニッケル、鉄、コバルト、白金、モリブデン、タングステン、イットリウム、金、パラジウム、およびこれら金属の合金からなる群より選択される少なくとも1つの物質から形成されることが好ましい。また、かような触媒層22は、マグネトロンスパッタリング法または電子ビーム蒸着法によって形成されることが好ましいが、本発明がこれらに限定されるものではない。例えば、前記触媒層22は、粉末状態の遷移金属触媒を、前記下部電極21上に塗布する方法によって形成されてもよい。
【0027】
次に、図4Bに示すように、前記触媒層22上に多数のカーボンナノチューブ23を成長させる。前記カーボンナノチューブ23を成長させる方法としては、熱化学気相成長法(thermal Chemical Vapor Deposition:thermal CVD)を用いることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、プラズマ化学気相成長法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)などの触媒層22の表面に、多数のカーボンナノチューブ23を成長させることができるいかなる方法も用いることができる。
【0028】
例えば、熱化学気相成長法を用いる場合、カーボンナノチューブ23の成長工程は、約400〜900℃の温度が維持される反応器内で、所定の組成比で一酸化炭素(CO)と水素(H)とが混合された混合ガスの雰囲気下で行われることが好ましい。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、かようなカーボンナノチューブ23は、メタン(CH)、アセチレン(C)、エチレン(C)、エタン(C)、一酸化炭素、および二酸化炭素(CO)などの少なくとも1種の炭素含有ガスと、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)、水蒸気(HO)、およびアルゴン(Ar)の少なくとも1種のガスとを反応器に注入することによって形成されうる。
【0029】
その次に、図4Cに示すように、多数のカーボンナノチューブ23を蒸留水、またはイソプロパノールなどのアルコールなどの大きい表面張力を有する液体に浸し、乾燥させる。カーボンナノチューブ23間に多数の液滴が分布され、前記液滴によって生じる表面張力によってカーボンナノチューブ23が互いに凝集する。このとき、カーボンナノチューブ23間に液滴を分布させる方法としては、前述のような基板10を液体に浸漬する方法だけではなく、前記基板10に液体を噴射する方法など、多様な方法を用いることができる。
【0030】
カーボンナノチューブ23を互いに凝集させるために、前記液滴は、前記カーボンナノチューブ23の復元力より大きい表面張力を生じさせることが好ましい。ここで、カーボンナノチューブの復元力とは、カーボンナノチューブが変形した状態から解放された時に、カーボンナノチューブを元の状態に戻すために必要な弾性力を意味する。しかしながら、前記表面張力は強い必要はなく、
上述のように、触媒層22の直径やサイズは、カーボンナノチューブ束25の直径またはサイズの上限値より大きく設計することが好ましい。触媒層のサイズは、以後の工程で実施される複数回の光学エッチング工程での整列公差を考慮して、カーボンナノチューブ25のサイズの上限値より2倍以上大きいことが好ましい。本実施形態では、約400nmの直径を有する触媒層が形成されている。
【0031】
カーボンナノチューブ23は、ファンデルワールス力によって互いに引き付け合い、一度凝集すると、固まった状態を保ち続ける。結果として、カーボンナノチューブ23の根部(下部)は、触媒層22に強く付着して、カーボンナノチューブ23が触媒層22上に形成されたときの個数密度を保持しているのに反して、カーボンナノチューブ23の上部は圧縮され、カーボンナノチューブ束25の上部のカーボンナノチューブ23の個数密度が増大する。
【0032】
次に、図4Dに示すように、前記基板10の上部に、層間絶縁膜30が形成される。前記層間絶縁膜30は、前記下部電極21、前記触媒層22、および前記カーボンナノチューブ束25を覆うかまたは取り囲む。かような層間絶縁層30は、酸化物、例えば、酸化シリコン(SiO)やスピンオングラス(SOG:Spin−On−Glass)などの酸化物絶縁体の有機前駆体によって形成されうる。層間絶縁膜30がSOGから形成される場合、スピンコート法を用いてSOGが塗布された後、3回のベーク工程が必要である。第一段階は、ホットプレートで酸化物を60℃に加熱する。第二段階は、ホットプレートで酸化物を100℃に加熱する。第三段階は、酸化物をホットプレートで250℃に加熱する。所望の厚さを得るため、スピンコートおよび3段階のベーク工程を繰り返す。その後、炉で1時間の間430℃に加熱すれば、層間絶縁膜30を得ることができる。
【0033】
層間絶縁膜30を完成させるために、多様な方法がさらに使用されうる。基板10とカーボンナノチューブ束25とを全て覆うように絶縁層が形成された後、カーボンナノチューブ束25の上部を研磨することによって、カーボンナノチューブ束25の上端部が露出される。研磨工程は、平坦化工程を意味する。平坦化工程の後、層間絶縁膜30が完成する。もう一つの方法として、カーボンナノチューブ束25が絶縁性物質によって覆われないように、絶縁層を選択的に形成する方法も可能である。層間絶縁膜30が、絶縁体の前駆体から形成される場合には、熱分解または還元などの工程をさらに経ることができる。CVD法が層間絶縁膜30の形成に用いられる場合には、CVD工程中にカーボンナノチューブが分解することを防ぐために、層間絶縁膜30を形成する前に、スパッタリング法や真空蒸着法などにより、金属でカーボンナノチューブ23の表面またはカーボンナノチューブ束25の表面をコートする工程を追加することができる。
【0034】
前記平坦化工程としては、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)工程が行われうる。本実施形態では、層間絶縁膜30の上部は、アルミナパウダーを用いて、カーボンナノチューブ束25の上端部が露出されるまで前記層間絶縁層30の上面31を研磨することにより平坦化される。露出されたカーボンナノチューブ束25の上端部は、触媒層22に固定されたカーボンナノチューブ23の根部よりも、高い個数密度を有する。
【0035】
次に、図4Eに示すように層間絶縁層30の上面31に、カーボンナノチューブ束25の上端部と連結される上部電極41が形成される。よって、前記カーボンナノチューブ束25は、下部電極21および上部電極41を連結する、いわゆるコンタクトまたはインターコネクトのような層間配線を形成することになる。この場合、前記上部電極41の表面と接触する前記カーボンナノチューブ束25の上端部の直径は小さいように見えるが、カーボンナノチューブ束25に含まれるカーボンナノチューブ23の高い個数密度によって、前記カーボンナノチューブ束25の電気的抵抗が非常に低くなり、これにより、カーボンナノチューブ束25に電流が流れるときの電流密度を大幅に増大させることができる。かようなカーボンナノチューブから形成される層間配線は、その直径を数nm〜数十nmに形成できるので、数nm〜数十nmの直径を有する微細ビアホールにも適用できる。したがって、半導体素子の超高集積化が行われうる。前記上部電極41は、半導体素子内の配線のための電極パターンであってもよく、半導体素子の上層に配置された構造物の一部分であってもよい。
【0036】
以上、本発明による好ましい実施形態を説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者であれば、これから多様な変形および他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のカーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線およびその製造方法は、例えば、半導体素子関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線を示す断面概略図である。
【図2A】凝集する前のカーボンナノチューブを示すSEM写真である。
【図2B】凝集した後のカーボンナノチューブ束を示すSEM写真である。
【図3】湿式凝集方法を示す概略図である。
【図4A】本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線の製造方法を示す断面概略図である。
【図4B】本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線の製造方法を示す断面概略図である。
【図4C】本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線の製造方法を示す断面概略図である。
【図4D】本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線の製造方法を示す断面概略図である。
【図4E】本発明の一実施形態による半導体素子の層間配線の製造方法を示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0039】
10 基板、
21 下部電極、
22 触媒層、
23 カーボンナノチューブ、
24 カーボンナノチューブ群、
25 カーボンナノチューブ束、
30 層間絶縁膜、
31 層間絶縁膜の上面、
41 上部電極、
50 液滴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極と、
前記下部電極と電気的に連結されるように設けられるカーボンナノチューブ成長用の触媒層と、
前記触媒層表面から上方に成長する多数のカーボンナノチューブで構成され、上端部の個数密度が下端部の個数密度より高いカーボンナノチューブ束と、
前記カーボンナノチューブ束を取り囲む層間絶縁層と、
前記層間絶縁層上に前記カーボンナノチューブ束の上端部と電気的に連結されるように配置される上部電極と、
を備えることを特徴とする、カーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線。
【請求項2】
前記触媒層は、ニッケル、鉄、コバルト、白金、モリブデン、タングステン、イットリウム、金、パラジウム、およびこれら金属の合金からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の層間配線。
【請求項3】
下部電極を形成する段階と、
前記下部電極に電気的に連結されるように触媒層を形成する段階と、
前記触媒層の表面から多数のカーボンナノチューブを成長させる段階と、
前記カーボンナノチューブの上部を凝集させて上端部の個数密度が下端部の個数密度より高いカーボンナノチューブ束を形成する段階と、
前記下部電極が形成された層を覆いながら前記カーボンナノチューブ束を取り囲み、前記カーボンナノチューブ束の上端部だけを露出させる層間絶縁層を形成する段階と、
前記カーボンナノチューブ束の上端部と接触する上部電極を形成する段階と、
を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを用いた半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項4】
前記触媒層は、ニッケル、鉄、コバルト、白金、モリブデン、タングステン、イットリウム、金、パラジウム、およびこれら金属の合金からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする、請求項3に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項5】
前記触媒層は、マグネトロンスパッタリング法または電子ビーム蒸着法によって形成されることを特徴とする、請求項3または4に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項6】
前記層間絶縁層を形成する段階は、
前記下部電極が形成された層を覆い前記カーボンナノチューブ束取り囲む絶縁層を形成する段階と、
前記カーボンナノチューブ束の上端部が露出されるまで前記絶縁層の上面を平坦化する段階と、
を含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁層を形成する段階は、前記絶縁層の材料の前駆体を用いることを特徴とする、請求項6に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項8】
前記層間絶縁層を形成する段階の前に、前記カーボンナノチューブの表面を金属でコーティングする段階をさらに含むことを特徴とする、請求項3〜7のいずれか1項に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項9】
前記カーボンナノチューブ束を形成する段階は、前記カーボンナノチューブの間に液滴を分布させ、前記液滴を蒸発させる段階を含むことを特徴とする、請求項3〜8のいずれか1項に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブを液体に浸漬し、前記カーボンナノチューブの間に液滴を分布させることを特徴とする、請求項9に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項11】
前記カーボンナノチューブに液体を噴射し、前記カーボンナノチューブの間に液滴を分布させることを特徴とする請求項9に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項12】
前記液滴は、前記カーボンナノチューブの復元力より大きい表面張力を有することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。
【請求項13】
前記液滴は、蒸留水またはアルコールを含むことを特徴とする、請求項12に記載の半導体素子の層間配線の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2008−16849(P2008−16849A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175589(P2007−175589)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】