説明

カーボンナノチューブ複合体、カーボンナノチューブ複合体分散液、カーボンナノチューブ複合体分散膜および電界効果型トランジスタ

【課題】半導体層にカーボンナノチューブ複合体を含有する電界効果型トランジスタの移動度およびオンオフ比を向上することのできるカーボンナノチューブ複合体を提供すること。
【解決手段】カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体であって、前記カーボンナノチューブが半導体性カーボンナノチューブを80重量%以上含有するカーボンナノチューブ複合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体であって、前記カーボンナノチューブが半導体性カーボンナノチューブを80重量%以上含有するカーボンナノチューブ複合体、前記カーボンナノチューブ複合体を含有するカーボンナノチューブ複合体分散液、前記カーボンナノチューブ複合体分散液から得られるカーボンナノチューブ複合体分散膜および電界効果型トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動度が高く柔軟性に優れるカーボンナノチューブ(以下、CNTという)を半導体層として用いた電界効果型トランジスタ(以下、FETという)が注目を浴びている。CNTは凝集し易く、通常バンドル(CNT束)状で存在するが、分散剤の共存下で超音波照射等をすることにより、CNTを溶液中に均一分散できることがわかってきた。CNTが均一に分散したCNT分散液を利用することで、インクジェット技術やスクリーニング技術等により、基板上に直接回路パターンを形成することが可能になることから、低コストかつ移動度の高いFETを実現する有力技術として精力的に研究が進められている。
【0003】
CNTはグラフェンチューブの巻き方(キラリティー)により、金属性または半導体性を有するが、CNT合成時には、金属性CNTと半導体性CNTが通常1:2の混合物で生成する。この混合CNTを用いてFETを作製すると、金属性CNTがソース−ドレイン電極間を橋渡し(ショート)し、ゲート電圧で制御できない電流経路ができてしまう可能性がある。従って、金属性CNTのみで電極間を橋渡ししないようCNTの網目密度を低く抑えると移動度向上が難しくなり、網目密度を上げると金属性CNTによるショートが発生し、オンオフ比が低下してしまうという、移動度−オンオフ比間のトレードオフが課題になっている。
【0004】
このような背景から、金属性CNTと半導体性CNTを分離する検討が広く行われている(例えば、非特許文献1〜3)。こうした検討により、比較的半導体性含有率の高いCNTが得られるようになり、FET特性も改善しつつある(例えば、非特許文献4〜6)。
【0005】
一方、CNTの分散性を高める方法として、カーボンナノチューブの表面の一部に共役系重合体を付着させる方法(例えば、特許文献1参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−89738号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,2004年,Vol.126,No.4,P.1014−1015
【非特許文献2】Chem.Mater.,2007年,Vol.19,No.7,P.1571−1576
【非特許文献3】Nano Letters,2009年,Vol.9,No.4,P.1497−1500
【非特許文献4】Nature Nanotechnology,2006年,Vol.1,P.60−65
【非特許文献5】J.Am.Chem.Soc.,2008年,Vol.130,No.8,P.2686−2691
【非特許文献6】Appl.Phys.Exp.2,2009年,P.071601
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記非特許文献1〜6に記載されているような半導体性含有比率が高いCNTは、強い相互作用で凝集する傾向にあり、均一なCNT分散膜を得ることが難しく、十分なFET特性が得られていなかった。また、前記特許文献1に記載された技術では、未分離のCNTを用いており、半導体性CNTがもつ高いポテンシャルを十分に引き出せていなかった。本発明の目的は、カーボンナノチューブを含有する半導体層を有する電界効果型トランジスタの移動度およびオンオフ比を向上することのできるカーボンナノチューブ複合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体であって、前記カーボンナノチューブが半導体性カーボンナノチューブを80重量%以上含有するカーボンナノチューブ複合体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、高移動度、高オンオフ比の電界効果型トランジスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一態様であるFETを示す模式断面図
【図2】本発明の別の態様であるFETを示す模式断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のカーボンナノチューブ複合体(以下、CNT複合体という)は、半導体性CNTを80重量%以上含有するCNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したものである。従来公知の合成方法で得られる未分離CNT中の半導体性CNTの含有比率は、一般的に約67重量%である。本発明においては、半導体性CNTの含有比率を高め、少なくとも80重量%以上にすることにより、半導体層にCNTを含有するFETにおいて、金属性CNTによる電極間のショート確率を大幅に低減することができるため、オンオフ比が向上する。さらに、CNT密度を上げても高いオンオフ比を得やすくなることから、高い移動度と高いオンオフ比を両立することが可能となる。このような観点から、CNT中の半導体性CNTの含有比率は高いほどよく、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。一方、半導体性CNTの含有比率を高めることは、同一性質を有するCNT比率を高めることになり、CNT同士の相互作用が強くなり、CNTを一本一本にほぐして均一な分散体を作製することが難しくなる。半導体性CNTの含有比率を高める工程でアモルファスカーボン等の不純物を低減することによっても、かかる課題が生じる。分散性が低く凝集したCNTバンドル中には金属性CNTが含まれる可能性が高くなるため、金属性CNTを含むCNTバンドルによる電極間ショート確率が高くなり、十分なオンオフ比が得られない。この課題に対して、本発明ではCNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させることにより、半導体性CNT含有比率の高いCNTの均一分散を可能にした。
【0013】
半導体性CNTの含有比率を80重量%以上にする方法としては、既知の方法を用いることができる。例えば、ヨーディキサノールなどの密度勾配剤の共存下で超遠心する方法、ポルフィリン化合物やフルオレン化合物を選択的に半導体性もしくは金属性CNTの表面に付着させ、溶解性の差を利用して分離する方法、電気的性質の差を利用して電気泳動等により分離する方法、アガロースゲルへの吸着力の差を利用する方法などが挙げられる。半導体性CNTの含有比率を測定する方法としては、可視−近赤外吸収スペクトルの吸収面積比から算出する方法や、ラマンスペクトルの強度比から算出する方法等が挙げられるが、本発明においては、可視−近赤外吸収スペクトルの吸収面積比から半導体性CNTの含有比率を算出するものとする。
【0014】
本発明において、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した状態とは、CNTの表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、それぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判断できる。定量的にはX線光電子分光(XPS)などの元素分析によって、付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。また、CNTに付着させる共役系重合体は、分子量、分子量分布や構造に関わらず用いることができる。
【0015】
CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させる方法としては、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTをあらかじめ超音波等で予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTをいれ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法などが挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよく、いずれかの方法を組み合わせてもよい。
【0016】
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのいずれを用いてもよいが、半導体性CNTの含有比率を高めるためには、単層CNTを用いることが好ましい。CNTは、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等により得ることができる。
【0017】
本発明において、CNTの長さは、ソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いことが好ましい。CNTの平均長さは、チャネル長によるが、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがあるため、CNTをチャネル長よりも短くする工程を加えることが好ましい。例えば、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などにより短繊維状にカットする方法が有効である。またフィルターによる分離を併用することは、純度を向上させる点でさらに好ましい。
【0018】
また、CNTの直径は特に限定されないが、0.5nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下である。単層CNTの場合には、0.5nm以上5nm以下が好ましく、より好ましくは3nm以下である。
【0019】
本発明では、CNTを溶媒中に均一分散させ、分散液をフィルターによってろ過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、チャネル長よりも短いCNTを効率よく得られる。この場合、フィルターとしてはメンブレンフィルターが好ましく用いられる。ろ過に用いるフィルターの孔径は、チャネル長よりも小さければよく、0.5〜10μmが好ましい。
【0020】
他にCNTを短小化する方法として、酸処理、凍結粉砕処理などが挙げられる。
【0021】
上記のCNTを被覆する共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、チオフェンユニットとヘテロアリールユニットを繰り返し単位中に有するチオフェン−ヘテロアリーレン系重合体などが挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。上記重合体は、単一のモノマーユニットが並んだもの、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したもの、また、グラフト重合したものなどを用いることができるが、チオフェン骨格を繰り返し単位中に含むことが好ましい。中でも、CNTへの付着が容易であり、CNT複合体を形成しやすいポリチオフェン系重合体およびチオフェン−ヘテロアリーレン系重合体が特に好ましく使用される。
【0022】
ポリチオフェン系重合体としては、ポリ−チオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖を有するものが好ましい。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜12);ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜12);ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は好ましくは1〜12);ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜12)が挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェンまたはポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましい。前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。ポリチオフェン系重合体の好ましい分子量は、数平均分子量で800〜100000である。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマーであってもよい。
【0023】
チオフェン−ヘテロアリーレン系重合体としては、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン)−2,7−ジイル−alt−[4,7−ビス(3−デシロキシチエン−2−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール]−5’,5’−ジイル}、ポリ{[4,7−ビス(4,4’−ジヘキシルビチオフェン−2−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール]−5’,5’−ジイル}などのチオフェン−ベンゾチアジアゾール系重合体、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン)−2,7−ジイル−alt−[5,8−ジ−2−チエニル−2,3−ビス(3−オクチロキシフェニル)キノキサリン)]−5’,5’−ジイル}などのチオフェン−キノキサリン系重合体、ポリ{5,7−ジ−2−チエニル−2,3−ビス(3,5−ジ(2−エチルヘキシロキシ)フェニル)チエノ[2,4−b]ピラジン}などのチオフェン−チエノピラジン系重合体などが挙げられる。
【0024】
本発明で用いられる共役系重合体の不純物を除去する方法として、再沈殿法、ソクスレー抽出法、ろ過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。中でも低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法が好ましく用いられ、金属成分の除去には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法を2種以上組み合わせてもよい。
【0025】
本発明のCNT複合体分散液は、前記CNT複合体と溶媒を含有する。溶媒は特に限定されず、公知の溶媒を用いることができ、2種以上の溶媒を含有してもよい。
【0026】
中でも、双極子モーメントが3.5Debye以下の溶媒が好ましい。双極子モーメントは溶媒の極性を表す指標である。双極子モーメント3.5Debye以下の低極性溶媒を用いることで、共役系重合体の溶解性を高め、共役系重合体が付着したCNTの分散性をより向上させ、CNT複合体分散液の保存安定性を向上させることができる。溶媒を2種以上含有する場合は、各溶媒の双極子モーメントがいずれも3.5Debye以下であることが好ましい。なお、本発明の双極子モーメントは、文献値(「化学大辞典」、共立出版、1993年)を用いた。
【0027】
また、沸点が150℃以上の溶媒を全溶媒中50体積%以上含有することが好ましい。沸点が150℃以上の高沸点溶媒を全溶媒中50体積%以上含有することにより、CNT複合体分散液を塗布する際に、低沸点溶媒が揮発した場合であっても固体成分の析出や溶媒の蒸発による塗布むらを防ぐことができる。その結果、インクジェットなどの塗布法によるCNT複合体分散膜の形成が容易となり、また、高い特性を有するFETを得ることができる。なお、沸点は大気圧下における値を指す。本発明の沸点は、文献値(「化学大辞典」、共立出版、1993年)を用いた。
【0028】
双極子モーメントが3.5Debye以下の溶媒としては、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。また、沸点が150℃以上かつ双極子モーメントが3.5Debye以下の溶媒としては、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、p−シメン、1,2−ジヒドロナフタレン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、1,2,3−トリエチルベンゼン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、n−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、マロン酸ジエチル、o−トルイジン、m−トルイジンなどが挙げられる。これらの溶媒を2種以上組み合わせてもよい。
【0029】
また、CNT複合体を良好に分散させるために、CNT複合体分散液中のCNTの濃度は溶媒に対して0.005〜1g/lが好ましく、さらに好ましくは0.5g/l以下である。
【0030】
本発明のCNT複合体分散液は、さらに有機半導体を含有してもよい。有機半導体としては、溶媒に可溶で半導体性を示す材料であれば分子量にかかわらず用いることができ、キャリア移動度の高い材料であれば好ましく用いることができる。有機半導体の種類は特に限定されないが、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリジアセチレン類、ポリカルバゾール類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、オキサゾール、オキサジアゾールなどの含窒素芳香環を構成単位とするポリヘテロアリール類、アントラセン、ピレン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ルブレンなどの縮合多環系の低分子半導体、フラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、オキサゾール、オキサジアゾールなどの複素芳香環を有する低分子半導体などが例として挙げられる。中でもチオフェン骨格を有する低分子半導体が移動度をより向上させることができるため好ましい。これは、チオフェン骨格が高い電荷輸送能力を有するためである。本発明における低分子半導体とは、分子量3000以下の化合物をいう。本発明における低分子半導体は、分子量分布のない単一の化合物として単離・同定できるものであり、ある単位骨格の繰り返しからなる重合体ではない。このような低分子半導体はカラム精製や再結晶、昇華精製などの方法により精製することができるため、高純度化が可能である。従って、上記のような単一かつ高純度化が可能な低分子半導体を有機半導体層として用いることにより、FETの移動度をより向上させることができる。なお、分子量は一般に使用されている質量分析装置で測定することができる。
【0031】
チオフェン骨格を有する低分子半導体としては、芳香族基としてチオフェン骨格のみを有するオリゴチオフェン類、チオフェン骨格またはオリゴチオフェン骨格を連結基で結合した連結型チオフェン類が好ましく用いられる。
【0032】
上記のようなチオフェン骨格を有する低分子半導体の好ましい例として、具体的には4,4’−ビス(5−(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)チオフェン−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5−(2−(2−プロピロキシエトキシ)エチル)チオフェン−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5−(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)チオフェン−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5−(2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エチル)チオフェン−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5−(2−メトキシメトキシエチル)チオフェン−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5−(2−ノニルオキシエチル)チオフェン−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(5−(2−ドデシルオキシエチル)チオフェン−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス((2−(3−n−ヘキシル)チエニル)ビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(4’’,3’’’’’−n−ヘキシル([5’’,2’’’;5’’’,2’’’’;5’’’’,2’’’’’]クオーターチオフェン−2’’−イル)スチルベン、4,4’−ビス(4’’,3’’’’’−n−ヘキシル([5’’,2’’’;5’’’,2’’’’;5’’’’,2’’’’’]クオーターチオフェン−2’’−イル)ジフェニルエーテルなどが挙げられる。本発明のCNT複合体分散液は上述の有機半導体を2種以上含有してもよい。
【0033】
CNT複合体分散液中に有機半導体を含む場合のCNT複合体と有機半導体の含有比率は、有機半導体100重量部に対してCNT複合体0.01重量部以上3重量部以下であることが好ましく、1重量部以下がより好ましい。
【0034】
また、本発明のCNT複合体分散液は、さらに絶縁性材料や界面活性剤を含んでもよい。ここで用いられる絶縁性材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。界面活性剤としては、フッ素系材料、エポキシ系材料、アクリル系材料、シロキサン系材料などいずれの材料を用いても構わない。
【0035】
本発明のCNT複合体分散液の製造方法としては、(I)溶融した共役系重合体中に半導体性CNTを80重量%以上含有するCNTを添加した後に、溶媒を加えて混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中に半導体性CNTを80重量%以上含有するCNTを添加して混合する方法、(III)半導体性CNTを80重量%以上含有するCNTをあらかじめ超音波等で溶媒中に予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体と半導体性CNTを80重量%以上含有するCNTをいれ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法などが挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよく、いずれかの方法を組み合わせてもよい。
【0036】
本発明のCNT複合体分散膜は、上記CNT複合体分散液を塗布することにより作製できる。CNT複合体分散液を塗布する方法は、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて選択でき、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などが挙げられる。中でも、パターン加工や薄膜形成が容易なことから、インクジェット法が好ましく用いられる。
【0037】
CNT複合体分散膜の膜厚は1nm以上50nm以下が好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、FETのオンオフ比をより高くすることができる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。また、CNT複合体分散膜は単層でも複数層でもよい。また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または不活性ガス雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。
【0038】
次に、本発明のFETについて説明する。本発明のFETは、ゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層、ソース電極およびドレイン電極を有する電界効果型トランジスタであって、前記半導体層が本発明のCNT複合体分散膜を含有する。
【0039】
図1および図2は、本発明のFETの例を示す模式断面図である。図1では、ゲート絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に、ソース電極5およびドレイン電極6が形成され、さらにその上に本発明のCNT複合体分散膜を含有する半導体層4が形成されている。図2では、ゲート絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に本発明のCNT複合体分散膜を含有する半導体層4が形成され、さらにその上にソース電極5およびドレイン電極6が形成されている。
【0040】
基板1に用いられる材料としては、例えば、シリコンウエハー、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料が挙げられる。
【0041】
ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6に用いられる材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属やこれらの合金、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など、ヨウ素などのドーピングなどで導電率を向上させた導電性ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
【0042】
上記ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェットおよび印刷などが挙げられるが、導通を取ることができれば特に制限されない。また電極パターンの形成方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を公知のフォトリソグラフィー法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。
【0043】
ゲート絶縁層3に用いられる材料としては、特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料、あるいは無機材料粉末と有機高分子材料の混合物を挙げることができる。ゲート絶縁層3の膜厚は、好ましくは50nm〜3μm、より好ましくは100nm〜1μmである。絶縁層は単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して複数の絶縁層を形成しても構わない。
【0044】
上記ゲート絶縁層の形成方法としては、特に限定されないが、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVD、イオンプレーティング、コーティング、インクジェットおよび印刷などの方法が挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0045】
本発明のFETにおいて、半導体層4は本発明のCNT複合体分散膜を含有する。
【0046】
半導体層4の膜厚は1nm以上100nm以下が好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になり、さらにゲート電圧によって制御できないソース・ドレイン間電流を抑制し、FETのオンオフ比をより高くすることができる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。また、半導体層4は単層でも複数層でもよい。複数層の場合には、本発明の複数のCNT複合体分散膜を積層してもよいし、本発明のCNT複合体分散膜と既知の有機半導体を積層してもよい。既知の有機半導体としては上述の有機半導体と同じものを使用できる。また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または不活性ガス雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。
【0047】
また、ゲート絶縁層3と半導体層4の間に配向性層を設けることもできる。本発明の有機トランジスタ材料は配向性層がなくても高い移動度を奏するが、配向性層を設けることにより、さらに高い移動度が可能となるため好ましい。配向性層には、シラン化合物、チタン化合物、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の材料を用いることができ、中でも有機シラン化合物が好ましい。
【0048】
有機シラン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、フェニルトリクロロシラン、ナフチルトリクロロシラン、アントラセントリクロロシラン、ピレントリクロロシラン、ペリレントリクロロシラン、コロネントリクロロシラン、チオフェントリクロロシラン、ピロールトリクロロシラン、ピリジントリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、アントラセントリメトキシシラン、アントラセントリエトキシシラン、ピレントリメトキシシラン、ピレントリエトキシシラン、チオフェントリメトキシシラン、チオフェントリエトキシシラン、フェニルメチルトリクロロシラン、フェニルエチルトリクロロシラン、フェニルプロピルトリクロロシラン、フェニルブチルトリクロロシラン、フェニルヘキシルトリクロロシラン、フェニルオクチルトリクロロシラン、ナフチルメチルトリクロロシラン、ナフチルエチルトリクロロシラン、アントラセンメチルトリクロロシラン、アントラセンエチルトリクロロシラン、ピレンメチルトリクロロシラン、ピレンエチルトリクロロシラン、チオフェンメチルトリクロロシラン、チオフェンエチルトリクロロシラン、アミノフェニルトリクロロシラン、ヒドロキシフェニルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ジクロロフェニルトリクロロシラン、トリクロロフェニルトリクロロシラン、ブロモフェニルトリクロロシラン、フルオロフェニルトリクロロシラン、ジフルオロフェニルトリクロロシラン、トリフルオロフェニルトリクロロシラン、テトラフルオロフェニルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルトリクロロシラン、ヨードフェニルトリクロロシラン、シアノフェニルトリクロロシランなどが挙げられる。
【0049】
配向性層の抵抗を考慮すると、配向性層の膜厚は10nm以下が好ましく、さらに好ましくは単分子膜である。また配向性層は、例えば、上記有機シラン化合物と絶縁層表面とが化学結合して形成されたものも含む。シリル基と絶縁層表面が化学的に反応することで、緻密で強固な膜を形成することができる。反応後の強固な膜の上に、未反応のシラン化合物が積層している場合は、洗浄などをすることによって、未反応のシラン化合物を除去し、シリル基と絶縁層表面とが化学結合して形成された単分子膜を得ることができる。
【0050】
配向性層の形成方法としては、特に限定されないが、CVD法などの気相法や、スピンコート法や浸漬引き上げ法などの液相を用いた方法が挙げられる。
【0051】
配向性層を形成する前に、その下地となる絶縁層表面をUVオゾン法や酸素プラズマ法などの方法を用いて親水化処理してもよい。これにより、シリル基と絶縁層表面の化学反応を容易にすることができる。
【0052】
本発明では、少なくともCNT複合体を含有する半導体層4に対してゲート絶縁層3と反対側に第2絶縁層を設けてもよい。ここで、半導体層に対してゲート絶縁層と反対側とは、例えば、半導体層の上側にゲート絶縁層を有する場合は半導体層の下側を指す。これにより、しきい値電圧およびヒステリシスを低減することができる。CNTは大気中の酸素や水の影響を受け易く、その結果CNTを含むFETのしきい値電圧やヒステリシスが大きくなると考えられるが、金属性CNTに比べ半導体性CNTの方が水や酸素の影響を受け易い。従って、半導体性CNTを80重量%以上含有する本発明においては、第2絶縁層形成によるFET特性改善効果がより顕著になる。
【0053】
第2絶縁層に用いられる材料としては特に限定されないが、具体的には酸化シリコン、アルミナ等の無機化合物、ポリイミドやその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサンやその誘導体、ポリビニルフェノールやその誘導体等の有機高分子化合物、あるいは無機化合物粉末と有機高分子化合物の混合物や有機低分子化合物と有機高分子化合物の混合物を挙げることができる。これらの中でも、インクジェット等の塗布法で作製できる有機高分子化合物を用いることが好ましい。特に、ポリフルオロエチレン、ポリノルボルネン、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネートまたはこれらの誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、またはこれらを含む共重合体を用いると、しきい値電圧およびヒステリシス低減効果がより大きくなるため好ましく、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、またはこれらを含む共重合体が特に好ましい。
【0054】
第2絶縁層の膜厚は、一般的には50nm〜10μm、好ましくは100nm〜3μmである。第2絶縁層は単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して形成しても構わない。
【0055】
上記第2絶縁層の形成方法としては、特に限定されず、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法として、具体的には、前記CNT複合体分散液の塗布方法として例示した方法が挙げることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。
【0056】
このようにして形成されたFETは、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流を、ゲート電圧を変化させることによって制御することができる。FETの移動度は、下記の(a)式を用いて算出することができる。
【0057】
μ=(δId/δVg)L・D/(W・ε・ε・Vsd) (a)
ただしIdはソース・ドレイン間の電流(A)、Vsdはソース・ドレイン間の電圧(V)、Vgはゲート電圧(V)、Dは絶縁層の厚み(m)、Lはチャネル長(m)、Wはチャネル幅(m)、εはゲート絶縁層の比誘電率(本実施例で用いたゲート絶縁層は3.3)、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0059】
なお、H−NMR測定にはFT−NMR装置((株)日本電子製JEOL JNM−EX270)を用いた。また、半導体性CNTの含有比率は、UV分光装置(日立ハイテクノロジーズ(株)社製、U−3010)を用い、金属性CNTに対応する吸収スペクトル(600nm〜800nm)の面積比から算出した。また、溶媒の双極子モーメントおよび大気圧下における沸点は、文献値(「化学大辞典」、共立出版、1993年)を用いた。また、共役系重合体の平均分子量(数平均分子量、重量平均分子量)はGPC装置(クロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8220GPC)を用い、絶対検量線法によって算出した。重合度nは以下の式で算出した。
重合度n=[(重量平均分子量)/(モノマー1ユニットの分子量)]。
【0060】
合成例1
下記式で表される共役系重合体[WP−BT1]を以下のように合成した。
【0061】
【化1】

【0062】
4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2.0gと、ビス(ピナコラト)ジボロン4.3gを1,4−ジオキサン40mlに加え、窒素雰囲気下で酢酸カリウム4.0g、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム1.0gを加え、80℃で8時間撹拌した。得られた溶液に水200mlと酢酸エチル200mlを加え、有機層を分取し、水400mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル)で精製し、4,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾールを1.3g得た。
【0063】
次に、2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン18.3gをテトラヒドロフラン250mlに溶解し、−80℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)45mlを加えた後、−50℃まで昇温し、再度−80℃に冷却した。2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン18.6mlを加え、室温まで昇温し、窒素雰囲気下で6時間撹拌した。得られた溶液に1N塩化アンモニウム水溶液200mlと酢酸エチル200mlを加え、有機層を分取し、水200mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し2−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3−ヘキシルチオフェン16.66gを得た。
【0064】
次に、上記2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン2.52gと、上記2−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3−ヘキシルチオフェン3.0gをジメチルホルムアミド100mlに加え、窒素雰囲気下でリン酸カリウム13g、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム420mgを加え、90℃で5時間撹拌した。得られた溶液に水200mlとヘキサン100mlを加え、有機層を分取し、水400mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェンを2.71g得た。
【0065】
次に、上記3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン2.71gをジメチルホルムアミド8mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド2.88gのジメチルホルムアミド(16ml)溶液を加え、5℃〜10℃で9時間撹拌した。得られた溶液に水150mlとヘキサン100mlを加え、有機層を分取し、水300mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、5,5’−ジブロモ−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェンを3.76g得た。
【0066】
次に、上記5,5’−ジブロモ−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン3.76gと、上記2−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3−ヘキシルチオフェン4.71gをジメチルホルムアミド70mlに加え、窒素雰囲気下でリン酸カリウム19.4g、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム310mgを加え、90℃で9時間撹拌した。得られた溶液に水500mlとヘキサン200mlを加え、有機層を分取し、水300mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、3,4’,3’’,3’’’−テトラヘキシル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クオーターチオフェンを4.24g得た。
【0067】
次に、上記3,4’,3’’,3’’’−テトラヘキシル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クオーターチオフェン520mgをクロロホルム20mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド280mgのジメチルホルムアミド(10ml)溶液を加え、5℃〜10℃で5時間撹拌した。得られた溶液に水150mlとジクロロメタン100mlを加え、有機層を分取し、水200mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、5,5’’’−ジブロモ−3,4’,3’’,3’’’−テトラヘキシル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クオーターチオフェンを610mg得た。
【0068】
次に、上記4,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール280mgと、上記5,5’’’−ジブロモ−3,4’,3’’,3’’’−テトラヘキシル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クオーターチオフェン596mgをトルエン30mlに溶解した。ここに水10ml、炭酸カリウム1.99g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)83mg、Aliquat336 1滴を加え、窒素雰囲気下、100℃にて20時間撹拌した。得られた溶液にメタノール100mlを加え、生成した固体をろ取し、メタノール、水、アセトン、ヘキサンの順に洗浄した。得られた固体をクロロホルム200mlに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮乾固した後、メタノール、アセトン、メタノールの順に洗浄し、共役系重合体[WP−BT1]を480mg得た。GPC測定の結果、重量平均分子量は47698、数平均分子量は13555、重合度nは45.6であった。
【0069】
合成例2
下記式で表される有機半導体[OSC1]を以下のように合成した。
【0070】
【化2】

【0071】
2−チオフェンエタノール17gを0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%油性)7.1gをテトラヒドロフラン110mlに加えた懸濁液を滴下した。溶液を窒素雰囲気下0℃にて20分間撹拌し、1−ブロモノナン27gを滴下した。得られた溶液を90℃に昇温し、8時間加熱撹拌した。反応溶液に水100mlおよびジクロロメタン100mlを加えて有機層を分取した。有機層を飽和食塩水300mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、2−(2−ノニルオキシエチル)チオフェン20gを得た。
【0072】
2−(2−ノニルオキシエチル)チオフェン12gをテトラヒドロフラン90mlに溶解し、−80℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウム溶液(1.6mol/lのヘキサン溶液)34mlを滴下し、6時間撹拌した。得られた溶液を−30℃まで昇温し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン10gを滴下し、室温にて18時間撹拌した。得られた溶液に水100mlおよびヘキサン100mlを加え、有機層を分取した。有機層を水300mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、下記式に示す5−NOET−BPin8.8gを得た。
【0073】
【化3】

【0074】
4,4’−ジブロモスチルベン0.21g、上記5−NOET−BPin0.69g、トルエン20ml、エタノール4mlおよび2M炭酸ナトリウム水溶液5mlの混合溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)67mgを加え、窒素雰囲気下、100℃にて10時間加熱撹拌した。得られた溶液にジクロロメタン70ml、水50mlを加えて有機層を分取した。有機層を水150mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、薄黄色粉末80mgを得た。得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、前記OSC1であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.85-0.90(m,6H),1.27(m,24H),1.57-1.63(m,4H), 3.07-3.12(t,4H),3.45-3.50(t,4H),3.66-3.70(t,4H),6.81-6.82(d,2H),7.10(s,2H),7.15-7.17(d,2H), 7.48-7.57(dd,8H) 。
【0075】
実施例1
(1)半導体性CNTの分離
CNT(CNI社製、単層CNT、純度95%、以下単層CNTという)4.5mgと、ドデシル硫酸ナトリウム600mgを30mlの純水中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製、VCX−500)を用いて出力250Wで4時間超音波照射し、CNT分散液Aとした。
【0076】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン728mg、ホウ酸360mgの60ml水溶液に、アガロースゲル(ナカライテスク(株)社製、アガロースLE、クラシックタイプ)1.2g、ドデシル硫酸ナトリウム1.2gを加え、100℃で1.5時間加熱撹拌した。室温に冷却後、得られたゲルを2mm程度の大きさに砕き、上記で得られたCNT分散液Aを加え、室温で一晩静置し、CNTが浸透したゲルAを約90g得た。
【0077】
次に、ゲルA90gを1.5mlマイクロチューブ(60本)に入れ、遠心分離機(日立工機(株)社製、CT15E)を用いて、21000Gで1.5時間遠心した。上澄みを取り除いた後、沈殿しているゲルをナスフラスコに移し、4%クエン酸水溶液を加え、100℃で3時間加熱撹拌した。室温に冷却後、ろ過し、水、メタノールで洗浄した。得られた黒色固体を窒素気流中、300℃で1.5時間乾燥し、CNT−A1.1mgを得た。CNT−A中の半導体性CNTの含有比率は91重量%であった。
【0078】
(2)CNT複合体分散液の作製
共役系重合体であるポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー、数平均分子量(Mn):13000、以下P3HTという)0.10gをクロロホルム5mlの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で超音波撹拌することによりP3HTのクロロホルム溶液を得た。次いでこの溶液をスポイトにとり、メタノール20mlと0.1規定塩酸10mlの混合溶液の中に0.5mlずつ滴下して、再沈殿を行った。固体になったP3HTを0.1μm孔径のメンブレンフィルター(PTFE社製:4フッ化エチレン)によって濾別捕集し、メタノールでよくすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿P3HTを得た。
【0079】
(1)で得られたCNT−A1.0mgと、上記P3HT1.0mgを10mlのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波撹拌した。超音波照射を30分間行った時点で一度照射を停止し、上記P3HTを1.0mg追加し、さらに1分間超音波照射することによって、CNT複合体分散液A(溶媒に対するCNT濃度0.1g/l)を得た。
【0080】
CNT複合体分散液A中で、P3HTがCNTに付着しているかどうかを調べるため、分散液A5mlをメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、フィルター上にCNTを捕集した。捕集したCNTを、溶媒が乾かないうちに素早くシリコンウエハー上に転写し、乾燥したCNTを得た。このCNTを、X線光電子分光法(XPS)を用いて元素分析したところP3HTに含まれる硫黄元素が検出された。従って、CNT複合体分散液A中のCNTにはP3HTが付着していることが確認できた。
【0081】
上記CNT複合体分散液Aにo−ジクロロベンゼン(沸点180℃、双極子モーメント2.3Debye、以下o−DCBという)5mlを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、溶媒をo−DCBで置換し、CNT複合体分散液Bを得た。次に分散液Bをメンブレンフィルター(孔径3μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いてろ過を行い、長さ10μm以上のCNTを除去した。得られたろ液にo−DCBを加えて希釈し、CNT複合体分散液C(溶媒に対するCNT濃度0.06g/l)とした。
【0082】
(3)絶縁層用ポリマー溶液の作製
メチルトリメトキシシラン61.29g(0.45モル)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12.31g(0.05モル)、およびフェニルトリメトキシシラン99.15g(0.5モル)をプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)203.36gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2.0時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出せしめた後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0重量%のポリマー溶液Aを得た。
【0083】
得られたポリマー溶液Aを50gはかり取り、プロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)16.6gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ポリマー溶液B(固形分濃度19.5重量%)を得た。
【0084】
(4)FETの作製
図1に示すFETを作製した。ガラス製の基板1(膜厚0.7mm)上に、抵抗加熱法により、マスクを通してクロムを5nmおよび金を50nm真空蒸着し、ゲート電極2を形成した。次に上記(3)で得られたポリマー溶液Bを上記ゲート電極が形成されたガラス基板上にスピンコート塗布(2000rpm×30秒)し、窒素気流下200℃、1時間熱処理することによって、膜厚600nmのゲート絶縁層3を形成した。
【0085】
このゲート絶縁層が形成された基板上に、金を厚み50nmになるように真空蒸着した。次に、ポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。得られたレジスト膜に対して、露光機を用いて、フォトマスクを通して紫外線照射を行った。続いて、基板をアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、電極形状にパターン加工されたレジスト膜を得た。得られた基板を金エッチング液(アルドリッチ社製、Gold etchant,standard)中に浸漬し、レジスト膜が除去された部分の金を溶解・除去した。得られた基板をアセトン中に浸漬し、レジストを除去した後、純水で洗浄し、100℃のホットプレートで30分間乾燥した。このようにして、電極の幅(チャネル幅)0.2mm、電極の間隔(チャネル長)20μm、厚み50nmの金ソース・ドレイン電極を得た。
【0086】
次に、電極が形成された基板上に(2)で得られたCNT複合体分散液Cをインクジェット法を用いて塗布し、CNT複合体分散膜を作製した。ホットプレート上で窒素気流下、150℃、30分間の熱処理を行い、FETを得た。この際、インクジェット装置としては簡易吐出実験セットPIJL−1(クラスターテクノロジー株式会社製)を用いた。
【0087】
次に、上記FETのゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200−SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。Vg=+30〜−30Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.2cm/V・secであった。また、このときのIdの最大値と最小値の比からオンオフ比を求めたところ7.5×10であった。
【0088】
また、CNT複合体分散液Cを大気中、室温で保存したところ、2ヶ月以上たっても析出物は観察されず、安定に分散していることがわかった。
【0089】
実施例2
CNT複合体を形成する共役系重合体としてP3HTにかえて合成例1で得られたWP−BT1を用いてCNT複合体分散液Dを作製した。CNT複合体分散液Cの代わりにCNT複合体分散液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にしてFETを作製し、特性を測定した。結果を表1に示した。また、CNT複合体分散液Dを大気中、室温で保存したところ、2ヶ月以上たっても析出物は観察されず、安定に分散していることがわかった。
【0090】
比較例1
共役系重合体であるP3HTを用いなかったこと以外は実施例1の(2)と同様にしてCNT分散液Aを作製した。得られたCNT分散液A中には、分散できていないCNTが肉眼で観察された。分散できていないCNTを取り除くため、遠心分離機(日立工機(株)社製、CT15E)を用いて、21000Gで30分間遠心分離し、上澄み液を用いて実施例1の(4)と同様にしてFETを作製した。結果を表1に示した。
【0091】
比較例2
未分離のCNT(半導体性CNT含有率:約67重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてFETを作製し、特性を測定した。結果を表1に示した。
【0092】
実施例3
実施例1の(2)で得られたCNT複合体分散液C1mlに合成例2で得られたOSC1を2.5mg加え、CNT複合体分散液Eを作製した。CNT複合体分散液Cの代わりにCNT複合体分散液Eを用いたこと以外は実施例1と同様にしてFETを作製し、特性を測定した。結果は表1に示した。また、CNT複合体分散液Eを大気中、室温で保存したところ、2ヶ月以上たっても析出物は観察されず、安定に分散していることがわかった。
【0093】
実施例4
実施例1の(2)で得られたCNT複合体分散液A1mlにクロロホルム5mlを加えCNT複合体分散液F(溶媒:クロロホルム、沸点62℃、双極子モーメント1.2Debye)を作製した。溶媒に対するCNT濃度は0.02g/lとした。CNT複合体分散液Eを用いてインクジェット装置で半導体層を形成しようとしたが、溶媒の沸点が低いため、ノズル出口に析出物が生じ、安定して吐出することができなかった。代わりに、上記ソース・ドレイン電極が形成された基板上にCNT複合体分散液Fを0.2μlドロップキャストし、半導体層を形成したこと以外は実施例1と同様にしてFETを作製し、特性を測定した。結果を表1に示した。また、CNT複合体分散液Fを大気中、室温で保存したところ、1ヵ月後に析出物が生成した。
【0094】
実施例5
半導体層形成後に、ポリ(メチルメタクリレート)(アルドリッチ社製、重量平均分子量(Mw):350000、以下PMMAという)の5重量%メチルエチルケトン溶液を半導体層4上に10μLドロップキャストし、第2絶縁層を形成後、30℃で5分間風乾した後、ホットプレート上で窒素気流下、120℃、30分間熱処理したこと以外は実施例1と同様にしてFETを作製し、特性を測定した。結果を表1に示した。
【0095】
実施例6
o−DCBの代わりに、N−メチルピロリドン(沸点202℃、双極子モーメント4.1Debye、以下NMPという)/o−DCB(6:4(重量比))の混合溶媒を用いて、実施例1と同様にしてCNT複合体分散液Gを作製した。CNT複合体分散液Cの代わりにCNT複合体分散液Gを用いたこと以外は実施例1と同様にしてFETを作製し、特性を測定した。結果を表1に示した。また、CNT複合体分散液Gを大気中、室温で保存したところ、1日後には析出物が生成した。
【0096】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明のCNT複合体は、電界効果型トランジスタ、光起電力素子、スイッチング素子など、各種デバイスに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0098】
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体であって、前記カーボンナノチューブが半導体性カーボンナノチューブを80重量%以上含有するカーボンナノチューブ複合体。
【請求項2】
前記共役系重合体がチオフェン骨格を繰り返し単位中に含む請求項1記載のカーボンナノチューブ複合体。
【請求項3】
請求項1または2記載のカーボンナノチューブ複合体および溶媒を含有するカーボンナノチューブ複合体分散液。
【請求項4】
前記溶媒の双極子モーメントが3.5Debye以下であり、かつ、沸点が150℃以上である溶媒を全溶媒中50体積%以上含有する請求項3記載のカーボンナノチューブ複合体分散液。
【請求項5】
請求項3または4記載のカーボンナノチューブ複合体分散液を塗布して得られるカーボンナノチューブ複合体分散膜。
【請求項6】
ゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層、ソース電極およびドレイン電極を有する電界効果型トランジスタであって、前記半導体層が請求項5記載のカーボンナノチューブ複合体分散膜を含有する電界効果型トランジスタ。
【請求項7】
前記半導体層に対して前記ゲート絶縁層と反対側に第2絶縁層を有する請求項6記載の電界効果型トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−126727(P2011−126727A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284777(P2009−284777)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】