ガスセンサおよびガス漏れ警報器の点検方法
【目的】点検作業の迅速および容易さを損なわずに、フィルター機能の発揮が低下することのないガスセンサおよびガス漏れ警報器の点検方法を提供する。
【構成】センサキャップを、その下端に鍔形状のフランジ36fを有し、内部に雑ガスフィルター35を有するセンサキャップ外筒36と、このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔37aを有し且つその下端に鍔形状のフランジ37fを有するセンサキャップ内筒37とで構成し、２つのフランジ間にＯリング様シール38を介して密封するようにする。
【構成】センサキャップを、その下端に鍔形状のフランジ36fを有し、内部に雑ガスフィルター35を有するセンサキャップ外筒36と、このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔37aを有し且つその下端に鍔形状のフランジ37fを有するセンサキャップ内筒37とで構成し、２つのフランジ間にＯリング様シール38を介して密封するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ガス漏れ警報機能の点検の容易な、都市ガス漏れ検知と不完全燃焼検知の複合検知機能を備えたガスセンサおよびこのガスセンサを備えた複合型都市ガス漏れ警報器の点検方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
家庭用の複合型都市ガス漏れ警報器の検知対象ガスは、燃料ガスである都市ガスおよび燃料ガスの不完全燃焼時に発生する一酸化炭素ガスである。燃料ガスと一酸化炭素ガスとは性質が異なるために、それぞれに対応する２種類のガスセンサが通常用いられている。
また、誤報の原因となる雑ガスとしては調理の際に用いられるアルコールの蒸気が主であり、アルコール蒸気による誤報を防止するためにガスセンサのパッケージには活性炭等の吸着剤を用いたフイルターが使用されている。
一般に都市ガス用ガス漏れ警報器を家庭に設置するのはガス販売会社の作業員であり、設置時にガス漏れ警報器の警報機能を点検することが行われている。
点検方法としてはライターガス（ブタンガス）が用いられており、一方、一酸化炭素ガスセンサの動作確認にはライターガスの燃焼炎中の一酸化炭素ガスを利用する方法（例えば、特許文献１を参照。）などがある。
【０００３】
図３は複合型都市ガス漏れ警報器を壁面に取り付ける場合の斜視図である。複合型都市ガス漏れ検知器2（以降、ガス漏れ警報器と略称する）を壁面に設置する場合、ガス漏れ検知器2は取り付け治具1の掛け金11に掛けられる。取り付け治具1は通常金属板であり両面粘着シールまたはネジ止めによって壁面に固定される。円形格子状の流通孔34の奥にガスセンサが搭載されている。
図４は従来のガス漏れ警報器の図２におけるA-A面断面図である。以降、ガス漏れ警報器の断面図は同様の断面図である。ガス漏れ警報器の外形は上カバー21、下カバー22からなっておりそれぞれの周縁部が合致して組み立てられている。下カバー22に固定されたプリント基板24にはガスセンサ3が必要な電子部品と共に実装されている。
ガス漏れ警報器2に用いられているガスセンサ3の構成を次に説明する。
【０００４】
図５は従来の２種類のガスセンサの断面図であり、（ａ）は燃焼式ガスセンサであり、（ｂ）は薄膜半導体式ガスセンサである。
接触燃焼式ガスセンサ3cにおいては、センサベース31に貫通されたピン32にガス検知素子 33cが張架されており、ガス検知素子 33cは活性炭製の雑ガスフィルター35と二重金属メッシュ34を備えたセンサキャップ36がセンサベース31の外周部に固定されることにより封止されている。
薄膜半導体式ガスセンサ3sにおいては、センサベース31に薄膜半導体式ガス検知素子 33cが平面状に貼り付けられており、燃焼式ガスセンサと同様に、薄膜半導体式ガス検知素子 33sは活性炭製雑ガスフィルター35と二重金属メッシュ34を備えたセンサキャップ36がセンサベース31の外周部に固定されることにより封止されている。二重金属メッシュ34はガス濃度が爆発下限界以上のガス漏れ時の誘爆を防止している。
【０００５】
また、小穴が開けられた活性炭製雑ガスフィルターが二重金属メッシュを被服したり、同じ構造の活性炭製雑ガスフィルターが二重メッシュの間に置かれたりするガスセンサも開発されている（例えば、特許文献２を参照。）。
このような従来のガス漏れ警報器の点検方法においては、ガスセンサの点検時に図３に示した点検ガス供給手段Vを用いて、円形格子状流通孔34を経由して点検ガスを吹き込み（矢印）、ガス漏れ警報の発生を確認していた。
都市ガス用ガス漏れ警報器の検知対象ガスである都市ガスの主成分はメタンガスであるが、点検ガスとしては簡便に持ち運びできるライター用のブタンガスが用いられている。
【０００６】
しかしながら、活性炭フィルターは都市ガスの主成分であるメタンや水素や一酸化炭素ガスなどのガスは吸着しないものの、ブタンガスやアルコールなどのガスは容易に吸着する。このため、点検ガスとしてライター用のブタンガスを用いる場合は、ガスセンサ部分に生ガスを長時間噴射し、センサ近傍のガス濃度が警報を発し得る濃度にしなければならない。
このようなライターガスでの点検の作業時間の短縮を図るために、センサキャップの側面やベースに微小な穴の開けられたガスセンサ（特許文献３を参照。）を用いたり、さらに、このガスセンサの側面の微小な穴に対向した位置に点検用の穴を設けられたカバーを有する警報器も開発されている（特許文献４を参照。）。
また、センサキャップを側面に通気孔を有する外側キャップと頂点に通気孔を有する内側キャップに分けたガスセンサも提案されている。点検ガスをこれら２つの通気孔を通すことによって点検ガスの流れに指向性をもたせ、規定濃度以上への到達時間と以下への到達時間の短縮により、点検ガスの作業時間の短縮を図っている（特許文献５を参照。）。
【特許文献１】特開平８−１０５８２４号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献２】特開平８−１５９９９９号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献３】特開平７−５５７４７号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献４】特開平７−１２１７８７号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献５】特開２００４−１４４６７９号公報（第７頁−第８頁、図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上記の方法では通常の使用時においても、フィルターを介さずに雑ガスがガスセンサに到達するため、フィルター機能の発揮が低下することは避けられなかった。また、設置環境によっては、雑ガスフィルターの寿命が短くなってしまいガス漏れ警報器の保証寿命を満足できない場合も発生する。
本発明の目的は、点検作業の迅速および容易さを損なわずに、フィルター機能の発揮が低下することのないガスセンサおよびガス漏れ警報器の点検方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の目的を達成するため、
少なくとも、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、
このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒と、
ガス検知素子が固定され且つ外部制御回路へ接続するための端子を有するセンサベースとから構成され、
前記センサキャップ内筒下端のフランジとセンサベースは互いに密封され、且つセンサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとは、その間にＯリング様シールを介して密封された、二重センサキャップ構造とする。
【０００９】
前記センサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとの間をマグネットシールにより密封すると良い。
上記のガスセンサを搭載したガス漏れ警報器の点検方法であって、前記センサキャップ外筒を前記センサキャップ内筒に沿って、センサキャップ内筒側面の点検用通気孔が完全に開放するまで上部に引き上げた状態で、点検ガスを吹き付けるようにする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、ガスセンサのキャップ部を、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒との二重構成にしたため、このガスセンサをガス警報器に搭載した場合、このセンサキャップ外筒をセンサキャップ内筒の点検用通気孔が開放されるまで引き上げてから、点検用ガスを吹き付けることが出来るようになり、点検用ガスをフィルターによって浪費されることなくガスセンサ内部に導入することができるので、ガス警報器設置時に行う点検作業性が向上し、ガス警報器の設置作業が容易になった。
また、センサキャップ内筒下端のフランジとセンサキャップ外筒下端のフランジとの間をマグネットシールにより密封するようにしたため、密着力が増し、密封は強固になり、ガス警報器に外部からの衝撃などに対して、センサキャップ外筒がはずれる恐れはない。
【００１１】
ガス漏れ警報器の点検において、センサキャップ外筒を前記センサキャップ内筒に沿って、センサキャップ内筒側面の点検用通気孔が完全に開放するまで上部に引き上げた状態で、点検ガスを吹き付けることができるようにしたため、点検用ガスがフィルターによって浪費されることがなくなり、ガス警報機設置時に行う点検作業時間が短縮でき、ガス警報器の設置作業が容易になった。
また、センサキャップ外筒を着脱可能としたことにより、フイルター性能が低下した際に交換が可能となり、それは容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
図１は本発明に係るガスセンサの断面図であり、（ａ）はキャップ外筒閉じ状態、（ｂ）は点検用開口孔開放状態である。
図２は本発明に係るガスセンサを用いたガス漏れ警報器の断面図である。
各図において同一部品には同一符号を付してある。
ガスセンサ3は、雑ガスフィルター35を有するセンサキャップ外筒36と、下部側面に点検用開口孔37aを有するセンサキャップ内筒37とガス検知素子33sを載置したセンサベース31とで構成され、このセンサベース31とセンサキャップ内筒37のフランジ37fとは溶接密封されている。また、前記センサキャップ外筒36とセンサキャップ内筒37とはフランジ36fとフランジ37fとの間のＯリング様のシール38にて脱着可能で且つ機密封止を可能とされている。
【００１３】
Ｏリング様シール38を用いた封止の場合は、密着力はセンサキャップ外筒36の重力であるが、代わりにマグネットラバー等を使用すれば密着力は磁力により増加し密着性は向上できる。
ガス漏れ警報器2の外形は上カバー21、下カバー22からなっておりそれぞれの周縁部が合致して組み立てられている。下カバー22に固定されたプリント基板24にはガスセンサ3が必要な電子部品と共に実装されている。
本発明に係るガスセンサを用いたガス漏れ警報器のガス漏れ点検を行う場合、まず点検者はガス漏れ警報器の上カバー21を開放し、本発明のガスセンサ3のセンサキャップ外筒36をセンサキャップ内筒37下部側面の点検用開口孔37aが完全に開放されるまで上方向に引き上げておく。
【００１４】
点検用開口孔37aの開放後、スポイト状の点検ガス供給手段Vの先端部を点検用開口孔37aの近傍に寄せて点検ガスを吹き付け、警報発生を確認する。
点検終了後は、前述の操作と逆に、センサキャップ外筒36をセンサキャップ内筒37下部側面の点検用開口孔37aを塞ぎ、かつ、Ｏリング様シール38を押しつぶすように押さえ込んで、封止する。
また、Ｏリング様シール38の材質としてマグネットラバー等を用いると、磁力による吸引力のためさらに封止は良くなる。
このようにしたため、活性炭などの雑ガスフィルター35を通さずに点検ガスをガスセンサ3の内部に注入することが可能となり、点検ガスが雑ガスフィルター35により殆ど吸収されないため、点検ガスの注入からの時間遅れがなく警報が発せられる。
【００１５】
また、点検ガス注入後は、Ｏリング様シール38により点検用開口孔37aが封止され、通常の使用時においても雑ガスフィルター35を介さずに雑ガスがガスセンサに到達することが無く、フィルターが機能を発揮できなくなることは無い。
また、設置環境によっては、フィルター能力が短期間で低下する場合があるが、その際には、センサキャップ外筒36をセンサキャップ37から完全に外して雑ガスフイルター35を容易に交換すること、あるいは雑ガスフイルター35付のセンサキャップ外筒36を交換することができるようになった。この作業は極めて容易であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【００１６】
本発明によれば、ガスセンサのキャップ部を、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒との二重構成にしたため、上記のように、ガス警報器設置時に行う点検作業性が向上し、ガス警報器の設置作業が容易になったので、ガス警報器設置費用は削減され、その普及は促進される。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明に係るガスセンサの断面図であり、（ａ）はキャップ外筒閉じ状態、（ｂ）は点検用開口孔開放状態である。
【図２】本発明に係るガスセンサを用いたガス漏れ警報器の断面図である。
【図３】複合型都市ガス漏れ警報器を壁面に取り付ける場合の斜視図である。
【図４】従来のガス漏れ警報器の図２におけるA-A面断面図である。
【図５】従来の２種類のガスセンサの断面図であり、（ａ）は燃焼式ガスセンサであり、（ｂ）は薄膜半導体式ガスセンサである。
【符号の説明】
【００１８】
1 取付け治具
2 ガス警報器
21 上カバー
22 下カバー
23 プリント基板
3 ガスセンサ
3c 接触燃焼式ガスセンサ
3s 半導体式ガスセンサ
31 ガスセンサベース
32 ピン
33c 接触燃焼式ガス検知素子
33s 半導体式ガス検知素子
34 二重金属メッシュ
35 雑ガスフィルター
36 センサキャップ
36f フランジ
37 センサキャップ内筒
37a 点検用開口孔
37f フランジ
・ シール
V 点検ガス供給手段
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ガス漏れ警報機能の点検の容易な、都市ガス漏れ検知と不完全燃焼検知の複合検知機能を備えたガスセンサおよびこのガスセンサを備えた複合型都市ガス漏れ警報器の点検方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
家庭用の複合型都市ガス漏れ警報器の検知対象ガスは、燃料ガスである都市ガスおよび燃料ガスの不完全燃焼時に発生する一酸化炭素ガスである。燃料ガスと一酸化炭素ガスとは性質が異なるために、それぞれに対応する２種類のガスセンサが通常用いられている。
また、誤報の原因となる雑ガスとしては調理の際に用いられるアルコールの蒸気が主であり、アルコール蒸気による誤報を防止するためにガスセンサのパッケージには活性炭等の吸着剤を用いたフイルターが使用されている。
一般に都市ガス用ガス漏れ警報器を家庭に設置するのはガス販売会社の作業員であり、設置時にガス漏れ警報器の警報機能を点検することが行われている。
点検方法としてはライターガス（ブタンガス）が用いられており、一方、一酸化炭素ガスセンサの動作確認にはライターガスの燃焼炎中の一酸化炭素ガスを利用する方法（例えば、特許文献１を参照。）などがある。
【０００３】
図３は複合型都市ガス漏れ警報器を壁面に取り付ける場合の斜視図である。複合型都市ガス漏れ検知器2（以降、ガス漏れ警報器と略称する）を壁面に設置する場合、ガス漏れ検知器2は取り付け治具1の掛け金11に掛けられる。取り付け治具1は通常金属板であり両面粘着シールまたはネジ止めによって壁面に固定される。円形格子状の流通孔34の奥にガスセンサが搭載されている。
図４は従来のガス漏れ警報器の図２におけるA-A面断面図である。以降、ガス漏れ警報器の断面図は同様の断面図である。ガス漏れ警報器の外形は上カバー21、下カバー22からなっておりそれぞれの周縁部が合致して組み立てられている。下カバー22に固定されたプリント基板24にはガスセンサ3が必要な電子部品と共に実装されている。
ガス漏れ警報器2に用いられているガスセンサ3の構成を次に説明する。
【０００４】
図５は従来の２種類のガスセンサの断面図であり、（ａ）は燃焼式ガスセンサであり、（ｂ）は薄膜半導体式ガスセンサである。
接触燃焼式ガスセンサ3cにおいては、センサベース31に貫通されたピン32にガス検知素子 33cが張架されており、ガス検知素子 33cは活性炭製の雑ガスフィルター35と二重金属メッシュ34を備えたセンサキャップ36がセンサベース31の外周部に固定されることにより封止されている。
薄膜半導体式ガスセンサ3sにおいては、センサベース31に薄膜半導体式ガス検知素子 33cが平面状に貼り付けられており、燃焼式ガスセンサと同様に、薄膜半導体式ガス検知素子 33sは活性炭製雑ガスフィルター35と二重金属メッシュ34を備えたセンサキャップ36がセンサベース31の外周部に固定されることにより封止されている。二重金属メッシュ34はガス濃度が爆発下限界以上のガス漏れ時の誘爆を防止している。
【０００５】
また、小穴が開けられた活性炭製雑ガスフィルターが二重金属メッシュを被服したり、同じ構造の活性炭製雑ガスフィルターが二重メッシュの間に置かれたりするガスセンサも開発されている（例えば、特許文献２を参照。）。
このような従来のガス漏れ警報器の点検方法においては、ガスセンサの点検時に図３に示した点検ガス供給手段Vを用いて、円形格子状流通孔34を経由して点検ガスを吹き込み（矢印）、ガス漏れ警報の発生を確認していた。
都市ガス用ガス漏れ警報器の検知対象ガスである都市ガスの主成分はメタンガスであるが、点検ガスとしては簡便に持ち運びできるライター用のブタンガスが用いられている。
【０００６】
しかしながら、活性炭フィルターは都市ガスの主成分であるメタンや水素や一酸化炭素ガスなどのガスは吸着しないものの、ブタンガスやアルコールなどのガスは容易に吸着する。このため、点検ガスとしてライター用のブタンガスを用いる場合は、ガスセンサ部分に生ガスを長時間噴射し、センサ近傍のガス濃度が警報を発し得る濃度にしなければならない。
このようなライターガスでの点検の作業時間の短縮を図るために、センサキャップの側面やベースに微小な穴の開けられたガスセンサ（特許文献３を参照。）を用いたり、さらに、このガスセンサの側面の微小な穴に対向した位置に点検用の穴を設けられたカバーを有する警報器も開発されている（特許文献４を参照。）。
また、センサキャップを側面に通気孔を有する外側キャップと頂点に通気孔を有する内側キャップに分けたガスセンサも提案されている。点検ガスをこれら２つの通気孔を通すことによって点検ガスの流れに指向性をもたせ、規定濃度以上への到達時間と以下への到達時間の短縮により、点検ガスの作業時間の短縮を図っている（特許文献５を参照。）。
【特許文献１】特開平８−１０５８２４号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献２】特開平８−１５９９９９号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献３】特開平７−５５７４７号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献４】特開平７−１２１７８７号公報（第３頁−第４頁、図１）
【特許文献５】特開２００４−１４４６７９号公報（第７頁−第８頁、図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上記の方法では通常の使用時においても、フィルターを介さずに雑ガスがガスセンサに到達するため、フィルター機能の発揮が低下することは避けられなかった。また、設置環境によっては、雑ガスフィルターの寿命が短くなってしまいガス漏れ警報器の保証寿命を満足できない場合も発生する。
本発明の目的は、点検作業の迅速および容易さを損なわずに、フィルター機能の発揮が低下することのないガスセンサおよびガス漏れ警報器の点検方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の目的を達成するため、
少なくとも、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、
このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒と、
ガス検知素子が固定され且つ外部制御回路へ接続するための端子を有するセンサベースとから構成され、
前記センサキャップ内筒下端のフランジとセンサベースは互いに密封され、且つセンサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとは、その間にＯリング様シールを介して密封された、二重センサキャップ構造とする。
【０００９】
前記センサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとの間をマグネットシールにより密封すると良い。
上記のガスセンサを搭載したガス漏れ警報器の点検方法であって、前記センサキャップ外筒を前記センサキャップ内筒に沿って、センサキャップ内筒側面の点検用通気孔が完全に開放するまで上部に引き上げた状態で、点検ガスを吹き付けるようにする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、ガスセンサのキャップ部を、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒との二重構成にしたため、このガスセンサをガス警報器に搭載した場合、このセンサキャップ外筒をセンサキャップ内筒の点検用通気孔が開放されるまで引き上げてから、点検用ガスを吹き付けることが出来るようになり、点検用ガスをフィルターによって浪費されることなくガスセンサ内部に導入することができるので、ガス警報器設置時に行う点検作業性が向上し、ガス警報器の設置作業が容易になった。
また、センサキャップ内筒下端のフランジとセンサキャップ外筒下端のフランジとの間をマグネットシールにより密封するようにしたため、密着力が増し、密封は強固になり、ガス警報器に外部からの衝撃などに対して、センサキャップ外筒がはずれる恐れはない。
【００１１】
ガス漏れ警報器の点検において、センサキャップ外筒を前記センサキャップ内筒に沿って、センサキャップ内筒側面の点検用通気孔が完全に開放するまで上部に引き上げた状態で、点検ガスを吹き付けることができるようにしたため、点検用ガスがフィルターによって浪費されることがなくなり、ガス警報機設置時に行う点検作業時間が短縮でき、ガス警報器の設置作業が容易になった。
また、センサキャップ外筒を着脱可能としたことにより、フイルター性能が低下した際に交換が可能となり、それは容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
図１は本発明に係るガスセンサの断面図であり、（ａ）はキャップ外筒閉じ状態、（ｂ）は点検用開口孔開放状態である。
図２は本発明に係るガスセンサを用いたガス漏れ警報器の断面図である。
各図において同一部品には同一符号を付してある。
ガスセンサ3は、雑ガスフィルター35を有するセンサキャップ外筒36と、下部側面に点検用開口孔37aを有するセンサキャップ内筒37とガス検知素子33sを載置したセンサベース31とで構成され、このセンサベース31とセンサキャップ内筒37のフランジ37fとは溶接密封されている。また、前記センサキャップ外筒36とセンサキャップ内筒37とはフランジ36fとフランジ37fとの間のＯリング様のシール38にて脱着可能で且つ機密封止を可能とされている。
【００１３】
Ｏリング様シール38を用いた封止の場合は、密着力はセンサキャップ外筒36の重力であるが、代わりにマグネットラバー等を使用すれば密着力は磁力により増加し密着性は向上できる。
ガス漏れ警報器2の外形は上カバー21、下カバー22からなっておりそれぞれの周縁部が合致して組み立てられている。下カバー22に固定されたプリント基板24にはガスセンサ3が必要な電子部品と共に実装されている。
本発明に係るガスセンサを用いたガス漏れ警報器のガス漏れ点検を行う場合、まず点検者はガス漏れ警報器の上カバー21を開放し、本発明のガスセンサ3のセンサキャップ外筒36をセンサキャップ内筒37下部側面の点検用開口孔37aが完全に開放されるまで上方向に引き上げておく。
【００１４】
点検用開口孔37aの開放後、スポイト状の点検ガス供給手段Vの先端部を点検用開口孔37aの近傍に寄せて点検ガスを吹き付け、警報発生を確認する。
点検終了後は、前述の操作と逆に、センサキャップ外筒36をセンサキャップ内筒37下部側面の点検用開口孔37aを塞ぎ、かつ、Ｏリング様シール38を押しつぶすように押さえ込んで、封止する。
また、Ｏリング様シール38の材質としてマグネットラバー等を用いると、磁力による吸引力のためさらに封止は良くなる。
このようにしたため、活性炭などの雑ガスフィルター35を通さずに点検ガスをガスセンサ3の内部に注入することが可能となり、点検ガスが雑ガスフィルター35により殆ど吸収されないため、点検ガスの注入からの時間遅れがなく警報が発せられる。
【００１５】
また、点検ガス注入後は、Ｏリング様シール38により点検用開口孔37aが封止され、通常の使用時においても雑ガスフィルター35を介さずに雑ガスがガスセンサに到達することが無く、フィルターが機能を発揮できなくなることは無い。
また、設置環境によっては、フィルター能力が短期間で低下する場合があるが、その際には、センサキャップ外筒36をセンサキャップ37から完全に外して雑ガスフイルター35を容易に交換すること、あるいは雑ガスフイルター35付のセンサキャップ外筒36を交換することができるようになった。この作業は極めて容易であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【００１６】
本発明によれば、ガスセンサのキャップ部を、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒との二重構成にしたため、上記のように、ガス警報器設置時に行う点検作業性が向上し、ガス警報器の設置作業が容易になったので、ガス警報器設置費用は削減され、その普及は促進される。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明に係るガスセンサの断面図であり、（ａ）はキャップ外筒閉じ状態、（ｂ）は点検用開口孔開放状態である。
【図２】本発明に係るガスセンサを用いたガス漏れ警報器の断面図である。
【図３】複合型都市ガス漏れ警報器を壁面に取り付ける場合の斜視図である。
【図４】従来のガス漏れ警報器の図２におけるA-A面断面図である。
【図５】従来の２種類のガスセンサの断面図であり、（ａ）は燃焼式ガスセンサであり、（ｂ）は薄膜半導体式ガスセンサである。
【符号の説明】
【００１８】
1 取付け治具
2 ガス警報器
21 上カバー
22 下カバー
23 プリント基板
3 ガスセンサ
3c 接触燃焼式ガスセンサ
3s 半導体式ガスセンサ
31 ガスセンサベース
32 ピン
33c 接触燃焼式ガス検知素子
33s 半導体式ガス検知素子
34 二重金属メッシュ
35 雑ガスフィルター
36 センサキャップ
36f フランジ
37 センサキャップ内筒
37a 点検用開口孔
37f フランジ
・ シール
V 点検ガス供給手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
少なくとも、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、
このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒と、
ガス検知素子が固定され且つ外部制御回路へ接続するための端子を有するセンサベースとから構成され、
前記センサキャップ内筒下端のフランジとセンサベースは互いに密封され、且つセンサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとは、その間にＯリング様シールを介して密封された、二重センサキャップ構造とされていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項２】
前記センサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとの間はマグネットシールにより密封されていることを特徴とする請求項１記載のガスセンサ。
【請求項３】
請求項１または２記載のガスセンサが搭載されたガス漏れ警報器の点検方法であって、前記センサキャップ外筒を前記センサキャップ内筒に沿って、センサキャップ内筒側面の点検用通気孔が完全に開放するまで上部に引き上げた状態で、点検ガスを吹き付けることを特徴とするガス漏れ警報器の点検方法。
【請求項１】
少なくとも、その下端に鍔形状のフランジを有し、内部に雑ガスフィルターを有するセンサキャップ外筒と、
このセンサキャップ外筒に内接する様にはめ合わせられる下部側面に点検用通気孔を有し且つその下端に鍔形状のフランジを有するセンサキャップ内筒と、
ガス検知素子が固定され且つ外部制御回路へ接続するための端子を有するセンサベースとから構成され、
前記センサキャップ内筒下端のフランジとセンサベースは互いに密封され、且つセンサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとは、その間にＯリング様シールを介して密封された、二重センサキャップ構造とされていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項２】
前記センサキャップ内筒下端のフランジと前記センサキャップ外筒下端のフランジとの間はマグネットシールにより密封されていることを特徴とする請求項１記載のガスセンサ。
【請求項３】
請求項１または２記載のガスセンサが搭載されたガス漏れ警報器の点検方法であって、前記センサキャップ外筒を前記センサキャップ内筒に沿って、センサキャップ内筒側面の点検用通気孔が完全に開放するまで上部に引き上げた状態で、点検ガスを吹き付けることを特徴とするガス漏れ警報器の点検方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００７−２４７６７（Ｐ２００７−２４７６７Ａ）
【公開日】平成１９年２月１日（２００７．２．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２１００７１（Ｐ２００５−２１００７１）
【出願日】平成１７年７月２０日（２００５．７．２０）
【出願人】（５０３３６１９２７）富士電機機器制御株式会社 (402)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年２月１日（２００７．２．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年７月２０日（２００５．７．２０）
【出願人】（５０３３６１９２７）富士電機機器制御株式会社 (402)
【Ｆターム（参考）】
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