説明

ガスタービンおよびガスタービンの運転停止方法

【課題】運転後に行われるターニング運転中のスピン運転を不要とすること。
【解決手段】圧縮機2からタービン3のノズルガイドベーン6aの内部に圧縮機抽気を導く圧縮機抽気系5と、この圧縮機抽気系5に接続されて、前記圧縮機抽気を直接排気ディフューザ12に導くタービンバイパス系10と、このタービンバイパス系10に接続されたタービンバイパス弁9を開閉制御する制御器11とを備えたガスタービン1であって、前記制御器11を、運転停止信号が入力されると、前記タービンバイパス弁9を全開状態とする指令信号を出力し、前記タービン3の回転数が、前記ノズルガイドベーン6aおよび前記タービン3のブレード7aにストールを生じさせない領域まで低下したら、前記タービンバイパス弁9を、前記タービン3への空気流量を確保できる程度に閉状態とする指令信号を出力するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンおよびガスタービンの運転停止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のガスタービンでは、運転停止操作の途中に行われるターニング運転中に、ケーシング上部の温度とケーシング下部の温度とをそれぞれ計測し、これらの温度から温度差を求め、この温度差が設定値に達したらターニング運転を一旦中止し、その代わりにスピン運転を行うようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
即ち、ターニング運転では、タービン内部流体の撹拌、流動がほとんどないため、ケーシング上部のメタル温度がケーシング下部のメタル温度より高くなり、ケーシング上部がケーシング下部に比較してロータ軸方向に伸びる現象(キャットバック)が生ずる。このような現象が発生すると、ケーシング下部内面と動翼先端とのクリアランスが小さくなり、ケーシング上部内面と動翼先端とのクリアランスが大きくなる傾向にある。ケーシング上部と下部のメタル温度差が限界値を越えて、ケーシング下部内面と動翼先端とが接触する現象を避けるため、時々スピン運転を行って、タービン内部流体を撹拌し、ケーシング上部と下部のメタル温度差が小さくなるようにしている。
【特許文献1】特開平6−2570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このスピン運転は、ターニング用モータによって2〜3rpm程度の微速で回転させられているロータの回転数を、起動用モータを用いて600rpm程度にまで増加させるものであり、起動用モータを駆動させるために多大な電力が必要で、ランニングコストが増大してしまうといった問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、運転後に行われるターニング運転中のスピン運転を不要とすることができるガスタービンおよびガスタービンの運転停止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るガスタービンは、燃焼用空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器の下流側に位置し、燃焼器を出た燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記圧縮機から前記タービンのノズルガイドベーンの内部に圧縮機抽気を導く圧縮機抽気系と、この圧縮機抽気系に接続されて、前記圧縮機抽気を直接排気ディフューザに導くタービンバイパス系と、このタービンバイパス系に接続されたタービンバイパス弁を開閉制御する制御器とを備えたガスタービンであって、前記制御器は、運転停止信号が入力されると、前記タービンバイパス弁を全開状態とする指令信号を出力し、前記タービンの回転数が、前記ノズルガイドベーンおよび前記タービンのブレードにストールを生じさせない領域まで低下したら、前記タービンバイパス弁を、前記タービンへの空気流量を確保できる程度に閉状態とする指令信号を出力するものである。
【0006】
本発明に係るガスタービンによれば、ケーシングの内部に残留する燃焼ガス(ホットガス)は、圧縮機抽気系およびノズルガイドベーンを介して燃焼ガス流路に供給された空気とともにケーシングの外部に排出されるとともに、ケーシングの内部は、燃焼ガス流路を通過する空気によって、略一様に冷却されることとなる。
したがって、圧縮機の側におけるケーシングの上下メタルの温度差を、ターニング運転中の最初から最後まで(にわたって)限界値よりも低く維持することができるとともに、タービンの側におけるケーシングの上下メタルの温度差を、ターニング運転中の最初から最後まで(にわたって)限界値よりも低く維持することができて、キャットバック(cat back)現象の発生を抑制する(低減させる)ことができるので、運転後に行われるターニング運転中のスピン運転を不要とすることができる。
【0007】
上記ガスタービンにおいて、前記ブレードのチップ側を周方向に沿ってぐるりと取り囲むように配置された略環状の分割環の、上半部に位置する分割環の内接円の中心と下半部に位置する分割環の内接円の中心とが、ケーシングの中心を通る垂直軸線上で、ケーシングの水平接手面を挟んで互いに同一距離に偏心するように、前記分割環が配置されているとさらに好適である。
【0008】
このようなガスタービンによれば、上半部に位置する分割環の内接円の中心と下半部に位置する分割環の内接円の中心とが、ケーシングの中心を通る垂直軸線上で、ケーシングの水平接手面を挟んで互いに同一距離に偏心するように、分割環が配置されているので、キャットバック現象が発生した場合に接触しそうになる(クリアランスが小さくなる)ケーシングの底部に位置する(底部を通過する)ブレードのチップと分割環の内周面とのクリアランスを維持(確保)することができて、ブレードのチップと分割環の内周面との接触を確実に防止することができる。
【0009】
本発明に係るガスタービンは、燃焼用空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器の下流側に位置し、燃焼器を出た燃焼ガスにより駆動されるタービンと、このタービンを構成するブレードのチップ側を周方向に沿ってぐるりと取り囲むように配置された略環状の分割環を、翼環に対して支持固定する遮熱環とを備えたガスタービンであって、前記分割環の、上半部に位置する分割環の内接円の中心と下半部に位置する分割環の内接円の中心とが、ケーシングの中心を通る垂直軸線上で、ケーシングの水平接手面を挟んで互いに同一距離に偏心するように、前記分割環が配置されているものである。
【0010】
本発明に係るガスタービンによれば、上半部に位置する分割環の内接円の中心と下半部に位置する分割環の内接円の中心とが、ケーシングの中心を通る垂直軸線上で、ケーシングの水平接手面を挟んで互いに同一距離に偏心するように、分割環が配置されているので、キャットバック現象が発生した場合に接触しそうになる(クリアランスが小さくなる)ケーシングの底部に位置する(底部を通過する)ブレードのチップと分割環の内周面とのクリアランスを維持(確保)することができて、ブレードのチップと分割環の内周面との接触を確実に防止することができる。
また、キャットバック現象が発生した場合でも、ブレードのチップと分割環の内周面とのクリアランスが維持(確保)されることとなるので、運転後に行われるターニング運転中のスピン運転を不要とすることができる。
【0011】
本発明に係るガスタービンの運転停止方法は、燃焼用空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器の下流側に位置し、燃焼器を出た燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記圧縮機から前記タービンのノズルガイドベーンの内部に圧縮機抽気を導く圧縮機抽気系と、この圧縮機抽気系に接続されて、前記圧縮機抽気を直接排気ディフューザに導くタービンバイパス系と、このタービンバイパス系に接続されたタービンバイパス弁とを備えたガスタービンの運転停止方法であって、前記燃焼器に供給される燃料をカットし、それと略同時に前記タービンバイパス弁を全開状態として、前記タービンの回転数が、前記ノズルガイドベーンおよび前記タービンのブレードにストールを生じさせない領域まで低下したら、前記タービンバイパス弁を、前記タービンへの空気流量を確保できる程度に閉状態とするものである。
【0012】
本発明に係るガスタービンの運転停止方法によれば、ケーシングの内部に残留する燃焼ガス(ホットガス)は、圧縮機抽気系およびノズルガイドベーンを介して燃焼ガス流路に供給された空気とともにケーシングの外部に排出されるとともに、ケーシングの内部は、燃焼ガス流路を通過する空気によって、略一様に冷却されることとなる。
したがって、圧縮機の側におけるケーシングの上下メタルの温度差を、ターニング運転中の最初から最後まで(にわたって)限界値よりも低く維持することができるとともに、タービンの側におけるケーシングの上下メタルの温度差を、ターニング運転中の最初から最後まで(にわたって)限界値よりも低く維持することができて、キャットバック(cat back)現象の発生を抑制する(低減させる)ことができるので、運転後に行われるターニング運転中のスピン運転を不要とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るガスタービンおよびガスタービンの運転停止方法によれば、運転後に行われるターニング運転中のスピン運転を不要とすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るガスタービンの第1実施形態について、図1から図4を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るガスタービンの概略系統図、図2から図4はそれぞれ、本発明に係るガスタービンを用いて実施した試験結果を示すグラフである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るガスタービン1は、燃焼用空気を圧縮する圧縮機2と、この圧縮機2から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼器(図示せず)と、この燃焼器の下流側に位置し、燃焼器を出た燃焼ガスにより駆動されるタービン3と、圧縮機吐出空気系4と、圧縮機中間段抽気系(圧縮機抽気系)5とを備えている。
【0016】
圧縮機2で圧縮された圧縮空気は、燃焼器に供給され、別途供給されてくる燃料(例えば、液化天然ガス(LNG))と混合して燃焼される。この燃焼によって発生された燃焼ガスは、タービン3に供給され、タービン3に回転駆動力を発生させる。
タービン3は、静止部分のタービンステータ6と、回転部分のタービンロータ7とを備えている。
タービンステータ6は、一般にタービンノズルと呼ばれ、翼型断面をしたノズルガイドベーン(静翼)6aを環状に並べたものである。また、このタービンステータ6は、ガスを膨張、減圧させるほか、ノズルガイドベーン6aからの流出ガスが、タービンロータ7のブレード(動翼)7aに対して最適な角度で衝突するよう流れの方向を与える働きを有している。
タービンロータ7は、翼型断面をした複数枚のブレード7aが、円盤状のタービンディスク7bの外周上に取り付けられたものである。
【0017】
ノズルガイドベーン6aと、ブレード7aとは、タービンロータ7の軸線方向(図1において左右方向)に沿って交互に配置されており、周方向に隣り合うノズルガイドベーン6a間および周方向に隣り合うブレード7a間にはそれぞれ、燃焼ガス流路8が形成されている。
【0018】
圧縮機吐出空気系4を介して圧縮機2からタービン3の第1段ノズルガイドベーン6aの内部へ導かれた吐出空気(圧縮空気)は、第1段ノズルガイドベーン6aを冷却した後、燃焼ガス流路8を通過する燃焼ガスに合流する。
【0019】
圧縮機中間段抽気系5を介して圧縮機2からタービン3の第2段以降のノズルガイドベーン6aの内部へ導かれた吐出空気(圧縮空気)は、第2段以降のノズルガイドベーン6aを冷却した後、燃焼ガス流路8を通過する燃焼ガスに合流する。
また、圧縮機中間段抽気系5には、タービンバイパス弁9を備えたタービンバイパス系10が接続されている。タービンバイパス弁9は、制御器11からの指令信号によって開閉される開閉弁であり、タービンバイパス弁9が開くことによって、圧縮機中間段抽気がタービン3をバイパスして直接排気ディフューザ12に導かれるようになっている。
なお、図1には、第4段ノズルガイドベーン6aおよび第4段ブレード7aまでしか示していないが、これは本発明を限定するものではない。
【0020】
さて、本実施形態に係るガスタービン1においては、制御器11に運転停止信号が入力されると、燃焼器に供給される燃料がカットされ、それと略同時に制御器11からタービンバイパス弁9に指令信号が出力されるとともに、タービンバイパス弁9が全開状態とされ、圧縮機中間段抽気系5およびタービンバイパス系10を介して圧縮機中間段抽気が排気ディフューザ12に導かれることとなる。
つぎに、タービンロータ7の回転数が、ノズルガイドベーン6aおよびブレード7aにストール(Stall)またはサージング(Surging)を生じさせない領域まで低下(減少)したら(例えば、定速回転数の10%程度にまで低下(減少)したら)、そのことを検知した図示しない検知手段(例えば、回転センサ)からの信号が制御器11に入力される。それと略同時に制御器11からタービンバイパス弁9に指令信号が出力されて、タービンバイパス弁9が、タービン3への空気流量を確保できる程度に閉状態とされ、圧縮機中間段抽気系5を介して圧縮機中間段抽気がタービン3の第2段以降のノズルガイドベーン6aの内部に導かれることとなる。
【0021】
本実施形態に係るガスタービン1によれば、運転停止と略同時に全開状態とされたタービンバイパス弁9は、タービンロータ7の回転数が、ノズルガイドベーン6aおよびブレード7aにストールまたはサージングを生じさせない領域まで低下(減少)したら、タービン3への空気流量を確保できる程度に閉状態とされる。
すなわち、ケーシングの内部に残留する燃焼ガス(ホットガス)は、圧縮機中間段抽気系5およびノズルガイドベーン6aを介して燃焼ガス流路8に供給された空気とともにケーシングの外部に排出されるとともに、ケーシングの内部は、燃焼ガス流路8を通過する空気によって、略一様に冷却されることとなる。
したがって、図2中に太い実線に示すように、圧縮機2の側におけるケーシングの上下メタルの温度差を、ターニング運転中の最初から最後まで(にわたって)限界値よりも低く維持することができるとともに、図3中に太い実線で示すように、タービン3の側におけるケーシングの上下メタルの温度差を、ターニング運転中の最初から最後まで(にわたって)限界値よりも低く維持することができて、キャットバック(cat back)現象の発生を抑制する(低減させる)ことができるので、図4中に一点鎖線で示すように、運転後に行われるターニング運転中のスピン運転を不要とすることができる。
なお、図2中の細い実線、図3中の細い実線、および図4中の破線は、タービンバイパス弁9を閉じずに、開いたままの状態で、かつ、スピン運転を行わずにターニング運転のみを行った場合の試験結果を示している。
【0022】
本発明に係るガスタービンの第2実施形態について、図5および図6を参照しながら説明する。
図5は本実施形態に係るガスタービンの要部拡大断面図であって、タービンロータの軸線を含む断面で見た図、図6は図5に示すノズルガイドベーンの組立状態を示す要部斜視図、図7はタービンロータの軸線と直交する断面で見た図であって、(a)は円環型遮熱環方式の遮熱環の配置を示す図、(b)はオーバル型遮熱環方式の遮熱環の配置を示す図である。
【0023】
本実施形態に係るガスタービン21は、遮熱環22を備えているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0024】
遮熱環22は、タービンロータ7の軸線に対して直交する平面内において環状を呈するように形成された部材であって、ブレード7aのチップ(先端)側を周方向に沿ってぐるりと取り囲むように配置された環状の分割環23を、翼環24に対して支持固定するものである。また、この遮熱環22は、ノズルガイドベーン6aの半径方向外側に形成された外側シュラウド25を、翼環26に対して支持固定するものでもある。
なお、遮熱環22は、周方向に沿って複数個(本実施形態では20個)に分割されている。
また、図5中の白抜き矢印は、燃焼ガスの流れ方向を示している。
【0025】
さて、本実施形態に係るガスタービン21における遮熱環22および分割環23の配置について説明する。
遮熱環22の配置には、円環型遮熱環方式とオーバル型遮熱環方式の2つの方法がある。
円環型遮熱環方式は、図7(a)に示すように、車室中心Oを中心として分割環23に内接する半径Rの円を描くように、遮熱環22が配置されている場合をいう。ケーシングの中心Oとは、タービンロータ軸線に垂直な断面におけるケーシングの中心をいい、ケーシングの水平方向分割面である水平接手面Aと垂直軸Bとが交わる点に一致する点である。
一方、オーバル型遮熱環方式では、図7(b)に示すように、遮熱環22を上半部に位置する遮熱環(以下、「上半部遮熱環」という。)31と下半部に位置する遮熱環(以下、「下半部遮熱環」という。)32とに区分けした場合、上半部遮熱環31と下半部遮熱環32との中心位置が、垂直軸方向に互いにずれた関係にある。即ち、上半部遮熱環31の分割環23の内接円の中心O1と、下半部遮熱環32の分割環23の内接円の中心O2は、いずれも垂直軸B上にあり、互いにケーシングの水平接手面(ケーシングの中心Oとしても同じ)Aを挟んでケーシングの中心Oから同一距離Tだけ偏心させて配置した場合をいう。ここで、上半部遮熱環31及び下半部遮熱環32とは、ケーシングの水平接手面Aを境として、水平接手面Aより上部又は下部に配置された複数個の遮熱環22からなる遮熱環群(本実施形態の場合、それぞれ10個の遮熱環で構成)を意味する。尚、通常は、所定長さTが1mm以下となるように上半部遮熱環31と下半部遮熱環32の取付、調整が行われる。また、オーバル型遮熱環方式では、タービンロータの中心は、上半部遮熱環31の内接円中心O1と同じ位置として、ケーシングの中心Oに対して垂直軸Bの上方向に若干偏心させている。
【0026】
このような遮熱環22の配置とすれば、従来の円環型遮熱環方式に比較して、ケーシング下部内面と動翼先端とのクリアランスを大きく設定できる。
【0027】
本実施形態に係るガスタービン21によれば、キャットバック現象が発生した場合に接触しそうになる(クリアランスが小さくなる)ケーシング下部(底部)に位置するブレード7aのチップと分割環23の内周面とのクリアランスを維持(確保)することができて、ブレード7aのチップと分割環23の内周面との接触を確実に防止することができる。すなわち、図2および図3に示すように、圧縮機2の側およびタービン3の側におけるケーシングの上下メタルの温度差の限界値を上げたのと実質的に同じ効果を得ることができる。
【0028】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、適宜必要に応じて変形実施、変更実施、組合せ実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンの概略系統図である。
【図2】本発明に係るガスタービンを用いて実施した試験結果を示すグラフである。
【図3】本発明に係るガスタービンを用いて実施した試験結果を示すグラフである。
【図4】本発明に係るガスタービンを用いて実施した試験結果を示すグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態に係るガスタービンの要部拡大断面図であって、タービンロータの軸線を含む断面で見た図である。
【図6】図5に示すノズルガイドベーンの組立状態を示す要部斜視図である。
【図7】タービンロータの軸線と直交する断面で見た図であって、(a)は円環型遮熱環方式の遮熱環の配置を示す図、(b)はオーバル型遮熱環方式の遮熱環の配置を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 タービン
5 圧縮機中間段抽気系(圧縮機抽気系)
6a ノズルガイドベーン
7a ブレード
9 タービンバイパス弁
10 タービンバイパス系
11 制御器
12 排気ディフューザ
21 ガスタービン
22 遮熱環
23 分割環
24 翼環

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器の下流側に位置し、燃焼器を出た燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記圧縮機から前記タービンのノズルガイドベーンの内部に圧縮機抽気を導く圧縮機抽気系と、この圧縮機抽気系に接続されて、前記圧縮機抽気を直接排気ディフューザに導くタービンバイパス系と、このタービンバイパス系に接続されたタービンバイパス弁を開閉制御する制御器とを備えたガスタービンであって、
前記制御器は、運転停止信号が入力されると、前記タービンバイパス弁を全開状態とする指令信号を出力し、前記タービンの回転数が、前記ノズルガイドベーンおよび前記タービンのブレードにストールを生じさせない領域まで低下したら、前記タービンバイパス弁を、前記タービンへの空気流量を確保できる程度に閉状態とする指令信号を出力することを特徴とするガスタービン。
【請求項2】
前記ブレードのチップ側を周方向に沿ってぐるりと取り囲むように配置された略環状の分割環の、上半部に位置する分割環の内接円の中心と下半部に位置する分割環の内接円の中心とが、ケーシングの中心を通る垂直軸線上で、ケーシングの水平接手面を挟んで互いに同一距離に偏心するように、前記分割環が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
【請求項3】
燃焼用空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器の下流側に位置し、燃焼器を出た燃焼ガスにより駆動されるタービンと、このタービンを構成するブレードのチップ側を周方向に沿ってぐるりと取り囲むように配置された略環状の分割環を、翼環に対して支持固定する遮熱環とを備えたガスタービンであって、
前記分割環の、上半部に位置する分割環の内接円の中心と下半部に位置する分割環の内接円の中心とが、ケーシングの中心を通る垂直軸線上で、ケーシングの水平接手面を挟んで互いに同一距離に偏心するように、前記分割環が配置されていることを特徴とするガスタービン。
【請求項4】
燃焼用空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼器と、この燃焼器の下流側に位置し、燃焼器を出た燃焼ガスにより駆動されるタービンと、前記圧縮機から前記タービンのノズルガイドベーンの内部に圧縮機抽気を導く圧縮機抽気系と、この圧縮機抽気系に接続されて、前記圧縮機抽気を直接排気ディフューザに導くタービンバイパス系と、このタービンバイパス系に接続されたタービンバイパス弁とを備えたガスタービンの運転停止方法であって、
前記燃焼器に供給される燃料をカットし、それと略同時に前記タービンバイパス弁を全開状態として、前記タービンの回転数が、前記ノズルガイドベーンおよび前記タービンのブレードにストールを生じさせない領域まで低下したら、前記タービンバイパス弁を、前記タービンへの空気流量を確保できる程度に閉状態とすることを特徴とするガスタービンの運転停止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−185779(P2009−185779A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29288(P2008−29288)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】