説明

ガラス繊維−強化積層板、電子回路基板およびファブリックの組み立て方法

本発明は、ヤーンの織成強化ファブリックを有する強化積層板をプリント回路基板に提供し、このヤーンは、ポリマーマトリクス材料に適合するコーティングを有するE−ガラス繊維を含有する。ヤーンは約0.01〜約0.6重量%の範囲の強熱減量、およびヤーン1グラム質量あたり約1グラム重より大きいエアジェット搬送抵抗力を有し、このエアジェット搬送抵抗力は、2ミリメートルの直径を有する内部エアジェットチャンバー、および20センチの長さを有するノズル出口チューブを備えるニードルエアジェットノズルユニットを使用して、約274メートル(約300ヤード)/分のヤーン送り速度、および約310キロパスカル(約45ポンド/平方インチ)ゲージの空気圧で評価される。積層板はファブリックの充填方向において、約3×107キログラム/平方メートル(約42.7kpsi)より大きい曲げ強さを有する。ヤーンのコーティングは、ポリエステル、ならびにビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマー、デンプンおよびそれらの混合物から選択されるポリマーを含み得る。あるいは、積層板は、288℃の温度において、約4.5%より小さいz方向の熱膨張係数を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、「Glass Fiber−Reinforced Laminates,Electronic Circuit Boards and Methods for Assembling a Fablic」と題された、1998年8月6日付けで出願された、B.Novichらによる米国特許出願第09/130,270号の一部継続出願である。この米国特許出願第09/130,270号は、「Inorganic Lubricant−Coated Glass Fiber Strands and Products Including the Same」と題された、1998年3月3日付けで出願された、B.Novichらによる米国特許出願第09/034,525号の一部継続出願である。
【0002】
本願は、1998年3月3日付けで出願された米国特許出願第09/034,078号の一部継続出願である「Methods for Inhibiting Abrasive Wear of Glass Fiber Strands」と題されたB.Novichらによる米国特許出願第 号;1998年3月3日付けで出願された米国特許出願第09/034,663号の一部継続出願である「Glass Fiber Strands Coated With Thermally Conductive Inorganic Solid Particles and Products Including the Same」と題されたB.Novichらによる米国特許出願第 号;1998年3月3日付けで出願された米国特許出願第09/034,077号の一部継続出願である「Impregnated Glass Fiber Strands and Products Including the Same」と題されたB.Novichらによる米国特許出願第 号;および1998年3月3日付けで出願された米国特許出願第09/034,056号の一部継続出願である「Inorganic Particle−Coated Glass Fiber Strands and Products Including the Same」と題されたB.Novichらによる米国特許出願第 号に関する。これらの出願の各々は、本願と同時に出願された。
【0003】
(発明の分野)
本発明は一般的に、電子回路基板用の強化積層板に関し、より詳細には、積層板のマトリックス樹脂に適合し得、現代のエアジェット織機(air jet loom)を用いた織成を容易にする、コーティングを有する、ガラス繊維で織成された(woven)ファブリックを含む積層板に関する。
【0004】
(発明の背景)
電子回路基板は典型的には、ガラス繊維などの強化繊維で構成された、積層されたファブリック層から形成され、これにより、寸法安定性が基板に堤供され、基板上に装着された電子回路の完全性が保たれる。製造および使用の間の温度勾配により引き起こされる基板構成成分の異なる熱膨張率が原因で起こる基板のひずみまたはそりは、回路の基板への接着に悪影響を与え得、ひいてはその信頼性および性能にも悪影響を与え得る。
【0005】
積層板表面の平滑性もまた、電子回路の基板への接着に影響を与え得る。織成されたクロス強化材において、フィラメントの破断またはけば(fuzz)などの欠陥があると、表面の平滑性に悪影響を与え得、回路と積層板との間の接着を妨げ得る。けばは、エアジェット織機において、たて糸がリードにより衝撃を受ける場合、または、よこ糸に高速エアジェットが吹き付けられる場合、束状のガラス繊維フィラメントが苛酷な状態となった(severed)ときに生じる。現代のエアジェット織機のスピードが増すのに従い、ストランドの完全性と、ストランドのコーティングにより堤供される繊維破断に対する耐久性とが、ますます重要になっている。
【0006】
ガラス繊維上のコーティングは、また、基板の品質にも影響を与える。デンプンは、織成操作において用いられるガラス繊維のための多くのサイジング組成物の中の一成分であり、ガラス繊維と積層板マトリックス材料との間の接着に悪影響を与え得る。すなわち、デンプンは一般的に、積層板の樹脂マトリックス材料と適合しない。ガラス繊維とマトリックス材料との間の不適合を避けるために、コーティング組成物またはサイジング組成物は典型的には、積層前に、サイジング成分を熱分解する(熱処理または脱油)ことまたは水で洗浄することにより、織成されたクロスから除去される。従来の熱クリーニングプロセスには、クロスを380℃で60〜80時間加熱することが含まれる。クリーニングされたクロスは次いで、シランカップリング剤で再コーティングされ、ガラス繊維とマトリックス樹脂との間の接着が向上する。
【0007】
ガラス繊維の強度、より詳細には積層板の曲げ強さは、これらの熱繊維コーティング除去プロセスにより著しく減少され得る。D−ガラス、S−ガラス、およびQ−ガラスなどの、高シリカ含量のガラス繊維を熱クリーニングすることは特に、強度損失および変色のため、望ましくない。
【0008】
複合材または積層板における強化材として使用される前に、熱または水によるクリーニングを必要とする、ガラス繊維のための多くのコーティング組成物が、当該分野において開示されている。日本国特許出願第9−208,268号は、デンプンまたは合成樹脂と、0.001〜20.0重量パーセントの無機固体粒子(例えば、コロイド状シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、およびタルク)とを用いて紡績を行った直後にコーティングされたガラス繊維から形成されるヤーンを有するクロスを開示している。積層板を形成する前に、熱または水による脱油が必要とされる。
【0009】
米国特許第5,286,562号は、少なくとも45重量パーセントのワックス、潤滑剤、ポリビニルピロリドン、および有機シランカップリング剤のコーティングを有する、エアジェット織機で織成され得る、スクリーン製品(screen product)のための織物ストランド(textile strand)を開示している。米国特許第5,038,555号は、エポキシフィルム形成剤(former)、乳化剤、潤滑剤、有機官能性金属カップリング剤(organo functional metallic coupling agent)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンおよび水を有する水性化学処理組成物でコーティングされた、スクリーン製品のための、加撚束形状(twisted bundles)ガラス繊維を開示している。
【0010】
ガラス繊維クロスの熱クリーニングを避けるために、日本国特許出願第8−119,682号は、水溶性のエポキシ樹脂を含み、5.5〜7.5のpHを有する、ガラス繊維のための一次サイジング剤を開示している。この一次サイジング剤は、水を用いたサイジングの除去を容易にする。同様に、米国特許第5,236,777号は、アミン修飾されたエポキシ樹脂、エチレン酸化物を付加したエポキシ樹脂およびエチレン酸化物を付加したビスフェノールAからなる群から選択される少なくとも1つの水溶性フィルム形成剤、シランカップリング剤ならびに潤滑剤を有する一次サイジングでガラスヤーンをコーティングすることと、ヤーンを水で洗浄して一次サイジング量を0.25重量パーセントLOI未満に低減することと、二次サイジング剤で処理することとにより、樹脂を強化するためのガラスクロスを製造する方法を開示している。日本国特許出願第9−268,034号は、多価アルコールとの付加反応により修飾された水溶性ウレタン組成物および/または水溶性エポキシ生成物を含む、非加捻型(twist−free)ガラス繊維ヤーンのための結合剤を開示している。
【0011】
米国特許第4,933,381号は、エポキシフィルム形成剤、非イオン性潤滑剤、カチオン性潤滑剤、シランカップリング剤、および酸(例えば、酢酸またはクエン酸)を含む、ガラス繊維のための樹脂適合可能サイズ組成物を開示している。
【0012】
日本国特許出願第8−325,950号は、必須成分として、ポリビニルピロリドン、水溶性エポキシ樹脂アミン付加生成物、およびシランカップリング剤を含む、ガラス繊維サイジング剤を開示しており、このガラス繊維サイジング剤は、完成後のガラスクロスから加熱除去する必要が無い。
【0013】
日本国特許出願第7−102,483号は、加熱による油分の除去を必要としない、ガラスクロスを織成するためのガラス繊維のためのたて糸二次サイジング剤を開示している。このたて糸二次サイジング剤は、主にポリビニルピロリドンから構成され、高分子量ポリエチレンオキシドなどの添加剤を含む。水溶性エポキシ樹脂が結合成分として含まれ得る。
【0014】
必要とされているのは、多種のポリマーマトリックス材料と適合可能であり、織成中にけばおよび繊維破断が形成されるを防ぎ、積層板と回路との間の接着を向上させ、そして現代のエアジェット織成機器と適合し得、生産性を上げる、ガラス繊維である。
【0015】
(発明の要旨)
本発明の1つの局面は、電子支持体のための強化積層板である。前記積層板は、(a)ポリマーマトリックス材料;、および(b)前記ポリマーマトリックス材料と適合可能であるコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含むヤーンを含む、織成強化ファブリックを含む。前記ヤーンは、約0.01〜約0.6重量パーセントの強熱減量(loss on iginition)と、1分当たり約274メートル(約300ヤード)のヤーン供給速度(yarn feed rate)および約310キロパスカル(1平方インチ当たり約45ポンド)ゲージの空気圧で、2ミリメートルの直径を有する内部エアジェットチャンバならびに20センチメートルの長さを有するノズル出口チューブを有するニードルエアジェットノズルユニットを用いる、ヤーンのグラム質量当たり約100,000グラム重よりも大きいエアジェット搬送抵抗力(Air Jet Transport Drag Force)と、を有する。ここで、前記積層板は、1平方メートル当たり約3×107キログラム(約42.7kpsi)よりも大きい、前記ファブリックの充填方向における曲げ強さを有する。
【0016】
本発明の別の局面は、電子支持体のための強化積層板である。前記積層板は、(a)ポリマーマトリックス材料;および(b)前記ポリマーマトリックス材料と適合し得るコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含むヤーンを含む織成強化ファブリック、を含む。前記コーティングは、(1)ポリエステル;ならびに(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマーおよびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
【0017】
本発明の別の局面は、電子支持体のための強化積層板である。前記積層板は、(a)ポリマーマトリックス材料;および(b)前記ポリマーマトリックス材料と適合し得るコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含むヤーンを含む織成強化ファブリック、を含む。前記コーティングは、(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマーを含む。
【0018】
本発明のさらに別の局面は、(a)電子支持体のための積層板;および(b)積層板の選択された側面の選択された部分に隣接して位置決めされた導電性層を含む電子回路基板である。(a)の積層板は、(i)ガラス繊維を含むヤーンを含む織成ファブリック;および(ii)前記ファブリックの少なくとも一部分上に塗布されたポリマーマトリックス材料層を含み、前記ヤーンは、約0.01〜約0.6重量パーセントの強熱減量と、1分当たり約274メートル(約300ヤード)のヤーン供給速度および約310キロパスカル(1平方インチ当たり約45ポンド)ゲージの空気圧で、2ミリメートルの直径を有する内部エアジェットチャンバならびに20センチメートルの長さを有するノズル出口チューブを有するニードルエアジェットノズルユニットを用いる、ヤーンのグラム質量当たり約100,000グラム重よりも大きいエアジェット搬送抵抗力と、を有する。ここで、前記積層板は、1平方メートル当たり約3×107キログラム(約42.7kpsi)よりも大きい、前記ファブリックの充填方向における曲げ強さを有する。
【0019】
本発明の別の局面は、(a)電子支持体のための積層板;および(b)積層板の選択された側面の選択された部分に隣接して位置決めされた導電性層を含む、電子回路基板である。(a)の積層板は、(i)(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマー、およびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー、を含むコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含むヤーンを含む織成ファブリック;ならびに(ii)前記ファブリックの少なくとも一部分上に塗布されたポリマーマトリックス材料層を含む。
【0020】
本発明のさらに別の局面は、(a)電子支持体のための積層板;および(b)積層板の選択された側面の選択された部分に隣接して位置決めされた導電性層を含む、電子回路基板である。(a)の積層板は、(i)第一の複合層;および(ii)第一の複合層と異なる第二の複合層を含み、(i)の第一の複合層は、(1)ガラス繊維を含むヤーンを含む織成ファブリック;および(2)前記ファブリックの少なくとも一部分上に塗布されたポリマーマトリックス材料層を含み、前記ヤーンは、約0.01〜約0.6重量パーセントの強熱減量と、1分当たり約274メートル(約300ヤード)のヤーン供給速度および約310キロパスカル(1平方インチ当たり約45ポンド)ゲージの空気圧で、2ミリメートルの直径を有する内部エアジェットチャンバならびに20センチメートルの長さを有するノズル出口チューブを有するニードルエアジェットノズルユニットを用いる、ヤーンのグラム質量当たり約100,000グラム重よりも大きいエアジェット搬送抵抗力と、を有する。ここで、前記積層板は、1平方メートル当たり約3×107キログラム(約42.7kpsi)よりも大きいファブリックの充填方向における曲げ強さを有する。
【0021】
本発明のさらに別の局面は、(a)電子支持体のための積層板;および(b)積層板の選択された側面の選択された部分に隣接して位置決めされた導電性層を含む電子回路基板である。(a)の積層板は、(i)第一の複合層;および(ii)第一の複合層と異なる第二の複合層を含み、(i)第一の複合層は、(1)(A)ポリエステル;および(B)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマー、およびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つポリマー、を含むコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含むヤーンを含む織成ファブリック;ならびに(2)前記ファブリックの少なくとも一部分上に塗布されたポリマーマトリックス材料層を含む。
【0022】
本発明の別の局面は、電子支持体のための銅合わせ(copper−clad)強化積層板である。前記積層板は、(a)ポリマーマトリックス材料;および(b)1プライ以上の織成強化ファブリック、を含む。各プライは、ポリマーマトリックス材料と適合し得るコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含むヤーンを約30重量パーセントと約75重量パーセントとの間で含む。ここで、前記積層板は、288℃の温度で約4.5パーセント未満のz方向の熱膨張率を有する。
【0023】
本発明のさらに別の局面は、第一のヤーンと、第二のヤーンとを相互に織成してファブリックを組み立て、ファブリックを形成するための方法である。ここで、改良点は、ポリマーマトリックス材料と適合し得るコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含む第一のヤーンを含む。前記コーティングは、(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマー、デンプンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマー、を含む。
【0024】
本発明のさらに別の局面は、織成ファブリックを、ポリマーマトリックス材料で少なくとも部分的にコーティングしてコーティングされたファブリックを形成することと、前記コーティングされたファブリックを加熱することにより、前記織成ファブリックと前記ポリマーマトリックス材料との積層板を形成する方法である。前記織成ファブリックは、ガラス繊維を含むヤーンを含む。ここで、改良点は、以下を含む:前記ガラス繊維が、ポリマーマトリックス材料と適合し得るコーティングで少なくとも部分的にコーティングされることと、前記ヤーンが、約0.01〜約0.6重量パーセントの強熱減量と、1分当たり約274メートル(約300ヤード)のヤーン供給速度および約310キロパスカル(1平方インチ当たり約45ポンド)ゲージの空気圧で、2ミリメートルの直径を有する内部エアジェットチャンバならびに20センチメートルの長さを有するノズル出口チューブを有するニードルエアジェットノズルユニットを用いる、ヤーンのグラム質量当たり約100,000グラム重よりも大きいエアジェット搬送抵抗力と、を有することと、前記積層板が、前記ファブリックの充填方向において、1平方メートル当たり約3×107キログラム(約42.7kpsi)よりも大きい曲げ強さを有すること。
【0025】
本発明の別の局面は、織成ファブリックを、ポリマーマトリックス材料で少なくとも部分的にコーティングしてコーティングされたファブリックを形成することと、前記コーティングされたファブリックを加熱することにより、前記織成ファブリックと、前記ポリマーマトリックス材料との積層板を形成する方法である。前記織成ファブリックは、ガラス繊維を含むヤーンを含む。ここで、改良点は、前記ガラス繊維が、ポリマーマトリックス材料と適合し得るコーティングで少なくとも部分的にコーティングされることを含む。前記コーティングは、(1)ポリエステル;ならびに(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマーおよびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー、を含む。
【0026】
(好ましい実施例の詳細な説明)
本発明の積層板は、積層板に、低い熱膨張率と、良好な曲げ強さと、熱安定性と、加水分解安定性と、高湿度、反応性の酸およびアルカリの存在下での低腐食性ならびに低反応性を堤供し得る、コーティングされたガラス繊維ストランドを含む、織成されたファブリックを用いて強化される。このコーティングされたガラス繊維ストランドは、多様なポリマーマトリックス材料と適合性であり、これにより、積層を行う前にガラス繊維ファブリックを熱または水でクリーニングする必要性が排除され得る。
【0027】
本発明のコーティングされたガラス繊維ストランドの別の重要な利点は、織成および編成、特にエアジェット織成における良好な加工性である。「エアジェット織成」とは、本明細書において用いられているように、1つ以上のエアジェットノズルからの圧縮空気の噴射により、フィルヤーン(fill yarn)(よこ糸)をたて糸開口に挿入する、1つのタイプのファブリック織成(図5に示す)を意味する。エアジェット搬送抵抗力(以下で議論する)は、ストランドと、エアジェット推進プロセスとの適合性の尺度である。より高いエアジェット抵抗力の値は、ヤーンが、破断無く適切にフィラメント化し、従ってエアジェット推進に対してより空気力学的に導かれやすい(conductive)ことを示す。
【0028】
本発明のコーティングされたガラス繊維ストランドにより堤供され得る他の望ましい特性には、けばだちおよびハロー(halo)が少ないことと、フィラメントの破断が少ないことと、形成するパッケージリンガー(package ringer)が少ないことと、ボビンリンガー(bobbin ringer)が少ないことと、ストランド張力が低いことと、飛び性能(fliability)が高いことと、挿入時間が短いこととがあり、これらの特性により、織成および編成が容易になる。プリント回路基板の場合、ファブリックに、良好な平滑性と、少ない表面欠陥とが堤供される。
【0029】
ここで図面を参照すると、全図面中、類似の数字は類似の部材を示し、図1は、本発明による積層板10を示す。積層板10は、織成された強化ファブリック14により強化された、ポリマーマトリックス材料12(下記に詳細に説明する)を含む。ファブリック14は、任意の適切な編成または織成プロセスにより形成され得るが、好ましくは以下に詳細に説明するようなエアジェット織成プロセスにより形成される。
【0030】
ここで、図2および図3を参照すると、ファブリック14は、少なくとも1つのガラス繊維18を含む、1つ以上のコーティングされた繊維ストランド16を含む。ストランド16は好ましくは、複数のガラス繊維18を含む。「ストランド」という用語は、本明細書中で用いられているように、1つ以上の個々の繊維を意味する。「繊維」という用語は、個々のフィラメントを意味する。
【0031】
ガラス繊維18は、当業者に公知の任意のタイプの繊維化ガラス組成物から形成され得、これには、「E−ガラス」、「A−ガラス」、「C−ガラス」、「D−ガラス」、「Q−ガラス」、「R−ガラス」、「S−ガラス」、およびE−ガラス誘導体などの、繊維化可能な組成物から作製されたものが挙げられる。「Eガラス誘導体」とは、本明細書において用いられているように、少量のフッ素および/またはホウ素を含むガラス組成物を意味し、これは好ましくはフッ素を含まないおよび/または、ホウ素を含まない。さらに、少量とは、本明細書中において用いられているように、約1重量パーセント未満のフッ素と、約5重量パーセント未満のホウ素とを意味する。本発明において有用である、別のガラス繊維の例には、玄武岩および鉱さい(滓)綿繊維がある。好ましいガラス繊維は、E−ガラスまたはE−ガラス誘導体から形成される。このような組成物およびこの組成物からガラスフィラメントを作る方法は、当業者に周知であり、これらについてのさらなる議論は、本開示を鑑みれば、必要ないと考えられる。さらなる情報が必要ならば、このようなガラス組成物および繊維化方法は、K.Loewenstein、「The Manufacturing Technology of Glass Fibres」(第3版、1993年)の30〜44、47〜60、115〜122、および126〜135頁と、米国特許第4,542,106号および同第5,789,329号と、The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits (1997年6月)により出版された、IPC−EG−140の「Specification for Finished Fabric Woven from ‘E’ Glass for Printed Boards」の1頁とに開示され、本明細書中、これらの文献を参考のため援用する。
【0032】
ガラス繊維は、約5.0〜約35.0マイクロメータの範囲の公称フィラメント直径(DからUおよび上記のフィラメント命名に対応する)を有し、好ましくは、約9.0〜約30.0マイクロメータの範囲の公称フィラメント直径を有し得る。ストランド当たりの繊維数は、約100から約15,000であり、好ましくは約200から約7000であり得る。公称フィラメント直径と、ガラス繊維の命名に関するさらなる情報については、Loewensteinの25〜27頁を参照されたい。本明細書中、同文献を、参考のため援用する。
【0033】
コーティングされた繊維ストランド16はさらに、ガラス繊維に加え、非ガラス無機材料、天然材料、有機ポリマー材料およびそれらの組合せなどの別の繊維化可能な天然または人造材料から形成された、繊維20を含み得る。「繊維化」という用語は、本明細書において用いられているように、概して連続したフィラメント、繊維、ストランドまたはヤーンに形成され得る材料を意味する。
【0034】
適切な非ガラス無機繊維には、炭化ケイ素と、炭素と、グラファイトと、ムライトと、酸化アルミニウムと、圧電セラミック材料とから形成されるセラミック繊維が挙げられる。適切な動物および植物由来の天然繊維の非限定的な例には、綿と、セルロースと、天然ゴムと、アマと、カラムシと、アサと、サイザルと、羊毛とが挙げられる。適切な人造繊維には、ポリアミド(ナイロンおよびアラミドなど)と、熱可塑性ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなど)と、アクリル樹脂類(ポリアクリロニトリル)と、ポリオレフィンと、ポリウレタンと、ビニルポリマー(ポリビニルアルコールなど)とから得られたものが挙げられる。本発明において有用であると考えられている非ガラス繊維およびこのような繊維を調製および加工する方法は、「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」の第6巻(1967年)の505〜712頁において詳細に説明されている。本明細書中、同文献を参考のため援用する。所望ならば、上記材料のうち任意のもののブレンドあるいはコポリマーと、上記材料のうち任意のもののから形成された繊維の組合せとが、本発明において用いられ得ることが理解される。
【0035】
ここで、本発明は、一般にガラス繊維ストランドに関連して議論されているが、当業者であれば、ストランド16はさらに、上述した1つ以上の非ガラス繊維を含み得ることを理解する。
【0036】
図2および図3を参照すると、好ましい実施態様において、ストランド16の繊維18は、繊維18表面の少なくとも一部分に塗布されているコーティング組成物の層22でコーティングされており、これにより、繊維表面が、加工中の摩耗から保護され、繊維18の破断が防がれる。好ましくは、コーティング組成物は、ストランド16の各繊維18の外側表面全体または周縁に塗布される。
【0037】
このコーティング組成物は、所望される場合、サイジング(好ましくは)として、サイジング上に塗布される二次コーティングとして、および/または三次もしくは外側コーティングとして、繊維上に存在し得る。「サイズ」、「サイジングされた」、または「サイジング」という用語は、本明細書中で用いられているように、繊維を形成した直後に繊維に塗布される、コーティング組成物を指す。別の実施態様において、「サイズ」、「サイジングされた」、または「サイジング」という用語はさらに、熱、水、または化学処理により従来の一次コーティング組成物が除去された後に繊維に塗布される、コーティング組成物(仕上げサイズ(finishing size)としても公知)、すなわち、ファブリック形成物に取り入れられた剥き出しのガラス繊維に付与される仕上げサイズを指す。「二次コーティング」という用語は、サイジング組成物が塗布された後に、1つまたは複数のストランドに2番目に塗布されるコーティング組成物を指し、好ましくは少なくとも部分的に乾燥される。
【0038】
このコーティング組成物は、熱硬化性材料または熱可塑性材料などの、積層板10のポリマーマトリックス材料12と適合性のポリマー材料を1つまたは複数含む。すなわち、コーティング組成物の成分は、繊維ストランド上にマトリックス材料をウエットアウト(wet−out)およびウエットスルー(wet−through)することを容易にし、複合材において適切な物理的特性を堤供する。ポリマー材料は好ましくは、繊維18の表面に塗布される場合、ほぼ連続的なフィルムを形成する。ポリマー材料は、水溶性、乳化性、分散性、および/または硬化性であり得る。
【0039】
好ましい実施態様において、コーティング組成物は、プリント回路基板用の積層板を形成するのに用いられるような、熱硬化性マトリックス材料(例えば、FR−4エポキシ樹脂(これは、多官能性エポキシ樹脂であり、そして本発明の1つの特定の実施態様においては、この材料は二官能性の臭素化エポキシ樹脂である)およびポリイミド)と適合し得るポリマーフィルム形成材料を1つ以上含む。Electronic Materials Handbook、ASM International(1989)の534〜537頁を参考のこと。本明細書中、同文献を参考のため援用する。「熱硬化性マトリックス材料と適合性である」という語句は、本明細書中で用いられているように、コーティング組成物の成分が、繊維ストランド上にマトリックス材料を通過湿潤およびウエットアウトすることを容易にし、複合材において適切な物理的特性を堤供し、熱硬化マトリックス材料と化学的に適合可能であり、そして加水分解に対して耐性を有することを意味する。ポリマーマトリックス材料がマットに浸透している状態の尺度を、「通過湿潤」と呼ぶ。ポリマーマトリックス材料がガラス繊維塊へ流入可能であり、これにより、ポリマーマトリックス材料によって各ガラス繊維の表面全体が実質的に完全にカプセル化されている状態の尺度を、「ウエットアウト」と呼ぶ。
【0040】
有用なポリマーフィルム形成材料には、熱可塑性ポリエステル、ビニルポリマー、ポリオレフィン、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミドまたはアラミドのような芳香族ポリアミド)、熱可塑性ポリウレタン、アクリルポリマー、およびこれらの混合物などの、熱硬化性マトリックス材料と適合性である熱可塑性ポリマー材料が挙げられる。好ましい熱可塑性ポリエステルには、DESMOPHEN2000およびDESMOPHEN 2001KS(両方とも、Pittsburgh,PennsylvaniaのBayerから市販)と、RD−847Aポリエステル樹脂(Columbus,OhioのBorden Chemicalsから市販)とが挙げられる。有用なポリアミドには、General Mills Chemicals,Inc.から市販されているVERSAMID製品が挙げられる。有用な熱可塑性ポリウレタンには、Chicago,IllinoisのWitco Chemical Corp.から市販されているWITCOBOND(登録商標)W−290Hと、Hicksville,New YorkのRuco Polymer Corp.から市販されているRUCOTHANE(登録商標)2011Lポリウレタンラテックスとが挙げれらる。
【0041】
有用な熱硬化性ポリマー材料には、熱硬化性マトリックス材料と適合性である、熱硬化性ポリエステルと、エポキシ材料と、ビニルエステルと、フェノールと、アミノプラスチックと、熱硬化性ポリウレタンと、これらの混合物とが挙げられる。適切な熱硬化性ポリエステルには、Port Washington,WisconsinのCook Composites and Polymersから市販されているSTYPOLポリエステルと、Como,ItalyのDSM B.V.から市販されているNEOXILポリエステルとが挙げられる。
【0042】
有用なエポキシ材料は、分子中に、多価アルコールまたはチオールのポリグリシジルエーテルのようなエポキシ基またはオキシラン基を少なくとも1つ含む。適切なエポキシポリマーの例には、ビスフェノールAのエポキシ官能ポリグリシジルエーテルであり、Houston,TexasのShell Chemical Companyから市販されている、EPON(登録商標)826およびEPON(登録商標)880のエポキシ樹脂が挙げられる。しかし、好ましくは、コーティング組成物はエポキシ材料を実質的に含まない。すなわち、コーティング組成物は、約5重量パーセント未満のエポキシ材料を含み、より好ましくは約2重量パーセント未満のエポキシ材料を含む。
【0043】
好ましくは、コーティング組成物は、1つ以上のポリエステル(好ましくはDESMOPHEN 2000およびRD−847A)ならびにビニルピロリドンポリマー(好ましくは)と、ビニルアルコールポリマーと、および/またはデンプンとからなる群から選択された1つ以上のさらなるフィルム形成ポリマーを含む。本発明において有用である好ましいビニルピロリドンポリマーには、PVP K−15、PVP K−30、PVP K−60、およびPVP K−90などのポリビニルピロリドンが含まれる。これらのポリビニルピロリドンの各々は、Wayne,New JerseyのISP Chemicalsから市販されている。有用なデンプンには、NetherlandsのAVEBEから市販されている、Kollotex 1250(エチレンオキシドでエーテル化された、低粘性、低アミロースのジャガイモベースのデンプン)などの、ジャガイモ、トウモロコシ、コムギ、軟質トウモロコシ、サゴデンプン、イネ、マイロ、およびこれらの混合物から調製されたものが挙げられる。さらなるポリマーの量は好ましくは、約10重量パーセント未満であり、より好ましくは約0.1〜約5重量パーセントの範囲である。コーティング組成物は好ましくは、実質的にデンプンを含まない。すなわち、コーティング組成物は、約5重量パーセント未満のデンプンを含み、より好ましくはデンプンを含まない。デンプンは、しばしばマトリックス材料と非適合性である。
【0044】
プリント回路基板用積層板に対する代替の好ましい実施態様において、コーティング組成物のポリマー材料は、RD−847Aポリエステル樹脂、PVP K−30ポリビニルピロリドン、DESMOPHEN2000ポリエステル、およびVERSAMIDポリアミドの混合物を含む。そのコーティング組成物は、1つ以上の熱可塑性ポリマー材料と1つ以上の熱硬化性ポリマー材料の混合物を含む。
【0045】
一般にポリマー材料の量は、全固体をベースとして、コーティング組成物の約1〜約99重量%、好ましくは約1〜約50重量%、より好ましくは約1〜約25重量%の範囲であり得る。
【0046】
上記で議論されたポリマー材料の追加または代替に関して、このコーティング組成物は、好ましくは有機シランカップリング剤、遷移金属カップリング剤、ホスホネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アミノ含有Wernerカップリング剤、およびそれらの混合物のような1つ以上のカップリング剤を含む。これらカップリング剤は、典型的には、二重の機能を有する。各金属またはケイ素原子を、この繊維表面および/またはコーティング組成物の成分と反応または適合し得る1つ以上の群に接触させた。本明細書で使用される「適合(compatibilize)」という用語は、その群が、例えば極性、濡れ、溶媒和力によってその繊維表面および/またはコーティング組成物の成分に化学的結合されるのではなく、引きつけられることを意味する。加水分解性基の例には、
【0047】
【化1】


モノヒドロキシおよび/または1,2−もしくは1,3−グリコールの環状C2−C3残基が挙げられ、ここで、R1は、C1−C3アルキルであり;R2は、HまたはC1−C4アルキルであり;R3およびR4は、H、C1−C4アルキルまたはC6−C8アリールから独立して選択され;そしてR5は、C4−C7アルキレンである。適切な適合基(compatibilizing group)または官能基の例には、エポキシ、グリシドキシ、メルカプト、シアノ、アリル、アルキル、ウレタノ、ハロ、イソシアネート、ウレイド、イミダゾリニル、ビニル、アクリラート、メタクリラート、アミノまたはポリアミノ基が挙げられる。
【0048】
機能性有機シランカップリング剤は、本発明における使用に好適である。有用な機能性有機シランカップリング剤の例には、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニル−トリアルコキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシランおよびウレイドプロピルトリアルコキシシランが挙げられる。好ましい機能性有機シランカップリング剤は、A−187 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、A−174 γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、A−1100 γ−アミノプロピルトリエトキシシランシランカップリング剤、A−1108 アミノシランカップリング剤およびA−1160 γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(各試薬は、OSi Specialties,Inc.,Tarrytown,New York からから市販されている)。その有機シランカップリング剤は、少なくとも部分的に、好ましくは、約1:1の化学量論比でこの繊維に塗布する前に、水と共に加水分解され得、または所望ならば加水分解されない形状に適用され得る。
【0049】
適切な遷移金属カップリング剤には、チタン、ジルコニウム、イットリウム、およびクロムカップリング剤が挙げられる。適切なチタン酸塩カップリング剤およびジルコン酸塩カップリング剤は、Kenrich Petrochemical Companyから市販されている。適切なクロム錯体は、E.I.duPont de Nemours,Wilmington,Delawareから市販されている。アミノ含有Werner型カップリング剤は、錯体化合物であり、クロムのような3価の有核原子(nuclear atom)は、アミノ官能基を有する有機酸で配位される。当業者に公知の他の金属キレートおよび配位型カップリング剤はまた、本明細書中で使用され得る。
【0050】
カップリング剤の量は、全固体をベースとしてコーティング組成物の約1〜約99重量%、好ましくは、約1〜約10重量%の範囲であり得る。
【0051】
図3を参照すると、本発明の好ましい実施態様において、コーティング組成物は、繊維18の外部表面の間に配置されるかまたは繊維18の外部表面に接着される1つ以上の固体粒子24を含む。ストランド16の隣接するガラス繊維26、28間に配置された場合、これら固体粒子24は概して、固体粒子24の平均粒子サイズ32に対応する間隙領域30を提供し得る。本明細書で使用する「固体」とは、適度の応力の下でほとんど流出せず、基板を変形させる傾向がある抵抗力に対して規定された耐久力を有し、通常の条件下で、規定されたサイズおよび形状を維持する基板を意味する。Webster’s Third New International Dictionary of the English Language−Unabridged(1971)2169頁を参照のこと。さらに本明細書中で使用される「固体」という用語は、結晶性および非結晶性材料を含む。
【0052】
固体粒子24は、約0.01から5μmより大きく、好ましくは約1〜約1000μm、より好ましくは、約1〜約25μmの範囲の平均粒子サイズ32(球状直径に相当する)を有し得る。好ましくは、固体粒子24の最小平均粒子サイズ32は、一般にガラス繊維の平均公称径に対応する。
【0053】
上述のように固体粒子24の構造または形状は、所望のように、一般に球状(ビーズ、マイクロビーズ、または固体中空球体)、立方体状、板状、あるいは針状(伸長されたまたは繊維状)であり得る。適切な粒子特性に関するより多くの情報のためには、H.Katzら(編),(Handbook of Fillers and Plastics)(1987)9−10頁(本明細書中に参考として援用する)を参照のこと。その固体粒子は、好ましくは、約25℃まで(より好ましくは、約400℃まで)の温度に曝されるような典型的なガラス繊維処理条件下で、コーティング組成物内で5μm未満(好ましくは、3μm以上)の粒子サイズまで粉砕、変形または溶解しない。
【0054】
ガラス繊維は、隣接するガラス繊維、および/または他の固体物体もしくは材料(ガラス繊維が、例えば、織成または粗紡のような成形および引き続く処理の間に接触する)の隆起部分との接触による研磨的摩耗を受けやすい。本明細書中で使用される「研磨的摩耗」とは、ガラス繊維に損傷を与えるために十分な硬さがある材料の粒子、エッジまたは要素との摩擦的接触による、ガラス繊維表面の小片のスクラップまたは切除、あるいはガラス繊維の破損を意味する。K.Ludemaによる(Friction,Wear,Lubrication,)(1996)129頁(本明細書中で参考として援用する)を参照のこと。ガラス繊維ストランドの研磨的摩耗は、処理の間にストランド破損、ならびに織布(woven cloth)および複合材のような製品において表面欠陥を発生させ、それによって廃棄物および製造コストが増加する。
【0055】
研磨的摩耗を最小化するために固体粒子は、超過しない、すなわちガラス繊維(単数および/または複数)の硬度値未満かまたは等しい硬度値を有する。固体粒子およびガラス繊維の硬度値は、VickersまたはBrinell硬度のような任意の従来の硬度測定法によって決定されるが、好ましくは、本来のモース硬度尺度によって決定され、これは材料の表面の相対引っ掻き抵抗性を示す。ガラス繊維のモース硬度値は、一般的に約4.5〜約6.5の範囲にあり、好ましくは約6である。R.Weast(編)によるHandbook of Chemistry and Physics,CRC Press(1975)F−22頁(本明細書中で参考として援用する)。固体粒子のモース硬度値は、好ましくは、約0.5〜約6までの範囲にある。本発明において、使用に適する固体粒子のいくつかの、制限されない例のモース硬度値を、以下の表Aに示す。
【0056】
【表1】


1K.Ludemaによる(Friction,Wear,Lubrication),(1996)27頁(本明細書中で参考として援用する)。
2R.Weast(編)による(Handbook of Chemistry and Physics),CRC Press(1975)F−22頁。
3R.Lewis,Sr.,(Hawley’s Condensed Chemical Dictionary),(第12版 1993)793頁(本明細書中で参考として援用する)。
4(Hawley’s Condensed Chemical Dictionary),(第12版 1993)1113頁(本明細書中で参考として援用する)。
5(Hawley’s Condensed Chemical Dictionary),(第12版 1993)784頁(本明細書中で参考として援用する)。
6(Handbook of Chemistry and Physics),F−22頁。
7(Handbook of Chemistry and Physics),F−22頁。
8(Friction,Wear,Lubrication),27頁。
9(Friction,Wear,Lubrication),27頁。
10(Friction,Wear,Lubrication),27頁。
11(Friction,Wear,Lubrication),27頁。
12(Handbook of Chemistry and Physics)F−22頁。
13(Handbook of Chemistry and Physics)F−22頁。
14(Handbook of Chemistry and Physics)F−22頁。
15(Handbook of Chemistry and Physics)F−22頁。
16(Handbook of Chemistry and Physics)F−22頁。
17(Handbook of Chemistry and Physics)F−22頁。
18(Handbook of Chemistry and Physics)F−22頁。
【0057】
上述のようにモース硬度尺度は、引っ掻きに対する材料の抵抗性に関連する。従って、本発明は、粒子表面の下にある内部の粒子の硬度と異なり粒子表面での硬度を有する粒子を考察し、より詳細には、粒子の表面が、その粒子をコーティング、クラッディング、またはカプセル化あるいは公知技術を使用して表面特性を化学的に変化させることを含む周知の任意の様式で修飾され得る。その結果、粒子の表面硬度は、ガラス繊維の硬度よりも大きくなく、その一方で表面下の粒子の硬度は、ガラス繊維の硬度よりも大きい。例えば、本発明に限定されないが、炭化ケイ素および窒化アルミニウムのような無機粒子は、シリカ、炭酸塩またはナノクレー(nanoclay)コーティングを供給し得る。さらに、アルキル側鎖を有するシランカップリング剤は、多くの酸化物粒子の表面と反応して、「より軟らかい」表面を提供し得る。
【0058】
概して、本発明において有用な固体粒子24は、無機材料、有機材料、またはそれらの混合物から形成され得る。好ましくは固体粒子24は、セラミック材料および金属材料から成る群から選択される無機材料から形成される。適切なセラミック材料は、金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物、金属硫化物、金属ホウ化物、金属ケイ酸塩、金属炭酸塩、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
適切な金属窒化物の非制限は窒化ホウ素であり、それは好ましい無機材料であり、それにより本発明において有用な固体粒子が形成される。有用な金属酸化物の非制限例は、酸化亜鉛である。適切な金属硫化物には、二硫化モリブデン、二硫化タンタル、二硫化タングステンおよび硫化亜鉛が挙げられる。有用な金属ケイ酸塩には、バーミキュライトのようなケイ酸アルミニウムおよびケイ酸マグネシウムが挙げられる。適切な金属材料には、グラファイト、モリブデン、プラチナ、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、銅、金、鉄、銀、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0060】
好ましくは、無機固体粒子24はまた、固体潤滑剤である。本明細書中で使用される「固体潤滑剤」とは、無機固体材料24が特有の晶癖を有し、その晶癖より、無機固体粒子を互いに滑りやすなるように薄い平板に剪断させ、これによりガラス繊維表面と隣接固体表面(そのうち少なくとも1つの表面は動いている)との間の減摩耗潤滑効果を生じさせる。(R.Lewis,Sr.,(Hawley’s Condensed Chemical Dictionary),(第12版 1993)712頁(本明細書中で参考として援用する)を参照のこと)。摩擦は1つの固体が別の固体上を滑る際の抵抗力である。F.Claussによる(Solid Lubricants and Self−Lubricating Solids),(1972)1頁(本明細書中で参考として援用する)。
【0061】
好ましい実施態様において、固体潤滑剤粒子はラメラ構造を有する。ラメラまたは六方晶結晶構造を有する粒子は、六方晶配列中で、シート内部で強力な結合を有し、そしてシート間で弱いvan der Waals力を有する原子シートまたはプレートから構成され、シート間で低い剪断強度を提供する。(Friction,Wear,Lubrication)125頁、(Solid Lubricants and Self−Lubricating Solids)19−22頁,42−54頁,75−77頁,80−81頁,82頁,90−102頁,113−120頁,および128頁,ならびにW.Campbell「Solid Lubricants」(Boundary Lubrication;An Appraisal of World Literature),ASME Reseach Committee on Lubrication(1969)202−203頁(本明細書中で参考として援用する)。ラメラフラーレン(バッキーボール(buckyball))構造を有する無機固体粒子はまた、本発明においても有用である。
【0062】
ラメラ構造を有する適切な無機固体潤滑剤粒子の非限定例は、窒化ホウ素、グラファイト、金属ジカルコゲニド、マイカ、タルク、セッコウ、カオリナイト、方解石、ヨウ化カドミウム、硫化銀、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい無機固体潤滑剤粒子には、窒化ホウ素、グラファイト、金属ジカルコゲニド、およびそれらの混合物が挙げられる。適切な金属ジカルコゲニドは、二硫化モリブデン、ジセレン化モリブデン、二硫化タンタル、ジセレン化タンタル、二硫化タングステン、ジセレン化タングステンおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0063】
六方晶構造を有する窒化ホウ素粒子は、水性サイジング組成物での使用のために最も好ましい。窒化ホウ素粒子、硫化亜鉛粒子、およびモンモリロナイト粒子はまた、ナイロン6,6のようなポリマーマトリックス材料を有する複合材においても良好な白色を提供する。
【0064】
本発明において、使用するために適切な窒化ホウ素粒子の非限定例には、PolarTherm(登録商標)100シリーズ(PT120,PT140,PT160,およびPT180)、300シリーズ(PT350)、ならびに600シリーズ(PT620,PT630,PT640,およびPT670)窒化ホウ素粉末粒子であり、その粒子は、Advanced Ceramics Corporation of Lakewood,Ohioから市販されてる。Advanced Ceramics Corporation of Lakewood,Ohio(1996)の技術公報である「PolarTherm(登録商標)Thermally Conductive Fillers for Polymeric Materials」(本明細書中で参考として援用する)。これらの粒子は、25℃で約250〜300W/mKの熱伝導率、誘電率約3.9、および容積抵抗率約1015Ωcmを有する。その100シリーズパウダーは、約5〜約14μmの範囲の平均粒子サイズを有し、その300シリーズは、約100〜約150μmの範囲の平均粒子サイズを有し、そしてその600シリーズは、約16から約200μmより大きな範囲の平均粒子サイズを有する。
【0065】
その固体潤滑剤粒子24は、分散状態で、すなわち水中で懸濁液または乳濁液として存在し得る。鉱油またはアルコール(好ましくは、約5重量%未満で)のような他の溶媒は、所望ならばサイジング組成物中に含まれ得る。水中で約25重量%の窒化ホウ素粒子の好ましい分散剤の非制限例は、ZYP Coatings,Inc.、Oak Ridge、 Tennesseeから市販されてるORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONCである。ZYP Coatings,Inc.の技術公報である「ORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONC」(本明細書中で参考として援用する)。供給者によると、この製品の窒化ホウ素粒子は、約3μm未満の平均粒子サイズを有する。この分散剤は、約1%のマグネシウム−アルミニウムケイ酸塩を含み、供給者によると、その分散剤が塗布される基板に対して窒化ホウ素粒子を結合させる。ZYP Coatingsから市販されている他の有用な製品は、BORON NITRIDE LUBRICOAT(登録商標)塗料、BRAZE STOP and WELD RELEASE製品が挙げられる。
【0066】
好ましくはないが、コーティング組成物は、水和可能なまたは水和された無機固体潤滑材料を含み得る。このような水和可能な無機固体潤滑材料の非制限例は、マイカ(例えば白雲母)、タルク、モンモリロナイト、カオリナイト、およびセッコウ(CaSO4・2H2O)を含む粘土鉱物フィロケイ酸塩である。本明細書中で使用される「水和可能な」とは、固体無機潤滑剤粒子が、水の分子と反応し、水和物を形成し、そして水和水または結晶水を含むことを意味する。「水和物」とは、水の分子と基板との反応(この反応においてH−OH結合は開裂しない)によって生成される。(R.Lewis,Sr.,(Hawley’s Condensed Chemical Dictionary),(12th Ed.1993)609−610頁、およびT.Perros,(Chemistry),(1967)186−187頁(本明細書中で参考として援用する)を参照のこと)。水和物の化学式において、水分子の添加は、慣習的に中心点によって示され、例えば3MgO・4SiO2・H2O(タルク),Al23・2SiO2・2H2O(カオリナイト)である。水和物は、水和された材料においてカチオンを配位させ、そして構造を破壊することなく除去され得ない配位水、および/または電荷のバランスを逆転することなく静電エネルギーを加えるために構造内の間隙に占有させる構造水を含む。R.Evans,による(An Introduction to Crystal Chemistry),(1948)276頁(本明細書中で参考として援用する)。
【0067】
好ましくは、コーティング組成物は、本質的に水和可能な無機固体潤滑剤粒子または摩耗性シリカ粒子つまり炭酸カルシウムを有さず、すなわち全固体をベースとして、20重量%未満の水和可能な無機潤滑剤粒子、摩耗シリカ粒子または炭酸カルシウムを含み、より好ましくは、約5重量%未満であり、最も好ましくは、0.001重量%未満である。
【0068】
代替の実施態様において、固体粒子24は、熱硬化性材料、熱可塑性材料、デンプンおよびそれらの混合物から成る群から選択された有機ポリマー材料より形成され得る。適切な熱硬化性材料は、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ材料、フェノール樹脂、アミノプラスト、熱硬化性ポリウレタン、およびそれらの混合物を含み、それらは、以下で議論する。適切な熱可塑性材料は、ビニルポリマー、熱可塑性ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、アクリルポリマー、およびそれらの混合物を含む。好ましい有機固体粒子は、マイクロビーズまたは中空球形の形態で存在する。
【0069】
代替可能な好ましい実施態様において、固体粒子24は熱伝導性である、すなわち約30W/mKより大きい熱伝導率を有する(例えば上述の窒化ホウ素、グラファイト、および金属無機固体潤滑剤)。固体材料の熱伝導率は、ASTM C−177−85(本明細書中で参考として援用する)による、約300Kの温度で、保護されたホットプレート方法のような当業者に公知の任意の方法によって決定され得る。
【0070】
別の代替の実施態様において無機固体粒子24は電気的に絶縁されるか、または高い電気抵抗率を有する。すなわち例えば窒化ホウ素のような約1000μΩcmより大きい電気抵抗率を有する。
【0071】
固体潤滑剤粒子は、全固体をベースとしてコーティング組成物の約0.001〜約99重量%、好ましくは、約1〜約80重量%、さらに好ましくは、約1〜約40重量%を含み得る。
【0072】
そのコーティング組成物は、上述で議論されたポリマー材料と化学的に異なる1つ以上の有機潤滑剤をさらに含み得る。一方コーティング組成物は、約60重量%まで有機潤滑剤を含み得、好ましくはそのコーティング組成物は本質的に有機潤滑剤を有さない、すなわち有機潤滑剤の約10重量%未満を含み、より好ましくは、約1〜約5重量%の有機潤滑剤を含む。そのような有機潤滑剤の例は、カチオン性、非イオン性、またはアニオン性潤滑剤およびそれらの混合物(例えば脂肪酸のアミン塩、アルキルイミダゾリン誘導体(例えば、CATION X 、New JerseyのRhone Poulenc of Princetonから入手可能である)、酸可溶性脂肪酸アミド、脂肪酸とポリエチレンイミンの濃縮物、ならびにアミドで置換されたポリエチレンイミン(例えば、EMERY(登録商標)6717(Kankakee,IllnoisのHenkel Corporationから市販されている部分的にアミド化されたポチエチレンイミン))。
【0073】
コーティング組成物は、このコーティング組成物の成分(例えば、無機粒子)を乳化または分散するための1つ以上の乳化剤を含み得る。適切な乳化剤または界面活性剤の限定されない例としては、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー(例えば、PLURONICTMF−108 ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマー(これは、BASF Corporation of Parsippany,New Jerseyから市販されている))、エトキシル化アルキルフェノール(例えば、IGEPAL CA−630 エトキシル化オクチルフェノキシエタノール(これは、GAF Corporation、Wayne,New Jerseyから市販されている))、ポリオキシエチレンオクチルフェニルグリコールエーテル、ソルビトールエステルのエチレンオキシド誘導体、ポリオキシエチル化植物油(例えば、ALKAMULS EL−719(これは、Rhone−Poulencから市販されている))、およびノニルフェノール界面活性剤(例えば、MACOL NP−6(これは、BASF、Parsippany,New Jerseyから市販されている))が挙げられる。一般に、乳化剤の量は、全固体をベースとしてコーティング組成物の約1〜約30重量パーセントの範囲であり得る。
【0074】
コーティング組成物は、1つ以上の水溶性の乳化可能なろう材料または分散可能なろう材料(例えば、植物ろう、動物ろう、鉱ろう、合成ろう、または石油ろう)を含み得る。好ましいろうは、石油ろうである(例えば、MICHEM(登録商標)LUBE296微結晶性ろう、POLYMEKON(登録商標)SPP−W微結晶性ろう、およびPETROLITE75微結晶性ろう(これらは、それぞれ、Michelman Inc.、Cincinnati,Ohio、およびthe Petrolite Corporation、Tulsa,Oklahomaから市販されている))。一般に、ろうの量は、全固体をベースとしてコーティングの約1〜約10重量パーセントであり得る。
【0075】
架橋材料(例えば、メラミンホルムアルデヒド)および可塑剤(例えば、フタラート、トリメリタート(trimellitate)、およびアジパート)はまた、コーティング組成物に含まれ得る。架橋剤または可塑剤の量は、全固体をベースとしてコーティング組成物の約1〜約5重量パーセントの範囲であり得る。
【0076】
他の添加剤は、コーティング組成物(例えば、シリコーン、殺真菌剤、殺菌剤、および消泡材料)中に、一般的に約5重量パーセント未満の量で含まれ得る。約2〜約10のpHを有するコーティング組成物を提供するために十分な量の有機酸および/または無機酸あるいは有機塩基および/または無機塩基もまた、含まれ得る。適切なシリコーンエマルジョンの限定されない例は、LE−9300エポキシド化シリコーンエマルジョンであり、これは、OSi Specialties,Inc.、Danbury,Connecticutから市販されている。適切な殺菌剤の例は、Biomet66抗菌化合物であり、これは、M&T Chemicals、Rahway,New Jerseyから市販されている。適切な消泡材料は、SAG材料(これは、OSi Specialties,Inc.、Danbury,Connecticutから市販されている)、およびMAZU DF−136(これは、BASF Company、Parsippany,New Jerseyから入手可能である)である。水酸化アンモニウムは、所望であれば、安定化のためにコーティング組成物に添加され得る。水(好ましくは脱イオン水)は、好ましくはストランド上のほぼ均一なコーティングの塗布を容易にするために十分な量において(一般的に約25〜約99重量パーセントの量において)、コーティング組成物中に含まれる。水性のコーティング組成物のうちの固体の重量パーセントは、一般的に約1〜約75重量パーセントの範囲である。
【0077】
コーティング組成物は、好ましくは本質的にガラス材料を有さない。本明細書中で使用される場合、「本質的にガラス材料を有さない」とは、コーティング組成物がガラス複合材を形成するためのガラスマトリクス材料の20体積パーセント未満を含み、好ましくは約5体積パーセント未満を含み、そしてより好ましくはガラス材料を有さないことを意味する。このようなガラスマトリクス材料の例としては、当業者に周知であるような、黒ガラスセラミックマトリクス材料またはアルミノケイ酸塩マトリクス材料が挙げられる。
【0078】
プリント回路基板用に繊維を織り込むための1つの実施態様において、本発明のコーティングされた繊維ストランドのガラス繊維は、それに対して、水性サイジング組成物(PolarTherm(登録商標)160窒化ホウ素粉末および/またはBORON NITRIDE RELEASECOAT分散、EPON826エポキシフィルム形成材料、PVP K−30ポリビニルピロリドン、A−187エポキシ機能性有機シランカップリング剤、ALKAMULS EL−719ポリオキシエチル化植物油、IGEPAL CA−630エトキシル化オクチルフェノキシエタノール、KESSCO PEG600ポリエチレングリコールモノラウリン酸エステル(これは、Stepan Company、Chicago,Illinoisから市販されている)、ならびにポリエチレンイミンを部分的にアミド化したEMERY(登録商標)6717を含む)の乾燥した残渣の第1層を適用している。
【0079】
繊維を織り込むための好ましい実施態様において、本発明のコーティングされた繊維ストランドのガラス繊維は、それに対して、水性サイジング組成物(PolarTherm(登録商標)160窒化ホウ素粉末および/またはBORON NITRIDE RELEASECOAT分散、RD−847Aポリエステル、PVP K−30ポリビニルピロリドン、DESMOPHEN2000ポリエステル、A−174アクリル機能性有機シランカップリング剤、ならびにA−187エポキシ機能性有機シランカップリング剤を含む)の乾燥した残渣の第1層を適用している。
【0080】
本発明のコーティング組成物は、当業者に周知の従来の混合工程のような任意の適切な方法によって調製され得る。好ましくは、上記で議論される成分は、水で希釈されて所望の重量パーセントの固体を有し、そして共に混合される。粉末化された熱伝導性の無機固体粒子は、水と予め混合され得るか、またはコーティングの他の成分と混合する前にポリマー材料に添加される。
【0081】
コーティングの層は、多くの様式において(例えば、フィラメントをローラーもしくはベルトアプリケータに接触させることによって、噴霧することによって、または他の手段によって)繊維に塗布され得る。コーティングされた繊維は、好ましくは室温または高温にて乾燥される。乾燥機は、繊維から過剰な水分を(存在するのであれば)除去し、任意の硬化可能なコーティング組成物成分を硬化させる。ガラス繊維を乾燥する間の温度および時間は、例えば、コーティング組成物中の固体の割合、コーティング組成物の成分、およびガラス繊維の型のような変量に依存する。コーティング組成物は代表的に、乾燥後において約0.1重量パーセントと約25重量パーセントとの間の量で、繊維上の乾燥したサイズ残渣として存在する。繊維の強熱における損失は、一般的に約0.6重量パーセント未満、好ましくは約0.5重量パーセント未満、およびより好ましくは約0.01〜約0.45重量パーセントの範囲である。コーティングされた繊維のサンプルの強熱における損失は、1200℃の温度にてマッフル炉中で20分間繊維を加熱することによって決定され得る。
【0082】
第2のコーティング組成物の第2層は、ストランドの部分をコーティングまたは浸漬するために有効な量において、上記に議論されるコーティング組成物の層にわたって適用され得る(例えば、組成物を含む浴中にストランドを浸漬させることによって、組成物をストランド上に噴霧することによって、または上記に議論されるように、ストランドとアプリケータとを接触させることによって)。コーティングされたストランドは、過剰のコーティング組成物をストランドから除去するためにダイを通過し得、そして/または上記で議論されるように、第2のコーティング組成物を少なくとも部分的に乾燥または硬化するために十分な時間の間乾燥され得る。ストランドに対して第2のコーティング組成物を塗布するための方法および装置は、ストランドの材料の配置によって部分的に決定される。ストランドは、好ましくは、当該分野で周知の様式における第2のコーティング組成物の塗布後に乾燥される。
【0083】
適切な第2のコーティング組成物は、1つ以上のフィルム形成材料、潤滑剤、および上記で議論されるような他の添加物を含み得る。第2のコーティングは、サイジング組成物と異なる。すなわち、第2のコーティングは(1)サイジング組成物の成分と化学的に異なる少なくとも1つの成分を含むか、または(2)サイジング組成物に含まれる同じ成分の量と異なる量において、少なくとも1つの成分を含む。適切な第2のコーティング組成物の限定されない例(ポリウレタンを含む)は、米国特許第4,762,750号および同第4,762,751号(これは本明細書中で参考として援用される)において開示される。
【0084】
本発明に従う代替の好ましい実施態様において、繊維ストランドのガラス繊維は、それに対して、従来のサイジング組成物または上記で議論される量における任意のサイジング組成物を含み得るサイジング組成物の乾燥した残渣の第1層を適用し得る。適切なサイジング組成物の例は、Loewensteinの237〜291頁(第3版、1993)および米国特許第4,390,647号および同第4,795,678号(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)に示される。本発明に従う第2のコーティング組成物の第2または第1層は、少なくとも第1層の部分的に、および好ましくは外表面全体にわたって塗布される。第2のコーティング組成物は、上記で議論される1つ以上の型の固体粒子および/または以下の表C、D、およびEに示す固体粒子を含み得る。
【0085】
【表2】




【0086】
【表3】




【0087】
【表4】


二硫化モリブデンおよび酸化マグネシウムは、本発明の第2および第3コーティングに有用である他の無機固体粒子である。当業者は、任意の上記の無機固体粒子の混合物が本発明において使用され得ることを理解する。
【0088】
第2コーティング組成物における無機粒子の量は、総固体に基づいて約1〜約99重量%、好ましくは約20〜約90重量%の範囲であり得る。水溶性の第2コーティング組成物の固体の割合は、一般的に約5〜約75重量%の範囲である。
【0089】
代替の実施態様において、第3コーティング組成物の第3層は、第2層の表面の少なくとも一部に、好ましくは第2層の表面の全体に塗布され得る。すなわち、このような繊維ストランド(fiber strand)は、サイジングの第1層、第2コーティング組成物の第2層、および第3コーティングの第3外部層を有する。第3コーティングは、サイジング組成物(sizing composition)および第2コーティング組成物とは異なり、すなわち、第3コーティング組成物は、(1)サイジング組成物および第2コーティング組成物の成分とは化学的に異なる少なくとも1個の成分を含有するか;または(2)サイジング組成物または第2コーティング組成物に含有される同一の成分の量とは異なる量で少なくとも1個の成分を含有する。
【0090】
この実施態様において、第2コーティング組成物は、上述の1個以上のポリマー材料(例えば、ポリウレタン)を含有し、第3コーティング組成物は、粉末熱伝導性無機粒子(例えば、上述のPolar Therm(登録商標)窒化ホウ素粒子)を含有する。好ましくは、この粉末コーティングは、粉末粒子を粘着性の第2コーティング組成物へ接着させるために、流動層またはスプレーデバイスによってそこへ塗布された液体第2コーティング組成物を有するストランドを通過することによって塗布される。あるいは、ストランドは、図5に示すように、ストランドは、第3コーティングの層140が塗布される前に、ファブリック114に組み立てられ得る。コーティングしたストランドへ接着される粉末熱伝導性無機固体粒子の重量パーセントは、乾燥したストランドの総重量の約0.1重量%〜約75重量%の範囲であり得る。第3コーティングはまた、上述の1個以上のポリマー材料(例えば、アクリルポリマー、エポキシ、またはポリオレフィン)、従来の安定剤およびこのようなコーティングの当該分野に公知の他の条件剤を、好ましくは乾燥粉末形態で含有し得る。
【0091】
繊維ストランドは、好ましくは編むまたは織ることによって、織成ファブリック14に処理され得る。織成ファブリック14は、図1に示すような複合材すなわち積層板10を形成するために、ポリマーマトリクス材料12を強化するための、好ましくはプリント回路基板における使用のための、強化材として使用される。ファブリック14の縦ストランドは、織る前に、当業者に公知である任意の従来のねじり技術によって、例えば1インチ当たり約0.5〜約3回転でストランドにねじれを与えるツイストフレームを使用して、ねじられてもよいし、またはねじられなくてもよい。
【0092】
強化ファブリック14は、1センチメートルあたり約5〜約100の縦ストランドを含み得、好ましくは、1センチメートルあたり約3〜約25ピック(1インチあたり約1〜約15のピック)の横ストランドを有する。織成構造は、通常の平織りでもよいが、あや織りまたはしゅす織りのような、当業者にとって周知の他の任意の織成様式が用いられてもよい。
【0093】
本明細書中で参考として援用される、Anderson, South CarolinaのClark−Schwebel, Inc.の技術報告書「Fabrics Around the World」(1995年)に開示されているように、ファブリック14は、好ましくは、プリント回路基板用の積層板に用いられるために適切な様式で織られる。E225E−ガラス繊維を用いる好適なファブリック様式は、5平方センチメートルの面積あたり、118本の縦ヤーンおよび114本の横ヤーン(1平方インチあたり、60本の縦ヤーンおよび58本の横ヤーン)を有し、722 1×0(E225 1/0)の縦および横ヤーンを用い、0.094mm(0.037インチ)の公称ファブリック厚、および103.8g/m2(1平方ヤードあたり、3.06オンス)のファブリック重量を有する、様式2116である。G75Eガラス繊維を用いる好適なファブリック様式は、5平方センチメートルの面積あたり、87本の縦ヤーンおよび61本の横ヤーン(1平方インチあたり、44本の縦ヤーンおよび31本の横ヤーン)を有し、968 1×0(G75 1/0)の縦および横ヤーンを用い、0.173mm(0.0068インチ)の公称ファブリック厚、および203.4g/m2(1平方ヤードあたり、6.00オンス)のファブリック重量を有する、様式7628である。D450Eガラス繊維を用いる好適なファブリック様式は、5平方センチメートルの面積あたり、118本の縦ヤーンおよび93本の横ヤーン(1平方インチあたり、60本の縦ヤーンおよび47本の横ヤーン)を有し、511 1×0(D450 1/0)の縦および横ヤーンを用い、0.053mm(0.0021インチ)の公称ファブリック厚、および46.8g/m2(1平方ヤードあたり、1.38オンス)のファブリック重量を有する、様式1080である。これらおよび他の有用なファブリック様式の詳述は、本明細書中で参考として援用される、The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsの刊行物、IPC−EG−140「Specification for Finished Fabric Woven from ‘E’ Glass for Printed Boards」(1997年6月)に記載されている。
【0094】
適切な織成強化ファブリック14は、シャットル織機またはレピア織機のような、当業者にとって周知の任意の従来の織機を用いることによって形成され得るが、好ましくは、エアジェット織機を用いて形成される。好適なエアジェット織機は、ツダコマ(日本)から市販されているモデル番号103、およびZurich,SwitzerlandのSulzer Brothers Ltd.から市販されているSulzer Rutiモデル番号L−5000またはL−5100である。本明細書中で参考として援用される、Sulzer RutiL5000およびL5100のProduct Bulletins of Sulzer Ruti Ltd.、Switzerlandを参照のこと。
【0095】
本明細書中で用いられる「エアジェット織り」は、上述したように、1つ以上のエアジェットノズル518(図6および図6aに図示)からの圧縮空気514の送風によってフィル(fill)ヤーン(横糸)510が縦糸シェッドに挿入される、エアジェット織機526(図6に図示)を用いるファブリック織成のタイプを意味する。フィルヤーン510は、圧縮空気によって、ファブリック528の幅524(約10〜約60インチ)、より好ましくは、約0.91メートル(約36インチ)を横切って進められる(propel)。
【0096】
エアジェット充填システムは、1つのメインノズル516を有してもよいが、好ましくは、ヤーン510がファブリック528の幅524を横切る間、所望の気圧を維持するように、補助空気の送風522をフィルヤーン510に提供するため、縦糸シェッド512に沿って、複数の補助リレーノズル520も有する。メイン空気ノズル516に供給される気圧(ゲージ)は、好ましくは、約103〜約413キロパスカル(kPa)(1平方インチあたり約15〜約60ポンド(psi))の範囲であり、より好ましくは、約310kPa(約45psi)である。メイン空気ノズル516の好適な様式は、2ミリメートルの直径517を有する内部エアジェットチャンバおよび20センチメートルの長さ521を有するノズル出口チューブ519を有するSulzer Rutiニードルエアジェットノズルユニット(モデル番号044455001)(Spartanburg, North CarolinaのSulzer Rutiから市販)である。好ましくは、エアジェット充填システムは、フィルヤーン510の進行の方向に空気の補助送風を供給し、ヤーン510を織機526を横切って進めることを助ける、15〜約20の補助空気ノズル520を有する。補助空気ノズル520の各々に供給される気圧(ゲージ)は、好ましくは、約3〜約6バールの範囲である。
【0097】
フィルヤーン510は、供給システム532によって、1分あたり約180〜約550メートル、好ましくは1分あたり約274メートル(約300ヤード)の供給速度で、供給パッケージ530から引き出される。フィルヤーン510は、クランプを通じて、メインノズル518に供給される。空気の送風は、コンフューザーガイド(confusor guide)を通じて、ヤーンの所定の長さ(ファブリックの所望の幅とほぼ等しい)を進める。挿入が完了すると、メインノズル518に対して遠位のヤーンの末端がカッター534によって切断される。
【0098】
エアジェット織り処理での異なるヤーンの適合性および空力学特性は、本明細書中、一般に「エアジェット搬送抵抗力」テスト方法と呼ばれる、下記の方法によって決定され得る。エアジェット搬送抵抗力テストは、ヤーンがエアジェットの力によってエアジェットノズルに引き込まれる際に、ヤーンに及ぶ引力、または牽力(「抵抗力」)を測定するために用いられる。この方法において、1分あたり約274メートル(約300ヤード)の速度で、2ミリメートルの直径517を有する内部エアジェットチャンバ、および20センチメートルの長さ521を有するノズル出口チューブ519を有するSulzer Rutiニードルエアジェットノズルユニット(モデル番号044455001)(Spartanburg, North CarolinaのSulzer Rutiから市販)を通じて、約310キロパスカル(1平方インチあたり約45ポンド)ゲージの気圧で、各ヤーンサンプルが供給される。ヤーンがエアジェットノズルに入る前の位置で、テンシオメータが、ヤーンと接触するように位置付けられる。テンシオメータは、ヤーンがエアジェットノズルに引き込まれる際に、エアジェットによってヤーンに及ぼされるグラム重(抵抗力)の測定をする。
【0099】
単位質量あたりの抵抗力は、ヤーンサンプルの相対的な比較の基礎として用いられ得る。相対的な比較のため、抵抗力の測定は、1センチメートル長のヤーンで、標準化される。1センチメートル長のヤーンのグラム質量は、式(I)によって決定され得る。
【0100】
グラム質量=(π(d/2)2)(N)(ρglass)(1センチメートル長のヤーン) (I)
ここで、dはヤーンの束のうちの一本の繊維の直径、Nはヤーンの束の繊維の本数、ρglassは約25℃の温度でのガラスの比重(1立方センチメートルあたり約2.6グラム)である。表Fに、いくつかの典型的なガラス繊維ヤーン製品について、ヤーンの中の繊維の直径および数を載せる。
【0101】
【表5】


例えば、1センチ長のG75ヤーンのグラム質量は、(π(9×10-4/2)2)(400)(1立方センチメートルあたり2.6グラム)(1センチメートル長のヤーン)=6.62×10-4グラム質量である。D450ヤーンについては、グラム質量は1.34×10-4グラム質量である。単位質量あたりの相対的な抵抗力(エアジェット搬送抵抗力)は、テンシオメータによって決定される抵抗力測定(グラム重)を、テストされるヤーンのグラム質量で割ることによって計算される。例えば、G75ヤーンのサンプルについて、抵抗力のテンシオメータ測定が68.5の場合、エアジェット搬送抵抗力は、ヤーンのグラム質量あたり6.62×10-4=103,474グラム重で割られた68.5に等しい。
【0102】
本発明による積層板用の織成ファブリックを形成するために用いられるヤーンのエアジェット搬送抵抗力は、上記のエアジェット搬送抵抗力テスト方法によって決定され、これは、ヤーンのグラム質量あたり約100,000グラム重より大きく、好ましくは、ヤーンのグラム質量あたり約100,000〜約400,000グラム重の範囲であり、より好ましくは、ヤーンのグラム質量あたり約120,000〜約300,000グラム重の範囲である。
【0103】
次に、図1を参照すると、ファブリック14は、ファブリック14の1つ以上の層を、ポリマー熱可塑性または熱硬化性マトリクス材料12でコーティングおよび/または含浸することによって、積層板10を形成するために用いられ得る。積層板10は、電子支持体30として用いるために適切である。本明細書中で使用される、「電子支持体」とは、コネクタ、ソケット、保持クリップ、およびヒートシンクを含むがこれに限定されない要素に関連付けられたアクティブ電子構成要素、パッシブ電子構成要素、プリント回路、集積回路、半導体デバイスおよび他のハードウェアを含むが、これに限定されない要素を機械的に支持および/または電気的に相互接続する構造を意味する。
【0104】
本発明において有用なマトリクス材料は、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシド(多価アルコールまたはチオールのポリグリシジルエーテルのように、少なくとも1つのエポキシまたはオキシラン基を分子内に含む)、フェノール、アミノプラスト、熱硬化性ポリウレタン、これらの誘導体および混合物のような熱硬化性材料を含む。プリント回路基板用の積層板を形成するための好適なマトリクス材料は、FR−4エポキシ樹脂、ポリイミド、液晶性ポリマーであり、これらの組成物は当業者に周知である。このような組成物についてのさらなる情報が必要な場合、1「Electronic Materials HandbookTM」、ASM international(1989年)の534〜537頁を参照のこと。
【0105】
適切な熱可塑性ポリマーマトリクス材料の非限定的な例としては、ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタンおよび熱可塑性ポリエステル、ビニルポリマー、ならびにこれらの混合物が挙げられる。有用な熱可塑性材料のさらなる例としては、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、およびポリカーボネートが挙げられる。
【0106】
有用なマトリクス材料処方物は、EPON1120−A80エポキシ樹脂、ジシアンジアミド、2−メチルイミダゾール、およびDOWANOL PMからなる。
【0107】
ポリマーマトリクス材料に含まれ得る他の構成要素、および複合材の中の強化材は、着色材または顔料、滑剤または加工助剤、紫外線(UV)安定剤、抗酸化剤、他の充填剤および増量剤を含む。
【0108】
ファブリック14は、例えば、本明細書中で参考として援用される、R.Tummala(編)、「Microelectronics Packaging Handbook」(1989年)の895〜896頁に記載されているように、ファブリック14をポリマーマトリクス材料12の浴中に浸すことによって、コーティングおよび含浸され得る。ポリマーマトリクス材料12およびファブリック14は、用いられるポリマーマトリクス材料のタイプのような要因に依存する様々な方法によって、複合材または積層板10に形成され得る。例えば、熱硬化性マトリクス材料について、積層板は、圧縮または射出成形、引出成形、ハンドレイアップによって、あるいは圧縮または射出成形が後に続くシート成形によって、形成され得る。熱硬化性ポリマーマトリクス材料は、例えば、マトリクス材料に架橋剤を含めるそして/または熱を加えることによって、硬化され得る。ポリマーマトリクス材料を架橋するために有用である適切な架橋剤は、上述したとおりである。熱硬化性ポリマーマトリクス材料の温度および硬化にかかる時間は、用いられるポリマーマトリクス材料のタイプ、マトリクスシステム中の他の添加剤、および複合材の厚さのような要因に依存するが、これらの要因はほんの一例にすぎない。
【0109】
熱可塑性マトリクス材料について、複合材を形成する適切な方法には、射出成形が後に続く直接成形または押し出しコンパウンディングが挙げられる。上記の方法によって複合材を形成する方法および装置は、本明細書中で参考として援用されるI.Rubin、「Handbook of Plastic Materials and Technology」(1990年)の955〜1062頁、1179〜1215頁および1225〜1271頁に記載されている。
【0110】
図4に示す本発明の特定の実施態様において、複合材または積層板10は、適合性マトリクス材料12で含浸されたファブリック14を含む。含浸されたファブリックは、その後、マトリクス材料の測定された量を残すために、計量ロール(metering roll)のセットの間で絞られ得、半硬化基板またはプリプレグの形で電子的サポートを形成するために、乾燥される。電気的導電層40は、明細書中以下に記載される様態で、プリプレグの側面42の一部分に沿って位置付けられ得、プリプレグは硬化され、電気的導電層に対して電子的サポート50として機能する積層板10を形成する。電子支持体産業においてより典型的である、本発明の他の実施態様において、2つ以上のプリプレグが電気的導電層で結合され、当業者にとって周知の様態で共に積層され、硬化され、多層電子支持体を形成する。本発明を限定するものではないが、例えば、プリプレグスタックは、ポリマーマトリクスを硬化し、所望の厚さの積層板を形成するための所定の長さの時間、例えば研磨されたスチール板の間で、上昇した温度および圧力でスタックを圧縮することによって、積層され得る。1つ以上のプリプレグの一部分が、積層および硬化の前または後のいずれかに電気的導電層を備え得、得られる電子支持体は、露出された表面の一部分に沿って少なくとも1つの電気的導電層を有する積層板(以下、「クラッド積層板」と呼ぶ)である。
【0111】
その後、回路は、当業者にとって周知の技術を用いる単一の層または多層の電子支持体の電気的導電層(単数または複数)から形成され得、プリント回路基板またはプリント配線基板(以下、集合的に「電子回路基板」と呼ぶ)の形で電子支持体を構成する。必要な場合、アパチャーまたは穴(「バイア」とも呼ぶ)が、電子支持体内に形成され得、機械的穿孔およびレーザー穿孔を含むがこれに限定されない、当該技術分野において公知の任意の妥当な様態で、電子支持体の対向する表面上の回路および/または構成要素の間の電気的相互接続を可能にする。より詳細には、アパチャーの形成の後、電気的導電材料の層がアパチャーの壁に堆積されるか、またはアパチャーが電気的導電材料によって充填されるかして、必要な電気的相互接続および/または放熱を容易にする。
【0112】
電気的導電層40は、当業者にとって周知の任意の方法によって、形成され得る。本発明を限定するものではないが、例えば、電気的導電層は、薄いシートまたは金属材料のフォイルを、半硬化または硬化されたプリプレグまたは積層板の側面の少なくとも一部分に積層することによって、形成され得る。代わりに、電気的導電層は、電解めっき、無電解めっき、またはスパッタリングを含むがこれに限定されない、周知の技術を用いて、金属材料の層を半硬化または硬化されたプリプレグまたは積層板の側面の少なくとも一部分に積層することによっても、形成され得る。電気的導電層として用いるために適切な金属材料は、銅(好適である)、銀、アルミニウム、金、すず、すず鉛合金、パラジウム、およびこれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0113】
本発明の他の実施態様において、電子支持体は、1つ以上のクラッド積層板(上記)を有する1つ以上の電子回路基板(上記)、および/または1つ以上のプリプレグ(上記)を共に積層することによって構成される多層電子回路基板の形をとり得る。必要な場合、さらなる電気的導電層が、例えば、多層電子回路基板の露出された側面の一部分に沿って、電子支持体に組み込まれ得る。さらに、必要な場合、さらなる回路が、上記の様態で、電気的導電層から形成され得る。多層電子回路基板の層の相対的な位置に依存して、基板が内部および外部の回路の両方を有し得ることが、理解されるべきである。上述したように、さらなるアパチャーが、部分的または完全に基板を通じて形成され、選択された位置での層の間の電気的相互接続を可能にする。得られる構造が、構造を完全に通じて延びるいくつかのアパチャー、構造を部分的にのみ通じて延びるいくつかのアパチャー、および完全に構造の中にあるアパチャーを有し得ることが理解されるべきである。
【0114】
好ましくは、電子支持体50を形成する積層板の厚さは、約0.051mm(0.002インチ)より厚く、より好ましくは、約0.13mm(0.005インチ)〜約2.5mm(約0.1インチ)の範囲である。7628様式ファブリックの8プライの積層板について、一般的に、厚さは約1.32mm(0.052インチ)である。積層板10の中のファブリック14の層の数は、積層板の所望の厚さに基づいて変化し得る。図面の簡略化のため、ファブリックの1つの層のみを、図1、4および5に示す。層の数は、1〜約40の範囲をとり得る。好ましくは、積層板はファブリックまたはプリプレグの8つの層を有する。
【0115】
積層板の樹脂の含有量は、約35〜約80重量パーセント、より好ましくは、約40〜約75重量パーセントの範囲をとり得る。積層板の中のファブリックの量は、約20〜約65重量パーセント、より好ましくは、約25〜約60重量パーセントの範囲をとり得る。
【0116】
織られたEガラスファブリックから形成され、約110℃の最低ガラス転移温度を有する、FR−4エポキシ樹脂マトリクス材料を用いる積層板について、The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuitsの刊行物、IPC−4101「Specification for Base Materials for Rigid and Multilayer Printed Boards」(1997年12月)の29頁によると、クロスマシンまたは幅方向(一般的にファブリックの長手軸に対して垂直である)の所望の最小曲げ強度は、3×107kg/m2より大きく、好ましくは約3.52×107kg/m2(約50kpsi)より大きく、より好ましくは、約4.9×107kg/m2(約70kpsi)より大きい。IPC−4101は、その全文が本明細書中で参考として援用される。長さ方向において、長さ方向(ファブリックの長手軸に対してほぼ平行である)の所望の最小曲げ強度は、約4×107kg/m2より大きく、好ましくは4.23×107kg/m2より大きい。曲げ強度は、The Institute for Interconnecting and Packaging ElectronicsのASTM D−790およびIPC−TM−650のテスト方法マニュアル(1994年12月)(本明細書中で参考として援用される)によって、IPC−4101のセクション3.8.2.4.により金属クラッディングがエッチングによって完全に除去されて、測定される。本発明の電子支持体の利点として、積層板を含む回路基板の変形を減少し得る、高い曲げ強度(引っ張りおよび圧縮強度)ならびに高い弾性率が含まれる。
【0117】
銅クラッドFR−4エポキシ積層板の形の本発明の電子支持体が有する、積層板のz−方向(「Z−CTE」)、すなわち積層板の厚さを横切る、288℃での熱膨張係数は、IPCテスト方法(本明細書中で参考として援用される)2.4.41によると、好ましくは、約4.5パーセントより少なく、より好ましくは、約0.01〜約4.5重量パーセントの範囲である。このような積層板のそれぞれは、好ましくは、7628様式ファブリックの8つの層を含むが、代わりに様式1080または2116様式ファブリックが用いられ得る。低い熱膨張率を有する積層板は、一般的に、膨張および収縮の影響を受けにくく、基板の変形を最小限にする。
【0118】
本発明は、さらに、本明細書の教示によって作られた少なくとも1つの複合層と、本明細書で教示した複合層とは異なる様態、例えば従来のガラス繊維複合技術で作られた少なくとも1つの複合層とを含む多層積層板および電子回路基板の製造を意図する。より詳細には、当業者にとって周知のように、従来、ファブリックを織ることに用いられる連続的なガラス繊維ストランドのフィラメントは、本明細書中で参考として援用される、Lowenstein(第3版、1993年)の237〜244頁で開示されたものを含むがこれに限定されない、部分的にまたは完全にデキストリン化されたデンプン、あるいはアミロース、硬化植物性油、カチオン湿潤剤、乳化剤および水を含むデンプン/オイルサイジングで処理される。これらのストランドから生成された縦ヤーンは、その後、織る前に、例えば、本明細書中で参考として援用される、米国特許4,530,876号のコラム3、67行からコラム4、11行に開示されているポリ(ビニルアルコール)のような溶液で処理され、織る処理の間、ストランドが摩耗から保護される。この操作は、通常スラッシングと呼ばれる。ポリ(ビニルアルコール)およびデンプン/オイルサイズは、一般的に、複合材メーカーによって用いられるポリマーマトリクス材料と適合性がなく、織られたファブリックの含浸の前に、本質的に全ての有機材料をガラス繊維の表面から除去するために、ファブリックは、清浄化されなければならない。これは、様々な方法、例えば、ファブリックをこすることによって、または、より一般的に、当該技術において周知の様態でファブリックを熱処理することによって達成される。清浄化操作の結果として、ファブリックを含浸するために用いられるポリマーマトリクス材料と清浄化されたガラス繊維表面との間の適切なインターフェイスがなく、このことにより、カップリング剤がガラス繊維表面に塗布されなければならない。この操作は、当業者によって仕上げと呼ばれることもある。最も一般的に仕上げ操作に用いられるカップリング剤は、本明細書中で参考として援用される、E.P.Plueddemann、「Silane Coupling Agents」(1982年)の146〜147頁で開示されたものを含むがこれに限定されない、シランである。また、Lowenstein(第3版、1993年)の249〜256頁を参照のこと。シランでの処理の後、ファブリックは、適合性ポリマーマトリクス材料で含浸され、上述したように、計量ロールのセットの間で絞られ、乾燥され、半硬化プリプレグを形成する。サイジング、清浄化操作、および/または複合材に用いられるマトリクス樹脂の性質に依存して、スラッシングおよび/または仕上げ工程が削除され得ることが、理解されるべきである。従来のガラス繊維複合技術が組み込まれた1つ以上のプリプレグが、その後、本発明が組み込まれた1つ以上のプリプレグと結合され得、上述したように、電子支持体、とりわけ多層積層板または電子回路基板を形成する。電子回路基板の製造についてのさらなる情報については、本明細書中で参考として援用される、1 「Elecronic Materials Handbook(登録商標)」、ASM International(1989年)の113〜115頁、R.Tummala(編)、「Microelectronics Packaging Handbook」(1989年)の858〜861頁および895〜909頁、M.W.Jawitz、「Printed Circuit Board Handbook」(1997年)の9.1〜9.42頁、ならびにC.F.Coombs,Jr.(編)、「Printed Circuits Handbook」(第3版、1988年)の6.1〜6.7頁を参照のこと。
【0119】
本発明の電子支持体を形成する複合材および積層板は、電子産業において用いられるパッケージング、より詳細には、本明細書中で参考として援用される、Tummalaの25〜43頁で開示されたような、第1、第2および/または第3のレベルのパッケージングを形成するために用いられ得る。さらに、本発明は、他のパッケージングのレベルについても用いられ得る。
【0120】
本発明は、また、ファブリック14を形成するために第1のヤーン(横糸)を第2のヤーン(縦糸)と、織り交ぜること、例えば、上述したようにエアジェット織りによって、ファブリック14を組み立てる方法を含む。改良点としては、ポリマーマトリクス材料と適合性があるコーティングを有するEガラス繊維を含む第1のヤーン、(1)1つ以上のポリエステルならびに(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマー、デンプンおよびこれらの混合物(詳細は上述された)からなる群から選択された少なくとも1つのポリマー、を含むコーティングが含まれる。
【0121】
本発明の他の局面は、コーティングされたファブリックを形成するために、織られたファブリックをポリマーマトリクス材料でコーティングし、コーティングされたファブリックに熱を加えることによって、織られたファブリックの積層板およびポリマーマトリクス材料を形成する方法である。織られたファブリックはEガラス繊維を含むヤーンを含む。改良点としては、ポリマーマトリクス材料と適合性のあるコーティングを有するEガラス繊維、ヤーンのグラム質量あたり約100,000グラム重より大きいエアジェット搬送抵抗力を有するヤーンが含まれる。詳細には上述されたように、ヤーンは、一分間あたり約274メートル(約300ヤード)の供給速度および約310キロパスカル(1平方インチあたり約45ポンド)ゲージの気圧で、ニードルエアジェットノズルユニットを用い、積層板は、1平方メートルあたり約3×107キログラム(約42.7kpsi)より大きいファブリックの充填方向の曲げ強度を有する。
【0122】
本発明の他の局面は、コーティングされたファブリックを形成するために、織られたファブリックをポリマーマトリクス材料でコーティングし、コーティングされたファブリックに熱を加えることによって、織られたファブリックの積層板およびポリマーマトリクス材料を形成する方法である。織られたファブリックは、Eガラス繊維を含むヤーンを含む。改良点としては、ポリマーマトリクス材料と適合性のあるコーティングを有するEガラス繊維が含まれ、コーティングは、(1)ポリエステルならびに(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマー、およびデンプンからなる群から選択された少なくとも1つのポリマーを含む。
【0123】
次に、本発明は、下記の特定の、且つ非限定的な例によって例示される。
【0124】
(実施例1)
上記にて詳細に説明した「エアジェット搬送抵抗力」試験方法を用いて、エアジェット織成プロセスと、いくつかの異なるヤーンサンプルとの適合性を測定した。
【0125】
本発明によるヤーンサンプルを、下記の表1Aに従って、マトリックス樹脂適合水性形成サイズ組成物A〜Fでコーティングし、「エアジェット搬送抵抗力」試験方法を用いて評価した。各組成物は、1重量パーセント未満の酢酸を含んでいた。各形成サイズ組成物は、約2.5重量パーセントの固形分を有した。コーティングされたガラス繊維ストランドの各々を、加撚してヤーンを形成し、従来の加撚装置を用いた類似の方法でボビンに巻取った。サンプルBvacを、水性形成サイズ組成物Bでコーティングし、ただし190°Fの温度で約46時間真空乾燥した。サンプルA〜Fの各々の強熱減量の値は、1重量パーセント未満であった。サンプルChiおよびDhiの強熱減量の値はそれぞれ、1.59重量パーセントと、1.66重量パーセントであった。
【0126】
【表6】


82Ohio,ColumbusのBorden Chemicalsから市販されている、RD−847Aポリエステル樹脂83Pittsburgh,PennsylvaniaのBayerから市販されている、DESMOPHEN2000 ポリエチレンアジペートジオール84Houston,TexasのShell Chemical Co.から市販されている、EPI−REZ(登録商標)3522−W−6685Houston,TexasのShell Chemical Co.から市販されている、EPON 82686Wayne,New JerseyのISP Chemicalsから市販されている、PVP K−30ポリビニルピロリドン87Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A187 γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン88Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A174 γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン89Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A−1100アミノ官能基化有機シランカップリング剤90Parsippany,New JerseyのBASF Corporationから市販されている、PLURONICTMF−108ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマー91Wayne,New JerseyのGAF Corporationから市販されている、IGEPAL CA−630エトキシル化オクチルフェノキシエタノール92General Mills Chemicals,Inc.から市販されている、VERSAMID 140 ポリアミド93Rhone−Poulencから市販されている、ALKAMULS EL−719ポリオキシエチル化植物油94Chicago,IllinoisのStepan Companyから市販されている、KESSCO PEG 600ポリエチレングリコールモノラウリン酸エステル95Parsippany,New JerseyのBASFから市販されている、MACOL NP−6ノニルフェノール界面活性剤96Kankakee,IllinoisのHenkel Corporationから市販されている、EMERY(登録商標)6717部分アミド化ポリエチレンイミン97Kankakee,IllinoisのHenkel Corporationから市販されている、EMERY(登録商標)6760潤滑剤98Danbury,ConnecticutのUnion Carbideから市販されている、POLYOX WSR−301ポリオキシエチレンポリマー99Lakewood,OhioのAdvanced Ceramics Corporationから市販されている、PolarTherm(登録商標)PT160窒化ホウ素粉末粒子100Oak Ridge,TennesseeのZYP Coatings,Inc.から市販されている、ORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONC窒化ホウ素粒子の水中分散物。
【0127】
また、市販サンプルとして、631および633 D−450のデンプン油コーティングされたヤーンと、690および695のデンプン油コーティングされたヤーンと、1383 G−75のヤーン(PPG Industries,Inc.から市販)、「エアジェット搬送抵抗力」試験方法を用いて評価した。また、各々が同じ水性形成組成物Xでコーティングされている3つの比較サンプルX1、X2およびX3を試験した。水性形成組成分Xについては、下記の図1Bにおいて説明されている。比較サンプルX1は、2.5重量パーセントの固形分を有した。比較サンプルX2は、4.9重量パーセントの固形分を有し、約8時間約25℃で空気乾燥した。比較サンプルX3は、4.6重量パーセントの固形分を有した。
【0128】
【表7】


101Columbus,OhioのBorden Chemicalsから市販されている、RD−847Aポリエステル樹脂102Pittsburgh,PennsylvaniaのBayerから市販されている、DESMOPHEN2000ポリエチレンアジペートジオール103Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A187 γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン104Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A174 γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン105Parsippany,New JerseyのBASF Corporationから市販されている、PLURONICTMF−108ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマー106General Mills Chemicals,Inc.から市販されている、VERSAMID 140ポリアミド107Parsippany,New JerseyのBASFから市販されている、MACOL NP−6ノニルフェノール界面活性剤108Danbury,ConnecticutのUnion Carbideから市販されている、POLYOX WSR−301ポリオキシエチレンポリマー。
【0129】
各ヤーンサンプルを、直径2ミリメートルの内部エアジェットチャンバと、20センチメータの長さを有するノズル状の流出チューブとを有するSulzer Ruti針状エアジェットノズルユニット(モデルNo.044 455 001)(Spartanburg,North CalolinaのSulzer Rutiから市販)を通じて、空気圧が310キロパスカルゲージ(1平方インチ当たり45ポンド)で、274メータ(300ヤード)/分の速度で供給した。張力計は、ヤーンがエアジェットノズルに入る前の位置で、ヤーンと接触させて配置した。張力計は、各ヤーンサンプルがエアジェットノズルに吸引される際に、エアジェットが各ヤーンサンプルに及ぼしたグラム重(抵抗力)の測定結果を堤供した。これらの数値を、下記の表1Cに説明する。
【0130】
【表8】


*デンプン油サイジング調合物でコーティングされているもの 上記の表1Cに示すように、本発明によるポリマーマトリックス材料適合性サイジンング組成物でコーティングされた各ヤーンは、100000よりも大きいエアジェット搬送抵抗力を有した。上記のポリマーマトリックス材料と概して適合しない、デンプン油でサイジングされた市販のストランドだけが、100000よりも大きいエアジェット搬送抵抗力を有した。ポリマーマトリックス適合性コーティングを有するサンプルヤーンChiおよびDhiは、ヤーンのコーティングレベルが高かったため、100000よりも小さいエアジェット搬送抵抗力を有した。すなわち、強熱減量は、約1.5%よりも大きく、これにより、エアジェットによるヤーンのフィラメント化が防がれた。
【0131】
積層板強度を評価するために、7628スタイルファブリック(上記で説明したスタイルパラメータ)を、695のサンプルと、サンプルBと、サンプルBvacG−75のヤーン(上記で説明した)のそれぞれから形成した。8プライ(plie)の各ファブリックサンプルを、EPON 1120−A80 エポキシ樹脂のFR−4樹脂システムと、ジシアンジアミドと、2−メチルイミダゾールと、DOWANOL PMとで積層し、積層板を形成した。
【0132】
各積層板を、IPC−4101セクション3.8.2.4に従ってエッチングにより金属被覆を完全に除去した状態で、Institute for Interconnecting and Packaging Electronicsの、ASTM D−790およびIPC−TM−650試験方法マニュアル(1994年12月)(本明細書中、同文献を参考のため援用する)による、曲げ強さ(最大破損応力)試験で評価した。さらに、積層板内のせん断強さ(ショートビームせん断強さ)について、15.9ミリメータ(5/8インチ)間隔と、ASTM D−2344(本明細書中、同文献を参考のため援用する)に従った1.27ミリメータ(0.05インチ)/分のクロスヘッド速度とを用いて、各積層板を評価した。これらの評価の結果を、下記の表1Dに示す。
【0133】
【表9】


図1Dに示すように、本発明に従って作製された積層板サンプルBおよびBvacは、695のデンプン油コーティングされたガラス繊維ヤーンから作製された積層板サンプルと比較すると、より高い曲げ強さおよび曲げ率値と、同等のショートビームせん断強さを有した。
【0134】
(実施例2)
積層板サンプルについて、積層板のz方向における、すなわち、積層板の厚さにわたる、熱膨張係数(”Z−CTE”)、を評価した。各サンプルは、コーティングされたヤーンのサンプルBvac(サンプルA)から作製された8枚の層でできた7628のスタイルファブリックと、695のデンプン油コーティングされたヤーン(上記にて説明している)(対照)とを含む。この積層板を、上記の実施例1にて説明しているFR−4エポキシ樹脂を用いて作製し、IPC試験方法2.4.41(本明細書中、同文献を参考のため援用する)に従って銅被覆した。各積層板サンプルについて、z方向における熱膨張係数を、IPC試験方法2.4.41に従って288℃で評価した。これらの評価の結果を、下記の表2に示す。
【0135】
【表10】


表2に示すように、本発明による積層板サンプルA1〜A3については、積層板のz方向における熱膨張係数は、695のデンプン油コーティングされたヤーンから作製された対照サンプル1および2の熱膨張係数よりも小さかった。
【0136】
(実施例3)
水性形成サイズ組成物A〜D(上記の実施例1の表1Aにて説明されている)と、比較サンプルNo.1とを、E−ガラス繊維ストランドにコーティングした。比較サンプルNo.1用の調合物については、下記の表3において説明されている。各形成サイジング組成物は、約2.5重量パーセントの固形分を有した。各コーティングされたガラス繊維ストランドを、加撚してヤーンを形成し、従来の加撚装置を用いた類似の方法でボビンに巻取った。
【0137】
【表11】


109Columbus,OhioのBorden Chemicalsから市販されている、RD−847Aポリエステル樹脂110Pittsburgh,PennsylvaniaのBayerから市販されている、DESMOPHEN2000 ポリエチレンアジペートジオール111Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A−187 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン112Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A174 γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン113Parsippany,New JerseyのBASF Corporationから市販されている、PLURONICTMF−108ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマー114General Mills Chemicals,Inc.から市販されている、VERSAMID 140 ポリアミド115Parsippany,New JerseyのBASFから市販されている、MACOL NP−6ノニルフェノール界面活性剤116Danbury,ConnecticutのUnion Carbideから市販されている、POLYOX WSR−301ポリオキシエチレンポリマー117市販されているガラス繊維ヤーン製品である、PPG Industries,Inc.の1383。
【0138】
サンプルA〜Dのヤーンと、比較サンプルNo.1と、比較サンプルNo.2117とを、強熱減量(LOI)、エアジェット適合性(空気抵抗)、摩擦力、および破断フィラメントなどの、いくつかの物理的特性について評価した。
【0139】
表4は、各サンプルを3回試行した結果の強熱減量(形成サイズ組成物の固形分を、ガラスと乾燥したサイジング組成物との全重量で割ったものの重量パーセント)の平均値を示す。
【0140】
各ヤーンを、チェックライン(checkline)張力計を通じて、(これにより張力をヤーンに与える)、さらに、直径2ミリメートルのRuti空気ノズルを通じて、空気圧が310kPa(一平方インチ当たり45ポンド)で、274メータ(300ヤード)/分の制御供給速度でヤーンを供給することにより、空気抵抗力または張力について評価した。
【0141】
また、一対の従来型の張力測定デバイスを通じて、サンプルを274メートル(300ヤード)/分の速度で引っ張る際に、約30グラムの張力を各ヤーンサンプルに与えることにより、これらのサンプルおよび比較サンプルを、摩擦力について評価した。これらの張力測定デバイスの間には、約5センチメートル(2インチ)直径の固定クロムポスト(chrome post)が装着されており、これにより、ヤーンは、張力測定デバイス間の直線路から約5センチメートル動かす。下記の表4は、グラムで力における相違を示す。この摩擦力試験は、織成操作中ヤーンにかかる摩擦力をシミュレートすることを意図している。
【0142】
また、各サンプルと、比較サンプルとを、磨耗試験機を用いてフィラメントの破断について評価した。各試験サンプルを磨耗試験機装置を通じて0.46メータ(18インチ)/分の速度で5分間引っ張る際に、200グラムの張力を、各試験サンプルに与えた。各サンプルおよび比較サンプルについて2回試験を行なって評価した。下記の図4は、破断したフィラメントの数の平均を示す。磨耗試験機は、鋼リードでできた、2本の平行な列からなり、各列は、約1インチ間隔をおいて配置されている。各試験ヤーンサンプルを、第一のリード列の2本の隣接するリード間に通し、次いで、第二のリード列の2本の隣接するリード間に通したが、これらのリード列の間において、1/2インチの距離だけ移動させた。これらのリードを、4インチの長さで、ヤーン移動の方向と平行に、240回/分の速度で前後に移動させた。下記の図4は、サンプルA〜Dおよび比較サンプルについての、空気抵抗力と、摩擦力と、摩耗下のフィラメントの破断との結果示す。
【0143】
【表12】


表4に示すように、本発明による窒化ホウ素を含んだサイジング組成物でコーティングされたサンプルAおよびサンプルBは、比較サンプルに比べて、フィラメントの破断が少なく、摩擦力が低く、空気抵抗値がより高かった。また、サンプルCおよびサンプルDも、比較サンプルに比べ、空気抵抗値がより高かった。この空気抵抗試験は、エアジェット推進によりヤーンを織機を通じて搬送するエアジェット織機のよこ糸挿入プロセスをシミュレートするよう意図された、相対的な試験である。エアジェットによるヤーンのフィラメント化がより容易になると、エアジェット推進のための表面積がより広くなり、これにより、ヤーンの織機を通じた移動が容易になり得り、生産性が上がる。サンプルA〜D(本発明に従って作製されたサンプル)の空気抵抗値は、比較サンプルの空気抵抗値よりも高い。これは、より優れたエアジェット適合性を示す。
【0144】
(実施例4)
表5に示す量の成分の各々を混合して、本発明による水性形成サイズ組成物E,F,GおよびHを形成し、比較サンプルを上記と同様の方法で形成した。各組成物に、全重量ベースで約1重量パーセント未満の酢酸を含ませた。
【0145】
表5の各水性形成サイズ組成物を、G−75 Eガラス繊維ストランドにコーティングした。各形成サイズ組成物の固形分は、約6〜約25重量パーセントであった。
【0146】
【表13】


118Houston,TexasのShell Chemicalから市販されている、EPON 826119Wayne,New JerseyのISP Chemicalsから市販されている、PVP K−30ポリビニルピロリドン120Rhone−Poulencから市販されている、ALKAMULS EL−719ポリオキシエチル化植物油121Wayne,New JerseyのGAF Corporationから市販されている、IGEPAL CA−630エトキシル化オクチルフェノキシエタノール122Chicago,IllinoisのStepan Companyから市販されている、KESSCO PEG 600ポリエチレングリコールモノラウリン酸エステル123Tarrytown,New YorkのOSi Specialities,Inc.から市販されている、A−187 γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン124Kankakee,IllinoisのHenkel Corporationから市販されている、EMERY(登録商標)6717部分アミド化ポリエチレンイミン125Birmingham,New JerseyのSybron Chemicalsから市販されている、Protolube HD 高密度ポリエチレン乳濁液126Lakewood,OhioのAdvanced Ceramics Corporationから市販されている、PolarTherm(登録商標)PT160窒化ホウ素粉末粒子127Oak Ridge,TennesseeのZYP Coatings,Inc.から市販されている、ORPAC BORON NITRIDE RELEASECOAT−CONC窒化ホウ素粒子の水中分散物。
【0147】
各コーティングされたガラス繊維ストランドを、加撚してヤーンを形成し、従来の加撚装置を用いた類似の方法でボビンに巻取った。サンプルFおよびHのヤーンは、加撚中、最小のサイジング開口を示し、サンプルEおよびGのヤーンは、加撚中、苛酷な状態の(severe)サイジング開口を示した。
【0148】
サンプルE〜Hのヤーンと、比較サンプルのヤーンとを、2つのボビンサンプルについての空気抵抗値を表6に示す圧力で測定した点以外は上記の実施例3と同様の方法で、空気抵抗について評価した。各ヤーンを、イギリスのSDL International Inc.から市販されているShirleyモデルNo.84 041Lフィラメント破断検出器を用いて、200メータ/分で、1200メータのヤーンあたりのフィラメントの破断の平均数について評価した。これらの値は、各ヤーンの4つのボビン上で行われた測定結果の平均を表す。フィラメントの破断値は、ボビン全体からとった一部で記録し、136グラム(3/10ポンド)と272グラム(6/10ポンド)のヤーンがボビンから解けた。
【0149】
また、各ヤーンを、ゲート張力試験について評価した。表6は、その結果を示す。ゲート張力試験方法に従って測定したフィラメントの破断数を、ヤーンサンプルをボビンから200メータ/分で解くことと、ヤーンを一続きの8つの平行なセセラミックピンを通すことと、ヤーンを上述のShirley破断フィラメント検出器中に通過させて破断したフィラメントの数を数えることとにより、測定する。
【0150】
【表14】


表6に示す試験結果は、本発明によるサンプルE〜Hが、比較サンプルに比べて、概してより高い摩耗抵抗を有したことを示しているように見えるが、サンプルE〜Hには存在していなかった比較サンプルのポリエチレン乳濁液成分が、ヤーンの摩耗特性に寄与した考えられるため、これらの結果は決定的ではないとと考えられる。
【0151】
上記の説明から、本発明は、プリント回路基板のための強化などの多様な用途において有用である、良好な曲げ強さおよび曲げ率と、z方向における熱膨張係数と、他の望ましい利点とを有する積層板を堤供することが分かり得る。
【0152】
上述の実施態様は、その広範な発明の概念から逸脱することなく、変更し得ることが当業者により理解される。従って、本発明は、添付の請求項により規定されるように、開示されている特定の実施態様に限定されるものではなく、本発明の精神および範囲に入る改変物を含むよう意図されるものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
上記の要旨ならびに好ましい実施態様の詳細な説明は、添付の図面と共に読めばより良く理解される。
【図1】
図1は、本発明による強化積層板の断面図である。
【図2】
図2は、本発明によるファブリックの上面図である。
【図3】
図3は、本発明による、コーティングされた繊維ストランドの斜視図である。
【図4】
図4は、本発明による電子支持体の断面図である。
【図5】
図5は、本発明による電子支持体の別の実施態様の断面図である。
【図6】
図6は、本発明による、ファブリックをアセンブルし、そして積層板を形成するための方法の模式図である。
【図6a】
図6aは、図6の一部分の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子支持体用の強化積層板であって、該積層板が、以下: (a)ポリマーマトリクス材料;ならびに (b)該ポリマーマトリクス材料に適合するコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含有するヤーンを含む織成強化ファブリックであって、該ヤーンは、約0.01〜約0.6重量%の範囲の強熱減量、およびヤーン1グラム質量あたり約100,000グラム重より大きいエアジェット搬送抵抗力を有し、該エアジェット搬送抵抗力は、2mmの直径を有する内部エアジェットチャンバーおよび20cmの長さを有するノズル出口チューブを備えるニードルエアジェットノズルユニットを使用して、約274m(約300ヤード)/分のヤーン送り速度、および約310キロパスカル(約45ポンド/平方インチ)ゲージの空気圧で評価し、ここで該積層板は、該ファブリックの充填方向において、約3×107キログラム/平方メートル(約42.7kpsi)より大きい曲げ強さを有する、織成強化ファブリック、を含む、強化積層板。
【請求項2】 前記ポリマーマトリクス材料が、熱硬化性マトリクス材料および熱可塑性マトリクス材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の強化積層板。
【請求項3】 前記ポリマーマトリクス材料が、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシド、フェノール樹脂、アミノプラスト、熱硬化性ポリウレタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの熱硬化性マトリクス材料を含む、請求項2に記載の強化積層板。
【請求項4】 前記熱硬化性マトリクス材料がエポキシドを含む、請求項3に記載の強化積層板。
【請求項5】 前記ポリマーマトリクス材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、ビニルポリマー、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリカルボネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの熱可塑性マトリクス材料を含む、請求項2に記載の強化積層板。
【請求項6】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の強化積層板。
【請求項7】 前記ガラス繊維の少なくとも1つがE−ガラス繊維である、請求項6に記載の強化積層板。
【請求項8】 前記ガラス繊維の少なくとも1つがE−ガラス誘導体繊維である、請求項6に記載の強化積層板。
【請求項9】 前記ファブリックの前記ガラス繊維上のコーティングが無機固体潤滑剤粒子を含む、請求項1に記載の強化積層板。
【請求項10】 前記コーティングの前記無機固体潤滑剤粒子が層状構造を有する、請求項9に記載の強化積層板。
【請求項11】 前記無機固体潤滑剤粒子が、非水和性無機固体潤滑剤粒子、水和性無機固体潤滑剤粒子およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの粒子を含む、請求項9に記載の強化積層板。
【請求項12】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、グラファイト、窒化ホウ素、金属ジカルコゲニド、ヨウ化カドミウム、硫化銀およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの粒子を含む、請求項11に記載の強化積層板。
【請求項13】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、六方晶構造の窒化ホウ素粒子を含む、請求項12に記載の強化積層板。
【請求項14】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、二硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、二硫化タンタル、二セレン化タンタル、二硫化タングステン、二セレン化タングステンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属ジカルコゲニドを含む、請求項12に記載の強化積層板。
【請求項15】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、インジウム、タリウム、スズ、銅、亜鉛、金、銀、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの粒子を含む、請求項11に記載の強化積層板。
【請求項16】 前記水和性無機固体潤滑剤粒子が層状ケイ酸塩を含む、請求項11に記載の強化積層板。
【請求項17】 前記層状ケイ酸塩が、マイカ、タルク、セッコウ、カオリナイト、モンモリロナイトおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの層状ケイ酸塩を含む、請求項16に記載の強化積層板。
【請求項18】 前記無機固体潤滑剤粒子の硬度の値が、前記E−ガラス繊維の硬度の値より小さいかまたはそれに等しい、請求項11に記載の強化積層板。
【請求項19】 前記ファブリックの前記ガラス繊維上の前記コーティングが、フィルム形成ポリマーを含む、請求項1に記載の強化積層板。
【請求項20】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、非ガラス性無機材料、天然材料、有機ポリマー材料およびそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維化可能材料から形成される、請求項1に記載の強化積層板。
【請求項21】 前記積層板が、前記ファブリックの充填方向において、約4.9×107kg/m2(約70kpsi)より大きい曲げ強さを有する、請求項1に記載の強化積層板。
【請求項22】 電子支持体用の強化積層板であって、該積層板が、以下: (a)ポリマーマトリクス材料;ならびに (b)該ポリマーマトリクス材料に適合するコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含有するヤーンを含む織成強化ファブリックであって、該コーティングが(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマーおよびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、織成強化ファブリック、を含む、強化積層板。
【請求項23】 前記ポリマーマトリクス材料が、熱硬化性マトリクス材料および熱可塑性マトリクス材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項22に記載の強化積層板。
【請求項24】 前記ポリマーマトリクス材料が、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシド、フェノール樹脂、アミノプラスト、熱硬化性ポリウレタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの熱硬化性マトリクス材料を含む、請求項23に記載の強化積層板。
【請求項25】 前記熱硬化性マトリクス材料がエポキシドを含む、請求項24に記載の強化積層板。
【請求項26】 前記ポリマーマトリクス材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、ビニルポリマー、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリカルボネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性マトリクス材料である、請求項23に記載の強化積層板。
【請求項27】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の強化積層板。
【請求項28】 前記ガラス繊維の少なくとも1つがE−ガラス繊維である、請求項27に記載の強化積層板。
【請求項29】 前記ガラス繊維の少なくとも1つがE−ガラス誘導体繊維である、請求項27に記載の強化積層板。
【請求項30】 前記ファブリックの前記ガラス繊維上の前記コーティングがさらに無機固体潤滑剤粒子を含む、請求項22に記載の強化積層板。
【請求項31】 前記コーティングの前記無機固体潤滑剤粒子が層状構造を有する、請求国30に記載の強化積層板。
【請求項32】 前記無機固体潤滑剤粒子が、非水和性無機固体潤滑剤粒子、水和性無機固体潤滑剤粒子およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの粒子を含む、請求項30に記載の強化積層板。
【請求項33】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、グラファイト、窒化ホウ素、金属ジカルコゲニド、ヨウ化カドミウム、硫化銀およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの粒子を含む、請求項32に記載の強化積層板。
【請求項34】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、六方晶構造の窒化ホウ素粒子を含む、請求項33に記載の強化積層板。
【請求項35】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、二硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、二硫化タンタル、二セレン化タンタル、二硫化タングステン、二セレン化タングステンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属ジカルコゲニドを含む、請求項33に記載の強化積層板。
【請求項36】 前記非水和性無機固体潤滑剤粒子が、インジウム、タリウム、スズ、銅、亜鉛、金、銀、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化亜鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの粒子を含む、請求項32に記載の強化積層板。
【請求項37】 前記水和性無機固体潤滑剤粒子が層状ケイ酸塩を含む、請求項32に記載の強化積層板。
【請求項38】 前記層状ケイ酸塩が、マイカ、タルク、セッコウ、カオリナイト、モンモリロナイトおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの層状ケイ酸塩を含む、請求項37に記載の強化積層板。
【請求項39】 前記無機固体潤滑剤粒子の硬度の値が、前記ガラス繊維の硬度の値より小さいかまたはそれと等しい、請求項30に記載の強化積層板。
【請求項40】 前記ファブリックの前記E−ガラス繊維上の前記コーティングがフィルム形成ポリマーを含む、請求項22に記載の強化積層板。
【請求項41】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、非ガラス無機材料、天然材料、有機ポリマー材料およびそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維化可能材料から形成される、請求項22に記載の強化積層板。
【請求項42】 前記ヤーンが、約0.01〜約0.6重量%の範囲の強熱減量、およびヤーン1グラム質量あたり約100,000グラム重より大きいエアジェット搬送抵抗力を有し、該エアジェット搬送抵抗力は、2mmの直径を有する内部エアジェットチャンバー、および20cmの長さを有するノズル出口チューブを備えるニードルエアジェットノズルユニットを使用して、約274m(約300ヤード)/分のヤーン送り速度、および約310キロパスカル(約45ポンド/平方インチ)ゲージの空気圧で評価される、請求項22に記載の強化積層板。
【請求項43】 前記積層板が、前記ファブリックの充填方向において、約3×107kg/m2(約42.7kpsi)より大きい曲げ強さを有する、請求項22に記載の強化積層板。
【請求項44】 電子支持体用の強化積層板であって、該積層板が、以下: (a)ポリマーマトリクス材料;ならびに (b)該ポリマーマトリクス材料に適合するコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含有するヤーンを含む織成強化ファブリックであって、該コーティングが(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマーを含む、織成強化ファブリック、を含む、強化積層板。
【請求項45】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項44に記載の強化積層板。
【請求項46】 電子回路基板であって、該電子回路基板が以下: (a)以下を備える電子支持体用の積層板: (i)ガラス繊維を含有するヤーンを含む織成ファブリックであって、該ヤーンは、約0.01〜約0.6重量%の範囲の強熱減量、およびヤーン1グラム質量あたり約100,000グラム重より大きいエアジェット搬送抵抗力を有し、該エアジェット搬送抵抗力は、2mmの直径を有する内部エアジェットチャンバーおよび20cmの長さを有するノズル出口チューブを備えるニードルエアジェットノズルユニットを使用して、約274m(約300ヤード)/分のヤーン送り速度、および約310キロパスカル(約45ポンド/平方インチ)ゲージの空気圧で評価され、ここで該積層板は、該ファブリックの充填方向において、約3×107キログラム/平方メートル(約42.7kpsi)より大きい曲げ強さを有する、織成ファブリック;および (ii)該ファブリックの少なくとも一部分に塗布されたポリマーマトリクス材料の層;ならびに (b)該積層板の選択された側の選択された位置に隣接して配置された電気伝導層、を備える、電子回路基板。
【請求項47】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項46に記載の電子回路基板。
【請求項48】 前記回路基板の少なくとも一部分を通って伸長する少なくとも1つの開口部をさらに備える、請求項46に記載の電子回路基板。
【請求項49】 前記回路基板が第1、第2または第3レベルパッケージである、請求項46に記載の電子回路基板。
【請求項50】 電子回路基板であって、該電子回路基板は、以下: (a)以下を備える電子支持体用の積層板: (i)少なくとも部分的にコーティングでコーティングされたガラス繊維を含有するヤーンを含む織成ファブリックであって、該コーティングが(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマーおよびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、織成ファブリック;および (ii)該ファブリックの少なくとも一部分に塗布されたポリマーマトリクス材料の層;ならびに (b)該積層板の選択された側の選択された部分に隣接して配置された電気伝導層、を備える、電子回路基板。
【請求項51】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項50に記載の電子回路基板。
【請求項52】 前記回路基板の少なくとも一部分を通って伸長する少なくとも1つの開口部をさらに備える、請求項50に記載の電子回路基板。
【請求項53】 前記回路基板が、第1、第2または第3レベルパッケージである、請求項50に記載の電子回路基板。
【請求項54】 電子回路基板であって、該電子回路基板が以下: (a)以下を備える電子支持体用の積層板: (i)以下を備える第1複合層: (1)ガラス繊維を含有するヤーンを含む織成ファブリックであって、該ヤーンは、約0.01〜約0.6重量%の範囲の強熱減量、およびヤーン1グラム質量あたり約100,000グラム重より大きいエアジェット搬送抵抗力を有し、該エアジェット搬送抵抗力は、2mmの直径を有する内部エアジェットチャンバーおよび20cmの長さを有するノズル出口チューブを備えるニードルエアジェットノズルユニットを使用して、約274m(約300ヤード)/分のヤーン送り速度、および約310キロパスカル(約45ポンド/平方インチ)ゲージの空気圧で評価され、ここで該積層板は、該ファブリックの充填方向において、約3×107キログラム/平方メートル(約42.7kpsi)より大きい曲げ強さを有する、織成ファブリック;および (2)該ファブリックの少なくとも一部分に塗布されたポリマーマトリクス材料の層;および (ii)該第1複合層とは異なる第2複合層;ならびに (b)該積層板の選択された側の選択された部分に隣接して配置された電気伝導層、を備える、電子回路基板。
【請求項55】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項54に記載の電子回路基板。
【請求項56】 前記回路基板の少なくとも一部分を通って伸長する少なくとも1つの開口部をさらに備える、請求項54に記載の電子回路基板。
【請求項57】 前記回路基板が、第1、第2または第3レベルパッケージである、請求項54に記載の電子回路基板。
【請求項58】 電子回路基板であって、該電子回路基板が以下: (a)以下を備える電子支持体用の積層板: (i)以下を備える第1複合層: (1)少なくとも部分的にコーティングでコーティングされたガラス繊維を含有するヤーンを含む織成ファブリックであって、該コーティングが(A)ポリエステル;および(B)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマーおよびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、織成ファブリック;および (2)該ファブリックの少なくとも一部分に塗布されたポリマーマトリクス材料の層;および (ii)該第1複合層とは異なる第2複合層;ならびに (b)該積層板の選択された側の選択された部分に隣接して配置された電気伝導層、を備える、電子回路基板。
【請求項59】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項58に記載の電子回路基板。
【請求項60】 前記回路基板の少なくとも一部分を通って伸長する少なくとも1つの開口部をさらに備える、請求項58に記載の電子回路基板。
【請求項61】 前記回路基板が、第1、第2または第3レベルパッケージである、請求項58に記載の電子回路基板。
【請求項62】 電子支持体用の銅で被覆された強化積層板であって、該積層板は、以下: (a)ポリマーマトリクス材料;および (b)一層以上の織成強化ファブリックであって、該層の各々が約30重量%と75重量%との間のヤーンを含み、該ヤーンがポリマーマトリクス材料と適合するコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含み、ここで該積層板は、288℃の温度にて約4.5%より小さいz方向の熱膨張係数を有する織成強化ファブリック、を備える、強化積層板。
【請求項63】 前記積層板が、288℃の温度にてz方向の、約1〜約4.5%の範囲の熱膨張係数を有する、請求項62に記載の積層板。
【請求項64】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項62に記載の積層板。
【請求項65】 前記回路基板の少なくとも一部分を通って伸長する少なくとも1つの開口部をさらに備える、請求項62に記載の積層板。
【請求項66】 前記回路基板が、第1、第2または第3レベルパッケージである、請求項62に記載の積層板。
【請求項67】 前記積層板が、8層の7628型織成ファブリックを含む、請求項62に記載の積層板。
【請求項68】 第1ヤーンを第2ヤーンと編み合わせてファブリックを形成することによってファブリックを組み立てる方法であって、ここで改良点は以下:該第1ヤーンがポリマーマトリクス材料に適合するコーティングで少なくとも部分的にコーティングされたガラス繊維を含むことであって、該コーティングは、(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマー、デンプンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマー、を含有すること、を含む、方法。
【請求項69】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】 織成ファブリックを少なくとも部分的にポリマーマトリクス材料でコーティングし、コーティングファブリックを形成し、そして該コーティングファブリックに熱を付与することによって該織成ファブリックおよび該ポリマーマトリクス材料の積層板を形成する方法であって、該織成ファブリックはガラス繊維を含有するヤーンを含み、ここで改良点は以下: 該ガラス繊維が、該ポリマーマトリクス材料に適合するコーティングで少なくとも部分的にコーティングされることであって、該ヤーンは、約0.01〜約0.6重量%の範囲の強熱減量、およびヤーン1グラム質量あたり約100,000グラム重より大きいエアジェット搬送抵抗力を有し、該エアジェット搬送抵抗力は、2mmの直径を有する内部エアジェットチャンバーおよび20cmの長さを有するノズル出口チューブを備えるニードルエアジェットノズルユニットを使用して、約274m(約300ヤード)/分のヤーン送り速度、および約310キロパスカル(約45ポンド/平方インチ)ゲージの空気圧で評価されること、ならびに該積層板が、該ファブリックの充填方向において、約3×107キログラム/平方メートル(約42.7kpsi)より大きい曲げ強さを有すること、を含む、方法。
【請求項71】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】 織成ファブリックを少なくとも部分的にポリマーマトリクス材料でコーティングし、コーティングファブリックを形成し、そして該コーティングファブリックに熱を付与することによって該織成ファブリックおよび該ポリマーマトリクス材料の積層板を形成する方法であって、該織成ファブリックはガラス繊維を含有するヤーンを含み、ここで改良点が以下: 該ガラス繊維が、ポリマーマトリクス材料に適合するコーティングで少なくとも部分的にコーティングされることであって、該コーティングは、(1)ポリエステル;および(2)ビニルピロリドンポリマー、ビニルアルコールポリマーおよびデンプンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー、を含有すること、を含む、方法。
【請求項73】 前記ガラス繊維の少なくとも1つが、E−ガラス繊維、D−ガラス繊維、S−ガラス繊維、Q−ガラス繊維、E−ガラス誘導体繊維およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図6a】
image rotate


【公表番号】特表2002−505216(P2002−505216A)
【公表日】平成14年2月19日(2002.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−534512(P2000−534512)
【出願日】平成11年2月25日(1999.2.25)
【国際出願番号】PCT/US99/04086
【国際公開番号】WO99/44959
【国際公開日】平成11年9月10日(1999.9.10)
【出願人】
【氏名又は名称】ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド
【Fターム(参考)】