説明

キトサン微粒子

【課題】化粧品、医用材料及びケミカル分野の素材として有用である、新規なキトサン微粒子を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の多価アニオンを粒子内に含有し、酸性領域及び中性領域において抗菌活性を有するキトサン微粒子、或いは、アニオン性の物質及びカチオン性の物質に対して吸着作用を有するキトサン微粒子、または、高い保湿作用を有するキトサン微粒子により構成する。
【効果】従来にない抗菌活性、吸着作用、高い保湿作用の少なくとも1つ以上を有する有用なキトサン微粒子が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、医用材料及びケミカル分野の素材として有用である、新規なキトサン微粒子及びその用途等に関する。
【0002】
一般に、キトサンは、キチンのN−脱アセチル化物で2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコースを1構成単位とする塩基性多糖であり、主として抗菌性、消臭作用、保湿作用を有することが知られており、その他に生体適合性、免疫賦活作用、植物生長促進作用、凝集作用、金属捕集作用などの性質を持つものである。キトサンは、これらの性質を利用して、近年種々の分野への応用が試みられている。
【0003】
このような特性を有するキトサン等の微粒子において、抗菌性については、従来のキトサン及びその誘導体はpH5.5から6.5の範囲で有効な抗菌性を示すが、pH7ではその抗菌活性を示さなくなることが知られている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
また、キトサン微小粒状体をセルロースビスコースに混合紡糸させた改質セルロース再生繊維の抗菌性、防臭性の技術(例えば、特許文献1参照)も知られているが、その抗菌性は、菌の増殖を減少させるもので、実施例より微小粒状体0.5%含有濃度で約50分の1、微小粒状体2%含有濃度で約130分の1、微小粒状体3%含有濃度で約300分の1に菌の増殖を減少させる効果のみであり、菌増殖を完全抑制するものではない点に課題がある。また、アンモニアの脱臭効果についても、脱臭率が最大で約70%と完全な脱臭(吸着除去)とはいえないものである。
【0004】
消臭性を有する微粒子については、例えば、塩基性多糖と反応性ビニル基を有する有機酸(塩)の重合体とからなる両性の多孔性微粒子のデオドラント剤等への利用(例えば、特許文献2参照)が知られているが、この両性の微粒子は、疎水性溶媒中で乳化、懸濁、重合させたもので、本発明の多価アニオンを静電的に結合させた微粒子とは物質的に異なると共に、疎水性溶媒を使用するため、生体への安全性面で充分とはいえないものである。
また、天然バイオマスであるキトサンそのものの利用価値を活かした、即ち共重合や化学修飾などを施さないキトサン微粒子で、アニオン性物質及びカチオン性物質の両方を吸着除去するものは知られていなかった。
【0005】
更に、保湿性を有する微粒子については、例えば、保湿性微粒子として、コハク酸セルロースビーズ(例えば、非特許文献4参照)が知られているが、その効果は充分(高い保湿作用)とはいえない点に課題がある。
また、3種のグルコサミン構成単位等の特定の比率となるキトサン誘導体を有効成分として含む保湿剤(例えば、特許文献3参照)も知られているが、微粒子形態に関する保湿の記載はなく、また、その効果は充分(高い保湿作用)とはいえない点に課題がある。
以上のように、従来のキトサン及びその誘導体は、抗菌性、消臭作用、保湿作用を有することが知られているが、抗菌性、消臭作用、保湿作用などの作用は未だ十分でなく、新たな特性の知見や新たな用途の拡大等の付加価値を高めるキトサン微粒子が得られていない点に課題があるのが現状である。
【非特許文献1】Biomacromolecules、4巻、6号、1457−1465頁(2003年)
【非特許文献2】Food Biotechnol.、5巻、45頁(1991年)
【非特許文献3】Carbohydr.Res.、340巻、1846−1851頁(2005年)
【特許文献1】特開平4−289211号公報(特許請求の範囲及び実施例等)
【特許文献2】特開平7−316203号公報(特許請求の範囲及び実施例等)
【非特許文献4】Journal of Applied PolymerScience、97巻、149−157頁(2005年)
【特許文献3】特開平5−331204号公報(特許請求の範囲及び実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、1)保湿性、抗菌性、消臭性に優れたキトサン微粒子製剤の提供、2)従来の酸性領域に加えpH7付近の中性領域においても抗菌活性を有するキトサン微粒子の提供、3)アニオン性物質に加えカチオン性物質に対しても吸着作用を有するキトサン微粒子の提供、4)従来にない高い保湿作用を有するキトサン微粒子の提供、5)上記抗菌活性、吸着作用及び高い保湿作用の2種以上の特性を有するキトサン微粒子の提供、並びに、6)これらのキトサン微粒子を用いた新たな用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来の課題及び現状を解決するために、鋭意検討した結果、キトサン微粒子の平均粒径を特定値未満とすることにより、また、キトサン微粒子内にアニオンの少なくとも1種を含有せしめることなどにより、上記目的のキトサン微粒子製剤、キトサン微粒子が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。更に、得られるキトサン微粒子の平均粒径を更に特定の範囲とすれば、更なる上記各特性を向上させることができるキトサン微粒子が得られることを見い出し、より好ましいキトサン微粒子を得るに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(18)に存する。
(1) 平均粒径3μm以下のキトサン微粒子を有効成分とすることを特徴とするキトサン微粒子製剤。
(2) キトサン微粒子製剤が保湿剤、抗菌剤、消臭剤の何れか一つである(1)記載のキトサン微粒子製剤。
(3) 化粧品に使用することを特徴とする(1)記載のキトサン微粒子製剤。
(4) 食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料として使用することを特徴とする(1)記載のキトサン微粒子製剤。
(5) 植物用の病害駆除剤として使用することを特徴とする(1)記載のキトサン微粒子製剤。
(6) 工業用の抗菌剤、消臭剤として使用することを特徴とする(1)記載のキトサン微粒子製剤。
(7) 医薬・医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭・消臭剤、治癒促進剤として使用することを特徴とする(1)記載のキトサン微粒子製剤。
(8) 少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有し、酸性領域及び中性領域において抗菌活性を有することを特徴とするキトサン微粒子。
(9) 少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有し、アニオン性の物質及びカチオン性の物質に対して吸着作用を有することを特徴とするキトサン微粒子。
(10) 少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有し、高い保湿作用を有することを特徴とするキトサン微粒子。
(11) (8)〜(10)の何れか一つに記載のアニオンが多価アニオンであることを特徴とするキトサン微粒子。
(12) イオン交換相分離法、透析工程を経てスプレードライにより粒子化する方法により製造したことを特徴とする(8)〜(11)の何れか一つに記載のキトサン微粒子。
(13) キトサン微粒子の平均粒径が3μm以下である(8)〜(12)の何れか一つに記載のキトサン微粒子。
(14) (8)〜(13)の何れか一つに記載のキトサン微粒子を含有することを特徴とする化粧品。
(15) (8)〜(13)の何れか一つに記載のキトサン微粒子を食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料として使用することを特徴とする食品用組成物。
(16) (8)〜(13)の何れか一つに記載のキトサン微粒子を植物用の病害駆除剤として使用することを特徴とする植物用病害駆除剤。
(17) (8)〜(13)の何れか一つに記載のキトサン微粒子を工業用の抗菌剤、消臭剤として使用することを特徴とする工業用組成物。
(18) (8)〜(13)の何れか一つに記載のキトサン微粒子を医薬・医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭・消臭剤、治癒促進剤として使用することを特徴とする医薬・医療用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来にない抗菌活性、吸着作用、高い保湿作用の少なくとも1つ以上を有する有用なキトサン微粒子製剤、キトサン微粒子が提供される。
また、これらの特性を利用したキトサン微粒子を含有した化粧品、食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料として使用することができる食品用組成物、植物用の病害駆除剤として使用することができる植物用病害駆除剤、工業用の抗菌剤、消臭剤として使用することができる工業用組成物、医薬・医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭剤、治癒促進剤として使用することができる医薬・医療用組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の最良の実施形態を発明ごとに詳しく説明する。
本発明のキトサン微粒子製剤は、平均粒径3μm以下のキトサン微粒子を有効成分とすることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のキトサン微粒子製剤では、平均粒径3μm以下のキトサン微粒子を有効成分とすることにより、極めて優れた抗菌活性、吸着作用、並びに、高い保湿作用の少なくとも1つ以上を有するものとなる。
従来においても、平均粒径が大きい、例えば、5μm以上のキトサン微粒子においても抗菌活性、吸着作用、保湿作用が若干あることが知られているが、本発明は、その抗菌活性、吸着作用、保湿作用が極めて優れたものとなるものである。
本発明において、上記各特性を有する平均粒径3μm以下のキトサン微粒子製剤は、平均粒径が小さいほどその作用を更に発揮するものとなり、好ましくは、300nm〜3μm、特に好ましくは、300nm〜1μmとなるものが望ましい。
【0011】
このような特性を有する平均粒径3μm以下のキトサン微粒子を得る方法としては、特に限定されず、例えば、後述するイオン交換相分離法により、また、キトサンを懸濁蒸発法、超臨界炭酸ガス法、粉砕法等により調製することができ、好ましくは、イオン交換相分離法が望ましい。
このように構成されるキトサン微粒子製剤は、保湿剤、抗菌剤、消臭剤として用いることができ、また、化粧品として使用、食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料として使用、植物用の病害駆除剤として使用、工業用の抗菌剤、消臭剤として使用、並びに、医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭剤、治癒促進剤として使用することができる。
平均粒径3μm以下のキトサン微粒子の含有量は、各用途ごとにより異なるものであり、平均粒径3μm以下のキトサン微粒子の作用等が好適に発現できる量であればよく、通常、全量中に0.001〜80重量%程度で、好ましくは0.006〜50重量%、特に好ましくは0.02〜30重量%であり、例えば、抗菌剤では、通常、分散状態において静菌性のある濃度として0.006重量%以上、分散状態において抗菌性のある濃度として0.025重量%以上、固体中でも抗菌性のある濃度として0.5重量%以上とすることができ、上限は、50重量%程度である。
また、保湿剤・消臭剤では、通常、全量中に0.01〜80重量%程度で、好ましくは、0.1〜50重量%、特に好ましくは、0.5〜30重量%である。
【0012】
次に、本発明のキトサン微粒子は、少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有し、1)酸性領域及び中性領域において抗菌活性を有すること、2)アニオン性の物質及びカチオン性の物質に対して吸着作用を有すること、3)高い保湿作用を有することの上記1)〜3)の少なくとも1つ以上の特性を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明において、「少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有」するとは、粒子化したキトサンについてその分子内アミノ基に1種以上の1価若しくは多価のアニオンが静電的相互作用で結合していることを意味している。
その静電的相互作用による結合の1つで、主に考えられるものとしては、1価若しくは多価のアニオンがアミノ基1つと静電的に結合しマイナス荷電している状態、若しくは、多価アニオンが同分子内又は分子間アミノ基2つと静電的に結合している状態(所謂イオン的な結合)を示すものである。この様な状態のキトサン微粒子は、1価若しくは多価のアニオンによるイオン交換を利用した微粒子化法(「イオン交換相分離法」という)、若しくは、その他種々の方法により得たキトサン微粒子に多価アニオンを静電的に結合させる方法で得ることができる。
また、その他の静電的相互作用による結合としては、電子が分極(電子の密度について高い部分と低い部分が存在)した官能基等であるアニオン(例えば、カルボキシル基等)がキトサン分子内の同様に電子分極した部分(アミノ基、水酸基など)と静電的に結合し、周囲の雰囲気が負や陽に帯電している状態も推察される。この様な状態のキトサン微粒子は、乳酸や酢酸に代表される有機酸などの酸で溶解したキトサン溶液をフロー式膜透析装置や透析チューブなどを用いて過剰に存在する酸分子を極限若しくは適度に除去した後にスプレードライする粒子化方法により得ることができる。
また、1価若しくは多価のアニオンの粒子内の含有量については、アミノ基1molに対して、0.05〜0.95molである。この含有量が0.05mol未満であると、アニオン性が弱く本発明の機能性が発現せず、一方、0.95molを超すとカチオン性が弱く本発明の機能性が発現しない。好ましくは、アミノ基1molに対して0.1〜0.7mol、特に好ましくは、0.15〜0.45molである。
この特性を有するキトサン微粒子が何故上記各特性(酸性領域及び中性領域において抗菌活性、アニオン性の物質及びカチオン性の物質に対して吸着作用、高い保湿作用)を有するものとなるかは、以下のように推察される。
(1)キトサン粒子の抗菌活性は、従来、酸性領域(pH6.5未満)において知られていたが、本発明では、中性領域(pH6.5〜7.1)においても抗菌活性を有するものである。これは、キトサン元来の抗菌作用であるプラス荷電した分子内アミノ基によるマイナス荷電の菌細胞膜表面を中和攪乱させる効果に加え、接触面積の増大、分散性の向上を伴う微粒子効果によるものと推察される。また、微粒子がマイナスの荷電性(若しくは帯電)を持つことも関与していると推察される。
また、この抗菌活性における菌種としては、大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑濃菌、及び一般な腐敗細菌等を挙げることができる。また、カンジダ等の酵母やクロコウジカビ等のカビ、糸状菌への抗菌活性も期待できるものである。
なお、「抗菌活性」とは、対象菌の生育を完全に抑制する効果をいう。
【0014】
(2)キトサン粒子の吸着作用は、従来、アニオン性の物質に対して吸着作用を有することが知られていたが、本発明では、カチオン性の物質においても吸着作用を有するものである。これは、本発明のキトサン微粒子が、プラスとマイナス荷電(若しくは帯電)を有する両性電解質高分子である故に、種々の物質を静電的に引きつけ、更には静電的及び物理的に吸着し、気相内・液相内の物質量を減少せしめる作用によるものと推察される。
吸着対象となる物質としては、例えば、異臭等を有するアンモニア、アルキルアミン、酢酸、イソ吉草酸、硫化水素等を挙げることができる。
(3)キトサン粒子の保湿作用は、従来、溶解状態のキトサンは保湿性を有するものの粒子状態の固体となるとその保湿性は低下するものと認識されていたが、本発明では、従来にない保湿作用、具体的には、コハク酸セルロースビーズ等に代表される既存の保湿性微粒子の保湿能力を超す高い保湿作用を有するものである。これは、細孔による物理的な吸着と分子内の酸素、窒素及び硫黄等の電子極性に優れた原子との水素結合による水への束縛効果によるものと推察される。
なお、「高い保湿作用」とは、固体状態において、90%、40℃の条件下で最低でも、自重の0.2倍の水分を保持する作用をいう。
【0015】
本発明において、上記各特性を有するキトサン微粒子は、平均粒径が小さいほどその特異的作用を更に発揮するものとなり、好ましくは、3μm以下、更に好ましくは、300nm〜3μm、特に好ましくは、300nm〜1μmとなるものが望ましい。
なお、平均粒径が3μm以上300μm以下のものであっても上記各特性を有するキトサン微粒子が得られるものであるが、上記各特性の更なる発揮、接触面積の増大、分散性の向上を伴う微粒子効果の点から、好ましくは、3μm以下のものが望ましい。
【0016】
このような特性を有するキトサン微粒子を得る方法としては、例えば、イオン交換相分離法により、キトサン分子を多価アニオンの静電的相互作用で架橋させ、少なくとも1種の1価若しくは多価のアニオンを粒子内に含有するキトサン微粒子を、溶解状のキトサンより直接得ることができる。また、透析工程を経てスプレードライにより粒子化する方法により、キトサン分子を造粒するとともに、少なくとも1種の1価若しくは多価のアニオンを粒子内に含有するキトサン微粒子を、溶解状のキトサンより直接得ることができる。更には、キトサンを懸濁蒸発法、超臨界炭酸ガス法、粉砕法等で粒子化した後、1価若しくは多価のアニオンを含む電解液で処理する方法等で、キトサン分子のアミノ基に1価若しくは多価のアニオンを静電的相互作用で結合させることなどにより得ることができ、好ましくは、製造効率、サブミクロサイズの粒子化が有利に行える点から、イオン交換相分離法と透析工程を経てスプレードライにより粒子化する方法が望ましい。
本発明において、イオン交換相分離法としては、例えば、キトサンを、酸溶媒によって溶解(会合が解かれた状態)させて得たキトサン溶液を、分散媒、好ましくは、所要量以上とされた特定の分散媒に対して、滴下、好ましくは、所要の速度以下となるように滴下し、更に該キトサン溶液と分散媒との混合溶液から、該キトサンの溶解を達成し、系内に過剰に存在する水素イオンを除去することで、その粒径が3μm以下となり、しかも、任意の数値に制御可能としたキトサン微粒子を得る方法等が挙げられる。
なお、使用するキトサンは、その重量平均分子量(以下、単に「平均分子量」という)によって会合をなした場合の平均粒径が、該平均分子量の増加に伴って大きくなると考えられる。本発明では、その平均分子量が600,000以下、好ましくは、平均分子量が400,000以下程度のキトサン、更に好ましくは、平均分子量が60,000〜400,000を使用することが望ましい。
【0017】
用いる分散媒としては、一価又は二価以上のアニオンの金属塩水溶液(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩よりなる群より選んだ少なくとも一種とを含む水溶液)、若しくは、二価以上のアニオンの金属塩の少なくとも一種と塩化物イオンの金属塩の少なくとも一種とを含む水溶液を使用することで、その平均粒径が3μm以下、特に1μm未満となるナノ(nm)オーダレベルとされたキトサン微粒子を得ることができる。
なお、キトサンは、ピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類である。
【0018】
具体的には、キトサン微粒子の製造は、原料となるキトサンと特定の酸溶媒とを混合・溶解させてキトサン溶液を得る溶解工程と、キトサン溶液を所定の速度範囲で、所定量以上の特定の分散媒に滴下(制御された速度によって、徐々に供給することを意味する)して、後述するsea−island効果を発現させ、会合状態となった際に所要粒径のキトサン微粒子を形成するだけの量となるように、会合が解かれた状態のキトサンを区分して粒子化する滴下工程と、該キトサン溶液と分散媒との混合溶液から、少なくとも系内に存在し、該キトサンの溶解をなしている過剰な水素イオンを除去して、該滴下工程で得るべきキトサン粒子の粒径に対応して、例えば、球状に区分されたキトサンを会合状態する析出工程、並びに、乾燥工程とから基本的に構成される。
【0019】
前記溶解工程は、キトサン及び酸溶媒を混合して充分に攪拌することで、該キトサンを溶解させてキトサン微粒子を形成する基となるキトサン溶液とする工程である。この溶解工程の実施によって、会合状態にあったキトサンは、該キトサンをなす分子(以下、単に「分子」という)内及び分子間の水素結合による会合が解かれた状態、すなわち、溶解状態とされる。
なお、本溶解工程については、室温での溶解が困難な場合には、適宜、キトサンが溶解する程度の温度まで加熱すればよい。また、キトサンを溶解させた後、不溶解分については濾過等の任意の手段で除去してもよい。
キトサンの濃度は、特に限定されないが、通常、ハンドリング等の点から、0.1〜30重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、0.5〜10重量%が望ましい。
【0020】
前記酸溶媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸または安息香酸等の水溶性有機酸や、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられ、具体的には、アニオン性基を分子内に少なくとも一個もった有機酸、或いは塩酸または硝酸等の一価アニオンの無機酸が、単独または2種以上組み合わせて適宜使用される。
これらの酸は水溶液として使用されるため、例えば、乳酸等のようにその性状が固体の場合には、水等の溶媒に溶解させることで使用される。また、後述するsea−island効果をより効率的に発現させるため、好ましい酸としては、その溶液とした際に粘性を発現する乳酸等の使用が好ましい。
また、前記酸溶媒については、その濃度は特に限定されない。しかし、前述の如く、混合されるキトサンの水酸基等に由来する分子内及び分子間の水素結合を阻害して、キトサンを溶解させる程度の水素イオンの供給が可能とされる、通常で、0.1〜30重量%、好ましくは、0.5〜10重量%の範囲内が望ましい。また、酸溶媒の選択は、キトサンの溶解及び析出(会合)に大きな影響を与えるが、この点については後述する。
【0021】
前記滴下工程は、キトサン溶液を制御下に分散媒に滴下することで、混合溶液としつつsea−island効果を発現させ、これにより該分散媒中に会合状態となった際に所要粒径のキトサン微粒子を形成するだけの量とし得るように、会合が解かれた状態となっているキトサンを所要量毎に分散させる工程である。
具体的には、滴下工程は、分散媒内にキトサン溶液を滴下して、これを該分散媒内で微小液滴とする滴下段階と、キトサン溶液の全量を分散媒に滴下して、該分散媒内に存在する該キトサン溶液の微小液滴の合一によって、所要の大きさとする合一段階とからなる。
ここで、上記「sea−island効果」とは、一方が多量成分であり、他方が少量成分である二成分系が存在する場合、多量成分間中に存在する少量成分は、該多量成分が連続相に移行しようとする力を駆動力として、徐々に小さな塊に分かれて小さくなろうとする現象である。
従って、このイオン交換相分離法では、充分に多量にある分散媒に対して、少量のキトサン溶液を加えれば、該キトサン溶液がこの効果によって、自律的により小さな塊へと変化し続けることになる。そして分散媒及びキトサン溶液の夫々の総量の比率や、粘度その他諸物性によって決定される最小の大きさに至ることになる。
【0022】
好ましくは、上記sea−island効果を好適になすために、前記分散媒へのキトサン溶液の滴下は、好ましくは、1.0ml/秒以下、更に好ましくは、0.5ml/秒以下、特に好ましくは、0.2ml/秒以下に設定することが望ましい。
この値が1.0ml/秒を超えると、前記キトサン溶液が滴下される分散媒の局所部位において、該キトサン溶液が大量に存在する状態となって、sea−island効果の好適に発現しなくなってしまう。そしてこのsea−island効果の発現によって、前記滴下段階が進行・完了する。
前記分散媒の量は、前記キトサン溶液の全量の滴下が完了するまで、前述のsea−island効果を継続的に発現させるため、該キトサン溶液100体積部に対して、100体積部以上、好ましくは400体積部以上、更に好ましくは700体積部以上、特に好ましくは800〜1,500体積部に設定されている。この数値が100体積部未満であると、前記キトサン溶の分散媒内での存在量が、該キトサン溶液の滴下進行に伴って増大して、該キトサン溶液の好適な微小液滴化が困難となり、キトサン微粒子における特に1μm未満の粒径が達成困難となってしまう。
なお、本発明においては、滴下の実施形態については、特に制限されるものではなく、製造の効率化を図る目的で、複数箇所での滴下も有効、例えば、1箇所での滴下の速度を0.5ml/秒の場合では、10〜1,000箇所での滴下も有効であり、上記sea−island効果を好適になすことができるように、上記滴下の流速(1.0ml/秒以下)と、滴下箇所の数とを適宜調整して好適に実施することができる。また、噴霧状の該キトサン溶液を分散媒に投入する方式も可能である。
【0023】
上記滴下工程における合一段階は、その全量が分散媒内に存在しているキトサン溶液の微小液滴が、互いに衝突し合って合一することにより、その大きさを増大させる段階である。
この段階で最終的に到達する前記キトサン溶液の液滴の大きさは、基本的にsea−island効果によって微小化しようとする力と、前記分散媒内に存在する量によって変動する衝突回数との平衡によって決定される。これは、前記分散媒に対して滴下するキトサン溶液の量と、該キトサン溶液の該分散媒内での液滴の大きさとは比例すること、すなわち、該分散媒に滴下するキトサン溶液の総量によって、得られるキトサン微粒子の大きさを制御し得ることを意味する。
【0024】
この滴下工程で使用される分散媒としては、(a)一価又は二価以上のアニオンの金属塩水溶液(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩よりなる群より選んだ少なくとも一種とを含む水溶液)、若しくは、(b)二価以上のアニオンの金属塩の少なくとも一種と塩化物イオンの金属塩の少なくとも一種とを含む水溶液が使用される。そして、これらは、夫々キトサン溶液へ与える作用が異なるため、以下に分説する。
キトサンは、基本的に単糖類であるグルコサミンが、グリコシド結合によって連続した高分子であり、最小単位である該グルコサミン中には水酸基とアミノ基とが存在している。そして(1)水酸基のO(δ−)とH(δ+)との分極による水素結合と、(2)プラスに荷電したアミノ基同士の、アニオンを介したイオン結合とによって、分子内及び/または分子間の会合状態(度合い)が決定されている。そして、その会合の度合いが一定値以上(大きい)となると、水に対して不溶化して析出し、一定値未満(小さい)となると、水に対して溶解することになる。ここで複数のアミノ基を結合させるためには、少なくとも電荷が−2以上となるアニオン、例えば、硫酸イオン等の二価以上のアニオンの介在が必要となる。
【0025】
上記一価のアニオンが存在する分散媒にキトサン溶液を滴下すると、基本的に水素結合を阻害してキトサンの会合度合いを低下させた酸溶媒Aに由来する水素イオンの量が減少するため、該水素結合が回復して、その結果、該会合度合いが大きくなると共に、前記分散媒DS中で電離することになる一価のアニオンが、水素イオンと結合するため、更にキトサンの会合度合いは大きくなりキトサンが析出するものとなる。なお、一価のアニオンはアミノ基と結合するが、この場合、該アニオンの電荷は−1であるため、1つのアミノ基とだけ結合して、他のアミノ基との結合はなさないため、会合度合いが変動することはない。
【0026】
上記二価以上のアニオンが存在する分散媒にキトサン溶液を滴下すると、一つの作用として、基本的に水素結合を阻害してキトサンの会合度合いを低下させていた酸溶媒由来の水素イオン量が、分散による希釈とアニオンとの結合にともない減少することで該水素結合が回復して、その結果、該会合度合いが大きくなり、キトサンが析出する。その作用に加え、更に、二価以上のアニオンが複数のアミノ基の間に存在し、該アミノ基を介して多価アニオンのコンプレックスが生成されるため、よりキトサンの会合度合いが大きくなる。
このように、二価以上のアニオンの水溶液を分散媒として使用する場合、会合度合いを大きくする複数の作用が働くために粒子の大きさ(粒径)が増大する傾向にあり、ナノサイズオーダー微粒子の製造を試みようとすると、sea−island効果を最大限に発現させる必要があり、該分散媒に滴下するキトサン溶液の滴下総量及び滴下速度が制限されることとなる。
【0027】
この際、二価以上のアニオンのマグネシウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩よりなる群より選んだ少なくとも一種を含む水溶液、例えば、硫酸、リン酸、ホウ酸のマグネシウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩の少なくとも1種を含む水溶液を分散媒として使用した場合は、マグネシウムイオン、鉄イオン、銅イオン、亜鉛イオンのキレート作用によりキトサン分子間の会合度合い(機会)が調節されるため、前述のキトサン溶液の滴下総量及び滴下速度の制限が緩やかとなる。
上記一価又は二価以上のアニオンのマグネシウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩等の水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常、粒子の生成率とコストの点から、0.1〜5重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、0.2〜3重量%が望ましい。
【0028】
また、上記二価以上のアニオンの金属塩の少なくとも一種と塩化物イオンの金属塩の少なくとも一種とを含む水溶液を分散媒として使用した場合は、共存する塩化物イオンが1つのアミノ基のみ結合し、アミノ基を介した多価アニオンのコンプレックス生成が調節されるため、前述の多糖類溶液MAqの滴下総量及び滴下速度の制限が緩やかとなる。
上記二価以上のアニオンの金属塩としては、例えば、硫酸、リン酸、ホウ酸のナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、マグネシウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩の少なくとも1種が挙げられる。また、塩化物イオンの金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化銀などの塩化物イオンの金属塩の少なくとも一種が挙げられる。
【0029】
上記における二価以上のアニオンの金属塩及び塩化物イオンの金属塩の水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常、粒子の生成率とコストの点から、二価以上のアニオンの金属塩で0.1〜5重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、0.2〜3重量%が望ましく、また、塩化物イオンの金属塩で0.05〜10重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、0.1〜3重量%が望ましい。
【0030】
また、前述の如く、そのアニオンの価数がキトサン微粒子の粒径に大きな影響を与えるのと同様に、先の溶解工程で使用される酸溶媒の種類も、キトサンの析出に殊に大きな影響を及ぼしている。すなわち、酸溶媒として、例えば、二価のアニオンである硫酸イオンを備える硫酸を使用する場合、キトサンを混合しても全く溶解しないと考えられる。
これは、水素イオンによる水素結合の阻害に由来する会合状態の解除によって発現する溶解量よりも、複数のアミノ基とのコンプクレックス生成に由来して発現する会合量の方が大きいためである。このようにより微細なキトサン微粒子の製造を考える場合、一価のアニオンの酸や金属塩の使用が好ましい。なお、前述の酸におけるアニオンの価数については、その数字だけでなく、酸解離定数(pKa)も重要な指標となる。具体的に、pKaが低い硫酸の如き無機酸の場合は、前述の如く、酸溶媒Aとしての使用に向かない。これに対して、同じ無機酸であっても炭酸またはリン酸や、各種有機酸等のpKaの高い物質は採用可能である。
【0031】
前記析出工程は、混合溶液中に存在し、キトサンの会合を阻害する要因となっている、水素イオン或いは水素イオン及びアニオン(以下、「会合阻害物質」という)を除去し、該キトサンを会合・析出させる工程である。
本析出工程は、混合溶液中から会合阻害物質を除去し得る方法であれば、公知の如何なる方法でも採用可能である。しかし、混合溶液中から会合阻害物質を除去するまでは、キトサンの会合、すなわち、析出は完全ではないため、その粒径が変動してしまう虞がある。
【0032】
従って、物理的な力を加える、例えば、濾過またはデカンテーションや、sea−island効果に影響を及ぼす混合溶液からの水分等、特定成分だけの除去は好ましくない。そのため、前記会合阻害物質だけを除去可能な、透析膜等の使用が好適である。また余りにその透析速度が大きな場合には、キトサンの会合に影響を与える各物質の移動させる駆動力となってしまうため、その速度も1.0ml/秒以下、好ましくは、0.5ml/秒以下、特に好ましくは、0.2ml/秒以下であることが好ましい。なお、下限値は、透析膜を使用の場合は、0.05ml/秒以上である。
【0033】
この滴下によるイオン交換相分離法では、(1)sea−island効果によって、原料的な観点からキトサン微粒子の微粒子化を可能とし、(2)更にキトサン溶液の分散媒への滴下量の調整によって、同じく原料的な観点からキトサン微粒子の粒径制御を可能とし、(3)最終的にキトサンの会合状態を制御することで、方法的な観点から上記各特性となるキトサン微粒子の微粒子化および粒径制御を可能としている。
また、上記多価アニオンの金属塩を用いた場合には、これらのアニオンが介する会合へのマグネシウムイオン、鉄イオン、銅イオン、亜鉛イオンのキレート作用、若しくは、塩化物イオンの作用、上記sea−island効果によって、キトサン微粒子の微粒子化(平均粒径5μm未満、特に1μ以下のナノサイズオーダー)を可能とし、最終的にキトサンの会合状態を制御することで、方法的な観点から上記各特性が更に向上したキトサン微粒子の微粒子化及び粒径制御を可能としている。
【0034】
また、本実施形態のように、キトサンを使用する場合、その会合度合いを決定する1つの要因であるアミノ基へのアニオンの結合は、該キトサンの高い化学的活性を阻害してしまう。従って、キトサンの使用時において前記アミノ基からアニオンが解離していることが望まれる。このため前記酸溶媒としては、アニオンが塩化物イオンであると共に、pKaの高い塩酸等を使用することが好ましい。
また、このように塩素等のハロゲン化物を用いる場合、その使用時においてはアミノ基と塩素との電離生成物であるアンモニウムイオンとハロゲン化物(塩素)イオンとが中和して、電荷的に中性になる。このため、これまで同様の使用において酸性を呈していたキトサン(溶液)に比較して、その使用用途を格段に拡げることが可能となっている。
更に得られたキトサン微粒子を乾燥工程、例えば、スプレードライ法、凍結乾燥法、減圧乾燥法等の一般的な方法により乾燥してもよいものである。
【0035】
本発明において、透析工程を経てスプレードライにより粒子化する方法は、上記イオン交換相分離法の説明と同様なキトサン・酸溶媒の種類、及び溶解条件を選択して得られるキトサン溶液について、過剰に存在する酸分子を極限若しくは適度に除去する目的で行う透析工程を経て得られるキトサンの精製溶液を、スプレードライ装置により造粒・乾燥するものである。
なお、「過剰な酸分子」とは、キトサンの溶解の際には必要となるが、一度溶解状態となりキトサンの溶解維持には関与しない「キトサン分子に対して遊離した状態の酸分子」をいう。一方、キトサン分子と会合状態の酸分子により、キトサンの溶解状態が維持されているものと推察される。
酸溶媒としては、例えば、カルボキシル基等の官能基を有する有機酸が好ましく、更に好ましいのは酢酸、乳酸である。乳酸は、カルボキシル基の他水酸基も併せ持ち、電子分極性に優れている点で特に好ましい。
また、透析工程としては、例えば、フロー式膜透析装置や透析チューブなどを挙げることができるが、過剰な酸分子の除去を効率良く、且つ、適当条件から極限まで調整可能な方法として、フロー式膜透析装置を用いた定容加水ろ過方式(ダイアフィルトレーション方式)が好ましい。
スプレードライ装置としては、例えば、二流体ノズル方式、ディスク型遠心噴霧方式等を利用した装置が挙げられる。
【0036】
本発明のキトサン微粒子は、少なくとも1種の多価アニオンを粒子内に含有し、1)酸性領域及び中性領域において抗菌活性を有すること、2)アニオン性の物質及びカチオン性の物質に対して吸着作用を有すること、3)高い保湿作用を有することの上記1)〜3)の少なくとも1つ以上の特性(各単独の特性、上記抗菌活性と上記吸着作用、上記抗菌活性と上記吸着作用、上記吸着作用と高い保湿作用、並びにこれらの3つの特性)を有するものとなる。
従って、本発明のキトサン微粒子は、従来にない上記抗菌活性と吸着作用及び高い保湿作用の少なくとも1つ以上を有するので、1)該キトサン微粒子を含有することを特徴とするフェイシャル化粧品、メークアップ化粧品、ボディー化粧品、頭髪化粧品、フレグランス、ファンデーション、保湿クリーム、シャンプー、リンス、乳液、消臭剤等の化粧料の防腐防黴剤、保湿剤、消臭剤、スキンケア剤、毛髪改善剤の化粧品、2)上記キトサン微粒子を生鮮食品や加工食品の食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料として使用することを特徴とする食品用組成物、3)上記キトサン微粒子を海藻や農作物等の植物用の病害駆除剤として使用することを特徴とする植物用病害駆除剤、4)該キトサン微粒子を繊維、紙、プラスチック、建材等の工業用の抗菌剤、消臭剤として使用することを特徴とする工業用組成物、5)該キトサン微粒子を口腔衛生品、腋臭防止剤等の皮膚外用剤、創傷被覆、薬の徐放剤、傷洗浄剤、人体洗浄剤、絆創膏等の医薬・医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭剤、治癒促進剤として使用することを特徴とする医薬・医療用組成物として各々好適に適用することができる。
【0037】
キトサン微粒子の含有量は、各用途ごとにより異なるものであり、本発明のキトサン微粒子の作用等が好適に発現できる量であればよく、通常、全量中に0.001〜80重量%程度で、好ましくは0.006〜50重量%、特に好ましくは0.02〜30重量%であり、例えば、抗菌剤では、通常、分散状態において静菌性のある濃度として0.006重量%以上、分散状態において抗菌性のある濃度として0.025重量%以上、固体中でも抗菌性のある濃度として0.5重量%以上とすることができ、上限は、50重量%程度である。
また、保湿剤・吸着剤では、通常、全量中に0.01〜80重量%程度で、好ましくは、0.1〜50重量%、特に好ましくは、0.5〜30重量%である。
【0038】
このように構成される本発明のキトサン微粒子は、従来にない抗菌活性、吸着作用、高い保湿作用の少なくとも1つ以上を有するキトサン微粒子が得られると共に、これらの特性を利用した食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料としての用途、植物用病害駆除剤としての用途、化粧品としての用途、衣料用の抗菌剤、消臭剤として用途、医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭剤、治癒促進剤として用途等に適用できる有用なキトサン微粒子が得られることとなる。
【実施例】
【0039】
次に、本発明に係るキトサン微粒子の試験例(実施例及び比較例)を示して、本発明を更に詳述する。
〔試験例1:実施例1〜6及び比較例1〜8〕
下記に示す実施例1〜6及び比較例1〜8の各キトサン微粒子等を用いて、下記に示す抗菌性試験1〜4を行った。
【0040】
(実施例1のキトサン微粒子の調製)
キトサン(北海道曹達(株)製、商品名:ノースキトサンMC−2W、平均分子量:71,600〜107,400、脱アセチル化度:約85%)を5重量%含む酸性溶液(4重量%乳酸溶液)105ml(キトサンアミノ基含有量0.032mol)を、多価アニオン無機塩として硫酸ナトリウム2.27g(硫酸アニオン0.016mol)を含む水溶液395ml(500ml容量ガラス製ビーカー、温度40℃、撹拌速度400rpm)に秒速0.02mlで徐々に添加混合し、1時間冷却し、透析によりキトサン微粒子の分散液を得た。この微粒子分散液を凍結乾燥〔(株)ヤマト科学製、DC400〕して、実施例1のキトサン微粒子を調製した。
このキトサン微粒子を走査型電子顕微鏡(1万倍、2万倍)で観察撮影し、その数平均(個体数n=10)の直径を求めたところ、3μmであった。また、このキトサン微粒子について、ケルダール法により測定したキトサンアミノ基由来の窒素量と、1N水酸化ナトリウム水溶液処理後にHPLC法で測定した硫酸アニオン量より求めた「アミノ基1mol当たりの硫酸アニオン含有量」は、0.35molであった。
(実施例2のキトサン微粒子の調製)
上記実施例1の凍結乾燥に換えて、スプレードライ乾燥〔東京理化器械(株)製、SD−1〕した以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2のキトサン微粒子(平均直径2μm、アミノ基1mol当たりの硫酸アニオン含量0.35mol)を調製した。
(実施例3のキトサン微粒子の調製)
上記実施例2の硫酸ナトリウムに換えて、多価アニオン無機塩として硫酸銅五水和物2.00g(硫酸アニオン0.008mol)又、塩化ナトリウム2.06gを併用した以外は、上記実施例2と同様にして、実施例3のキトサン微粒子(平均直径2μm、アミノ基1mol当たりの硫酸アニオン含量0.19mol)を調製した。
(実施例4のキトサン微粒子の調製)
上記実施例2の硫酸ナトリウムに換えて、多価アニオン無機塩として硫酸銀1.00g(硫酸アニオン0.008mol)を使用した以外は、上記実施例2と同様にして、実施例4のキトサン微粒子(平均直径2μm、アミノ基1mol当たりの硫酸アニオン含量0.22mol)を調製した。
(実施例5のキトサン微粒子の調製)
上記実施例2の硫酸ナトリウムに換えて、多価アニオン無機塩として硫酸マグネシウム七水和物1.97g(硫酸アニオン0.008mol)又、塩化ナトリウム2.06gを併用した以外は、上記実施例2と同様にして、実施例5のキトサン微粒子(平均直径2μm、アミノ基1mol当たりの硫酸アニオン含量0.16mol)を調製した。
(実施例6のキトサン微粒子の調製)
キトサン(北海道曹達(株)製、商品名:ノースキトサンMC−2W、平均分子量:71,600〜107,400、脱アセチル化度:約85%)を0.5重量%含む酸性溶液(0.4重量%乳酸溶液)500mlを、分画分子量10000のUF膜(GE water technologies社製、商品名:PW)を取り付けたフロー式膜透析装置(日東電工マテックス(株)製、RUM−2・C10−T)を用い、操作圧力0.4MPa・濃縮液流量1.6L/minの条件で透析処理して、液量250mlの濃縮液と液量250mlの透過液を得た。この濃縮液全量(250ml)に超純水250mlを加え、同様な条件で透析処理を更に9回(計10回の定容加水ろ過)実施した。この透析処理(1〜10回)における各透過液の乳酸濃度を測定したところ、1回目の透過液の乳酸濃度は0.2%であったが、処理回数が進むにつれ減少し、10回目の透過液中には乳酸の検出がほぼ無くなり、これ以上の透析処理を実施しても乳酸が除去されないことを確認した。この様にして得られた透析処理(10回)後の濃縮液をスプレードライ乾燥〔東京理化器械(株)製、SD−1〕して、実施例6のキトサン微粒子(平均直径2μm、アミノ基1mol当たりの乳酸アニオン含量0.72mol)を調製した。
【0041】
(比較例1のキトサン微粒子の調製)
市販のキトサン微粒子〔COS−YS(焼津水産化学工業(株)製、噴霧乾燥品)、平均直径44μm〕を用いた。
(比較例2のキトサン微粒子の調製)
市販のキトサン微粒子〔キトサンLL(焼津水産化学工業(株)製、機械粉砕品)、平均直径62μm〕を用いた。
(比較例3のキトサン微粒子の調製)
市販のキトサン微粒子〔キトサンPL−90(焼津水産化学工業(株)製、機械粉砕品)、平均直径74μm〕を用いた。
(比較例4のキトサン微粒子の調製)
2重量%キトサン酢酸酸性溶液100容量部とデカリン80容量部を混合し、撹拌速度2000rpm、80℃加熱条件の懸濁蒸発法により球状固化したものを、ろ過・洗浄(1N水酸化ナトリウムエタノール溶液)及び減圧乾燥の後、150メッシュの篩に掛けて比較例4のキトサン微粒子(平均直径100μm)を調製した。
(比較例5のキトサン粒子の調製)
市販のキトサン〔北海道曹達(株)製、商品名:ノースキトサンMC−2W〕を、比較例5のキトサン粒子(2〜3mmサイズ)用いた。
(比較例6のキトサン微粒子の調製)
上記比較例4の150メッシュの篩に換えて、76メッシュの篩を使用した以外は、上記比較例4と同様にして、比較例6のキトサン微粒子(平均直径207μm)を調製した。
(比較例7のキトサン粒子の調製)
市販のキトサン(北海道曹達(株)製、商品名:ノースキトサンMC−2W)を、粉砕ミルを用い20,000rpmで20分間粉砕し、比較例7のキトサン粒子(平均直径540μm)を調製した。
(比較例8のキトサン微粒子の調製)
市販のキトサン微粒子〔ダイキトサンFPスラリー(大日精化工業(株)製、極微粒子グレード、湿式粉砕品)〕を凍結乾燥し、比較例8のキトサン微粒子(平均直径5μm)を調製した。
【0042】
抗菌性試験1〔大腸菌による抗菌性(pH7.1)プレート試験〕
本試験1はミュラーヒントン寒天培地(pH7.1、プレート、キトサン添加濃度0%、0.50%、1%、3%)での大腸菌(Escherichia coli NBRC No.3972)の37℃、18時間の生育状況を観察し、抗菌性を判定した(+:生育、−:生育なし)。
抗菌性試験2〔大腸菌、黄色ブドウ球菌による抗菌性(pH6.5)プレート試験〕
本試験2は寒天培地(pH6.5、プレート、キトサン添加濃度0%、0.50%、1%、3%)での大腸菌(Escherichia coli NBRC No.3972)、並びに、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC No.12732)の37℃、18時間の生育状況を観察し、抗菌性を判定した(+:生育、−:生育なし)。
抗菌性試験3〔大腸菌による抗菌性(pH6.5、液体培地)試験〕
本試験3はミュラーヒントン液体培地(pH6.5、キトサン添加濃度0%、0.06%、0.012%、0.025%、0.050%)での大腸菌(Escherichia coli NBRC No.3972)での生育状況(37℃、18時間)をバイオサーモアナライザー(H−201、(株)日本医科器械製作所社製)で測定し、抗菌性を判定した(+:生育、±:僅かに生育、−:生育なし)。
抗菌性試験4〔大腸菌による抗菌性(pH6.5〜6.8、液体培地)試験〕
本試験4はミュラーヒントン液体培地(pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、キトサン添加濃度0.06%)での大腸菌(Escherichia coli NBRC No.3972)での生育状況(37℃、18時間)をバイオサーモアナライザー(H−201、(株)日本医科器械製作所社製)で測定し、抗菌性を判定した(+:生育、±:僅かに生育、−:生育なし)。
上記抗菌性試験1〜4の結果を下記表1〜4に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
上記試験1(表1)の結果をみると、本発明となる実施例1のキトサン微粒子0.5%〜3%は、pH7.1のプレートにおける大腸菌の生育を完全に阻止していることが判る。これに対して、比較例1〜4のキトサン微粒子と比較例5のキトサン粒子は、pH7.1のプレートにおける大腸菌の生育を全く阻止できないことが判る。
また、上記試験2(表2)の結果をみると、本発明となる実施例2〜6のキトサン微粒子0.5%〜3%は、pH6.5のプレートにおける大腸菌及び黄色ブドウ球菌の生育を完全に阻止していることが判る。これに対して、比較例6及び7のキトサン微粒子等3%は、pH6.5のプレートにおける大腸菌及び黄色ブドウ球菌の生育を全く阻止できないことが判る。
更に、上記試験3(表3)の結果をみると、本発明となる実施例1のキトサン微粒子は、pH6.5の液体培地において、0.025%濃度まで大腸菌の生育を完全阻止しており、また、0.006%濃度で大腸菌の生育を抑制(静菌作用)していることが判る。これに対して、比較例8のキトサン微粒子では、その濃度が0.006%〜0.3%であっても、大腸菌の生育を全く阻止できないことが判る。
また、上記試験4(表4)の結果をみると、本発明となる実施例1のキトサン微粒子0.06%は、pH6.5〜6.8の液体培地において、大腸菌の生育を完全に阻止していることが判る。
以上のことから、本発明のキトサン微粒子は、酸性領域に加え、中性領域(6.5〜7.1)においても優れた抗菌活性を有するキトサン微粒子であることが判った。
【0048】
〔試験例2:実施例1、5、6、7及び比較例5、9、10〕
上記で調製した実施例1、5、6及び比較例5、並びに、下記に示す実施例7及び比較例9、10の各キトサン微粒子等を用いて、下記に示す保湿性試験を行った。
【0049】
(実施例7のキトサン微粒子の調製)
上記実施例1において、硫酸ナトリウムの量を22.71g(硫酸アニオン0.160mol)にした以外は、上記実施例1と同様にして、実施例7のキトサン微粒子(平均直径3μm、アミノ基1mol当たりの硫酸アニオン含量0.45mol)を調製した。
【0050】
(比較例9の保湿性微粒子の調製)
市販の保湿性微粒子〔コハク酸セルロースビーズ、モイスセルsuc−K、リバテープ製薬(株)製、平均直径10μm〕を用いた。
(比較例10の保湿性微粒子の調製)
70%セルロースザンテート水溶液(ビスコース)100重量部と30重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液500重量部を混合し、撹拌速度120rpm、80℃加熱により球状固化したものを、ろ過・洗浄(10%塩酸)及び凍結乾燥させて比較例10のセルロースビーズ(平均直径10μm)を調製した。
【0051】
(保湿性試験)
各サンプル(試料)500mgを温度40℃、湿度90%の恒温恒湿装置の中に置き、重量変化率を測定することにより、保湿性を評価した。変化率が高いほど保湿性に優れていることを示す。
これらの結果を下記表5及び図1に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
上記保湿性試験(表5、図1)の結果をみると、本発明となる実施例1、5、6及び7のキトサン微粒子は、原料のキトサン(比較例5)に較べ高い保湿性を示し、その保湿能力は市販の保湿性微粒子であるコハク酸セルロースビーズ(比較例9)、セルロースビーズ(比較例10)よりも高いことが判る。また、粒子調製に使用する多価アニオン塩(硫酸ナトリウム)の濃度を高くし、多価アニオン含量を増やした実施例7(アミノ基1mol当たりの硫酸アニオン含量:実施例5の0.16mol→実施例1の0.35mol→実施例7の0.45mol)は保湿性も高くなることが判った。
【0054】
〔試験例3:実施例2〜6及び比較例6〜8〕
上記で調製した実施例2〜6、比較例6〜8の各キトサン微粒子等を用いて、下記に示す消臭性試験を行った。
【0055】
(消臭性試験)
100ppmアンモニアガス及び50ppm酢酸に対する各サンプル(試料)500mgの吸着特性をガス検知管により、消臭性を評価した。物質(アンモニア、酢酸)の残存率が低いほど消臭性に優れていることを示す。
これらの結果を下記表6、図2及び図3に示す。
【0056】
【表6】

【0057】
上記消臭性試験(表6、図2、図3)の結果をみると、本発明となる実施例2〜6のキトサン微粒子は、アンモニアと酢酸の両方に対し吸着特性を有することが判った。
これに対して、比較例6〜8のキトサン微粒子は、酢酸に対する吸着特性を示したが、アンモニア吸着能は著しく低かった。
【0058】
以上の試験例1〜3を総合すると、本発明のキトサン微粒子は、酸性領域に加え、従来にない中性領域においても抗菌活性を有する特性を有し、また、アニオン性の物質に加え、カチオン性の物質に対しても吸着作用を有する特性を有し、更に、従来にない高い保湿作用を有するものであり、実施例5と6のキトサン微粒子をみると、抗菌活性、吸着作用、更に、従来にない高い保湿作用を有するものである。
従って、本発明のキトサン微粒子を従前から用いられている食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料、植物用病害駆除剤、化粧品、衣料用の抗菌剤、消臭剤、医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭剤、治癒促進剤等に使用すれば、従来にない特性を備えた各用途の剤、組成物などが得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明により、化粧品、医用材料及びケミカル分野の素材として有用である、新規なキトサン微粒子の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】試験例2の保湿性の結果を示す特性図である。
【図2】試験例3のアンモニアに対する消臭性の結果を示す特性図である。
【図3】試験例3の酢酸に対する消臭性の結果を示す特性図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径3μm以下のキトサン微粒子を有効成分とすることを特徴とするキトサン微粒子製剤。
【請求項2】
キトサン微粒子製剤が保湿剤、抗菌剤、消臭剤の何れか一つである請求項1記載のキトサン微粒子製剤。
【請求項3】
化粧品に使用することを特徴とする請求項1記載のキトサン微粒子製剤。
【請求項4】
食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料として使用することを特徴とする請求項1記載のキトサン微粒子製剤。
【請求項5】
植物用の病害駆除剤として使用することを特徴とする請求項1記載のキトサン微粒子製剤。
【請求項6】
工業用の抗菌剤、消臭剤として使用することを特徴とする請求項1記載のキトサン微粒子製剤。
【請求項7】
医薬・医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭・消臭剤、治癒促進剤として使用することを特徴とする請求項1記載のキトサン微粒子製剤。
【請求項8】
少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有し、酸性領域及び中性領域において抗菌活性を有することを特徴とするキトサン微粒子。
【請求項9】
少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有し、アニオン性の物質及びカチオン性の物質に対して吸着作用を有することを特徴とするキトサン微粒子。
【請求項10】
少なくとも1種のアニオンを粒子内に含有し、高い保湿作用を有することを特徴とするキトサン微粒子。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか一つに記載のアニオンが多価アニオンであることを特徴とするキトサン微粒子。
【請求項12】
イオン交換相分離法、透析工程を経てスプレードライにより粒子化する方法により製造したことを特徴とする請求項8〜11の何れか一つに記載のキトサン微粒子。
【請求項13】
キトサン微粒子の平均粒径が3μm以下である請求項8〜12の何れか一つに記載のキトサン微粒子。
【請求項14】
請求項8〜13の何れか一つに記載のキトサン微粒子を含有することを特徴とする化粧品。
【請求項15】
請求項8〜13の何れか一つに記載のキトサン微粒子を食品用の保存料、鮮度保持剤、機能向上料として使用することを特徴とする食品用組成物。
【請求項16】
請求項8〜13の何れか一つに記載のキトサン微粒子を植物用の病害駆除剤として使用することを特徴とする植物用病害駆除剤。
【請求項17】
請求項8〜13の何れか一つに記載のキトサン微粒子を工業用の抗菌剤、消臭剤として使用することを特徴とする工業用組成物。
【請求項18】
請求項8〜13の何れか一つに記載のキトサン微粒子を医薬・医療用の抗菌剤、除菌剤、保湿剤、防臭・消臭剤、治癒促進剤として使用することを特徴とする医薬・医療用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−13073(P2009−13073A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173542(P2007−173542)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度地域新生コンソーシアム研究開発事業、九州経済産業局に係る委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591202155)熊本県 (17)
【出願人】(000117858)
【出願人】(398045865)室町ケミカル株式会社 (7)
【出願人】(506350252)西日本長瀬株式会社 (8)
【出願人】(000208787)第一製網株式会社 (24)
【上記4名の代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
【Fターム(参考)】