説明

キナゾリノン及びカリウムチャネル活性化剤としてのその使用

本発明は、医薬有用性を有する式(I)の新規なキナゾリノン誘導体、薬剤を製造するための本発明のキナゾリノン誘導体の使用、本発明のキナゾリノン誘導体を含む医薬組成物、及びK7チャネルの活性化に応答性である、対象の障害、疾患又は状態を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬有用性を有する新規なキナゾリノン誘導体、薬剤を製造するための本発明のキナゾリノン誘導体の使用、本発明のキナゾリノン誘導体を含む医薬組成物、及びその障害、疾患又は状態がK7チャネルの活性化に応答性である、対象の障害、疾患又は状態を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カリウム(K)チャネルは、細胞内に遍在するK選択性チャネルタンパク質の構造的及び機能的に多様な系統群であり、このことは、多数の重要な細胞機能を調節する上でこれらが中心的に重要であることを示す。一クラスとして広く分布しているが、Kチャネルは、このクラスの個別メンバーとして、又は系統群として差示的に分布している。
【0003】
近年、カリウムチャネルの新しい系統群であるKCNQチャネルが、治療法開発の標的として注目を集めている。ヒトKCNQ1チャネルは、Wang,Qらによって開示され[Wang,Qら;Nature Genet.1996 12 17〜23];ヒトKCNQ2チャネルは、Biervertらによって開示され[Biervertら;Science 1998 279 403〜406];ヒトKCNQ3チャネルは、Schroederらによって開示され[Schroederら;Nature 1998 396 687〜690];ヒトKCNQ4チャネルは、Kubischらによって開示され[Kubischら;Cell 1999 96(3)437〜446];及びヒトKCNQ5チャネルは、Schroederらによって開示された[Schroederら;J.Biol.Chem.2000 275(31)24089〜24095]。
【0004】
最新の命名法によれば、KCNQ1〜KCNQ5チャネルは、現在K7.1〜K7.5とも呼称されている。
【0005】
器官内にK7チャネルが分布しているために、K7チャネルモジュレーターは、てんかん、不安、疼痛、片頭痛、緊張型頭痛、CNS害、外傷によって引き起こされるCNS害、脳卒中又は神経変性病若しくは神経変性疾患、学習及び認知障害、挙動及び運動障害、多発性硬化症、心不全、心筋症、心疾患、炎症性疾患、眼科症状、進行性難聴又は耳鳴り、閉塞性若しくは炎症性気道疾患などの広範な状態を治療又は軽減するために;尿失禁の治療又は予防を含めた膀胱制御を誘起又は維持するために潜在的に有用であると見なされている。
【0006】
国際公開第2004/047738号には、カリウムチャネル(KCNQ)オープナーとして有用なアリールシクロプロピルカルボン酸アミドが記載されている。しかし、本発明のキナゾリノン誘導体は示唆されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、K7チャネルの活性化に応答性の障害、疾患又は状態と対抗するための医薬有用性を有する新規なキナゾリノン誘導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その第1の態様では、本発明は、式Iのキナゾリノン誘導体、
【化1】


その任意の異性体、又はその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容される付加塩、又はそのN−オキシドを提供する4
[式中、R及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、アルキル−スルホニル、シアノ又はニトロを表し;
は、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシを表し;
及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、ニトロ又はシアノを表す]。
【0009】
他の態様では、本発明は、1つ又は複数のアジュバント、賦形剤、担体及び/又は希釈剤と一緒に、治療有効量の本発明のキナゾリノン誘導体、又はその医薬として許容される付加塩、又はそのプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0010】
第3の態様から見て、本発明は、医薬組成物を製造するための、本発明のキナゾリノン誘導体、又はその医薬として許容される付加塩の使用に関するものである。
【0011】
第4の態様では、本発明は、K7チャネルの活性化に応答性である、ヒトを含めた動物生体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は軽減する方法であって、治療有効量の本発明のキナゾリノン誘導体、又はその医薬として許容される付加塩を、それを必要とするかかる動物生体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0012】
当業者には、本発明の他の目的は、以下の詳細な説明及び実施例から明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のキナゾリノン誘導体は、式I、
【化2】


その任意の異性体、又はその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容される付加塩、又はそのN−オキシドを特徴とすることができる
[式中、R及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、アルキル−スルホニル、シアノ又はニトロを表し;
は、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシを表し;
及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、ニトロ又はシアノを表す]。
【0014】
好ましい実施形態では、本発明のキナゾリノン誘導体は、R及びRが、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、アルキル−スルホニル、シアノ又はニトロを表す式Iの化合物である。
【0015】
より好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、詳細には、メチル、エチル、プロピル若しくはイソプロピル、シクロアルキル、ハロ、詳細には、フルオロ、クロロ、ブロモ若しくはヨード、又はトリフルオロメチルを表す。
【0016】
さらにより好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、ハロ、詳細には、フルオロ若しくはクロロ、又はトリフルオロメチルを表す。
【0017】
さらにより好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、水素、メチル、フルオロ、クロロ、又はトリフルオロメチルを表す。
【0018】
さらにより好ましい実施形態では、Rは、水素、アルキル、詳細には、メチル、シクロアルキル、ハロ、詳細には、フルオロ若しくはクロロ、又はハロアルキル、詳細には、トリフルオロメチルを表し;Rは、水素を表す。
【0019】
さらなるより好ましい実施形態では、Rは、水素、アルキル、詳細には、メチル、ハロ、詳細には、フルオロ若しくはクロロ、又はトリフルオロメチルを表し;Rは、水素を表す。
【0020】
さらにさらなるより好ましい実施形態では、Rは、アルキル、詳細には、メチルを表し;Rは、水素を表す。
【0021】
さらにさらなるより好ましい実施形態では、Rは、ハロ、詳細には、フルオロ若しくはクロロ、又はトリフルオロメチルを表し;Rは、水素を表す。
【0022】
さらにさらなるより好ましい実施形態では、Rは、フルオロ又はクロロを表し;Rは、水素を表す。
【0023】
さらにさらなるより好ましい実施形態では、Rは、アルキル、詳細には、メチル、ハロ、又はトリフルオロメチルを表し;Rは、ハロ、詳細には、フルオロ又はクロロを表す。
【0024】
さらにさらなるより好ましい実施形態では、Rは、メチルを表し;Rは、フルオロ又はクロロを表す。
【0025】
さらにさらなるより好ましい実施形態では、R及びRは、双方が水素を表す。
【0026】
他の好ましい実施形態では、本発明のキナゾリノン誘導体は、Rが、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシを表す式Iの化合物である。
【0027】
より好ましい実施形態では、Rは、アルキル、詳細には、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルを表す。
【0028】
さらにより好ましい実施形態では、Rは、イソプロピルを表す。
【0029】
第3の好ましい実施形態では、本発明のキナゾリノン誘導体は、R及びRが、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、ニトロ又はシアノを表す式Iの化合物である。
【0030】
より好ましい実施形態では、Rは、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、ニトロ、又はシアノを表し;Rは、水素を表す。
【0031】
さらにより好ましい実施形態では、R及びRは、双方が水素を表す。
【0032】
さらにより好ましい実施形態では、本発明のキナゾリノン誘導体は、
2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;又は
2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
又はその医薬として許容される付加塩である。
【0033】
さらにより好ましい実施形態では、本発明のキナゾリノン誘導体は、
(シス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(トランス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(トランス)−2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(トランス)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(トランス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(シス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(シス)−2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(シス)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;又は
(トランス)−2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
又はその医薬として許容される付加塩である。
【0034】
最も好ましい実施形態では、本発明のキナゾリノン誘導体は、
(シス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(シス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
(シス)−2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;又は
(シス)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
又はその医薬として許容される付加塩である。
【0035】
本明細書で記載の実施形態の任意の2つ以上の組合せは、本発明の範囲内と見なされる。
【0036】
置換基の定義
本発明の文脈では、アルキル基とは、一価の飽和、直線状又は分枝状炭化水素鎖を指す。炭化水素鎖は、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル、及びイソヘキシルを含めて、好ましくは、炭素原子1から18個(C1〜18アルキル)、より好ましくは、炭素原子1から6個(C1〜6アルキル;低級アルキル)を含有する。好ましい実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、及び第三級ブチルを含めて、C1〜4アルキル基を表す。本発明の他の好ましい実施形態では、アルキルは、詳細には、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルであってよいC1〜3アルキル基を表す。
【0037】
本発明の文脈では、シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを含めて、好ましくは、炭素原子3から7個(C3〜7シクロアルキル)を含有する環状アルキル基を指す。
【0038】
本発明の文脈では、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを表す。したがって、トリハロメチル基は、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、及び類似のトリハロ置換メチル基を表す。
【0039】
本発明の文脈では、ハロアルキル基とは、そのアルキル基が1回又は複数回ハロで置換されている、本明細書で定義されたアルキル基を指す。本発明の好ましいハロアルキル基として、トリハロメチル、好ましくは、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0040】
本発明の文脈では、ヒドロキシ−アルキル基とは、そのヒドロキシ−アルキル基が1つ又は複数のヒドロキシ基で置換されている、上記で定義されたアルキル基を指す。本発明の好ましいヒドロキシ−アルキル基の例として、2−ヒドロキシ−エチル、3−ヒドロキシ−プロピル、4−ヒドロキシ−ブチル、5−ヒドロキシ−ペンチル、及び6−ヒドロキシヘキシルが挙げられる。
【0041】
本発明の文脈では、アルコキシ基とは、アルキルが上記で定義された通りである「アルキル−O−」基を指す。本発明の好ましいアルコキシ基の例として、メトキシ及びエトキシが挙げられる。
【0042】
本発明の文脈では、アルキル−カルボニル−アミノ基とは、アルキルが上記で定義された通りである「アルキル−CO−NH−」基を指す。本発明の好ましいアルキル−カルボニル−アミノ基としてアセトアミドが挙げられる。
【0043】
医薬として許容される塩
本発明のキナゾリノン誘導体は、目的とする投与に適した任意の形態で提供し得る。適切な形態として、本発明のキナゾリノン誘導体の、医薬として(即ち、生理的に)許容される塩、及びプレ又はプロドラッグ形態が挙げられる。
【0044】
医薬として許容される付加塩の例として、限定されないが、塩酸から誘導される塩酸塩、臭化水素酸から誘導される臭化水素酸塩、硝酸から誘導される硝酸塩、過塩素酸から誘導される過塩素酸塩、リン酸から誘導されるリン酸塩、硫酸から誘導される硫酸塩、ギ酸から誘導されるギ酸塩、酢酸から誘導される酢酸塩、アコニット酸から誘導されるアコニット酸塩、アスコルビン酸から誘導されるアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸から誘導されるベンゼンスルホン酸塩、安息香酸から誘導される安息香酸塩、ケイ皮酸から誘導されるケイ皮酸塩、クエン酸から誘導されるクエン酸塩、エンボン酸から誘導されるエンボン酸塩、エナント酸から誘導されるエナント酸塩、フマル酸から誘導されるフマル酸塩、グルタミン酸から誘導されるグルタミン酸塩、グリコール酸から誘導されるグリコール酸塩、乳酸から誘導される乳酸塩、マレイン酸から誘導されるマレイン酸塩、マロン酸から誘導されるマロン酸塩、マンデル酸から誘導されるマンデル酸塩、メタンスルホン酸から誘導されるメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸から誘導されるナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸から誘導されるフタル酸塩、サリチル酸から誘導されるサリチル酸塩、ソルビン酸から誘導されるソルビン酸塩、ステアリン酸から誘導されるステアリン酸塩、コハク酸から誘導されるコハク酸塩、酒石酸から誘導される酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸から誘導されるトルエン−p−スルホン酸塩などの非毒性の無機酸及び有機酸付加塩が挙げられる。かかる塩は、当技術分野で周知の記載されている手順によって形成し得る。
【0045】
医薬として許容されると見なすことができないシュウ酸などの他の酸は、本発明の化合物及びその医薬として許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用である塩を調製する際に有用である場合がある。
【0046】
本発明の化合物の医薬として許容されるカチオン塩の例として、限定されないが、アニオン基を含有する本発明の化合物の、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシン及びアンモニウムの塩などが挙げられる。かかるカチオン塩は、当技術分野で周知の記載されている手順によって形成し得る。
【0047】
医薬として許容される付加塩の追加の例として、限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、誘導されたナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などの非毒性の無機酸及び有機酸付加塩が挙げられる。かかる塩は、当技術分野で周知の記載されている手順によって形成し得る。
【0048】
本発明の化合物の医薬として許容されるカチオン塩の例として、限定されないが、アニオン基を含有する本発明の化合物の、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシン、及びアンモニウムの塩が挙げられる。かかるカチオン塩は、当技術分野で周知の記載されている手順によって形成し得る。
【0049】
異性体
本発明のキナゾリノン誘導体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体(シス及びトランス異性体)を含めた多様な立体異性形態で存在し得ることは当業者なら理解されよう。本発明には、かかる異性体全て、及びラセミ混合物を含めたその任意の混合物が含まれる。
【0050】
本発明の好ましい異性体は、シス異性体である。
【0051】
ラセミ形態は、周知の方法及び技法によって光学対掌体になるように分割し得る。本発明の化合物は、中間化合物としてキラルカルボン酸を含むので、エナンチオマー酸を分離する1つの方法は、光学活性アミンを使用することによること、及び酸により処理することによってジアステレオマー的に分割された塩を遊離させることである。ラセミ体を分割して光学対掌体にするための他の方法は、光学活性マトリックス上のクロマトグラフィーに基づく。したがって、本発明のラセミ化合物は、それらの光学対掌体に分割することができ、例として、例えばD−又はL−(タルトラート、マンデラート、又はショウノウスルホナート)塩を分別結晶化させることによる。
【0052】
本発明のキナゾリノン誘導体は、本発明の化合物を、(+)又は(−)α−メチルベンジルアミンなどから誘導されるような光学活性な活性化アミンと反応させることによりジアステレオマーアミドを形成させることによっても分割し得る。
【0053】
光学異性体を分割するための追加の方法は、当技術分野で周知である。かかる方法として、Jaques J、Collet A、及びWilen Sによって「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons、ニューヨーク(1981)において記載されたものが挙げられる。
【0054】
光学活性化合物は、光学活性な出発材料からも調製し得る。
【0055】
調製方法
本発明のキナゾリノン誘導体は、化学合成のための通常の方法、例えば、実施例で記載されたものによって調製し得る。本出願で記載の方法のための出発材料は、周知である、或いは市販の化学薬品から通常の方法によって容易に調製し得る。
【0056】
また、本発明の1つの化合物は、通常の方法を使用して本発明の他の化合物に転換することもできる。
【0057】
本明細書で記載の反応の最終生成物は、通常の技法、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどによって単離し得る。
【0058】
生物活性
本発明のキナゾリノン誘導体は、K7(KCNQ)カリウムチャネルのモジュレーターとして有用であることが見出された。現在では、5つのかかるチャネル、即ち、K7.1(KCNQ1)チャネル、K7.2(KCNQ2)チャネル、K7.3(KCNQ3)チャネル、K7.4(KCNQ4)チャネル、及びK7.5(KCNQ5)チャネル、並びにそのヘテロメリックな組合せが知られている。さらに、調節活性は、抑制性(即ち、抑制活性)であっても、刺激性(即ち、活性化活性)であってもよい。
【0059】
調節活性は、当技術分野で周知の、又は作業用実施例に記載されたのと同様の通常の方法、例えば、結合若しくは活性調査を使用して求め得る。
【0060】
好ましい実施形態では、本発明のキナゾリノン誘導体は、K7.2、K7.3、K7.4、及び/又はK7.5カリウムチャネル、並びにそのヘテロメリックな組合せにおいて刺激性活性を示す。本発明の好ましい化合物は、選択性であり、好ましくは、K7.2、K7.2+K7.3、及び/又はK7.4カリウムチャネル活性化を示す。
【0061】
したがって、本発明の化合物は、その疾患、障害又は状態がK7カリウムチャネルのモジュレーションに応答性である、ヒトを含めた動物生体の疾患、又は障害、又は状態を治療、予防又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0062】
器官内にKCNQチャネルが分布しているために、KCNQチャネルモジュレーターは、情動障害、神経生理障害、不安、うつ病、双極性障害、躁病、睡眠障害、嗜癖、摂食障害、恐怖症、パーキンソン病、気分障害、精神障害、強迫行動、躁病、精神病、統合失調症、認知症、アルツハイマー病、てんかん、痙攣、てんかん発作、てんかん発作障害、振戦、筋けいれん、重症筋無力症、運動ニューロン疾患、挙動及び運動障害、パーキンソン様運動障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、HIV認知症、ハンチントン病、ピック病、多形性心室頻拍、機能性腸障害、神経変性障害、外傷によって引き起こされるCNS障害、脳卒中又は神経変性病若しくは神経変性疾患、運動失調、ミオキミア、痙縮、学習及び認知障害、記憶機能障害、記憶障害、加齢に伴う記憶障害、ダウン症候群、疼痛、急性疼痛、慢性(持続性)疼痛、軽度疼痛、中程度又は重度の疼痛、神経因性疼痛、中枢性疼痛;糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、末梢神経損傷又は薬物嗜癖に関連した疼痛;体性痛、内臓痛又は皮膚疼痛、炎症若しくは感染によって引き起こされる疼痛、術後疼痛、幻肢痛、慢性頭痛、片頭痛、片頭痛関連障害、緊張型頭痛、心不全、心疾患、心筋症、不整脈、心虚血、QT延長症候群、炎症性疾患又は状態、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、クロイツフェルト−ヤコブ病、閉塞性若しくは炎症性気道疾患、喘息、気道過敏症、じん肺症、アルミニウム症、炭粉症、石綿肺症、石粉症、睫毛脱落症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症、綿肺症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道過敏症のエクセルベーション(excerbation)、嚢胞性線維症、進行性難聴、耳鳴り、薬物依存若しくは薬物嗜癖障害、機能亢進性胃運動、眼科症状、膀胱制御を誘起又は維持すること、或いは尿失禁などの広範な状態を治療又は軽減するために有用であると見なされている。
【0063】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、CNSの疾患、障害、又は有害な状態を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。より具体的な実施形態では、疾患、障害、又は状態は、情動障害、神経生理障害、不安、うつ病、双極性障害、躁病、睡眠障害、嗜癖、摂食障害、恐怖症、パーキンソン病、気分障害、精神障害、強迫行動、躁病、精神病、又は統合失調症である。
【0064】
より好ましい実施形態では、本発明により企図されている疾患、障害、又は状態は、不安である。
【0065】
他の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、外傷によって若しくは脊髄損傷によって引き起こされるCNS害、脳卒中、神経変性病若しくは神経変性疾患、認知症、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患、パーキンソン様運動障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、HIV認知症、ハンチントン病、ピック病、多形性心室頻拍、振戦、筋けいれん、重症筋無力症、痙攣、運動失調、ミオキミア、てんかん発作、てんかん、又は痙縮を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0066】
第3の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、急性及び慢性疼痛を含めた疼痛、神経因性疼痛、中枢性疼痛;又は糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、末梢神経損傷又は薬物嗜癖に関連した疼痛;片頭痛及び片頭痛関連障害、並びに緊張型頭痛を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。より具体的な実施形態では、疼痛は、内臓痛若しくは皮膚痛を含めた体性痛、又は炎症によって若しくは感染によって引き起こされる疼痛である。他の具体的な実施形態では、疼痛は、神経因性であり、例として、組織外傷、感染、糖尿病、自己免疫疾患、関節炎又は神経痛のために、例えば、中枢又は末梢神経系への損傷によって引き起こされる。
【0067】
第4の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、学習及び認知障害、記憶機能障害、記憶障害、加齢に伴う記憶障害、又はダウン症候群を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0068】
第5の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、心臓若しくは骨格筋に関連する疾患、障害又は状態、心不全、心筋症、不整脈、心虚血、又はQT延長症候群を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0069】
第6の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、炎症性疾患若しくは状態、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、又はクロイツフェルト−ヤコブ病を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0070】
第7の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、喘息、閉塞性若しくは炎症性気道疾患、気道過敏症;アルミニウム症、炭粉症、石綿肺症、石粉症、睫毛脱落症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症及び綿肺症などのじん肺症;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道過敏症のエクセルベーション(excerbation)、又は嚢胞性線維症を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0071】
第8の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、進行性難聴若しくは耳鳴り、眼科障害、薬物依存若しくは薬物嗜癖障害、機能亢進性胃運動、又は尿失禁を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0072】
より好ましい実施形態では、本発明の化合物は、疼痛、神経変性障害、片頭痛、双極性障害、躁病、てんかん、痙攣、てんかん発作及びてんかん発作障害、不安、うつ病、機能性腸障害、及び多発性硬化症を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0073】
さらにより好ましい実施形態では、本発明の化合物は、急性、慢性若しくは再発性の軽度、中程度若しくは重篤な疼痛を含めた疼痛、並びに神経因性疼痛及び片頭痛によって引き起こされる疼痛、術後痛、幻肢痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、緊張型頭痛、中枢性疼痛;糖尿病性神経障害、治療後神経痛又は末梢神経損傷関連の疼痛を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0074】
最も好ましい実施形態では、本発明の化合物は、疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、てんかん又は不安を治療、予防、又は軽減するのに有用であると見なされている。
【0075】
しかし、活性医薬成分(API)の適切な用量は、投与の厳密なモード、投与する形態、考慮すべき指示、対象及び特に当該対象の体重、並びにさらに担当の医師又は獣医の好み及び経験に応じて、一日当たり約0.1〜約1000mgAPI、より好ましくは、一日当たり約10〜約500mgAPI、最も好ましくは、一日当たり約30〜約100mgAPIの範囲内であることが現在企図されている。
【0076】
本発明の好ましい化合物は、サブマイクロモル及びマイクロモル範囲、即ち、1未満〜約100μMで生物活性を示す。
【0077】
医薬組成物
一態様から見て、本発明は、その疾患、障害又は状態がK7チャネルのモジュレーションに応答性である、ヒトを含めた哺乳動物の疾患、又は障害、又は状態を治療、予防又は軽減するための医薬組成物を製造するための、本発明のキナゾリノン誘導体、又はその医薬として許容される付加塩の使用に関する。
【0078】
他の態様から見て、本発明は、K7チャネルのモジュレーションに応答性である疾患、障害又は状態を治療、予防又は軽減するための、少なくとも1つの医薬として許容される担体又は希釈剤と一緒に治療有効量の本発明のキナゾリノン誘導体、又はその医薬として許容される付加塩を含む医薬組成物を提供する。
【0079】
本発明に従って使用するためのキナゾリン誘導体は、化合物そのままの形態で投与し得るが、活性成分を、任意選択で生理的に許容される塩の形態で、1つ又は複数のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/又は慣用の医薬補助剤と一緒に、医薬組成物中に導入することが好ましい。
【0080】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、当技術分野で周知であり使用されている1つ又は複数の医薬として許容される担体、及び任意選択で、他の治療及び/又は予防成分と一緒に本発明のキナゾリノン誘導体を含む医薬組成物を提供する。担体(複数可)は、調合物の他の成分と相容性であり、その受容者に害がないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0081】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適する任意の好都合な経路によって投与し得る。投与の好ましい経路として、特に錠剤、カプセル、ドラジェ、粉末又は液体形態での経口投与、及び、特に皮膚、皮下、筋肉内、又は静脈注射での非経口投与が挙げられる。医薬組成物は、所望の調合物に適した標準で通常の技法を使用して当業者によって調製し得る。所望なら、活性成分を持続放出するように適合化させた組成物を用いてもよい。
【0082】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、経鼻、肺、局部(口腔及び舌下を含めて)、経皮、経膣、又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内、眼球内注射又は注入を含めて)投与に適したもの、又は、粉末及び液体アエロゾル投与を含めた吸入又は吹送による投与に適した形態のもの、或いは持続放出システムによるものであってよい。持続放出システムの適切な例として、本発明の化合物を含有する疎水性固体ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、該マトリックスは、成形品の形態、例えば、フィルム又はマイクロカプセルによるものであってよい。
【0083】
したがって、本発明の化合物は、通常のアジュバント、担体又は希釈剤と一緒に医薬組成物及びその単位用量の形態の中に入れることができる。かかる形態として、全て経口使用としての、特に錠剤、充填カプセル、粉末及びペレット形態の固体、並びに特に水性又は非水性溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル剤及び同じものを充填したカプセルでの液体、直腸投与用の座薬、並びに非経口使用の滅菌注射可能溶液が挙げられる。かかる医薬組成物及びその単位用量形態は、追加の活性化合物又は主剤を含むか又は含まないで、通常の割合で通常の成分を含むことができ、かかる単位用量形態は、用いられる所望の一日用量範囲に釣り合った任意の適切な有効量の活性成分を含有することができる。
【0084】
本発明の化合物は、多様な経口及び非経口用量形態で投与し得る。以下の用量形態は、本発明の化合物又は本発明の化合物の医薬として許容される塩のいずれかを活性成分として含み得ることは当業者には明白であろう。
【0085】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、医薬として許容される担体は、固体又は液体のいずれであってもよい。固体形態の製剤として、粉末、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤、座薬、及び分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、芳香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤分散剤、又は封入材料として働くこともできる1つ又は複数の物質であってよい。
【0086】
粉末では、担体は微細に分割された固体であり、それを微細に分割された活性成分との混合物にする。
【0087】
錠剤では、活性成分は、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及び大きさに圧密される。
【0088】
粉末及び錠剤は、5又は10〜約70%の活性化合物を好ましくは含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「調製」という用語は、活性化合物を担体としての封入材料と調合し、その中で担体を有する又は有さない活性成分が担体によって囲まれ、したがって担体が活性成分と会合するカプセルを提供するステップを含むことが意図される。同様に、カシェ剤及びトローチ剤も含まれる。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤、及びトローチ剤は、経口投与に適した固体形態として使用し得る。
【0089】
座薬を調製する場合、脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物などの低融点ワックスは、最初に溶融され、活性成分は、攪拌などによって、その中に均一に分散される。次いで、溶融均一混合物は、好都合な大きさの金型内に注がれ、冷却され、そうして固化される。
【0090】
膣投与に適した組成物は、活性成分に加えて、当技術分野で適切であることが周知であるような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体又はスプレイとして提供し得る。
【0091】
液体製剤として、溶液、懸濁液、及びエマルジョン、例えば、水又は水−プロピレングリコール溶液が挙げられる。例えば、非経口注射用液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液の溶液として調合し得る。
【0092】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与(例えば、注射、例としてボーラス注射又は連続注入)用として調合することができ、アンプル、充填済シリンジ、小容量注入又は防腐剤を加えた複数回用量容器の単位用量形態で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクルでの懸濁液、溶液、又はエマルジョンなどの形態を取ることができ、懸濁、安定化及び/又は分散剤などの調合剤を含有し得る。或いは、活性成分は、使用する前に、適切なビヒクル、例えば、滅菌したピロゲンを含まない水と一緒に構成するために、滅菌固体を無菌単離することによって、又は溶液から凍結乾燥することによって得られる粉末形態であってもよい。
【0093】
経口使用に適した水溶液は、活性成分を水中に溶解させるステップ、及び所望により、適切な着色剤、香料、安定化及び増粘剤を加えるステップによって調製し得る。
【0094】
経口使用に適した水性懸濁液は、微細に分割された活性成分を、天然若しくは合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又はよく知られた他の懸濁剤などの粘性材料を含む水中に分散させるステップによって作製し得る。
【0095】
経口投与するために使用の直前に液体形態製剤に転換することを意図した固体形態製剤もまた挙げられる。かかる液体形態として、溶液、懸濁液、及びエマルジョンが挙げられる。活性成分に加えて、かかる製剤は、着色剤、芳香剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0096】
表皮に対する局部投与では、本発明の化合物は、軟膏、クリーム若しくはローションとして、又は経皮パッチとして調合し得る。軟膏及びクリームは、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加えた水性又は油性ベースによって調合し得る。ローションは、水性又は油性ベースによって調合することができ、一般に、1つ又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤をも含有するであろう。
【0097】
口腔内の局部投与に適した組成物として、香料ベース、通常蔗糖、及びアカシア又はトラガント中に活性剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン、又は蔗糖及びアカシアなどの不活性ベース中に活性成分を含む芳香錠;並びに適切な液状担体中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0098】
溶液又は懸濁液は、通常の手段によって、例えば、スポイト、ピペット又はスプレイによって鼻腔に直接施用される。組成物は、1回又は複数回用量形態で提供し得る。
【0099】
気道に対する投与も、活性成分が、クロロフルオロ炭素(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、或いは他の適切なガスなどの適切な高圧ガスによって加圧されたパックで供給されるアエロゾル調合物によって実現し得る。アエロゾルは、好都合には、レシチンなどの界面活性剤をも含有し得る。薬物の用量は、計量バルブによって制御し得る。
【0100】
或いは、活性成分は、乾燥粉末、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン(PVP)などのデンプン誘導体などの適切な粉末ベース中の化合物の粉末混合物の形態で供給し得る。好都合には、粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、例えば、例としてゼラチンのカプセル若しくはカートリッジ、又は吸入器によって粉末を投与し得るブリスターパックで単位用量形態において提供し得る。
【0101】
鼻内組成物を含めた、気道に対する投与を目的とした組成物では、化合物は、一般に、小さい粒径、例えば、5ミクロン以下のオーダーの小粒径を有するであろう。かかる粒径は、当技術分野で周知の手段、例えば、ミクロ化によって得ることができる。
【0102】
所望する場合、活性成分を持続放出するように適合化された組成物も使用し得る。
【0103】
医薬製剤は、好ましくは、単位用量の形態である。かかる形態では、製剤は、適切な量の活性成分を含有する単位用量になるように細分割される。単位用量形態は、パッケージ製剤であってもよく、該パッケージは、パッケージ化錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル中の粉末などのように、離散的な量の製剤を含有する。また、単位用量形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤、又はトローチ剤自体であってもよく、又はパッケージ形態でのこれらの任意のものの適切な数であってもよい。
【0104】
経口投与用の錠剤又はカプセル、及び静脈内投与及び連続注入用の液体は、好ましい組成物である。
【0105】
調合及び投与に対する技法についてのさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.、イーストン、ペンシルベニア州)の最新版で知ることができる。
【0106】
実際の用量は、治療中の疾患の性質及び重篤度によって決まり、医師の裁量内であり、所望の治療効果を実現するための本発明の特定の状況に対する用量設定によって変化し得る。しかし、個別の用量当たり約0.1〜約500mgの活性成分、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは約1〜約10mgを含有する医薬組成物が治療処置に対して適切であることが現在企図されている。
【0107】
活性成分は、一日当たり1回又は数回の用量で投与し得る。十分な結果は、ある種の場合、わずか0.1μg/kg静脈内、及び1μg/kg経口の用量で得ることができる。用量範囲の上限は、約10mg/kg静脈内、及び100mg/kg経口であると現在見なされている。好ましい範囲は、約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日静脈内、及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日経口である。
【0108】
治療法
他の態様では、本発明は、その疾患、障害又は状態がK7チャネルの活性化に応答性である、ヒトを含めた動物生体の疾患、又は障害、又は状態を治療、予防又は軽減するための方法であって、有効量の本発明のキナゾリノン誘導体を、それを必要とするヒトを含めた動物生体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0109】
本発明によって企図されている好ましい医薬指示は、上記の通りである。
【0110】
適切な用量範囲は、通常のように、投与の厳密なモード、投与される形態、投与が対象とする指示、当該対象及び当該対象の体重、及びさらに担当の医師又は獣医の好み及び経験に応じて、0.1〜1000mg/日、10〜500mg/日、特に30〜100mg/日であることが現在企図されている。
【0111】
十分な結果は、ある種の場合、わずか0.005mg/kg静脈内、及び0.01mg/kg経口の用量で得ることができる。用量範囲の上限は、約10mg/kg静脈内、及び100mg/kg経口である。好ましい範囲は、約0.001〜約1mg/kg静脈内、及び約0.1〜約10mg/kg経口である。
【実施例】
【0112】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに例示されるが、該実施例は、特許請求された本発明の範囲を如何なる意味においても限定するものではない。
【0113】
(実施例1)
調製のための実施例
本発明の化合物は、スキーム1及びスキーム2で一般的な用語で要約され、以下でより詳細に説明される通りに合成し得る。
【0114】
アリールシクロプロパンカルボン酸のシス及びトランス双方の異性体は、周知であり、隣接プロトンのカップリング定数に基づきそれらのNMRスペクトルによって容易に識別可能である。さらに、シス及びトランス異性体は、従来のカラムクロマトグラフィーによって容易に分離される。一般に、方法Aには、それによって形成される主生成物がトランスアリールシクロプロパンである方法が記載されている。逆に、方法Bには、形成される主生成物がシス異性体である改変手順が記載されている。方法Cには、トランス異性体が好まれる方法が記載されている。
【0115】
方法A
【化3】

【0116】
2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(中間化合物)
4−クロロスチレン(5mL;41.7mmol)をジクロロメタンに溶解し、その溶液をアルゴンで完全にパージした後、Pd(OAc)(0.78g;3.5mmol)を加えた。最後に、エチルジアゾアセタート(3.6mL;34.7mmol)をゆっくりと滴下することによって窒素の発生を制御した。完全に添加した後、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を10%EtOAcヘプタン溶液を使用してシリカでろ過し、ろ液を濃縮した。粗油状物をTHF/水1:1溶液に再溶解し、水酸化リチウム一水和物(7.3g;174mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。EtOAcを加え、層を分離した。水層を4N HClを用いて酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥し、濃縮することによって微茶色の固体として標題化合物1.3g(16%)を得た。
【0117】
(トランス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(中間化合物)
4−フルオロスチレンを使用する2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸の場合と同様の手順
【0118】
3−アミノ−2−イソプロピル−3H−キナゾリン−4−オン(中間化合物)
2−アミノ安息香酸(32.7g;0.24mmol)の乾燥THF(300mL)溶液にピリジン(116mL;1.4mol)を加えた後、45分かけてイソブチリルクロリド(100mL;0.95mol)を滴下した。反応混合物を終夜還流した後、該反応混合物を氷水浴上に置き、ヒドラジン水和物(139mL;2.86mol)を加えた。次いで、反応混合物を室温に到達させ、4時間攪拌した。反応混合物を乾固するまで蒸発させ、残留物にジエチルエーテル−ベンジン(沸点=80〜100℃)混合物を攪拌下で加えることによって白色固体が沈殿する。白色結晶をろ過によって単離し、ベンジン(沸点=80〜100℃)で洗浄することによって乾燥後純生成物25.25g(52%)を得た。
【0119】
(シス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物A1)
2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(0.7g;3.6mmol)をジクロロメタンに溶解し、塩化オキサリル(428μL;5.0mmol)を加えた後、一滴のDMF(触媒)を加えると、ガスの発生が見られた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。ピリジン(290μL;3.6mmol)を加えた後、3−アミノ−2−イソプロピル−3H−キナゾリン−4−オン(0.72g;3.6mmol)及びさらなるピリジン(580μL;7.1mmol)を加え、室温で16時間攪拌を継続した。反応混合物を1N HCl、1N NaOH及びブラインで洗浄した。有機層を濃縮した後、10%〜40%EtOAcヘプタン傾斜溶液によってシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施し、白色固体として標題化合物0.38g(28%)を得た。収率は18%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、382.1305Daを示す。計算上は382.13223Daであり、差は−4.5ppmであった。
【0120】
(トランス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物A2)
(トランス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸を使用する2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミドの場合と同様の手順。収率は4%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、366.1602Daを示す。計算上は366.16178Daであり、差は−4.3ppmであった。
【0121】
(トランス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物A3)
(トランス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸を使用する(トランス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミドの場合と同様の手順。収率は28%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、382.1308Daを示す。計算上は382.13223Daであり、差は−3.7ppmであった。
【0122】
(トランス)−2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物A4)
市販の(トランス)−2−フェニル−1−シクロプロパンカルボン酸から方法Aで記載のアミド結合形成を使用。収率は39%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、348.1706Daを示す。計算上は348.171202Daであり、差は−1.7ppmであった。
【0123】
方法B
【化4】

【0124】
(シス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(中間化合物)
CuI(20mg;0.11mmol)及びヒドロトリス−(3−フェニルピラゾール−1−イル)ホウ酸カリウム塩(50mg;0.11mmol)の乾燥DCM(30mL)懸濁液を真空化/窒素バックフィル手順(3回)によって完全に脱酸素した後、懸濁液を室温で2時間攪拌した。シリンジを介して純4−フルオロスチレンを加えた後、エチルジアゾアセタートを加え、反応物を室温で終夜攪拌した。次いで、反応を1M HCl(30mL)によって停止させ、有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。粗生成物をメタノール(15mL)に溶解させ、4M NaOHを加えた後(15mL)、2時間還流した。冷却後、反応混合物を水(30mL)で希釈し、エーテル(20mL)によって抽出することによってスチレンを除去した。水相を4M(HCl)(20mL)で酸性化し、DCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。シス及びトランス4:1混合物として、>0.265g、約59%を得た。
【0125】
(シス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物B1)
(シス)−2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸を使用する(トランス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミドの場合と同様の手順。収率は44%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、366.1625Daを示す。計算上は366.16178Daであり、差は2ppmであった。
【0126】
(シス)−2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物B2)
(シス)−2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸を使用する(トランス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミドの場合と同様の手順。収率は52%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、362.1884Daを示す。計算上は362.186852Daであり、差は4.3ppmであった。
【0127】
(シス)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物B3)
(シス)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸を使用する(トランス)−2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミドの場合と同様の手順。収率は34%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、366.1609Daを示す。計算上は366.16178Daであり、差は−2.4ppmであった。
【0128】
(トランス)−2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物B4)
(シス)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸の合成から、いくらかの(トランス)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸を単離し、それを使用することによって、(シス)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸を使用する(トランス)−2−(4−クロロフェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミドの場合と同様の手順で標題の化合物を調製した。収率は14%であった。[M+H]のLC−ESI−HRMSは、362.1884Daを示す。計算上は362.186852Daであり、差は4.3ppmであった。
【0129】
方法C
【化5】

【0130】
3−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−N−メトキシ−N−メチル−アクリルアミド(中間化合物)
3−フルオロメチルケイ皮酸(4.87g;27mmol)のメチレンクロリド(60mL)溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(3.3g;27mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(5.7g;29.7mmol)、トリエチルアミン(7.5mL;54mmol)、及び最終的にN,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(2.89g;47.3mmol)を加え、混合物を2日間攪拌した。反応混合物をHO(200mL)、1M HCl(100mL)、及び飽和NaHCO(100mL)によって洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、乾固するまで蒸発させ、茶色がかった液体5.92g(98%)を得、これをさらなる精製なしで次の段階に移した。
【0131】
2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸メトキシ−メチル−アミド(中間化合物)
トリメチルスルホキソニウムヨージド(11.67g;53mmol)の0℃DMF(50mL)溶液に、水素化ナトリウム(60%分散液;2.12g;53mmol)を加えた。スラリーを室温に到達させ、さらに45分間攪拌した後、その混合物を0℃まで再冷却し、その温度で、3−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−N−メトキシ−N−メチル−アクリルアミド(5.92g;26.5mmol)のDMF(5mL)溶液を加えた。生成混合物を室温に到達させ、その温度で2時間攪拌した。反応混合物を水(100mL)中に注ぎ、CHCl(100mL)を加えた。有機相をブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、乾燥させ、蒸発させて16gを得た。粗反応混合物を水(4×50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、乾燥させ、蒸発させて5.4gを得た。これをCombiflash Sq16(120gキセルゲルカラム;溶離液100%ベンジン(沸点=80〜100℃)からベンジン(沸点=80〜100℃)/EtOAc=1:1、20分かけて)によってさらに精製して透明液体として純生成物3.7g(59%)を得た。
【0132】
2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(中間化合物)
2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸メトキシ−メチル−アミド(3.7g;15.6mmol)のMeOH(40mL)及び水(20mL)溶液に水酸化ナトリウム(1.5g;37.5mmol)を加えた後、混合物を3時間還流した。反応混合物を真空で濃縮し、4M HCl(水溶液)を使用して酸性にした。沈殿した材料をCHCl(30mL)を使用して抽出し、水相をCHCl(30mL)によってもう1回抽出した。合わせた有機画分を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、乾固するまで蒸発させて定量的な収率で純生成物(3.02g;100%)を得た。
【0133】
(トランス)−2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド(化合物Cl)
2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(0.24g;1.23mmol)のCHCl(10mL)溶液にオキサリルクロリド(0.6mL;6.9mmol)及び乾燥ジメチルホルムアミド2滴を加え、混合物を室温で60分間攪拌放置した。ピリジン(80μL;1.02mmol)を加え、次いで3−アミノ−2−イソプロピル−3H−キナゾリン−4−オン(0.21g;1.03mmol)及びさらなるピリジン(160μL;2.02mmol)を加え、混合物を終夜攪拌した後、反応を1M HCl(水溶液;10mL)を使用して停止させた。有機相を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、セライト上で蒸発させた。粗生成物を、CombiFlash SQ16[4g キセルゲルカラム;12分かけてベンジン(沸点=80〜100℃)/EtOAc=9:1から100%EtOAcへ、及び12g kiselgel上で16分かけてベンジン(沸点=80〜100℃)/EtOAc=9:1から50%EtOAcへ]によって精製し、蒸発後白色固体として純生成物164mg(42%)を得た。
【0134】
(実施例2)
生物活性
例えば、国際公開第2004/080377号で要約されているのと同様な標準パッチ−クランプ組立装置において、ヒトK2+3チャネルを安定して表現するCHO K1細胞系を使用して、本発明の化合物は、多様な濃度で多様な程度でチャネルの活性化剤であることが見出された。例えば、濃度3μMで、化合物A4は、およそ190%の電流振幅の増加を誘起するが、これはその強力なK2+3活性化活性を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのキナゾリノン誘導体、
【化1】


その任意の異性体、又はその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容される付加塩、又はそのN−オキシド
[式中、R及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、アルキル−スルホニル、シアノ又はニトロを表し;
は、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシを表し;
及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、ニトロ又はシアノを表す]。
【請求項2】
及びRが、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、アルキル−スルホニル、シアノ又はニトロを表す、請求項1に記載のキナゾリノン誘導体。
【請求項3】
が、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシを表す、請求項1又は2に記載のキナゾリノン誘導体。
【請求項4】
及びRが、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキル−カルボニル−アミノ、ニトロ又はシアノを表す、請求項1から3までのいずれか一項に記載のキナゾリノン誘導体。
【請求項5】
2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(3−フルオロ−4−メチル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−フェニル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(4−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;又は
2−p−トリル−シクロプロパンカルボン酸(2−イソプロピル−4−オキソ−4H−キナゾリン−3−イル)−アミド;
又はその医薬として許容される付加塩である、請求項1に記載のキナゾリノン誘導体。
【請求項6】
1つ又は複数のアジュバント、賦形剤、担体及び/又は希釈剤と一緒に、治療有効量の、請求項1から5までに記載のキナゾリノン誘導体、又はその医薬として許容される付加塩、又はそのプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項7】
7チャネルの活性化に応答性である、ヒトを含めた哺乳動物の疾患、障害又は状態を治療、予防又は軽減するための医薬組成物を製造するための、請求項1から5までのいずれか一項に記載のキナゾリノン誘導体、又はその医薬として許容される付加塩の使用。
【請求項8】
疾患、障害又は状態が、情動障害、神経生理障害、不安、うつ病、双極性障害、躁病、睡眠障害、嗜癖、摂食障害、恐怖症、パーキンソン病、気分障害、精神障害、強迫行動、躁病、精神病、統合失調症、認知症、アルツハイマー病、てんかん、痙攣、てんかん発作、てんかん発作障害、振戦、筋けいれん、重症筋無力症、運動ニューロン疾患、挙動及び運動障害、パーキンソン様運動障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、HIV認知症、ハンチントン病、ピック病、多形性心室頻拍、機能性腸障害、神経変性障害、外傷によって引き起こされるCNS障害、脳卒中又は神経変性病若しくは神経変性疾患、運動失調、ミオキミア、痙縮、学習及び認知障害、記憶機能障害、記憶障害、加齢に伴う記憶障害、ダウン症候群、疼痛、急性又は慢性疼痛、軽度疼痛、中程度又は重度の疼痛、神経因性疼痛、中枢性疼痛;糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、末梢神経損傷又は薬物嗜癖に関連した疼痛;体性痛、内臓痛又は皮膚疼痛、炎症若しくは感染によって引き起こされる疼痛、術後疼痛、幻肢痛、慢性頭痛、片頭痛、片頭痛関連障害、緊張型頭痛、心不全、心疾患、心筋症、不整脈、心虚血、QT延長症候群、炎症性疾患若しくは状態、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、クロイツフェルト−ヤコブ病、閉塞性若しくは炎症性気道疾患、喘息、気道過敏症、じん肺症、アルミニウム症、炭粉症、石綿肺症、石粉症、睫毛脱落症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症、綿肺症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道過敏症のエクセルベーション(excerbation)、嚢胞性線維症、進行性難聴、耳鳴り、薬物依存若しくは薬物嗜癖障害、機能亢進性胃運動、眼科症状、膀胱制御を誘起又は維持すること、或いは尿失禁である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
7チャネルの活性化に応答性である、ヒトを含めた動物生体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は軽減する方法であって、治療有効量の、請求項1から5までのいずれか一項に記載のキナゾリノン誘導体、その医薬として許容される付加塩又はそのプロドラッグを、それを必要とするかかる動物生体に投与するステップを含む上記方法。


【公表番号】特表2009−530237(P2009−530237A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558793(P2008−558793)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052239
【国際公開番号】WO2007/104717
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】