説明

キナーゼインヒビターとして有用なアミノピリミジン

本発明は、Auroraプロテインキナーゼのインヒビターとして有用な式(I)の化合物に関する。本発明はまた、上記化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、ならびに種々の疾患、状態および障害の処置において上記化合物および組成物を使用する方法を提供する。本発明はまた、本発明の化合物を調製するためのプロセスを提供する。式(I)の化合物もしくは薬学的に受容可能な塩は以下である。


より具体的には、本発明は、ヒト肝臓ミクロソームにおいて代謝的に安定であり、そして/もしくは細胞増殖を強力に阻害する化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、Auroraプロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、種々の障害の処置において上記化合物および組成物を使用するための方法、ならびに上記化合物を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
上記Auroraタンパク質は、細胞周期の有糸分裂期を通り過ぎる進行に必須である3つの関連するセリン/スレオニンキナーゼ(Aurora−A、Aurora−BおよびAurora−Cといわれる)のファミリーである。具体的には、Aurora−Aは、中心体成熟および分離、有糸分裂の紡錘体(mitotic spindle)および染色体の正確な分離において重要な役割を果たす。Aurora−Bは、中期板上の染色体の整列の制御において、紡錘体組み立てチェックポイントおよび細胞質分裂の正確な官僚のために、中心的な役割を果たす染色体パッセンジャータンパク質(chromosomal passenger protein)である。
【0003】
Aurora−A、Aurora−BもしくはAurora−Cの過剰発現は、結腸直腸癌、卵巣癌、胃癌および侵襲性腺癌(duct adenocarcinoma)を含む、ある範囲のヒト癌において観察された。
【0004】
多くの研究が、ヒト癌細胞株における、siRNAによるAurora−AもしくはAurora−Bの除去もしくは阻害、ドミナントネガティブ抗体もしくは中和抗体が、4N DNAを有する細胞の蓄積とともに有糸分裂を通り過ぎる進行を破壊し、いくつかの場合においては、この後に、核内倍加および細胞死が生じることを実証した。
【0005】
上記Auroraキナーゼは、上記Auroraキナーゼの多くのヒト癌との関連およびこれら癌細胞の増殖において上記Auroraキナーゼが果たす役割に起因して、魅力的な標的である。都合の良い薬物様特性(例えば、ヒト肝臓ミクロソーム中での安定性)を有するAuroraキナーゼインヒビターを有することが望ましい。従って、Auroraキナーゼを阻害し、また、都合の良い薬物様特性を示す化合物が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、Auroraプロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物およびその薬学的に受容可能な組成物を提供する。より具体的には、本発明は、ヒト肝臓ミクロソームにおいて代謝的に安定であり、そして/もしくは細胞増殖を強力に阻害する化合物を提供する。
【0007】
これら化合物は、式I:
【0008】
【化1】

もしくはその薬学的に受容可能な塩によって表され、ここで上記変数は、本明細書において定義されるとおりである。
【0009】
これら化合物およびその薬学的に受容可能な組成物は、インビトロ、インビボ、およびエキソビボでキナーゼを阻害するのに有用である。このような用途としては、骨髄増殖性障害および増殖性障害(例えば、黒色腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、および癌)を処置もしくは予防することが挙げられる。他の用途としては、生物学的現象および病理的現象におけるキナーゼの研究;このようなキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究;ならびに新たなキナーゼインヒビターの比較評価が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明の一実施形態は、式Iの化合物:
【0011】
【化2】

もしくはその薬学的に受容可能な塩を提供し、ここで:
Htは、
【0012】
【化3】

であり;
は、H、C1−3アルキル、もしくはシクロプロピルであり;
2’は、Hであり;
Qは、−O−、−S−、もしくは−C(R’)−であり;
は、HもしくはFであり;
は、
【0013】
【化4】

であり;
各Jは、独立して、FもしくはC1−6アルキルであり;
R’は、HもしくはC1−3アルキルであるか、または2個のR’が、これらが結合する炭素原子と一緒になって、C3−5シクロアルキルを形成するか;
nは、1もしくは2であり;
は、H、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはO、N、もしくはSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルであり;ここで上記アルキル、脂環式もしくはヘテロシクリルは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されており;
は、O、N、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含みかつ0〜4個のJで必要に応じて置換されている8〜12員の二環式ヘテロアリール環であり;ここで上記系における各環は、4〜8個の環員およびO、N、およびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含み;
各Jは、独立して、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、ハロ、もしくはオキソであり、ここで各C1−6アルキルは、0〜6個のフルオロで必要に応じて置換されている。
【0014】
いくつかの実施形態において、Qは−S−である。
【0015】
いくつかの実施形態において、Htは、
【0016】
【化5】

である。あるいは、別の実施形態において、Htは、
【0017】
【化6】

である。
【0018】
他の実施形態において、Rは、C1−3アルキルもしくはシクロプロピルである。さらに他の実施形態において、R2’はHである。
【0019】
いくつかの実施形態において、RはHである。
【0020】
いくつかの実施形態において、nは1である。他の実施形態において、nは2である。
【0021】
いくつかの実施形態において、Rは、H、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。他の実施形態において、Rは、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。さらに他の実施形態において、Rは、H、C2−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Rは、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。他の実施形態において、Rは、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1−6アルキルである。他の実施形態において、Rは、C2−6アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1−6ハロアルキルである。他の実施形態において、Rは、C2−6ハロアルキルである。さらに他の実施形態において、Rは、C3−6シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C2−6ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、上記ヘテロシクリルは、1〜2個の窒素原子を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、Rは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されている。
【0023】
別の実施形態において、Rは、O、N、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含みかつ0〜4個のJで必要に応じて置換されている8〜12員の二環式ヘテロアリールである。
【0024】
いくつかの実施形態において、Rは、6:6環系である。6:6環系は、二環式の縮合環系であり、ここで上記環系内の各単環式環は、6個の環原子を含む。
【0025】
【化7】

6:6環系は、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和(すなわち、芳香族)のいずれかであり得る。6:6環系の例としては、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、ピリドピリミジン、およびナフチリジンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、Rは、キノリンである。
【0026】
他の実施形態において、Rは、6:5環系である。
【0027】
【化8】

6:5環系は、二環式の縮合環系であって、ここで上記環系内の一方の単環式環は、6個の環原子を含み、上記環系内の他方の単環式環は、5個の環原子を含むものである。
【0028】
6:5環系は、飽和、部分的に飽和、もしくは完全に不飽和(すなわち、芳香族)のいずれかであり得る。6:5環系の例としては、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾロピリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、イミダゾピリミジン、およびベンゾチオフェンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、Rは、2個の窒素原子を含む6:5環系である。いくつかの実施形態において、Rは、ベンゾイミダゾール、インダゾール、もしくはイミダゾピリジン環である。いくつかの実施形態において、Rは、ベンゾイミダゾール環である。
【0029】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を提供し、ここで:
Htは、
【0030】
【化9】

であり;
は、H、C1−3アルキル、もしくはシクロプロピルであり;
2’は、Hであり;
Qは、−O−、−S−、もしくは−C(R’)−であり;
は、HもしくはFであり;
は、
【0031】
【化10】

であり;
各Jは、独立して、FもしくはC1−6アルキルであり;
R’は、HもしくはC1−3アルキルであるか、または2個のR’が、これらが結合される炭素原子と一緒になって、C3−5シクロアルキルを形成し;
nは1もしくは2であり;
は、H、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはO、N、もしくはSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルであり;ここで上記アルキル、脂環式もしくはヘテロシクリルは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されており;
は、O、N、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含みかつ0〜4個のJで必要に応じて置換されている8〜12員の二環式ヘテロアリール環であり;そして
各Jは、独立して、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、ハロ、もしくはオキソであり、ここで各C1−6アルキルは、0〜6個のフルオロで必要に応じて置換されている。
【0032】
いくつかの実施形態において、Qは−S−である。
【0033】
いくつかの実施形態において、Htは、
【0034】
【化11】

である。あるいは、別の実施形態において、Htは、
【0035】
【化12】

である。
【0036】
他の実施形態において、Rは、C1−3アルキルもしくはシクロプロピルである。さらに他の実施形態において、R2’は、Hである。
【0037】
いくつかの実施形態において、RはHである。
【0038】
いくつかの実施形態において、nは1である。他の実施形態において、nは2である。
【0039】
いくつかの実施形態において、Rは、H、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。他の実施形態において、Rは、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。さらに他の実施形態において、Rは、H、C2−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Rは、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである。他の実施形態において、Rは、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1−6アルキルである。他の実施形態において、Rは、C2−6アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1−6ハロアルキルである。他の実施形態において、Rは、C2−6ハロアルキルである。さらに他の実施形態において、Rは、C3−6シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、C2−6ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、上記ヘテロシクリルは、1〜2個の窒素原子を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、Rは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されている。
【0041】
別の実施形態において、Rは、O、N、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含みかつ0〜4個のJで必要に応じて置換されている8〜12員の二環式ヘテロアリールである。
【0042】
いくつかの実施形態において、Rは、6:6環系である。
【0043】
他の実施形態において、Rは、6:5環系である。
【0044】
いくつかの実施形態において、式Iの変数としては、以下の表1に示されるものが挙げられる。
【0045】
別の実施形態は、以下から選択される化合物を提供する:
【0046】
【表1−1】

【0047】
【表1−2】

【0048】
【表1−3】

本発明の目的に関して、化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,H and book of Chemistry and Physics,第75版に従って同定される。さらに、有機化学の一般原理は、当業者に公知の文献中に記載され、これらの文献としては、例えば、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」,第5版,編者:Smith,M.B.およびMarch,J.,John Wiley&Sons,New York:2001(これらの内容全体が、本明細書に参考として援用される)が挙げられる。
【0049】
本明細書に記載される場合、原子の特定された数値範囲は、その中の任意の整数を含む。例えば、1〜4個の原子を有する基は、1個、2個、3個、もしくは4個の原子を有し得る。
【0050】
本明細書に記載される場合、本発明の化合物は、1個以上の置換基(例えば、一般に上記に例示されるか、または本発明の特定のクラス、サブクラスもしくは種によって例示される)で、必要に応じて置換され得る。語句「必要に応じて置換される」とは、語句「置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい(substituted or unsubstituted)」と交換可能に使用されることが認識される。一般に、用語「置換される」とは、用語「必要に応じて」が前に付いていようとそうでなかろうと、所定の構造中の水素ラジカルを、特定された置換基のラジカルで置換することをいう。別段示されない限り、必要に応じて置換された基は、上記基の各置換可能な位置において置換基を有し得、そして任意の所定の構造における1個より多い位置が、特定された基から選択される1個より多い置換基で置換され得る場合、上記置換基は、あらゆる位置で同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定なもしくは化学的に可能な化合物の形成を生じるものである。
【0051】
用語「安定な」とは、本明細書で使用される場合、生成、検出、および好ましくは、回収、精製、ならびに本明細書で開示される目的のうちの1つ以上のための使用を可能にする条件に供される場合に実質的に変化しない化合物をいう。いくつかの実施形態において、安定な化合物もしくは化学的に可能な化合物は、水分の非存在下でも、他の化学的に反応性の条件の非存在下でも、少なくとも1週間にわたって40℃以下の温度で維持される場合に、実質的に変化しないものである。
【0052】
用語「脂肪族」もしくは「脂肪族基」などとは、本明細書で使用される場合、非分枝状もしくは分枝状の、直鎖もしくは環式の、置換されているかもしくは置換されていない、完全に飽和した炭化水素、またはその分子の残りに対して単一の結合点を有する1つ以上の不飽和の単位を含む炭化水素を意味する。適切な脂肪族基としては、直鎖もしくは分枝鎖の、置換されているかもしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、ビニル、n−ブテニル、エチニル、およびtert−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
用語「脂環式」(もしくは「炭素環(carbocycle)」もしくは「カルボシクリル(carbocyclyl)」もしくは「シクロアルキル」など)とは、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和の単位を含むが芳香族ではなく、その分子の残りに対して単一の結合点を有する、単環式のC−C炭化水素もしくは二環式のC−C12炭化水素(ここで上記二環式環系の中の任意の個々の環は3〜7員を有する)をいう。適切な脂環式基としては、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、シクロヘキシル、シクロプロペニル、およびシクロブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、完全に飽和しておりかつその分子の残りにたいして単一の結合点を有する、非分枝状もしくは分枝状の、直鎖もしくは環式の炭化水素を意味する。段示されない限り、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含む。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、およびsec−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の化合物において、環は、直線的に縮合しているか、架橋しているか、もしくはスピロ環式の環を含む。架橋脂環式基の例としては、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、およびビシクロ[3.2.2]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、もしくは「複素環式」などとは、本明細書において使用される場合、1個以上の環員が独立して選択されるヘテロ原子である、非芳香族の、単環式もしくは二環式の環を意味する。いくつかの実施形態において、上記「複素環」、「ヘテロシクリル」、もしくは「複素環式」基は、1個以上の環員が、酸素、硫黄、窒素、もしくはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、上記系中の各環が3〜7個の環員を含む、3〜10個の環員を有する。架橋複素環の例としては、7−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
適切な複素環としては、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンゾイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「Ht」とは、「Het」と交換可能でありかつ
【0059】
【化13】

である。
【0060】
用語「ヘテロ原子」とは、酸素、硫黄、窒素、リン、もしくはケイ素(窒素、硫黄、リン、もしくはケイ素の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態または;複素環式環の置換可能な窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のもののような)、NH(ピロリジニル中のもののような)もしくはNR(N−置換されたピロリジニル中のもののような))のうちのいずれかを含む)のうちの1個以上を意味する。
【0061】
用語「アリール」とは、合計5〜12個の環員を有し、上記系中の少なくとも1個の環が芳香族でありかつ上記系中の各環が3〜7個の環員を含む、単環式の、もしくは二環式の環をいう。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。用語「アリール」はまた、本明細書中で以下に定義されるような、ヘテロアリール環系をいう。
【0062】
用語「ヘテロアリール」とは、合計5〜12個の環員を有し、上記系中の少なくとも1個の環が芳香族であり、上記系中の少なくとも1個の環が1個以上のヘテロ原子を含み、そして上記系中の各環が3〜7個の環員を含む、単環式のもしくは二環式の環をいう。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」もしくは用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。適切なヘテロアリール環としては、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、ならびにイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、もしくは4−イソキノリニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
用語「不飽和の」とは、本明細書で使用される場合、1個以上の不飽和単位を有するものを意味する。
【0064】
用語「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、もしくはIを意味する。
【0065】
用語「保護基」とは、本明細書で使用される場合、多官能性化合物中の1個以上の所望の反応性部位を一時的にブロックするために使用される薬剤をいう。特定の実施形態において、保護基は、以下の特徴のうちの1個以上、もしくは好ましくは、全てを有する:a)他の反応性部位のうちの1個以上に起こる反応に安定である、保護された基質を与えるように、良好な収率で選択的に反応する;およびb)再生された官能基を攻撃しない試薬によって、良好な収率で選択的に除去可能である。例示的な保護基は、Greene,T.W.,Wuts,P.G 「Protective Groups in Organic Synthesis」,Third Edition,John Wiley & Sons,New York:1999、およびこの書籍の他の改訂版(これらの内容全体は、本明細書に参考として援用される)に詳述される。用語「窒素保護基」とは、本明細書で使用される場合、多官能性化合物中の1個以上の望ましい窒素反応性部位を一時的にブロックするために使用される試薬をいう。好ましい窒素保護基はまた、上記に例示される特徴を有し、特定の例示的窒素保護基はまた、Greene,T.W.,Wuts,P.G「Protective Groups in Organic Synthesis」,第3版,John Wiley & Sons,New York:1999の第7章(その内容全体は、本明細書に参考として援用される)に詳述される。
【0066】
別段示されない限り、本明細書に記載される構造はまた、上記構造の全ての異性形態(例えば、鏡像異性形態、ジアステレオマー形態、および幾何異性形態(もしくはコンホメーション形態));例えば、各不斉中心のR配置およびS配置、(Z)二重結合異性体および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)コンホメーション異性体および(E)コンホメーション異性体を含むことように意味される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学的混合物、ならびに鏡像異性混合物、ジアステレオマー混合物、および幾何異性混合物(もしくはコンホメーション混合物)は、本発明の範囲内である。
【0067】
別段示されない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。当業者によって理解されるように、ピラゾール基は、種々の様式において示され得る。例えば、
【0068】
【化14】

として示される構造はまた、他の考えられる互変異性体(例えば、
【0069】
【化15】

)を表す。同様に、
【0070】
【化16】

として示される構造はまた、他の考えられる互変異性体(例えば、
【0071】
【化17】

)を表す。
【0072】
別段示されない限り、置換基は、任意の回転可能な結合の周りに自由に回転し得る。例えば、
【0073】
【化18】

として示される置換基はまた、
【0074】
【化19】

を表す。同様に、
【0075】
【化20】

として示される置換基はまた、
【0076】
【化21】

を表す。
【0077】
さらに、別段示されない限り、本明細書に記載される構造はまた、1個以上の同位元素的に富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことが意味される。例えば、水素が重水素もしくはトリチウムによって置換されているか、または炭素が13C富化もしくは14C富化され他炭素によって置換されていることを除いて、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおいて分析ツールもしくはプローブとして有用である。
【0078】
本発明の化合物は、当業者に一般に公知の工程を使用して、本明細書に鑑みて調製され得る。それら化合物は、LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析法)およびNMR(核磁気共鳴法)が挙げられるが、これらに限定されない公知の方法によって分析され得る。以下に示される特定の条件が単なる例であって、本発明の化合物を作製するために使用され得る条件の範囲を制限することを意味しないことは、理解されるべきである。代わりに、本発明はまた、本発明の化合物を作製するために本明細書に鑑みて、当業者に明らかである条件を含む。別段示されない限り、以下のスキームにおける全ての変数は、本明細書において定義されるとおりである。
【0079】
スキームI
【0080】
【化22】

上記のスキームIは、本発明の化合物を作製するための一般法を示す。本発明の化合物は、上記に示されるように、種々の様式において作製され得る。本質的には、3つの主要なグループが、ジクロロピリミジン出発物質に添加される。これらのグループが添加される順序は、変動し得る。関与する上記3つの主要な反応は、以下のとおりである:ピペラジンもしくはホモピペラジンの添加、アミノ−ヘテロアリールの添加、および−Q−Rの添加(これは、−SMeを、適切な脱離基(例えば、SOMe)へ酸化することを包含する)。上記に示されるように、上記ピペラジンもしくはホモピペラジン、アミノ−ヘテロアリール、および−Q−Rは、種々の異なる順序で添加され得る。例えば、上記アミノ−ヘテロアリール(amino−heteoraryl)は、最初に添加され得、続いて、上記ピペラジンもしくはホモピペラジンが添加され得、酸化され得、最後に、−Q−Rが添加され得る。または代わりに、酸化が最初に行われ得、続いて、−Q−Rの添加、上記アミノ−ヘテロアリールの添加、最後に、上記ピペラジンもしくはホモピペラジンの添加が行われ得る。当業者は、上記に示される種々の反応を理解する。
【0081】
さらに、本発明の化合物は、WO 2004/000833に示される方法に従って調製され得る。
【0082】
さらに、本発明は、本発明の化合物を作製するためのプロセスに関する。
【0083】
本発明の化合物の活性を評価するための方法(例えば、キナーゼアッセイ)は、当該分野で公知であり、また、示される実施例中に記載される。
【0084】
プロテインキナーゼインヒビターとしての上記化合物の活性は、インビトロで、インビボで、もしくは細胞株においてアッセイされ得る。インビトロアッセイは、上記活性化されたキナーゼのキナーゼ活性もしくはATPase活性のいずれかの阻害を決定するアッセイを包含する。代わりのインビトロアッセイは、上記インヒビターが上記プロテインキナーゼに結合する能力を定量し、結合の前に上記インヒビターを放射性標識し、上記インヒビター/キナーゼ複合体を単離し、そして結合した放射性標識の量を決定することによるか、または新たなインヒビターを、既知の放射性標識に結合したキナーゼとともにインキュベートする競合実験を行うことによるかのいずれかによって、測定され得る。
【0085】
本発明の別の局面は、生物学的サンプル中のキナーゼ活性を阻害することに関し、その方法は、上記生物学的サンプルと、式Iの化合物もしくは上記化合物を含む組成物とを接触する工程を包含する。用語「生物学的サンプル」とは、本明細書で使用される場合、インビトロもしくはエキソビボサンプル(細胞培養物もしくはその抽出物;哺乳動物から得られる生検材料もしくはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくは他の体液またはその抽出物が挙げられるが、これらに限定されない)を意味する。
【0086】
生物学的サンプル中のキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例としては、輸血、臓器移植、生物学的標本の貯蔵、および生物学的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
生物学的サンプル中のキナーゼ活性の阻害はまた、生物学的現象および病理学的現象におけるキナーゼの研究;このようなキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究;新たなキナーゼインヒビターの比較評価のために有用である。
【0088】
上記Auroraプロテインキナーゼインヒビターもしくはその薬学的な塩は、動物もしくはヒトへの投与のための薬学的組成物に処方され得る。これら薬学的組成物は、Aurora媒介性状態を処置もしくは予防するに有効な量の上記Auroraタンパク質インヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含み、本発明の別の実施形態である。
【0089】
用語「Aurora媒介性状態」もしくは「Aurora媒介性疾患」とは、本明細書において使用される場合、Aurora(Aurora A、Aurora B、およびAurora C)がある役割を果たすことが公知である任意の疾患もしくは他の有害な状態を意味する。このような状態としては、癌、増殖性障害、および骨髄増殖性障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
骨髄増殖性障害の例としては、真性赤血球増加症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病、および全身性マスト細胞疾患(systemic mast cell disease)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
用語「癌」としてはまた、以下の癌が挙げられるが、これらに限定されない:類表皮 口:頬腔、口唇、舌、口、咽頭;心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支癌(扁平上皮細胞もしくは類表皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)腺癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様新生血管種、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、喉頭、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫(carcinoid tumor)、ビポーマ)、小腸(small bowel or small intestine)(腺癌、リンパ腫、類癌腫、カポージ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(large bowel or large intestine)(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸−直腸(colon−rectum)、結腸直腸(colorectal);直腸、尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌腫、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌種)、肝内胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺癌(hepatocellular adenoma)、血管腫、胆道(biliary passage);骨:骨肉腫(osteogenic sarcoma(osteosarcoma))、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨大細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨外骨腫(osteocartilaginous exostoses))、良性軟骨腫、軟骨芽種、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、脳室上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多型性グリア芽細胞腫、希突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜外細胞腫、先天性腫瘍(congenital tumor))、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科学:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚管(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成(pre−tumor cervical dysplasia))、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢腺癌、粘液性嚢胞腺癌(mucinous cystadenocarcinoma)、未分類癌腫]、果粒膜−卵胞膜(thecal)細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、女性外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(透明細胞癌腫、扁平上皮癌、ぶどう状肉腫(胎児性横紋筋肉腫(embryonal rhabdomyosarcoma))、卵管(癌腫)、乳房;血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性]ヘアリーセル;リンパ性障害;皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポージ肉腫、ケラトアカントーマ、異形成性母斑(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬、甲状腺:乳頭性甲状腺癌(papillary thyroid carcinoma)、濾胞性甲状腺癌(follicular thyroid carcinoma);髄質甲状腺癌(medullary thyroid carcinoma)、未分化甲状腺癌、多発性内分泌新形成タイプ2A、多発性内分泌新形成タイプ2B、家族性髄質甲状腺癌、クロム親和性細胞腫、副神経節腫;および副腎:神経芽細胞腫。従って、用語「癌細胞」とは、本明細書において提供される場合、上記に同定された状態のうちのいずれか1つに罹患している細胞を包含する。いくつかの実施形態において、上記癌は、結腸直腸癌、甲状腺癌、もしくは乳癌から選択される。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、癌(例えば、結腸直腸癌、ならびに甲状腺癌、乳癌、および肺癌);ならびに骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄化生、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病、および全身性マスト細胞疾患)を処置するために有用である。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、造血障害(特に、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性前骨髄芽球性白血病(APL)、および急性リンパ性白血病(ALL))を処置するために有用である。
【0094】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の薬学的に受容可能な誘導体もしくはプロドラッグはまた、上記に同定された障害を処置もしくは予防するために組成物中で使用され得る。
【0095】
「薬学的に受容可能な誘導体もしくはプロドラッグ」とは、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能なエステル、エステルの塩もしくは他の誘導体を意味し、これらは、レシピエントへの投与の際に、本発明の化合物またはその阻害的に活性な代謝産物もしくは残渣を、直接的かもしくは間接的かのいずれかで提供することができる。このような誘導体もしくはプロドラッグは、このような化合物が患者に投与される場合に(例えば、経口的に投与される化合物が、血液により容易に吸収されることを可能にすることによって)、本発明の化合物のバイオアベイラビリティーを増大させるもの、または親種と比較して、生物学的区画(例えば、脳もしくはリンパ系)へ親化合物の送達を増強するものを包含する。
【0096】
本発明の化合物の薬学的に受容可能なプロドラッグの例としては、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
本発明の化合物は、処置のための自由な形態で存在し得るか、または適切な場合、薬学的に受容可能な塩として存在し得る。
【0098】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、正しい医学的判断の範囲内において、過度な毒性、刺激、アレルギー性応答などなしでヒトおよび下等動物の組織と接触した状態で使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比と釣り合っている化合物の塩をいう。
【0099】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、適切な無機酸および無機塩基、ならびに有機酸および有機塩基から得られるものが挙げられる。これらの塩は、上記化合物の最終的な単離および精製の間に、インサイチュで調製され得る。酸付加塩は、1)その遊離塩基形態にある上記精製化合物と、適切な有機酸もしくは無機酸とを反応させる工程、および2)そのように形成された塩を単離する工程によって調製され得る。
【0100】
適切な酸塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタノエート、グリセロリン酸塩、グリコレート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体では、薬学的に受容可能ではないが、本発明の化合物およびこれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得ることにおける中間体として有用な塩の調製において使用され得る。
【0101】
塩基付加塩は、1)その酸形態にある上記精製化合物と、適切な有機塩基もしくは無機塩基とを反応させる工程、および2)そのように形成された塩を単離する工程、によって調製され得る。
【0102】
適切な塩基から得られる塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書で開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。水もしくは油溶性または分散性の生成物は、このような四級化によって得られ得る。
【0103】
塩基付加塩はまた、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切な場合、対イオン(例えば、ハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)を使用して形成される非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。他の酸および塩基は、それ自体では薬学的に受容可能ではないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩もしくは塩基付加塩を得ることにおいて中間体として有用な塩の調製において使用され得る。
【0104】
これら薬学的組成物において使用され得る薬学的に受容可能なキャリアとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝化剤物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム(magnesium tisilicate)、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の組成物は、経口投与され得るか、非経口投与され得るか、吸入スプレーによって投与され得るか、局所投与され得るか、直腸に投与され得るか、経鼻的に投与され得るか、口内に投与され得るか、膣に投与され得るか、もしくは移植されたレザバを介して投与され得る。用語「非経口的」とは、本明細書において使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、鞘内、腹腔内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内の注射もしくは注入の技術を包含する。
【0106】
本発明の組成物の滅菌注射可能形態は、水性懸濁物であってもよいし、油性懸濁物であってもよい。これら懸濁物は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射可能調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射可能溶液もしくは懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る上記受容可能なビヒクルおよび溶媒の中でも、水、リンゲル溶液、および陶業性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来から使用されている。この目的に関して、刺激の強くない不揮発性油が使用され得、これらとしては、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油もしくはひまし油)、特に、それらのポリオキシエチレン化バージョンのように、注射可能物の調製において有用である。これら油溶液もしくは懸濁剤はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、もしくはエマルジョンおよび懸濁物を含む薬学的に受容可能な投与量の処方物において一般に使用される類似の分散剤を含み得る。他の一般に使用される界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤)または薬学的に受容可能な固体、液体、もしくは他の投与形態の製造において一般に使用されるバイオアベイラビリティー増強剤はまた、処方目的で使用され得る。
【0107】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投与形態において経口投与され得る。上記投与形態としては、カプセル剤、錠剤、水性懸濁物もしくは液剤が挙げられるが、これらに限定されない。経口用途のための錠剤の場合、一般に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられ得る。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)がまた、添加され得る。カプセル形態における経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられ得る。水性懸濁物が経口用途に必要とされる場合、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と合わされ得る。望ましい場合、特定の甘味剤、矯味矯臭剤もしくは着色剤もまた、添加され得る。
【0108】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための坐剤の形態において投与され得る。これらは、上記薬剤と、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で融解して、上記薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製され得る。このような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられ得る。
【0109】
本発明の薬学的組成物はまた、特に、上記処置の標的が、眼、皮膚、もしくは下部腸管の疾患を含む、局所投与によって容易に接近可能である領域もしくは臓器を含む場合に、局所的に投与され得る。適切な局所用処方物は、これら領域もしくは臓器の各々のために調製され得る。
【0110】
下部腸管のための局所適用は、腸坐剤処方物(上記を参照のこと)において、もしくは適切な浣腸処方物において行われ得る。局所的に経皮的なパッチもまた、使用され得る。
【0111】
局所適用のために、上記薬学的組成物は、1種以上のキャリア中に懸濁もしくは溶解される上記活性成分を含む適切な軟膏において処方され得る。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、上記薬学的組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁もしくは溶解される活性成分を含む適切なローション剤もしくはクリーム剤中に処方され得る。適切なキャリアとしては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール(cetearyl alcohol)、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0112】
眼の用途のために、上記薬学的組成物は、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム(benzylalkonium chloride))ありまたはなしのいずれかで、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の微細な懸濁物として、または等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液として、処方され得る。あるいは、眼の用途のために、上記薬学的組成物は、軟膏(例えば、ワセリン(petrolatum))中に処方され得る。
【0113】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻用エアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような組成物は、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の溶解剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0114】
単一の投与形態を生じるようにキャリア物質と合わされ得るキナーゼインヒビターの量は、処置される宿主、特定の投与様式、および適応症に依存して変動する。一実施形態において、上記組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の間の投与量のインヒビターが、これら組成物を受容する患者に投与され得るように処方されるべきである。別の実施形態において、上記組成物は、0.1〜100mg/kg体重/日の間の投与量のインヒビターが、これら組成物を受容する患者に投与され得るように、処方されるべきである。
【0115】
任意の特って胃の患者のための特定の投与量および処置レジメンが、種々の要員(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組み合わせ、ならびに処置する医師の判断および処置されている特定の疾患の重篤度が挙げられる)に依存することも、理解されるべきである。インヒビターの量はまた、上記組成物中の特定の化合物に依存する。
【0116】
別の実施形態によれば、本発明は、癌、増殖性障害、もしくは骨髄増殖性障害を処置もしくは予防するための方法を提供し、上記方法は、本明細書に記載される化合物もしくは薬学的組成物のうちの1つを患者に投与する工程を包含する。
【0117】
用語「患者」とは、本明細書で使用される場合、動物(ヒトを含む)を意味する。
【0118】
いくつかの実施形態において、上記方法は、造血障害(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄芽球性白血病(APL)、慢性骨髄性白血病(CML)、もしくは急性リンパ性白血病(ALL))を処置もしくは予防するために使用される。
【0119】
他の実施形態において、上記方法は、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病、および全身性マスト細胞疾患)を処置もしくは予防するために使用される。
【0120】
さらに他の実施形態において、上記方法は、癌(例えば、乳癌、結腸癌、前立腺癌、皮膚癌、膵臓癌、脳の癌、尿生殖路の癌、リンパ系の癌、胃癌、喉頭および肺の癌(肺腺癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌が挙げられる))を処置もしくは予防するために使用される。
【0121】
別の実施形態は、癌を処置もしくは予防するための方法を提供し、上記方法は、式Iの化合物もしくは上記化合物を含む組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0122】
本発明の別の局面は、患者におけるキナーゼ活性を阻害することに関し、その方法は、式Iの化合物もしくは上記化合物を含む組成物を上記患者に投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記キナーゼは、Auroraキナーゼ(Aurora A、Aurora B、Aurora C)、Abl、Arg、FGFR1、MELK、MLK1、MuSK、Ret、もしくはTrkAである。
【0123】
処置もしくは予防されるべき特定の状態に依存して、さらなる薬物が、本発明の化合物と一緒に投与され得る。いくつかの場合において、これらさらなる薬物は、同じ状態を処置もしくは予防するために通常は投与される。例えば、化学療法剤もしくは他の抗増殖性薬剤は、増殖性疾患を処置するために、本発明の化合物と合わされ得る。
【0124】
本発明の別の局面は、被験体における癌を処置するための方法に関し、上記方法は、本発明の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩、および別の治療剤の逐次投与もしくは同時投与を包含する。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、抗癌剤、抗増殖性薬剤、もしくは化学療法剤から選択される。
【0125】
いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、カンプトテシン、MEKインヒビター:U0126、KSP(キネシン紡錘体タンパク質)インヒビター、アドリアマイシン、インターフェロン、および白金誘導体(例えば、シスプラチン)から選択される。
【0126】
他の実施形態において、上記さらなる治療剤は、タキサン;bcr−ablのインヒビター(例えば、グリベック、ダサチニブ、およびニロチニブ);EGFRのインヒビター(例えば、タルセバおよびイレッサ);DNA損傷剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、トポイソメラーゼインヒビター、およびアントラサイクリン);および代謝拮抗物質(例えば、AraCおよび5−FU)から選択される。
【0127】
さらに他の実施形態において、上記さらなる治療剤は、カンプトテシン、ドキソルビシン、イダルビシン、シスプラチン、タキソール、タキソテール、ビンクリスチン、タルセバ、MEKインヒビター、U0126、KSPインヒビター、ボリノスタット、グリベック、ダサチニブおよびニロチニブから選択される。
【0128】
別の実施形態において、上記治療剤は、ダサチニブである。
【0129】
別の実施形態において、上記治療剤は、ニロチニブである。
【0130】
別の実施形態において、上記さらなる治療剤は、Her−2インヒビター(例えば、ハーセプチン);HDACインヒビター(例えば、ボリノスタット)、VEGFRインヒビター(例えば、アバスチン)、c−KITおよびFLT−3インヒビター(例えば、スニチニブ)、BRAFインヒビター(例えば、バイエルのBAY 43−9006)、MEKインヒビター(例えば、ファイザーのPD0325901);および紡錘体毒素(例えば、エポチロン)およびパクリタキセルタンパク質結合粒子(例えば、Abraxane(登録商標))から選択される。
【0131】
本発明の交換剤と組み合わせて使用され得る他の治療もしくは抗癌剤としては、外科手術、放射線療法(単にいくつかの例を挙げると、ガンマ線照射、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、タンパク質治療、筋節照射療法、および全身性放射活性同位体)、内分泌治療、生物学的応答改変剤(いくらか挙げると、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子(TNF))、高体温療法および低温療法、任意の有害な効果を減弱するための薬剤(例えば、制吐剤)、および他の承認された化学療法剤(アルキル化剤(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗物質(メトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン)、紡錘体毒素(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機物イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、グリベックTM、デキサメタゾン、およびシクロホスファミドが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0132】
本発明の化合物はまた、以下の治療剤と組み合わせて癌を処置するために有用であり得る:アバレリックス(Plenaxisデポー(登録商標));アルデスロイキン(Prokine(登録商標));アルデスロイキン(Proleukin(登録商標));アレムツズマブ(Campath(登録商標));アリトレチノイン(Panretin(登録商標));アロプリノール(Zyloprim(登録商標));アルトレタミン(Hexalen(登録商標));アミホスチン(Ethyol(登録商標));アナストロゾール(Arimidex(登録商標));三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標));アザシチジン(Vidaza(登録商標));ベバシズマブ(Avastin(登録商標));ベキサロテンカプセル剤(Targretin(登録商標));ベキサロテンゲル(Targretin(登録商標));ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標));ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));ブスルファン静注(intravenous)(Busulfex(登録商標));ブスルファン経口(Myleran(登録商標));カルステロン(Methosarb(登録商標));カペシタビン(Xeloda(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(Gliadel(登録商標));カルムスチンとPolifeprosan 20インプラント(Gliadel Wafer(登録商標));セレコキシブ(Celebrex(登録商標));セツキシマブ(Erbitux(登録商標));クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シスプラチン(Platinol(登録商標));クラドリビン(Leustatin(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(Clolar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Injection(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(登録商標));シタラビン(Cytosar−U(登録商標));シタラビンリポソーム(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(Cosmegen(登録商標));ダルベポエチンα(Aranesp(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Daunorubicin(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerubidine(登録商標));デニロイキンジフチトクス(Ontak(登録商標));デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標));ドセタキセル(Taxotere(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS Injection(登録商標));ドキソルビシンリポソーム(Doxil(登録商標));ドロモスタノロンプロピオネート(ドロモスタノロン(登録商標));ドロモスタノロンプロピオネート(masterone injection(登録商標));Elliott’s B Solution(Elliott’s B Solution(登録商標));エピルビシン(Ellence(登録商標));エポエチンα(epogen(登録商標));エルロチニブ(Tarceva(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));エトポシドホスフェート(Etopophos(登録商標));エトポシド、VP−16(Vepesid(登録商標));エキセメスタン(Aromasin(登録商標));フィルグラスチム(Neupogen(登録商標));フロクスウリジン(動脈内注入(intraarterial))(FUDR(登録商標));フルダラビン(Fludara(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(Adrucil(登録商標));フルベストラント(Faslodex(登録商標));ゲフィチニブ(Iressa(登録商標));ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標));ゴセレリンアセテート(Zoladex Implant(登録商標));ゴセレリンアセテート(Zoladex(登録商標));ヒストレリンアセテート(Histrelin implant(登録商標));ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標));イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標));イホスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシレート(Gleevec(登録商標));インターフェロンα2a(Roferon A(登録商標));インターフェロンα−2b(Intron A(登録商標));イリノテカン(Camptosar(登録商標));レナリドマイド(Revlimid(登録商標));レトロゾール(Femara(登録商標));ロイコボリン(Wellcovorin(登録商標)、Leucovorin(登録商標));ロイプロリドアセテート(Eligard(登録商標));レバミソール(Ergamisol(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(Mustargen(登録商標));メゲステロールアセテート(Megace(登録商標));メルファラン、L−PAM(Alkeran(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(Purinethol(登録商標));メスナ(Mesnex(登録商標));メスナ(Mesnex tabs(登録商標));メトトレキサート(Methotrexate(登録商標));メトキサレン(Uvadex(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ミトータン(Lysodren(登録商標));ミトキサントロン(Novantrone(登録商標));ナンドロロンフェンプロピオネート(Durabolin−50(登録商標));ネララビン(Arranon(登録商標));ノフェツモマブ(Verluma(登録商標));オプレルベキン(Neumega(登録商標));オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));パクリタキセル(Paxene(登録商標));パクリタキセル(Taxol(登録商標));パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標));パリフェルミン(Kepivance(登録商標));パミドロネート(Aredia(登録商標));ペガデマーゼ(Adagen(Pegademase Bovine)(登録商標));ペガスパルガーゼ(Oncaspar(登録商標));ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));ペメトレキセド・二ナトリウム(Alimta(登録商標));ペントスタチン(Nipent(登録商標));ピポブロマン(Vercyte(登録商標));プリカマイシン、ミスラマイシン(Mithracin(登録商標));ポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標));プロカルバジン(Matulane(登録商標));キナクリン(Atabrine(登録商標));ラスブリカーゼ(Elitek(登録商標));リツキシマブ(Rituxan(登録商標));サルグラモスチム(Leukine(登録商標));サルグラモスチム(Prokine(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));スニチニブマレエート(Sutent(登録商標));タルク(Sclerosol(登録商標));タモキシフェン(Nolvadex(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標));テニポシド、VM−26(Vumon(登録商標));テストラクトン(Teslac(登録商標));チオグアニン、6−TG(Thioguanine(登録商標));チオテパ(Thioplex(登録商標));トポテカン(Hycamtin(登録商標));トレミフェン(Fareston(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トシツモマブ/I−131 トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トラスツズマブ(Herceptin(登録商標));トレチノイン、ATRA(Vesanoid(登録商標));ウラシルマスタード(Uracil Mustard Capsules(登録商標));バルルビシン(Valstar(登録商標));ビンブラスチン(Velban(登録商標));ビンクリスチン(Oncovin(登録商標));ビノレルビン(Navelbine(登録商標));ゾレドロネート(Zometa(登録商標))およびボリノスタット(Zolinza(登録商標))。
【0133】
最新の癌治療の総合的考察については、http://www.nci.nih.gov/を、FDA承認腫瘍学薬物のリストについては、http://www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe.htm、およびThe Merck Manual,Seventeenth Ed.1999(これらの内容善愛は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0134】
別の実施形態は、組み合わせた調製物の同時の、別個の、もしくは逐次的な使用を提供する。
【0135】
それらのさらなる薬剤は、複数の投薬レジメンの一部として、上記キナーゼインヒビター含有化合物もしくは組成物とは別個に投与され得る。あるいは、それらの薬剤は、単一の投与形態の一部であってもよいし、単一組成物中の上記キナーゼインヒビターと一緒に混合されていてもよい。
【0136】
本発明がより完全に理解されるために、以下の実施例が記載される。これら実施例は、例示目的のために過ぎず、いかようにも本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。本明細書で引用される全ての文献は、本明細書に参考として援用される。
【実施例】
【0137】
本明細書で使用される場合、用語「Rt(分)」とは、化合物と関連するHPLC保持時間(分単位)をいう。別段示されない限り、報告された保持時間を得るために利用されるHPLC法は、以下の通りである:
カラム:ACE C8カラム,4.6×150mm
勾配:0〜100% アセトニトリル+メタノール 60:40(20mM トリスホスフェート)
流速:1.5mL/分
検出:225nm。
【0138】
質量分析サンプルを、エレクトロスプレーイオン化付きのシングルMSモードで操作されるMicroMass Quattro Micro質量分析計で分析した。サンプルを、クロマトグラフィーを用いて質量分析計に導入した。全ての質量分析についての移動相は、10mM pH7 酢酸アンモニウムおよび1:1 アセトニトリル−メタノール混合物からなり、カラム勾配条件は、3.5分勾配時間に対して5%〜100% アセトニトリル−メタノールおよびACE C8 3.0×75mmカラム上で5分のランタイムであった。流速は、1.2ml/分であった。
【0139】
H−NMRスペクトルを、Bruker DPX 400機器を用いて400MHzで記録した。
【0140】
以下の式Iの化合物を、本明細書に記載されるスキームおよび実施例に示される方法に従って調製した。上記化合物をまた、本明細書に記載される方法に従って分析した。
【0141】
スキームII
【0142】
【化23】

(実施例1:2−(8−フルオロ−2−メチルキノリン−6−イルチオ)−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−6−(4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ピリミジン−4−アミン(I−13))
【0143】
【化24】

(方法A:6−クロロ−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−アミン)
【0144】
【化25】

DMF(100ml)中の4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(25g,0.128mol)の攪拌溶液に、ジイソプロピルアミン(19.8g,0.154mol)を添加し、続いて、3−アミノ−5−メチルピラゾール(13.7g,0.154mol)を少しずつ10分間かけて添加した。上記溶液を16時間にわたって50℃に加熱し、その後、上記出発物質の全てを、反応させた(LC/MS分析によって)。上記混合物を周囲温度にまで冷却し、水の中に注いだ(250ml)。その沈殿物を濾過し、その湿った固体を、ジエチルエーテル(300ml)中でスラリーにした。上記固体を再び濾過し、メタノール(100ml)中で再度スラリーにした。その濾過した生成物を焼結器に入れて風乾し、次いで、真空下でさらに乾燥させて、乳白色固体として標題化合物を得た(22.1g,66%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 2.22(3H,s),3.31(3H,s),6.00−7.50(2H,br m),10.17(1H,s),12.10(1H,s); MS (ES) 256, (ES) 254。
【0145】
(方法B:6−クロロ−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−アミン)
【0146】
【化26】

アイスバス中で冷却したMeOH(200ml)中の6−クロロ−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−アミン(8g,31.19mmol)の攪拌溶液に、水(100ml)中のオキソン(44g,71.73mmol)のスラリーを10分かけて少しずつ添加した。上記反応混合物をこの温度でさらに30分間攪拌し、その後、2時間にわたって室温にまで加温した。濾過によって単離した上記固体を、水と飽和重炭酸塩溶液との1:1混合物中で激しく攪拌した。次いで、その固体を濾過し、ピストル(pistol)中で、真空下で乾燥させて、黄色固体として標題化合物を得た(7.17g,80%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 2.23(3H,s),3.32(3H,s),5.80−8.10(2H,br m),10.92(1H,br s),12.26(1H,br s); MS (ES) 288, (ES) 286。
【0147】
(方法C:6−クロロ−2−(8−フルオロ−2−メチルキノリン−6−イルチオ)−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン)
【0148】
【化27】

BuOH(25ml)中の8−フルオロ−2−メチルキノリン−6−チオール(1.21g,6.27mmol)の攪拌溶液に、6−クロロ−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−アミン(1.5g,5.22mmol)を添加した。上記反応混合物を3回脱気し(真空/N)、その後、18時間にわたって90℃に加熱した。その粗製混合物を、真空中で部分的に濃縮した。その得られた固体を濾過し、酢酸エチルおよびKCOの水溶液で洗浄した。その固体をpistol中で、真空下で乾燥させて、乳白色固体として標題化合物を得た(1.029g,49%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 1.42(3H,br s),2.73(3H,s),4.95(1H,br s),6.47(1H,br s),7.61(1H,d),7.78(1H,dd),8.14(1H,s),8.39(1H,d),10.32(1H,br s),11.75(1H,br s); MS (ES) 401, (ES) 399。
【0149】
(方法D:2−(8−フルオロ−2−メチルキノリン−6−イルチオ)−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−6−(4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ピリミジン−4−アミン)
【0150】
【化28】

BuOH(5ml)中の6−クロロ−2−(8−フルオロ−2−メチルキノリン−6−イルチオ)−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン(200mg,0.5mmol)、1−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン(367mg,2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(194mg,1.5mmol)の攪拌混合物を、18時間にわたって90℃に加熱した。その粗製混合物を真空中で濃縮し、その残渣を、酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を、水でさらに抽出した。その合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。その得られた残渣を冷アセトニトリルで粉砕し、濾過し、乾燥させて、乳白色固体として標題化合物を得た(83mg,30%収率)。
H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 1.35−1.50(2H,m),1.64−1.90(6H,m),2.10−2.18(4H,m),2.45−2.54(6H,m),2.70−2.84 (5H,m),3.35(3H,m),5.33(1H,br s),6.12(1H,br s),7.57(1H,d),7.71(1H,d),8.05(1H,s),8.38(1H,d),9.25(1H,s),11.67(1H,s); MS (ES) 548, (ES) 546。
【0151】
式Iの化合物の調製において使用した種々のRH部分は、文献中に記載されているか(例えば、1−シクロヘキシルピペラジンおよび1−tert−ブチルピペラジンの合成については、Poindexter,G.S.;Bruce,M.A.;LeBoulluec,K.L.;Monkovic,I.Tetrahedron Lett.,1994,35,7331を参照のこと;1−シクロプロピルピペラジンの合成については、Zaragoza,F.;Stephensen,H.;Knudsen,S.M.;Pridal,L.;Wulff,B.S.;Rimvall,K.J.Med.Chem.,2004,47,2833を参照のこと)、または1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジンジヒドロブロミド塩の合成については、以下に記載されるものに類似の手順に従って調製され得る。
【0152】
スキームIII
【0153】
【化29】

(実施例2:1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジンジヒドロブロミド塩)
【0154】
【化30】

(方法E:1−トシル−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン)
【0155】
【化31】

ジイソプロピルエチルアミン(15ml)中の1−(1,5−ジクロロペンタン−3−イルスルホニル)−4)メチルベンゼン(1.5g,5mmol)、トリフルオロメチルメチルアミンHCl塩(1.35g,10mmol)の混合物を、CEMマイクロ波中で50分間、160℃で攪拌した。その残渣を、酢酸エチルで希釈した。その有機層を、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮させた。その残渣を、ジエチルエーテル中で粉砕した。白色固体を濾過によって集めた(730mg,45%収率)。H NMR (CDCl, 400 MHz) 2.45(3H,s),2.82−2.86(4H,m),2.90−3.00(2H, qd),3.01−3.05(4H,m),7.30−7.35(2H,d),7.60−7.65(2H,d); MS (ES) 323。
【0156】
(方法F:1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジンジヒドロブロミド塩)
【0157】
【化32】

30% HBr/酢酸溶液中の1−トシル−4−(2,2,2−トリフルオロエチル(trifluroethyl))ピペラジン(700mg,2.2mmol)の懸濁物を、90℃で90分間攪拌した。トルエンを、上記懸濁物に添加した。橙色固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄して、ビスHBr塩として標題化合物を得た(400mg,55%収率)。
【0158】
Qが硫黄原子である式Iの化合番号津の調製において使用した種々のHQ−R部分は、それらそれぞれのブロモ誘導体もしくはヨード誘導体から調製され得る。これらハロ中間体は、文献中に記載されるか(例えば、6−ブロモ−2−トリフルオロメチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジンの合成についてはWO2005/111047;6−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)キノリン)に合成についてはKeller,H.;Schlosser,M.Tetrahedron,1996,52,4637を参照のこと)、または以下に記載されるものに類似の手順に従って調製され得る。
【0159】
(実施例3:1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−チオール)
【0160】
【化33】

(方法G:N−メチル−5−ニトロベンゼン−1,2−ジアミン)
【0161】
【化34】

1Lの丸底フラスコに、4−ニトロベンゼン−1,2−ジアミン(40g,0.26mol)、ヨウ化メチル(13ml,0.21mol)およびDMF(300ml)を充填し、続いて、飽和炭酸ナトリウム(60ml)を急速に攪拌しながら2〜3分かけて添加した。室温で一晩攪拌した後、上記反応混合物を濾過し、次いで、真空中で濃縮して、赤褐色油状物を得た。その残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(15〜30% 酢酸エチル/ぺトロール(petrol))によって精製して、標題化合物を得た(27g,61%収率)。
H NMR (DMSO D, 400 MHz) 1.8(1H,br s),2.90(3H,d),3.90(2H,br s),6.65(1H,d),7.50(1H,s),7.68(1H,d); MS (ES) 168。
【0162】
(方法H:1−メチル−6−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール)
【0163】
【化35】

250mlの丸底フラスコに、N−メチル−5−ニトロベンゼン−1,2−ジアミン(29g,0.16mol)、トリフルオロ酢酸(22ml,0.24mol)および数滴の濃HClを充填した。最小量のDCM(約20ml)を、その固体混合物が攪拌されるように添加した。上記反応混合物を、12時間にわたって70℃に加熱し、褐色液体を形成した。上記反応混合物を室温へと冷却し、飽和炭酸水素酸塩溶液をゆっくりと添加することによって塩基性にし、そして酢酸エチルの中に抽出した。その水層を、酢酸エチルで2回さらに抽出した。その有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。その化合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜20% 酢酸エチル/ぺトロール)によって精製して、標題化合物を得た(8g,20%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 4.2(3H,s),8.05(1H,d),8.35(1H,d),8.55(1H,s); MS (ES) 246。
【0164】
(方法I:1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−アミン)
【0165】
【化36】

250mlの丸底フラスコに、1−メチル−6−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(6g,24mmol)および濃HCl(40ml)を充填した。その溶液が一旦透明になったら、水(約15ml)を、その溶液が曇り始めるまで添加した。SnCl(27g,120mmol)を、5分間にわたって少しずつ添加した(発熱注意!)。最初の発熱は、温度を60℃にまで上昇させた。上記反応混合物を攪拌し、室温に冷却した。1時間後、その反応混合物を水(100ml)で希釈し、1M NaOHで塩基性にし、酢酸エチルで2回抽出した。その有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、濃色の固体として標題化合物を得た(5g,100%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 3.75(3H,s),4.6(2H,br s),6.65(1H,s),6.7(1H,d),7.75(1H,d); MS (ES) 215。
【0166】
(方法J:6−ヨード−1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール)
【0167】
【化37】

250mlの丸底フラスコに、1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−アミン(800mg,3.7mmol)、および水(10ml)を充填し、アイスバス中で冷却した。濃硫酸(1.5ml)を滴下し、続いて、亜硝酸ナトリウム(270mg,3.9mmol)を水溶液(3ml)としてゆっくりと添加した。その反応系を0℃でさらに5分間攪拌し、次いで、滴下漏斗へと移した。次いで、この反応混合物を、水(10ml)中のKI冷却溶液に、10分にわたって滴下した。添加が完了した後、その反応系を室温にまで加温した。その反応混合物を、水(10ml)で希釈し、炭酸水素塩溶液で塩基性にし、酢酸エチルで2回抽出した。その有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。その残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜20% 酢酸エチル/ペトロール)によって精製して、標題化合物を得た(600mg,48%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 3.8(3H,s),4.6(2H,br s),7.55(1H,s),7.6(1H,d),7.75(1H,d); MS (ES) 326。
【0168】
(方法K:1,2−ビス(1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−イル)ジスルファン)
【0169】
【化38】

250mlの丸底フラスコに、6−ヨード−1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(2g,6.1mmol)、チオ尿素(1.35g,18mmol)、シリカ担持ニッケル(400mg)およびNMP(20ml)を充填した。その混合物を140℃で一晩加熱した。その反応混合物を冷却し、セライトを通して濾過し、酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで2回洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。その残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(10% 酢酸エチル/ペトロール)によって精製して、所望の生成物を得た(1.1g,38%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 3.9(3H,s),7.45(0.5H,d),7.5(0.5H,d),7.62(1H,d),7.83(0.5H,s),7.85(1H,s); MS (ES) 462。
【0170】
(方法L:1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−チオール)
【0171】
【化39】

トリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP.HCl,650mg,2.2mmol)を、水とジメチルホルムアミドとの混合物(2ml/10ml)中の1,2−ビス(1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−イル)ジスルファン(1g,2.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(disopropylethylamine)(0.4ml,2.1mmol)の溶液に添加した。その反応混合物を、室温で120分間攪拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで、ブラインで洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、白色固体として上記化合物を得た。MS(ES)233。
【0172】
(実施例4:8−フルオロ−2−メチルキノリン−6−チオール)
【0173】
【化40】

(方法M:6−ブロモ−8−フルオロ−2−メチルキノリン)
【0174】
【化41】

2−フルオロ−4−ブロモアニリン(10g,0.053mol)を、6M HCl(100ml)中でスラリーにした。その混合物を加熱して還流し、クロトンアルデヒド(14.9g,0.212mol)を1時間かけて滴下した。その得られた混合物をさらに90分間加熱し、それらを室温へと冷却し、濃アンモニア溶液を注意深く滴下して中和した。その混合物を酢酸エチルで抽出し、その有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。その残渣を、15−10% 酢酸エチル/ペトロールで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。その生成物含有画分を合わせ、60mlへと濃縮した。次いで、その生成物を濾過によって単離した。その濾過ケークをペトロールで洗浄し、風乾して、固体として標題化合物を得た(5.96g,47%収率)。H NMR (CDCl, 400 MHz) 2.80(3H,s),7.38(1H,d),7.53(1H,d),7.76(1H,s),8.00(1H,d); MS (ES) 240/242。
【0175】
(方法N:8−フルオロ−2−メチルキノリン−6−チオール)
【0176】
【化42】

トリイソプロピルシランチオール(3.4g,0.018mol)を、無水THF(30ml)中に溶解した。その混合物を、アイスバス中で冷却し、水素化ナトリウム(60% 懸濁物,752mg,0.0188mol)を少しずつ添加した。その混合物を30分間攪拌した。次いで、乾燥トルエン(30ml)を添加し、続いて、6−ブロモ−8−フルオロ−2−メチルキノリン(4.3g,0.0179mol)およびテトラキスパラジウムトリフェニルホスフィン(2.07g)を添加した。上記反応混合物を90分にわたって90℃に加熱し、次いで、室温へと冷却し、酢酸エチル/水で希釈した。その有機相を取り出し、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。素の残渣を、30〜40% 酢酸エチル/ペトロールで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。このことは、最初にそのシリル保護チオールを与えた(2.82g)。さらなる溶出によって、必要とされるチオールを得た(1.22g,35%収率)。H NMR (CDCl, 400 MHz) 2.78(3H,s),3.69(1H,s),7.28−7.35(2H,m),7.47(1H,s),7.93(1H,d); MS (ES) 194, (ES) 192。
【0177】
(実施例5:5−メルカプト−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)イソインドリン−1−オン)
【0178】
【化43】

(方法O:4−ブロモ−2−(ヒドロキシメチル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド
【0179】
【化44】

窒素雰囲気下で5℃に冷却したジクロロエタン(60ml)中の塩化アルミニウム(4.07g,30.5mmol)の攪拌懸濁物に、トリフルオロエチルアミン(5.84g,38.7mmol)の溶液を、その反応混合物の温度を10℃未満に維持する速度で添加した。添加が完了した後、その反応混合物を室温へと加温し、この温度で4時間にわたって攪拌した。これが終わったのち、ブロモフタリド粉末(5g,23.5mmol)を一度に添加し、次いで、その反応混合物を、18時間にわたって80℃へと加熱した。TLCによって、出発物質から生成物への変換が完了したことが示され、この反応を、氷冷水(100ml)で注意深くクエンチし、全ての氷が溶けるまで、30分間攪拌した。ジクロロメタンを添加し、素の混合物をシリカのパッドを通して濾過し、多量のDCMで洗浄して、アルミニウム残渣を除去した。この濾液を分離し、その水性層をDCM(2×100ml)でさらに抽出した。その有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮させて、標題化合物を乳白色粉末として得た(3.37g,46%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 4.02−4.11(2H,m),4.60−4.61(2H,m),5.43−5.46 (H,m),7.36−7.39 (H,d),7.55−7.57 (H,m),7.76 (H,s)および9.09−9.12 (H,m); MS (ES) 312, (ES) 310。
【0180】
(方法P:5−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)イソインドリン−1−オン)
【0181】
【化45】

窒素雰囲気下で5℃に冷却した無水テトラヒドロフラン(50ml)、N−メチル−2−ピロリドン(20mL)中の4−ブロモ−2−(ヒドロキシメチル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド(3.37g,10.8mmol)の攪拌溶液に、無水THF(25ml)中の2M イソプロピルマグネシウムクロリドの溶液を、その反応混合物の温度を10℃未満に維持する速度で添加した。添加が完了した後(約45分)、その反応混合物をさらに60分間この温度で攪拌し、次いで、室温で60分間攪拌した。その後、上記反応混合物を、5℃へと冷却し、ビス(ジメチルアミノ)ホスホリルクロリド(1.85g,14.1mmol)の溶液を滴下した。発熱は認められず、その反応系を、一旦添加が完了したら、72時間にわたって還流下で加熱した。その後、出発物質はTLCおよびLCMSの両方によっても認められず、その反応混合物を、水で注意深くクエンチし、1M 塩酸水溶液で酸性にした。その水性部分を酢酸エチルで抽出し(3×100ml)、素の有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮させて、移動油を残し、これを、20% 酢酸エチル/石油エーテル(petroleum ether)で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を白色固体として得た(2.81g,88%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 4.36−4.43(2H,m),4.62(2H,s),7.68−7.74(2H,m)および7.93(1H,s); MS (ES) 296, (ES) 292。
【0182】
(方法Q:2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5−(トリイソプロピルシリルチオ)−イソインドリン−1−オン)
【0183】
【化46】

窒素雰囲気下で5℃に冷却した無水THF(10ml)中のトリイソプロピルシランチオール(648mg,3.4mmol)の攪拌溶液に、60% 水素化ナトリウム粉末(143mg,3.57mmol)を10分間かけて少しずつ添加した。その得られた黄色溶液を20分間攪拌し、次いで、無水THF(10ml)中の5−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(1g,3.4mmol)の溶液およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(393mg,0.34mmol)を添加した。その反応混合物を窒素で脱気し、90℃で2時間加熱した。その後、tlcによって、出発物質、生成物、および非保護チオールの混合物が示された。この混合物を真空中で濃縮し、その残渣を、石油エーテル中の30% 酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカに対して精製して、その保護されたチオール(406mg,30%収率)および保護されていないチオール(171mg,20%収率)の両方を単離した。両方の場合において、MS(ES)248,(ES)246。
【0184】
(方法R:5−メルカプト−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)イソインドリン−1−オン)
【0185】
【化47】

2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5−(トリイソプロピルシリルチオ)−イソインドリン−1−オン(1.39g,3.45mmol)を、メタノール(10ml)およびテトラヒドロフラン(10ml)中の塩酸(6.7ml,1.25M,8.62mmol)の溶液に溶解し、室温で2時間攪拌した。その反応混合物を真空中で濃縮して、所望の化合物を乳白色固体として得た(0.783g,92%収率)。H NMR (CDCl, 400 MHz) 3.70(1H,s),4.22(2H,q),4.53(2H,s),7.35−7.39(2H,m)および7.76(1H,d); MS (ES) 248, (ES) 246。
【0186】
(実施例6:1−メチル−1H−インダゾール−5−チオール)
【0187】
【化48】

(方法s:5−ヨード−1−メチル−1H−インダゾール)
【0188】
【化49】

0℃に冷却した濃硫酸(1.3ml)および水(5.5ml)の混合物中の1−メチル−1H−インダゾール−5−アミン(500mg,3.40mmol)に、水(0.5ml)中の亜硝酸ナトリウム(258mg,3.74mmol)の溶液を滴下した。その反応混合物を0℃で10分間攪拌し、次いで、0℃に冷却した水(4.5ml)中のヨウ化ナトリウム(1.5g)の溶液に滴下した。添加が完了した後、その反応混合物を、90℃へとさらに20分間にわたって加熱した。その得られた混合物を、水酸化ナトリウムの希釈溶液で塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。その有機相をブラインでさらに洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。その残渣を、石油エーテル中20% EtOAcで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルに対して精製して、標題化合物を得た(475mg,54%収率)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 4.03(3H,s),7.52(1H,d),7.63(1H,dd),7.99(1H,s),8.17(1H,s)。
【0189】
(方法t:1−メチル−1H−インダゾール−5−チオール)
【0190】
【化50】

5−ヨード−1−メチル−1H−インダゾール(190mg,0.70mmol)およびチオ尿素(112mg,1.50mmol)の混合物をNMP(1ml)中に溶解し、50℃に加熱した。その反応混合物を脱気し、シリカ担持ニッケル(20mg)を添加した。その反応混合物を再び脱気し、次いで、150℃にまで4時間にわたって加熱した。その反応混合物を冷却し、メタノールおよび4mlのNMPで希釈した。その得られた懸濁物を、硝子ペーパー(glass paper)を通して濾過した。その濾液を真空中で濃縮した。
【0191】
水およびジメチルホルムアミド(1ml/5ml)の混合物中の、その粗製ジスルフィドおよびジイソプロピルエチルアミン(disopropylethylamine)(67μl,0.39mmol)に、トリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP.HCl,222mg,0.78mmol)を添加した。その反応混合物を室温で120分間攪拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いでブラインで洗浄した。その有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、上記化合物を白色固体として得た。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 4.01(3H,s),5.34(1H,s),7.32(1H,dd),7.57(1H,d),7.69(1H,s),7.94(1H,s); MS (ES) 165。
【0192】
(実施例7)
(方法U:2−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−チオール)
【0193】
【化51】

ジメチルアセトアミド(5ml)中の6−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(500mg,1.89mmol)(合成については、WO2005111047を参照のこと)およびナトリウムチオメトキシド(400mg,5.67mmol)の混合物を、90分間、窒素雰囲気下で150℃に加熱した。その得られた混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと塩化アンモニウム水溶液との間で分配した。その水相を、より多くの酢酸エチルで抽出し、その合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物を赤色油状物として得た(251mg,61%収率)。MS(ES)219,(ES)217。
【0194】
以下の表2は、表1の化合物のデータを示す。化合物番号は、表1に示される化合物に対応する。
【0195】
【表2−1】

【0196】
【表2−2】

【0197】
【表2−3】

【0198】
【表2−4】

(実施例8:Aurora−2(Aurora A)阻害アッセイ)
化合物を、標準的連結酵素アッセイ(coupled enzyme assay)(Foxら,Protein Sci.,(1998)7,2249)を用いて、上記化合物がAurora−2を阻害する能力についてスクリーニングした。アッセイを、100mM Hepes(pH7.5)、10mM MgCl、1mM DTT、25mM NaCl、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300μM NADH、30μg/ml ピルビン酸キナーゼおよび10μg/ml 乳酸デヒドロゲナーゼの混合物中で行った。このアッセイにおける最終基質濃度は、400μM ATP(Sigma Chemicals)および570μM ペプチド(Kemptide,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。アッセイを、30℃において、かつ40nM Aurora−2の存在下で行った。
【0199】
Aurora−2および目的の試験化合物を除く上記に列挙した試薬の全てを含むアッセイストック緩衝溶液を調製した。55μlの上記ストック溶液を96ウェルプレートに入れ、続いて、上記試験化合物の連続希釈物(代表的には、7.5μMの最終濃度から出発する)を含む2μlのDMSOストックを添加した。素のプレートを、10分間、30℃で予めインキュベートし、その反応を、10μlのAurora−2を添加することによって開始した。最初の反応速度は、10分間コースでMolecular Devices SpectraMax Plusプレートリーダーで測定した。IC50およびKiデータを、Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Prism version 3.0cx for Macintosh,GraphPad Software,San Diego California,USA)を用いて非線形回帰分析から計算した。
【0200】
化合物I−2、I−4〜I−7、I−9、I−17、I−20、I−21、およびI−24は、≦1nM KiにおいてAurora Aを阻害することが分かった。
【0201】
化合物I−10、I−12〜I−15、I−18、I−19、およびI−23は、>1nMかつ≦2nM KiにおいてAurora Aを阻害することが分かった。
【0202】
化合物I−1、I−3、I−8、I−11、I−16、I−22、およびI−25は、>2nM Kiかつ≦20nM KiにおいてAurora Aを阻害することが分かった。
【0203】
(実施例9:Aurora−1(Aurora B)阻害アッセイ(放射測定))
25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1% BSAおよび10% グリセロールからなるアッセイ緩衝溶液を調製した。22nM Aurora−B溶液(これはまた、1.7mM DTTおよび1.5mM Kemptide(LRRASLG)を含む)を、アッセイ緩衝液中に調製した。22μLのAurora−B溶液に、96ウェルプレート中、DMSO中の2μlの化合物ストック溶液を添加し、その混合物を、10分間、25℃で平衡化した。その酵素反応を、最終アッセイ濃度800μMになるようにアッセイ緩衝液中に調製した16μl ストック[γ−33P]−ATP溶液(約20nCi/μL)を添加することによって開始した。この反応を、16μLの500mM リン酸の添加によって3時間後に停止し、上記ペプチド基質への33P組み込みのレベルを、以下の方法によって測定した。
【0204】
ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore,Cat no.MAPHNOB50)を、酵素反応混合物(40μL)を添加する前に、100μLの100mM リン酸で予め処理した。その溶液に、上記ホスホセルロース膜を30分間浸したままにし、その後、そのプレートを、200μLの100mM リン酸で4回洗浄した。乾燥プレートの各ウェルに、シンチレーション計数(1450 Microbeta Liquid Scintillation Counter,Wallac)する前に、30μLのOptiphase ‘SuperMix’液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)を添加した。非酵素触媒バックグラウンド放射活性のレベルを、[γ−33P]−ATP溶液を添加する前に、コントロールウェルに、全てのアッセイ成分を含む(これは、酵素を変性させるように作用する)500mM リン酸を16μl添加することによって測定した。酵素触媒33P組み込みのレベルを、平均バックグラウンド数を、各インヒビター濃度で測定したものから差し引くことによって計算した。各Ki測定について、8個のデータ点(代表的には、濃度範囲0〜10μM 化合物を網羅する)を、二連で得た(DMSOストックを、10mMの最初の化合物ストック、その後の1:2.5 連続希釈から調製した)。Ki値を、Prismソフトウェアパッケージ(Prism 3.0,Graphpad Software,San Diego,CA)を使用して、非線形回帰によって最初の速度データから計算した。
【0205】
化合物I−12、I−17、I−18、およびI−22は、≦10nM KiにおいてAurora Aを阻害することが分かった。
【0206】
化合物I−1〜I−5、I−7、I−8、I−10、I−13、I−19、I−20、I−24、およびI−25は、>10nMかつ≦20nM KiにおいてAurora Aを阻害することが分かった。
【0207】
化合物I−6、I−9、I−11、I−14〜I−16、I−21、およびI−23は、>20nM Kiかつ≦50nM KiにおいてAurora Aを阻害することが分かった。
【0208】
(実施例10:ミクロソーム安定性アッセイ)
ミクロソーム安定性は、一定範囲の種(雄性CD−1マウス、雄性Sprague−Dawleyラット、雄性ビーグル犬、雄性カニクイザルおよびプールした、性別が混合したヒト)に由来するミクロソームにおいて、枯渇−時間プロフィールの生成をモニターした。化合物添加溶液を、DMSO(代表的には、10mM)中の化合物ストック溶液を希釈して、アセトニトリル(0.5mM)中の溶液を得ることによって、作製した。化合物(5μMの最終濃度を与えるため)を、肝臓ミクロソームタンパク質(1mg/mL)およびβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェートからなる最終反応混合物(1000μL)、0.1M PB(pH7.4)の存在下の還元型(NADPH)−再生系(RGS)[2mM β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、20.5mM イソクエン酸、0.5Uのイソクエン酸デヒドロゲナーゼ/mL、30mM 塩化マグネシウム、および0.1M ホスフェート緩衝液(PB) pH7.4からなる]とインキュベートした。
【0209】
その反応を、上記予めインキュベートしたRGS(250μL)を、予めインキュベートしたミクロソーム/VRT/PB混合物(両方の場合の予備インキュベーションは、37℃で10分間であった)に添加することによって開始した。サンプルを、上板に固定し、Multiprobe II HT Ex自動化液体ハンドラーに取り付けたPackard Manual Heaterによって制御した2つのプレートヒーターによって37℃に加熱するように改変したヒーター振盪機(DPC Micromix 5(設定;形式20、振幅4)上でエッペンドルフバイアル(1.5ml)内でインキュベートした。この液体ハンドラーは、上記ミクロソームインキュベーション混合物を、インキュベーションの0分後、2分後、10分後、30分後および60分後にサンプリングして、アリコート(100μL)を100μLの冷却メタノールを含む停止ブロック(96ウェルブロック)に移すように、プログラム(WinPREPソフトウェア)した。その停止混合物中の%有機物を、適切な容量の水溶液/有機物(代表的には、100μLの50:50 メタノール:水)を添加することによって、分析のために最適化した。
【0210】
分析する前に、その停止ブロックを、振盪機(DPC Micromix 5;10分間、形式20、振幅5)に置いて、タンパク質を沈澱させた。次いで、このブロックを、遠心分離した(Jouan GR412;2000rpm,15分間,4℃)。次いで、サンプルアリコート(200μL)を分析ブロックに移し、分析に送られる前に、そのブロックを再び遠心分離した(Jouan GR412;2000rpm,5分間,4℃)。枯渇プロフィールを、液体クロマトグラフィー−直列質量分析(LC−MS/MS)によって、VRTの消失をモニターすることによって測定した。サンプルを、分析かラムに注入した(20μL;オートサンプラーを装備したAgilent 1100 液体クロマトグラフィーシステム)。移動相は、水+0.05%(v/v) ギ酸(A)およびメタノール+0.05%(v/v) ギ酸(B)からなった。
【0211】
目的の化合物について最適化した勾配法を実施することで、分析カラムからの化合物溶出を行った。合計実施時間は、流速0.35mL/分を用いて6分間であった。そのカラム溶出物全体は、実施の0.5分〜5.9分の間で、Micromass Quattro LC直列質量分析計のエレクトロスプレーイオン化源(ポジティブモード)に入った。この質量分析計を、目的の化合物について最適化した。全てのインキュベーションを二連で行い、結果を、0分のサンプルに対して30分もしくは60分いずれかにおいて残っている親%として表した。
【0212】
以下の化合物は、ヒト肝臓ミクロソームとの30分のインキュベーション後に>50%の親が残っていると分かった:I−1、I−3、I−4、I−8〜I−12、I−14、I−17、およびI−21〜I−23。
【0213】
以下の化合物は、ヒト肝臓ミクロソームとの60分インキュべーション後に>50%の親が残っていると分かった:I−13およびI−17。
【0214】
(実施例11:細胞増殖および生存性の分析)
化合物を、ECACCから得たColo205細胞および以下に示すアッセイを用いて、これらが細胞増殖を阻害する能力および細胞生存性に対するこれらの効果についてスクリーニングした。
【0215】
Colo205細胞を、96ウェルプレートに播種し、連続希釈した化合物を、二連でそのウェルに添加した。コントロール群は、未処理細胞、化合物希釈物(0.1% DMSO単独)および細胞無しの培養培地を含んでいた。次いで、上記細胞を、5% CO2/95% 湿度の雰囲気中で72時間もしくは96時間、37℃でインキュベートした。
【0216】
増殖を測定するために、実験の最後の3時間前に、0.5μCiの3H チミジンを、各ウェルに添加した。次いで、細胞を採取し、その組み込まれた放射活性を、Wallacマイクロプレートβ−カウンターで計数した。細胞生存性を、Promega CellTiter 96AQを使用して評価して、MTS変換を測定した。用量応答曲線を、Prism 3.0(GraphPad)もしくはSoftMax Pro 4.3.1 LS(Molecular Devices)ソフトウェアのいずれかを使用して計算した。
【0217】
以下の化合物は、72時間後に<50nMのIC50値を有した:I−3、I−5、I−7、I−8、I−12、I−13、I−19、I−20、およびI−25。
【0218】
以下の化合物は、72時間後に≧50nMかつ<100nMのIC50値を有した:I−1、I−2、I−4、I−10、I−17、およびI−24。
【0219】
以下の化合物は、72時間後に≧100nMかつ≦1μM nMのIC50値を有した:I−6、I−9、I−11、I−14、I−15、およびI−21〜I−23。
【0220】
以下の化合物は、96時間後に<50nMのIC50値を有した:I−3、I−10、I−16、およびI−18。
【0221】
(実施例12:Ablキナーゼ活性阻害アッセイおよび阻害定数Kiの測定)
化合物を、標準的な連結酵素システム(Foxら,Protein Sci.,7,pp.2249(1998))を使用して、これらのN末端短縮(Δ27)Ablキナーゼ活性を阻害する能力についてスクリーニングした。反応を、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび3% DMSOを含む溶液中で行った。このアッセイにおける最終基質濃度は、110μM ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および70μM ペプチド(EAIYAAPFAKKK,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応を、30℃および21nM Ablキナーゼで行った。上記連結酵素システムの成分の最終濃度は、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、200μM NADH、60μg/ml ピルビン酸キナーゼおよび20μg/ml 乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0222】
ATPおよび目的の試験化合物を除いて上記に列挙した試薬の全てを含むアッセイストック緩衝溶液を調製した。そのアッセイストック緩衝溶液(60μl)を、96ウェルプレート中で、代表的には0.002μM〜30μMにわたる最終濃度の2μlの目的の試験化合物とともに、30℃で10分間にわたって、インキュベートした。代表的には、12点の滴定を、娘プレートにおいて、DMSOを含む試験化合物の連続希釈物(1mM 化合物ストックから)によって調製した。その反応を、5μlのATP(最終濃度110μM)の添加によって開始した。反応速度を、30℃で10分間にわたってMolecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して得た。そのKi値を、非線形回帰を使用して、インヒビター濃度の関数として、残りの速度データから測定した(Prism 3.0,Graphpad Software,San Diego,CA)。
【0223】
化合物I−13、I−16、I−17、およびI−18は、<25nMのKi値においてAblキナーゼを阻害することが分かった。
【0224】
(実施例13:変異型Ablキナーゼ(T315I)活性阻害アッセイおよび阻害定数IC50の測定)
化合物を、Upstate Cell Signaling Solutions(Dundee,UK)において、これらのヒトAblのT315I変異形態を阻害する能力についてスクリーニングした。25μlの最終反応容積において、このヒトAblのT315I変異体(5〜10mU)を、8mM MOPS pH7.0、0.2mM EDTA、50μM EAIYAAPFAKKK、10mM 酢酸Mg、[γ−33P−ATP](比活性約500cpm/pmol,10mM 最終アッセイ濃度)および範囲0〜4μnMにわたる最終濃度の目的の試験化合物とともにインキュベートした。この反応を、MgATPミックスの添加によって開始した。室温で40分間インキュベートした後、この反応を、5μlの3% リン酸溶液の添加によって停止した。次いで、この反応系の10μlを、P30フィラメント上で停止させ、75mM リン酸中で5分間3回およびメタノール中で1回、乾燥およびシンチレーション計数の前に洗浄した。阻害IC50値を、インヒビター濃度の関数として、残りの酵素活性の非線形回帰分析から決定した(Prism 3.0,Graphpad Software,San Diego,CA)。
【0225】
化合物I−17は、<25nMのKi値においてAblキナーゼを阻害することが分かった。
【0226】
本発明者らは、本発明の多くの実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な例は、本発明の化合物、方法およびプロセスを利用もしくは包含する他の実施形態を提供するように改変され得ることは、明らかである。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであることが認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化52】

もしくはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
Htは、
【化53】

であり;
は、H、C1−3アルキル、もしくはシクロプロピルであり;
2’はHであり;
Qは、−O−、−S−、もしくは−C(R’)−であり;
は、HもしくはFであり;
は、
【化54】

であり;
各Jは、個々にFもしくはC1−6アルキルであり;
nは、1もしくは2であり;
は、H、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはO、N、もしくはSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルであり;ここで該アルキル、脂環式またはヘテロシクリルは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されており;
は、O、N、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含みかつ必要に応じて、0〜4個のJで置換された8〜12員の二環式ヘテロアリール環であり;
各Jは、独立して、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、ハロ、もしくはオキソであり、ここで各C1−6アルキルは、必要に応じて、0〜6個のフルオロで置換されている、
化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
Qは−S−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Htは
【化55】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、C1−3アルキルもしくはシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
2’はHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
はHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
nは1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
nは2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
は、H、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルであり;ここで該アルキル、脂環式またはヘテロシクリルは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されている、請求項7または8に記載の化合物。
【請求項10】
は、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルであり;ここで該アルキル、脂環式またはヘテロシクリルは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
は、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
は、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクリルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
は、C1−6アルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
は、C3−6シクロアルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
は、O、N、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含みかつ必要に応じて、0〜4個のJで置換されている8〜12員の二環式ヘテロアリールである、請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
は、6:6環系である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
はキノリンである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
は、6:5環系である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
前記6:5環系は、2個の窒素原子を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
は、ベンゾイミダゾール、インダゾール、もしくはイミダゾピリジン環である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
は、ベンゾイミダゾール環である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Htは、
【化56】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項23】
は、C1−3アルキルもしくはシクロプロピルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
2’はHである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
はHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
nは1である、請求項1、2および22〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
nは2である、請求項1、2および22〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
は、H、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルであり;ここで該アルキル、脂環式またはヘテロシクリルは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されている、請求項26または27に記載の化合物。
【請求項29】
は、C1−6アルキル、C3−8脂環式、またはOもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルであり;ここで該アルキル、脂環式またはヘテロシクリルは、C1−6アルキル、−O−(C1−6アルキル)、NH、OH、=O、ハロ、CN、もしくはNOの0〜6個の存在で、必要に応じてかつ個々に置換されている、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
は、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員のヘテロシクリルである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
は、OもしくはNから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクリルである、請求項29に記載の化合物。
【請求項32】
は、C1−6アルキルである、請求項29に記載の化合物。
【請求項33】
は、C3−6シクロアルキルである、請求項29に記載の化合物。
【請求項34】
は、O、N、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含みかつ必要に応じて、0〜4個のJで置換されている8〜12員の二環式ヘテロアリールである、請求項29に記載の化合物。
【請求項35】
は、6:6環系である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
はキノリンである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
は、6:5環系である、請求項34に記載の化合物。
【請求項38】
前記6:5環系は、2個の窒素原子を含む、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
は、ベンゾイミダゾール、インダゾール、もしくはイミダゾピリジン環である、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
は、ベンゾイミダゾール環である、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
以下:
【化57】

【化58】

【化59】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項42】
式I:
【化60】

の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物であって、ここでその変数は、請求項1〜41のいずれか1項に記載のように定義されるとおりである、
組成物。
【請求項43】
生物学的サンプル中のAuroraプロテインキナーゼ活性を阻害するための方法であって、該方法は、
該生物学的サンプルと、式I:
【化61】

の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩とを接触させる工程であって、ここで該変数は、請求項1〜41のいずれか1項に記載されるように定義されるとおりである、工程、
を包含する、方法。
【請求項44】
患者における増殖性障害を処置するための方法であって、該方法は、
式I:
【化62】

の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を該患者に投与する工程であって、ここで該変数は、請求項1〜41のいずれか1項に記載されるように定義されるとおりである、工程、
を包含する、方法。
【請求項45】
前記増殖性障害は癌である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記増殖性障害は、黒色腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、または結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、中枢神経系(CNS)癌、腎癌(renal cancer)、前立腺癌、膀胱癌、膵臓癌、脳の癌(神経膠腫)、頭頚部癌、腎臓癌(kidney cancer)、肝臓癌、黒色腫、肉腫、もしくは甲状腺癌から選択される癌、から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
別の治療剤の逐次投与もしくは同時投与をさらに包含する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記治療剤は、タキサン、bcr−ablのインヒビター、EGFRのインヒビター、DNA損傷剤、および代謝拮抗物質から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記治療剤は、パクリタキセル、グリベック、ダサチニブ、ニロチニブ、タルセバ、イレッサ、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、アントラサイクリン、AraCおよび5−FUから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記治療剤は、カンプトテシン、ドキソルビシン、イダルビシン、シスプラチン、タキソール、タキソテール、ビンクリスチン、タルセバ、MEKインヒビター、U0126、KSPインヒビター、ボリノスタット、グリベック、ダサチニブ、およびニロチニブから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記治療剤はダサチニブである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記治療剤はニロチニブである、請求項50に記載の方法。

【公表番号】特表2010−523700(P2010−523700A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503221(P2010−503221)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/059975
【国際公開番号】WO2008/128009
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】