説明

キナーゼ阻害剤としての1,7−二置換アザベンゾイミダゾールの調製

Rho−キナーゼの新規な阻害剤が開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
重要で大きな酵素ファミリーは、蛋白質キナーゼ酵素ファミリーである。現在では、約500の異なる蛋白質キナーゼが知られている。蛋白質キナーゼは、ATP−Mg2+複合体のγ−リン酸基をアミノ酸側鎖へ転移することにより、様々な蛋白質においてアミノ酸側鎖のリン酸化を触媒する働きをする。これらの酵素は、蛋白質中のセリン、トレオニンおよびチロシン残基のヒドロキシル基の可逆的リン酸化を通じて、細胞内のシグナル伝達過程の大部分を制御し、それ故に、細胞機能、成長、分化および破壊(アポトーシス)を制御する。研究により、蛋白質キナーゼは、シグナル伝達、転写調節、細胞運動性および細胞分裂を含む多くの細胞機能の主要な調節因子であることが示されている。幾つかの癌遺伝子は蛋白質キナーゼをコードしていることも示されており、キナーゼが腫瘍形成に関与することが示唆される。これらの過程は、多くの場合、各キナーゼそれ自体が1またはそれ以上のキナーゼにより調節され得るという互いにかみ合った複雑な経路により高度に調節されている。結果として、異常なもしくは不適切な蛋白質キナーゼ活性は、かかる異常なキナーゼ活性に関連する疾患状態の発症に寄与し得る。それらの生理学的な関連性、多様性および遍在性に起因して、蛋白質キナーゼは、生化学的および医学的研究において最も重要でかつ広く研究されている酵素ファミリーの1つとなっている。
【0002】
蛋白質キナーゼファミリーの酵素は、典型的に、それらがリン酸化するアミノ酸残基に基づいて、2つの主要なサブファミリー:蛋白質チロシンキナーゼおよび蛋白質セリン/トレオニンキナーゼに分類される。セリン/トレオニンキナーゼ(PSTK)は、サイクリックAMP−およびサイクリックGMP−依存蛋白質キナーゼ、カルシウム−およびリン脂質−依存蛋白質キナーゼ、カルシウム−およびカルモジュリン−依存蛋白質キナーゼ、カゼインキナーゼ、細胞分裂周期の蛋白質キナーゼおよびその他を含む。これらのキナーゼは、通常、細胞質に由来するか、または、恐らくは、蛋白質を固着することによる細胞の顆粒画分に関連付けられる。異常な蛋白質セリン/トレオニンキナーゼ活性は、関節リウマチ、乾癬、敗血症ショック、骨減少、多数の癌および他の増殖性疾患のごとき多数の病状に関与しているかまたはそう考えられている。従って、セリン/トレオニンキナーゼおよびそれらが関与するシグナル伝達経路は、薬剤設計のための重要な標的である。チロシンキナーゼはチロシン残基をリン酸化する。チロシンキナーゼは細胞制御において同様に重要な働きをする。これらのキナーゼは、上皮増殖因子受容体、インスリン受容体、血小板由来成長因子受容体およびその他のものを含む、成長因子およびホルモンのごとき分子のための幾つかの受容体を含む。研究により、多数のチロシンキナーゼが、細胞の外側に位置する受容体ドメインおよび内側に位置するキナーゼドメインを有する膜貫通型蛋白質であることが示されている。チロシンキナーゼの修飾因子をさらに同定するために多くの研究も進行している。
【0003】
細胞により利用される主要なシグナル伝達系は、RhoA−シグナル伝達経路である。RhoAは、成長因子、ホルモン、機械的ストレス、浸透圧変化ならびに高濃度の代謝産物、例えばグルコースのごとき幾つかの細胞外刺激により活性化され得る、小GTP結合蛋白質である。RhoA活性化は、GTP結合、コンホメーション変化、翻訳後修飾(ゲラニルゲラニル化およびファルネシル化)およびその内因性GTPase活性の活性化を含む。活性化されたRhoAは、ROCKs(ROCK1およびROCK2、以下「ROCK」または「ROCKs」とも言う)を含む幾つかのエフェクター蛋白質と相互作用し得、そして細胞質および核へシグナルを伝達する。
【0004】
ROCK1および2は、物理的結合を介するRhoA−GTP複合体により活性化され得るキナーゼの一のファミリーを構成する。活性化されたROCKsは、多数の基質をリン酸化し、そして中心的な細胞機能において重要な役割を果たす。ROCKsのための基質は、ミオシン軽鎖ホスファターゼ(MBS、MYPT1とも言う)のミオシン結合サブユニット、アデュシン、モエシン、ミオシン軽鎖(MLC)、LIMキナーゼならびに転写因子FHLを含む。これらの基質のリン酸化は、蛋白質の生物学的活性を調節し、故に、外部刺激に対する細胞応答を変更する手段を提供する。よく示される一例は、平滑筋収縮におけるROCKの関与である。フェニレフリンによる刺激の際に、血管に由来する平滑筋は収縮する。研究により、フェニレフリンがb−アドレナリン受容体を刺激し、そしてRhoAの活性化に至ることが示されている。活性化されたRhoAは、順次、ROCK1のキナーゼ活性を刺激し、そしてそれが順次、MBSをリン酸化する。かかるリン酸化は、ミオシン軽鎖ホスファターゼの酵素活性を阻害し、そしてカルシウム−依存ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)によりミオシン軽鎖それ自体のリン酸化を増大させ、そして結果としてミオシン−アクチン束の収縮を増大させ、平滑筋収縮に至る。この現象はカルシウム感作と言われる場合もある。平滑筋収縮に加えて、ROCKsは、アポトーシス、細胞遊走、転写活性化、線維症、細胞質分裂、炎症および細胞増殖を含む細胞機能に関与していることも示されている。さらに、ニューロンにおいて、ROCKは、ミエリン関連糖蛋白質(MAG)などのミエリンに関連する阻害因子により、軸索成長の阻害において重要な役割を果たす。ROCK−活性は、ニューロンの発達において、成長円錐の崩壊も仲介する。両過程は、ROCKに誘導される基質のリン酸化、例えばLIMキナーゼおよびミオシン軽鎖ホスファターゼにより仲介され、結果としてニューロンのアクチン−ミオシン系の収縮を増大させると考えられている。
【0005】
本発明者は、ROCK活性の阻害剤であり、かつ他の蛋白質キナーゼに比べて興味深い選択性を示す、新規アザベンゾイミダゾール化合物を見出した。かかる誘導体は、不適切なROCK活性に関連する疾患の処置において有用である。
【0006】
発明の詳細な記載
かくして、本発明は、式(I)
【化1】

【0007】
[式中、
は、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、OalkNRまたはSalkNR基からなる群から選択される基によって置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、OalkNRまたはSalkNR基からなる群から選択される基によって置換されていてもよいOC1−6アルキルで置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、OalkNRまたはSalkNR基から選択される基によって置換されていてもよいヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、NHCHCH(CH、NH(CHC(CH、NHCH(CH、NH(CHCH(CH、NHCHアリール、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルから選択される基を示し;
は、水素、F、Cl、Br、I、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CO、CONR、NRCOR、NRCSR、SONR、NRSO、OalkNRからなる群から選択される基によって置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいフェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、CONR、SONR、NR、S(O)を示し;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル(ここに、RおよびRは結合して1つの環になることができる)から選択される基を示し;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキルから選択される基を示し;
nは、0、1または2であり;および
alkは、C2−4直鎖または分枝鎖アルキレン鎖である]
で示される化合物および生理学上許容される塩を提供する。
【0008】
上の式(I)において定義される任意の置換基RないしRは、少なくとも1つの不斉中心を含んでもよいことが理解され得、また本発明は、そこから生じる全ての可能なエナンチオマーおよびラセミ体を含むそれらの混合物を含むことが理解されるべきである。
【0009】
例えば、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、所望により置換されたアルキル、例えば、アミノアルキル、シクロアルキルアルキル、アラルキル、ヘテロアリールアルキルもしくはヘテロシクリルアルキルなどの、基もしくは基の部分としてのアルキルなる用語は、直鎖または分岐鎖のC1−6アルキル基を言う。
【0010】
ハロゲンなる用語は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を含む。
【0011】
例えば、アリールオキシ、アラルキルもしくはアリールアミノなどの、基もしくは基の部分としてのアリールなる用語は、所望により置換されたフェニル、もしくは縮合二環式アリール基、例えば、ナフチルを言う。
基もしくは基の部分としてのアリール、所望により置換されたフェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル、ならびに基もしくは基の部分としての4−7員ヘテロシクリルなる用語は、1ないし3個の置換基で所望により置換されてもよいかかる基を含み、該置換基は、同じであっても異なってもよく、かつ、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、トリフルオロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロシクリルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、ヘテロアリールアミノアルキル、シクロアルキルアミノアルキル、ヘテロシクリルアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、CONR1415、CH2CONR1415、カルボキシ、カルボキサミド、アルコキシカルボニル、−アミノアルコキシ、ジアルキルアミノアルコキシ、アシルアミノアルコキシ、スルホンアミド、アミノスルホニル、シアノ、ホルミル、ニトロ、R21OもしくはRS(O)[ここで、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルアルコキシから選択される基であり、かつnは0、1もしくは2である]から選択され、或いは、該基のそれぞれは、10員環までを含む縮合二環系の部分を形成し得、そして少なくとも部分的に飽和され得る。
【0012】
例えばヘテロアリールオキシなどの、基もしくは基の部分としてのヘテロアリールなる用語は、5もしくは6員環もしくは5,6もしくは6,6縮合二環系を言う。
ヘテロアリールが5員の基である場合には、それはO、NもしくはSから選択されるヘテロ原子を含み、そして所望によりさらに1ないし3個の窒素原子を含んでもよい。かかる基の例は、フラニル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリルもしくはイミダゾリルを含む。
【0013】
ヘテロアリールが6員の基である場合には、それは1ないし3個の窒素原子を含む。かかる基の例は、ピリジル、ピリミジニルもしくはトリアジニルを含む。
【0014】
5,6縮合二環式ヘテロアリール基なる用語は、5員環が酸素、硫黄もしくはNH基を含み、かつ所望により1ないし2個の窒素原子をさらに含んでもよく、そして6員環が所望により1ないし3個の窒素原子を含む基を言う。かかる基の例は、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾールもしくはインドリルを含む。
【0015】
6,6−縮合二環式ヘテロアリール基なる用語は、1つの環に少なくとも1個の窒素原子を含み、かつそれぞれの環に3個までの窒素原子を含んでもよい、二環式ヘテロアリール基を言う。かかる基の例は、キノリニル、イソキノリニルもしくはナフチリジニルを含み、また、6,6縮合二環式ヘテロアリール基なる用語は、部分的に飽和した炭素環式基に縮合した6員のヘテロアリール基も言う。かかる基の例は、テトラヒドロキノリニルもしくはテトラヒドロイソキノリニルを含む。
【0016】
例えば、ヘテロシクリルアルキルもしくはヘテロシクリルアルキリデンなどの、基もしくは基の部分としてのヘテロシクリルなる用語は、その基にある炭素もしくは窒素原子を介して式(1)の化合物の残りに結合され、かつN、OもしくはS(O)から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む、架橋されたヘテロシクリル基または4−7員ヘテロシクリル基を言い、そして、ヘテロシクリル基が環員としてNHを含むか、またはヘテロシクリル基が1級もしくは2級アミノ基により置換される場合には、該用語は、そのN−アルキル、N−置換されていてもよいフェニル、N−ベンジル、もしくはN−アシル誘導体も含む。複素環なる用語は、架橋された複素環も含む。かかる複素環の例は、所望により置換されたピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、チオモルホリンおよび(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−アミンを含む。
【0017】
例えば、シクロアルキルアルキルもしくはシクロアルキルイデンなどの、基もしくは基の部分としてのシクロアルキルなる用語は、3−7員の炭素環式基を言う。
【0018】
11員環までを含み、かつ少なくとも部分的に飽和されている縮合二環系なる用語は、炭素環および複素環の6,5、6,6および6,7の二環系を含む。かかる6,5および6,6炭素環系の例は、二環が、少なくとも部分的に飽和されている5−、6−もしくは−員の炭素環に縮合したベンゼン環を含むもの、例えば、テトラヒドロナフチル、インダニルもしくはインデニルを包含する。かかる6,5、6,6もしくは6,7複素環の例は、1つの環が、O、SもしくはNから選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む5,6もしくは7員環に縮合したベンゼンであるもの、例えば、インドリニル、イソインドリニル、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾピロリル、1,3−ベノゾジチオリル、1,4−ベンゾジオキサニル、クロマニル、クロメニルもしくは2,3、4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[c]アゼピン−8−イルを含む。
【0019】
基もしくはアシルアミノ基の部分としてのアシルなる用語は、アルカノイル、アロイル、アラルカノイル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカロニルもしくはアラルコキシカルボニル基を言う。
式(I)の化合物は、無機および有機酸と共に塩を形成し、そして本発明は、生理学的に許容される無機および有機酸と共に形成されるかかる塩を含む。
【0020】
基は、好ましくは、限定するものではないが、C1−6アルキル、例えば、エチル、置換されていてもよいフェニル、例えば、フェニル、4−[(N−ベンジルオキシカルボニル−ピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル、4−[(2−メチル−チアゾール−5−イル)メトキシ]フェニル、4−[(2−(4−クロロフェニル)−チアゾール−5−イル)メトキシ]フェニル、4−[(5−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]フェニル、4−[(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)メトキシ]フェニル、4−[(メチルスルホニル)メトキシ]フェニル、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリニル、4−[(N−カルボキシメチル−N−メチル)−アミノエトキシ]フェニル、4−[(N−メチルピロリジン−3−イル)オキシ]フェニル、4−[(N−BOC−ピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル、4−(カルボキシメトキシ)フェニル、4−(カルボキシメトキシ)フェニルt−ブチルエステル、4−[(ピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル、4−[(N−アセチル−N−メチル)−2−アミノエトキシ]フェニル、4−[(N−メチル−N−メタンスルホニル)−2−アミノエトキシ]フェニル、4−[2−(フェニルウレイド)エトキシ]フェニル、4−[2−(エチルウレイド)エトキシ]フェニル、4−[(1−(メトキシカルボニルメチル)−ピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル、4−[2−フェニルアミノエトキシ]フェニル、4−[(1−(カルボキシメチル)−ピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル、4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル、4−[3,3−ジメチル−ブチルアミノ]フェニル、4−[2−メチルプロピルアミノ]フェニル、4−[1−メチルエチルアミノ]フェニル、4−[3−メチルブチルアミノ]フェニル、4−[ベンジルアミノ]フェニル、
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−N−メチルベンズアミド;
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−N−(1−メチルエチル)ベンズアミド;
4−{1−[4−(1−ピロリジニルカルボニル)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン;および
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ベンズアミドなどの基である。
【0021】
基は、好ましくは、限定するものではないが、アリールチオ、例えば、3−メトキシフェニルチオ、4−アセトアミドフェニルチオ、ヘテロアリールチオ、例えば、2−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、アリールスルフィニル、例えば、4−メトキシフェニルスルフィニル、4−アセトアミドフェニルスルフィニル、アリールアミノ、例えば、4−メトキシフェニルアミノ、アミノスルホニル、例えば、ピペリジン−4−イルメチルアミノスルホニル、4−アミノメチルピペリジン−スルホニル、ピペラジン−スルホニル、4−ピペリジン−アミノスルホニル、3−ピロリジン−アミノスルホニル、4−アミノシクロヘキシルアミノスルホニル、3−アミノピロリジン−スルホニル、ベンジルアミノスルホニル、4−(アミノメチル)シクロヘキシルメチルアミノ−スルホニル、4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−スルホニル、2−アミノエチルアミノスルホニル、4−メチル−ピペラジン−スルホニル、4−カルボキシベンジルアミノスルホニル、3−(メチルアミノ)プロピルアミノスルホニル、3−アミノプロピルアミノスルホニル、4−アミノブチルアミノスルホニル、アミノカルボニル、例えば、(N−BOC−ピロリジン−3−イル)メチルアミノカルボニル、2−(2−クロロフェニル)−2−(ジメチルアミノ)−エチルアミノカルボニル、4−(ジメチルアミノ)ブチルアミノカルボニル、ピロリジン−3−イルメチルアミノカルボニル、テトラヒドロピラン−4−イルアミノカルボニル、3−(アミノメチル)シクロヘキシルメチルアミノカルボニル、4−カルボキシベンジルアミノカルボニル、4−(ジエチルアミノ)−1−メチル−ブチルアミノカルボニル、2−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルエチルアミノカルボニル、4−アミノピペリジン−1−イルカルボニル、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イルカルボニル、3−アミノピロリジン−1−イルカルボニル、4−(アミノカルボニル)ピペリジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ヘテロシクリル、例えば、ピロリジン−1−イル、アリール、例えば、3−(1−アミノエチル)フェニルなどの基である。
【0022】
ROCKsの阻害剤は、様々な疾患の治療における使用が提案されてきた。それらは、心血管疾患、例えば、高血圧、慢性および鬱血性心不全、虚血性アンギナ、心臓肥大および線維症、再狭窄、慢性腎不全、およびアテローム性動脈硬化症を含む。加えて、その筋弛緩性の性質のために、それは、喘息、男性勃起障害、女性性機能障害および過活動膀胱症候群のためにも適している。ROCK阻害剤は、抗炎症性を有することが示されている。故に、それらは、神経炎症性疾患、例えば、卒中、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、および炎症性疼痛、ならびに他の炎症性疾患、例えば、関節リウマチ、過敏性大腸症候群、炎症性腸疾患およびクローン病のための処置として用いられ得る。加えて、神経突起の伸長を誘導するそれらの効果に基づいて、ROCK阻害剤は、CNS内で病変を横切る新たな軸索成長および軸索再配線(axonal rewiring)を誘導するニューロン再生のための有用な薬剤であり得るだろう。故に、ROCK阻害剤は、CNS疾患、例えば、脊髄損傷、急性神経損傷(卒中、外傷性脳損傷)、パーキンソン病、アルツハイマー病および他の神経変性疾患の再生(回復)処置のために有用である可能性が高い。ROCK阻害剤は細胞増殖および細胞遊走を減じるので、それらは癌および腫瘍転移の処置においても有用であり得るだろう。さらに、ROCK阻害剤がウイルス侵入の際に細胞骨格の再構成を抑制し、故に、それらが抗ウイルスおよび抗バクテリアへの適用において潜在的な治療価値も有することを示す証拠がある。ROCK阻害剤は、インスリン抵抗性ならびに糖尿病の処置のために有用でもある。
【0023】
本明細書中用いるように、用語「有効量」は、例えば、研究者もしくは臨床医により探求されるべき組織、系、動物もしくはヒトの生物学的もしくは医学的応答を導き得る、薬剤もしくは医薬の量を意味する。さらに、用語「治療的に有効量」は、かかる量を受けていない対応する対象に比べて、結果として、疾患、障害もしくは副作用の処置、治癒、予防もしくは改善を向上させるか、または疾患もしくは障害の進行速度を減少させる、任意の量を意味する。該用語は、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するために有効な量も含む。
【0024】
本明細書中用いるように、用語「所望により」は、続いて記載される事象が存在しても存在しなくてもよいことを意味し、そして、存在する事象および存在しない事象の両方を含む。
【0025】
本明細書中用いるように、用語「生理機能性誘導体」は、本発明の化合物の任意の医薬上許容される誘導体、例えば、エステルもしくはアミドを言い、哺乳類に投与される際に、本発明の化合物もしくはその有効な代謝産物を(直接的もしくは間接的に)提供し得る。かかる誘導体は、過度の実験がなくとも、そして、Burger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery,5th Edition,Vol 1:Principles and Practiceの教示を参照して当業者に明らかであり、該文献は、生理機能性誘導体を説明する範囲において、出典明示により本明細書の一部となす。
【0026】
本明細書中用いるように、用語「溶媒和物」は、溶質(本明細書中、式(I)の化合物またはその塩もしくは生理機能性誘導体)および溶媒により形成される可変の化学量論の複合体を言う。本発明の目的のために、かかる溶媒は、溶質の生物学的活性と相互作用しなくともよい。適当な溶媒の例は、水、メタノール、エタノールおよび酢酸を含むが、これらに限定されない。好ましくは、用いられる溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適当な医薬上許容される溶媒の例は、水、エタノールおよび酢酸を含むが、これらに限定されない。最も好ましくは、用いられる溶媒は水である。
【0027】
本明細書中用いるように、用語「置換された」は、別記しない限り、特定の一もしくは複数の置換基での置換、許容されるべき多自由度の置換を言う。
【0028】
本明細書中記載の特定の化合物は、1またはそれ以上のキラル原子を含んでもよく、またはそうでなければ、2つのエナンチオマーとして存在し得る。本発明の化合物は、エナンチオマーの混合物ならびに純粋なエナンチオマーもしくはエナンチオマーに富む混合物を含む。本発明の範囲内には、上の式(I)により示される化合物の個々の異性体ならびにそれらが完全もしくは部分的に平衡した任意の混合物も含まれる。本発明は、1またはそれ以上のキラル中心が反転したその異性体との混合物として、上の式により示される化合物の個々の異性体も含む。また、式(I)の化合物の任意の互変体および互変体の混合物が、式(I)の化合物の範囲内に含まれることも理解される。
【0029】
典型的に、本発明の塩は、医薬上許容される塩である。用語「医薬上許容される塩」に包含される塩は、本発明の化合物の非毒性の塩を言う。本発明の化合物の塩は、式(I)の化合物中の置換基上にある窒素に由来する酸付加塩を含んでもよい。代表的な塩は、以下の塩を含む:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸水素塩、重洒石酸塩、ホウ酸塩、ブロミド、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、クロリド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロリド、エデト酸塩、エジシラート、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロキシナフトアート、ヨージド、イセチオナート、ラクタート、ラクトビオナート、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデラート、メシラート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、マレイン酸一カリウム、ムカート、ナプシラート、ニトラート、N−メチルグルカミン、オキサラート、パモアート(エンボナート)、パルミタート、パントテナート、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクトロナート、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、琥珀酸塩、タンニン酸塩、洒石酸塩、テオクラート、トシラート、トリエチオジド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩。医薬上許容されない他の塩は、本発明の化合物の調製において有用であってもよく、そしてこれらはさらに本発明の態様を形成する。
【0030】
治療における使用のために、治療的に有効量の式(I)の化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理機能性誘導体が、未処理の化学物質として投与されることも可能であるが、医薬組成物として活性成分を提供することも可能である。従って、本発明は、治療的に有効量の式(I)の化合物およびその塩、溶媒和物および生理機能性誘導体ならびに1またはそれ以上の医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む、医薬組成物をさらに提供する。式(I)の化合物およびその塩、溶媒和物および生理機能性誘導体は、上記したものである。担体、希釈剤もしくは賦形剤は、処方の他の成分と適合性があり、かつそのレシピエントに有害でないという点で、許容される必要がある。本発明の別の態様に従って、式(I)の化合物もしくはその塩、溶媒和物および生理機能性誘導体を、1またはそれ以上の医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤と混合することを含む、医薬処方の調製方法も提供される。
【0031】
医薬処方は、単位用量あたり予め決定した量の活性成分を含む単位投与形態にて提供されてもよい。かかる一単位は、処置されるべき状態、投与経路ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば、0.5mgないし1g、好ましくは、1mgないし700mg、より好ましくは、5mgないし100mgの式(I)の化合物を含んでもよく、或いは医薬処方は、単位用量あたり予め決定した量の活性成分を含む単位投与形態にて提供されてもよい。好ましい単位投与処方は、本明細書中上記したように、1日用量もしくは細分割用量(sub−dose)の活性成分またはその適切なフラクションを含むものである。さらに、かかる医薬処方は、調剤技術においてよく知られた任意の方法により調製されてもよい。
【0032】
医薬処方は、任意の適切な経路、例えば、経口(頬側もしくは舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(頬側、舌下もしくは経皮を含む)、経膣もしくは非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)経路による投与に適用されてもよい。かかる処方は、調剤技術において知られている任意の方法、例えば、活性成分を担体もしくは賦形剤と結合させることにより、調製されてもよい。
【0033】
経口投与のために適する医薬処方は、個別単位、例えば、カプセル剤もしくは錠剤;散剤もしくは顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用泡沫体もしくはホイップ;または水中油型の液体エマルジョンもしくは油中水型の液体エマルジョンとして提供されてもよい。
【0034】
例えば、経口投与のために、錠剤もしくはカプセル剤の形態では、有効な薬剤成分は、経口用の非毒性の医薬上許容される不活性担体、例えば、エタノール、グリセロール、水などと合わせられ得る。散剤は、化合物を適当な微細な大きさに粉砕し、次いで、同様に粉砕された医薬担体、例えば、デンプンもしくはマンニトールなどの食用炭水化物と混合することにより、調製される。着香剤、防腐剤、分散剤および着色剤も提供され得る。
【0035】
カプセル剤は、上記のように、粉末混合物を調製し、次いで、形成されたゼラチンシースに充填することにより作られる。流動促進剤および滑沢剤、例えば、コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくは固体ポリエチレングリコールは、濾過操作の前に粉末混合物に加えられ得る。カプセル剤が摂取される場合には、崩壊剤もしくは溶解剤、例えば、寒天、炭酸カルシウムもしくは炭酸ナトリウムも加えられて、薬剤の有用性を向上し得る。
【0036】
さらに、所望されるかまたは必要な場合には、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤も、その混合物中に組み込まれ得る。適当な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースもしくはβ−ラクトース、コーン甘味料、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカントゴムもしくはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含む。これらの投与形態にて用いられる滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されない。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化もしくはスラッギングし、滑沢剤および崩壊剤を加え、次いで押圧して製錠することにより作られる。粉末混合物は、適当には粉砕されている化合物を、上記したような希釈剤もしくは塩基、および所望により、カルボキシメチルセルロース、アルギナート(aliginate)、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶液遅延剤、第4塩などの吸収促進剤および/またはベントナイト、カオリンもしくはリン酸ジカルシウムなどの吸収剤と混合することにより調製される。粉末混合物は、例えば、シロップ、デンプンペースト、アカディア(acadia)粘液またはセルロースもしくはポリマー物質の溶液などの結合剤と一緒に湿らせ、次いで、スクリーンから押し出すことにより顆粒化され得る。造粒の別法として、粉末混合物を打錠機に通し、完全に形成されていないスラグを得、それを顆粒にすることもできる。顆粒剤は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクもしくは鉱油を加えることにより潤滑化されて、錠剤形成ダイに付着するのを防ぎ得る。次いで、潤滑化された混合物は錠剤に圧縮される。本発明の化合物は、自由流動性の不活性担体とも合わせられ、次いで、顆粒化もしくはスラッギング工程に付されることなく、直接的に錠剤に圧縮され得る。セラックのシーリングコート、糖もしくはポリマー物質のコーティングおよびワックスのポリッシュコーティングからなる無色もしくは不透明の保護コーティングが提供され得る。染料がこれらのコーティングへ加えられ、異なる単位投与形を区別し得る。
【0037】
溶液、シロップおよびエリキシルなどの経口用流体は、一定量が予め決定した量の化合物を含むように、単位投与形態にて調製され得る。シロップは、適当に風味付けられた水溶液中に化合物を溶解することにより調製され得、一方で、エリキシルは、非毒性アルコール性ビヒクルを用いることにより調製される。懸濁液は、非毒性ビヒクル中に化合物を分散させることにより処方され得る。溶解剤および乳化剤、例えばエトキシル化されたイソステアリールアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル、防腐剤、風味添加剤、例えば、ハッカ油もしくは天然甘味料もしくはサッカリンもしくは他の人工甘味料なども加えられ得る。
【0038】
適切な場合には、経口投与のための投与単位処方はマイクロカプセル化され得る。該処方は、粒子状物質をポリマー、ワックスなどでコーティングするかまたはその中に埋め込むことにより、放出を延長または維持するようにも調製され得る。
【0039】
式(I)の化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理機能性誘導体は、リポソームデリバリーシステム、例えば、小さな一枚膜ベシクル、大きな一枚膜ベシクルおよび多重層ベシクルの形態にても投与され得る。リポソームは、様々なリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミンもしくはホスファチジルコリンから形成され得る。
【0040】
式(I)の化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理機能性誘導体は、化合物分子が結合している個々の担体としてモノクローナル抗体を用いることにより送達されてもよい。化合物は、標的可能な薬剤担体として可溶性ポリマーに結合されてもよい。かかるポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールもしくはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを含み得る。さらに、該化合物は、薬剤の放出制御を達成する際に有用である生分解性ポリマーの類、例えば、ポリ乳酸、ポレプシロン(polepsilon)カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラートおよびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロックコポリマーに結合されてもよい。
【0041】
経皮投与に適する医薬処方は、長時間にわたってレシピエントの表皮に密着したままであるように意図された個別パッチとして提供されてもよい。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research,3(6),318(1986)にて一般的に記載されるように、イオン導入によりパッチから送達されてもよい。
【0042】
局所投与に適する医薬処方は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルもしくは油脂として処方されてもよい。
【0043】
眼もしくは例えば口腔および皮膚などの他の外部組織の処置のために、好ましくは、該処方は、局所用軟膏もしくはクリームとして適用される。軟膏中に処方される場合には、活性成分はパラフィン系もしくは水混和性軟膏基剤のどちらかと一緒に用いられてもよい。或いは、活性成分は、水中油型クリーム基剤もしくは油中水型基剤と共に、クリーム中に処方されてもよい。
【0044】
眼への局所投与に適する医薬処方は、活性成分が適当な担体、特に水性溶媒中に溶解もしくは懸濁されている点眼剤を含む。
【0045】
口腔への局所投与に適する医薬処方は、ロゼンジ、パステルおよび洗口剤を含む。
直腸投与に適する医薬処方は、坐剤もしくは浣腸剤として提供されてもよい。
【0046】
担体が固体であるところの経鼻用投与に適する医薬処方として、かぎタバコを吸うような方法にて投与される、すなわち、鼻の近くに置いた粉末の容器から鼻腔を介して迅速に吸引することにより投与される、例えば、粒径が20ないし500ミクロンの範囲にある、粗い粉末が挙げられる。経鼻スプレーもしくは経鼻ドロップとして投与するための、担体が液体である適当な処方は、活性成分の水性もしくは油性溶液を含む。
【0047】
吸入による投与に適する医薬処方は、微細な粒子ダストもしくはミストを含み、様々な種類の一定量加圧式エアロゾル、ネブライザーもしくは吸入器を用いてもたらされてもよい。
経膣投与に適する医薬処方は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫体もしくはスプレー処方として提供されてもよい。
【0048】
非経口投与に適する医薬処方は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤および処方を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質を含んでもよい水性および非水性滅菌注入溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液を含む。該処方は、一回投与もしくは複数投与用容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアル中にて提供されてもよく、そして使用直前に、注入のために滅菌液体担体、例えば水を加えることのみを必要とする、フリーズドライ(凍結乾燥)された状態で貯蔵されてもよい。即席の注入溶液および懸濁液は、滅菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製されてもよい。
【0049】
特に上記した成分に加えて、該処方は、問題となっている処方の型を考慮した、当該技術分野にて慣用的な他の剤も含んでもよく、例えば、経口投与に適当なものは着香剤を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0050】
治療的に有効量の本発明の化合物は、例えば、ヒトもしくは他の動物の年齢および体重、処置を要する正確な状態およびその重篤度、処方の性質ならびに投与経路を含む多数の因子に依存し得、そして結局は担当の医師もしくは獣医の判断であろう。しかしながら、腫瘍の成長、例えば、大腸もしくは乳癌の処置のための式(I)の化合物の有効量は、一般的には、1日につきレシピエント(哺乳類)の体重1kgあたり0.1ないし100mgの範囲であり、そしてより一般的には、1日につき体重1kgあたり1ないし10mgの範囲であろう。故に、70kgの成体哺乳類について、1日あたりの実際量は、通常、70ないし700mgであり、そしてこの量は、1日につき1回の投与か、またはより一般的には、1日の全投与量が同じになるように1日につき多数の(2、3、4、5もしくは6回のごとき)細分割用量にて与えられてもよい。その塩もしくは溶媒和物もしくは生理機能性誘導体の有効量は、式(I)の化合物それ自体の有効量の割合として決定されてもよい。同様の用量が、上記した他の状態の処置のために適切であろうと考えられる。
【0051】
本発明の化合物は、標準的な化学を含む様々な方法により作られてもよい。前に定義した任意の変量は、別記しない限り、引き続き、前に定義した意味を有するだろう。例示的な一般的な合成方法が以下に示され、さらに本発明の特定化合物が実施例にて調製される。
【0052】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームに部分的に記載されている、有機合成技術分野にて知られている方法により調製されてもよい。以下に記載の全スキームにおいて、必要な場合には、官能基もしくは反応基のための保護基が化学の一般的原則に従って用いられることが十分に理解される。保護基は有機合成の標準的な方法に従って操作される(T.W.GreenおよびP.G.M.Wuts(1991)Protecting Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons)。これらの基は、化合物合成の都合のよい段階において、当業者に容易に明かである方法を用いて除去される。過程ならびに反応条件の選択およびそれらを実施する順番は、式(I)の化合物の調製に整合性があるものとする。
【0053】
構造式6を有する化合物は、スキーム1に記載される手順にしたがって調製することができる。適当に置換したピリジン誘導体1をアミンで処理することにより、4−アミノ−3−ニトロピリジン2を提供し、全体的な置換パターンにもよるが、それを触媒的または化学的に還元して、ジアミノピリジン3を提供する。シアノ酢酸エチルと共に加熱することにより、イミダゾール4を提供し、あるいは、種々のカップリング試薬を用いて、3をシアノ酢酸とカップリングさせてアミド3aを提供することができ、それを例えば、氷酢酸中での加熱によって、脱水することにより、4を提供することができる。ニトリル4を亜硝酸で処理することによってオキシム5に変換することができ、次いで、さらに、ヒドロキシルアミンおよび塩基での処理によって一段階で、または中間体ヒドロキシルアミン付加生成物5aを単離する二段階で、アミノフラザン構造6に合成することができる。
【0054】
スキーム1
【化2】

【0055】
X=Brの場合、構造式6aの化合物は、さらに、種々の構造に変換することができる(スキーム2)。パラジウム触媒によるカップリングが化合物7を提供し、一方、パラジウム触媒によるアミノ化およびスルファニル化(sulfanation)が化合物10を提供する。別法では、LDA、次いで、BuLiでの処理により、対応するリチウム試薬を提供し、二酸化炭素を包含する種々の親電子物質でそれをクエンチしてカルボン酸を提供することができ、種々の手段によってそれをアミンとカップリングしてアミド8を提供することができる。カルバミン酸t−ブチルとしてのアミノフラザンの最初の保護、次いで、BuLiとの金属ハロゲン交換が関連するリチウム試薬を提供し、それを二酸化硫黄、塩化スルフリルおよび種々のアミンで連続的に処理してスルホンアミド9を提供することができる。
【0056】
スキーム2
【化3】

【0057】
さらに、適当に置換した化合物6を操作することができる。その一例をスキーム3に示す。メチルエーテル6bを三臭化ホウ素で切断してフェノール13を提供し、それを種々の条件下でアルキル化してエーテル14を提供することができる。
【0058】
スキーム3
【化4】

【実施例】
【0059】
下記の実施例は、説明のみを目的とし、何ら限定しようとするものではない。
【0060】
実施例1
4−{1−[4−(4−ピペリジニルオキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン
【化5】

【0061】
工程1. 4−クロロ−3−ニトロピリジン
3−ニトロ−4−ピリジノール(20g,143mmol)のトルエン(300ml)中懸濁液に、オキシ塩化リン(65.7g,429mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を室温に温め、次いで、16時間熱還流した(110℃)。室温に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残渣を氷上に注ぎ、次いで、KCOによりpH約10に塩基性化した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を水で2回、次いで、ブラインで1回洗浄した後、茶色の油状物になるまで濃縮し、それを静置して凝固させた(22.5g,99%)。MS(ES+)m/e159[M+H]
【0062】
工程2. N−[4−(メチルオキシ)フェニル]−3−ニトロ−4−ピリジンアミン
工程1由来の生成物(22.5g,142mmol)の1:3 THF/EtOH(284ml)中溶液に、4−メトキシアニリン(18.3g,149mmol)および重炭酸ナトリウム(35.8g,426mmol)を室温で加えた。得られた混合物を80℃に2時間加熱した。室温に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルで抽出し、有機相をブラインで洗浄後、濃縮して、標題化合物を得た(34.9g,100%)。MS(ES+)m/e246[M+H]
【0063】
工程3. N−[4−(メチルオキシ)フェニル]−3,4−ピリジンジアミン
エタノール(50ml)中における工程2由来の生成物(3g,12mmol)を炭素上における10%パラジウムの存在下、H(50psi)で3時間、水素化した。触媒を珪藻土によってろ過した後、ろ液を真空下で濃縮して標題化合物を得た(2.6g,100%)。MS(ES+)m/e216[M+H]
【0064】
工程4. {1−[4−(メチルオキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}アセトニトリル
工程3由来の生成物(2.6g,12mmol)およびシアノ酢酸エチル(2.7g,2.4mmol)を一緒に、195℃で25分間加熱した。混合物を室温に冷却後、残渣をジクロロメタン中における5%メタノールで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して標題化合物を得た(720mg,22%)。MS(ES+)m/e265[M+H]
【0065】
工程5. 4−{1−[4−(メチルオキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン
メタノール(0.36ml)および5N塩酸(2.5ml)中における工程4由来の生成物(720mg,2.7mmol)を亜硝酸ナトリウム(280mg,4.1mmol)で徐々に処理し、室温で90分間攪拌した。50%水酸化ナトリウム溶液の添加によって、混合物のpHを11に調整し、水(1.8ml)中におけるヒドロキシルアミンの50%溶液を加えた。混合物を110℃で16時間加熱し、反応物を室温に冷却した。得られた沈殿物をろ過し、真空下で乾燥させて、標題化合物を得た(470mg,57%)。MS(ES+)m/e309[M+H]
【0066】
工程6. 4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェノール
5mlのジクロロメタン中における工程5由来の生成物(500mg,1.6mmol)を0℃にて、BBrの1Mジクロロメタン溶液(10ml,10mmol)で徐々に処理した。反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応を水(50ml)でクエンチし、50%水酸化ナトリウム溶液でpH14に塩基性化した。水層をジクロロメタンで洗浄し、5N塩酸で中和し、得られた沈殿を収集し、水、次いで、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、標題化合物を得た(254mg,54%)。MS(ES+)m/e295[M+H]
【0067】
工程7. 4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
ジオキサン(2ml)中における工程6由来の生成物(50mg,0.17mmol)を4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(52mg,0.26mmol)、3mmol/g ポリマー結合型トリフェニルホスフィン(113mg,0.34mmol)およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(76mg,0.37mmol)で処理した。得られた混合物を80℃で12時間攪拌した。室温に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルで抽出し、有機相をブラインで洗浄した後、真空下で蒸発させた。残渣をHPLCによって精製して、標題化合物を得た(19mg,23%)。MS(ES+)m/e478[M+H]
【0068】
工程8. 4−{1−[4−(4−ピペリジニルオキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン
メタノール(2ml)中における工程7由来の生成物(15mg,0.03mmol)をトリフルオロ酢酸(0.5ml)で処理した。得られた混合物を室温で1時間攪拌した。室温に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルで抽出し、有機相をブラインで洗浄した後、濃縮して、標題化合物を得た(12mg,98%)。MS(ES+)m/e378[M+H]
【0069】
実施例2
N−[2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]−N’−フェニル尿素
【化6】

【0070】
工程1. [2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
実施例1,工程6由来の生成物(200mg,0.68mmol)およびトリフェニル−ホスフィン(267mg)を1,4−ジオキサン(7ml)中に懸濁した。これに、(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(157μl)およびDIAD(201μl)を加え、反応物を20℃で18時間攪拌した。粗混合物を真空下で濃縮し、RP−HPLCによって精製して、297mg(定量的)の標題化合物を得た。
NMR 1H NMR(400MHz,MeOD)δppm9.58(s,1H),8.66(d,1H,6.57Hz),7.83(d,1H,6.57Hz),7.52(d,2H,9.10Hz),7.25(dd,2H,2.03Hz,6.83Hz),4.18(t,2H,5.81Hz),3.53(t,2H,5.81Hz),1.49(s,9H).MS(ES+)m/e438[M+H]
【0071】
工程2. 4−(1−{4−[(2−アミノエチル)オキシ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン
工程1由来の生成物(297mg,0.72mmol)を1,4−ジオキサン(3ml)中に懸濁した。これに、6N HCl(1ml)を加え、20℃で1時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮して、標題化合物を得た(225mg,95%)。
NMR 1H NMR(400MHz,MeOD)δppm9.63(s,1H),8.14(dd,1H,0.51Hz,6.57Hz),7.86(dd,1H,0.50Hz,6.57Hz),7.61(dd,2H,2.28Hz,6.82Hz),7.34(dd,2H,2.27Hz,6.82Hz),4.43(t,2H,4.80Hz),3.48(t,2H,5.05Hz).MS(ES+)m/e338[M+H]
【0072】
工程3. N−[2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]−N’−フェニル尿素
工程2由来の生成物(50mg,0.15mmol)を塩化メチレン(1.25ml)およびトリエチルアミン(265μl)中に溶解した。これに、フェニルイソシアネート(21mg)を加え、20℃で18時間攪拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を1N NaOHおよびブラインで洗浄した。有機層を真空下で濃縮し、RP−HPLCによって精製して、標題化合物を得た(8mg,12%)。
NMR 1H NMR(400MHz,MeOD)δppm9.17(s,1H),8.44(d,1H,5.81Hz),7.27−7.46(m,10H),6.98−7.08(m,4H),4.24(t,2H,5.31Hz),3.69(t,2H,5.30Hz) MS(ES+)m/e457[M+H]
【0073】
実施例3
[4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジニル]酢酸
【化7】

【0074】
工程1. [4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジニル]酢酸メチル
N,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中における実施例1由来の生成物(20mg,0.05mmol)をブロモ酢酸メチル(13mg,0.10mmol)、炭酸カリウム(35mg,0.25mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(55mg,0.15mmol)で処理した。得られた混合物を80℃で6時間攪拌した。室温に冷却後、混合物を酢酸エチルと水との間に分配し、次いで、有機相をブラインで洗浄した後、真空下で蒸発させた。残渣をHPLCによって精製して、標題化合物を得た(31mg,53%)。MS(ES+)m/e450[M+H]
【0075】
工程2. [4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジニル]酢酸
THF(1ml)中における工程1由来の生成物(10mg,0.02mmol)をカリウムトリメチルシラノラート(6mg,0.04mmol)で処理した。得られた混合物を室温で24時間攪拌した。混合物を酢酸エチルと水との間に分配し、次いで、有機相をブラインで洗浄した後、真空下で蒸発させた。残渣をHPLCによって精製して、標題化合物を得た(5mg,51%)。MS(ES+)m/e436[M+H]
【0076】
実施例4
4−(1−{4−[(3,3−ジメチルブチル)アミノ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン
【化8】

【0077】
工程1. {4−[(3−ニトロ−4−ピリジニル)アミノ]フェニル}カルバミン酸t−ブチル
ジクロロメタン(50ml)中における実施例1,工程1由来の生成物(5g,31.5mmol)を0℃にて、THF(50ml)中における(4−アミノフェニル)カルバミン酸t−ブチル(6.6g,31.5mmol)で処理した。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルと飽和水性重炭酸ナトリウム溶液との間に分配した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮して、標題化合物を得た(10.4g,99%)。MS(ES+)m/e331[M+H]
【0078】
工程2. {4−[(3−アミノ−4−ピリジニル)アミノ]フェニル}カルバミン酸t−ブチル
エタノール(50ml)中における工程1由来の生成物(3g,9mmol)を炭素上の10%パラジウムの存在下、H(50psi)下で、7時間水素化した。珪藻土による触媒のろ過後、ろ液を真空下で濃縮して、標題化合物を得た(2.7g,100%)。MS(ES+)m/e300[M+H]
【0079】
工程3. 4−[1−(4−アミノフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン
工程2由来の生成物(650mg,2.2mmol)およびシアノ酢酸エチル(245mg,4.4mmol)を一緒に、195℃で25分間加熱した。混合物を室温に冷却後、残渣をメタノール(1ml)および5N塩酸(3ml)中に溶解した。得られた混合物を亜硝酸ナトリウム(304mg,4.4mmol)で徐々に処理し、室温で90分間攪拌した。50%水酸化ナトリウム溶液の添加によって混合物のpHを11に調整し、水中におけるヒドロキシルアミンの50%溶液(2.5ml)を加えた。混合物を110℃で16時間加熱し、反応物を室温に冷却した。室温に冷却後、沈殿物を収集し、メタノール、次いで、ジエチルエーテルで洗浄して、標題化合物を得た(131mg,20%)。MS(ES+)m/e294[M+H]
【0080】
工程4. 4−(1−{4−[(3,3−ジメチルブチル)アミノ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン
N,N−ジメチル−ホルムアミド(2ml)中における工程3由来の生成物(15mg,0.05mmol)を1−クロロ−3,3−ジメチルブタン(7.2mg,0.06mmol)および水酸化カリウム(14mg,0.25mmol)で処理した。混合物を70℃で3時間加熱し、次いで、酢酸エチルとブラインとの間に分配した。有機相を真空下で濃縮し、HPLCによって精製して、標題化合物を得た(1.6mg,8%)。MS(ES+)m/e378[M+H]
【0081】
実施例5
4−[1−エチル−7−(1−ピロリジニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン
【化9】

【0082】
工程1. 3−ブロモ−5−ニトロピリジン−4−オール
4−ヒドロキシ−3−ニトロピリジン(7.00g,50mmol)の水(50ml)中懸濁液に、室温にて、臭素(3.23ml,63 mmol)を滴下した。得られた混合物を1時間攪拌し、次いで、50℃に2時間加熱した。室温に冷却し、さらに1時間攪拌後、生成物をろ過し、水で洗浄し、真空下で2日間乾燥させて、9.54g(87%)を得た。MS(AP−)m/e 217/219[M+H]
【0083】
工程2. 3−ブロモ−4−クロロ−5−ニトロ−ピリジン
氷中で冷却したオキシ塩化リン(50ml)に、工程1由来の生成物(6.57g,30mmol)をゆっくりと加えた。得られた攪拌溶液に、N,N−ジエチルアニリン(4.77ml,30mmol)を滴下した。得られた混合物を室温に温め、次いで、2時間熱還流した。この後、混合物を真空下で濃縮し、残渣を氷上に注ぎ入れた。混合物をジエチルエーテル中に抽出し、有機相を水で2回、次いで、ブラインで1回洗浄した後、茶色の油状物になるまで濃縮し、それを静置して凝固させた(8.01g,>100%)。
H NMR(CDCl)8.94(1H,s),8.93(1H,s)
【0084】
工程3. (3−ブロモ−5−ニトロピリジン−4−イル)エチルアミン
工程2の生成物(27.5g,116mmol)のTHF(50mL)中溶液に、エチルアミン(THF中2.0M,230mL,460mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌し、水中に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。粗物質をクロマトグラフィー(ヘキサン中5−50%EtOAc)に付して標題化合物を得た(22.8g,80%)。MS(ES+)m/e246,248[M+H]
【0085】
工程4. 4−(7−ブロモ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)フラザン−3−イルアミン
標題化合物は、工程3の生成物から、実施例1の工程3−5の方法を用いて調製された。MH(ES+)m/e309/311[M+H]
【0086】
工程5. 4−[1−エチル−7−(1−ピロリジニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン
Ar下、工程4由来の生成物(52mg,169μmol)の1,4−ジオキサン(1.2ml)およびトルエン(1.2ml)中溶液をトリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(16mg,17μmol)、ラセミ体−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(21mg,34μmol)、ピロリジン(17μl,203μmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(23mg,237μmol)で処理した。次いで、該化合物をマイクロ波により、175℃で45分間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、セライトパッドでろ過し、次いで、ろ液を真空下で濃縮した。残渣を逆相HPLCによって精製して、標題化合物を得た(4.1mg,8%)。MS(ES+)m/e300[M+H]
【0087】
実施例6
N−(4−{[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]チオ}フェニル)アセトアミド
【化10】

【0088】
Ar下、実施例5,工程4由来の生成物(61mg,196μmol)の1,4−ジオキサン(1.5ml)およびトルエン(1.5ml)中溶液をトリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(18mg,20μmol)、ラセミ体−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(25mg,40μmol)、N−(4−メルカプトフェニル)アセトアミド(40mg,235μmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(26mg,275μmol)で処理した。該混合物を次いで、マイクロ波により、175℃で140分間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチル(50ml)で希釈し、セライトパッドでろ過し、次いで、ろ液を真空下で濃縮した。残渣を逆相HPLCで精製して、標題化合物を得た(49.4mg,64%)。MS(ES+)m/e396[M+H]
【0089】
実施例7
4−(1−エチル−7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]スルフィニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン
【化11】

【0090】
工程1. 4−(1−エチル−7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]チオ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン Ar下、実施例5,工程4由来の生成物(53mg,172μmol)の1,4−ジオキサン(1.5ml)およびトルエン(1.5ml)中溶液をトリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(15mg,17μmol)、ラセミ体−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(20mg,34μmol)、4−(メチルオキシ)ベンゼンチオール(26μl,206μmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(24mg,242μmol)で処理した。次いで、該混合物をマイクロ波により、175℃で60分間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、セライトパッドでろ過し、次いで、ろ液を真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 2:1)で精製して、標題化合物を得た(36mg,56%)。MS(ES+)m/e369[M+H]
【0091】
工程2. 4−(1−エチル−7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]スルフィニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン
ジクロロメタン(2ml)中における工程1由来の生成物(7.9mg,21.4μmol)をm−CPBA(4.4mg,25.7μmol)で0℃で1時間処理し、次いで、さらに1時間、室温に温めた。反応混合物を酢酸エチル(10ml)で希釈し、水性飽和NaHCO溶液およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮した。次いで、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 1:2)で精製して、標題化合物を得た(5.6mg,68%)。MS(ES+)m/e385[M+H]
【0092】
実施例7
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−[(3S)−3−ピロリジニルメチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド
【化12】

【0093】
工程1. 2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸
実施例5,工程4由来の生成物(5g,18.25mmol)のテトラヒドロフラン(200ml)中溶液をアルゴン下、−78℃にて、リチウムジイソプロピルアミド(LDA,18ml,36.5mmol)のヘキサン中2M溶液で処理した。5分後、該溶液を−78℃にて、n−ブチルリチウム(34ml,54.7mmol)のヘキサン中1.6M溶液で処理した。該混合物を10分間攪拌し、次いで、二酸化炭素ガスを該溶液に10分間、バブルした。得られた薄黄色懸濁液を2時間にわたって室温に温め、テトラヒドロフラン(30ml)中における水(10ml)を用心深く滴下し、該混合物を真空下で濃縮した。残留固体をエーテル(2x100ml)で洗浄し、氷酢酸を含有するメタノール(100ml)中に溶解した。溶媒を蒸発させ、残渣をエーテル(50ml)でトリチュレートし、ろ過して、標題化合物をバフ色の固体として得た(3.28,74%)。MS(ES+)m/e275[M+H]
【0094】
工程2. (3R)−3−[({[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
窒素下、工程1由来の生成物(81.5mg,297μmol)のDMF(5ml)中溶液をカルボニルジイミダゾール(96.5mg,595μmol)および(3R)−3−(アミノメチル)−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(90mg,445μmol)で処理した。該混合物を周囲温度で18時間攪拌し、次いで、酢酸エチル(50ml)で希釈し、水(3X)、次いで、ブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣を逆相HPLCで精製して、標題化合物を得た(34.1mg,25%)。MS(ES+)m/e457[M+H]
【0095】
工程2. 2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−[(3S)−3−ピロリジニルメチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド
メタノール(5ml)中における工程1由来の生成物(23.1mg,50.6μmol)を周囲温度で5時間、塩化アセタール(100μl)で処理した。反応混合物をトリエチルアミン(約300μl)でクエンチし、真空下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(10%MeCN/HO → 80%MeCN/HO)で精製して、標題化合物を得た(12.1mg,67%)。MS(ES+)m/e357[M+H]
【0096】
実施例8
4−[7−{[(3S)−3−アミノ−1−ピロリジニル]カルボニル}−1−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン
【化13】

【0097】
工程1. 3−ブロモ−N−[4−(メチルオキシ)フェニル]−5−ニトロ−4−ピリジンアミン
実施例5,工程2の生成物(34.7g,146.1mmol)のジクロロメタン(400mL)中溶液に、0℃にて、p−アニシジン(THF中における1.9M溶液,100mL,190mmol)を滴下し、混合物を室温に温め、16時間攪拌した。反応混合物を、残渣を酢酸エチル中に再溶解した。混合物を飽和NaHCO、水およびブラインで洗浄し、次いで、濃縮して、標題化合物を得た(38.9g,82%)。MS(ES+)m/e325[M+H]+
【0098】
工程2. 5−ブロモ−N−[4−(メチルオキシ)フェニル]−3,4−ピリジンジアミン
鉄粉(5.2g,92.8mmol)をAcOH(100mL)中に懸濁し、60℃に温めた。外部加熱を外し、AcOH(50mL)中における工程1由来の生成物(5.0g,15.5mmol)を加えた。添加が完了すると、該暗色溶液を80℃に15分間加熱し、次いで、セライトで熱ろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液を黒色ゴム状物質になるまで濃縮し、酢酸エチルと飽和NaHCO溶液との間に分配した。得られたスラリーをセライトでろ過し、酢酸エチルで洗浄した。水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、粘性油状物になるまで濃縮し、それを静置により凝固させた。残渣を、ヘキサン中における50%酢酸エチルで溶出するクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(2.1g,46%)。MS(ES+)m/e294[M+H]
【0099】
工程3. {7−ブロモ−1−[4−(メチルオキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}アセトニトリル
工程3の生成物(0.5g,1.71mmol)およびシアノ酢酸エチル(0.26ml,2.56mmol)の混合物を195℃に30分間加熱した。反応混合物を冷却し、クロロホルム中における10%メタノールで溶出するクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(0.28g,49%)。MS(ES+)m/e343[M+H]
【0100】
工程4. 4−[7−ブロモ−1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−イルアミン
工程3の生成物(2.0g,5.8mmol)の6N HCl(10mL)およびメタノール(4mL)中攪拌懸濁液に、室温にて、NaNO(1.22g,17.4mmol)を徐々に加えた。混合物を2時間攪拌し、次いで、6N KCO(18mL)で塩基性化し、水中における50%ヒドロキシルアミン(10mL)を加えた。該溶液を80℃に一晩加熱した。反応混合物を氷浴中で冷却し、固体沈殿物をろ過し、メタノールおよびジエチルエーテルで洗浄して、標題化合物を得た(1.5g,66%)。MS(ES+)m/e388[M+H]
【0101】
工程5. 4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−7−ブロモ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−フェノール
工程4由来の生成物(0.1g,0.26mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、0℃にて、BBr(ジクロロメタン中における1.0M溶液,2.3mL,2.3mmol)を滴下し、該混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を水(20mL)でクエンチし、50%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH14に塩基性化した。水相をジクロロメタンで洗浄し、6N塩酸で中和し、得られた沈殿物を収集し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、標題化合物を得た(40mg,40%)。MS(ES+)m/e374[M+H]
【0102】
工程6. 4−[7−ブロモ−1−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン
水素化ナトリウム(油中60%分散液,0.42g,10.8mmol)を工程5由来の生成物のDMF溶液50mLに加えた。室温で5分間攪拌後、塩化2−(ジメチルアミノ)エチル塩酸塩(0.4g,2.7mmol)を加え、反応混合物を60℃で5時間加熱した。溶媒を真空下で蒸発させて残渣を得、それを酢酸エチルと2M水酸化ナトリウム溶液との間に分配した。有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣を、ジクロロメタン中における10%メタノールで溶出するクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(0.36g,30%)。MS(ES+)m/e448[M+H]
【0103】
工程7. 4−[7−{[(3S)−3−アミノ−1−ピロリジニル]カルボニル}−1−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン
標題化合物は、工程6の生成物から出発して、実施例7の一般的方法によって調製された。MS(ES+)m/e478[M+H]
【0104】
実施例9
4−[7−((R)−3−アミノ−ピロリジン−1−スルホニル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−イルアミン
【化14】

【0105】
工程1. [4−(7−ブロモ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
実施例5,工程4由来の生成物(1.0g,3.23mmol)のジクロロエタン(5mL)およびピリジン(10mL)中溶液をDMAP(0.435g,3.56mmol)およびBOCO(1.06g,4.85mmol)で処理した。該溶液を70℃に一晩加熱した。さらにDMAP(0.197g,1.62mmol)およびBocO(0.353g,1.62mmol)を加え、反応混合物を70℃で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を冷却し、真空下で濃縮した。残渣をHOおよびEtOAc中に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、標題化合物を褐色固体として得た(1.25g,95%)。MS(ES+)m/e 410[M+H]
【0106】
工程2. {4−[7−((R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピロリジン−1−スルホニル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
工程1由来の生成物(0.150g,0.367mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)中溶液を周囲温度にて、アルゴン下、NaH(1当量)で処理した。10分後、混合物を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(2当量)で処理した。10分後、混合物を、SOガスをTHF(2mL)中に5分間バブリングすることで生成したSO溶液(2mL)で処理した。10分間攪拌後、混合物をSOClで処理し、室温に温めた。反応混合物を次いで、真空下で濃縮し、得られた固体をアルゴン下、ジクロロメタン(2.5mL)およびピリジン(2.5mL)中に溶解し、3−((R)−BOC−アミノ)ピロリジン(0.085g,0.46mmol)で処理し、室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮して、標題化合物を得た。MS(ES+)m/e580[M+H]
【0107】
工程3. 4−[7−((R)−3−アミノ−ピロリジン−1−スルホニル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−イルアミン
最少量のMeOH中における工程2由来の生成物、およびHClのEtO中における1M溶液1mLを加えた。該混合物を6時間攪拌し、次いで、濃縮し、残渣を逆相HPLCによって精製して、標題化合物を得た(0.0443g,32%)。MS(ES+)m/e379[M+H]
【0108】
ROCKキナーゼアッセイ:
ROCK阻害剤活性は、Sf9細胞中に発現されたヒト組み換えROCK1キナーゼドメイン(アミノ酸2−543)を用いて測定された(WO9967283参照)。該酵素は、His−タグNTAカラムおよびSource15 HPLCクロマトグラフィーを用いて精製した。Rock−1活性のアッセイは、ペプチド基質およびATP33とのインキュベーションを含み、それに続くP33の該ペプチド中への取り込みをシンチレーション近接アッセイ(SPA− Amersham Pharmacia)によって定量した。
IC50決定のために、試験化合物を典型的には、10mMで100%DMSO中に溶解し、次いで、100%DMSO中において連続希釈した。典型的には、化合物を3倍希釈において、50μM〜0.8nMのアッセイ濃度を有する11点希釈範囲にわたってアッセイした。IC50値は、注文した曲線フィッティングソフトウェアによって計算し、次いで、pIC50に変換した。
【0109】
アッセイは、不透明の白色壁384ウェルプレート中、全アッセイ容量20μlで行われた。該アッセイは:1nM hROCK1;1μM ビオチン化ペプチド(ビオチン−Ahx−AKRRRLSSLRA−CONH2);1μM ATP;1ウェルにつき1.85kBq ATP(□−33P);25mM Hepes pH7.4;15mM MgCl;0.015% BSAを含有した。反応物は、22℃で120分間インキュベートし、次いで、60mM EDTAおよびストレプトアビジンPVT SPAビーズを含有する溶液50μlの添加によって終止した。該SPAビーズは、1ウェルあたり0.14mgの濃度まで加えられた。該プレートを22℃で10分間インキュベートした後、1500rpmで1分間遠心分離した。P33取り込みは、Packard TopCountにおけるシンチレーションカウンティングによって定量した。
【0110】
限定するものではないが、特許および特許出願を包含する本明細書に引用される全ての出版物は、あたかも個々の出版物の各々が特別かつ個々に、その全体が示されているかのように出典明示によって本明細書の一部とされることが示されているかの如く、出典明示により、本明細書の一部とされる。
上記の記載は、好ましい具体例を包含する本発明を完全に開示するものである。本明細書中に開示される特定の具体例の修飾および改良は、特許請求の範囲の範囲内である。さらに工夫することなく、当業者は、上記の記載を用いて本発明をその完全な範囲まで利用することができると確信する。したがって、本明細書の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。独占的な財産または特権を請求する本発明の具体例は、特許請求の範囲に示すとおりである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、OalkNRまたはSalkNR基からなる群から選択される基によって置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、OalkNRまたはSalkNR基からなる群から選択される基によって置換されていてもよいOC1−6アルキルで置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、OalkNRまたはSalkNR基から選択される基によって置換されていてもよいヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、NHCHCH(CH、NH(CHC(CH、NHCH(CH、NH(CHCH(CH、NHCHアリール、アシルアミノ、ヒドロキシ、CONR、NRCOR、SONR、NRSO、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルから選択される基を示し;
は、水素、F、Cl、Br、I、置換されていてもよいフェニル、C3−7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、NH、RN、アシルアミノ、ヒドロキシ、CO、CONR、NRCOR、NRCSR、SONR、NRSO、OalkNRからなる群から選択される基によって置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいフェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、CONR、SONR、NR、S(O)を示し;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル(ここに、RおよびRは結合して1つの環になることができる)から選択される基を示し;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキルから選択される基を示し;
nは、0、1または2であり;および
alkは、C2−4直鎖または分枝鎖アルキレン鎖である]
で示される化合物および生理学上許容される塩。
【請求項2】
4−(1−エチル−7−{[3−(メチルオキシ)フェニル]チオ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジンカルボン酸フェニルメチル;
4−[1−(4−{[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
4−{1−[4−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}オキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン;
4−[1−(4−{[(5−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
4−[1−(4−{[(5−メチル−3−イソオキサゾリル)メチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
4−[1−(4−{[(メチルスルホニル)メチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−[4−(メチルオキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−アミン;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−(4−ピペリジニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
4−(7−{[4−(アミノメチル)−1−ピペリジニル]スルホニル}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−[1−エチル−7−(1−ピペラジニルスルホニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−4−ピペリジニル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−3−ピロリジニル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
N−(トランス−4−アミノシクロヘキシル)−2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
4−(7−{[(3R)−3−アミノ−1−ピロリジニル]スルホニル}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
N−{[4−(アミノメチル)シクロヘキシル]メチル}−2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
2−(4−{[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]スルホニル}−1−ピペラジニル)エタノール;
N−(2−アミノエチル)−2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
4−{1−エチル−7−[(4−メチル−1−ピペラジニル)スルホニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン;
4−[({[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]スルホニル}アミノ)メチル]安息香酸;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−[3−(メチルアミノ)プロピル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−N−(3−アミノプロピル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
N−(4−アミノブチル)−2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−スルホンアミド;
4−[1−(1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
4−[1−エチル−7−(2−ピリジニルチオ)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
(3R)−3−[({[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル;
N−[2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]−N−メチルグリシン;
(3S)−3−[({[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]カルボニル}アミノ)メチル]−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル;
4−(1−{4−[(1−メチル−3−ピロリジニル)オキシ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−[1−エチル−7−(4−ピリジニルチオ)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル;
4−(1−エチル−7−{[4−(メチルオキシ)フェニル]スルフィニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−N−[2−(2−クロロフェニル)−2−(ジメチルアミノ)エチル]−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−N−[4−(ジメチルアミノ)ブチル]−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
4−[1−エチル−7−(1−ピロリジニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)酢酸;
({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)酢酸1,1−ジメチルエチル;
4−{1−[4−(4−ピペリジニルオキシ)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン;
4−{7−[3−(1−アミノエチル)フェニル]−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−[(3S)−3−ピロリジニルメチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−[(3R)−3−ピロリジニルメチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
N−{[3−(アミノメチル)シクロヘキシル]メチル}−2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
4−[({[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]カルボニル}アミノ)メチル]安息香酸;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−N−[4−(ジエチルアミノ)−1−メチルブチル]−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−N−{2−[4−(メチルオキシ)フェニル]−2−フェニルエチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド;
N−[2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]−N−メチルアセトアミド;
N−[2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]−N−メチルメタンスルホンアミド;
N−[2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]−N’−フェニル尿素;
N−[2−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)エチル]−N’−エチル尿素;
[4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジニル]酢酸メチル;
4−[1−(4−{[2−(フェニルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
[4−({4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]フェニル}オキシ)−1−ピペリジニル]酢酸;
1−{[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]カルボニル}−4−ピペリジンアミン;
2−(4−{[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]カルボニル}−1−ピペラジニル)エタノール;
N−(4−{[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]チオ}フェニル)アセトアミド;
N−(4−{[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]スルフィニル}フェニル)アセトアミド;
4−[7−{[(3S)−3−アミノ−1−ピロリジニル]カルボニル}−1−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
1−{[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]カルボニル}−4−ピペリジンカルボキサミド;
4−[1−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−7−(1−ピロリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
4−(7−{[(3S)−3−アミノ−1−ピロリジニル]カルボニル}−1−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−[1−フェニル−7−(1−ピロリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−アミン;
4−(1−{4−[(3,3−ジメチルブチル)アミノ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−(1−{4−[(2−メチルプロピル)アミノ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−(1−{4−[(1−メチルエチル)アミノ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−(1−{4−[(3−メチルブチル)アミノ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−(1−{4−[(フェニルメチル)アミノ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フラザン−3−アミン;
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−N−メチルベンズアミド;
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]−N−(1−メチルエチル)ベンズアミド;
4−{1−[4−(1−ピロリジニルカルボニル)フェニル]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−フラザン−3−アミン;および
4−[2−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ベンズアミド
からなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
必要とする対象に、安全かつ有効量の請求項1記載の化合物を投与することを特徴とするRho−キナーゼを阻害する方法。
【請求項4】
疾患が、高血圧、慢性および鬱血性心不全、虚血性アンギナ、心臓肥大および線維症、再狭窄、慢性腎不全、アテローム性動脈硬化症、喘息、男性勃起障害、女性性機能障害および過活動膀胱症候群、卒中、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、炎症性疼痛、関節リウマチ、過敏性大腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病、CNS内で病変を横切る新たな軸索成長および軸索再配線を誘導するニューロン再生を必要とする適応症、脊髄損傷、急性ニューロン損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、腫瘍転移、ウイルス性および細菌性感染、インスリン耐性および糖尿病からなる群から選択される請求項3記載の方法。
【請求項5】
疾患が高血圧、慢性および鬱血性心不全、虚血性アンギナ、喘息、男性勃起障害、女性性機能障害、卒中、炎症性腸疾患、脊髄損傷、緑内障および腫瘍転移からなる群から選択される請求項4記載の方法。
【請求項6】
疾患が高血圧、慢性および鬱血性心不全および虚血性アンギナからなる群から選択される請求項4記載の方法。
【請求項7】
請求項1記載の化合物および適当な担体を含む医薬組成物。


【公表番号】特表2007−507547(P2007−507547A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534265(P2006−534265)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/032825
【国際公開番号】WO2005/037198
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】