説明

キノロン類及びナフチリジン類の製造方法における環化工程

【課題】本発明は、それ自体が活性物質になり得るか、又は他の活性分子を形成するための中間体になり得る、キノロン類若しくはその誘導体を得るための改善された方法を提供する。
【解決手段】有機ケイ素試薬を、以下の式(A)に従う構造を有する化合物と反応させる工程を含むキノロン類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主題発明は、活性抗菌剤及び/又は抗HIV剤である化合物のキノロン類及びキノロン誘導体類を製造するための方法に関する。本発明はまた、これらの化合物の製造に有用な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
化学及び医学文献には、抗微生物剤と呼ばれる、すなわち細菌などの微小有機体の成長又は繁殖を阻害又は抑制することのできる化合物が記載されている。例えば、このような抗菌剤及び他の抗微生物剤については、疾病管理のための抗生物質、化学療法、及び抗菌剤(Antibiotics,Chemotherapeutics,and Antibacterial Agents for Disease Control)(M.グレイソン(Grayson)編、1982年)、及びE.ゲール(Gale)他、抗生物質作用の分子基盤(The Molecular Basis of Antibiotic Action)第2版(1981年)に記載されている。
【0003】
これらの抗菌剤の作用メカニズムは、様々である。しかし、それらは一般に、細胞壁の合成若しくは修復の阻害、細胞壁透過性の変化、タンパク質合成の阻害、又は核酸合成の阻害のうち、1つ以上の様式で機能すると考えられている。例えば、βラクタム抗菌剤類は、細胞壁合成を担う、細菌中の必須ペニシリン結合タンパク質類(PBPs)の阻害を通じて作用する。他の例として、キノロン類は、少なくとも部分的に、DNAの合成を阻害して細胞の複製を妨げることによって作用する。
【0004】
抗微生物剤の薬理学的特徴、及び所与の任意の臨床使用に関するその適性は様々である。例えば、抗微生物剤の分類(及び分類中のメンバ)は、1)様々なタイプの微小有機体に対するその相対的な有効性、2)微生物の耐性の発達に対する影響の受けやすさ、及び3)生物学的利用能や体内分布などの薬理学的特徴が異なることがある。したがって、所与の臨床状況で適切な抗菌剤(又は他の抗微生物剤)を選択するには、関与する有機体のタイプ、所望の投与方法、処置すべき感染の箇所、及び他の考慮事項を含む多くの要因を解析する必要がある。
【0005】
キノロン、ナフチリジン、及び関連化合物の合成に有用な中間体化合物を製造するための環化方法については、1986年1月22日公開の特許文献1、及び1997年12月30日発行の特許文献2を含む多数の参照文献に開示されている。これらの刊行物に開示の方法は、キノロン化学における有用な進展を表しているが、本出願人らは前述の、又は他の従来技術の参照では意図されていないある種の脱離基をシリル化反応物質と併用すると、従来技術で開示される方法に関していくつかの利点を提供することを見出した。例えば、本方法は、分子内環化方法によって様々なキノロン及び関連化合物の合成が可能であり、この場合、出発芳香族環前駆体(以下の式(A)でXR9で示す)上の重要な脱離基が、本来電子供与性のものである。芳香族環前駆体は、本来電子供与性又は電子求引性になり得る他の置換基を含有することもできる。キノロン類を形成するための、ある従来技術の環化方法は、出発芳香族環上の脱離基として電子求引性の基を開示しており、また、その環上のオルト又はパラ位置に他の電子求引性の基の存在を必要とすることもある。例えば、特許文献2を参照されたい。さらに、他の従来技術が、メトキシ及びチオメチル脱離基の使用を論じたときには、それらが水素化ナトリウムを使用し、極性溶媒で高温(140〜160℃)を必要とする限り、開示される反応条件は過酷なものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第168,733号明細書
【特許文献2】米国特許第5,703,231号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
対照的に、本方法では、キノロン類の製造に広範囲の出発物質の基を使用することができるので、おそらく、より効率的でコスト効果の高い方法になる。また、この方法では、一般に従来技術に記載の方法ほど過酷ではない反応条件を使用でき、それがまた合成収率を改善する可能性がある。
したがって、本発明は、それ自体が活性物質になり得るか、又は他の活性分子を形成するための中間体になり得る、キノロン類若しくはキノロン類の誘導体を得るための改善された方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
主題発明は、式(I)に従う構造を有する化合物、又はその光学異性体、ジアステレオマー、若しくはエナンチオマー、又はその製薬上許容可能な塩、水和物、又は生加水分解性のエステル、アミド、若しくはイミドを製造するための方法に関し、
【0009】
【化1】

【0010】
1つ以上の有機ケイ素試薬を、式(A)に従う構造を有する化合物と反応させる工程を含み、
【0011】
【化2】

【0012】
式(I)及び式(A)に関して、
(A)(1)Aは、N又はC−R8であり、ここで、R8は、水素、アルキル、アリール、ハロ、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アリールオキシ、ヒドロキシのエステル、アルキルチオ、アリールチオ、アリールオキシ、チオのエステル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアリールエステル及びアミドから選択され、
(2)R7は、水素、アルキル、アリール、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシのエステル、アルキルチオ、アリールチオ、チオのエステル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアルキル及びアリールエステル及びアミドから選択され、
(3)R6は、水素、ハロ、アルキル、アリール、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシのエステル、アルキルチオ、アリールチオ、チオのエステル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアルキル及びアリールエステル及びアミドから選択され、
(4)R5は、水素、アルキル、アリール、シアノ、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアリールエステル及びアミドから選択され、
(5)R1は、炭素環、複素環、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、及び−CH(R10)(R11)から選択され、ここで、R10は、低級アルキル及びフェニルから選択され、R11は、−CH2Y(O=)CR12であり、ここで、R12は、低級アルキル及びフェニルから選択され、Yは、−NH−、−O−、及び−S−から選択され、
(6)R2は、水素、アルキル、アリール、複素環、アルキルチオ、及びアリールチオから選択され、
(7)R3は、水素、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、及びアリールから選択されるか、又は、
(B)R1及びR2は、一緒になって5員又は6員の炭素環又は複素環を形成でき、ここで、A、R3、R5、R6、R7、及びR8は、存在する場合、(A)に記載のものであるか、又は、
(C)R6及びR7は、一緒になって5員又は6員の炭素環又は複素環を形成でき、ここで、A、R1、R2、R3、R5、及びR8は、存在する場合、(A)に記載のものであり、
及び、式(A)に関して、
(D)Xは、−O−及び−S−から選択され、R9は、C1〜C10アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択される。
【0013】
式(I)の化合物は、それ自体が有効な抗微生物剤若しくは抗HIV剤になり得るか、又は、周知の化学物質を用いてさらに反応して、抗微生物若しくは抗HIV活性を有する分子を提供することができる。したがって、式(I)の化合物は、他の活性キノロン類及びキノロン誘導体類の形成に有用な中間体になり得る。
本発明はまた、本方法で有用な、式(A)の構造を有する新規の中間体に関する。
【0014】
(発明の詳細な説明)
【0015】
I.用語及び定義
以下に、本明細書で使用する用語に関する定義を列記する:
「アシル」又は「カルボニル」は、カルボン酸からヒドロキシを取り除いて形成されるラジカル(すなわち、R−C(=O)−)である。「アルキルアシル」は−C(=O)−アルキルであり、「アリールアシル」は−C(=O)−アリールである。好ましいアシル基としては、(例えば)アセチル、ホルミル、及びプロピオニルが挙げられる。
【0016】
「アルキル」は、1〜15個の炭素原子、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖である。「アルケン」は、少なくとも1つ(好ましくは1つだけ)の炭素−炭素二重結合を有し、2〜15個の炭素原子、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有する炭化水素鎖である。「アルキン」は、少なくとも1つ(好ましくは1つだけ)の炭素−炭素三重結合を有し、2〜15個の炭素原子、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有する炭化水素鎖である。アルキル、アルケン、及びアルキン鎖(集合的に「炭化水素鎖」と呼ぶ)は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、非置換又は置換であってもよい。好ましい分枝状アルキル、アルケン、及びアルキン鎖は、1つ又は2つの分枝、好ましくは1つの分枝を有する。好ましい鎖は、アルキルである。アルキル、アルケン、及びアルキン炭化水素鎖は、それぞれ非置換であってもよく、又は1〜4個の置換基で置換されていてもよく、置換されている場合、好ましい鎖は、モノ置換、ジ置換、又はトリ置換である。アルキル、アルケン、及びアルキン炭化水素鎖は、それぞれ、ハロ、ヒドロキシ、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ(例えば、アセトキシ)、カルボキシ、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、スピロ環、アミノ、アミド、アシルアミノ、ケト、チオケト、シアノ、又はこれらの任意の組み合わせで置換されていてもよい。好ましい炭化水素基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル、アリル、ブテニル、及びエキソメチレニルが挙げられる。
【0017】
「アルコキシ」は、炭化水素鎖置換基を有する酸素ラジカルであり、炭化水素鎖は、前述の非置換又は置換のアルキル又はアルケニル(すなわち、−O−アルキル又は−O−アルケニル)である。置換アルコキシの場合、好ましい置換基は、1〜5個のフッ素原子を含む。好ましいアルコキシ基としては、(例えば)メトキシ、ジフルオロメトキシ、エトキシ、ペンタフルオロエトキシ、プロポキシ、及びアリルオキシが挙げられる。
【0018】
また、本明細書で「低級」アルコキシ、アルキル、アルケン、又はアルキン部分と呼ぶもの(例えば、「低級アルキル」)は、アルキル及びアルコキシの場合には、1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子で構成される鎖であり、アルケン及びアルキンの場合には、2〜6個、好ましくは2〜4個の炭素原子で構成される鎖である。
【0019】
「アルキルホスホニル」は、−PO3−アルキル(例えば、−PO3−CH3)である。
「アルキルスルホニル」は、−SO2−アルキル(例えば、−SO2−CH3)である。
「アルキルチオ」は、−S−アルキル(例えば、−S−CH3)である。
「アミノ」は、−NH2を呼ぶ。「アルキルアミノ」は、少なくとも1つのアルキル部分で置換したアミノ(例えば、−NH(CH3)である。「アリールアミノ」は、少なくとも1つのアリール部分で置換したアミノ(例えば、−NH(C65)である。
【0020】
「アリール」は、芳香族炭化水素環である。アリール環は、単環式又は縮合二環式環構造である。単環式アリール環は、環の中に6個の炭素原子を含有する。単環式アリール環はまた、フェニル環とも呼ばれる。二環式アリール環は、環の中に、8〜17個の炭素原子、好ましくは9〜12個の炭素原子を含有する。二環式アリール環としては、一方の環がアリールで、他方の環がアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル(heterocycloakyl)である環構造が挙げられる。好ましい二環式アリール環は、5員、6員、又は7員に縮合された、5員、6員、又は7員を含む。アリール環は、非置換であってもよく、又は環上の1〜4個の置換基で置換されたものであってもよい。アリールは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アリールオキシ、アルコキシ、ヘテロアルキルオキシ、カルバミル、ハロアルキル、メチレンジオキシ、ヘテロアリールオキシ、又はこれらの任意の組み合わせで置換されていてもよい。好ましいアリール環としては、ナフチル、トリル、キシリル、及びフェニルが挙げられる。最も好ましいアリール環ラジカルは、フェニルである。
【0021】
「アリールオキシ」は、アリール置換基を有する酸素ラジカル(すなわち、−O−アリール)である。好ましいアリールオキシ基としては、(例えば)フェノキシ、ナプチルオキシ、メトキシフェノキシ、及びメチレンジオキシフェノキシが挙げられる。
「アリールホスホニル」は、−PO3−アリール(例えば、−PO3−C65)である。
「アリールスルホニル」は、−SO2−アリール(例えば、−SO2−C65)である。
「アリールチオ」は、−S−アリール(例えば、−S−C65)である。
【0022】
「生加水分解性アミド」とは、本発明の化合物のアミノアシル、アシルアミノ、若しくは他のアミド類であり、アミドが化合物活性に本質的には干渉せず、好ましくは化合物活性に干渉せず、又はアミドがホストによってインビボで容易に変換されて活性化合物を生成するものである。
「生加水分解性イミド」とは、本発明の化合物のイミド類であり、イミドが化合物活性に本質的には干渉せず、好ましくは化合物活性に干渉せず、又はイミドがホストによってインビボで容易に変換されて活性化合物を生成するものである。好ましいイミドは、ヒドロキシイミドである。
【0023】
「生加水分解性エステル」とは、本発明の化合物のエステル類であり、エステルが化合物の抗微生物活性に本質的には干渉せず、好ましくは化合物の抗微生物活性に干渉せず、又はエステルがホストによってインビボで容易に変換されて活性化合物を生成するものである。このようなエステルの多くが、1988年11月8日発行のジョンストン(Johnston)及びモバシュリー(Mobashery)の米国特許第4,783,443号(参考のためにここに示す)に記載のように、当該技術分野において既知である。このようなエステルとしては、低級アルキルエステル、低級アシルオキシ−アルキルエステル(アセトキシメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、及びピバロイルオキシエチルエステルなど)、ラクトニルエステル(フタリジルエステル及びチオフタリジルエステルなど)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(メトキシカルボニルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルオキシエチルエステル、及びイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステルなど)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル、及びアルキルアシルアミノアルキルエステル(アセトアミドメチルエステルなど)が挙げられる。
「炭素環」には、シクロアルキル及びアリール部分の両方が包含され、これらの用語を本明細書で定義する。
「カルボニル」は、−C(=O)−である。
【0024】
「シクロアルキル」は、飽和又は不飽和炭化水素環である。シクロアルキル環は芳香族ではない。シクロアルキル環は、単環式、又は、縮合、スピロ、又は架橋二環式環構造である。単環式シクロアルキル環は、環の中に、約3〜約9個の炭素原子、好ましくは3〜7個の炭素原子を含有する。二環式シクロアルキル環は、環の中に、7〜17個の炭素原子、好ましくは7〜12個の炭素原子を含有する。好ましい二環式シクロアルキル環は、5員、6員、又は7員環に縮合された、4員、5員、6員、又は7員環を含む。シクロアルキル環は、非置換であってもよく、又は環上の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。シクロアルキルは、ハロ、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、ケト、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、又はこれらの任意の組み合わせで置換されていてもよい。好ましいシクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0025】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素である。好ましいハロは、フッ素、塩素、及び臭素であり、より好ましくは、通常は塩素及びフッ素であり、特にフッ素である。
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロ置換基で置換された、直鎖、分枝状、又は環状炭化水素である。好ましくはC1〜C12ハロアルキル、より好ましくはC1〜C6ハロアルキル、さらに好ましくはC1〜C3ハロアルキルである。好ましいハロ置換基は、フッ素又は塩素である。最も好ましいハロアルキルは、トリフルオロメチルである。
「ヘテロ原子」とは、窒素、イオウ、又は酸素原子である。1超過のヘテロ原子を含有する基が、異なるヘテロ原子を有してもよい。
【0026】
「ヘテロアルキル」は、炭素と少なくとも1個のヘテロ原子とを含有する飽和又は不飽和鎖であり、2個のヘテロ原子が隣り合うことはない。ヘテロアルキル鎖は、鎖の中に2〜15個、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜5個の構成原子(炭素及びヘテロ原子)を含有する。例えば、アルコキシ(すなわち、−O−アルキル、又は−O−ヘテロアルキル)ラジカル類が、ヘテロアルキルに含まれる。ヘテロアルキル鎖は、直鎖又は分枝鎖であってよい。好ましい分枝状ヘテロアルキルは、1つ又は2つの分枝を有し、好ましくは1つの分枝を有する。好ましいヘテロアルキルは、飽和している。不飽和ヘテロアルキルは、1つ以上の炭素−炭素二重結合、及び/又は1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する。好ましい不飽和ヘテロアルキルは、1つ若しくは2つの二重結合、又は1つの三重結合を有し、より好ましくは1つの二重結合を有する。ヘテロアルキル鎖は、非置換であってもよく、又は1〜4個の置換基で置換されていてもよい。好ましい置換ヘテロアルキルは、モノ置換、ジ置換、又はトリ置換である。ヘテロアルキルは、低級アルキル、ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、カルボキシ、単環式アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、スピロ環、アミノ、アシルアミノ、アミド、ケト、チオケト、シアノ、又はこれらのいずれかの組み合わせで置換されていてもよい。
【0027】
「ヘテロアリール」は、環の中に、炭素原子及び1〜約6個のヘテロ原子を含む芳香族環である。ヘテロアリール環は、単環式又は縮合二環式環構造である。単環式ヘテロアリール環は、環の中に、約5〜約9個、好ましくは5又は6個の構成原子(炭素及びヘテロ原子)を含有する。二環式ヘテロアリール環は、環の中に、8〜17個、好ましくは8〜12個の構成原子を含有する。二環式ヘテロアリール環には、一方の環がヘテロアリールで、他方の環がアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルである環構造が挙げられる。好ましい二環式ヘテロアリール環構造は、5員、6員、又は7員環に縮合された、5員、6員、又は7員環を含む。ヘテロアリール環は、非置換であってもよく、又は環上の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリールは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、又はこれらのいずれかの組み合わせで置換されていてもよい。好ましいヘテロアリール環として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール置換基を有する酸素ラジカル(すなわち、−O−ヘテロアリール)である。好ましいヘテロアリールオキシ基としては、(例えば)ピリジルオキシ、フラニルオキシ、(チオフェン)オキシ、(オキサゾール)オキシ、(チアゾール)オキシ、(イソキサゾール)オキシ、ピリミジニルオキシ、ピラジニルオキシ、及びベンゾチアゾリルオキシが挙げられる。
【0031】
「ヘテロシクロアルキル」は、環の中に、炭素原子及び1〜約4個(好ましくは1〜3個)のヘテロ原子を含有する、飽和又は不飽和環である。ヘテロシクロアルキル環は、芳香族ではない。ヘテロシクロアルキル環は、単環式又は二環式環構造である。単環式ヘテロシクロアルキル環は、環の中に、約3〜約9個、好ましくは5〜7個の構成原子(炭素及びヘテロ原子)を含有する。二環式ヘテロシクロアルキル環は、環の中に、7〜17個、好ましくは7〜12個の構成原子を含有する。二環式ヘテロシクロアルキル環は、約7〜約17個、好ましくは7〜12個の環原子を含有する。二環式ヘテロシクロアルキル環は、縮合、スピロ、又は架橋環構造でもよい。好ましい二環式ヘテロシクロアルキル環は、5員、6員、又は7員環に縮合された、5員、6員、又は7員環を含む。ヘテロシクロアルキル環は、非置換であってもよく、又は環上の1〜4個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロシクロアルキルは、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ケト、チオケト、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アルコキシ、アリールオキシ、又はこれらのいずれかの組み合わせで置換されたものでもよい。ヘテロシクロアルキルに対する好ましい置換基としては、ハロ及びハロアルキルが挙げられる。好ましいヘテロシクロアルキル環として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
「複素環」には、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリール部分の両方が包含され、これらの用語を本明細書で定義する。
「ホスト」とは、微生物を保持することのできる基質で、好ましくは生物有機体、より好ましくは動物、より好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒトである。
【0035】
用語「光学異性体」、「立体異性体」、及び「ジアステレオマー」は標準的に業界で認められている意味を有する(例えば、ホーレーの要約化学辞典(Hawley’s Condensed Chemical Dictionary)、第11版を参照のこと)。本発明の化合物の特定の保護形態、及び他の誘導体についての説明は、制限をしようとするものではない。他の有用な保護基、塩の形態などは、当業者の能力の範囲内で応用される。
【0036】
本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を有するものでもよい。結果として、ジアステレオマーやエナンチオマーを含む光学異性体の1つを、例えば、キラル出発物質、触媒、又は溶媒を使用することによって、他のものと区別して選択的に調製することができ、ジアステレオマー及びエナンチオマーを含む両方の立体異性体又は両方の光学異性体(ラセミ混合物)を同時に調製することもできる。本発明の化合物が、ラセミ混合物、ジアステレオマー及びエナンチオマーを含む光学異性体の混合物、又は立体異性体として存在できるので、それらをキラル分解やキラルクロマトグラフィーなどの既知の方法を用いて分離することができる。
【0037】
加えて、ジアステレオマー及びエナンチオマーを含むある種の光学異性体、又は立体異性体が、他のものを超える好ましい特性を有する可能性があることが認識されている。したがって、本発明を開示し特許請求する際、ある種のラセミ混合物が開示される際、他のものを実質的に含まない、ジアステレオマー及びエナンチオマーを含む両方の光学異性体、又は立体異性体も同様に開示し特許請求されることが、明らかに意図されている。
【0038】
「有機ケイ素試薬」は、普通、シリル化反応、すなわち、ヘテロ原子(例えば、−OH、=NH、−SHなど)に結合した水素原子をシリル基(普通はトリアルキルシリル基)で置換する反応で利用される任意のシリコーン含有試薬であり、その反応には、シリル誘導体(例えば、シリルエモールエーテル)を形成して、シリコン−ヘテロ原子結合を形成するための、ヘテロ原子構造の互変異性体の反応が含まれる。このような化合物の多くが当該技術分野で既知であり、以下の文献に記載されている。カーク・オスマー(Kirk−Othmer)、第3版、第20巻、「化学技術百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」(1982年)中のE.プルードマン(Plueddemann)、「シリル化剤(Silylating Agents)」;第3巻「総合有機化学(Comprehensive Organic Chemistry)」(D.ジョーンズ(Jones)編、1979年)中のI.フレミング(Fleming)、「有機シリコン化学(Organic Silicon Chemistry)」;B.クーパー(Cooper)、「有機合成におけるシリル化(Silylation in Organic Synthesis)」、方法生化学(Proc.Biochem.)9(1980年);B.クーパー(Cooper)、「有機合成における保護方法としてのシリル化(Silylation as a Protective Method in Organic Synthesis)」、化学産業(Chem.Ind.)、794(1978年);J.ラスムッセン(Rasmussen)、「有機合成のためのO−シリル化エノラート−多用途中間体(O−Silylated Enolates−Versatile Intermediates for Organic Synthesis)」91合成(Synthesis)(1977年)。本方法で有用な、代表的な有機ケイ素試薬としては、クロロトリメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、1,3−ビス(トリメチルシリル)尿素、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、1−トリメチルシリルイミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、t−ブチルジメチルクロロシラン、1−(t−ブチルジメチルシリル)イミダゾール、エチル(トリメチルシリル)アセテート、N−t−ブチルジメチル−N−メチルトリフルオロアセトアミド、t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチル−メトキシフェニルブロモシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリエチルシリルトリフルオロメタン−スルホネート、及びトリフェニルクロロシランが挙げられるが、これらに限定されない。ここで有用な様々な有機ケイ素試薬の中では、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、及びt−ブチルジフェニルクロロシランが特に好ましい。本方法では、1つより多くの有機ケイ素試薬を使用することができる。
【0039】
「製薬上許容可能な塩」とは、本発明の化合物上のいずれかの酸性(例えば、カルボキシル)基に形成されたカチオン性の塩、又はいずれかの塩基性(例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モルフィリノ(morphylino)など)基に形成されたアニオン性の塩である。本発明の化合物の多くが双性イオン性であるので、いずれの塩も可能であり、許容可能である。このような塩の多くが、当該技術分野において既知である。好ましいカチオン性の塩には、アルカリ金属塩(ナトリウムやカリウムなど)、アルカリ土類金属塩(マグネシウムやカルシウムなど)、及びアンモニオなどの有機塩が挙げられる。好ましいアニオン性の塩には、ハロゲン化物、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩などが挙げられる。このような塩には、かつては存在しなかった光心を提供し得る付加塩が、明らかに意図される。例えば、本発明の化合物からキラル酒石酸塩を調製してもよく、この定義にはこのようなキラル塩が含まれる。意図される塩は、患者である動物、哺乳類、又はヒトに投与する量で毒性のないものである。
【0040】
本方法によって製造される化合物は、酸付加塩を形成するように十分に塩基性のものにすることができる。この化合物は、遊離塩基及び酸付加塩の形態の両方で有用であり、両方の形態が本発明の範囲内にある。ある場合には、酸付加塩の形態の方が使用に便利である。実際には、塩の形態で使用することは、本質的に、活性物質を塩基形態で使用することに等しい。酸付加塩を調製するために使用する酸には、好ましくは、遊離塩基と化合すると、医薬品に許容可能な塩を生成するものが含まれる。これらの塩は、遊離塩基中で固有の有益な特性が酸のアニオン類に起因する副作用によって損なわれないように、塩の医薬品用量中に、哺乳類などの動物有機体に比較的無害なアニオン類を有する。
【0041】
適切な酸付加塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、蟻酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、アジピン酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシル硫酸塩、シクロヘキサンスルファミン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。しかし、本発明の範囲内にある医薬品に許容可能な他の適切な塩は、他の鉱酸及び有機酸由来のものである。塩基性化合物の酸付加塩は、いくつかの方法によって調製される。例えば、遊離塩基は、適切な酸を含むアルコール水溶液に溶解可能であり、塩は、その溶液を蒸発させることによって単離される。あるいは、塩が直接分離されるように、遊離塩基を有機溶媒中の酸と反応させることによって調製することもできる。塩の分離が困難な場合には、第2の有機溶媒で沈殿させるか、又は溶液を濃縮することによって得ることができる。
【0042】
医薬品に許容可能な塩基性化合物の塩が好ましいが、すべての酸付加塩が本発明の範囲内にある。すべての酸付加塩は、特定の塩自体が中間生成物としてのみ望まれる場合でも、遊離塩基の形態の供給源として有用である。例えば、精製若しくは同定のためだけに塩を形成するとき、又はイオン交換手順によって医薬品に許容可能な塩を調製する際の中間体として使用するときは、これらの塩は、明らかに本発明の一部として意図される。
【0043】
このような塩は、当業者にはよく理解されており、当業者は、当該技術分野の知識から考えて、あらゆる数の塩を調製することができる。さらに、当業者が、溶解度、安定性、及び配合の容易さなどの理由で、ある塩を他のものよりも好むことがあることが認識されている。このような塩は、当業者の習慣の範囲内で決定され、最適化される。
本明細書で使用するとき、「キノロン誘導体」には、キノロンのプロドラッグ、又はキノロンから製造される活性薬が挙げられる。好ましくは、このような誘導体には、任意選択的にスペーサを介してキノロンに共有結合したラクタム類(例えば、セフェム類、カルバセフェム類、ペネム類、モノラクタム類など)が挙げられる。このような誘導体と、それらを製造し使用するための方法とは、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかである。
【0044】
「スピロ環」は、アルキル又はヘテロアルキルのアルキル又はヘテロアルキル二ラジカル置換基であり、該二ラジカル置換基が対になって結合して、環を形成し、該環が4〜8個、好ましくは5又は6個の構成原子(炭素又はヘテロ原子)を含有する。
「溶媒化合物」は、溶質(例えば、キノロン)と溶媒(例えば、水)とを組み合わせることによって形成される複合体である。J.ホニグ(J.Honig)ら、バン・ノストランド化学辞典(The Van Nostrand Chemist’s Dictionary)、650ページ、(1953年)を参照のこと。本発明に従って使用される製薬上許容可能な溶媒には、キノロンの生物活性に干渉しないもの(例えば、水、エタノール、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド、及び当業者に既知であるか、又は当業者に容易に決定されるその他のもの)が挙げられる。
【0045】
アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキル基は、前述のように、ヒドロキシ、アミノ、及びアミド基で置換されたものでもよいが、以下のものは本発明では想定していない。
1.エノール類(二重結合を担う炭素に付いたOH)。
2.二重結合を担う炭素に付いたアミノ基(ビニローグアミドを除く)。
3.単一炭素に付いた、1超過のヒドロキシ、アミノ、又はアミド(2個の窒素原子が単一炭素原子に付いて、3個の原子すべてがヘテロシクロアルキル環内の構成原子である場合を除く)。
4.炭素に付いた、ヒドロキシ、アミノ、又はアミドであって、その炭素にヘテロ原子も付いているもの。
5.炭素に付いた、ヒドロキシ、アミノ、又はアミドであって、その炭素にハロゲンも付いているもの。
本方法での、式1の化合物の特定の保護形態、及び他の誘導体の使用についての説明は、制限をしようとするものではない。他の有用な保護基、塩の形態などは、当業者の能力の範囲内で応用される。
【0046】
II.主題方法によって製造される好ましい化合物
主題発明は、以下の方法工程を含む方法に関する。
【0047】
【化7】

【0048】
式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、A、X、及びR9は、前述の、本発明の概要の項で定義した通りである。
式(I)及び式(A)に関して、前述の説明は、一実施形態(従属部(A)で定義したもの)では、式(I)の最終化合物の核が、図示したように2つの縮合環を含むことを示している。あるいは、式(I)の化合物の核が、本方法を介して環化すると、従属部(B)及び(C)で定義したように3つの縮合環を含む。これらの代替的な実施形態を、以下で、それぞれ式(B)及び式(C)として示す。
【0049】
前述の構造では、R5は、水素、アルキル、アリール、シアノ、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアリールエステル及びアミドから選択される。好ましいR5は、水素、C1〜約C4アルキル、フェニル、アミノ、及びC1〜約C4モノ又はジアルキルアミノから選択される。より好ましいR5は、水素、アミノ、メチル、エチル、メチルアミノ、及びジメチルアミノから選択される。R5部分のアルキル及びアリール部は、非置換であるか又はフッ素で置換されていることが好ましい。
【0050】
前述の構造では、R6は、水素、ハロ、アルキル、アリール、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシのエステル、アルキルチオ、アリールチオ、チオのエステル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアルキル及びアリールエステル及びアミドから選択される。好ましいR6は、水素、ハロ、ニトロ、C1〜約C4アルキルアミノ、C1〜約C4アルコキシ、及びC1〜約C4ヒドロキシのエステルから選択される。より好ましいR6は、水素、フッ素、塩素、メチル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ニトロ、メトキシ、及びアセトキシから選択される。R6部分のアルキル及びアリール部は、非置換であるか又はフッ素で置換されていることが好ましい。
【0051】
前述の構造では、R7は、水素、アルキル、アリール、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシのエステル、アルキルチオ、アリールチオ、チオのエステル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアルキル及びアリールエステル及びアミドから選択される。好ましいR7は、水素、ハロ、ニトロ、C1〜約C4アルキル、非置換アミノ、C1〜約C4モノ−若しくはジアルキルアミノ、フェニル、ナフチル、5若しくは6個の環原子を含む1つの環又は8〜10個の環原子を含む2つの縮合環を有する複素環、C1〜約C4アルキルチオ、フェニルチオ、フェノキシ、及びC1〜約C4ヒドロキシのエステルから選択される。より好ましいR7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ニトロ、非置換アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、及びトリフルオロアセトキシから選択される。R7部分のアルキル及びアリール部が、非置換であるか、又は1つ以上のフッ素原子で置換されていることが好ましい。
【0052】
前述の構造では、Aが、N又はC−R8、好ましくはC−R8である。R8は、水素、アルキル、アリール、ハロ、複素環、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アリールオキシ、ヒドロキシのエステル、アルキルチオ、アリールチオ、チオのエステル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、アルキルアシル、アリールアシル、ならびにカルボキシのアリールエステル及びアミドである。好ましいR8は、水素、ハロ、約C1〜C4アルキル、フェニル、約C1〜C4アルコキシ、約C1〜C4アルキルチオ、及びフェノキシから選択される。より好ましいR8は、水素、フッ素、塩素、メトキシ、ジ及びトリフルオロメトキシ、メチルチオ、ジ及びトリフルオロメチルチオ、メチル、エチル、シクロプロピル、及びフェニルから選択される。
【0053】
前述の構造では、R1は、炭素環、複素環、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、及び−CH(R10)(R11)から選択され、ここで、R10は、低級アルキル及びフェニルから選択され、R11は、−CH2Y(O=)CR12であり、ここで、R12は、低級アルキル及びフェニルから選択され、Yは、−NH−、−O−、及び−S−から選択される。好ましいR1は、C1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、及びアリールから選択される。より好ましいR1は、シクロプロピル、エチル、2,4−ジフルオロフェニル、2−メチル−1−アセトキシプロパン、2−メチル−1−チオアセトキシプロパンから選択される。R1部分の、アルキル(akyl)、シクロアルキル、及びアリール部は、非置換であるか、又はフッ素で置換されていることが好ましい。
【0054】
前述の構造では、R2は、水素、アルキル、アリール、複素環、アルキルチオ、及びアリールチオから選択される。好ましいR2は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキルチオ、及びフェニルから選択される。より好ましいR2は、水素及びメチルチオである。
前述の構造では、R3は、水素、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、及びアリールから選択される。好ましいR3は、水素、約C1〜C4アルコキシ、及びフェノキシから選択される。最も好ましいのは、水素、メトキシ、及びエトキシである。
【0055】
式(A)では、Xは、−O−及び−S−から選択され、R9は、C1〜C10アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択される。好ましいXR9部分は、約1〜約10個の炭素原子を有するアルコキシ及びアルキルチオ、フェノキシ、及びフェニルチオから選択される。より好ましいXR9部分は、メトキシ、エトキシ、メチルチオ、エチルチオ、フェノキシ、及びフェニルチオ(すべて非置換)から選択される。
式(I)の従属部(A)で定義される化合物に関して、化合物がその核として2つの縮合環だけを含む場合、本方法によって製造される好ましい化合物は、表Iに列記するものである。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
【表7】

【0063】
【表8】

【0064】
【表9】

【0065】
【表10】

【0066】
【表11】

【0067】
【表12】

【0068】
【表13】

【0069】
【表14】

【0070】
【表15】

【0071】
【表16】

【0072】
【表17】

【0073】
【表18】

【0074】
【表19】

【0075】
【表20】

【0076】
【表21】

【0077】
【表22】

【0078】
【表23】

【0079】
【表24】

【0080】
【表25】

【0081】
【表26】

【0082】
【表27】

【0083】
【表28】

【0084】
【表29】

【0085】
【表30】

【0086】
【表31】

【0087】
【表32】

【0088】
【表33】

【0089】
【表34】

【0090】
【表35】

【0091】
【表36】

【0092】
【表37】

【0093】
【表38】

【0094】
【表39】

【0095】
【表40】

【0096】
【表41】

【0097】
【表42】

【0098】
【表43】

【0099】
【表44】

【0100】
【表45】

【0101】
【表46】

【0102】
【表47】

【0103】
【表48】

【0104】
【表49】

【0105】
【表50】

【0106】
【表51】

【0107】
【表52】

【0108】
【表53】

【0109】
【表54】

【0110】
【表55】

【0111】
【表56】

【0112】
【表57】

【0113】
【表58】

【0114】
式(B)の化合物に関して、
【0115】
【化8】

【0116】
式(I)のR1及びR2が一緒になって、N’を含む単環式又は二環式複素環である、環Lを形成している。
本方法によって製造される式(B)の好ましい化合物を、表Bに記載する。
【0117】
【表59】

【0118】
【表60】

【0119】
式(C)に関して、
【0120】
【化9】

【0121】

式(I)のR6及びR7が一緒になって、5員又は6員の炭素環又は複素環である、環Qを形成している。
本方法によって製造される式(C)の好ましい化合物を、表Cに記載する。
【0122】
【表61】

【0123】
III.方法条件
前述の主題発明の方法工程は、前述で定義した、有機ケイ素試薬であるシリル化剤を使用する。
重要な方法工程では、有機ケイ素試薬と反応物質(すなわち、式(A)の化合物)とのモル比が、好ましくは約0.5:1〜約12:1で、より好ましくは約1:1〜約4:1である。これらの方法条件は、単に好ましい範囲であるにすぎず、より低い及びより高いモル比の両方を使用することが可能であり、本発明方法からさらなる利益を得られることが認識されよう。
【0124】
主題発明方法工程は、非プロトン性溶媒中又は組み合わせ溶媒中で、実施することが好ましい。本方法工程を実施するのに好ましい溶媒としては、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリムが挙げられるがこれらに限定されず、より好ましい溶媒としては、アセトニトリル、トルエン、及びNMPが挙げられる。1つ以上の溶媒の混合物を使用してもよい。
【0125】
主題方法工程を実施する温度は、好ましくは約−50℃〜約250℃、より好ましくは約−10℃〜約160℃、さらに好ましくは約20℃〜約140℃である。主題反応工程を実施する圧力は、好ましくは約0.5atm〜約50atm、より好ましくは約0.8atm〜約10atm、さらに好ましくは約1atm〜約2atmである。また、本方法工程を、ほぼ周囲温度・周囲圧力で実施することも好ましく、又はほぼ還流温度・周囲圧力で実施することも好ましい。やはり、これらの方法条件は、単に代表的なものであるにすぎず、以下で特許請求する方法を制限するものとは断じて解釈すべきでない。
【実施例】
【0126】
IV.具体的な合成例
以下は、主題発明方法工程の変形形態に関する例示的なものであって、制限しようとするものではない。
【0127】
実施例1
エチル−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−キノリン−3−カルボキシレートの調製
【0128】
【化10】

【0129】
工程a:ジクロロメタン(100ml)中の2,3−ジメトキシ安息香酸(20g)1の溶液に、オキサリルクロリド(34.83g)を加え、その後無水DMFを2滴加える。混合物を室温で1時間攪拌し、次いで加熱して4時間還流する。蒸発によって溶媒を除去して、2,3−ジメトキシベンゾイルクロリド2を得る。
工程b:生成物2を無水アセトニトリル(20mL)に溶解し、アセトニトリル(130mL)中のトリエチルアミン(38.3mL)及びエチルジメチルアミノアクリレート(17.29g)の攪拌溶液に導入する。混合物を室温で5分間攪拌し、次いで加熱して、反応が完了するまで還流する。
【0130】
工程c:工程bの反応混合生成物に、シクロプロピルアミン(19.01mL)を周囲温度で加え、反応が完了するまで攪拌する。溶媒を蒸発させ、残渣をエチルアセテートで希釈し、水及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、生成物4を得る。
工程d:生成物4を無水アセトニトリル(150mL)に溶解する。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(115g)を加える。溶液を室温で0.5時間攪拌し、加熱して還流する。反応が完了するまで、加熱を続ける。反応混合物を濃縮して油性の残渣を得て、水に注ぎ、エチルアセテートで抽出し、溶媒を除去して生成物5を得る。
【0131】
実施例2
実施例1と同様の方法によって、市販の2,3,4−トリメトキシ安息香酸6から、エチル−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−7,8−ジメトキシ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート10を調製する。
【0132】
【化11】

【0133】
実施例3
実施例1と同様の方法によって、4−ニトロ−3,4−ジメトキシ安息香酸12から、エチル−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−7−ニトロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート16を調製する。文献の手順に従って、11から4−ニトロ−3,4−ジメトキシ安息香酸を調製する。(例えば、有機化学雑誌(J.Org. Chem.)、42、(6)1068〜1070ページ(1977年)及び複素環化学雑誌(J. Heterocyclic Chemistry)、33、1171ページ(1996年)を参照されたい。)
【0134】
【化12】

【0135】
実施例4
実施例1と同様の方法によって、4−ブロモ−3,4−ジメトキシ安息香酸17から、エチル−1−エチル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−8−ブロモキノロンカルボキシレート21を調製する。文献の方法に従って、4−ブロモ−2,3−ジメトキシ安息香酸を調製する。(例えば、有機化学雑誌(J.Org. Chem.)、42(6)、1068〜70ページ(1977年)を参照されたい。)
【0136】
【化13】

【0137】
実施例5
実施例1と同様の方法によって、4−フルオロ−3−メトキシ−2−メチルチオ安息香酸23、又は4−フルオロ−2,3−ジメトキシ安息香酸62から、エチル−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−7−フルオロキノロンカルボキシレート27を調製する。文献に開示されているのと同様の方法によって、4−フルオロ−3−メトキシ安息香酸22から、出発安息香酸を調製する。(例えば、米国特許第5,334,753号を参照されたい。なお、これを本願に引用して援用する。)
【0138】
【化14】

【0139】
実施例6
実施例1と同様の方法によって、3−フルオロ−2−メトキシ−4−ピペリジニル安息香酸28から、エチル−1,4−ジヒドロ−1−(4−フルオロフェニル)−8−フルオロ−7−ピペリジニル−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キニリンカルボン酸32を調製する。文献に報告されているのと同様の手順によって、2,3,4−トリフルオロ安息香酸から、オルト及びパラフッ素基をメトキシ及びピペリジニル基で順次置換することによって、出発物質28を調製する。(例えば、テトラへドロン・レター(Tetrahedron Letters)、37(36)6439〜6442ページ(1996年)を参照されたい。)
【0140】
【化15】

【0141】
実施例7
実施例1の工程dと同様の方法によって、対応するアクリレート誘導体29から、エチル−1−シクロプロピル−7−イソインドリン−5−イル)−8−メトキシ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート30を調製する。このアクリレート誘導体29は、文献に記載の方法によって調製する。(例えば、国際公開第97/29102号を参照されたい。)
【0142】
【化16】

【0143】
実施例8
実施例1の工程dと同様の方法によって、その環化前駆体32から、エチル2−クロロ−3−ニトロ−5,12−ジヒドロ−5−オキソベンゾチアゾロ[3,2−a]キノリン−6−カルボキシレート33を調製する。32は、水素化ナトリウムの存在下で、2−クロロベンゾチアゾール34を、エチル−2−メトキシ−4−クロロ−5−ニトロベンゾイルアセテート31と反応させることによって調製する。
【0144】
【化17】

【0145】
実施例9〜11
環化前駆体37、40、及び43を、エチル2−メトキシ−4−クロロ−5−フルオロベンゾイルアセテート35を、それぞれ適切なイミノエーテル36、39、及び42と縮合することによって調製する。実施例1の工程dに記載のように環化を実施して、それぞれ38、41、及び44を生成する。
【0146】
【化18】

【0147】
実施例12
実施例1の工程dに記載のように、環化前駆体49から、エチル1,4−ジヒドロ−4−オキソ−6−ニトロ−7−クロロ−1H−ベンズ[d]イミダゾロ[2,3−a]キノリン−3−カルボキシレート50を調製する。文献に報告されているのと同様の手順を用いて、以下に示すように、2−メトキシ−4−クロロ−5−ニトロ安息香酸45から、環化前駆体49を調製する。(例えば、医用化学雑誌(J.Med.Chem.)、36(11)、1580〜1596ページ(1993年)を参照されたい。)
【0148】
【化19】

【0149】
実施例13
初めに、実施例1の工程dによって、(+)−エチル2−(2−メトキシ−3,4,5−トリフルオロベンゾイル)−3−[(1−アセトキシプロプ−2(S)−イル)アミノ]アクリレート54から、(−)−9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3(S)−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de]−1,4−ベンゾキサイン−6−カルボン酸56を調製し、その後、得られた反応混合物を10%KOH水溶液で還流する。
【0150】
【化20】

【0151】
文献の手順を用いて示すように、2−メトキシ−3,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド51から、環化前駆体54を調製する。(例えば、複素環類(Heterocycles)、45(1)、137〜145ページ(1997年)を参照されたい。)
【0152】
実施例14
以下に示すように、実施例1と同様の方法によって、2−メトキシ−4,5−(メチレンジオキシ)安息香酸57から、オキソリン酸61のエチルエステルを調製する。工程cでは、シクロプロピルアミンの代わりにエチルアミンを使用する。
【0153】
【化21】

【0154】
実施例15
実施例1と同様の方法によって、4−フルオロ−3−メトキシ−2−フェニルチオ安息香酸62から、エチル−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−7−フルオロキノロンカルボキシレート66を調製する。文献に開示されているのと同様の手順によって、4−フルオロ−3−メトキシ安息香酸22から、安息香酸62を調製する。(例えば、米国特許第5,334,753号を参照されたい。なお、本願に引用して援用する。)
【0155】
【化22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に従う構造を有する化合物、又はその光学異性体、ジアステレオマー、若しくはエナンチオマー、又はその製薬上許容可能な塩、若しくは水和物を製造するための方法であって、
【化1】

1つ以上の有機ケイ素試薬を、式(A)に従う構造を有する化合物と反応させる工程を含み、
【化2】

式(I)及び式(A)に関して、
(A)
(1)Aは、N、又はC−R8であり、ここで、R8は、水素、C1〜C15アルキル、ハロ、及びC1〜C15アルコキシ、から選択され、
(2)R7は、水素、複素環、ハロ、及びニトロから選択され、
(3)R6は、水素、ハロ、及びC1〜C15アルキルから選択され、
(4)R5は、水素、C1〜C15アルキル、及びアミノから選択され、
(5)R1は、3員〜17員の炭素環、C1〜C6アルキル、及び−CH(R10)(R11)から選択され、ここで、R10は、C1〜C6アルキルから選択され、R11は、−CH2Y(O=)CR12であり、ここで、R12は、C1〜C6アルキルから選択され、Yは、−O−、及び−S−から選択され、
(6)R2は、水素、及びC1〜C15アルキルチオから選択され、
(7)R3は、C1〜C15アルコキシから選択され、及び
(8)Xは、−O−及び−S−から選択され、R9は、C1〜C10アルキル、及びアリールから選択され、
但し、
(B)R1及びR2は、一緒になって5員、6員、又は7員の炭素環又は複素環、或るいはそれらの縮合環を形成し、ここで、A、R3、R5、R6、R7、及びR8は、存在する場合、(A)に記載のものであるか、又は、
(C)R6及びR7は、一緒になって5員又は6員の炭素環又は複素環、或るいはそれらの縮合環を形成し、ここで、A、R1、R2、R3、R5、及びR8は、存在する場合、(A)に記載のものである、
を除くものである、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
式(A)のR9は、C1〜C4アルキル及びフェニルから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(A)のXR9は、C1〜C4アルコキシ、チオ(C1〜C4)アルキル、アミルオキシ、及びチオアリールから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1、R2、R6、又はR7のいずれも、一緒になってA含有又はN含有環に縮合した環を形成しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
1及びR2が、一緒になって5員、6員、又は7員の炭素環又は複素環、或るいはそれらの縮合環を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
6及びR7が、一緒になって5員又は6員の炭素環又は複素環、或るいはそれらの縮合環を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)に従う構造を有する化合物、又はその光学異性体、ジアステレオマー、若しくはエナンチオマー、又はその製薬上許容可能な塩、若しくは水和物を製造するための方法であって、
【化3】

1つ以上の有機ケイ素試薬を、式(A)に従う構造を有する化合物と反応させる工程を含み、
【化4】

式(I)及び式(A)に関して、
(A)
(1)Aは、N、又はC−R8であり、ここで、R8は、水素、ハロ、C1〜C4アルキル、及びC1〜C4アルコキシから選択され、
(2)R7は、水素、ハロ、ニトロ、及び5又は6個の環原子を含む1つの環を有するか又は8〜10個の環原子を含む2つの縮合環を有する複素環から選択され、
(3)R6は、水素、及びハロから選択され、
(4)R5は、水素、ハロ、C1〜C4アルキル、及びアミノから選択され、
(5)R1は、C1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、及びアリールから選択され、
(6)R2は、水素、及びC1〜C4アルキルチオから選択され、
(7)R3は、C1〜C4アルコキシから選択され、および
(8)Xは、−O−及び−S−から選択され、R9は、非置換メチル、エチル、及びフェニルから選択され、
但し、
(B)R1及びR2は、一緒になって5員、6員、又は7員の炭素環又は複素環、或るいはそれらの縮合環を形成し、ここで、A、R3、R5、R6、R7、及びR8は、存在する場合、(A)に記載のものであるか、又は、
(C)R6及びR7は、一緒になって5員又は6員の炭素環又は複素環、或るいはそれらの縮合環を形成し、ここで、A、R1、R2、R3、R5、及びR8は、存在する場合、(A)に記載のものである、
を除くものである、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
有機ケイ素試薬と式(A)の化合物とのモル比が、0.5:1〜12:1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、
(A)有機ケイ素試薬が、クロロトリメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、1,3−ビス(トリメチルシリル)尿素、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、1−トリメチルシリルイミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、t−ブチルジメチルクロロシラン、1−(t−ブチルジメチルシリル)イミダゾール、エチル(トリメチルシリル)アセテート、N−t−ブチルジメチル−N−メチルトリフルオロアセトアミド、t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチル−メトキシフェニルブロモシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリエチルシリルトリフルオロメタン−スルホネート、及びトリフェニルクロロシラン、ならびにこれらの混合物から成る群から選択され、
(B)有機ケイ素試薬と式(A)の化合物とが、−50℃〜250℃の温度で反応し、
(C)有機ケイ素試薬と式(A)の化合物とが、0.5atm〜50atmの圧力で反応することを特徴とする方法。
【請求項10】
有機ケイ素試薬と式(A)の化合物とが、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリムから選択される溶媒中で反応することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2010−1315(P2010−1315A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231801(P2009−231801)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【分割の表示】特願2002−549644(P2002−549644)の分割
【原出願日】平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】