キャビンのフレーム構造
【課題】操縦席の背部近くで、左右の後支柱間にリヤパネルの設けられたトラクタ等の作業車両では、横転などによって左右からの過度の外力負荷が加わると、そのリヤパネルがキャビンの室内側へ不用意に折れ曲がり運転者に不測の危害をもたらす恐れがあった。
【解決手段】 本発明は、トラクタのキャビン(9)の後部下方で運転席(7)の背部近くにおいて左右の下部後支柱(13d),(13d)間に跨がるリヤパネル(18)に側面視「く」の字型の補強プレート(25)を固着して設け、該補強プレート(25)には左右からの過度の外力負荷が加わると、後側に向けての変形を許容する平面視「V」字型の切欠部(26)を設けた。
【解決手段】 本発明は、トラクタのキャビン(9)の後部下方で運転席(7)の背部近くにおいて左右の下部後支柱(13d),(13d)間に跨がるリヤパネル(18)に側面視「く」の字型の補強プレート(25)を固着して設け、該補強プレート(25)には左右からの過度の外力負荷が加わると、後側に向けての変形を許容する平面視「V」字型の切欠部(26)を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体の左右中心位置に操縦席を備える農業用トラクタ等、作業車両におけるキャビンのフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用トラクタ等では、キャビン前部左右に前支柱を立設し、後部左右に後支柱を立設すると共に、この左右の後部支柱間を、水平方向に延びるフレームを介しで補強する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−81616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記キャビンの従来構造のものでは、前記フレームの下方で且つ操縦席の背部近くには、左右の後支柱間に跨がるリヤパネルを張設する構成となっているが、このようなリヤパネルを設けた形態のものでは、横転などによって左右からの過度の外力負荷が加わると、そのリヤパネルがキャビンの室内側へ変形、即ち操縦者に向かって折れ曲がり、安全性を損なうという課題が想定される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記した従来型のもつ課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1記載の発明は、キャビン(9)の後部下方で操縦席(7)の背部近くにおいて左右の後支柱(13d,13d)間に跨がるリヤパネル(18)に補強プレート(25)を固着して設け、該補強プレート(25)には左右からの過度の負荷が加わると、後方へ向けての変形を許容する切欠部(26)を設けてあることを特徴とするキャビンのフレーム構造とした。
(請求項1の作用)
機体の横転や側方からの衝突等によってキャビン(9)に左右からの過大な負荷が加わっても、補強プレート(25)及びこれに接続したリヤパネル(18)は、その中間部位に設けられた切欠部(26)によって、後方、即ちキャビン外側へ向けて変形する。
【発明の効果】
【0005】
これにより、補強プレート(25)の存在により、キャビン(9)の特に操縦席(7)背部近くの強度アップを図ることができるものでありながら、キャビン(9)に左右からの過大な負荷が加わっても、補強プレート(25)及びこれに接続したリヤパネル(18)は、室内側には変形せず、操縦者の安全性をより向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明を作業車両の一例である農業用トラクタ1に備えた形態について図面に基づき説明する。
トラクタ1は、図1に示すように、車体2の前後に左右一対の前輪3,3及び後輪4,4を設け、この車体2上にキャビン9を搭載すると共に、このキャビン内左右中心位置に前方から順に、ダッシュボード5、ステアリングハンドル6、操縦席7を配置し、この操縦席7の左右側方に後輪4を覆うフェンダ8,8を備える構成となっている。
【0007】
また前記トラクタ1のキャビン9は、左右略対象形状のフレーム枠を有し、この前面をフロントガラス22で塞ぎ、この下面を前記ダッシュボード5下方から前記フェンダ8迄をフロア38にて塞ぎ、左右両側面を開閉自在のキャビンドアー20,20で塞ぎ、更に後面をリヤガラス21で塞ぐ構成としている。
【0008】
詳しくは、キャビン9は、図2に示すように、左右の前支柱11,11と左右の中間支柱12,12と左右の上部後支柱13u,13u、及び左右の下部後支柱13d,13dを有し、上部には、左右の前支柱11,11上端間、左右の中間支柱12,12上端間、左右の上部後支柱13u,13u上端間、前後支柱11,12,13u上端間をそれぞれ連結するルーフ15の支持枠16が設けられ、後側中間部位には、中間支柱12と上部後支柱13uとの下端間及び左右の上部後支柱13u,13u下端間を連結する中間後部支持枠17が設けられている。
【0009】
また前記左右の下部後支柱13d,13dは、前記中間後部支持枠17と車体2との間に立設され、そして、この左右の下部後支柱13d,13d間に、後ロアガラス22を有するプレート部材(以下、リヤパネル18)を溶接して取り付けている。また前記操縦席7は、下部後支柱13d,13d間の前側に配置されてあり、車体上面から突設するシート支持枠19上に装着支持している。
【0010】
そして、前記リヤパネル18の後面には、図3〜図5に示すように、側面視「く」の字型で且つ中央部に平面視「V」字型の切欠部26を有するプレート部材(以下、補強プレート25)の左右両前縁部を溶接支持すると共に、同プレートの左右両端部を前記下部後支柱13d,13d間、及びフェンダー8,8内面間に橋渡した状態で溶接支持する構成となっている。
【0011】
以上のように構成したトラクタのキャビン9では、補強プレート25により、左右下部支柱13d,13dと左右フェンダー8,8とリヤパネル18とが一体構成されて補強される上、キャビンの左右からの過大の負荷が加わると、補強プレート25は前記リヤパネル18と共に後側に向けて折れ曲がる。
【0012】
よって、キャビン9室内側の操縦席7側、即ちオペレータ側には、補強フレーム25及びこれを溶接したリヤパネル18が突出することが無くなり、安全性を確保することができる。
【0013】
また前記リヤパネル18の裏側(キャビン室内側)には、同じく補強部位として、プレート枠状の工具箱27を溶接固定してあり、この工具箱27の開閉蓋のヒンジ取付用穴28は、前記リヤパネル18を貫通して設け、そして、このヒンジ取付用穴28に対応するリヤパネル18の外側に前記補強プレート25を位置させる構成としている。
【0014】
これにより、前記工具箱27のヒンジ取付穴28が前記補強プレート25により閉塞することになるので、洗車時等において、直接、工具箱の開閉蓋取付用穴28から水が浸入するのを防止でき、また、取付用リベットの頭が車外より見えなくなるため、外観上、美観を損なうことが無い。
【0015】
また図6と図7に示すように、キャビンのマウント部のフレーム構成において、前部の左右フロントマウント30,30と後部の左右リヤマウント31,31間における左右の車体フレーム32,32を前後に2分割して、同一矩形断面形状とする角型のフロントフレーム32aとリヤフレーム32bを備え、前後のフレーム32a,32bは、両者を上面が同一平面内高さとなるよう接続すると共に、左右フロントフレーム32a,32aの後端部外側に、左右リヤフレーム32b,32bの前端部をラップ状態に並置させて接続固定する。
【0016】
これにより、フレーム構成の簡略化と剛性アップを図ることができ、しかも、フロア面はフラットに構成することもできる。また、後方のリヤフレーム32bは、該リヤフレームにかかる荷重が主として縦向き(上下方向)に大きく作用するので、これ自体の矩形断面形状の長手方向が縦向きとなるよう配設し、前方のフロントフレーム32aは、これにかかる荷重が主に横方向に強く働く傾向にあるため、これ自体の矩形断面形状の長手方向が横向きとなるよう配設している。
【0017】
従って、このように前後のフレームを荷重方向に適した方向に配置構成することで、より剛性アップを図ることができる。なお、33はサブステップ支持フレームを示す。
また図8〜図9に示す図は、エンジンルーム内に配置したウォッシャタンクからリヤウインド21のウォッシャノズル36へ連通するウォッシャホース37の配策例を示すもので、エンジンルームからフロア38の下側、フェンダ8の外周内空洞部39、ドアシール部内空洞部40、中間支柱12、ルーフ15天井部内を通してリヤウォッシャノズル36へと配策する構成としている。
【0018】
これにより、特に、ドアシール部内空洞部40にウォッシャホース37を通すことにより、専用のカバー等が不要となり、外観品質性が向上する。
また、ドレンホース41の配策例としては、キャビン9のルーフ15天井部より中間支柱12を通してフェンダ8上部まで配策したドレンホース41の下端口41aを、該フェンダ8の上部に位置するドアシール部内空洞部40の下端部位に臨ませ、ドレン水をドアシール部内の空洞部からフェンダ内を通じて流下させフェンダ前部の下端から落下させるように構成している。この方式によれば、ドレンホースをフェンダ上部で後輪4の上方に臨ませていた従来方式のようにドレン水が直接、後輪上に落下するのを防止することができる。
【0019】
また図11に示すように、ステアリングポスト44の左右両側面部に室内を照射する室内灯45を設置しておくと、夜間作業時において、ペダル位置やPTO変速位置の視認が容易にできて、作業を安全に行うことができる。
【0020】
また図12に示す実施例では、トラクタキャビンのフロントガラス突合せ部分を利用し、キャビンフレームの強度メンバーを兼ねるLED作業灯48を設置している。つまり、キャビンの左右前支柱11,11間を繋ぐ前横フレーム49には上下のフロントガラス50,50が突合せ状態に設置されてあり、そして、この前横フレーム49は、断面形状が少なくともコの字型で且つ上下の開放端側端部を両外方に向けて折り曲げた構成であり、該フレーム49の前面には、コの字型空間内にレンズ51を介して内装するLED作業灯48の開口窓52が開口して設けられている。また、フレーム49の開放端側は閉塞カバー53によって閉塞する構成としている。
【0021】
これにより、小型、薄型で構成できる作業灯として夜間作業の快適性を良好にすると共に、キャビンガラスの突合せ部の端末処理を美観よく行うことができ、しかも、キャビンフレームの強度メンバーも兼ねることができ、ガラスのシール性もし易くなる特徴がある。
【0022】
尚、図12中において、符号54は前照灯を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】トラクタの側面図。
【図2】キャビン要部の斜視図。
【図3】同上要部の前方から見た斜視図。
【図4】同上要部の後方から見た斜視図。
【図5】補強プレートの平面図。
【図6】車体フレーム構造を示す側面図。
【図7】同上要部の斜視図。
【図8】キャビン要部の側面図。
【図9】同上要部の斜視図。
【図10】図8の(イ)Y−Y断面及び(ロ)X−X断面
【図11】操作部の側面図。
【図12】(A)キャビン要部の正面図。(B)同上要部の側断面図。(C)同上要部の斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1 トラクタ
2 車体
7 操縦席
9 キャビン
10 キャビンフレーム
13u上部後支柱
13d下部後支柱
18 リヤパネル
25 補強プレート
26 切欠手段(切欠凹部)
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体の左右中心位置に操縦席を備える農業用トラクタ等、作業車両におけるキャビンのフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用トラクタ等では、キャビン前部左右に前支柱を立設し、後部左右に後支柱を立設すると共に、この左右の後部支柱間を、水平方向に延びるフレームを介しで補強する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−81616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記キャビンの従来構造のものでは、前記フレームの下方で且つ操縦席の背部近くには、左右の後支柱間に跨がるリヤパネルを張設する構成となっているが、このようなリヤパネルを設けた形態のものでは、横転などによって左右からの過度の外力負荷が加わると、そのリヤパネルがキャビンの室内側へ変形、即ち操縦者に向かって折れ曲がり、安全性を損なうという課題が想定される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記した従来型のもつ課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1記載の発明は、キャビン(9)の後部下方で操縦席(7)の背部近くにおいて左右の後支柱(13d,13d)間に跨がるリヤパネル(18)に補強プレート(25)を固着して設け、該補強プレート(25)には左右からの過度の負荷が加わると、後方へ向けての変形を許容する切欠部(26)を設けてあることを特徴とするキャビンのフレーム構造とした。
(請求項1の作用)
機体の横転や側方からの衝突等によってキャビン(9)に左右からの過大な負荷が加わっても、補強プレート(25)及びこれに接続したリヤパネル(18)は、その中間部位に設けられた切欠部(26)によって、後方、即ちキャビン外側へ向けて変形する。
【発明の効果】
【0005】
これにより、補強プレート(25)の存在により、キャビン(9)の特に操縦席(7)背部近くの強度アップを図ることができるものでありながら、キャビン(9)に左右からの過大な負荷が加わっても、補強プレート(25)及びこれに接続したリヤパネル(18)は、室内側には変形せず、操縦者の安全性をより向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明を作業車両の一例である農業用トラクタ1に備えた形態について図面に基づき説明する。
トラクタ1は、図1に示すように、車体2の前後に左右一対の前輪3,3及び後輪4,4を設け、この車体2上にキャビン9を搭載すると共に、このキャビン内左右中心位置に前方から順に、ダッシュボード5、ステアリングハンドル6、操縦席7を配置し、この操縦席7の左右側方に後輪4を覆うフェンダ8,8を備える構成となっている。
【0007】
また前記トラクタ1のキャビン9は、左右略対象形状のフレーム枠を有し、この前面をフロントガラス22で塞ぎ、この下面を前記ダッシュボード5下方から前記フェンダ8迄をフロア38にて塞ぎ、左右両側面を開閉自在のキャビンドアー20,20で塞ぎ、更に後面をリヤガラス21で塞ぐ構成としている。
【0008】
詳しくは、キャビン9は、図2に示すように、左右の前支柱11,11と左右の中間支柱12,12と左右の上部後支柱13u,13u、及び左右の下部後支柱13d,13dを有し、上部には、左右の前支柱11,11上端間、左右の中間支柱12,12上端間、左右の上部後支柱13u,13u上端間、前後支柱11,12,13u上端間をそれぞれ連結するルーフ15の支持枠16が設けられ、後側中間部位には、中間支柱12と上部後支柱13uとの下端間及び左右の上部後支柱13u,13u下端間を連結する中間後部支持枠17が設けられている。
【0009】
また前記左右の下部後支柱13d,13dは、前記中間後部支持枠17と車体2との間に立設され、そして、この左右の下部後支柱13d,13d間に、後ロアガラス22を有するプレート部材(以下、リヤパネル18)を溶接して取り付けている。また前記操縦席7は、下部後支柱13d,13d間の前側に配置されてあり、車体上面から突設するシート支持枠19上に装着支持している。
【0010】
そして、前記リヤパネル18の後面には、図3〜図5に示すように、側面視「く」の字型で且つ中央部に平面視「V」字型の切欠部26を有するプレート部材(以下、補強プレート25)の左右両前縁部を溶接支持すると共に、同プレートの左右両端部を前記下部後支柱13d,13d間、及びフェンダー8,8内面間に橋渡した状態で溶接支持する構成となっている。
【0011】
以上のように構成したトラクタのキャビン9では、補強プレート25により、左右下部支柱13d,13dと左右フェンダー8,8とリヤパネル18とが一体構成されて補強される上、キャビンの左右からの過大の負荷が加わると、補強プレート25は前記リヤパネル18と共に後側に向けて折れ曲がる。
【0012】
よって、キャビン9室内側の操縦席7側、即ちオペレータ側には、補強フレーム25及びこれを溶接したリヤパネル18が突出することが無くなり、安全性を確保することができる。
【0013】
また前記リヤパネル18の裏側(キャビン室内側)には、同じく補強部位として、プレート枠状の工具箱27を溶接固定してあり、この工具箱27の開閉蓋のヒンジ取付用穴28は、前記リヤパネル18を貫通して設け、そして、このヒンジ取付用穴28に対応するリヤパネル18の外側に前記補強プレート25を位置させる構成としている。
【0014】
これにより、前記工具箱27のヒンジ取付穴28が前記補強プレート25により閉塞することになるので、洗車時等において、直接、工具箱の開閉蓋取付用穴28から水が浸入するのを防止でき、また、取付用リベットの頭が車外より見えなくなるため、外観上、美観を損なうことが無い。
【0015】
また図6と図7に示すように、キャビンのマウント部のフレーム構成において、前部の左右フロントマウント30,30と後部の左右リヤマウント31,31間における左右の車体フレーム32,32を前後に2分割して、同一矩形断面形状とする角型のフロントフレーム32aとリヤフレーム32bを備え、前後のフレーム32a,32bは、両者を上面が同一平面内高さとなるよう接続すると共に、左右フロントフレーム32a,32aの後端部外側に、左右リヤフレーム32b,32bの前端部をラップ状態に並置させて接続固定する。
【0016】
これにより、フレーム構成の簡略化と剛性アップを図ることができ、しかも、フロア面はフラットに構成することもできる。また、後方のリヤフレーム32bは、該リヤフレームにかかる荷重が主として縦向き(上下方向)に大きく作用するので、これ自体の矩形断面形状の長手方向が縦向きとなるよう配設し、前方のフロントフレーム32aは、これにかかる荷重が主に横方向に強く働く傾向にあるため、これ自体の矩形断面形状の長手方向が横向きとなるよう配設している。
【0017】
従って、このように前後のフレームを荷重方向に適した方向に配置構成することで、より剛性アップを図ることができる。なお、33はサブステップ支持フレームを示す。
また図8〜図9に示す図は、エンジンルーム内に配置したウォッシャタンクからリヤウインド21のウォッシャノズル36へ連通するウォッシャホース37の配策例を示すもので、エンジンルームからフロア38の下側、フェンダ8の外周内空洞部39、ドアシール部内空洞部40、中間支柱12、ルーフ15天井部内を通してリヤウォッシャノズル36へと配策する構成としている。
【0018】
これにより、特に、ドアシール部内空洞部40にウォッシャホース37を通すことにより、専用のカバー等が不要となり、外観品質性が向上する。
また、ドレンホース41の配策例としては、キャビン9のルーフ15天井部より中間支柱12を通してフェンダ8上部まで配策したドレンホース41の下端口41aを、該フェンダ8の上部に位置するドアシール部内空洞部40の下端部位に臨ませ、ドレン水をドアシール部内の空洞部からフェンダ内を通じて流下させフェンダ前部の下端から落下させるように構成している。この方式によれば、ドレンホースをフェンダ上部で後輪4の上方に臨ませていた従来方式のようにドレン水が直接、後輪上に落下するのを防止することができる。
【0019】
また図11に示すように、ステアリングポスト44の左右両側面部に室内を照射する室内灯45を設置しておくと、夜間作業時において、ペダル位置やPTO変速位置の視認が容易にできて、作業を安全に行うことができる。
【0020】
また図12に示す実施例では、トラクタキャビンのフロントガラス突合せ部分を利用し、キャビンフレームの強度メンバーを兼ねるLED作業灯48を設置している。つまり、キャビンの左右前支柱11,11間を繋ぐ前横フレーム49には上下のフロントガラス50,50が突合せ状態に設置されてあり、そして、この前横フレーム49は、断面形状が少なくともコの字型で且つ上下の開放端側端部を両外方に向けて折り曲げた構成であり、該フレーム49の前面には、コの字型空間内にレンズ51を介して内装するLED作業灯48の開口窓52が開口して設けられている。また、フレーム49の開放端側は閉塞カバー53によって閉塞する構成としている。
【0021】
これにより、小型、薄型で構成できる作業灯として夜間作業の快適性を良好にすると共に、キャビンガラスの突合せ部の端末処理を美観よく行うことができ、しかも、キャビンフレームの強度メンバーも兼ねることができ、ガラスのシール性もし易くなる特徴がある。
【0022】
尚、図12中において、符号54は前照灯を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】トラクタの側面図。
【図2】キャビン要部の斜視図。
【図3】同上要部の前方から見た斜視図。
【図4】同上要部の後方から見た斜視図。
【図5】補強プレートの平面図。
【図6】車体フレーム構造を示す側面図。
【図7】同上要部の斜視図。
【図8】キャビン要部の側面図。
【図9】同上要部の斜視図。
【図10】図8の(イ)Y−Y断面及び(ロ)X−X断面
【図11】操作部の側面図。
【図12】(A)キャビン要部の正面図。(B)同上要部の側断面図。(C)同上要部の斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1 トラクタ
2 車体
7 操縦席
9 キャビン
10 キャビンフレーム
13u上部後支柱
13d下部後支柱
18 リヤパネル
25 補強プレート
26 切欠手段(切欠凹部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビン(9)の後部下方で操縦席(7)の背部近くにおいて左右の後支柱(13d,13d)間に跨がるリヤパネル(18)に補強プレート(25)を固着して設け、該補強プレート(25)には左右からの過度の負荷が加わると、後方へ向けての変形を許容する切欠部(26)を設けてあることを特徴とするキャビンのフレーム構造。
【請求項1】
キャビン(9)の後部下方で操縦席(7)の背部近くにおいて左右の後支柱(13d,13d)間に跨がるリヤパネル(18)に補強プレート(25)を固着して設け、該補強プレート(25)には左右からの過度の負荷が加わると、後方へ向けての変形を許容する切欠部(26)を設けてあることを特徴とするキャビンのフレーム構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−224914(P2006−224914A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44214(P2005−44214)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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