説明

キャリパブレーキシステム

【課題】車両が停止した場合に自動的に作動するとともに、車両が動いた場合に自動的に解除するキャリパブレーキを提供する。
【解決手段】キャリパブレーキシステム10は、ハウジング11と、このハウジング内に設けられた穴32と、この穴内に摺動自在に設けられたピストン31とを備えている。また、ブレーキシステムは、ばね組立体50と、穴およびピストンによって形成される流体室と、作動流体供給回路とを有している。ばね組立体は、車両のロータに係合する固定子組立体20に係合する作動位置にピストンを保持するための付勢力を与える。作動流体供給回路は、流体室に加圧流体を供給し、ばね組立体の付勢力に選択的に打ち勝ち、非作動位置にピストンを移動させてロータを開放する。このようにして、キャリパブレーキは、作動したり作動流体によって開放されたりするばね組立体からなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本件出願は、2007年6月25日に出願された米国の仮特許出願No.60/961,881の優先権を主張しており、この出願の内容は、本件中に引用して組み込むものとする。
【0002】
本発明は、概してキャリパブレーキシステムに関する。とりわけ、本発明は、さまざまなタイプのトラックおよびオフロード車両の駐車ブレーキに連結して使用されるキャリパブレーキシステムに関する。より詳しくは、本発明は、ブレーキキャリパが、車両油圧システムが停止した場合に作動し、車両油圧システムが作動している場合に開放されるばねからなっている車両駐車ブレーキのための自動キャリパブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
キャリパブレーキは、駐車ブレーキの分野においてよく知られており、例えば、車両が静止している場合に制動力を与えるために建設機械などのオフロード車両に一般に使用されている。これらの駐車ブレーキは、極めて重くなることが多い車両が動くことを防止するために、比較的大きな制動力を与えて、信頼性を確保する必要がある。
【0004】
駐車ブレーキの全てのタイプは、典型的に、運転者によって手動により作動するとともに、その後、車両を動かす場合にはブレーキが手動により解除するいくつかのタイプを必要としている。このようなブレーキの手動作動または解除は、困難ではなく、または時間をかけることもないが、多くの場合簡単に忘れてしまう。駐車した後に駐車ブレーキを作動させることを忘れること、または車両を走行しようとした後に駐車ブレーキを解除することを忘れることのいずれか一方は、車両の運転者にはかなりよくあることである。前者の場合、駐車ブレーキが働くことがなく、このように駐車ブレーキが働いていない場合、運転者が操作することなく車両が動き始める可能性が高いため、危険な状態が引き起こされる。後者の場合、運転者が車両を動かそうとするときに駐車ブレーキが依然として働いた状態であるため、大きな応力が駐車ブレーキシステムとエンジンの両方に負荷される。
【0005】
これらの問題を考慮すれば、運転者による手動作動または解除を必要とすることなく信頼性のある駐車ブレーキが求められていることは明らかである。
【発明の開示】
【0006】
このように本発明の一つの特徴の目的は、車両が停止した場合に自動的に作動するとともに、車両が動いた場合に自動的に解除するキャリパブレーキを提供することである。
【0007】
本発明の他の特徴の目的は、上述したように、大きな制動力を与えるキャリパブレーキシステムを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる特徴の目的は、上述したように、ブレーキにより与えられる制動力を調整する手段を有するキャリパブレーキシステムを提供することである。
【0009】
本発明のこれらおよび他の目的、並びに従来技術に対する作用効果は、後述する記載から明らかなように、特許請求の範囲の記載および発明の詳細な説明の記載によって達成される。
【0010】
一般に、キャリパブレーキシステムは、車両のロータに対して作動可能であって、本発明によれば、ハウジングと、このハウジング内に設けられた穴と、前記穴内に摺動自在に設けられたピストンとを備えている。ロータに係合する作動位置においてばね組立体がピストンを付勢している。穴およびピストンによって流体室が形成され、流体室に加圧流体を供給するように作動流体供給回路が構成され、ばね組立体の付勢力に選択的に打ち勝ちロータを開放する非作動位置にピストンを移動させている。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、キャリパブレーキシステムは、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、このハウジング内に設けられた穴とを備えている。端部プラグが、円筒状本体と、第2端部に隣接する穴内に設けられた環状突出縁部とを有している。穴内に摺動自在にピストンが設けられ、ピストンおよび端部プラグの円筒状本体との間であって、かつ環状突出縁部内に円周方向にばね組立体が配置されている。ばね組立体は、共通の中心軸上に配置される外側ばねと中間ばねと内側ばねとを含む少なくとも一つのばね積層体を有し、前記ハウジングの前記第1端部に向く方向にピストンに対して付勢力を与えてブレーキを作動させる。穴およびピストンによって流体室が形成され、ピストンと穴との間に少なくとも一つの環状シール部が設けられてそこからの漏れを防止している。流体室に加圧流体を供給するように流体供給回路が構成されてピストンに作用している付勢力に選択的に打ち勝ち、このことにより、ブレーキが解除される。
【0012】
本発明のさらなる他の特徴によれば、キャリパブレーキシステムは、車両のロータに係合するように構成され、ロータの対向する両側に配置されるように構成された一対の固定子を含んでいる。ピストンは、固定子のうちの一方に係合し、穴内に設けられている。ばね組立体は、固定子をロータに係合させるために付勢力を与える。流体供給回路は、流体室に加圧流体を供給し、ばね組立体の付勢力にピストンを打ち勝たせて、ロータが回転自由になるように固定子をロータから開放させる。
【0013】
本発明の概念による好ましい典型的なキャリパブレーキシステムは、添付した図面における実施の形態により示されるが、本発明を具現化する可能な限りの色々の形態および変形例も本発明の範囲に含まれる。本発明は、発明の詳細な説明の記載によってではなく、添付した特許請求の範囲によって評価されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の概念によるキャリパブレーキシステムが、図1および図2において符号10により概略的に示されている。キャリパブレーキシステム10は、符号11により概略的に示されるハウジングを備え、このハウジングは、その構成部材を支持して保護するとともに、図3および図8において鎖線で示される通常のホイールロータ(wheel rotor)Rに対して作動可能に設けられている。
【0015】
図1乃至図3に示すように、ハウジング11は、上曲面13を含む固定子組立端部12を有している。この固定子組立端部12は、ロータRの一部を取り囲むように構成された曲面13の下方に位置する空洞14を有している。
【0016】
特に図1、図3、および図8に示すように、ハウジング11内の空洞14は、符号20により概略的に示される固定子組立体の一部を受け入れている。とりわけ、一対の固定子板21が、空洞14内においてロータRの両側に軸方向に移動自在に設けられ、これらの間にロータRの一部が介在されている。固定子板21は、ロータRに略平行に設けられて、ロータRに係合する一つ以上のパッド22を有している。図に示すように、各固定子板21に、この技術分野で知られている多数の摩擦材料のうちのいずれかから製作される2つのパッド22が間隔を置いて取り付けられている。各固定子板21は、その長手方向の両端部に位置する突出部23を有している。各突出部23は、固定子板21を摺動自在に取り付ける固定子ピン25を受け入れる穴24を有している。
【0017】
図1に示すように、ハウジング11の両側に、固定子組立体20を取り付けるための一対の突出肩部15が間隔を置いて設けられている。各肩部15は、固定子ピン25を受け入れる穴16を有している。各肩部15は、図3および図8に示すように、固定子板21およびロータRを受け入れて、それらの間に所望の間隔を設けるために少し離れて配置されている。固定子板21に対して肩部15の軸方向外側に移動可能な固定子ピン25は、キックアウトリング(kickout ring)27を受け入れる穴26を有している。このため、固定子ピン25は、作動位置において、肩部15に対して軸方向に拘束され、固定子組立体20を保持している。
【0018】
固定子組立体20は、図1に符号30により概略的に示されるピストン組立体によって作動可能に制御されている。このピストン組立体30は、ハウジング11のピストン組立体端部17内に一部が配置されている。図に示すように、このピストン組立体端部17は、ハウジング11の固定子組立体端部12から延びる一つ以上の略円筒状突出部18を有している。図に示すように、ピストン組立体30をそれぞれ収納する2つの円筒状突出部18が設けられている。
【0019】
図1、図3、図7、および図8に最も良く示すように、各ピストン組立体30は基本的に同じであり、したがって、一方だけについて詳細に述べる。図に示すように、各ピストン組立体は、ハウジング11内に設けられた段付き穴32内部を移動するカップ形状ピストン31を有している。このピストン31は、段付き穴32内に設けられた最大径室35に係合する円筒状外表面34を含む本体部33を有している。ピストン31は、段付き穴32内に設けられた小径室38内において作動する円筒状小径表面37を含む突出フランジ36を有し、固定子組立体20のうち近接した、すなわち内側の固定子板21に係合している。
【0020】
このように、ピストン31および段付き穴32により、ピストン作動流体のための環状流体圧力室40が形成される。図3に最も良く示すように、ハウジング11内であって流体圧力室40の軸方向の一方の側に、Oリング41およびバックアップリング42の組み合わせが配置されるとともに、ピストン31上であって流体圧力室40の軸方向の他方の側に、Oリング43およびバックアップリング44の第2の組み合わせが配置されている。したがって、ハウジング11とピストン31との間に設けられた流体圧力室40の領域からピストン作動流体が漏れることが抑制される。段付き穴32の端部とフランジ36の端部に近接してシーリングブーツ(sealing boot)45が設けられ、これらの間に異物が侵入することを防止している。
【0021】
ピストン組立体30のピストン31は、図1、図2、図3、図7、および図8において符号50により概略的に示されるばね組立体によって固定子組立体20に対して係合させられている。ピストン31によりロータRに伝達するために要求される力に対応して、ばね組立体50は一つ以上のコイルばねを有している。図に示すように、ピストンの直径(図2)内において円周方向に配置されるように3つのばね積層体51、52、および53が設けられている。各積層体は、3つのばね、すなわち、異なる直径からなるとともに好ましくは共通の中心軸上に配置される外側ばね54と中間ばね55と内側ばね56とを有している。このため、本実施の形態に示すように、ピストン組立体30は、その内部に9つのばね部材をそれぞれ有している。ばね積層体51、52、および53を安定して固定するために、ピストン31は、各ばね積層体51、52、および53に、外側ばね54を受け入れる大きさからなる軸方向凹部57(図1および図3)を有している。
【0022】
ばね54、55、および56は、図1および図3に示すように、符号60によって概略的に示される端部プラグ(end plug)によってピストン31の反対側の軸方向端部において拘束されている。この端部プラグ60は、段付き穴32にはめ込まれる円筒状本体61と、ばね積層体51、52、53の一部を受け入れる環状突出縁部62とを有している。縁部62の外周面の一部は、段付き穴32内に形成されたねじ山64にはめ合って係合するねじ山63を有し、ハウジング11内における円筒状本体61の軸方向位置を選択的に位置決めし、これによって、ピストン31に対して必要な大きさとなるようにばね54、55、56を圧縮して、ロータRに必要な力を伝える。このような作用が、組立初期の間に用いられ、パッド22の摩耗を補うようになっている。
【0023】
ばね積層体51、52、53のうちピストン31に対して反対側の軸方向端部に、一つ以上のシム(shim)65が設けられて滑り面として作用し、ばね積層体51、52、53に対する端部プラグ60の回転抵抗を減らしている。図1および図3に最も良く示すように、本実施の形態においては2つのシム65が用いられている。ハウジング11にねじ込む際、端部プラグ60の回転を容易にするために、端部プラグ60の本体61は、ソケットツール(socket tool)またはレンチを受け入れるように構成された凹部66を有している。あるいは、端部プラグ60は、必要なねじ込みをもたらすように回転させるための係合自在な突起部または他の構造部を有していても良い。一旦、所望のねじ込みが行われると、端部プラグ60は、本体61内にねじ込まれるとともに段付き穴32(図1および図3)内に設けられた円周方向範囲が制限された短い軸方向溝68に延びる位置決めねじ(set screw)67によって更に回転することが係止される。直径方向に対向する2つの溝68が示されているが、溝をこれ以上用いてもよい。
【0024】
図1乃至図3、図7、および図8に示すように、ハウジング11の軸方向外側に突出する円筒状突出部18は、基本的には平ふたからなる端板70によって閉ざされ、この端板70は、端板70に設けられた穴72を通ってハウジング11内に延びる複数の小ねじ71によって所望の位置に保持されている。円筒状突出部18に、端板70に係合するためのOリング74が取り付けられ、端部プラグ60の周囲を密封している。
【0025】
図6に最も良く示すように、ピストン組立体30の環状流体圧力室40に、符号80によって概略的に示される流体供給回路によってピストン作動流体が供給される。この流体供給回路80は、ハウジング11内に設けられた流体入口ポート81を有し、この流体入口ポート81は、ピストン組立体30(図6および図3)のうちの一方の流体圧力室40に延びる第1流路82を含んでいる。ハウジング11は、回路80から空気を取り除くための空気抜きねじ84を含む第2ポート83を有している。第2ポート83から他方のピストン組立体30の流体圧力室40に、第2流路85が延びている。ハウジング11内に設けられた貫通流路86は、一方のピストン組立体30の流体圧力室40と他方のピストン組立体30の流体圧力室40との間に延び、このことにより入口ポート81と第2ポート83が連結される。貫通流路86の延長流路87は、ピストン作動流体(図6および図8)が漏れることを防止するためにプラグ88によって塞がれている。加圧されたピストン作動流体が流体入口ポート81を通って流体供給回路80に導かれた場合、ピストン組立体30はばね組立体50に打ち勝って図3、図7、および図8に示す位置に達する。
【0026】
ブレーキハウジング11は、符号90によって概略的に示される取付ブラケット組立体によって、図に示したように、ホイールロータRに対して作動可能に取り付けられた固定子組立体20を有している。取付ブラケット組立体90は、図6に最も良く示すように、横部材92と突出アーム93とを含むヨーク91を有している。各アーム93は、ブレーキシステム10を有する車両に取付ブラケット組立体90を取り付けるための締め具(図示せず)を受け入れる穴94を有している。ヨーク部材91の横部材92は、大まかにはハウジング11の両側部の間に延び、ハウジング11内に形成されたスリーブ19と軸方向に位置合わせされたねじ穴95を有している。ヨーク91は、スリーブ19を通って延びるとともにヨーク91内に設けられたねじ穴95に係合するねじ山97を含むボルト96によってハウジング11に作動可能に連結されている。ハウジング11をヨーク91に対してボルト96の軸方向に移動させるために、ボルト96は、スリーブ19よりも軸方向に長く、ボルト頭部101からねじ穴95が設けられた横部材92の部分まで延びるスペーサ100を保持している。スリーブ19が相対的な摺動を容易にするためにスペーサ100に係合し、間隔を置いて一対のブッシュ103および104を保持していることは好都合である。外からの破片を侵入させないために、各スリーブ19の軸方向の各先端にブーツ(boot)105が配置されている。
【0027】
加圧流体が流体供給回路80に供給された場合、ハウジング11は、ロータRから移動する固定子板21とともに図に示された位置に存在している。加圧流体の供給が車両および/または車両油圧システムを停止することによって打ち切られると、ピストン31は、ばね組立体50によって作動され、固定子板21のパッド22が移動してロータRに係合し、このことによりブレーキが作動する。ピストン31は、内側固定子板21を駆動してロータRに接触させて互いに係合させる。内側および外側固定子21によってロータRに伝えられる圧力は、外側固定子21が、ハウジング11上に取り付けられ、したがって、上述したように取付ブラケット組立体90およびロータRに対して移動するという事実によって均一にされる。車両が始動した場合のように、加圧流体が再び供給されて流体供給回路に戻ると、ブレーキは自動的に開放される。
【0028】
したがって、上述したキャリパブレーキシステムは、本発明の目的を達成するとともに、その他の点では実質的に技術を改善していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、一般の車両ブレーキシステムのロータに対して作動可能に取り付けられた本発明の概念によるキャリパブレーキシステムの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1のブレーキシステムの拡大されたピストン組立体端部の正面図であって、車両の取付ブラケット組立体の一部を含む更なる詳細を示す図である。
【図3】図3は、図2の3−3線に実質的に沿った部分断面図であって、典型的なブレーキシステムのロータに対して作動可能に取り付けられたピストン組立体および固定子組立体の詳細を示す図である。
【図4】図4は、図2の4−4線に実質的に沿った拡大部分断面図であって、ブレーキシステムのハウジングに車両の取付ブラケット組立体の取付部を示す図である。
【図5】図5は、図2の5−5線に実質的に沿った拡大部分断面図であって、2つのピストン室に相互に連結されているハウジング内に設けられたダクトを塞ぐプラグを示す図である。
【図6】図6は、図2に類似する端部正面図である。
【図7】図7は、図6の7−7線に実質的に沿った断面図であって、ピストン組立体、固定子組立体、および車両の取付ブラケット組立体の詳細を示す図である。
【図8】図8は、図6の8−8線に実質的に沿った断面図であって、ピストン組立体、固定子組立体、および車両の取付ブラケット組立体の他の詳細を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のロータに対して作動可能なキャリパブレーキシステムにおいて、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられた穴と、
前記穴内に摺動自在に設けられたピストンと、
作動位置において前記ピストンを付勢してロータに係合させるばね組立体と、
前記穴および前記ピストンによって形成される流体室と、
前記流体室に加圧流体を供給するように構成され、前記ばね組立体の付勢力に選択的に打ち勝ち、非作動位置に前記ピストンを移動させてロータを開放する作動流体供給回路と、を備えたことを特徴とするキャリパブレーキシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、第1端部と第2端部とを有し、
前記第1端部は、内部に空洞を含み、
前記第2端部は、前記穴を取り囲んでいることを特徴とする請求項1に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項3】
前記ハウジングの前記第1端部に摺動自在に取り付けられるとともに、前記空洞内に少なくとも一部が位置する一対の固定子を更に備え、
前記ピストンは、前記固定子のうちの一方に係合することを特徴とする請求項2に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項4】
円筒状本体と環状突出縁部とを有する端部プラグを更に備え、
前記ばね組立体は前記円筒状本体に隣接し、前記環状縁部は前記ピストンの軸方向停止部であることを特徴とする請求項1に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項5】
前記穴は、ねじ部分を有し、
前記環状突出縁部は、前記穴の前記ねじ部分にはめ合って係合するねじ部分を有し、前記穴内に設けられた前記端部プラグの前記円筒状本体に選択的に位置決めし、
このことにより、前記ばね組立体によって前記ピストンに与えられる力を調整することを特徴とする請求項4に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項6】
前記端部プラグに隣接する前記穴内に設けられた軸方向溝と、
前記端部プラグの前記円筒状本体内に延びるとともに、前記段付き穴の前記軸方向溝に突出し、前記端部プラグの回転を選択的に係止する位置決めねじと、を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項7】
前記端部プラグを覆う端板と、
前記ハウジングに対して前記端板を固定するための複数の締め具と、
前記端板と前記ハウジングとの間に設けられたOリングと、を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項8】
前記ピストンは、前記段付き穴に係合する円筒状外表面を含む本体部分と、前記端部プラグに対向する軸方向凹部とを有し、
前記ピストン本体は、前記ハウジングの前記第1端部に向かって延びる突出フランジを含むことを特徴とする請求項7に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項9】
前記ばね組立体は、少なくとも一つのばね積層体を有し、
前記ばね積層体は、共通の中心軸上に配置される外側ばねと中間ばねと内側ばねとを含むことを特徴とする請求項8に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項10】
前記ばね組立体は、前記ピストン本体の前記軸方向凹部に円周方向に配置されるとともに前記端部プラグに係合する3つのばね積層体を有することを特徴とする請求項9に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項11】
前記ばね積層体と前記端部プラグとの間に設けられた少なくとも一つのシムを更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項12】
前記ピストンと前記段付き穴の内表面との間に設けられた少なくとも一つの環状シール部を更に備え、
前記流体室から流体が漏れることを防止することを特徴とする請求項1に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項13】
一対の段付き穴と、一対のピストンと、一対の流体室とを有し、
前記作動流体供給回路は、前記ハウジング内に設けられた流体入口ポートと、前記入口ポートと前記流体室のうちの一方との間に延びる第1流路と、空気抜きねじを有する出口ポートと、前記出口ポートと前記流体室のうちの他方との間に延びる第2流路と、前記各流体室の間に延びる貫通流路とを有することを特徴とする請求項12に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項14】
前記ハウジングは、横方向両側に配設され、前記第2端部に隣接するスリーブを有し、
ブレーキシステムは、横部材を有する取付ブラケット組立体と、前記横部材から突出するアームと、前記横部材を貫通する前記ハウジングの前記スリーブに軸方向に位置合わせされたねじ穴と、前記スリーブを貫通して延びるとともに、前記横部材内に設けられた前記ねじ穴と結合する雄のねじ山を含むボルトと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項15】
前記取付ブラケット組立体は、前記ボルトのねじ山が形成されることがない部分に対応して設けられた一対のスペーサと、前記スリーブ内に設けられ、前記横部材および前記アームに対して前記ハウジングが軸方向に摺動することを可能にするブッシュとを更に有することを特徴とする請求項14に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項16】
第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられた穴と、
前記第2端部に隣接する前記穴内に設けられた円筒状本体と環状突出縁部とを有する端部プラグと、
前記穴内に摺動自在に設けられたピストンと、
前記ピストンと前記端部プラグの前記円筒状本体との間であって、前記環状突出縁部内に円周方向に配置されたばね組立体と、を備え、
前記ばね組立体は、共通の中心軸上に配置される外側ばねと中間ばねと内側ばねとを含み、ブレーキを作動させるために前記ハウジングの前記第1端部に向く方向に前記ピストンに対して付勢力を与える少なくとも一つのばね積層体を有し、
前記穴および前記ピストンによって流体室が形成され、前記ピストンと前記穴との間に設けられた少なくとも一つの環状シール部により漏れを防止し、前記流体室に加圧流体を供給するように流体供給回路が構成され、前記ピストンに作用する前記付勢力に選択的に打ち勝ち、このことによりブレーキを開放することを特徴とするキャリパブレーキシステム。
【請求項17】
前記ピストンは、本体部分と、前記端部プラグに対向する前記本体部分内に設けられた軸方向凹部と、前記ハウジングの前記第1端部に向けて延びる突出フランジとを有し、前記少なくとも一つのばね積層体の一端部が、前記軸方向凹部内に位置決めされていることを特徴とする請求項16に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項18】
前記ばね組立体は、前記軸方向凹部内に円周方向に配置された3つのばね積層体を有することを特徴とする請求項17に記載のキャリパブレーキシステム。
【請求項19】
車両のロータに係合するように構成されたキャリパブレーキシステムにおいて、
ロータの対向する両側に配置されるように構成された一対の固定子と、
前記固定子のうちの一方に係合するピストンと、
前記ロータに前記固定子を係合させるための付勢力を与えるばね組立体と、
流体室と、
流体供給回路と、を備え、
前記流体供給回路は、前記流体室に加圧流体を選択的に供給し、前記ばね組立体の前記付勢力に前記ピストンを打ち勝たせて、ロータが回転自由になるようにロータから前記固定子を開放させることを特徴とするキャリパブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−36374(P2009−36374A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−192618(P2008−192618)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(597122194)アウスコ・プロダクツ・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】