説明

キーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システム

【課題】キーをキーホルダから取り出せないようにする分離禁止機能、キーホルダの持ち出しに関する異常検出機能、キーホルダの移動を管理する監視機能、を設けることでセキュリティの向上を図り、キーが不正利用されるおそれを低減させるためのキーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システムを提供する。
【解決手段】略J字状鉤110の先端111をホルダケース150の内部に収容してロック片120で略J字状鉤110抜け止めしたときに、略J字状鉤110、ロック片120、信号生成回路130および固定係止部140とで信号経路が形成されるキーホルダ100とした。また、キーホルダが差し込まれたときに信号経路を確認するとともに略J字状鉤110が移動できないようにするセキュリティ・キーボックスとした。また、このようなセキュリティ・キーボックスを介して遠隔監視するようなキー管理システムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー管理の利便性を高めるようなキーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システムに関する。
【0002】
一般的にキー(鍵)は機械式のシリンダ錠を指している。このようなシリンダ錠は生活習慣に深く浸透し、広く利用されている。重要なキーの管理では、キーボックスを施錠することで複数のキーをまとめて管理し、利用者がキーの持ち出し時にノートなどに時刻、部署名、氏名などを記入してキーの管理を運用する。
【0003】
しかし、個々のキーのレベルまで人が管理するのは面倒であるため、記録漏れが生じたり、形骸化していく恐れがある。また、警備業などへの依頼者は、適性に管理されているか否かは委託者からの報告に頼らざるを得ず、本当に長期持ち出し(合いキー作成の恐れ)されていないかどうかなど、運用状況を把握することが難しい状況である。
【0004】
近年では運用状況を把握するICカード型の電子錠も浸透しつつあるものの、シリンダ錠から電子錠への置き換えは、キーの交換だけでなく、ドア施錠機構を含めて交換しなければならいことから、電子錠への置き換え需要は依然緩やかであり、今後もシリンダ錠の存続が予想される。
【0005】
そこで、既に普及しているシリンダ錠のセキュリティ管理をワンランク向上させて、持ち出し時の記録の自動化、無断でキーの持ち出しを防止することがセキュリティの向上策として考えられる。
【0006】
このようなキー管理を行う装置の従来技術として、例えば、特許文献1(特開平06−50034号,発明の名称「セキュリティー鍵保管装置」)が開示されている。特許文献1の発明では、磁気カードやICカードなどの電子カードをカードリーダに読取操作させるなどの操作がある毎に、操作の事実、関連情報、操作日時などを記憶・蓄積して出入口扉等の鍵の保管及び取り出しを行うようにしたセキュリティー鍵保管装置としており、トラブルなどが起こった場合には、装置の操作履歴を表示させて原因究明ができるようになる。
【0007】
また、従来技術の他の装置として、例えば、特許文献2(特開2004−300683号,発明の名称「鍵管理装置」)が開示されている。特許文献2の発明では、複数のキーボックスを縦横に配設しヒンジにより開閉自在な構造を有するキーボックス収納扉と、このキーボックス収納扉にキーボックスを例えば15個配設し、各キーボックスには固有の番号(1〜15)を付したボックス番号プレートと、各キーボックスの扉に備えられ指定された時に点灯するLEDランプが備えられている。また本体枠に一方を固定され、キーボックス収納扉の閉止状態をロックする収納扉キーと、キーボックスにキーを保管したときに貸し出し証をプリントアウトするプリンタと、パスワード等の必要情報を入力したり情報の表示を行なう表示入力部と、磁気カード若しくは接触型あるいは非接触型のICカードの内容を読み取るカードリーダとを備えて構成される。これにより、無人化によりキーを確実に管理でき、且つ個々のキーのセキュリティを高めたキー管理装置を提供する。
【0008】
【特許文献1】特開平06−50034号公報(段落番号[0009]〜[0012],図1〜図3)
【特許文献2】特開2004−300683号公報(段落番号[0013],図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のセキュリティー鍵保管装置では鍵の取り付け、取り外しが可能なリング体を介して鍵が鍵ホルダに取り付けられているため、鍵保管装置から容易に鍵を外すことが可能であり、また、このリング体に予備の鍵が取り付けられている場合には、予備の鍵を持出すことが可能であり、セキュリティ上の抜け穴によって適切に管理できないという問題があった。
また、特許文献2の鍵管理装置では、例えば、キーカバーの開閉を監視するものであるが、鍵自体を監視するものではなかった。このため、例えば、キーカバーに孔を開けて鍵を盗み出したような場合は、キーカバーが閉まったままなので正常に管理されてしまい、鍵の盗難の発見が遅れるおそれがあった。また、キーカバーが開けられれば、キーホルダを残したまま、キーのみ取り外して持ち出すことも可能であった。特に別の身代わりキーとすり替えられた場合には、次回その鍵を使用するまで気がつきにくく、これを防ぐには、キーボックスからの取り出し時に別途、立ち会い者が必要となる。このようなことから、アルバイトや委託者などによる内部犯罪に対する抑止力が不足しているという問題もあった。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、一般的なシリンダ錠用のキーが一旦保持されると取り外しが困難であり、かつ管理時にはキー固有の信号を発信するようなキーホルダを提供することにある。
また、このキーホルダが差し込まれると、キーやキーホルダが抜き取られた場合に異常と検出するようなセキュリティ・キーボックスを提供することにある。
また、異常を遠隔地にいる管理人に通知するようなキー管理システムを提供することにある。
総じて、キーをキーホルダから取り出せないようにする分離禁止機能、キーホルダの持ち出しに関する異常検出機能、キーホルダの移動を管理する監視機能、を設けることでセキュリティの向上を図り、キーが不正利用されるおそれを低減させるためのキーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係るキーホルダは、
先端を通じてキーの孔に挿通されるような貫通体と、
貫通体を移動自在に支持し、貫通体の先端を移動により内部に収容してキーを抜け止めするホルダケースと、
ホルダケースに設けられ、貫通体の先端が内部に収容されたときに先端を係止し、また、移動により貫通体の先端の係止を解除するロック片と、
ホルダケースに設けられる固定係止部と、
固定係止部とロック片との間で電気的に接続される信号生成回路と、
を備え、
貫通体の先端をホルダケース内部に収容して貫通体をロック片で抜け止めしたときに、貫通体、ロック片、信号生成回路および固定係止部とで信号経路が形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に係るキーホルダは、
先端を通じてキーの孔に挿通されるような貫通体と、
貫通体を移動自在に支持し、貫通体の先端を移動により内部に収容してキーを抜け止めするホルダケースと、
ホルダケースに設けられ、貫通体の先端が内部に収容されたときに係止して固定され、貫通体の先端が外部へ引き出されたときに係止不能となるロック片と、
ロック片に電気的に接続される信号生成回路と、
を備え、
貫通体の先端をホルダケース内部に収容して貫通体をロック片で抜け止めしたときに、貫通体、ロック片および信号生成回路で信号経路が形成され、かつ、貫通体の先端が外部へ引き出されたときに信号経路形成を不能とすることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係るセキュリティ・キーボックスは、
請求項1または請求項2に記載のキーホルダを収容するセキュリティ・キーボックスであって、
キーホルダが差し込まれるホルダスロットを一または複数備えるキーボックス本体と、
ホルダスロット内に配置され、差し込まれたキーホルダをロックするロック部と、
ロック部を駆動する駆動回路と、
キーホルダ内の信号生成回路と通信してキーホルダの差し込みの有無を検出する検出回路と、
キー利用者についての認証データを入力する入力部と、
ロックを解除するキーを表示により通知する表示部と、
アラームを音声または表示により報知するアラーム報知部と、
駆動回路、検出回路、入力部、表示部およびアラーム報知部と接続され、入力部から入力された認証データに対応して使用許可されているキーに該当する駆動回路に制御データを送信してロック部を解除するように制御するとともに表示部を表示させる制御部と、
を備え、
制御部は、
信号生成回路から出力されるキーデータを読み出す手段と、
キーデータを読み出せたときはキーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれていると判断する正常判断手段と、
キーデータを読み出せないときはキーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれていないと判断する異常判断手段と、
異常判断されたときにアラーム報知部に報知させる異常時処理手段と、
として機能することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係るキー管理システムは、
請求項3記載のセキュリティ・キーボックスを含むキー管理システムであって、
前記のセキュリティ・キーボックスは外部と通信する通信部を備え、
一または複数のセキュリティ・ボックスの通信部と接続される通信回線と、
通信回線を介して通信される管理者端末と、
を備え、
セキュリティ・キーボックスの制御部は、
キーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれていないと異常判断したときに通信回線を介して管理者端末へ異常を通知する手段と、
として機能することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に係るキー管理システムは、
請求項3記載のセキュリティ・キーボックスを含むキー管理システムであって、
前記のセキュリティ・キーボックスは外部と通信する通信部を備え、
一または複数のセキュリティ・ボックスの通信部と接続される通信回線と、
通信回線を介して通信される管理者端末と、
を備え、
セキュリティ・キーボックスの制御部は、
管理者端末からの通信回線または無線を介しての遠隔からの許可情報、または、キーボックス内蔵あるいは外付けの認証装置により、キーボックス本体からの個々のキーの抜き取り許可・不許可を制御できる手段と、
キーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれているか否かを予め設定した条件をもとに異常と判断したときに通信回線を介して管理者端末へ異常を通知する手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、キーをキーホルダから取り出せないようにする分離禁止機能、キーホルダの持ち出しに関する異常検出機能、キーホルダの移動を管理する監視機能、を設けることでセキュリティの向上を図り、キーが不正利用されるおそれを低減させるためのキーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態のキーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システムについて順次説明する。まず、キーホルダについて説明する。図1は本形態のキーホルダの内部構成図である。
キーホルダ100は、略J字状鉤110、ロック片120、信号生成回路130、固定係止部140、ホルダケース150を備える。
【0018】
略J字状鉤110は、本発明の貫通体の具体例であり、先端111、係止溝112、付勢ばね113、係止突部114を備える。この略J字状鉤110は、電気的な導体により形成される。
先端111は、略J字状鉤110の短軸側に設けられた尖り先であり、キーの孔や先端収容穴151に挿入し易くなっている。
係止溝112は、略J字状鉤110の先端111に並んで配置され、図面の垂直方向に形成される溝である。
【0019】
付勢ばね113は、略J字状鉤110の長軸側に設けられており、通常時は略J字状鉤110が開放するように外側(図1では左側)の方向に略J字状鉤110を付勢する。
係止突部114は、略J字状鉤110の長軸側の先端に設けられており、ホルダケース150の中側へ突出するように形成されている。
【0020】
ロック片120は、詳しくは回転体121、係止鉤部122、支軸123、押し込み部124、接続線125を備える。このロック片120は電気的な導体により形成される。
回転体121は、ロック片120の本体であり、棒状に形成されている。
係止鉤部122は、回転体121の一方の先端に形成されており、後述するが、先端収容穴151内に位置しており、略J字状鉤110が収容されたときにその係止溝112に入り込んで係止する。
【0021】
支軸123は、回転体121を回転自在に軸支する。回転体121は図面の垂直方向の中心軸を基準として回転する。
押し込み部124は、回転体121の他方の先端に形成されており、ホルダケース150の外側に露出されている。この押し込み部124を先端の尖った道具であるピン126で押すと、図3で示すように、ロック片120は回転する。
接続線125は、ロック片120と信号生成回路130とを通信可能に接続する。また、信号生成回路130と固定係止部140とを通信可能に接続する。
このようなロック片120は、図3の矢印b方向とは反対方向に回転するように図示しないばね・ゴムなどの付勢部で付勢することとなる。
【0022】
信号生成回路130は、後述するが、電源供給を受けたときに、ユニークなキーデータを生成して外部に送出する。
【0023】
固定係止部140は、詳しくは本体141、係止突部142を備える。この固定係止部140は電気的な導体により形成される。
本体141は、固定係止部140の本体であり、棒状に形成されている。
係止突部142は、本体141の先端に設けられており、ホルダケース150の中側へ突出するように形成されている。
【0024】
ホルダケース150は、詳しくは先端収容穴151、空間152、切り欠き部153を備えている。
ホルダケース150は、細長い角筒状であり、内部に空間152が形成され、この空間152内に上記の各構成が収容されている。
ホルダケース150の一方の側(図1では左側)では先端収容穴151が形成されている。先端収容穴151は略J字状鉤110の先端111が収容されるようになされ、その内部ではロック片120の係止鉤部122が突出している。
ホルダケース150の他方の側(図1では右側)では切り欠き部153が形成されている。切り欠き部153は、後述するセキュリティキーボックスのホルダスロットでロック部330と接続する際に位置決めを行う。
【0025】
続いてキーホルダ100の使用方法について説明する。まず、キーを入れてロックする場合について図を参照しつつ説明する。図2はロック状態の説明図である。キー(図示せず)を略J字状鉤110の先端111から挿通し、その後に矢印a方向に略J字状鉤110を押し込むと、略J字状鉤110の先端111がロック片120の係止鉤部122を滑りつつ進む。さらに略J字状鉤110を押し込むと、ロック片120の係止鉤部122が略J字状鉤110の係止溝112に入り込み、略J字状鉤110は移動しないように固定される。
【0026】
また、キーロックを開放する場合について図を参照しつつ説明する。図3は開放状態の説明図である。ホルダケース150から露出しているロック片120の押し込み部124に対し、道具のピン126を突き入れると、支軸123を中心として、矢印b方向に回転してロック片120の係止鉤部122が略J字状鉤110の係止溝112から外れる。すると、略J字状鉤110の付勢ばね113により矢印c方向へ移動してキーロックから開放される。
このキーホルダ100は、非破損型であり、キーホルダを破損しなくともキーロックを開放することでキーを取り外せる構成としている。
【0027】
続いて、キーホルダをホルダスロットに挿入してホルダロックするとともに管理可能となる点について図を参照しつつ説明する。図4はキーホルダのロック状態の説明図、図5はキーホルダのロック開放状態の説明図である。ホルダスロット301内にはロック部330が形成されている。ロック部330は、先端部331、一対の係止部材332,332、一対の折れ曲がり部333,333、一対のソレノイド334,334、突き出し部335、一対の接続線336,336、付勢ばね337、一対の溝部338,338を備える。
【0028】
先端部331は、絶縁性でキャップ状の部材である。
係止部材332は折れ曲がり部333を有する弾性および導電性の金属部材(例えば銅合金など)である。一対の係止部材332,332の先端には先端部331が被せられて、係止突部114,142間を通過しやすくしている。また、係止部材332の他端では溝部338によりホルダスロット301内で上下方向に移動可能に支持されている。
一対のソレノイド334,334は、このような一対の係止部材332,332に対して上下方向に移動させるようになされている。なお、一対の係止部材332,332は、付勢部337により通常は外側へ付勢されている。
【0029】
突き出し部335は、ホルダケース150の切り欠き部153に当接してホルダケース150がホルダスロット301から排出されるように外側へ押圧している。
一対の接続線336,336は、検出回路341と一対の係止部材332,332とを通信可能に接続する。
一対の溝部338,338は、一対の係止部材332,332が上下方向へ移動するように移動を拘束する機能を有している。
【0030】
続いてホルダロック動作について説明する。まず、図4で示すように矢印d方向にキーホルダ100をホルダスロット301に差し込むと、ロック部330の先端部331と一対の係止部材332,332とが、ホルダケース150の空間152内に入り込む。同時に突き出し部335がホルダケース150の切り欠き部153に入り込む。この切り欠き部153で受ける抗力に抗しつつさらに押し込むと、係止突部114,142により一対の係止部材332,332が、付勢部337の外側への付勢力にも拘らず、共に内側に押されていき、さらに押し込むと折れ曲がり部333が係止突部114,142内に入り込んで矢印e方向に拡開し、図4で示すように接触した状態となり、ホルダスロット301からホルダケース150が抜けない状態となり、キーホルダ100を引き抜けないようにホールドする。折れ曲がり部333と係止突部114,142とでは強固に密着するため、通信可能に接続されることとなる。
【0031】
次に検出回路341は、上側の係止部材332、折れ曲がり部333、係止突部142、固定係止部140、接続線124、信号生成回路130、接続線124、ロック片120、略J字状鉤110、係止突部114、下側の折れ曲がり部333、下側の係止部材332という経路により、検出回路341は信号生成回路130と通信してキーデータを取得する、あるいは、単に導通したことを検知する。
【0032】
一方、ホルダロックを解除する場合は、解除するキーデータを有するホルダケースを検索し、図5で示すように、キーデータが一致するような検出回路341での検知を確認した制御部390(図13,図14参照)は、駆動回路342を介して一対のソレノイド334,334を動作させて矢印g方向に動作させる。すると、一対の係止部材332,332も矢印g方向に移動して、一対の折れ曲がり部333,333が係止突部114,142から外れるとともに、突き出し部335がキーホルダ100を矢印f方向に押し出してホルダロックが解除される。
【0033】
このように非破損型では一度キーをキーホルダ100に挿入してキーロックした後、キーボックス本体300のホルダスロット301に挿入すると、図4でも明らかなように、押し込み部124がホルダスロット301内に隠れるため、キーを取り外せいない仕組みとなっている。
また、キーホルダ100からキーを力づくで引き抜いた場合には、ロック片120の係止鉤部122と、略J字状鉤110の係止溝112が外れて、信号生成回路130からのキーデータが取得できなくなり、異常をただちに検知する。
また、ホルダスロット301からキーホルダ100を力づくで引き抜いた場合には、一対の係止部材332,332の一対の折れ曲がり部333,333と、係止突部114,142とが外れて、信号生成回路130からのキーデータが取得できなくなり、異常をただちに検知する。
このような構成としたため、一旦ホルダスロット301にキーホルダ100を差し込むと、キーやキーホルダ100を不正に取り外せなくなり、無理矢理キーやキーホルダ100を抜き取った場合にはただちに検知できるようにしたため、セキュリティ能力を向上させることができる。
【0034】
続いて、他の形態のキーホルダについて説明する。図6は他の形態のキーホルダの内部構成図である。先の形態のキーホルダ100は、非破壊型であったのに対し本形態では破壊形である点が相違する。このキーホルダ100’は、略J字状鉤160、ロック片170、信号生成回路180、ホルダケース190を備える。
【0035】
略J字状鉤160は、本発明の貫通体の具体例であり、先端161、第一係止溝162、第二係止溝163、付勢ばね164、係止突部165を備える。
先端161は、略J字状鉤160の短軸側に設けられた尖り先であり、キーの孔に挿通し易くなっている。
第一係止溝162は、略J字状鉤160の先端161に並んで上側に配置され、図面の垂直方向に形成される溝である。
【0036】
第二係止溝163は、略J字状鉤160の先端161に並んで下側に配置され、図面の垂直方向に形成される溝である。
付勢ばね164は、略J字状鉤160の長軸側に設けられており、略J字状鉤160が開放するように外側(図6では左側)の方向に略J字状鉤160を付勢する。
係止突部165は、略J字状鉤160の長軸側の先端に設けられており、ホルダケース190の中側へ突出するように形成されている。
【0037】
ロック片170は、詳しくは本体171、略U字体172、第一係止鉤部173、第二係止鉤部174、係止突部175を備える。
本体171は、ロック片170の本体であり、棒状に形成されている。
略U字体172は、本体171の一方の先端に形成されている。
【0038】
第一係止鉤部173は、略U字体172の一方の先端に形成されており、略J字状鉤160の第一係止溝162に入り込んで係止する。
第二係止鉤部174は、略U字体172の他方の先端に形成されており、略J字状鉤160の第二係止溝163に入り込んで係止する。
係止突部175は、本体171の他方の先端に設けられており、ホルダケース190の中側へ突出するように形成されている。
信号生成回路180は、後述するが、電源供給を受けて、ユニークなキーデータを生成して外部に送出する。
【0039】
ホルダケース190は、詳しくは先端収容穴191、空間192、切り欠き部193を備えている。
ホルダケース190は、細長い角筒状であり、内部に空間192が形成され、この空間192内に上記の各構成が収容されている。
ホルダケース190の一方の側(図6では左側)では先端収容穴191が形成されている。先端収容穴191は略J字状鉤160の先端161が収容されるようになされ、その内部ではロック片170の第一係止鉤部173、第二係止鉤部174が突出している。
ホルダケース190の他方の側(図6では右側)では切り欠き部193が形成されている。切り欠き部193は、後述するセキュリティ・キーボックスのホルダスロットでロック部330と接続する際に位置決めを行う。
【0040】
続いてキーホルダ100’の使用方法について説明する。まず、キーを入れてロックする場合について図を参照しつつ説明する。図7はロック状態の説明図である。キー(図示せず)を略J字状鉤160の先端161から挿通し、その後に矢印h方向に略J字状鉤160を押し込むと、略J字状鉤160の先端161がロック片170の略U字体172の第一係止鉤部173や第二係止鉤部174を滑りつつ進む。さらに略J字状鉤160を押し込むと、第一係止鉤部173が一係止溝162に、また、第二係止鉤部174が第二係止溝163に入り込み、略J字状鉤160は移動しないように固定される。この場合、略J字状鉤160の先端161が略U字体172内に入り込むと両側から強固に固定され、もはやキーロックの開放は不可能となる。
【0041】
このようにキーロックを開放できないのに無理に引き抜こうとした場合について図を参照しつつ説明する。図8は引き抜きによる破損の説明図である。無理に略J字状鉤160を矢印i方向に引張った場合、第一係止溝162が第一係止鉤部173を、また、第二係止溝163が第二係止鉤部174を、破壊しながら引き出され、第一係止鉤部173や第二係止鉤部174がなくなる。このため、以後はキーロックができないためキーデータが取り出せなくなって、異常状態であると判別できるようになる。
このキーホルダは、破損型であり、一度キーをキーホルダーに挿入してロックしたら、二度と引き出すことができないような構成としている。
【0042】
続いて、キーホルダをホルダスロットに挿入してホルダロックするとともに管理可能となる点について図を参照しつつ説明する。図9はキーホルダのロック状態の説明図、図10はキーホルダのロック開放状態の説明図である。ホルダスロット301内にはロック部330が形成されている。ロック部330は、一対の係止部材332,332、折れ曲がり部333、ソレノイド334、突き出し部335、接続線336、付勢部337、溝部338を備える。これらは先に説明した構成と同じであり、同じ符号を付すともに重複する説明を省略する。
【0043】
続いて動作について相違点のみ説明する。まず、図9で示すように矢印j方向にキーホルダ100’をホルダスロット301に差し込むと、ロック部330の先端部331と一対の係止部材332,332とが、ホルダケース190の空間192内に入り込む。同時に突き出し部335がホルダケース190の切り欠き部193に入り込む。この切り欠き部193からの抗力に抗しつつさらに押し込むと、係止突部165,175により一対の係止部材332,332が、付勢部337の外側への付勢力にも拘らず、共に内側に押されていき、さらに押し込むと一対の折れ曲がり部333,333が係止突部165,175内に入り込んで矢印k方向に拡開し、図9で示すように接触した状態となり、ホルダスロット301からホルダケース190が抜けない状態となり、キーホルダ100を引き抜けないようにホールドする。一対の折れ曲がり部333,333と係止突部165,175とでは強固に密着するため、通信可能に接続されることとなる。
【0044】
検出回路341は、上側の係止部材332、折れ曲がり部333、係止突部175、ロック片170、信号生成回路180、略U字体172、略J字状鉤160、係止突部165、下側の折れ曲がり部333、下側の係止部材332という経路により、検出回路341は信号生成回路180と通信してキーデータを取得する、あるいは、単に導通したことを検知する。
【0045】
一方、ホルダロックを解除する場合は、解除するキーデータを有するホルダケースを検索し、図10で示すように、キーデータが一致するような検出回路341から検知を検出した制御部390(図13,図14参照)は、駆動回路342を介して一対のソレノイド334,334を矢印m方向に動作させる。すると、一対の係止部材332,332も矢印m方向に移動して、一対の折れ曲がり部333,333が係止突部165,175から外れるとともに、突き出し部335がホルダケース190を矢印l方向に押し出してキーホルダ100’のホルダロックが解除される。
【0046】
このように破損型では一度キーをキーホルダ100’に挿入してロックすると二度と引き出すことができないタイプである。
また、キーホルダ100’からキーを力づくで無理に引き抜いた場合には、ロック片170の第一係止鉤部173,第二係止鉤部174と、略J字状鉤160の第一係止溝162,第二係止溝163が外れて、キーホルダ100’が破損して使用不能となり、また、信号生成回路180からのキーデータが取得できなくなって異常をただちに検知する。
また、ホルダスロット301からキーホルダ100’を力づくで引き抜いた場合には、一対の係止部材332,332の一対の折れ曲がり部333,333と、係止突部165,175とが外れて、信号生成回路180からのキーデータが取得できなくなり、異常をただちに検知する。
【0047】
このような構成としたため、一旦ホルダスロット301にキーホルダ100’を差し込むと、キーやキーホルダ100’を取り外せなくなり、無理矢理キーやキーホルダ100’を抜き取った場合にはただちに検知できるようにしたため、セキュリティ能力を向上させることができる。
【0048】
続いて、このようなキーホルダを用いるセキュリティ・キーボックスについて説明する。図11は開閉扉を有するタイプのセキュリティ・キーボックスの外観図、図12は開閉扉がないタイプのセキュリティ・キーボックスの外観図、図13はセキュリティ・キーボックスの回路ブロック図、図14はホルダスロット回路の詳細回路ブロック図である。
【0049】
セキュリティ・キーボックス10は、外観では図11で示すようにキーボックス本体300、ホルダスロット301、キー入力部310、表示部320、開閉扉400を備える。複数のホルダスロット301にはそれぞれキー200をホールドするキーホルダ100(100’)が取付けられている。
ホルダスロット301には、図4や図9で示すように検出回路341に接続された電極でもある係止部材332が突出しており、信号生成回路130(180)に電源を供給する。信号生成回路130(180)は、電源供給を受けて、ユニークな信号を検出回路に送出する。
また、図12で示すように開閉扉400がないタイプもあるが、他の構成は同じであり、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略し、以下図11で示すタイプについて説明する。
【0050】
キーボックス本体300内の内部ブロックは、図13で示すように、キー入力部310、表示部320、ロック部330(図14参照)、ホルダスロット回路340、アラーム報知部350、無線通信部360、有線通信部370、LAN通信部380、制御部390を備える。
【0051】
キー入力部310は、本発明の入力部の具体例であり、停電・システム異常時の強制ロック解除時などに暗証番号を入力する場合や、通常時に社員番号や暗証番号でロック解除する場合にデータ(以下これらロックを解除する際に入力されるキー利用者についてのデータを単に認証データという)を入力する場合に使用する。
表示部320は、各ホルダスロットのロック状態やロック解除、異常状態などのステータスを表示するものであり、ロックを解除するキーを表示により通知する。
【0052】
ロック部330は、図4,図5,図9,図10により説明がされており、重複する説明を省略する。
ホルダスロット回路340は、キーホルダーへの電源供給と、キーホルダーの信号を抽出する。また、制御部390からの制御信号により、キーホルダーのロック解除を行う。ホルダスロット回路340は、詳しくは、図14でも示すように、検出回路341,駆動回路342を備える。検出回路341は信号生成回路130(180)と接続され、また、駆動回路342はロック部330の一対のソレノイド334,334と接続される。
検出回路341は、信号生成回路130(180)からのユニークな信号を受けることによって、当該ホルダスロット301に登録したキーホルダか否かを識別し、異常検出用に用いる。認識後の抜き差し検出は、電源回路の負荷電流の有無(通電検査)のみの抜き差し検出も可能であるが、常時信号検出する(データ読出し検査)も可能である。
【0053】
アラーム報知部350は、制御部390の異常検出により、外部アラーム出力装置(パトライトやブザーなど)の出力に用いる。
無線通信部360は、遠隔無線通信制御を行う場合に用いる。例えば無線LANなどである。図では有線通信部370を経由しているが、制御部390と直接接続してもよい。
有線通信部370は、有線通信制御を行う場合に用いられる。例えば、シリアル通信I/Fであり、専用管理ソフトがインストールされたPCとRS232CあるいはUSBなどでローカル接続用に用いる。
LAN通信部380は、LANケーブルを介して通信制御を行う場合に用いられる。例えば、Ethernet(登録商標)によるI/Fユニットであり、Ethernet(登録商標)経由で遠隔通信制御を行う場合に用いる。
制御部390は、各種通信I/Fからの遠隔制御コマンドの受付と制御、また、キーホルダの取り出し、挿入のロギング情報の送出やキーボックスの異常判定を行う。なお、詳細については後述する。
【0054】
続いて制御部390による制御について説明する。なお、全てのホルダスロット301にキーホルダ100(100’)が差し込まれているものとして説明する。まず、正常時になされる制御について説明する。
制御部390は、常時キーホルダを監視しており、検出回路341を介してキーデータを読み出せたときはキーボックス本体300のホルダスロット301にキーホルダ100(100’)が差し込まれていると判断する手段(正常判断手段)として機能する。
【0055】
図11で示すようにセキュリティ・キーボックス10の開閉扉400を開ける際にも認証機能が必要であり、制御部390は、キー入力部310から認証データが入力されたことを検出した場合に開閉扉400を解錠するように制御する(開閉扉解錠手段)。なお、この機能は開閉扉がないセキュリティ・キーボックス10’(図12参照)の場合は不要となる。
【0056】
続いて、制御部390はキー入力部310から認証データ(個人名や部署名、貸し出し許可情報など)が入力された場合、この認証データと関連付けて登録されている一または複数のキーデータを有するキーホルダ100(100’)をロック部330に解除させる手段(使用許可手段)と機能する。
この場合、ロック部330の一対のソレノイド334,334により一対の係止部材332,332を移動させて使用可能なキーが取付けられたキーホルダ100(100’)のホルダロックを解除した状態とする。なお、所定時間経過後には一対のソレノイド334,334を元に戻して再度の差し込みによりキーロック可能な状態とする。
【0057】
続いて、制御部390は、認証データと貸し出しキー情報を日付時刻情報とともに、図示しない記憶部(メモリやハードディスクなど)に記録する手段(自動持ち出し記録手段)にてローカルデータとして記録可能であるが、通信手段にてLANに接続された管理者用PCなどに保存することも可能である。制御部390は検出回路341からキーデータが読み出せなくなった時刻を貸し出しが開始した時刻と、キーデータが読み出せるようになった時刻を貸し出しが終了した時刻と判定する。このように認証データによりキーを使用した使用者が、また、日付時刻情報によりキーをどれくらい借りていたかを判別できるため、異常な持ち出しに対処することができる。
【0058】
続いて異常時の制御部390の機能について説明する。
制御部390は、常時キーホルダを監視しているが、認証データの入力がないにも拘らず、検出回路341を介してキーデータを読み出せないときはキーボックス本体310のホルダスロット301にキーホルダが差し込まれていないと判断し未登録者による持ち出しを検出する手段(異常判断手段)として機能する。
さらにこのようなときに制御部390は、異常判断されたときにアラーム報知部350に音声および表示、または何れか一方により報知させる手段(異常時処理手段)として機能する。さらに制御部390は、画像記録装置などと連携することで、異常発生前後の画像記録する手段(アラーム信号出力手段)として機能するようにしても良い。
【0059】
また、制御部390は、キーホルダ100(100’)がそのままで略J字状鉤110,160の切断あるいは強制的な引き抜きによりキー200を外したような場合では、信号生成回路130(180)からキーデータが検出できなくなるためキーホルダが破壊されたと判断する手段(異常判断手段)として機能する。
【0060】
また、制御部390は、キーの持ち出し時間が所定の時間を越えた場合や、所定の時間帯に持ち出している場合など、異常条件をキー毎に設定できる手段(キーボックス異常条件設定手段)として機能する。
【0061】
また、制御部390は、それぞれ、特定のキーホルダ100(100’)とホルダスロット301とが一対一で対応する場合のみ装着可能とする手段(キーホルダ誤挿入防止機能)として機能する。
【0062】
以上説明したセキュリティ・キーボックス10(10’)では、キーホルダ100(100’)が挿入されロック部330によりロックされている。無理にキーホルダ100(100’)を抜き取ると、検出回路341により異常を検知できる。
【0063】
また、セキュリティ・キーボックス10(10’)にキーホルダ100(100’)が格納された状態で、キーだけ取り出すためにキーホルダ100(100’)を破壊(略J字状鉤110(160)を切断したり、引き外す)しても、検出回路341によって異常を検知できる。これによって、キーホルダ100(100’)をセキュリティ・キーボックス10(10’)に残したままキーのみを持ち出されない仕組みを設け、キー持ち出しのセキュリティの抜け穴を防止し、内部犯罪の抑止効果を高めている。
【0064】
また、キーホルダ100(100’)を抜いて目的とする扉の開錠後、目的地に設置された他のセキュリティ・キーボックス10(10’)に収納する場合で、キー移送時の状態を管理するときに、移送途中でキーのみを抜き取られてキーホルダ100(100’)のみ差し込んでも、やはりキーデータが取得できなくなっており、抜き取りを検知することもできる。
【0065】
また、特に図6で示したようなキーホルダ100’では、無理にこじ開けると、キーホルダ100’が2度とキーロックできない仕組みとしており、内部の人間が、身代わりのキーとこっそり入れ替えて持ち出すことも防止する。
【0066】
また、キーホルダ100(100’)毎に抜き取り検出しているため、特に図12で示したようなセキュリティ・キーボックス10’のように開閉扉や蓋を必ずしも必要としない。このため、日常の運用でも蓋を開ける手間がないキーボックスを作製可能であり、また、蓋がないことで、一目でキーの有無を確認できる効果もある。
【0067】
続いてこのようなセキュリティ・キーボックス10,10’を用いるキー管理システムについて図を参照しつつ説明する。図15は、キー管理システムのブロック図である。キー管理システム1は、総務など管理部署に配置されるセキュリティ・キーボックス10と、守衛所などに配置されるセキュリティ・キーボックス10と、を備えるシステムであり、通信回線系として特小中継装置20と、社内メールシステム30と、LAN40と、インターネット50とを備え、また、管理者端末としてコンピュータ60、携帯端末70とを備えるようなシステムである。
【0068】
続いてシステム動作について説明する。このようなシステムでは、上記したような各種制御を行うことに加えてシステム特有の制御を行う。このようなシステム特有の動作について説明する。
セキュリティ・キーボックス10,10にカメラとマイクなどの受付認証を別途設けることで、制御部390は、許可したキーホルダーのみ、管理者側の端末としてコンピュータ60、携帯端末70からの遠隔制御で取り出せるようロック解除する手段(キー抜き取り許可の遠隔制御手段)として機能するようにしても良い。
【0069】
また、制御部390は、キー抜き取り許可の遠隔制御信号は、回線系の特小中継装置20と、社内メールシステム30と、LAN40と、インターネット50を経由するときには、独自の暗号化により、信号を第三者に傍受されコピーされても再利用できない信号とする手段(制御信号の暗号化機能手段)として機能する。
【0070】
また、制御部390は、キーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれていないと異常判断したときに、予め登録した管理者端末としてコンピュータ60、携帯端末70へ通報する手段(キーボックス異常時の通報手段)として機能する。
【0071】
このようなキー管理システムでは以下のような利用例がある。
例えば、守衛所のキー管理では、紛失時に誰が持ち出したかが取り出し記録により明らかになり、キーの紛失防止に寄与する。また、委託者のキーの無断持ち出しや合いキー複製を防止する。異常を検知した際には、管理者へEmail通報が可能である。
その他にも、巡回パトロールに際し、キーを守衛所のキーボックスから抜き取り、巡回先の建物を開錠後に同様のキーボックスへキーを一時保管することで、キーの開閉情報の履歴記録が可能である。
電子錠によるアクセス管理システムを導入することなく、従来のシリンダ錠にてアクセス管理が可能となる。また、巡回先建物などを開錠した後、キーボックスに挿入するので、建物内の巡回中にキーを落とすなどの紛失防止になる。管理者は、履歴情報から巡回状況の確認が行える。
【0072】
また、ビル管理業における警備室におけるキー管理に用いた場合、不許可キーの抜き取り防止などが可能となる。さらに、現場では一切認証行為をせず、カメラとインターホンにより、警備センターとアクセス後、遠隔制御にてキーロック解除を行うことも可能となる。
【0073】
また、不動産業のキー管理では、家主が不動産業者にマスターキーを預ける場合、物件紹介の都度、キーのアクセス記録が自動で残るため、物件紹介履歴を手間をかけずにインターネットなどのホームページ(HP)などを介して家主に提供することが可能となる。
不動産業者の家主に対するキーの適性管理と、物件アクセス履歴情報の提供サービスなど付加価値向上に利用できる。
その他、学校や銀行のキー管理などへの利用が得られる。
【0074】
以上、キーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システムについて説明した。しかしながら各種の変形形態が可能である。例えば、セキュリティ・キーボックスの入力はキー入力部であると説明した。しかしながら、ICカードや生体認証など様々な方式にて認証データを入力して、認証登録された者であると確認された場合のみ、キーボックスからキーを取り出すことができるようにすることもできる。また取り出し時は、取り出したキー情報、持ち出し者の登録情報で記録できるので、誰がどのキーを持ち出したか自動記録が可能である。入力部としてキー入力部やカード入力部の利用が可能である。
【0075】
また、セキュリティ・キーボックスは、通信機能を有し、暗証コードや、社員番号、ICカード式社員証や各種生体認証システムなどと情報の授受を行うことで、専用の管理コンピュータへアクセス情報を登録することができる仕組みをもつようにしてもよい。これにより1つのキー毎に、いつからいつまで、誰が持ち出したかを自動記録でき、アルバイトや、委託者任せになるキーの不用意な持ち出しを抑止する。
【0076】
以上説明したキーホルダ、セキュリティ・キーボックスおよびキー管理システムによれば、ホルダからキーのみ無断で取り出されることを防止する機能を有することで、セキュリティレベルを一層向上させる。
さらにセキュリティレベルの向上と、キーボックスの遠隔制御機能を有することで、キーボックスの無人管理が可能となる。
また、専用のキーホルダとキーを分離困難として専用のセキュリティ・キーボックスで管理するようにしたため、複数のキーを個別管理しながらも機械システム化することで手間が省け、適切な管理を実現できる。
複数の認証方式から選択可能とすることで、様々なセキュリティレベルに対応できる。
また、工場など広い敷地施設の離れた場所にある守衛所のキーボックスは、無線によりアクセス情報を通知可能とし配線レスで、後付が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明を実施するための最良の形態のキーホルダの内部構成図である。
【図2】ロック状態の説明図である。
【図3】開放状態の説明図である。
【図4】キーホルダのロック状態の説明図である。
【図5】キーホルダのロック開放状態の説明図である。
【図6】他の形態のキーホルダの内部構成図である。
【図7】ロック状態の説明図である。
【図8】引き抜きによる破損の説明図である。
【図9】キーホルダのロック状態の説明図である。
【図10】キーホルダのロック開放状態の説明図である。
【図11】開閉扉を有するタイプのセキュリティ・キーボックスの外観図である。
【図12】開閉扉がないタイプのセキュリティ・キーボックスの外観図である。
【図13】セキュリティ・キーボックスの回路ブロック図である。
【図14】ホルダスロット回路の詳細回路ブロック図である。
【図15】キー管理システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
100:キーホルダ
110:略J字状鉤
111:先端
112:係止溝
113:付勢ばね
114:係止突部
120:ロック片
121:回転体
122:係止鉤部
123:支軸
124:押し込み部
125:接続線
126:ピン
130:信号生成回路
140:固定係止部
141:本体
142:係止突部
150:ホルダケース
151:先端収容穴
152:空間
153:切り欠き部
100’:キーホルダ
160:略J字状鉤
161:先端
162:第一係止溝
163:第二係止溝
164:付勢ばね
165:係止突部
170:ロック片
171:本体
172:略U字体
173:第一係止鉤部
174:第二係止鉤部
175:係止突部
180:信号生成回路
190:ホルダケース
191:先端収容穴
192:空間
193:切り欠き部
10,10’:セキュリティ・キーボックス
300:キーボックス本体
301:ホルダスロット
310:キー入力部
320:表示部
330:ロック部
331:先端部
332:係止部材
333:折れ曲がり部
334:ソレノイド
335:突き出し部
336:接続線
337:付勢部
339:溝部
340:ホルダスロット回路
341:検知回路
342:駆動回路
350:アラーム報知部
360:無線通信部
370:有線通信部
380:LAN通信部
390:制御部
400:開閉扉
20:特小中継装置
30:社内メールシステム
40:LAN
50:インターネット50
60:コンピュータ
70:携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端を通じてキーの孔に挿通されるような貫通体と、
貫通体を移動自在に支持し、貫通体の先端を移動により内部に収容してキーを抜け止めするホルダケースと、
ホルダケースに設けられ、貫通体の先端が内部に収容されたときに先端を係止し、また、移動により貫通体の先端の係止を解除するロック片と、
ホルダケースに設けられる固定係止部と、
固定係止部とロック片との間で電気的に接続される信号生成回路と、
を備え、
貫通体の先端をホルダケース内部に収容して貫通体をロック片で抜け止めしたときに、貫通体、ロック片、信号生成回路および固定係止部とで信号経路が形成されることを特徴とするキーホルダ。
【請求項2】
先端を通じてキーの孔に挿通されるような貫通体と、
貫通体を移動自在に支持し、貫通体の先端を移動により内部に収容してキーを抜け止めするホルダケースと、
ホルダケースに設けられ、貫通体の先端が内部に収容されたときに係止して固定され、貫通体の先端が外部へ引き出されたときに係止不能となるロック片と、
ロック片に電気的に接続される信号生成回路と、
を備え、
貫通体の先端をホルダケース内部に収容して貫通体をロック片で抜け止めしたときに、貫通体、ロック片および信号生成回路で信号経路が形成され、かつ、貫通体の先端が外部へ引き出されたときに信号経路形成を不能とすることを特徴とするキーホルダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のキーホルダを収容するセキュリティ・キーボックスであって、
キーホルダが差し込まれるホルダスロットを一または複数備えるキーボックス本体と、
ホルダスロット内に配置され、差し込まれたキーホルダをロックするロック部と、
ロック部を駆動する駆動回路と、
キーホルダ内の信号生成回路と通信してキーホルダの差し込みの有無を検出する検出回路と、
キー利用者についての認証データを入力する入力部と、
ロックを解除するキーを表示により通知する表示部と、
アラームを音声または表示により報知するアラーム報知部と、
駆動回路、検出回路、入力部、表示部およびアラーム報知部と接続され、入力部から入力された認証データに対応して使用許可されているキーに該当する駆動回路に制御データを送信してロック部を解除するように制御するとともに表示部を表示させる制御部と、
を備え、
制御部は、
信号生成回路から出力されるキーデータを読み出す手段と、
キーデータを読み出せたときはキーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれていると判断する正常判断手段と、
キーデータを読み出せないときはキーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれていないと判断する異常判断手段と、
異常判断されたときにアラーム報知部に報知させる異常時処理手段と、
として機能することを特徴とするセキュリティ・キーボックス。
【請求項4】
請求項3記載のセキュリティ・キーボックスを含むキー管理システムであって、
前記のセキュリティ・キーボックスは外部と通信する通信部を備え、
一または複数のセキュリティ・ボックスの通信部と接続される通信回線と、
通信回線を介して通信される管理者端末と、
を備え、
セキュリティ・キーボックスの制御部は、
キーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれていないと異常判断したときに通信回線を介して管理者端末へ異常を通知する手段と、
として機能することを特徴とするキー管理システム。
【請求項5】
請求項3記載のセキュリティ・キーボックスを含むキー管理システムであって、
前記のセキュリティ・キーボックスは外部と通信する通信部を備え、
一または複数のセキュリティ・ボックスの通信部と接続される通信回線と、
通信回線を介して通信される管理者端末と、
を備え、
セキュリティ・キーボックスの制御部は、
管理者端末からの通信回線または無線を介しての遠隔からの許可情報、または、キーボックス内蔵あるいは外付けの認証装置により、キーボックス本体からの個々のキーの抜き取り許可・不許可を制御できる手段と、
キーボックス本体のホルダスロットにキーホルダが差し込まれているか否かを予め設定した条件をもとに異常と判断したときに通信回線を介して管理者端末へ異常を通知する手段と、
を備えることを特徴とするキー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−120103(P2007−120103A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312387(P2005−312387)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000220907)東光電気株式会社 (73)
【Fターム(参考)】