説明

ギャ−ドモ−タ

【課題】ギャ−ドモ−タに直流モ−タを用い、外部電源からの給電を2線,2端子で行ない、且つ外部電源からの給電において、高電位と低電位を逆に給電を行い直流モ−タが逆方向に回動した時に、該直流モ−タの回動を出力部材へ伝達を遮断することにより、安全性を高めた小形でより安価な新規な構造のギャ−ドモ−タを提供する。
【解決手段】負荷駆動用モ−タ30のロ−タピニオン36と噛合わされている1番車52の1番歯車52aと遊星歯車機構40の太陽歯車45の間にワンウェイクラッチ機構50を配設して、負荷駆動用モ−タ30の正規方向の回動は、該負荷駆動用モ−タ30の回動を該ワンウェイクラッチ機構50を介して該遊星歯車機構40に伝達して、且つ該負荷駆動用モ−タ30の逆方向の回動は、該ワンウェイクラッチ機構50によって遮断を行って該遊星歯車機構40に伝達しないようにせしめた。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は操作対象の駆動ストロ−クを制御するためのスイッチを内蔵した、直流による駆動のギャ−ドモ−タに係り、例えば洗濯機に於ける排水弁の開閉動作の駆動源等として好適に採用されるギャ−ドモ−タに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小形の電動モ−タで有効な駆動出力を得るために、モ−タ出力軸に歯車等の減速伝達手段を組み付けたギャ−ドモ−タが知られており、民生及び一般の電気機器などに採用されている。その一種として、例えば特開平3−198638号公報や特開平4−165939号公報に記載されているように、歯車列等の減速手段を介して出力部材を駆動せしめるモ−タへの給電を制御したり、また、内蔵の電動リレ−への給電を制御することにより、該出力部材に連結された復帰力を持った操作対象を、初期位置から作動位置へ駆動変位せしめると共に誤作動位置に保持せしめ、更に該操作対象の前記述復帰力による初期位置への返戻作動を許容するようにしたギャ−ドモ−タが知られている。例えば洗濯機において、排水弁を開閉作動せしめたり排水弁と併せて本体洗濯槽のブレ−キがクラッチ作動を制御したりする駆動手段として好適に採用されている。
【0003】
ところで、このようなギャ−ドモ−タは内蔵している負荷駆動用モ−タや電磁石式電気リレ−の駆動に一般の交流を給電している故、一般的には50Hzまたは60Hz 100Vから240Vが採用されている。また、該ギャ−ドモータの装着場所は洗濯機本体の洗濯槽の下側に装着されているように、多湿で水滴の付着がしよい場所が多く、該ギャ−ドモ−タは電気的な安全性、特に耐トラッキング性能、絶縁性能等に配慮する必要があった。更に該負荷駆動用モータは、交流周波数に同期回転するインダクタ−形シンクロナスモ−タが多く採用されているが、該出力部材初期位置から作動位置へ駆動変位せしめる時間が50Hz地域と60Hz地域によって異なる問題がある。また、電磁石の吸着動作状態で固定側吸着片と可動側吸着片の吸着面で前記述周波数に原因を基にする振動音の発生が問題となり易く、該振動音の発生防止のために高度な寸法精度や材質管理が要求されることから、製造が難しくなると共に、製造コストが高くなるという問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここに於いて、本発明は上述の如き事情を背景として試されたものであって、その解決課題とするところは、負荷駆動用モ−タ及びクラッチ手段の一方のクラッチ手段を継断する電磁石の駆動を低電圧の直流を用いて操作対象を作動制御することの出来る新規なギャ−ドモ−タを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、このような課題を解決するために、試された本発明の態様を記載する。尚、以下に記載の各態様に於いて採用される各構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様及び技術的な特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体及び図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0006】
すなわち、本ギャ−ドモ−タに関する第一の態様は、歯車列等の減速伝達手段を介して、出力部材を駆動せしめる負荷駆動用モ−タへの給電路上にスイッチを設けると共に、該出力部材の作動位置に応じて該スイッチを継断せしめて、外部から該負荷駆動用モ−タへの給電を制御することにより、該出力部材に連結される復帰力を持った操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめると共に、該操作対象を該作動位置へ保持せしめ、更に該操作対象の前記述復帰力による該作動位置から該初期位置への返戻作動を許容するようにしたギャ−ドモ−タに於いて、該負荷駆動用モ−タの該出力部材への駆動力の伝達経路上に、複数のクラッチ手段を設けると共に外部電源より給電操作によって、吸着,開放動作せしめる電磁石式リレ−によって、該クラッチ手段の一方のクラッチ手段を継断する切換部材を駆動せしめるようにする。更に、該負荷駆動用モ−タの回転駆動が前記述操作対象の初期位置から作動位置に駆動変位方向で回転伝達力を伝えて、それと反対方向で遮断する該クラッチ手段のもう一方のクラッチ手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
このような本態様に従う構造としたギャ−ドモ−タに於いては、負荷駆動用モ−タ及びクラッチ手段を継断操作する電磁石式リレ−の駆動に、外部電源から直流の低い電圧の電力供給によって駆動されるようになっているため、従来の交流給電式に比べ耐トラッキング性能,耐絶縁性能等電気性能の向上が計られ安全性が高くなっている。また、該交流給電式の場合、一般的に該負荷駆動用モ−タは交流周波数に同期回転するインダクタ−形シンクロナスモ−タが多く採用されているため、出力部材を初期位置から作動位置へ駆動変位せしめる時間が、50Hz地域と60Hz地域によって異なる問題があるが、本形態のギャ−ドモ−タは直流駆動のため前記述50Hzと60Hzの地域による前期述時間の差が生じるのを防止した。
【0008】
また、本発明の第二の態様は、前記述第一の態様に従う構造とされたギャ−ドモ−タに於いて、前記述一方のクラッチ手段を前記述負荷駆動用モ−タの前記述出力部材への駆動力の伝達経路上に配設された前記述減速手段の一つとしての遊星歯車機構によって構成して、該遊星歯車機構に於ける太陽歯車を前記述負荷駆動用モ−タの出力軸によって回転せしめられる、もう一方のクラッチ手段を介して回転駆動せしめると共に、該太陽歯車に噛合された遊星歯車の支軸が固設されたキャリアの中心軸上に出力用の連結歯車を固設し、該遊星歯車が噛合される内歯歯車を有するケ−スの回転を、前記述切換部材によって許容状態と阻止状態に切換えるようにしたことを特徴とする。
このような本態様に従う構造とされたギャ−ドモ−タに於いては、クラッチ手段が遊星歯車機構によって構成されていることから、該負荷駆動用モ−タの磁力による駆動軸の位置決め力(ディテントトルク)によって、該遊星歯車機構を介して大きな力が操作対象に及ぼされることとなり、それによって該操作対象を復帰力に抗して操作位置に有利に保持することが出来る。
【0009】
また、クラッチ手段として遊星歯車機構を採用する場合には、以下の第三の態様が好適に採用される。すなわち、本発明の第三の態様は前記述第二の態様に従う構造とされたギャ−ドモ−タに於いて、前記述電磁石の復帰力を持った可動吸着片の係止部に係止せしめられて、該ケースの回転を阻止する係止部を設けて該電磁石への通電状態下で、該電磁石の可動吸着片の係止部が該外歯歯車への係止状態に維持されるようにしたことを、特徴とする。このような、本態様に従う構造とされたギャ−ドモ−タに於いては、該電磁石の可動吸着片の係止部によって、遊星歯車機構を構成するケ−スの外周面に形成された外歯歯車を係止状態に維持するという簡単な構造によって、クラッチが繋がった状態を維持することが出来るのであり、その結果簡単な構造によってクラッチの継断作動を安定して行うことが可能なギャ−ドモ−タが実現され得るのである。また、この可動吸着片の係止部の作動によってクラッチ手段を継断する切換部材が有利に構成される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
先ず、第1図〜第5図には本発明の一実施形態としての、洗濯機における排水弁の開閉動作用のギャ−ドモ−タ10が示されている。かかるギャ−ドモ−タ10は、洗濯機本体に取り付けられる。中空箱体構造のハウジング12を有しており、減速伝達手段としての動力伝達用減速歯車列26と、出力部材としてのラックレバ−28が、かかるハウジング12内に収納された状態で組み込まれている。そして、負荷駆動用モ−タ30の回転駆動を動力伝達用減速歯車列26を介してラックレバ−28に伝達し、ラックレバ−28と一体形成されたジョイント部28bに係止された、操作対象32を初期位置から作動位置まで操作対象32の復帰力に抗して、駆動変位せしめるようになっていると共に、動力伝達用減速歯車列26上に減速及びクラッチ手段としての遊星歯車機構40を設けて、かかる遊星歯車機構40を継断する回転体62の作動をクラッチ動作用電磁石70で阻止または、解除せしめるようになっている。更に負荷駆動用モ−タ30のロ−タピニオン36に噛合された1番車52と遊星歯車機構40の遊星歯車47に噛合された太陽歯車45を一体的に有し、1番車52と同一中心軸上で1番車52に対して相対回転可能に配されて、1番車52と遊星歯車機構40との間に介在せしめられることにより、1番車52の遊星歯車機構40に対する中心軸回りの相対回転を、相対対象32を初期位置から作動位置まで駆動変位せしめる時に継続し、操作対象32が作動位置から初期位置への駆動変位方向の1番車52の回転には、遊星歯車機構40への回転駆動力を阻止するワンウェイ式クラッチ機構50が配設されている。
【0012】
より詳細には、ハウジング12は全体として略箱形状を有するハウジング本体14の内側に配設されて、負荷駆動用モ−タ30,動力伝達用減速歯車列26の配設を保持せしめる略板状の基板24と、ハウジング開口部19に嵌め込まれる略板状の仕切部材22と蓋体18から構成されており、それらハウジング本体14,基板24,仕切部材22と蓋体18が相互にネジによって直接的または、間接的に固定されることにより、ハウジング12の上下方向に2つの領域を有する中空箱体構造を持って形成されている。なお、ハウジング12を構成する各部材14,18,22,24の材質としては、例えばABS樹脂等の硬質の合成樹脂が好適に採用される。また、ハウジング本体14の底部には段差部が設けられており、ハウジング本体14の一部が深底部16とされていると共に、かかる深底部16には負荷駆動用モ−タ30が、更に基板24と仕切部材22との間には、クラッチ動作用電磁石70が収容配設されている。
【0013】
この負荷駆動用モ−タ30は直流駆動モ−タであって、全体として厚肉の円板形状を有しており、モ−タハウジング34の内部には、図示されていない。モ−タハウジング34の外側に出ているように配設された、図示されていないロ−タシャフトと共に、モ−タハウジング34の中心軸上で該ロ−タシャフトと一体に回転可能に配設されていると共に、モ−タハウジング34の外側に出ている該ロ−タシャフトには、該ロ−タシャフトと一体的に回転するようにロ−タピニオン36が固着,配設され1番車52と噛合わされている。
【0014】
また、動力伝達用減速歯車26は、ワンウェイクラッチ機構50,遊星歯車機構40,2番車54,3番車56,4番車58を含んで構成されている。ワンウェイクラッチ機構50は、1番車52としての1番歯車52aと遊星歯車機構40の太陽歯車45としての歯車部45を含んで構成されている。1番歯車52aは、負荷駆動用モ−タ30のロ−タピニオン32に噛合されている。そして、太陽歯車45は1番歯車52aと同軸上に相対回転可能に組み付けられており、それら1番歯車52aと太陽歯車45の間に設けられたワンウェイ式クラッチ手段としてのワンウェイクラッチ機構50を介して遊星歯車機構40に回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0015】
かかるワンウェイクランチ機構50は、第2図,第9図及至第10に示されているように、1番歯車52aの上面において、上側ボス部52bを囲むように立設された筒壁部52cの内周面上に、周方向に形成された複数の鋸歯状の内面係止歯52dと太陽歯車45の軸方向下端部において、径方向外方に広がりながら周方向に延びるように一体形成された複数の弾性係止片46によって構成されており、弾性係止片46の内面係止歯52dへの弾性的な係止作用によって、太陽歯車45と1番車52の相対回転が周方向の一方向だけで許容されて、他方向で阻止されることによって、ワンウェイクラッチ機能が発揮されるようになっている。ここにおいて本実施形態では、操作対象32を初期位置から作動位置に駆動変位せしめるときに、太陽歯車45と1番車52の相対回転が阻止されるようになっていると共に、その反対方向では太陽歯車45と1番車52の相対回転が許容され1番車52の回転が遊星歯車機構40に伝わらないようになっている。
【0016】
また、遊星歯車機構40はケ−ス44と遊星歯車部材42とによって構成されている。ケ−ス44は、全体として有底円筒形状とされており、その内周面と外周面にそれぞれ内歯歯車44aと外歯歯車44bが形成されていると共に、ケ−ス44の底壁部には中心軸上に貫通して形成された中心孔44cが形成されている。また、遊星歯車部材42は、互いに軸方向に隔離して対向配置されてキャリアとしての上側及び下側円板48,49を有しており、それら上側及び下側円板48,49が中心軸回りで対向面間に跨って配設された複数本の歯車ピン82によって相互に固定されていると共に、各歯車ピン82にはそれぞれ遊星歯車47が回転可能に装着されている。更に、上側円板48と下側円板49には、中心軸上を貫通して延びる中心孔48aと挿通孔49aが形成されている。そして、遊星歯車部材42がケ−ス44に対して回転可能に嵌め込まれた状態で、ケ−ス44の中心孔44cと下側円板49の挿通孔49aにワンウェイクラッチ機構50の太陽歯車45の円筒部45aが内挿されており、太陽歯車45と遊星歯車47が噛合されていると共に、遊星歯車47と内歯歯車44aが噛合されている。また、遊星歯車部材42の上側円板48の中心軸には、連結歯車84が上方に突き出すようにして一体形成されている。
【0017】
なお、本実施形態では、遊星歯車機構40を構成するケ−ス44の回転が阻止された状態に於いて、負荷駆動用モ−タ30の回転駆動力がワンウェイクラッチ機構50を介してラックレバ−28に伝達されるようになっていると共に、ケ−ス44の回転が許容された状態に於いては、ワンウェイクラッチ機構50を介して伝達された負荷駆動用モ−タ30の回転駆動力がラックレバ−28に伝達されないようになっている。すなわち、ケ−ス44の回転が阻止された状態が、クラッチが繋がった状態とされていると共に、ケ−ス44の回転が許容された状態がクラッチが切れた状態とされているのである。
【0018】
また、2番車54は同軸上に一体形成された2番歯車54aと2番ピニオン54bを有しており、2番歯車54aは連結歯車84に噛合されている。また3番車56は、軸方向下側に3番歯車56aを有しており、3番歯車56aは2番ピニオン54bに噛合されている。更に、3番車56の軸方向上端部には4番車58が一体的に組み付けられている。そして、4番車58がラックレバ−28のラック28aと噛合されており、それによって負荷駆動用モ−タ30の駆動力がワンウェイクラッチ機構50,遊星歯車機構40,2〜4番車54,56,58を介してラックレバ−28に伝達されるようになっている。
【0019】
なお、ワンウェイクラッチ機構50及び遊星歯車機構の支軸64,2番車54の支軸66,回転体62の支軸68は、基板24と仕切部材22の間に跨って配設支持されている。また、3番車56は基板24と蓋体18に跨って基板24の挿通孔37aと蓋体18の中心孔18aに回動自在に配設されている。これらの各支軸62,64,68と3番車56は、何れも負荷駆動用モ−タ30の図示されていないロ−タシャフトと平行に延びる状態で互いに平行となるようにハウジング12に固設されている。
【0020】
また、ラックレバ−28は、全長に亘って略一定の短形断面でストレ−トに延びるロット形状を有しており、ハウジング12に於ける上側の領域の中央部分に配設されている。更に、ラックレバ−28の長手方向一方の端部は、ハウジング12の周壁部に貫設された開口部19を通じて外部に突出せしめられており、かかる突出先端部分には、例えば洗濯機の排水弁の如き操作対象32が連結されている。
【0021】
また、ラックレバ−28の長手方向中央部分には、一方の面側、すなわち4番車58が配設された方の面側にラック28aが一体的に形成されており、このラック28aに対して4番車58が噛合されている。これによってワンウェイクラッチ機構50,遊星歯車機構40,2〜4番車54,56,58を介して伝達された負荷駆動用モ−タ30の回転駆動力がラックレバ−28に対して直線的駆動力として、伝達されるようになっている。なお、ラックレバ−28のラック28aが形成された部分は、開口部19を通じて外部に突出せしめられた部分よりも大きな厚さ寸法を有しており、それによってラックレバ−28の開口部19からの抜け落ち防止がなされている。
【0022】
また、ハウジング12の上側の領域には、負荷駆動用モ−タ30への給電を制御するためのスイッチ機構90が設けられている。このスイッチ機構90は、4番車58と一体的に回転せしめられるカム部材92が配設されている。そして、カム部材92の周囲にはスイッチ94が配設されている。このスイッチ94は、可動接点板95と固定接点板96によって構成されている。可動接点板95,屈曲部95aは、カム部材92の外周面92aに摺接されるようになっている。そして、操作対象32が初期位置にある状態では、可動接点板95はカム部材92の大径部92bに当接せしめられており、スイッチ94はON状態とされている。そして、操作対象18が作動位置まで駆動変位せしめられると、可動接点板95はカム部材92の小径部92cに入り込み、スイッチ94はOFF状態となる。
【0023】
また、本実施形態では、可動接点板95は給電端子97に接続されていると共に、固定接点板96は負荷駆動用モ−タ30の一方の給電端子98へ接続されている。更にまた、負荷駆動用モ−タ30の他方の給電端子は、給電端子99に接続されている。それ故、上述の如く操作対象の位置に応じて、スイッチ94を機械的にON/OFFすることにより、負荷駆動用モ−タ30への給電をON/OFF制御することが出来るのである。
【0024】
また、ハウジング12の下側の領域には、調達機構100が配設されている。この調達機構100は調達歯車102を有しており、かかる調速歯車102は遊星歯車機構40を構成するケ−ス44の外周面に形成された外歯歯車44bに噛合されていると共に、調達歯車102の軸方向上端部には、支持板104が一体形成されている。この支持板104には、周上の複数箇所(本実施形態では2箇所)に於いて、軸方向上方に向かって突出す支持ピン106が固設されており、これらの各支持ピン106に対して摺動材108が外挿されて取り付けられている。かかる摺動材108は、全体として略三日月及至円弧形のブロック形状を有しており、その周方向一方の端部に貫設された孔110において支持ピン106に外挿されることにより、支持ピン106回りに回動可能に組み付けられている。そして各摺動材108は、支持板104が中心軸回りに回転せしめられた際に、支持ピン106回りで遠心力によって径方向外方に広がるようになっている。なお摺動材108の外周面は、周方向に湾曲した摺接面とされており、遠心力によって径方向に広がった際に、仕切部材22に一体的に形成された円筒状の摺動筒部112の内周面に形成された摺動面114に摺接されるようになっており、操作対象が作動位置から初期位置に返戻りする際のスピ−ドを調整することが出来るのである。また、支持板104の下面には、係止片116が一体形成されている。
【0025】
更にハウジング12の下側の領域には、電磁石70が配設されている。この電磁石70の給電端子97,99に給電されるとコイル72に通電され、吸着片74は鉄芯76に電磁的に吸着される状態となる。
【0026】
より詳細には、電磁石70は基板24と仕切部材22の間に配設されており、周知の構造のものである。すなわち、鉄芯76,ヨ−ク78でコイル72はボビン86に巻き回してある。吸着片74は、上記ヨ−ク78を以って構成され支持体によってその元部74aを支持されて、第6図に示される吸着位置と第6図に示される開放位置との間の移動が自在となっている。また、吸着片74には、吸着片74を吸着位置から開放位置に変位移動せしめる開放バネ88が付設されている。更に、吸着片74の一方向端部には操作体118が一体形成されている。操作体118は、吸着片74と一体に作動し第6図に示される接続位置と第7図に示される切断位置との間を移動するようになっている。
【0027】
ここに於いて、本実施形態ではギャ−ドモ−タ10に電源150が接続された際に、給電端子97,99から電磁石70のコイル72にも給電されるようになっており、それによって吸着片74が鉄芯76に電磁的に吸着されるため、吸着片74の一方向端部に一体形成されている操作体118は、接続位置に変位移動することにより、調速歯車102に設けられた係止片116に係止することにより、調速歯車102の回転が阻止されることとなり、調速歯車102と噛合されている外歯歯車44bと有するケ−ス44の回転を阻止することが出来る。それによって、クラッチが繋がった状態となって負荷駆動用モ−タ30の回転力を、ワンウェイクラッチ機構50,遊星歯車機構40,2〜4番車54,5658を介してラックレバ−28に伝達することが可能となり、操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位することが出来るのである。
【0028】
また操作対象が作動位置まで駆動変位せしめられると、可動接点板95の屈曲部95aがカム部材70の小径部に入り込み、それによって第4図に示されているようにスイッチ74がOFF状態となる。なお、かかる状態においては、ギャ−ドモ−タ10の給電端子には給電がされている。
このような状態においては、負荷駆動用モ−タ30に給電されないことから、操作対象はそれ自身が有する復帰力によって初期位置に復帰しようとするが、電磁石70に給電されていることから、操作体118を調速歯車102の係止片116に係止した状態に維持することが出来る。その結果、クラッチが繋がった状態を維持することが可能となり負荷駆動用モ−タ30の磁力によるロ−タ位置決め力(ディテントトルク)が、ワンウェイクラッチ機構50,遊星歯車機構40を介してラックレバ−28に及ぼされることとなり、操作対象32の初期位置への返戻り作動を阻止することが出来るのである。
【0029】
そして所定の時間が経過した後、電源150から給電端子97,99への給電が給電されない状態となり、開放バネ88の復帰力に抗して鉄芯76に吸着していた吸着片74が開放バネ88の復帰力によって、吸着位置から開放位置に変位移動せしめる。更に吸着片74と一体形成されている操作体118は、吸着片74と一体に作動して作動位置から切断位置に変位移動せしめることによって、調速歯車102の係止部116に当接していない状態となり、調速歯車102の回転が許容されて、調速歯車102に噛合された外歯歯車44bを有するケ−ス44の回転も許容されるようになっている。その結果クラッチが切れた状態となり、負荷駆動用モ−タ30の磁力によるロ−タ位置決め力(ディテントトルク)がラックレバ−28に伝達されなくなり、操作対象がそれ自身が有する復帰力により作動位置から初期位置に返戻作動するようになっている。なお、操作対象32の作動位置から初期位置への返戻作動時には4番車58,3番車56,2番車54及び遊星歯車機構40を構成する遊星歯車部材42に設けられた連結歯車84が逆方向に回転せしめられるが、ケ−ス44の回転が許容されていることから太陽歯車45は、逆方向に回転しないようになっていると共に、ケ−ス44の回転が調達歯車102に伝達されて、調速歯車102が回転するようになっている。そして、調速歯車102が回転することによって、調速歯車102と一体形成された支持板104が回転せしめられて、各摺動材108が支持ピン106回りで遠心力によって径方向外方に広がるようになっており、それによって仕切部材22に一体形成された摺動筒部112の摺動面114に摺接されて操作対象の返戻作動時のスピ−ドを調節することが出来るようになっている。
【0030】
更に本実施形態では、負荷駆動用モ−タ30と遊星歯車機構40の伝達経路の間にワンウェイクラッチ機構50が配設されており、操作対象を初期位置から作動位置に変位駆動せしめるためギャ−ドモ−タ10に電源150が接続された際、給電端子97,99に誤って高電位(+電位)と低電位(−電位)を給電した時に、負荷駆動用モ−タ30のロ−タの回転方向は、逆回転方向の回転となりロ−タピニオン32,ワンウェイクラッチ機構50,遊星歯車機構40,2〜4番車54,56,58を介し、ラックレバ−16を初期位置から、更に作動位置から初期位置方向に変位駆動せしめることにより、ギャ−ドモ−タ10本体及び操作対象の破損に至らしめる危険が生じる。本実形態では、負荷駆動用モ−タ30のロ−タピニオン32の回転方向が逆回転方向の回転状態の時に、ワンウエイクラッチ機構50を構成する1番車52の内面係止歯52cへの太陽歯車28の複数の弾性係止片46の係止作用によって、1番車52と太陽歯車28の相対回転が許容されることによって、負荷駆動用モ−タ30の回転を遊星歯車機構40へ伝達を遮断して、ラックレバ−28の作動を停止するようになっている。
【0031】
従って、このような構造とされた直流電力によるギャ−ドモ−タ10に於いては、負荷駆動用モ−タ30から出力部材の構成部材であるラックレバ−28の間の動力伝達用減速歯車列にワンウェイクラッチ機構を配設することによって、負荷駆動用モ−タ30の逆回転方向の回転の伝達を遮断するようになっていることから、負荷駆動用モ−タ30の正常回転方向の回転による動力回転伝達によって、操作対象の初期位置から作動位置への駆動変位を確実に行うことが出来るのである。
【0032】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
【0033】
例えば、歯車列の構造や各歯車対の減速比の他,歯車列を構成する歯車の数等、前記述実施形態のものに限定されない。
【0034】
また、ワンウェイクラッチの構成は、前記述実施形態と異なる構成、例えば、第11図に示すコイルの巻き付けによる方法でも可能である。
【0035】
その他一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた形態に於いて、実施され得るものであり、またそのような実施形態が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0036】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたギャ−ドモ−タに於いては、従来の一般的な交流電力(100〜240V 50/60Hz)のギャ−ドモ−タに比して、低電圧(一般的に1.5〜12V)の直流電力駆動のため、負荷駆動用モ−タ,クラッチ作動用電磁石の電気的な安全性(特に耐トラッキング性能,絶縁性能)が高くなり、また、50Hz地域と60Hz地域による作動時間が異なる問題を解消し、更に直流駆動モ−タに生じるモ−タ給電端子への高電位(+電位)と低電位(−電位)の給電を逆方向に給電した時に生じるモ−タのロ−タ逆方向回転による出力部材の逆方向への変位移動を動力伝達減速歯車列に配設することにより、遮断して操作対象の初期位置から作動位置への駆動変位を確実に行うことが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【第1図】
本発明の一実施形態としてのギャ−ドモ−タの内部構造を示す図である。
【第2図】
本発明の一実施形態としてのギャ−ドモ−タの一部の断面図である
【第3図】
及至
【第5図】
本発明の一実施形態としての動作説明図である。
【第6図】
本発明の一実施形態としてのクラッチ操作機構の側面図である。
【第7図】
本発明の一実施形態としての吸着片が開放位置にある状態のクラッチ操作機構の側面図である。
【第8図】
本発明の一実施形態としてのクラッチ操作機構の斜視図である。
【第9図】
本発明の一実施形態としてのギャ−ドモ−タの各機構相互の関係を示す略示分解斜視図である。
【第10図】

〔第2図〕

〔第9図〕
に示されたギャ−ドモ−タに採用されているワンウェイクラッチ機構を示す平面図である。
【第11図】
本発明の一実施形態と異なるワンウェイクラッチ機構を示す実施例図である。
【符号の説明】
10 ギャ−ドモ−タ
26 動力伝達用減速歯車列
28 ラックレバ−
30 負荷駆動用モ−タ
40 遊星歯車機構
50 ワンウェイクラッチ機構
70 クラッチ動作用電磁石
100 調速機構
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車列等の減速手段を介して、出力部材を駆動せしめる負荷駆動用モ−タへの給電路上にスイッチを設けると共に、該出力部材の作動位置に応じて、該スイッチをON/OFFせしめて、該負荷駆動用モ−タへの給電を制御することにより、該出力部材に連結される復帰力を持った操作対象を、初期位置から作動位置に駆動変位せしめると共に、該操作対象を該作動位置へ保持せしめ、更に該操作対象の前記復帰力による該作動位置から該初期位置への返戻作動を許容するようにした、直流駆動ギャ−ドモ−タにおいて。
前記述負荷駆動モ−タから前記述出力部材への駆動力伝達経路上に複数のクラッチ手段を設けると共に、前記述複数のクラッチ手段の一方のクラッチ手段を継断する電磁石を設けて、該電磁石の吸着及び開放動作によって、前記述一方のクラッチ手段を継断作動させる切換部と、更に該負荷駆動用モ−タの回転駆動力の該操作対象を初期位置から作動位置に駆動変位せしめる方向への回転駆動力のみを継続するワンウェイ式クラッチ手段を有することを特徴とする直流駆動のギャ−ドモ−タ。
【請求項2】
前記述クラッチ手段の一方のクラッチ手段を、前記述負荷駆動用モ−タの回転駆動力を前記述出力部材への伝達経路上に配設された前記述減速手段の一つとして、遊星歯車機構によって構成して、該遊星歯車機構における太陽歯車を、該負荷駆動用モ−タのロ−タピニオンによって回転駆動せしめ、該遊星歯車機構と同一軸上に配設された、一方向回転駆動伝達クラッチ手段を介して回転せしめると共に、該太陽歯車に噛合された遊星歯車の支軸が固設された、キャリアの中心軸上に出力用の連結歯車を固設し、該遊星歯車が噛合される内歯歯車を有するケ−スの回転を、前記述切換部材によって許容状態と阻止状態に切換えるようにした、請求項1に記載のギャ−ドモ−タ。
【請求項3】
前記述クラッチ手段のもう一方のクラッチ手段を、前記述遊星歯車機構と同一軸上に配設して、前記述負荷駆動用モ−タのロ−タピニオンに噛合された1番車と、該1番車と同一軸上で該1番車に対して相対回転可能に配された、該遊星歯車機構の太陽歯車との間に介在せしめられることにより、該1番車の該太陽歯車に対する中心軸回りの相対回転を、前記述操作対象の初期位置から作動位置に駆動変位方向で阻止せしめる一方、それと反対方向で許容することにより、該負荷駆動用モ−タの反対方向の回転駆動力の該遊星歯車機構への伝達を阻止することを特徴とする請求項1又は2に記載のギャ−ドモ−タ。
【請求項4】
前記述太陽歯車に対し、ねじりコイルスプリングを外挿して接触状態で巻き付けると共に、該ねじりコイルスプリングの一方の端部を前記述1番車に係止して、該1番車が該太陽歯車に対して、前期述操作対象が初期位置から作動位置に駆動変位方向で該ねじりコイルスプリングが太陽歯車の外周面に巻き締められて、前記述負荷駆動用モ−タの回転駆動力が前記述遊星歯車機構へ伝達されることを特徴としたワンウェイクラッチ手段を配設した請求項1及至3の何れか記載のギャ−ドモ−タ。
【請求項5】
前記述負荷駆動用モ−タへの給電用の一対の端子と、前記述複数のクラッチ手段の一方のクラッチ手段の継断操作用前期述電磁石への給電用一対の端子を共通として、更に該負荷駆動用モ−タの給電路上には、前記述出力部材の作動位置に応じ該負荷駆動用モ−タへの給電を制御するスイッチを設けた請求項1及至4の何れかに記載のギャ−ドモ−タ。

【公開番号】特開2012−120417(P2012−120417A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280969(P2010−280969)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000211880)中川電化産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】