説明

ギャップ検出装置

【課題】 プラズマの発生状況が変化しても、精度よくノズルとワーク間のギャップを検出することができるギャップ検出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 中心電極ケーブル4を通る合成信号における周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波する検波部8を設け、その検波部8により検波された周波数f1の成分と周波数f2の成分からノズル5とワーク6間のギャップに対応する検出信号を生成する。これにより、プラズマの発生状況が変化しても、精度よくノズル5とワーク6間のギャップを検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザ加工機用のノズルとワーク間のギャップを検出するギャップ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ加工機用のギャップ検出装置では、被加工物の加工中に、出力不足などが原因で、ノズルとワーク間にプラズマが発生すると、そのプラズマがインピーダンスとして作用してしまうため、正しくノズルとワーク間のギャップを検出することができなくなることがある。
そこで、加工中にプラズマが発生する際に生じる基準範囲値以上の静電容量の変化を検出すると、ノズルとワーク間のギャップの誤検出に伴って、ノズルが被加工物に衝突してしまう事態の発生を防止するため、ノズルとワーク間のギャップを一定時間維持するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献2に開示されているギャップ検出装置では、プラズマが発生している最中でも、ノズルとワーク間のギャップを検出することができるようにするため、センサ電極に存在する電圧を測定し、その測定電圧の実数部と虚数部を決定するようにしている。
なお、特許文献2に開示されているギャップ検出装置では、1つの信号発生器を搭載して、1つの周波数信号を発生し、ノズルに繋がっているケーブルに当該周波数信号を供給するようにしている。この周波数信号の周波数は、プラズマが純粋なオーム抵抗として作用するように選択されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−7976号公報(段落番号[0008]、図1)
【特許文献2】特開2000−234903号公報(段落番号[0010]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のギャップ検出装置は以上のように構成されているので、プラズマが発生している最中でも、ノズルとワーク間のギャップを検出することができる。しかし、ノズルに繋がっているケーブルに供給している周波数信号の周波数成分が1種類だけであるため、プラズマの発生状況が変化すると、ギャップの検出精度が劣化することがある課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、プラズマの発生状況が変化しても、精度よくノズルとワーク間のギャップを検出することができるギャップ検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るギャップ検出装置は、ケーブルを通る合成信号における複数の周波数成分を検波する検波手段を設け、その検波手段により検波された複数の周波数成分からノズルとワーク間のギャップに対応する検出信号を生成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、この発明によれば、ケーブルを通る合成信号における複数の周波数成分を検波する検波手段を設け、その検波手段により検波された複数の周波数成分からノズルとワーク間のギャップに対応する検出信号を生成するように構成したので、プラズマの発生状況が変化しても、精度よくノズルとワーク間のギャップを検出することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるギャップ検出装置を示す構成図であり、図において、ギャップ検出装置1の信号発生部2は計測に必要な信号を生成する処理部であり、信号発生部2は信号発生器2aと信号発生器2bと加算器2cから構成されている。
信号発生部2の信号発生器2aは周波数が共振周波数近傍の信号を発生し(ここでは、説明の便宜上、共振周波数の信号を発生するものとする)、信号発生部2の信号発生器2bは周波数が共振周波数近傍より低い信号を発生する(ここでは、説明の便宜上、共振周波数より低い信号を発生するものとする)。
信号発生部2の加算器2cは信号発生器2aにより発生された周波数f1の信号と信号発生器2bにより発生された周波数f2の信号とを合成し、その合成信号を出力する。
なお、信号発生部2は信号発生手段を構成している。
【0010】
参照抵抗3は一端が信号発生部2と接続されて、他端が中心電極ケーブル4と接続されている。
中心電極ケーブル4はレーザ加工機用のノズル5の先端に繋がっており、信号発生部2から出力された合成信号をレーザ加工機用のノズル5に導いている。
レーザ加工機における加工ヘッド先端のノズル5はセンサ電極として機能し、また、被加工物であるワーク6(ワーク6は回路のGNDと繋がっている)と一緒にコンデンサのような働きをしてギャップ容量Cを生じる。ギャップ容量Cはノズル5とワーク6間の距離に応じて変化する。
なお、被加工物の加工中に、出力不足などが原因で、ノズル5とワーク6間にプラズマが発生すると、そのプラズマがギャップ容量Cと並列に結合されたプラズマインピーダンスとしてシステムに影響を及ぼすことになる。プラズマインピーダンスのうち、容量的な成分はギャップ容量Cと区別できないので、この実施の形態1では、プラズマインピーダンスが主にオーム抵抗として作用する周波数を選択している。プラズマの影響はプラズマ抵抗Rとなり、この影響を排除することを考える。
【0011】
OPアンプ7はバッファーとして機能し、中心電極ケーブル4を通る合成信号に相当する信号を出力する。
検波部8はOPアンプ7の出力信号から周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波し、周波数f1の成分である検波信号K1と、周波数f2の成分である検波信号K2とを出力する。なお、検波部8は検波手段を構成している。
検出信号生成部9は検波部8から出力された検波信号K1と検波信号K2からノズル5とワーク6間のギャップに対応する検出信号を生成する処理を実施する。なお、検出信号生成部9は検出信号生成手段を構成している。
【0012】
図中、L1は中心電極ケーブル4のケーブルインダクタ、Z1は中心電極ケーブル4を被覆しているガード電極ケーブル10と中心電極ケーブル4の間に存在するケーブル間容量、Z2は基板特性、Z3はガード電極ケーブル10のケーブル浮遊容量、CinはOPアンプ7のOPアンプ入力容量である。
【0013】
次に動作について説明する。
信号発生部2の信号発生器2aは、ギャップ容量Cの変化に対してシステムゲインが感度よく変化する周波数f1の信号、即ち、周波数が共振周波数の信号を発生する。
信号発生部2の信号発生器2bは、ノズル5とワーク6間で発生するプラズマによるプラズマ抵抗Rの変化に対してシステムゲインが感度よく変化する周波数f2の信号、即ち、周波数が共振周波数より低い信号を発生する。
信号発生部2の加算器2cは、信号発生器2aから周波数f1の信号を受け、信号発生器2bから周波数f2の信号を受けると、その周波数f1の信号と周波数f2の信号を合成し、その合成信号Vinを出力する。
【0014】
信号発生部2から出力された合成信号Vinは、参照抵抗3を介して中心電極ケーブル4に導かれ、中心電極ケーブル4が合成信号Vinをレーザ加工機用のノズル5に導いている。
なお、中心電極ケーブル4を通る合成信号Vinは測定信号として分岐され、その測定信号がOPアンプ7に入力されている。
【0015】
OPアンプ7は、バッファーとして機能し、その測定信号に相当する出力信号Voutを検波部8に出力する。
なお、OPアンプ7の出力信号Voutは、検波部8の手前で分岐され、基板特性Z2を介して、ガード電極ケーブル10に導かれている。
その理由は、OPアンプ7の出力信号Voutが、ギャップ容量C以外の浮遊容量の影響をなるべく受けないようにするためである。
【0016】
検波部8は、OPアンプ7から出力信号Voutを受けると、その出力信号Voutから周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波し、周波数f1の成分である検波信号K1と、周波数f2の成分である検波信号K2とを検出信号生成部9に出力する。
検出信号生成部9は、検波部8から検波信号K1と検波信号K2を受けると、詳細は後述するが、その検波信号K1と検波信号K2からノズル5とワーク6間のギャップに対応する検出信号を生成する。
【0017】
ここで、ギャップ容量Cは数[pF]と小さいため、中心電極ケーブル4は出来る限り、近辺からの浮遊容量の影響を受けないようにする必要がある。
実用的なケーブルの太さを考えた場合、中心電極ケーブル4とガード電極ケーブル10は、どうしてもケーブル間容量Z1が存在してしまう。
しかし、中心電極ケーブル4とガード電極ケーブル10を同電位にすれば、浮遊容量の影響をなくすことができる。
したがって、OPアンプ7は、使用する周波数帯域で位相がずれないものを選定することが重要である。
【0018】
実際の回路を考えた場合、中心電極ケーブル4のケーブルインダクタL1、OPアンプ7のOPアンプ入力容量Cin、ガード電極ケーブル10のケーブル浮遊容量Z3なども考慮する必要がある。これらを考慮することにより、より実際の現象に近いモデルとなる。
信号発生部2より出力された合成信号VinからOPアンプ7の出力信号Voutまでの伝達関数H(S)は、以下の式で表される。
【0019】
【数1】

AはOPアンプ7の伝達関数、sはラプラス演算子である。以下、式(1)で表される伝達関数H(S)の大きさをシステムゲインと称する。
【0020】
ここで、図2はギャップ容量Cを変化させたときの周波数とシステムゲインの関係を示すボード線図であり、図3はプラズマ抵抗Rを変化させたときの周波数とシステムゲインの関係を示すボード線図である。
また、図4はギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rを格子状に変化させたときの周波数f1=1[MHz]におけるシステムゲインと周波数f2=20[kHz]におけるシステムゲインの関係を示す2周波数解析グラフ図であり、図4には等C曲線と等R曲線がプロットされている。
以下、図2から図4を参照して、ギャップの検出原理を説明する。
【0021】
図2及び図3は式(1)の伝達関数H(S)のボード線図をプロットしたものであるが、ギャップ容量Cの変化によるシステムゲインの変化は、図2に示すように、共振周波数近傍で最も大きく表れる。
図2の例では、共振周波数が約1[MHz]であるが、共振周波数は、主に参照抵抗3を設計することで変えることが可能である。
図1の例では、ギャップ容量Cを検出する信号の周波数を1[MHz]に設計して、参照抵抗3をRref=22[kΩ]に設計している。この場合、信号発生部2の信号発生器2aは、周波数f1=1[MHz]の信号を発生する。
【0022】
一方、プラズマ抵抗Rの変化によるシステムゲインの変化は、図3に示すように、共振点よりも低い周波数で顕著に表れる。
したがって、プラズマ抵抗Rの大きさを求めるには、共振点よりも低い周波数f2を用いるのがよい。
即ち、レーザ加工機用のノズル5とワーク6間のギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rをそれぞれ精度よく求めるには、それぞれの変化によってシステムゲインが変わる別々の周波数f1,f2を用いるのがよい。
図1の例では、プラズマ抵抗Rを検出する信号の周波数を20[kHz]に設計している。即ち、信号発生部2の信号発生器2bは周波数f2=20[kHz]の信号を発生するようにしている。
【0023】
図3を詳しく見ると、周波数1[MHz]においても、プラズマ抵抗Rの影響を受けてシステムゲインが変化していることがわかる。
また、どの周波数においても、システムゲインがギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rの両方の影響を受けるので、2つを完全に分離することができない。
そこで、2つの周波数f1,f2におけるシステムゲインからギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rを検出することを考える。
【0024】
OPアンプ7の出力信号Voutは、上述したように、検波部8に入力され、検波部8がその出力信号Voutから周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波する。
この周波数f1の成分の大きさと周波数f2の成分の大きさは、信号発生部2から出力される合成信号Vinの大きさを“1”にしたときの周波数f1及び周波数f2におけるシステムゲインに相当している。
【0025】
検出信号生成部9は、図4に示すような2周波数解析を行う機能を有しており、検波部8から出力された検波信号K1と検波信号K2からノズル5とワーク6間のギャップに対応する検出信号を生成する。即ち、プラズマの影響を排除するため、プラズマが発生していない状態(プラズマ抵抗R=∞[Ω](実用的には十分に大きな値)と仮定した場合)の周波数f1の成分の検出信号を生成する。
具体的には、プラズマが発生していない状態(図4の例では、周波数f2におけるゲインが“1.0”)では、ギャップに対応する検出信号として、周波数f1の成分である検波信号K1(図4の例では、ゲインが約0.42〜1.0の範囲の信号A)をそのまま出力すればよい。しかし、プラズマが発生している状態(図4の例では、周波数f2におけるゲインが“1.0”未満)では、以下のように、検波信号K1の信号を補正し、その補正信号をギャップに対応する検出信号として出力する。
例えば、周波数f2におけるゲインが“0.4”で、周波数f1におけるゲインが“0.4”である場合、ギャップ容量Cが7pFの等C曲線上に存在するので、プラズマが発生していない状態、即ち、周波数f2におけるゲインが“1.0”のところまで、7pFの等C曲線上を移動し、7pFの等C曲線と信号Aの交点に位置する値(図4の例では、約0.52の値)をギャップに対応する検出信号として出力する。
【0026】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、中心電極ケーブル4を通る合成信号における周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波する検波部8を設け、その検波部8により検波された周波数f1の成分と周波数f2の成分からノズル5とワーク6間のギャップに対応する検出信号を生成するように構成したので、プラズマの発生状況が変化しても、精度よくノズル5とワーク6間のギャップを検出することができる効果を奏する。
【0027】
また、この実施の形態1によれば、周波数が共振周波数の信号と、周波数が共振周波数より低い信号とを発生して、それらの合成信号をノズル5に供給するように構成したので、ギャップ変動やプラズマ変動に対する感度を高めることができる効果を奏する。
【0028】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2によるギャップ検出装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
信号発生部2の信号発生器2dは中心電極ケーブル4の断線時に有意差が生じる周波数f3の信号を発生する。
信号発生部2の加算器2eは信号発生器2bにより発生された周波数f2の信号と信号発生器2dにより発生された周波数f3の信号とを合成し、その合成信号を出力する。
信号発生部2の加算器2fは信号発生器2aにより発生された周波数f1の信号と加算器2eの出力信号とを合成し、その合成信号を出力する。
【0029】
断線検知用抵抗11はガード電極ケーブル10とグランド間に接続されている抵抗である。
検波部12はOPアンプ7の出力信号から周波数f1の成分と周波数f2の成分と周波数f3の成分を検波し、周波数f1の成分である検波信号K1と、周波数f2の成分である検波信号K2と、周波数f3の成分である検波信号K3とを出力する。なお、検波部12は検波手段を構成している。
断線検知部13は検波部12により検波された周波数f3の成分である検波信号K3から中心電極ケーブル4の断線の有無を判定する処理を実施する。
なお、断線検知用抵抗11及び断線検知部13から断線検知手段が構成されている。
【0030】
次に動作について説明する。
図6は中心電極ケーブル4が断線していない通常時と中心電極ケーブル4が断線しているケーブル断線時におけるシステムのボード線図である。
以下、図6を参照して、断線検知の原理について説明する。
【0031】
中心電極ケーブル4が断線しているケーブル断線時は、中心電極ケーブル4とガード電極ケーブル10が互いに影響を受けない状態にあるので、ケーブル間容量インピーダンスZ1を無限大(実用的に大きな値)にすることで模擬することができる。
図5の例では、ガード電極ケーブル10とグランド間に断線検知用抵抗11を挿入しているが、断線検知用抵抗11を挿入すると、低い周波数領域において、通常時と断線時においてシステムゲインに差が生じる。
図5の例では、断線検知用抵抗11の抵抗値R3を1[kΩ]に設計している。図6のボード線図から明らかなように、1[kHz]以下の周波数領域では、通常時のシステムゲインが約0.8であるの対して、ケーブル断線時のシステムゲインが約1である。
【0032】
一方、信号発生部2は、断線時に有意差が生じる周波数f3=200[Hz]の信号を発生する信号発生器2dを実装しており、周波数f1の信号と周波数f2の信号と周波数f3の信号との合成信号Vinを出力するようにしている。
検波部12は、図1の検波部8と同様に、OPアンプ7の出力信号Voutから周波数f1の成分と周波数f2の成分を検波するとともに、周波数f3の成分を検波し、周波数f3の成分である検波信号K3を断線検知部13に出力する。
なお、信号発生部2から出力される合成信号Vinの大きさが“1”である場合、検波部12により検知される周波数f3の成分の大きさは、周波数f3におけるシステムゲインに相当する。
【0033】
断線検知部13は、検波部12から周波数f3の成分である検波信号K3を受けると、その検波信号K3と予め設定された閾値(例えば、“0.9”)を比較し、その検波信号K3が閾値より小さい場合、中心電極ケーブル4が断線していないと判断して、中心電極ケーブル4が断線していない旨を示す断線検知信号(例えば、Lレベルの信号)を出力する。
一方、その検波信号K3が閾値より大きい場合、中心電極ケーブル4が断線していると判断して、中心電極ケーブル4が断線している旨を示す断線検知信号(例えば、Hレベルの信号)を出力する。
【0034】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、中心電極ケーブル4を被覆しているガード電極ケーブル10とグランド間に断線検知用抵抗11を挿入し、検波部12により検波された周波数f3の成分から中心電極ケーブル4の断線の有無を判定するように構成したので、中心電極ケーブル4が断線しているとき、誤ったギャップ検出を防止することができる効果を奏する。
【0035】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3によるギャップ検出装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
ギャップ検出部14は検出信号生成部9により生成された検出信号を線形補正して、ノズルとワーク間のギャップを検出する処理を実施する。なお、ギャップ検出部14はギャップ検出手段を構成している。
図8は検出信号生成部9により生成された検出信号と測定対象であるギャップとの対応関係を示す説明図である。
【0036】
次に動作について説明する。
図8に示すように、検出信号生成部9により生成された検出信号とギャップの関係が分かっていれば、その検出信号からギャップを求めることができる。
検出信号生成部9により生成された検出信号がx、測定対象のギャップがyであれば、その検出信号xとギャップyの関係は、以下に示すような指数近似式がよく当てはまる。
y=k1exp(k2x) (3)
ただし、k1,k2は所定の定数である。
【0037】
したがって、ギャップ検出部14は、検出信号生成部9から検出信号xを受けると、式(3)に検出信号xを代入して、その検出信号xを線形補正することにより、ノズル5とワーク6間のギャップyを求める。
検出信号生成部9により生成された検出信号とギャップの関係をデータとして記憶、あるいは、検出信号生成部9により生成された検出信号を式(3)の近似式に代入してギャップyを求めるギャップ検出部14を設けることにより、加工機側において、ギャップyを求めるための補正計算を簡略したり、省略したりすることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施の形態1によるギャップ検出装置を示す構成図である。
【図2】ギャップ容量Cを変化させたときの周波数とシステムゲインの関係を示すボード線図である。
【図3】プラズマ抵抗Rを変化させたときの周波数とシステムゲインの関係を示すボード線図である。
【図4】ギャップ容量Cとプラズマ抵抗Rを格子状に変化させたときの周波数f1=1[MHz]におけるシステムゲインと周波数f2=20[kHz]におけるシステムゲインの関係を示す2周波数解析グラフ図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるギャップ検出装置を示す構成図である。
【図6】中心電極ケーブルが断線していない通常時と中心電極ケーブルが断線しているケーブル断線時におけるシステムのボード線図である。
【図7】この発明の実施の形態3によるギャップ検出装置を示す構成図である。
【図8】検出信号生成部により生成された検出信号と測定対象であるギャップとの対応関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ギャップ検出装置、2 信号発生部(信号発生手段)、2a 信号発生器、2b 信号発生器、2c 加算器、2d 信号発生器、2e 加算器、2f 加算器、3 参照抵抗、4 中心電極ケーブル、5 ノズル、6 ワーク、7 OPアンプ、8 検波部(検波手段)、9 検出信号生成部(検出信号生成手段)、10 ガード電極ケーブル、11 断線検知用抵抗(断線検知手段)、12 検波部(検波手段)、13 断線検知部(断線検知手段)、14 ギャップ検出部(ギャップ検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に周波数が異なる複数の信号を発生して、その複数の信号を合成し、その合成信号をレーザ加工機用のノズルの先端に繋がっているケーブルに供給する信号発生手段と、上記ケーブルを通る合成信号における複数の周波数成分を検波する検波手段と、上記検波手段により検波された複数の周波数成分から上記ノズルとワーク間のギャップに対応する検出信号を生成する検出信号生成手段とを備えたギャップ検出装置。
【請求項2】
信号発生手段は、周波数が共振周波数の信号と、周波数が共振周波数より低い信号とを発生することを特徴とする請求項1記載のギャップ検出装置。
【請求項3】
ケーブルを被覆しているガード電極ケーブルとグランド間に断線検知用抵抗を挿入し、検波手段により検波された所定の周波数成分から上記ケーブルの断線の有無を判定する断線検知手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のギャップ検出装置。
【請求項4】
検出信号生成手段により生成された検出信号を線形補正して、ノズルとワーク間のギャップを検出するギャップ検出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のギャップ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−343236(P2006−343236A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169853(P2005−169853)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】