説明

クッションパッド及びその製造方法

【課題】上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を有し、且つ着座時のフィット感の優れたクッションパッドを提供する。
【解決手段】車両用シートに用いられるウレタンフォーム製のクッションパッドは、クッションパッドを第1層から第2n+1層(nは1〜5の整数)に等分に区分したときの上面層2である第1層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)が0.065〜0.144であるとともに、コア層3である第n+1層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδn+1)が0.052〜0.102である。そして、上面層2の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)に対する、コア層3の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδn+1)の比率が0.7〜0.8である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両用シートに用いられるウレタンフォーム製のクッションパッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両に設置されるシートは、例えば乗員の下半身を支持するシートクッションと、シートクッションの後部側に設けられて乗員の上半身を支持するシートバックと、シートバックの上部に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレストとから構成されている。このうちシートクッションは、一般にウレタンフォーム製のクッションパッドを皮革等の表皮や布地にて被覆して形成される。
【0003】
従来、車両用シートに用いられるウレタンフォーム製のクッションパッドとしては、乗員が着座してクッションパッドの上面に荷重が付加した際に、上面側の部位である上面層よりも中央側の部位であるコア層が積極的にたわむ特性を有することが好ましいとされている。こうした特性を有するクッションパッドを用いた車両用シートは、座り心地や支持特性に優れたものとなる。具体的には、上面層がたわみ難くなっていることから、着座した乗員の臀部を上面層にて好適に支持することができる。さらに、コア層が十分な弾力性をもってたわむことによって、走行時の車体振動や横Gを吸収して乗員の姿勢を安定化させることができる。したがって、乗員はシートクッション上に安定して着座することができるとともに、姿勢が崩れ難くなることから長時間着座していても疲労し難くなる。そして、こうした作用が得られる結果、車両用シートの座り心地や支持特性が向上する。
【0004】
上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を有するクッションパッドとしては、例えば、特許文献1及び2のクッションパッドが知られている。特許文献1のクッションパッドは、物性の異なる複数のウレタンフォームを組み合わせることにより、上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を付与している。一方、特許文献2のクッションパッドは、単一の発泡材料により一体に成形され、上面層の密度とコア層の密度との比を所定の範囲に設定するとともに、上面層の剛性をコア層の剛性よりも高く設定することにより、上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を付与している。また、特許文献2のクッションパッドは単一の発泡材料により一体に成形されるものであることから、複数のウレタンフォームを組み合わせてなる特許文献1のクッションパッドと比較して製造が容易であるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−051918号公報
【特許文献2】特開2002−065409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2のクッションパッドは上面層の剛性が高く設定されていることから、乗員が着座した際に、上面層が乗員の臀部に追従して変形することなく、フラットな状態を維持したままとなりやすい。そのため、乗員の臀部と上面層との接触面を好適に確保することができず、乗員の臀部に対するフィット感が十分に得られない場合があった。
【0007】
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、上面層及びコア層の粘弾性特性(損失正接tanδ)を特定の値に設定した場合に、上面層に対してコア層が積極的にたわむ特性を有
するクッションパッドが得られるとともに、そのクッションパッドがフィット感に優れたものとなることを見出したことに基づいてなされたものである。本発明の目的は、上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を有し、且つ着座時のフィット感の優れたクッションパッド及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために請求項1に記載のクッションパッドは、車両用シートに用いられるウレタンフォーム製のクッションパッドであって、単一の発泡材料により一体に成形されてなり、前記クッションパッドを第1層から第2n+1層(nは1〜5の整数)に等分に区分したときの上面層である第1層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)が0.065〜0.144であるとともに、コア層である第n+1層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδn+1)が0.052〜0.102であり、前記上面層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)に対する、前記コア層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδn+1)の比率が0.7〜0.8であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のクッションパッドは、請求項1に記載の発明において、前記クッションパッド全体を厚み方向に40〜50%圧縮した場合における、前記上面層のたわみ率(T)に対する前記コア層のたわみ率(Tn+1)の比率が1.1〜2.5であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のクッションパッドは、請求項2に記載の発明において、前記上面層から前記コア層に向かって、各層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)が漸次減少するとともに、各層のたわみ率が漸次増加することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のクッションパッドは、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ポリオール類及びポリイソシアネート類を含有し、前記ポリオール類100質量部に対して1.8〜4.0質量部の水を含有する前記発泡材料を反応させ、成形型内にて発泡及び硬化させて得られたものであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のクッションパッドは、請求項4に記載の発明において、前記ポリオール類には、数平均分子量が3500〜8000である高分子量ポリオールと、数平均分子量が500〜3000であり、官能基数が2〜4である低分子量ポリオールとが含有されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のクッションパッドの製造方法は、車両用シートに用いられるウレタンフォーム製のクッションパッドの製造方法であって、ポリオール類及びポリイソシアネート類を含有し、前記ポリオール類100質量部に対して1.8〜4.0質量部の水を含有する発泡材料を反応させて成形型内にて発泡及び硬化させる工程を含み、前記ポリオール類として、数平均分子量が3500〜8000である高分子量ポリオールと、数平均分子量が500〜3000であって官能基数が2〜4である低分子量ポリオールとを併用することを特徴とする。
【0014】
請求項1〜請求項5に記載の発明によれば、上面層の粘弾性特性(tanδ)とコア層の粘弾性特性(tanδn+1)とが特定の関係を満たすように設定されている。これにより、クッションパッドには、上面側から厚み方向に荷重が付加した際に、上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性が付与される。よって、クッションパッドの座り心地や支持特性が良好となる。
【0015】
また、上面層はその粘弾性特性(tanδ)が0.065〜0.144であり、粘弾性における粘性比率が高く設定されていることから、上面層は所謂、低反発ウレタンフォームの状態となっている。したがって、上面層は乗員の臀部に追従した形状に変形しやすくなって、乗員の臀部と上面層との接触面を好適に確保することができる。これにより、本発明のクッションパッドは着座時のフィット感に優れたものとなる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜請求項5に記載のクッションパッドを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クッションパッドに対して上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を付与することができるとともに、着座時のフィット感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態のクッションパッドの断面図。
【図2】(a)は、圧縮前の状態のクッションパッドの側面図、(b)は圧縮状態のクッションパッドの側面図。
【図3】クッションパッドの上面層及びコア層の粘弾性特性(tanδ)の測定結果を示すグラフ。(a)は実施例5の測定結果を示し、(b)は実施例8の測定結果を示し、(c)は比較例1の測定結果を示す。
【図4】クッションパッドの各層の圧縮状態のたわみ率を示すグラフ。◆及び(a)は実施例5を示し、■及び(b)は実施例8を示し、▲及び(c)は比較例1を示す。
【図5】クッションパッドの圧縮状態を写した画像。(a)は実施例5を示し、(b)は実施例8を示し、(c)は比較例1を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のクッションパッドの一実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態のクッションパッド1は、車両用シートの座部となるシートクッションの内部を構成するウレタンフォーム製の部材であって、シートクッションと略同一の外形形状に成形されている。また、クッションパッド1は単一の樹脂材料により一体に形成されている。
【0020】
本明細書においては、クッションパッド1を2n+1層(nは1〜5の整数)に等分に区分したときの最上部に位置する層を第1層とし、該第1層が上面層2となる。同様に、同中央部に位置する層を第n+1層とし、該第n+1層がコア層3となる。一例として、クッションパッド1を7層に区分した状態(n=3)を図1に示す。この場合、最上部に位置する第1層が上面層2となるとともに、中央部に位置する第4層(3+1層)がコア層3となる。クッションパッド1は、上面層2及びコア層3の粘弾性特性(tanδ)が特定の値となるように設定されている。
【0021】
ここで、粘弾性特性(tanδ)とは、弾性に相当する貯蔵弾性率(G’)と粘性に相当する損失弾性率(G’’)との比(G’’/G’)である損失正接tanδを示し、弾性及び粘性を併せもつ高分子の力学的特性を示す数値である。たとえば、ウレタンフォームにおいては、粘弾性特性(tanδ)が大きいほど粘性比率が高くなって低反発ウレタンフォームとなるとともに、粘弾性特性(tanδ)が小さいほど弾性比率が高くなって高反発ウレタンフォームとなる。
【0022】
クッションパッド1では、上面層2の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)が0.065〜0.144の範囲、好ましくは0.075〜0.144の範囲、より好ましくは0.110〜0.144の範囲に設定されている。そして、コア層3の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδn+1)が0.052〜0.102の範囲、好ましくは0.060〜0.102の範囲、より好ましくは0.082〜0.102の範囲に設定されている。なお、以下では、「温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性」を単に「粘弾性特性」と記載する。
【0023】
さらに、上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が、0.70〜0.80の範囲、より好ましくは0.70〜0.79の範囲、さらに好ましくは0.70〜0.76の範囲となるように設定されている。さらに、上面層2からコア層3に向かって、各層の粘弾性特性(tanδ)が漸次減少するように設定されていることが好ましい。上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が0.70未満であると、反発性の低すぎるクッションパッドとなってしまい、クッション性の低下や底づきやすくなるおそれがある。また、同比率が0.80を超えると、走行時の振動を十分に吸収することができず、長時間着座した際に疲労しやすいクッションパッドとなるおそれがある。
【0024】
本実施形態のクッションパッド1は、上面層2及びコア層3の粘弾性特性(tanδ)を上記の範囲に設定したこと、特に上面層2及びコア層3の粘弾性特性(tanδ)に大きく差を設けたことにより、上面層2よりもコア層3が積極的にたわむ特性が付与される。とくに、圧縮速度の速い加重が作用した場合に、クッションパッド1は、粘弾性特性の大きい(弾性の小さい)上面層2がたわみ難く、粘弾性特性の小さい(弾性の大きい)コア層3がたわみやすくなる。そのため、クッションパッド1に対して瞬間的に加重が作用する、車両の走行中における車体振動時などにおいて、本実施形態のクッションパッド1は乗員の臀部を好適に支持することができる。
【0025】
また、クッションパッド1は、上面層2及びコア層3の硬度が特定の値となるように設定されていることが好ましい。具体的には、ASKER社製F型硬度計を用いて測定したコア層3の硬度が35〜70の範囲に設定されることが好ましい。そして、上面層2の硬度に対するコア層3の硬度の比率が0.50〜0.85の範囲に設定されていることが好ましく、0.70〜0.80の範囲に設定されていることがさらに好ましい。上面層2及びコア層3の硬度を上記の範囲に設定した場合には、クッションパッド1の上面層2よりもコア層3が積極的にたわむ特性がより顕著なものとなる。
【0026】
図2(a)、(b)は、図1に示すクッションパッド1について圧縮荷重を作用させる圧縮前の状態、及び圧縮荷重を作用させた圧縮状態を模式的に示している。図2(a)に示すように、圧縮荷重を作用させる圧縮前の状態では、上面層2の厚み2a及びコア層3の厚み3aを含め、各層の厚みは全て等しい。そして、図2(b)に示すように、圧縮荷重を作用させた圧縮状態では、上面層2の厚み2bに対してコア層3の厚み3bが小さくなる。つまり、上面層2のたわみ率Tよりもコア層3のたわみ率Tn+1の方が大きくなる。なお、上記たわみ率Tは下記式により算出することができる。
「たわみ率T(%)」=(「圧縮前の各層の厚み」−「圧縮状態の各層の厚み」)/「圧縮前の各層の厚み」×100
ここで、上面層2のたわみ率Tに対するコア層3のたわみ率Tn+1の比率は、クッションパッド1を厚み方向に40〜50%((「圧縮前のクッションパッド1の厚み」−「圧縮状態のクッションパッド1の厚み」)/「圧縮前のクッションパッド1の厚み」×100から求められる数値)圧縮させた状態において、好ましくは1.1〜2.5の範囲であり、より好ましくは1.3〜2.3の範囲であり、さらに好ましくは1.5〜2.2の範囲である。この場合、クッションパッド1の座り心地の向上効果及び支持特性の向上効果を確実に得ることができる。また、上面層2からコア層3に向かって、各層のたわみ率Tが順に漸次増加するように設定されていることが好ましい。この場合、座り心地の向上効果及び支持特性の向上効果をより高めることができる。
【0027】
次に、本実施形態のクッションパッド1の製造方法について説明する。
クッションパッド1は、例えばポリオール類、ポリイソシアネート類、及び水を含有する発泡材料を反応させ、これを所望のクッションパッド形状のキャビティを有する成形型内にて発泡及び硬化させることにより製造することができる。
【0028】
発泡材料に含有されるポリオール類には、例えばポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの変性体、及びグリセリンにアルキレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、例え
ばアジピン酸やフタル酸等のポリカルボン酸をエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。ポリオール類は、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の数や水酸基価を変えることができる。
【0029】
なお、これらのポリオール類の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。とくに、ポリオール類として、高分子量ポリオールと、官能基数が2〜4である低分子量ポリオールとを併用することが好ましい(本明細書における「分子量」とは、数平均分子量を意味する。)。高分子量ポリオールの分子量は好ましくは3500〜8000であり、より好ましくは5000〜7000である。低分子量ポリオールの分子量は好ましくは500〜3000であり、より好ましくは1000〜2000である。高分子量ポリオールと低分子量ポリオールとを併用する場合、低分子量ポリオールの含有量に対する高分子量ポリオールの含有量の比率が、4〜24の範囲であることが好ましく、5〜14の範囲であることがより好ましい。また、ポリオール類100質量部当たり、高分子量ポリオールが88〜96質量部含有されるとともに、低分子量ポリオールが4〜12質量部含有されることが好ましい。なお、ポリオール類として、上記高分子量ポリオール及び上記低分子量ポリオールに加えて、さらに他のポリオールが含有されていてもよい。
【0030】
上で述べたとおり、粘弾性特性(tanδ)は、弾性に相当する貯蔵弾性率(G’)と粘性に相当する損失弾性率(G’’)とによって決定される(G’’)/(G’)=損失正接tanδを示す。ウレタンフォームにおいては、発泡原料に含有されるポリオール類の分子量を調整することによって粘性に相当する損失弾性率が変化し、その結果、粘弾性特性(tanδ)が変化する。とくに、ポリオール類として、上記高分子量ポリオールと上記低分子量ポリオールとを併用した場合、上記低分子量ポリオールの比率が高くなるにしたがって、得られるクッションパッド1の上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が低下するという傾向がある。この傾向を利用して上記高分子量ポリオールと上記低分子量ポリオールとの比率を調整することによって、クッションパッド1に対して所望の粘弾性特性を付与することができる。
【0031】
発泡材料に含有されるポリイソシアネート類は、イソシアネート基を複数有する化合物である。ポリイソシアネート類としては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられる。なお、これらのポリイソシアネート類の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0032】
なお、ポリイソシアネート類のイソシアネートインデックスは、例えば85〜130の範囲に設定される。イソシアネートインデックスは、ポリオール類、発泡剤としての水等の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。つまり、イソシアネートインデックスが100を超えるということは、ポリイソシアネート類のイソシアネート基がポリオール類等の活性水素基よりも多いことを意味する。
【0033】
発泡材料に含有される水は主に、ポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体とする発泡剤として機能する。ここで、発泡材料中における水の含有量が増加するにしたがって、得られるクッションパッド1の上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が低下するという傾向がある。この傾向を利用して発泡材料中における水の含有量を調整することによって、クッションパッド1に対して所望の粘弾性特性を付与することができる。そして、所望の粘弾性特性を有するクッションパッド1を得るという観点から、発泡材料中における水の含有量は、ポリオール類100質量部に対して1.8〜4.0質量部であり、好ましくは2.1〜3.7質量部であり、より好ましくは2.4〜3.4質量部である。なお、発泡材料中における水の含有量が、ポリオール類100質量部に対して2.1質量部未満であると、水の影響のみではクッションパッド1に対して十分な粘弾性特性を付与できない場合があるが、この場合には、ポリオール類100質量部当たり10〜12質量部の低分子量ポリオールを含有させればよい。
【0034】
また、必要に応じて発泡材料は上述の成分以外の成分、例えば触媒、他の発泡剤、整泡剤、架橋剤、着色剤、及び難燃剤を含有してもよい。触媒はポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応(ウレタン化反応)やポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応等を促進する。そのため、発泡材料は好ましくは触媒を含有する。触媒とし
ては、例えばアミン触媒及び金属触媒が挙げられる。アミン触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン等の錫触媒が挙げられる。金属触媒としては、例えばフェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属触媒が挙げられる。
【0035】
他の発泡剤としては、例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、及び炭酸ガスが挙げられる。整泡剤は発泡剤によって行われる発泡を円滑に進行させ、ウレタンフォームのセルの大きさと均一性を調整する。そのため、発泡材料は好ましくは整泡剤を含有する。整泡剤としては、例えばシリコン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤、及び界面活性剤が挙げられる。
【0036】
架橋剤はウレタンフォームに架橋構造を形成して架橋密度を高める。そのため、発泡材料は好ましくは架橋剤を含有する。架橋剤としては、例えば分子量が100〜500のポリオールが用いられる。係るポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビトール等が挙げられる。また、着色剤及び難燃剤としては、ポリウレタン発泡体用として用いられる公知のものを使用することができる。
【0037】
ポリオール類とポリイソシアネート類との反応は常法に従って行われるが、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法はポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させる方法である。プレポリマー法はポリオール類及びポリイソシアネート類の各一部を事前に反応させて、末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを形成し、そのプレポリマーにポリオール類及びポリイソシアネート類を反応させる方法である。ワンショット法はプレポリマー法に比べて製造工程が一工程で済み、製造条件の制約も少ないことから好ましい方法であり、製造コストを低減させることができる。
【0038】
そして、上記ワンショット法又はプレポリマー法により混合攪拌された反応混合液(発泡材料)を、所望のシートパッド形状のキャビティを有する成形型内にて発泡及び硬化させる。これにより、上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を有し、且つ着座時のフィット感の優れ、一体的に成形されたクッションパッドが得られる。
【0039】
ここで、成形型内にて発泡及び硬化させる際に、コア層部分の温度とスキン層部分の温度との間に温度差を設けることによっても、得られるクッションパッド1の上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率を変化させることができる。具体的には、コア層部分の温度をスキン層部分の温度よりも高くすると、クッションパッド1における上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が低下する傾向がある。このように発泡及び硬化させる際に、コア層部分及びとスキン層部分との間に温度差を設けることによっても、クッションパッド1に対して所望の粘弾性特性を付与することができる。なお、コア層部分及びとスキン層部分との間に温度差を設ける方法としては、例えば成形型の温度を調節する方法が挙げられる。
【0040】
次に、本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態のクッションパッド1は、上面層2の粘弾性特性(tanδ)が0.065〜0.144に設定されるとともに、コア層3の粘弾性特性(tanδ)が0.052〜0.102に設定されている。そして、上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が0.7〜0.8に設定されている。つまり、上面層2とコア層3との間の粘弾性特性(tanδ)に大きく差を設けている。
【0041】
これにより、クッションパッド1には、上面層2よりもコア層3が積極的にたわむ特性が付与されて、座り心地や支持特性が向上する。なお、本実施形態のクッションパッド1は、上面層2とコア層3との間の粘弾性特性(tanδ)に大きく差を設けることによって、上面層2よりもコア層3が積極的にたわむ特性を得ている。そのため、上記特許文献2のクッションパッドのように、必ずしも上面層2とコア層3との間に大きな密度差を設ける必要はない。たとえば、上面層2の密度に対するコア層3の密度の比を1.13未満に設定した場合にも、上面層2及びコア層3の粘弾性特性を上記の範囲に設定することにより、上面層2よりもコア層3が積極的にたわむ特性をクッションパッドに付与することができる。
【0042】
また、クッションパッド1は、上面層の粘弾性特性(tanδ)が0.065〜0.144であり、粘弾性における粘性比率が高く設定されていることから、上面層2は所謂、低反発ウレタンフォームの状態となっている。したがって、上面層2は乗員の臀部に追従した形状に変形しやすくなり、乗員の臀部と上面層2との接触面を好適に確保することができる。これにより、クッションパッド1は着座時のフィット感に優れたものとなる。
【0043】
(2)クッションパッド1は、クッションパッド全体を厚み方向に40〜50%圧縮した場合における、上面層2のたわみ率(T)に対するコア層3のたわみ率(Tn+1)の比率が1.1〜2.5に設定されている。これにより、座り心地の向上効果及び支持特性の向上効果をより確実に得ることができる。
【0044】
(3)クッションパッド1は、上面層2からコア層3に向かって、各層の粘弾性特性(tanδ)が漸次減少するとともに、各層のたわみ率Tが漸次増加するように設定されている。これにより、座り心地の向上効果及び支持特性の向上効果をより高めることができる。
【0045】
(4)クッションパッド1は発泡材料として、ポリオール類及びポリイソシアネート類を含有し、ポリオール類100質量部に対して1.8〜4.0質量部の水を含有する発泡材料を用いている。発泡材料中における水の含有量が増加するにしたがって、得られるクッションパッド1の上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が低下するという傾向がある。とくに、発泡材料中における水の含有量を、ポリオール類100質量部に対して1.8〜4.0質量部とした場合には、クッションパッド1の粘弾性特性の変化を予測しやすく、クッションパッド1に対して所望の粘弾性特性を容易に付与することができる。
【0046】
(5)クッションパッド1は、発泡材料中に含有されるポリオールとして、分子量が3500〜8000である高分子量ポリオールと、分子量が500〜3000であって官能基数が2〜4である低分子量ポリオールとを併用している。ポリオール類として、上記高分子量ポリオールと上記低分子量ポリオールとを併用した場合、上記低分子量ポリオールの比率が高くなるにしたがって、得られるクッションパッド1の上面層2の粘弾性特性(tanδ)に対するコア層3の粘弾性特性(tanδn+1)の比率が低下するという傾向がある。そのため、ポリオール類として、上記高分子量ポリオールと上記低分子量ポリオールとを併用した場合には、クッションパッド1の粘弾性特性の変化を予測しやすく、クッションパッド1に対して所望の粘弾性特性を容易に付与することができる。
【0047】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ コア層3よりも下側の層である第n+2層〜第2n+1層の構成は特に限定されない。たとえば、第n+2層〜第2n+1層に向かって粘弾性特性(tanδ)が漸次増加するとともにたわみ率が漸次減少するように構成してもよいし、コア層3よりも上側の層である第n層〜第1層にそれぞれ対応する(コア層3を基準として対称となる)ように構成してもよい。
【実施例】
【0048】
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
ポリオール類、ポリイソシアネート類、水、触媒、整泡剤及び架橋剤を含有する発泡材料を表1に示す組成にて調製した。そして、発泡材料を常温で混合するとともに、温度を60℃に設定した所定の成形型内にて発泡及び硬化させることにより、縦300mm×横300mm×厚さ70mm程度のブロック状をなす実施例及び比較例のクッションパッドを得た。なお、成形型内における発泡材料の発泡及び硬化時のコア層部分の温度は、成形型の設定温度以上の100〜150℃程度となっているものと推測される。
【0049】
比較例1は一般的なクッションパッドに相当するものである。実施例1〜7は比較例1に対して、水の含有量を変更するとともに低分子量ポリオールをさらに含有したものである。実施例8及び9は比較例1に対して、水の含有量を変更したものである。また、比較例2は低分子量ポリオールを含有する例である実施例5に対して、水の含有量を少なくしたものである。なお、表1中における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量部である。
【0050】
表1に示す発泡材料について以下に説明する。
PPG(M.N.5000):分子量5000のポリプロピレングリコール(エクセノール828、旭硝子社製)
POP(M.N.5000):分子量5000のポリマーポリオール(KC−401、
三洋化成社製)
PPG(M.N.1000):分子量1000、官能基数2のポリプロピレングリコール(D−1000、三井化学社製)
TDI:2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート(コロネートT−80、日本ポリウレタン社製)
触媒1:アミン系触媒(BL−11、エアープロダクツ社製)
触媒2:アミン系触媒(33LV、エアープロダクツ社製)
整泡剤1:シリコン系整泡剤(B8719LF、エボニック社製)
架橋剤1:グリセリン(日本油脂社製)
次に、得られた実施例及び比較例のクッションパッドについて、下記に示す方法に従い見掛け密度、粘弾性特性、硬度、及びたわみ率の測定を行った。
【0051】
[見掛け密度の測定]
実施例及び比較例のクッションパッドを10mmずつ7層に分割した。上面層である第1層とコア層である第4層について、JIS K7222:2005に準拠して、それぞれの見掛け密度を測定した。
【0052】
次に、実施例及び比較例のクッションパッドのオーバーオール密度、及びフリー発泡密度を測定した。オーバーオール密度とは、クッションパッド全体の見掛け密度であって、クッションパッドの質量を成形型のキャビティ容積で除することにより得ることができる。また、フリー発泡密度とは、発泡材料を成形型内ではなく、常温、大気圧下にて発泡及び硬化させた場合に得られるフリー発泡体における表面部分(スキン層)を除いた部分の見掛け密度である。実施例及び比較例と同一の発泡材料を用いて別途、上記フリー発泡体を製造し、そのフリー発泡体について、JIS K7222:2005に準拠して、その見掛け密度を測定した。
【0053】
さらに、実施例及び比較例のパック率を算出した。パック率とは、成形型を用いて得られるモールド成形品における上記フリー発泡体に対する圧縮度合いを示す値であって、上記オーバーオール密度を上記フリー発泡密度で除することにより得ることができる。得られた実施例及び比較例の上面層及びコア層の見掛け密度、オーバーオール密度、フリー発泡密度、並びにパック率を表1に示す。なお、表1に示す各密度の単位はすべて「kg/m」である。
【0054】
[粘弾性特性の測定]
実施例及び比較例のクッションパッドを10mmずつ7層に分割した。上面層である第1層からコア層である第4層までの4層について、ティー・エイ・インスツルメント社製のレオメータ(ARES)を用いて、周波数1〜100Hz(36℃)における粘弾性特性(tanδ)を測定した。なお、サンプルサイズはΦ25、厚み8mmとした(各層の下部2mmをカットし、上部8mmをサンプルとして用いた。)。
【0055】
その結果の一例を図3に示す。図3(a)〜(c)は順に実施例5、実施例8、比較例1の結果を示している。そして、その結果に基づいて実施例5、実施例8、比較例1の上面層及びコア層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性を求めた。また、他の実施例及び比較例についても同様にして上面層及びコア層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性を求めた。それらの結果を表1に示す。
【0056】
[硬度の測定]
実施例及び比較例のクッションパッドを10mmずつ7層に分割した。上面層である第1層とコア層である第4層について、ASKER社製のF型硬度計を用いて硬度を測定した。その結果を表1に示す。なお、サンプルサイズは、縦50mm×横50mm×厚み10mmとした。
【0057】
[たわみ率の測定]
予め側面に10mm間隔の格子状の線を描いた実施例及び比較例のクッションパッドに対して、サイズΦ200の加圧板を用いて500mm/分の加圧速度にて荷重を作用させて各クッションパッドを圧縮させた。その結果の一例として、実施例5、実施例8、比較例1のクッションパッドを0、10、20、30、40mm圧縮させた状態の画像を図5に示す。図5(a)〜(c)は順に、実施例5、実施例8、比較例1の結果を示している。また、図4は実施例5、実施例8、比較例1の各層のたわみ率をプロットしたグラフである。図4において、◆及び(a)は実施例5を示し、■及び(b)は実施例8を示し、▲及び(c)は比較例1を示す。
【0058】
そして、図5に示す画像に基づいて、実施例5、実施例8、比較例1の30mm圧縮させた状態(約43%圧縮させた状態)における第1層(上面層)〜第4層(コア層)までの各層の厚みを測定し、各層のたわみ率を算出した。また、他の実施例及び比較例についても同様にして各層のたわみ率を算出した。表1に各例の上面層及びコア層のたわみ率を示す。
【0059】
【表1】

表1に示すように、上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率が0.70〜0.80の範囲に設定されている実施例1〜9は、圧縮荷重が付加した際に上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を有している。とくに、上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率が0.70〜0.79である実施例1〜7は、上面層のたわみ率に対するコア層のたわみ率の比率が1.3以上であり、上面層とコア層とのたわみ率の差がより顕著となっている。一方、上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率が0.70〜0.80の範囲外である比較例1及び2は、圧縮荷重が付加した際に、上面層及びコア層が同じようにたわんだ状態となっており、上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を有していない。
【0060】
これらの結果から、クッションパッドにおける上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率を0.70〜0.80の範囲に設定することにより、上面層よりもコア層が積極的にたわむ特性を有するクッションパッドとなることが分かる。なお、実施例1、2及び5や、実施例7及び9をそれぞれ比較すると、コア層の密度に対する上面層の密度の比率については同じであるが、上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率がそれぞれ異なっている。そして、上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率の変化に対応して上面層のたわみ率に対するコア層のたわみ率の比率が変化している。この結果から、特許文献2に開示されるような密度差に基づくたわみ率の変化と、粘弾性特性の差に基づくたわみ率の変化は異なるものであるということができる。
【0061】
また、表1に示すように、実施例1〜9のクッションパッドは、上面層の粘弾性特性が0.065〜0.144の範囲であり、所謂低反発ウレタンフォームの状態となっている。そのため、乗員が着座した際に、上面層は乗員の臀部に追従した形状に変形しやすく、乗員の臀部と上面層との接触面を好適に確保することができ、フィット感に優れたものとなる。
【0062】
また、実施例1、2、5、6、8は、水の含有量を同一として低分子量ポリオールの含有量を変更した例であるが、低分子量ポリオールの含有量が増加するにしたがって、上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率が低下している。一方、実施例3〜5及び比較例2、並びに実施例8、9及び比較例2は、それぞれ低分子量ポリオールの含有量を一定として水の含有量を変更した例であるが、いずれも水の含有量が増加するにしたがって、上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率が低下している。
【0063】
そして、比較例1及び2については、低分子量ポリオールの含有量及び水の含有量が少なすぎることにより、上面層の粘弾性特性とコア層の粘弾性特性との間に大きな差が生じなかったものと考えられる。これらの結果から、低分子量ポリオール及び水の含有量を調節することによって、クッションパッドの上面層の粘弾性特性に対するコア層の粘弾性特性の比率を調節可能であることが分かる。
【符号の説明】
【0064】
1…クッションパッド、2…上面層、2a…圧縮前の上面層の厚み、2b…圧縮状態の上面層の厚み、3…コア層、3a…圧縮前のコア層の厚み、3b…圧縮状態のコア層の厚み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに用いられるウレタンフォーム製のクッションパッドであって、
単一の発泡材料により一体に成形されてなり、
前記クッションパッドを第1層から第2n+1層(nは1〜5の整数)に等分に区分したときの上面層である第1層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)が0.065〜0.144であるとともに、コア層である第n+1層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδn+1)が0.052〜0.102であり、
前記上面層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)に対する、前記コア層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδn+1)の比率が0.7〜0.8であることを特徴とするクッションパッド。
【請求項2】
前記クッションパッド全体を厚み方向に40〜50%圧縮した場合における、前記上面層のたわみ率(T)に対する前記コア層のたわみ率(Tn+1)の比率が1.1〜2.5であることを特徴とする請求項1に記載のクッションパッド。
【請求項3】
前記上面層から前記コア層に向かって、各層の温度36℃、周波数1Hzにおける粘弾性特性(tanδ)が漸次減少するとともに、各層のたわみ率が漸次増加することを特徴とする請求項2に記載のクッションパッド。
【請求項4】
ポリオール類及びポリイソシアネート類を含有し、前記ポリオール類100質量部に対して1.8〜4.0質量部の水を含有する前記発泡材料を反応させ、成形型内にて発泡及び硬化させて得られたものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のクッションパッド。
【請求項5】
前記ポリオール類には、数平均分子量が3500〜8000である高分子量ポリオールと、数平均分子量が500〜3000であり、官能基数が2〜4である低分子量ポリオールとが含有されていることを特徴とする請求項4に記載のクッションパッド。
【請求項6】
車両用シートに用いられるウレタンフォーム製のクッションパッドの製造方法であって、
ポリオール類及びポリイソシアネート類を含有し、前記ポリオール類100質量部に対して1.8〜4.0質量部の水を含有する発泡材料を反応させて成形型内にて発泡及び硬化させる工程を含み、
前記ポリオール類として、数平均分子量が3500〜8000である高分子量ポリオールと、数平均分子量が500〜3000であって官能基数が2〜4である低分子量ポリオールとを併用することを特徴とするクッションパッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−189121(P2011−189121A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33478(P2011−33478)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】