説明

クラムラバーを使用する改質アスファルトバインダ材料および改質アスファルトバインダを製造する方法

第一の態様においては、クラムラバーまたは粉砕されたタイヤゴムの添加によって改質された瀝青質アスファルトバインダ材料が記載されている。第二の態様においては、本発明は、クラムラバーまたは粉砕されたタイヤゴムを含有する改質アスファルトバインダの製造方法を対象としている。その改質アスファルトバインダは、ニートアスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の合成ポリマー、および1つまたは複数の酸を含む。そのクラムラバーは、回収されたトラックおよび/または自動車タイヤから得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一態様において、クラムラバーまたは粉砕したタイヤゴムの添加によって改質される瀝青質アスファルトバインダ材料を対象とする。第二の態様において、本発明は、クラムラバーまたは粉砕したタイヤゴムを含有する改質アスファルトバインダを製造する方法を対象とする。本発明の改質アスファルトバインダは、ニートアスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の合成ポリマーおよび1つまたは複数の酸を含む。このクラムラバーは、トラックおよび/または自動車のタイヤを再利用することによって得ることができる。
【背景技術】
【0002】
本特許出願は、その全体の内容が本開示の一部として参照により本明細書に明確に組み込まれている発明の名称が“Modified Asphalt Binder Material Using Crumb Rubber and Methods of Manufacturing the Modified Asphalt Binder”である2005年5月2日出願の米国特許仮出願第60/677040号に対する米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)に基づく優先権を主張するものである。
【0003】
アスファルトバインダ中へのクラムラバーの添加により、高温および低温におけるアスファルトバインダのコンシステンシーおよび特性を改良することができる。特に、本発明の改質アスファルトバインダは、この改質アスファルトバインダを用いて舗装した道路またはその他の表面の改良された性能をもたらす改良された弾性的挙動を発揮する。永久歪、疲労クラックおよび熱クラックに対する道路の耐性は、この改質アスファルトバインダの使用によって改良される。
【0004】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「アスファルトバインダ」という語句は、道路またはその他の表面を舗装するために使用されるアスファルト中のバインダとして使用されるか、または屋根材、塗料、および水シール材などのその他の建設材料に使用される、時々瀝青と称される瀝青質材料を指す。本発明の組成物および方法で使用することができる瀝青の例としては、天然瀝青、ピロ瀝青、人工瀝青が挙げられる。特に好ましい瀝青は、アスファルトまたはマルサ(maltha)などの車道に使用されるものである。
【0005】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「クラムラバー」という語句は、約5mm未満の粒径を有しており、好ましくは約2mm未満の粒径を有しているゴム粒子を指す。クラムラバーは、使用済みのトラックのタイヤまたは自動車のタイヤの粉砕によるか、またはその他の適当な粉砕ゴム源から得ることができる。
【0006】
アスファルトバインダ中のクラムラバーおよびポリリン酸の使用は、題名が、「瀝青質バインダおよびその製造方法(Bituminous Binder and Method for the Production Thereof)」である国際公開番号第04/081098号にすでに記載されている。その公開特許出願に記載されているように、0.5重量%と5重量%の間のポリリン酸、および0.5重量%と25重量%の間のクラムラバー(または粉砕したタイヤゴム)を瀝青質アスファルトバインダと組み合わせることによって、回転粘度が増大してその結果混合プロセスが高温条件を必要とすることのないように、アスファルトバインダの特性を有利に改質することができる。
【0007】
アスファルトバインダは、特に舗装道路に使用される場合に、環境条件の広範な変化があり得る用途で頻繁に使用される。したがって、アスファルトバインダの高温および低温条件における特性は、関心事である。低温においてはバインダ材料によっては脆弱になって熱応力によって長い横裂を生じ得る。高温においては、アスファルトバインダは、より流動的(すなわち、粘度が低い)となって、表面上を車両が通過することによって、舗装道路のわだち掘れを生じ得る。疲労および衝撃に対する抵抗、ならびにアスファルトバインダの舗装用途における骨材への付着力は、特定用途において同様に考慮しなくてはならない特定のバインダの性質である。
【0008】
アスファルトバインダによっては、例えば、対応するアスファルト舗装混合物が、交通量が多くて負荷の高い区域で使用される場合は、相対的に高い弾性挙動を必要とするかもしれない。単独で使用されるか、またはポリリン酸との組合せで使用されるクラムラバー(または粉砕したタイヤゴム)は、交通量が多くて負荷の高い使用に対してアスファルト舗装混合物の弾性挙動を十分には改良しない。高弾性が必要な場合は、多量のクラムラバーをアスファルトバインダに加えなければならない。これは、回転粘度の望ましくない増加、ならびにバインダ材料の保存と関係する問題を引き起こし得る。
【0009】
【特許文献1】国際公開第04/081098号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、相対的に高い弾性と、受け入れられる回転粘度とを備えており、十分な期間にわたって貯蔵することができるアスファルトバインダ材料を提供することである。本発明のもう1つの目的は、これらの性質を有するアスファルトバインダを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明は、アスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の合成ポリマー、および1つまたは複数の酸を含む改質アスファルトバインダ材料を対象とする。本発明の一実施形態においては、ニートアスファルトを、0.5重量%から30重量%の1つまたは複数の合成ポリマー、0.5重量%から25重量%のクラムラバー、および0.05%から5%の1つまたは複数の酸によって改質する。本発明のアスファルトバインダは、一般的に、標準的な弾性回復試験、例えばAASHTO T51、ASTM D6084−04、NLT329またはその他の標準試験法に示されているような試験プロトコルのもとで、約10%と約90%の間の弾性回復を有する。
【0012】
別の態様において、本発明は、アスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の合成ポリマー、および1つまたは複数の酸を含む改質アスファルトバインダ材料を製造する方法を対象とする。
【0013】
さらに別の態様において、本発明の改質アスファルトバインダは、エマルジョンを形成するために水および乳化剤と混合することができる。乳化したアスファルトバインダは、骨材物質と混合して所望の厚さの層を形成するために広げることができ、そのエマルジョンは破壊されてアスファルト舗装が形成される。別法では、乳化したアスファルトバインダは、表面に広げることができ、骨材物質をその乳化したバインダの上に広げ、エマルジョンを破壊してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、改質アスファルトバインダおよび改質アスファルトバインダを製造する方法を対象とする。その改質アスファルトバインダは、ニートアスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の合成ポリマー、および1つまたは複数の酸を含む。当然のことながら、本明細書で使用される「クラムラバー」としては、クラムラバー、例えば粉砕したタイヤゴムまたはアスファルトバインダとの混合物に適する粒子の形で提供される任意のその他のゴムが挙げられる。一般的には、クラムラバーの大部分は、約5mm未満、好ましくは約2mm未満の粒径を有する。本発明はこれに関しては限定されず、クラムラバーは所望の特性を備えたアスファルトバインダを生ずる任意の粒径分布を有することができる。
【0015】
本発明の改質アスファルトバインダは、約40重量%から約98.9重量%の間のニートアスファルト、約0.5量%から約30重量%の間の1つまたは複数の合成ポリマー、約0.5重量%から約25重量%の間のクラムラバー、および約0.05重量%から約5重量%の間の1つまたは複数の酸を含む。
【0016】
好ましい実施形態において、この改質アスファルトバインダは、約82重量%と約98.5重量%の間のニートアスファルト、約0.5重量%と約5重量%の間の1つまたは複数の合成ポリマー、約0.5重量%と約10重量%の間のクラムラバー、および約0.5重量%から約3重量%の間の1つまたは複数の酸を含む。
【0017】
特に好ましい実施形態において、この改質アスファルトバインダは、約92重量%と約95重量%の間のニートアスファルト、約0.5重量%と約2重量%の間の1つまたは複数の合成ポリマー、約0.5重量%と約5重量%の間のクラムラバー、および約0.5重量%から約1重量%の間の1つまたは複数の酸を含む。
【0018】
本発明の改質アスファルトバインダに使用するための好ましい合成ポリマーとしては、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンスチレン3元ブロックコポリマー(「SBS」)、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンプロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ナイロン、ポリスチレン、ポリブタジエン、アクリル樹脂、フッ化炭素樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリエチレン(線状のまたは架橋した)、エポキシターポリマー、ポリプロピレン、および上記ポリマーの組合せが挙げられる。本発明はこれに関しては限定されず、当業者には既知の任意の適当な合成ポリマーを当該改質アスファルトバインダ中に使用することができる。
【0019】
本発明の改質アスファルトバインダにおいて使用するための好ましい酸としては、リン酸、ポリリン酸(オルトリン酸含有量で表して100%を超える)(「PPA」)、90重量%を超える硫酸、ホウ酸、およびカルボン酸類、例えば、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、吉草酸、コハク酸、フマル酸、グルタミン酸、フタル酸、酢酸など、ならびに上記酸類の組合せが挙げられる。本発明はこれに関しては限定されず、当業者には既知の任意の適当な酸を当該改質アスファルトバインダ中に使用することができる。
【0020】
その酸は、アスファルトバインダに固形または液体の形のいずれでも加えることができる。固形の酸が使用される場合、その酸は、ホウ酸またはポリリン酸などは純粋な固体酸であり得、あるいはその酸成分は、取り扱いを容易にするために不活性成分と組み合わせてもよい。例えばSiの組合せが挙げられる。
【0021】
第2の態様において、本発明は、当該改質アスファルトバインダを製造する方法を対象とする。好ましくは、当該改質アスファルトバインダを製造する方法は、(1)アスファルトを約120℃と約200℃の間の温度まで加熱するステップ、(2)第1の改質成分を加えるステップ、(3)前記アスファルトおよび前記第1の改質成分を、高せん断ミキサ、例えば、ロータ−ステータ型ミキサ(すなわち、SILVERSON型ミキサ)により約5分と約10時間の間、混合するステップ、(4)当該改質されたアスファルトバインダに第2の改質成分を加えるステップ、(5)前記第2の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを、高せん断ミキサ中で約5分と約10時間の間、混合するステップ、(6)当該改質されたアスファルトバインダに第3の改質成分を加えるステップ、(7)前記第3の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを、高せん断ミキサ中で約5分と約10時間の間、混合するステップ、および(8)前記第3の改質成分を、低せん断ミキサ(例えば、IKA型ラボミキサに類似した約250rpmのモーターで駆動するプロペラ型ミキサなど)中で約5分と約48時間の間、撹拌するステップを含む。場合によっては、上のステップ(7)は、省略することができ、前記第3の改質成分を当該改質されたアスファルトバインダと低せん断ミキサ中で約5分と約48時間の間、撹拌してもよい。
【0022】
当該方法で使用される改質成分は、上記の、クラムラバー、1つもしくは複数の酸、または1つもしくは複数の合成ポリマーである。このクラムラバー、酸、合成ポリマーは、任意の順序で加えることができる。したがって、第1の改質成分はクラムラバーであってよく、第2の改質成分は1つまたは複数の酸であってよく、第3の改質成分は1つまたは複数の合成ポリマーであり得る。別法では、第1の改質成分はクラムラバーであってよく、第2の改質成分は1つまたは複数の合成ポリマーであってよく、第3の改質成分は1つまたは複数の酸であり得る。同様に、第1の改質成分は1つまたは複数の酸であってよく、第2の改質成分は1つまたは複数の合成ポリマーであってよく、第3の改質成分はクラムラバーであり得、あるいは別法では、第1の改質成分は1つまたは複数の酸であってよく、第2の改質成分はクラムラバーであってよく、第3の改質成分は1つまたは複数の合成ポリマーであり得る。また、第1の改質成分は1つまたは複数の合成ポリマーであってよく、第2の改質成分は1つまたは複数の酸であってよく、第3の改質成分はクラムラバーであり得、あるいは別法では、第1の改質成分は1つまたは複数の合成ポリマーであってよく、第2の改質成分はクラムラバーであってよく、第3の改質成分は1つまたは複数の酸であり得る。
【0023】
当業者には当然のことであろうが、上記の方法において、使用される温度および混合時間によっては、低せん断ミキサを高せん断ミキサの代わりに使用することができ、当業者であれば、使用される温度および添加材料に基づいて適切な混合時間を容易に決定することができる。好ましい実施形態において、当該アスファルトバインダは、クラムラバーの添加に続いて1時間と3時間の間、酸の添加に続いて15分と1時間の間、ポリマーの添加に続いて6時間と8時間の間、混合する。
【0024】
本発明の方法においては、クラムラバーは、最終の改質アスファルト材料中に約0.5重量%と約30重量%の間のクラムラバー濃度が得られるようにアスファルトに加えられる。1つまたは複数の酸は、改質アスファルト材料中に約0.05重量%と約5重量%の間の全体の酸濃度が得るように加えられ、1つまたは複数の合成ポリマーは、約0.5重量%と約30重量%の間の全体のポリマー濃度が得るように加えられる。
【0025】
本発明の方法において使用される好ましい合成ポリマーおよび好ましい酸は、上に記載されている。
【0026】
本発明の方法のいくつかの典型的な実施形態を以下で説明する。
【実施例】
【0027】
[実施例1]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0028】
[実施例2]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から10時間の間、混合する
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0029】
[実施例3]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0030】
[実施例4]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0031】
[実施例5]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0032】
[実施例6]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0033】
本発明のさまざまな実施形態の実際の混合物について行った試験において、当該改質アスファルトバインダは、アスファルトバインダ材料としての使用に対して望ましい特性を有することを示した。下記試験のそれぞれにおいて、改質アスファルトバインダは、次のように160℃で撹拌した。(1)クラムラバーの添加に続いて、改質アスファルトバインダを、高せん断ミキサを用いて約2時間撹拌し、(2)PPAの添加に続いて、改質アスファルトバインダを、低せん断ミキサを用いて約0.5時間撹拌し、(3)SBSポリマーの添加に続いて、改質アスファルトバインダを、高せん断ミキサを用いて約7時間撹拌した。
【0034】
基材としてアスファルトPG64−22を、ポリマーとしてSBSを、酸としてPPAを用いて行った一連の試験において、該アスファルト改質剤は、次の順序で加えた:クラムラバーが最初、SBSが2番目、PPAが3番目。得られたアスファルトバインダは次の特性を有した。
【0035】
【表1】

【0036】
基材としてアスファルトPG64−22を、ポリマーとしてSBSを、酸としてPPAを用いて行った別の一連の試験において、該アスファルト改質剤は、次の順序で加えた:SBSが最初、PPAが2番目、クラムラバーが3番目。
【0037】
【表2】

【0038】
基材としてアスファルトPG64−22を、ポリマーとしてSBSを、酸としてPPAを用いて行った別の一連の試験において、該アスファルト改質剤は、次の順序で加えた:SBSが最初、クラムラバーが2番目、PPAが3番目。
【0039】
【表3】

【0040】
上記各表に掲げた試験は、次の方法にしたがって実施した。すなわち、AASHTO M320であって、次のAASHTO法を含む。
【0041】
T316 ブルックフィールド粘度
T315 DSR
T240 RTFO
R28 PAV
T313 BBR
T301 弾性回復(修正:25℃、10cm、直ちに切断)
T53 軟化点
【0042】
この改質アスファルト組成物は、エマルジョン型のプロセスにおいて使用し、アスファルトバインダ材料を適用することができる。一実施形態において、そのエマルジョンプロセスは次のステップを含む:
【0043】
1)改質アスファルト組成物を上記のようにして調製し、
2)ステップ1で得られた改質アスファルト組成物のエマルジョンを、水と該改質アスファルト組成物ならびに乳化剤を周囲温度で混合することによって調製し、
3)ステップ2で得られたエマルジョンを、乳化したアスファルトバインダの均一な層を得るために広げ、
4)そのエマルジョンを破壊する。
【0044】
エマルジョンを破壊する前に、乳化したアスファルトバインダの上に骨材物質を散布してもよい。別法では、上記のプロセスは、そのプロセスのステップ2で得られたエマルジョンに、撹拌しながら周囲温度で骨材を加えてアスファルト舗装材料を形成するさらなるステップを含むことができる。このアスファルト舗装材料は、所望の厚さに広げ、エマルジョンを破壊する。乳化剤は当業者に知られている任意の適当な乳化剤であり得る。また、エマルジョンは、アスファルトエマルジョンを破壊するための通常の方法を用いて破壊することができる。
【0045】
上記の組成物または方法は、本発明の範囲から逸脱することなく多数のやり方で修正することができることは当業者には認識されよう。例えば、上記の混合ステップの1つまたは複数は、省略することができ、2つ以上の改質成分を一緒にまたは同時にアスファルトに加えることができ、あるいはさらなる改質剤を組成物に加えて組成物の特性をさらに改質することができる。したがって、本明細書に記載した好ましい実施形態は、説明のためであって決して限定を意図したものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約40重量%から約98.9重量%のアスファルトバインダ材料と、
(b)約0.5重量%から約25重量%のクラムラバーと、
(c)約0.5重量%から約30重量%の少なくとも1つの合成ポリマーと、
(d)約0.05重量%から約5重量%の少なくとも1つの酸と、
を含むことを特徴とする、改質アスファルトバインダ組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、
前記クラムラバーの大部分が、2mm未満の粒径を有することを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の組成物において、
前記少なくとも1つの合成ポリマーが、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンスチレン3元ブロック(SBS)コポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンプロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリスチレン、ポリブタジエン、アクリル樹脂、フッ化炭素樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリエチレン(線状のまたは架橋した)、エポキシターポリマー、ポリプロピレン、およびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物において、
前記少なくとも1つの酸が、リン酸、ポリリン酸(オルトリン酸含量として表して100%を超える)、90重量%を超える硫酸、ホウ酸、およびカルボン酸類、例えば、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、吉草酸、コハク酸、フマル酸、グルタミン酸、フタル酸、酢酸など、ならびにそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項2に記載の組成物において、
前記合成ポリマーが、スチレンブタジエンスチレンであり、
前記酸が、ポリリン酸であることを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物において、前記アスファルトバインダ組成物が、
(a)約92重量%から約95重量%のアスファルトバインダ材料と、
(b)約3重量%から約5重量%のクラムラバーと、
(c)約0.5重量%から約2重量%の少なくとも1つの合成ポリマーと、
(d)約0.1重量%から約1重量%の少なくとも1つの酸と、
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物において、
前記合成ポリマーが、スチレンブタジエンスチレンであり、
前記酸が、ポリリン酸であることを特徴とする組成物。
【請求項8】
a.適当な容器中にニートアスファルトを準備するステップと、
b.前記ニートアスファルトを約120℃と約200℃の間の温度まで加熱するステップと、
c.前記ニートアスファルトに第1の改質成分を加えるステップと、
d.前記アスファルトおよび前記第1の改質成分を、高せん断ミキサまたは低せん断ミキサの1つにより約5分と約10時間の間、混合するステップと、
e.当該改質されたアスファルトバインダに第2の改質成分を加えるステップと、
f.前記第2の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを、高せん断ミキサまたは低せん断ミキサの1つ中で約5分と約10時間の間、混合するステップと、
g.当該改質されたバインダ材料に第3の改質成分を加えるステップと、
h.前記第3の改質成分および当該改質されたバインダ材料を、低せん断ミキサまたは高せん断ミキサの1つ中で約5分と約48時間の間、撹拌するステップと、
を含むことを特徴とする、改質アスファルトバインダ組成物を製造する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記第3の改質成分および当該改質されたバインダ材料を低せん断ミキサまたは高せん断ミキサの1つにより撹拌するステップの前に、前記第3の改質成分および当該改質されたバインダ材料を高せん断ミキサにより5分と10時間の間、混合するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第2の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第3の改質成分が、約0.5重量%と約25重量%の間のクラムラバーであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第2の改質成分が、約0.5重量%と約25重量%の間のクラムラバーであり、
前記第3の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第2の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第3の改質成分が、約0.5重量%と約25重量%の間のクラムラバーであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約2重量%の間のスチレンブタジエンスチレンであり、
前記第2の改質成分が、約0.1重量%と約1重量%の間のポリリン酸であり、
前記第3の改質成分が、約4重量%と約6重量%の間のクラムラバーであることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第2の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第3の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約2重量%の間のスチレンブタジエンスチレンであり、
前記第2の改質成分が、約4重量%と約6重量%の間のクラムラバーであり、
前記第3の改質成分が、約0.1重量%と約1重量%の間のポリリン酸であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項8に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約25重量%の間のクラムラバーであり、
前記第2の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第3の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約4重量%と約6重量%の間のクラムラバーであり、
前記第2の改質成分が、約0.5重量%と約2重量%の間のスチレンブタジエンスチレンであり、
前記第3の改質成分が、約0.3重量%と約1重量%の間のポリリン酸であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項8に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約25重量%の間のクラムラバーであり、
前記第2の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第3の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであることを特徴とする方法。
【請求項19】
舗装材料を調製する方法であって、
(a)請求項1に記載の改質アスファルトバインダ材料を調製するステップと、
(b)前記改質アスファルトバインダを、水および乳化剤と周囲温度で混合してアスファルトエマルジョンを生成させるステップと、
(c)前記アスファルトエマルジョンを所望の厚さに広げるステップと、
(d)前記エマルジョンを破壊するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記アスファルトエマルジョンを広げるステップの前に、骨材を前記アスファルトエマルジョンと混合することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−540741(P2008−540741A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510237(P2008−510237)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/017292
【国際公開番号】WO2006/119470
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(505084756)イノフォス インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】