クリップ
【課題】クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、被取付部材に対する取付部材の位置ずれを容易に吸収できると共に、取り付け及び取り外しを極めて簡単なワンタッチ動作で行うことが可能なクリップを提供する。
【解決手段】各クリップ1をコンソールボックス2の底面部に設けられる各組付け部3の基台部5の切欠溝部6に嵌入して組み付けた後、位置決めボス7を被取付部材41に穿設される長孔43に嵌入すると共に、各クリップ1の嵌入頭部28を被取付部材41に穿設された各長孔42に嵌入する。そして、各嵌入頭部28が被取付部材41に穿設される各長孔42に嵌入されつつ、ボス部22が切欠溝部6内を摺動移動して、平板部21の長手方向両端縁部に所定高さ延出される各当接部21Aが該被取付部材41に当接されると共に、一対の弾性係止片31が該各長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止される。
【解決手段】各クリップ1をコンソールボックス2の底面部に設けられる各組付け部3の基台部5の切欠溝部6に嵌入して組み付けた後、位置決めボス7を被取付部材41に穿設される長孔43に嵌入すると共に、各クリップ1の嵌入頭部28を被取付部材41に穿設された各長孔42に嵌入する。そして、各嵌入頭部28が被取付部材41に穿設される各長孔42に嵌入されつつ、ボス部22が切欠溝部6内を摺動移動して、平板部21の長手方向両端縁部に所定高さ延出される各当接部21Aが該被取付部材41に当接されると共に、一対の弾性係止片31が該各長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体等の被取付部材に対して、コンソールボックス、インストルメントパネル等の取付部材を取り付けるクリップに関し、特に、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、被取付部材に対する取付部材の取り付け及び取り外しを極めて簡単なワンタッチ動作で行うことが可能なクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体を構成する各種パネルに対して、コンソールボックス、インストルメントパネル等を取り付ける際に使用される各種のクリップが提案されている。
例えば、車体のフロアに形成された2つの嵌合孔のそれぞれに対して、コンソールボックスのフランジに形成された嵌合孔及び台座部に形成された貫通孔とを合致させた状態で、外側部材と内側部材とから構成されるクリップを挿通することにより、車体のフロアに取り付けられるコンソール装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−70838号公報(段落(0028)〜(0037)、図2)
【0004】
ここに、前記特許文献1に記載された外側部材と内側部材とから構成されるクリップにおいて、外側部材は、内側部材を外側部材から引き出したときに小径となってクリップを、フロア及びフランジにおける各嵌合孔及びフロアの嵌合孔、台座部の貫通孔から取り外すことができ、また、外側部材は、内側部材を外側部材に挿入したときに大径となって、クリップを各嵌合孔、貫通孔で拘束してコンソールボックスを車体のフロアに固定するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたコンソール装置に使用されるクリップを使用してコンソールボックスを車体のフロアに固定する場合、車体のフロアに穿設される各嵌合孔を長孔とすることによって、コンソールボックスの各嵌合孔とフロアの各長孔との該長孔の長手方向の位置ずれは、吸収できるが、この長手方向に対して直角な方向の位置ずれを吸収できないという問題がある。
また、コンソールボックスを車体のフロアに固定するには、先ず、コンソールボックスを車体のフロアに位置決めし、続いて、この状態でクリップを嵌合孔及び長孔に挿通する作業、及び、内側部材を外側部材内に押圧して挿入する作業が必要である。これらの作業はかなり煩雑なものであり、車体のフロアに対するコンソールボックスの固定作業に時間がかかってしまう問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、被取付部材に対する取付部材の位置ずれを容易に吸収できると共に、取り付け及び取り外しを極めて簡単なワンタッチ動作で行うことが可能なクリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1に係るクリップは、取付部材の一面側に設けられた基台部の上面部に組み付けられて該取付部材を被取付部材に取り付けるクリップにおいて、前記基台部は、側面視下側方向に開口される略コの字型に突設されると共に、上壁の一方の側面部から内側方向に形成される横長の切欠溝部を有し、前記取付部材は、前記一面側に立設される位置決めボスを有し、前記被取付部材は、前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設されて前記位置決めボスが嵌入される第1長孔を有し、前記上壁の上面部に当接される平板部と、前記平板部の底面に前記切欠溝部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法で垂設されて該切欠溝部に嵌入されるボス部と、前記ボス部の下端部から前記切欠溝部の両外側に延出されて前記上壁の底面部に当接される所定厚さのフランジ部と、前記平板部の上面に立設されて前記被取付部材に前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された第2長孔に嵌入される平面視略正方形の嵌入頭部と、前記嵌入頭部の前記切欠溝部の長手方向の両側面部に設けられて、それぞれ外側方向に所定高さ突設される係止突起が下端部に形成されて該嵌入頭部の挿入方向に弾性変形可能な一対の弾性係止片と、前記平板部の前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部と、を備え、前記位置決めボスが前記被取付部材に穿設される第1長孔に嵌入されると共に、前記嵌入頭部が前記被取付部材に穿設される第2長孔に嵌入されつつ、前記ボス部が前記切欠溝部内を移動して、前記一対の当接部が該被取付部材に当接されると共に、前記一対の弾性係止片が該第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係るクリップは、請求項1に記載のクリップにおいて、前記取付部材は、前記基台部の前記上壁の一方の側面部の外側に立設されるリブ部と、前記リブ部の前記フランジ部に対向する高さから略垂直に前記切欠溝部の入口部まで延出されて下側方向に弾性変形可能な延出部と、を有し、前記ボス部を該切欠溝部に嵌入する場合に、該フランジ部は、前記延出部を下側方向に押し曲げつつ移動することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係るクリップは、請求項1又は請求項2に記載のクリップにおいて、前記取付部材は、前記基台部の上壁部に対向する位置に穿設される工具孔を有し、前記フランジ部は、底面部に形成されて工具の先端部が挿入される凹部を有し、前記嵌入頭部の前記第2長孔の内周面に対向する部分と、前記ボス部とは、水平断面が、全体として略正方形状をなし、一組の対角が該各正方形の一辺を直径とする円弧をなし、他の対角が略直角をなすように形成され、前記工具孔から工具を前記凹部に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、前記第2長孔と前記一対の弾性係止片との係止が解除されることを特徴とする。
【0010】
更に、請求項4に係るクリップは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリップにおいて、前記嵌入頭部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法の平面視略正方形の貫通孔が穿設されて、該貫通孔に該嵌入頭部が嵌挿されて前記平板部の上面に当接される平板状の防水用弾性部材を備え、前記防水用弾性部材の厚さは、前記当接部の高さ寸法よりも大きく、且つ前記一対の弾性係止片に係止可能な厚さであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に係るクリップでは、このクリップの平板部の底面に垂設されるボス部を、取付部材の基台部の上壁に形成される横長の切欠溝部に一方の側面部から嵌入させることによって、この平板部とボス部の下端部に形成されるフランジ部とによって基台部の上壁が挟まれるため、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱うことが可能となる。
【0012】
また、クリップのボス部を基台部の切欠溝部に嵌入して組み付けた後、位置決めボスを被取付部材に切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設される第1長孔に嵌入すると共に、クリップの嵌入頭部を被取付部材に切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された第2長孔に嵌入する。そして、嵌入頭部が被取付部材に穿設される第2長孔に嵌入されつつ、ボス部が切欠溝部内を移動して、平板部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部が該被取付部材に当接されると共に、一対の弾性係止片が該第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止される。
これにより、被取付部材の第1長孔及び第2長孔の長手方向に対する取付部材の位置ずれを吸収することが可能になると共に、取付部材の位置決めボスを被取付部材の第1長孔に嵌入することによって、被取付部材の第1長孔の長手方向に対して直角方向の位置決めをすることが可能となる。また、クリップの平板部の底面に垂設されるボス部が、切欠溝部内を移動することによって、このクリップは第2長孔の長手方向に対して直角方向に移動するため、クリップの被取付部材の第2長孔の長手方向に対して直角方向の位置ずれも吸収することが可能となる。
【0013】
従って、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、取付部材の被取付部材に穿設される第1長孔の長手方向に対する位置ずれを容易に吸収して、この取付部材を第1長孔の長手方向に対する直角方向の位置決めをしつつ、極めて簡単なワンタッチ動作で被取付部材に取り付けることが可能となる。また、複数の基台部を取付部材に設けることによって、該取付部材を被取付部材に取り付けた後に、外部から取付部材に加えられた衝撃力等による取付部材の該被取付部材に対する位置ずれやガタつきを確実に防止することが可能となる。
【0014】
また、位置決めボスが嵌入される被取付部材の第1長孔は、基台部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に形成されると共に、クリップの嵌入頭部が嵌入される被取付部材の第2長孔の幅寸法は嵌入頭部の幅寸法にほぼ等しいため、位置決めボスが第1長孔に嵌入されることによって、クリップの切欠溝部の長手方向の移動、即ち、被取付部材の第2長孔の長手方向に対して直交する方向の位置ずれを防止することが可能となる。即ち、取付部材を被取付部材に取り付けた後に加えられた衝撃力等によるクリップの該取付部材に対する位置ずれやガタつきを防止することが可能となる。
また、クリップの平板部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部が被取付部材に当接されると共に、クリップの一対の弾性係止片が該被取付部材の第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止される。このため、該一対の当接部と一対の弾性係止片とによって被取付部材を挟持するため、クリップのぐらつき等を確実に防止することが可能となる。
【0015】
また、請求項2に係るクリップでは、フランジ部が延出部を下側方向に押し曲げつつ移動して、ボス部が切欠溝部に嵌入された場合には、該フランジ部は、切欠溝部の入口部まで延出された延出部に対向する。このため、クリップを基台部に取り付けた後に、取付部材の搬送時等に外部から加えられた衝撃力等によるクリップの抜け落ちを確実に防止することができる。
【0016】
また、請求項3に係るクリップでは、工具孔から工具をクリップの凹部に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、被取付部材の第2長孔とクリップの一対の弾性係止片との係止を解除可能に構成されているため、被取付部材に対する取付部材の取り外しをネジ止めの場合と同様に極めて簡単な作業により行うことができる。
【0017】
更に、請求項4に係るクリップでは、平面視略正方形の貫通孔が穿設されて嵌入頭部に嵌入されて平板部の上面に当接される平板状の防水用弾性部材が設けられている。また、この防水用弾性部材の厚さは、平板部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部の高さ寸法よりも大きく、且つ一対の弾性係止片に係止可能な厚さである。
このため、一対の当接部が被取付部材に当接されると共に、一対の弾性係止片が該被取付部材の第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止されることによって、防水用弾性部材が厚さ方向に圧縮されて該平板部と被取付部材との間に挟持されるため、該第2長孔の防水を確実に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るクリップについて、本発明を具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施例に係るクリップと、このクリップが組み付けられる取付部材としてのコンソールボックスの組付け部と、自動車の車体を構成する金属板(ボディ)から構成される被取付部材のクリップが係止される各長孔等に関する全体構成について図1に基づき説明する。
図1は本実施例に係るクリップと該クリップが組み付けられるコンソールボックスの組付け部と、被取付部材のクリップが係止される各長孔等を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、クリップ1は、コンソールボックス2の底面部の前方側左右角部に設けられた一対の組付け部3にそれぞれ組み付けられる。また、コンソールボックス2の底面部には、各組付け部3の間の略中央部に、断面十字形(図29参照)の位置決めボス7が該クリップ1よりも下側方向に突出するように立設されている(図27参照)。また、自動車の車体を構成する金属板(ボディ)である被取付部材41には、後述のように各クリップ1が嵌入される一対の長孔(第2長孔)42が穿設され、また、各長孔42の間の中央部に位置決めボス7が嵌入される長孔(第1長孔)43が穿設されている。
【0019】
ここで、先ず、コンソールボックス2の組付け部3の概略構成について、図2乃至図8に基づいて説明する。尚、コンソールボックス2の各組付け部3の構成は同じであるため、以下、図1中、右側の組付け部3の概略構成について説明する。
図2はコンソールボックス2の組付け部3を示す平面図である。図3はコンソールボックス2の組付け部3を示す正面図である。図4はコンソールボックス2の組付け部3を示す左側面図である。図5はコンソールボックス2の組付け部3を示す底面図である。図6はコンソールボックス2の組付け部3を示す右側面図である。図7は図2のA−A矢視断面図である。図8は図2のB−B矢視断面図である。
ここで、図1乃至図8において、コンソールボックス2の組付け部3は、各種の樹脂、例えば、ポリプロピレンや「スーパータフナイロン」といわれる中・高衝撃ナイロン等からコンソールボックス2に一体成形されている。
【0020】
図2乃至図8に示すように、組付け部3は、コンソールボックス2の一面側(図1中、底面側)に設けられており、各種の成形方法によりコンソールボックス2と一体に成形される基端部4を有する。
この基端部4には、下側方向に開口される側面視略コの字型に上側方向に膨出すると共に、平面視略四角形で四隅が内側に窪むように各凹み部10が形成される基台部5が設けられている。また、この基台部5の上壁5Aの中央部及び外側(図2中、右側である。)の側面部5Bには、この側面部5Bから内側方向に高さ方向全幅に渡って切り欠かれて形成される平面視横長の切欠溝部6が形成されている。また、この切欠溝部6の入口部は、外側(図2中、右側である。)の各凹み部10に対向する位置まで、上壁5Aの中央部分よりもやや広い幅寸法に形成されている。また、この上壁5Aの切欠溝部6の長手方向、及び該切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向の幅寸法は、後述のクリップ1の平板部21の長手方向幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。
【0021】
また、上壁5Aの平面視四隅の各凹み部10の内側上面部には、4個の略半球状の突起部9が所定高さ(本実施例では、高さ約0.3mm〜0.6mmである。)突出するように形成されている。これにより、クリップ1を反時計方向に約90度回転させた場合に、平板部21の側面が各突起部9に当接して回転位置で保持されるようになる(図30参照)。
また、この基台部5の上壁5Aに対向する基端部4及び該基台部5の切欠溝部6の入口部から外側の所定長さ(例えば、約3〜5mmである。)の部分の基端部4には、工具孔8が穿設されている。
また、基端部4に穿設される工具孔8の切欠溝部6の入口部に対向する端縁部(図2中、右側端縁部)には、後述のようにクリップ1を基台部5に組み付けた場合に、該クリップ1の下端部に形成されるフランジ部24(図10参照)に対向する高さの正面視台形状のリブ部16が立設されている。また、このリブ部16の上端部から略垂直に該切欠溝部6の入口部より内側に入った位置で、各凹み部10に対向する位置まで延出されて下側方向に弾性変形可能な延出部17が設けられている。これにより、クリップ1が基台部5に組み付けられた場合には、後述のようにクリップ1のフランジ部24が延出部17の先端部に対向することとなる(図23参照)。
【0022】
次に、クリップ1の概略構成について図9乃至図16に基づいて説明する。
図9はクリップ1を示す平面図である。図10はクリップ1を示す正面図である。図11はクリップ1を示す底面図である。図12はクリップ1を示す右側面図である。図13は図9のC−C矢視断面図である。図14は図9のD−D矢視断面図である。図15は図10のE−E矢視断面図である。図16は図10のF−F矢視断面図である。
尚、クリップ1は、各種の樹脂、例えば、ポリプロピレンや「スーパータフナイロン」といわれる中・高衝撃ナイロン等から一体成形されている。
【0023】
図9乃至図16に示すように、クリップ1は、基台部5の上壁5Aの上面部に底面(図10中、下端面である。)が当接される平面視略長四角形の平板部21を有し(図21等参照)、この平板部21の底面の中央部には、ボス部22が垂設されている。
また、クリップ1を基台部5に取り付けた際に、この平板部21の平面視長手方向は、基台部5の上壁5Aの切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向になると共に、この平板部21の平面視長辺方向の幅寸法は、基台部5の上壁5Aの切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている(図19参照)。また、平板部21の平面視短辺方向の幅寸法は、各突起部9間の距離よりも小さい幅寸法に形成され、後述のようにクリップ1が切欠溝部6に沿って所定幅摺動可能に構成されている(図19、図23参照)。また、平板部21の平面視長手方向の両側端縁部には、全幅に渡って、後述のように被取付部材41に当接される各当接部21A、21Aが垂直上側方向に所定高さ(例えば、高さ約2mm〜4mmである。)延出されている(図30の左図参照)。
【0024】
また、このボス部22の高さ寸法は、上壁5Aの厚さ寸法にほぼ等しい高さ寸法である(図23参照)。
また、図16に示すように、このボス部22の軸方向に垂直な断面は、全体として上壁5Aに形成される切欠溝部6の奥側部分の幅寸法にほぼ等しい寸法を一辺とする略正方形に形成され、一組の対角が切欠溝部6の幅寸法とほぼ同一直径の円弧22Aをなしている。また、他の組の対角が、ほぼ直角な角部22Bをなしている。
【0025】
また、このボス部22の下端部(図10中、下端部)には、該ボス部22の下端部よりも各々外側方向に所定長さ(本実施例では、約1.5mm〜3mmである。)突出する平面視略四角形で所定厚さ(本実施例では、厚さ約4mm〜6mmの厚さ寸法である。)の平板状のフランジ部24(図10等参照)が形成されている。
また、図11に示すように、このフランジ部24は、全体として平面視略正方形に形成され、一組の対角が幅寸法とほぼ同一直径の円弧24Aをなしている。また、他の組の対角が、ほぼ直角な角部24Bをなしている。
【0026】
また、このフランジ部24の平板部21の底面に対向する切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向の左右(図10中、左右)の両外側端縁部には、基台部5の上壁5Aの下面部に当接する所定高さ(本実施例では、約0.3mm〜0.5mmの高さ寸法である。)の各当接リブ部24Cが立設されている。これにより、ボス部22を基台部5の切欠溝部6に嵌入した場合には、平板部21の底面と各当接リブ部24Cの上端面部とによって上壁5Aを挟み込み、クリップ1が基台部5に組み付けられた状態となると共に、クッリプ1が切欠溝部6に沿って摺動可能となる(図23参照)。
【0027】
また、図11、図13、図14に示すように、このフランジ部24の下端中央部(図10中、下端部)には、該フランジ部24の厚さ寸法にほぼ等しい深さ寸法を有する水平断面略六角形の凹部26が形成され、後述のように六角レンチ等の工具100の先端部を嵌入可能に構成されている(図30参照)。
【0028】
また、平板部21の上面の中央部には、後述のように被取付部材41の略長方形の長孔(第2長孔)42に嵌入される嵌入頭部28が立設されている。また、この嵌入頭部28は、全体として該長孔42の短辺方向の幅寸法を一辺とする平面視略正方形に形成される(図9参照)と共に、クリップ1を基台部5に取り付けた際に、嵌入頭部28の左右側面部(図9中、左右側面部)が切欠溝部6の長手方向に沿うように設けられている。また、嵌入頭部28の上端部は、側面視先細り状に形成されている(図12参照)。
【0029】
また、図9及び図13に示すように、嵌入頭部28の上端面部には、平板部21の上面部に達する深さで、水平断面が左右方向に長い長方形に形成された各孔部29、29が、クリップ1を基台部5に取り付けた際に、切欠溝部6の長手方向に沿うように設けられている。また、嵌入頭部28の各孔部29、29に対向する前後(図9中、上下である。)の側面部には、縦長略長方形の各貫通孔30、30が穿設されている。そして、この各貫通孔30、30の上端縁部から下側方向に延出されて内側方向に弾性変形可能に構成される一対の弾性係止片31が設けられている。この各弾性係止片31、31は、正面視略縦長四角形に形成されると共に、図13に示すように、下端部が側断面略三角形状に突出している。また、この各弾性係止片31、31の下端部から平板部21までの高さ寸法は、後述のように平板部21の上面部から各当接部21Aの上端部までの高さ寸法と被取付部材41の厚さ寸法との合計寸法よりも少し小さい寸法になるように形成されている(図30の左図参照)。これにより、後述のようにクリップ1を被取付部材41の長孔(第2長孔)42に嵌入した場合には、該長孔42の各長辺部が各弾性係止片31、31の斜め内側に傾斜する下端部に確実に当接して、該各弾性係止片31、31が長孔42の各長辺部に弾性的に係止される(図30の左図参照)。
【0030】
また、図15に示すように、嵌入頭部28は、各弾性係止片31、31の外側に突出する各突出部から平板部21までの基端部の軸方向に垂直な断面が、全体として被取付部材41の長孔42の短辺方向の幅寸法にほぼ等しい寸法を一辺とする略正方形に形成され、一組の対角が長孔42の短辺方向の幅寸法とほぼ同一直径の円弧28Aをなしている。また、他の組の対角が、ほぼ直角な角部28Bをなしている。
これにより、後述のようにクリップ1を被取付部材41の長孔42に嵌入して、該クリップ1を基台部5に取り付けた状態で回転させる場合には、嵌入頭部28の基端部の軸方向に垂直な断面形状から、その回転方向として図30の矢印X10で示す方向、即ち、工具100を反時計方向に回転させる方向しか回転できないようになっている(図30参照)。また、嵌入頭部28の基端部は、この長孔42内を反時計方向に90度しか回転できないようになっている。
【0031】
続いて、前記のように構成されたクリップ1をコンソールボックス2の組付け部3に組み付ける方法について図17乃至図24に基づいて説明する。
図17はクリップ1の組付け部3への組み付けを説明する平面図である。図18は図17の組付け途中におけるF−F矢視断面図である。図19はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する平面図である。図20はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する正面図である。図21はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する右側面図である。図22はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する底面図である。図23は図19のG−G矢視断面図である。図24は図19のH−H矢視断面図である。
【0032】
図17及び図18に示すように、クリップ1を平板部21の平面視長手方向が切欠溝部6の長手方向に対して略直角になるように、即ち、各弾性係止片31、31が切欠溝部6の長手方向に沿うようにして、矢印X1方向に移動させる。
そして、クリップ1のフランジ部24の下端部を基端部4に設けられた延出部17に当接させて、該延出部17を下側方向に押し曲げつつ、クリップ1の平板部21の下端面を基台部5の上壁5Aの上端面に当接させて矢印X1方向に移動させ、ボス部22を基台部5の切欠溝部6に嵌入させる。
【0033】
更に、図19乃至図24に示すように、クリップ1を矢印X1方向に続けて押し込むことによって、フランジ部24が延出部17の先端部から離間して、平板部21の底面とフランジ部24の各当接リブ部24Cとによって上壁5Aが挟み込まれると共に、該平板部21が切欠溝部6の入口側に突設される各突起部9を乗り越えると、該平板部12の底面部が上壁5Aに当接してクリップ1が切欠溝部6に沿って、各突起部9間を所定幅寸法だけ、摺動可能となる。また、クリップ1のフランジ部24が該延出部17の先端部に対向するため、ボス部22が切欠溝部6の入口部まで移動すると、該フランジ部24が延出部17の先端部に当接することとなり(図23参照)、クリップ1が基台部5から抜け落ちるのを防止することができる。これにより、クリップ1を切欠溝部6に沿って摺動可能な状態で常時保持できると共に、クリップ1をコンソールボックス2の組付け部3に組み付けた状態で、常時一体的に取り扱うことが可能となる。
【0034】
ここで、自動車の車体を構成する金属板(ボディ)である被取付部材41のクリップ1が係止される長孔(第2長孔)42とコンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7が嵌入される長孔(第1長孔)43とについて図25及び図26に基づいて説明する。
図25は被取付部材41のクリップ1が係止される長孔42とコンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7が嵌入される長孔(第1長孔)43とを示す平面図である。図26は図25のJ−J矢視断面図である。
【0035】
図25及び図26に示すように、厚さ寸法T1(本実施例では、T1は約0.8mm〜2mmである。)の被取付部材41には、クリップ1が係止される平面視略縦長四角形の各長孔(第2長孔)42が、各組付け部3に対向するように穿設されている。また、各長孔42間の中央位置には、この各長孔42に対して平行な平面視縦長楕円形の長孔(第1長孔)43が、コンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7に対向するように穿設されている。
また、この長孔43の短径は、位置決めボス7の軸方向に垂直な断面の最大幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。これにより、位置決めボス7を長孔43に嵌挿した場合には、該位置決めボス7は、長孔43の長径方向の略中央位置に位置決めされる、即ち、被取付部材41に対するコンソールボックス2の幅方向(図25中、X方向)の位置決めがされることとなる。
【0036】
また、各長孔42、43の長手方向(図25中、Y方向)は、コンソールボックス2の各基台部5の上壁5Aに形成される切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿うように穿設されている。また、各長孔42の長手方向(図25中、Y方向)の幅寸法は、クリップ1の各弾性係止片31、31の外側突出端部間の距離寸法よりも大きくなるように形成され、後述のようにクリップ1を反時計方向に90度回転させて該長孔42から抜く際に、各弾性係止片31、31が該長孔42を通過可能な幅寸法に形成されており(図31参照)、コンソールボックス2の組付け部3に組み付けられたクリップ1と被取付部材41との該Y方向の位置ずれが吸収されるように構成されている。
また、各長孔42の長手方向に対して直角方向の幅寸法、即ち、X方向の幅寸法は、クリップ1の嵌入頭部28の幅寸法にほぼ等しくなるように形成され、後述のようにクリップ1の各弾性係止片31、31が長孔42の各長辺部に弾性的に係止される(図30参照)。
【0037】
次に、上記のように構成されたクリップ1を介してコンソールボックス2を自動車の車体を構成する金属板(ボディ)である被取付部材41に取り付ける方法について図27乃至図29に基づいて説明する。
図27はクリップ1を介してコンソールボックス2の被取付部材41への取り付けを説明する要部断面図である。図28はクリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す要部断面図である。図29はクリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す底面図である。
【0038】
図27に示すように、先ず、コンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7を平面視縦長楕円形状の長孔(第1長孔)43に嵌入しつつ、コンソールボックス2の各組付け部3に組み付けられたクリップ1の嵌入頭部28の先端部を被取付部材41の対向する各長孔(第2長孔)42に挿入して、下方向(矢印X2方向)に押し下げ、該各長孔42、43に各嵌入頭部28と位置決めボス7とを挿通する。この際、平面視縦長楕円形状の長孔(第1長孔)43の長径方向中央位置の幅寸法は、位置決めボス7の軸方向に垂直断面の最大幅寸法にほぼ等しく形成されているため、コンソールボックス2は、この長孔43の短径方向(図25中、X方向である。)に対して位置決めされた状態で下方向に移動する。
【0039】
また、長孔42の長手方向(図25中、Y方向)は、コンソールボックス2の基台部5の上壁5Aに形成される切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿うように穿設されているため、クリップ1の各弾性係止片31、31は、長孔42の各長辺部に対向した状態で該長孔42に挿通される(図29参照)。かかる挿通作業は、被取付部材41に各クリップ1の平板部21の各当接部21Aが当接されるまで行われる。
【0040】
また、図29に示すように、各長孔42の長手方向に対して直角方向の幅寸法、即ち、X方向の幅寸法は、クリップ1の嵌入頭部28の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。このため、図27に示すように、各嵌入頭部28の先端部を被取付部材41の各長孔42に挿入して、下方向(矢印X2方向)に押し下げることによって、この各嵌入頭部28と各長孔42とがX方向(各長孔42の長手方向に対して直角方向である。)にずれている場合には、各嵌入頭部28の先端部の傾斜面に沿って、クリップ1が切欠溝部6内をX方向に摺動して、各嵌入頭部28が取付部材41の各長孔42に対してX方向の位置決めをされつつ該各長孔42に嵌入される。これにより、コンソールボックス2の各組付け部3に組み付けられたクリップ1と各長孔42との該長孔42の長手方向に対して直角方向(図29中、X方向)における位置ずれが吸収されて、該各クリップ1の嵌入頭部28を各長孔42に嵌入できる。
【0041】
また、図29に示すように、各長孔42の長手方向の幅寸法(図29中、Y方向の幅寸法)は、嵌入頭部28の幅寸法よりも大きいため、コンソールボックス2の各組付け部3に組み付けられたクリップ1と各長孔42との該各長孔42の長手方向(図29中、Y方向)における位置ずれが吸収される。
【0042】
そして、図27に示す状態から、コンソールボックス2を更に下方向(矢印X2方向)に押圧することによって、各弾性係止片31、31が長孔42の各長辺部に当接されて、内側方向に弾性変形され、各孔部29内に押し込まれる。これにより、各長孔42が該各弾性係止片31、31を通過して嵌入頭部28の基端部に嵌入され、被取付部材41が平板部21の各当接部21Aに当接されると共に、各弾性係止片31、31が再度、外側方向に弾性変形して平板部21側の斜め下方向に傾斜する各傾斜面が各長孔42の各長辺部に弾性的に当接して、各クリップ1が各長孔42に係止される(図30の左図参照)。この状態が図28及び図29に示されている。
【0043】
図28及び図29に示す状態では、各長孔42が各クリップ1の各弾性係止片31、31を通過して嵌入頭部28の基端部に嵌入されると共に、この各弾性係止片31、31の平板部21側の斜め下方向に傾斜する各傾斜面が、被取付部材41の各長孔42の各長辺部に弾性的に当接して、該被取付部材41を上方向(図28中、上方向である。)に押圧した状態になり、各クリップ1が各長孔42に係止される。また、各平板部21の各当接部21Aは、被取付部材41に押圧された状態になる。
これにより、コンソールボックス2は被取付部材41に取り付けられるものである。また、位置決めボス7は、平面視縦長楕円形状の長孔43の長径方向中央部に嵌入されるため、コンソールボックス2の長孔43の長手方向に対する直角方向(図29中、X方向)への位置ずれやガタつきを確実に防止できる。即ち、各クリップ1の長孔42の短辺方向(図29中、X方向)への位置ずれやガタつきを確実に防止できる。
【0044】
次に、上記のように各クリップ1を各長孔42に係止することによってコンソールボックス2を被取付部材41に取り付けた状態となるが、かかる各クリップ1の各長孔42への係止を解除して、コンソールボックス2を被取付部材41から取り外す操作について図30乃至図32に基づいて説明する。
図30はクリップ1と被取付部材41との係止を工具によって解除する方法を説明する図である。図31は、クリップ1と被取付部材41との係止を工具によって解除する場合の底面図である。図32は被取付部材41からコンソールボックス2を取り外す状態を説明する図である。
【0045】
図30に示すように、先ず、コンソールボックス2の各組付け部3が形成された反対側から一方の工具孔8に断面六角形の六角レンチ等の工具100を挿入して、この工具100の先端部を一方のクリップ1のフランジ部24に形成された水平断面が六角形の凹部26に挿入する。
そして、工具100を反時計方向(矢印X10方向)に回転させると、上記の通り、クリップ1の嵌入頭部28の基端部、及びボス部22のそれぞれの軸方向に垂直な断面形状から(図15、図16参照)、該嵌入頭部28の基端部は長孔42内を反時計方向に90度だけ回転し、該ボス部22は嵌入される切欠溝部6内を反時計方向に90度だけ回転するため、該クリップ1は各突起部9を乗り越えて反時計方向に90度だけ回転して停止する。また、この一方のクリップ1から工具100を抜いて、他方の工具孔8に工具100を挿入して他方のクリップ1を同様に反時計方向に90度だけ回転して停止する。尚、各クリップ1から工具100を抜いても、クリップ1が軸回りに回転すると、平板部21の側面部が各突起部9に当接するため、クリップ1が係止状態の位置に戻ることはない。
【0046】
これにより、図31に示すように、クリップ1が反時計方向(矢印X10方向)に90度だけ回転して停止した場合には、各弾性係止片31、31が被取付部材41の長孔42の長手方向に位置決めされるため、該各弾性係止片31、31と長孔42との係止が解除される。
続いて、図32に示すように、被取付部材41からコンソールボックス2を上方(矢印X11方向)に持ち上げて各クリップ1を各長孔42から抜くと共に、位置決めボス7を長孔43から抜くことによって、被取付部材41からコンソールボックス2を取り外すことができる。
【0047】
したがって、本実施例に係るクリップ1では、このクリップ1の平板部21の底面に垂設されるボス部22を、コンソールボックス2の基台部5の上壁5Aに形成される横長の切欠溝部6に一方の側面部から嵌入させることによって、この平板部21とボス部22の下端部に形成されるフランジ部24とによって基台部5の上壁5Aが挟まれるため、クリップ1をコンソールボックス2に組み付けた状態で常時一体的に取り扱うことが可能となる。また、クリップ1のフランジ部24を基端部4に設けられた延出部17に当接させて、該延出部17を下側方向に押し曲げつつ、クリップ1のボス部22を基台部5の切欠溝部6に嵌入させることによって、クリップ1のフランジ部24が該延出部17の先端部に対向するため、クリップ1が基台部5から抜け落ちるのを防止することができる。これにより、各クリップ1を切欠溝部6に沿って摺動可能な状態でコンソールボックス2に常時保持できると共に、各クリップ1をコンソールボックス2の各組付け部3に組み付けた状態で、常時一体的に取り扱うことが可能となる。
【0048】
また、各クリップ1のボス部22をコンソールボックス2の底面部に設けられる各組付け部3の基台部5の切欠溝部6に嵌入して組み付けた後、位置決めボス7を被取付部材41に切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設される長孔43に嵌入すると共に、各クリップ1の嵌入頭部28を被取付部材41に切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された各長孔42に嵌入する。そして、各嵌入頭部28が被取付部材41に穿設される各長孔42に嵌入されつつ、ボス部22が切欠溝部6内を摺動移動して、平板部21の長手方向両端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部21Aが該被取付部材41に当接されると共に、それぞれ一対の弾性係止片31が該各長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止される。
これにより、被取付部材41の長孔43及び各長孔42の長手方向に対するコンソールボックス2の位置ずれを吸収することが可能になると共に、コンソールボックス2の位置決めボス7を被取付部材41の長孔43に嵌入することによって、被取付部材41の長孔43の長手方向に対して直角方向の位置決めをすることが可能となる。また、各クリップ1の平板部21の底面に垂設されるボス部22が、切欠溝部6内を摺動移動することによって、この各クリップ1は各長孔42の長手方向に対して直角方向に移動するため、クリップ1の被取付部材41の各長孔42の長手方向に対して直角方向の位置ずれも吸収することが可能となる。
【0049】
従って、各クリップ1をコンソールボックス2に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、コンソールボックス2の被取付部材41に穿設される長孔43の長手方向に対する位置ずれを容易に吸収して、このコンソールボックス2を長孔43の長手方向に対する直角方向の位置決めをしつつ、極めて簡単なワンタッチ動作で被取付部材41に取り付けることが可能となる。また、2個の組付け部3をコンソールボックス2の底面部に設けることによって、該コンソールボックス2を被取付部材41に取り付けた後に、外部からコンソールボックス2に加えられた衝撃力等によるコンソールボックス2の該被取付部材41に対する位置ずれやガタつきを確実に防止することが可能となる。
【0050】
また、クリップ1の平板部21の長手方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部21Aが被取付部材41に当接されると共に、クリップ1の一対の弾性係止片31が該被取付部材41の長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止される。このため、該一対の当接部21Aと一対の弾性係止片31とによって被取付部材41を挟持するため、クリップ1のぐらつき等を確実に防止することが可能となる。
【0051】
また、工具孔8から工具100をクリップ1の凹部26に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、被取付部材41の長孔42とクリップ1の一対の弾性係止片31との係止を解除可能に構成されているため、被取付部材41に対するコンソールボックス2の取り外しをネジ止めの場合と同様に極めて簡単な作業により行うことができる。
【0052】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)図33乃至図36に示すように、平板部21と略同一の平面視横長四角形の平板状で、中央部にクリップ1の嵌入頭部28に嵌入可能な平面視略正方形の貫通孔51Aが穿設されて該嵌入頭部28に嵌入されて平板部21の上面部に当接されるゴム等の弾性部材で形成されて防水性を有する防水用弾性部材51を各クリップ1に装着するようにしてもよい。また、この防水用弾性部材51の厚さ寸法は、平板部21の長手方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部21Aの高さ寸法よりも大きく、且つ一対の弾性係止片31に係止可能な厚さ寸法に形成されている。
これにより、図37及び図38に示すように、この防水用弾性部材51をコンソールボックス2の各組付け部3に取り付けられるクリップ1に装着することによって、該コンソールボックス2を被取付部材41に取り付けた場合には、各当接部21Aが被取付部材41に当接されると共に、一対の弾性係止片31が該被取付部材41の各長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止されることによって、該防水用弾性部材51が厚さ方向に圧縮されて該平板部21と被取付部材41との間に挟持されるため、該各長孔42の防水を確実に行うことが可能となる。
【0053】
ここで、図33はクリップ1に防水用弾性部材51を装着した状態を示す平面図である。図34はクリップ1に防水用弾性部材51を装着した状態を示す正面図である。図35は図33のK−K矢視断面図である。図36は図33のL−L矢視断面図である。図37は防水用弾性部材51を装着した各クリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す長孔42の長手方向に対して略直角方向の要部拡大断面図である。図38は防水用弾性部材51を装着した各クリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す長孔42の長手方向の要部拡大断面図である。
【0054】
(B)また、上記実施例では、クリップ1の凹部26は、水平断面を略六角形に形成したが、水平断面を略横長四角形等に形成してマイナスドライバ等によりクリップ1を反時計方向に回転させて、コンソールボックス2を被取付部材41から取り外す構成にしてもよい。また、凹部26の水平断面を星形など特殊な形状にして専用工具でないとクリップ1を回転させることができないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施例に係るクリップと該クリップが組み付けられるコンソールボックスの組付け部と、被取付部材のクリップが係止される各長孔等を模式的に示す斜視図である。
【図2】コンソールボックスの組付け部を示す平面図である。
【図3】コンソールボックスの組付け部を示す正面図である。
【図4】コンソールボックスの組付け部を示す左側面図である。
【図5】コンソールボックスの組付け部を示す底面図である。
【図6】コンソールボックスの組付け部を示す右側面図である。
【図7】図2のA−A矢視断面図である。
【図8】図2のB−B矢視断面図である。
【図9】クリップを示す平面図である。
【図10】クリップを示す正面図である。
【図11】クリップを示す底面図である。
【図12】クリップを示す右側面図である。
【図13】図9のC−C矢視断面図である。
【図14】図9のD−D矢視断面図である。
【図15】図10のE−E矢視断面図である。
【図16】図10のF−F矢視断面図である。
【図17】クリップの組付け部への組み付けを説明する平面図である。
【図18】図17の組付け途中におけるF−F矢視断面図である。
【図19】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する平面図である。
【図20】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する正面図である。
【図21】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する右側面図である。
【図22】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する底面図である。
【図23】図19のG−G矢視断面図である。
【図24】図19のH−H矢視断面図である。
【図25】被取付部材のクリップが係止される長孔とコンソールボックスの底面部に立設される位置決めボスが嵌入される長孔とを示す平面図である。
【図26】図25のJ−J矢視断面図である。
【図27】クリップを介してコンソールボックスの被取付部材への取り付けを説明する要部断面図である。
【図28】クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を説明する要部断面図である。
【図29】クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を説明する底面図である。
【図30】クリップと被取付部材との係止を工具によって解除する方法を説明する図である。
【図31】クリップと被取付部材との係止を工具によって解除する場合の底面図である。
【図32】被取付部材からコンソールボックスを取り外す状態を説明する図である。
【図33】クリップに防水用弾性部材を装着した状態を示す平面図である。
【図34】クリップに防水用弾性部材を装着した状態を示す正面図である。
【図35】図33のK−K矢視断面図である。
【図36】図33のL−L矢視断面図である。
【図37】防水用弾性部材を装着した各クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を示す長孔の長手方向に対して略直角方向の要部拡大断面図である。
【図38】防水用弾性部材を装着した各クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を示す長孔の長手方向の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 クリップ
2 取付部材
3 組付け部
5 基台部
5A 上壁
6 切欠溝部
8 工具孔
16 リブ部
17 延出部
21 平板部
21A 当接部
22 ボス部
24 フランジ部
26 凹部
28 嵌入頭部
31 弾性係止片
41 被取付部材
42、43 長孔
51 防水用弾性部材
100 工具
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体等の被取付部材に対して、コンソールボックス、インストルメントパネル等の取付部材を取り付けるクリップに関し、特に、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、被取付部材に対する取付部材の取り付け及び取り外しを極めて簡単なワンタッチ動作で行うことが可能なクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体を構成する各種パネルに対して、コンソールボックス、インストルメントパネル等を取り付ける際に使用される各種のクリップが提案されている。
例えば、車体のフロアに形成された2つの嵌合孔のそれぞれに対して、コンソールボックスのフランジに形成された嵌合孔及び台座部に形成された貫通孔とを合致させた状態で、外側部材と内側部材とから構成されるクリップを挿通することにより、車体のフロアに取り付けられるコンソール装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−70838号公報(段落(0028)〜(0037)、図2)
【0004】
ここに、前記特許文献1に記載された外側部材と内側部材とから構成されるクリップにおいて、外側部材は、内側部材を外側部材から引き出したときに小径となってクリップを、フロア及びフランジにおける各嵌合孔及びフロアの嵌合孔、台座部の貫通孔から取り外すことができ、また、外側部材は、内側部材を外側部材に挿入したときに大径となって、クリップを各嵌合孔、貫通孔で拘束してコンソールボックスを車体のフロアに固定するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたコンソール装置に使用されるクリップを使用してコンソールボックスを車体のフロアに固定する場合、車体のフロアに穿設される各嵌合孔を長孔とすることによって、コンソールボックスの各嵌合孔とフロアの各長孔との該長孔の長手方向の位置ずれは、吸収できるが、この長手方向に対して直角な方向の位置ずれを吸収できないという問題がある。
また、コンソールボックスを車体のフロアに固定するには、先ず、コンソールボックスを車体のフロアに位置決めし、続いて、この状態でクリップを嵌合孔及び長孔に挿通する作業、及び、内側部材を外側部材内に押圧して挿入する作業が必要である。これらの作業はかなり煩雑なものであり、車体のフロアに対するコンソールボックスの固定作業に時間がかかってしまう問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、被取付部材に対する取付部材の位置ずれを容易に吸収できると共に、取り付け及び取り外しを極めて簡単なワンタッチ動作で行うことが可能なクリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1に係るクリップは、取付部材の一面側に設けられた基台部の上面部に組み付けられて該取付部材を被取付部材に取り付けるクリップにおいて、前記基台部は、側面視下側方向に開口される略コの字型に突設されると共に、上壁の一方の側面部から内側方向に形成される横長の切欠溝部を有し、前記取付部材は、前記一面側に立設される位置決めボスを有し、前記被取付部材は、前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設されて前記位置決めボスが嵌入される第1長孔を有し、前記上壁の上面部に当接される平板部と、前記平板部の底面に前記切欠溝部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法で垂設されて該切欠溝部に嵌入されるボス部と、前記ボス部の下端部から前記切欠溝部の両外側に延出されて前記上壁の底面部に当接される所定厚さのフランジ部と、前記平板部の上面に立設されて前記被取付部材に前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された第2長孔に嵌入される平面視略正方形の嵌入頭部と、前記嵌入頭部の前記切欠溝部の長手方向の両側面部に設けられて、それぞれ外側方向に所定高さ突設される係止突起が下端部に形成されて該嵌入頭部の挿入方向に弾性変形可能な一対の弾性係止片と、前記平板部の前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部と、を備え、前記位置決めボスが前記被取付部材に穿設される第1長孔に嵌入されると共に、前記嵌入頭部が前記被取付部材に穿設される第2長孔に嵌入されつつ、前記ボス部が前記切欠溝部内を移動して、前記一対の当接部が該被取付部材に当接されると共に、前記一対の弾性係止片が該第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係るクリップは、請求項1に記載のクリップにおいて、前記取付部材は、前記基台部の前記上壁の一方の側面部の外側に立設されるリブ部と、前記リブ部の前記フランジ部に対向する高さから略垂直に前記切欠溝部の入口部まで延出されて下側方向に弾性変形可能な延出部と、を有し、前記ボス部を該切欠溝部に嵌入する場合に、該フランジ部は、前記延出部を下側方向に押し曲げつつ移動することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係るクリップは、請求項1又は請求項2に記載のクリップにおいて、前記取付部材は、前記基台部の上壁部に対向する位置に穿設される工具孔を有し、前記フランジ部は、底面部に形成されて工具の先端部が挿入される凹部を有し、前記嵌入頭部の前記第2長孔の内周面に対向する部分と、前記ボス部とは、水平断面が、全体として略正方形状をなし、一組の対角が該各正方形の一辺を直径とする円弧をなし、他の対角が略直角をなすように形成され、前記工具孔から工具を前記凹部に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、前記第2長孔と前記一対の弾性係止片との係止が解除されることを特徴とする。
【0010】
更に、請求項4に係るクリップは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリップにおいて、前記嵌入頭部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法の平面視略正方形の貫通孔が穿設されて、該貫通孔に該嵌入頭部が嵌挿されて前記平板部の上面に当接される平板状の防水用弾性部材を備え、前記防水用弾性部材の厚さは、前記当接部の高さ寸法よりも大きく、且つ前記一対の弾性係止片に係止可能な厚さであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に係るクリップでは、このクリップの平板部の底面に垂設されるボス部を、取付部材の基台部の上壁に形成される横長の切欠溝部に一方の側面部から嵌入させることによって、この平板部とボス部の下端部に形成されるフランジ部とによって基台部の上壁が挟まれるため、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱うことが可能となる。
【0012】
また、クリップのボス部を基台部の切欠溝部に嵌入して組み付けた後、位置決めボスを被取付部材に切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設される第1長孔に嵌入すると共に、クリップの嵌入頭部を被取付部材に切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された第2長孔に嵌入する。そして、嵌入頭部が被取付部材に穿設される第2長孔に嵌入されつつ、ボス部が切欠溝部内を移動して、平板部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部が該被取付部材に当接されると共に、一対の弾性係止片が該第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止される。
これにより、被取付部材の第1長孔及び第2長孔の長手方向に対する取付部材の位置ずれを吸収することが可能になると共に、取付部材の位置決めボスを被取付部材の第1長孔に嵌入することによって、被取付部材の第1長孔の長手方向に対して直角方向の位置決めをすることが可能となる。また、クリップの平板部の底面に垂設されるボス部が、切欠溝部内を移動することによって、このクリップは第2長孔の長手方向に対して直角方向に移動するため、クリップの被取付部材の第2長孔の長手方向に対して直角方向の位置ずれも吸収することが可能となる。
【0013】
従って、クリップを取付部材に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、取付部材の被取付部材に穿設される第1長孔の長手方向に対する位置ずれを容易に吸収して、この取付部材を第1長孔の長手方向に対する直角方向の位置決めをしつつ、極めて簡単なワンタッチ動作で被取付部材に取り付けることが可能となる。また、複数の基台部を取付部材に設けることによって、該取付部材を被取付部材に取り付けた後に、外部から取付部材に加えられた衝撃力等による取付部材の該被取付部材に対する位置ずれやガタつきを確実に防止することが可能となる。
【0014】
また、位置決めボスが嵌入される被取付部材の第1長孔は、基台部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に形成されると共に、クリップの嵌入頭部が嵌入される被取付部材の第2長孔の幅寸法は嵌入頭部の幅寸法にほぼ等しいため、位置決めボスが第1長孔に嵌入されることによって、クリップの切欠溝部の長手方向の移動、即ち、被取付部材の第2長孔の長手方向に対して直交する方向の位置ずれを防止することが可能となる。即ち、取付部材を被取付部材に取り付けた後に加えられた衝撃力等によるクリップの該取付部材に対する位置ずれやガタつきを防止することが可能となる。
また、クリップの平板部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部が被取付部材に当接されると共に、クリップの一対の弾性係止片が該被取付部材の第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止される。このため、該一対の当接部と一対の弾性係止片とによって被取付部材を挟持するため、クリップのぐらつき等を確実に防止することが可能となる。
【0015】
また、請求項2に係るクリップでは、フランジ部が延出部を下側方向に押し曲げつつ移動して、ボス部が切欠溝部に嵌入された場合には、該フランジ部は、切欠溝部の入口部まで延出された延出部に対向する。このため、クリップを基台部に取り付けた後に、取付部材の搬送時等に外部から加えられた衝撃力等によるクリップの抜け落ちを確実に防止することができる。
【0016】
また、請求項3に係るクリップでは、工具孔から工具をクリップの凹部に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、被取付部材の第2長孔とクリップの一対の弾性係止片との係止を解除可能に構成されているため、被取付部材に対する取付部材の取り外しをネジ止めの場合と同様に極めて簡単な作業により行うことができる。
【0017】
更に、請求項4に係るクリップでは、平面視略正方形の貫通孔が穿設されて嵌入頭部に嵌入されて平板部の上面に当接される平板状の防水用弾性部材が設けられている。また、この防水用弾性部材の厚さは、平板部の切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部の高さ寸法よりも大きく、且つ一対の弾性係止片に係止可能な厚さである。
このため、一対の当接部が被取付部材に当接されると共に、一対の弾性係止片が該被取付部材の第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止されることによって、防水用弾性部材が厚さ方向に圧縮されて該平板部と被取付部材との間に挟持されるため、該第2長孔の防水を確実に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るクリップについて、本発明を具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施例に係るクリップと、このクリップが組み付けられる取付部材としてのコンソールボックスの組付け部と、自動車の車体を構成する金属板(ボディ)から構成される被取付部材のクリップが係止される各長孔等に関する全体構成について図1に基づき説明する。
図1は本実施例に係るクリップと該クリップが組み付けられるコンソールボックスの組付け部と、被取付部材のクリップが係止される各長孔等を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、クリップ1は、コンソールボックス2の底面部の前方側左右角部に設けられた一対の組付け部3にそれぞれ組み付けられる。また、コンソールボックス2の底面部には、各組付け部3の間の略中央部に、断面十字形(図29参照)の位置決めボス7が該クリップ1よりも下側方向に突出するように立設されている(図27参照)。また、自動車の車体を構成する金属板(ボディ)である被取付部材41には、後述のように各クリップ1が嵌入される一対の長孔(第2長孔)42が穿設され、また、各長孔42の間の中央部に位置決めボス7が嵌入される長孔(第1長孔)43が穿設されている。
【0019】
ここで、先ず、コンソールボックス2の組付け部3の概略構成について、図2乃至図8に基づいて説明する。尚、コンソールボックス2の各組付け部3の構成は同じであるため、以下、図1中、右側の組付け部3の概略構成について説明する。
図2はコンソールボックス2の組付け部3を示す平面図である。図3はコンソールボックス2の組付け部3を示す正面図である。図4はコンソールボックス2の組付け部3を示す左側面図である。図5はコンソールボックス2の組付け部3を示す底面図である。図6はコンソールボックス2の組付け部3を示す右側面図である。図7は図2のA−A矢視断面図である。図8は図2のB−B矢視断面図である。
ここで、図1乃至図8において、コンソールボックス2の組付け部3は、各種の樹脂、例えば、ポリプロピレンや「スーパータフナイロン」といわれる中・高衝撃ナイロン等からコンソールボックス2に一体成形されている。
【0020】
図2乃至図8に示すように、組付け部3は、コンソールボックス2の一面側(図1中、底面側)に設けられており、各種の成形方法によりコンソールボックス2と一体に成形される基端部4を有する。
この基端部4には、下側方向に開口される側面視略コの字型に上側方向に膨出すると共に、平面視略四角形で四隅が内側に窪むように各凹み部10が形成される基台部5が設けられている。また、この基台部5の上壁5Aの中央部及び外側(図2中、右側である。)の側面部5Bには、この側面部5Bから内側方向に高さ方向全幅に渡って切り欠かれて形成される平面視横長の切欠溝部6が形成されている。また、この切欠溝部6の入口部は、外側(図2中、右側である。)の各凹み部10に対向する位置まで、上壁5Aの中央部分よりもやや広い幅寸法に形成されている。また、この上壁5Aの切欠溝部6の長手方向、及び該切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向の幅寸法は、後述のクリップ1の平板部21の長手方向幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。
【0021】
また、上壁5Aの平面視四隅の各凹み部10の内側上面部には、4個の略半球状の突起部9が所定高さ(本実施例では、高さ約0.3mm〜0.6mmである。)突出するように形成されている。これにより、クリップ1を反時計方向に約90度回転させた場合に、平板部21の側面が各突起部9に当接して回転位置で保持されるようになる(図30参照)。
また、この基台部5の上壁5Aに対向する基端部4及び該基台部5の切欠溝部6の入口部から外側の所定長さ(例えば、約3〜5mmである。)の部分の基端部4には、工具孔8が穿設されている。
また、基端部4に穿設される工具孔8の切欠溝部6の入口部に対向する端縁部(図2中、右側端縁部)には、後述のようにクリップ1を基台部5に組み付けた場合に、該クリップ1の下端部に形成されるフランジ部24(図10参照)に対向する高さの正面視台形状のリブ部16が立設されている。また、このリブ部16の上端部から略垂直に該切欠溝部6の入口部より内側に入った位置で、各凹み部10に対向する位置まで延出されて下側方向に弾性変形可能な延出部17が設けられている。これにより、クリップ1が基台部5に組み付けられた場合には、後述のようにクリップ1のフランジ部24が延出部17の先端部に対向することとなる(図23参照)。
【0022】
次に、クリップ1の概略構成について図9乃至図16に基づいて説明する。
図9はクリップ1を示す平面図である。図10はクリップ1を示す正面図である。図11はクリップ1を示す底面図である。図12はクリップ1を示す右側面図である。図13は図9のC−C矢視断面図である。図14は図9のD−D矢視断面図である。図15は図10のE−E矢視断面図である。図16は図10のF−F矢視断面図である。
尚、クリップ1は、各種の樹脂、例えば、ポリプロピレンや「スーパータフナイロン」といわれる中・高衝撃ナイロン等から一体成形されている。
【0023】
図9乃至図16に示すように、クリップ1は、基台部5の上壁5Aの上面部に底面(図10中、下端面である。)が当接される平面視略長四角形の平板部21を有し(図21等参照)、この平板部21の底面の中央部には、ボス部22が垂設されている。
また、クリップ1を基台部5に取り付けた際に、この平板部21の平面視長手方向は、基台部5の上壁5Aの切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向になると共に、この平板部21の平面視長辺方向の幅寸法は、基台部5の上壁5Aの切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている(図19参照)。また、平板部21の平面視短辺方向の幅寸法は、各突起部9間の距離よりも小さい幅寸法に形成され、後述のようにクリップ1が切欠溝部6に沿って所定幅摺動可能に構成されている(図19、図23参照)。また、平板部21の平面視長手方向の両側端縁部には、全幅に渡って、後述のように被取付部材41に当接される各当接部21A、21Aが垂直上側方向に所定高さ(例えば、高さ約2mm〜4mmである。)延出されている(図30の左図参照)。
【0024】
また、このボス部22の高さ寸法は、上壁5Aの厚さ寸法にほぼ等しい高さ寸法である(図23参照)。
また、図16に示すように、このボス部22の軸方向に垂直な断面は、全体として上壁5Aに形成される切欠溝部6の奥側部分の幅寸法にほぼ等しい寸法を一辺とする略正方形に形成され、一組の対角が切欠溝部6の幅寸法とほぼ同一直径の円弧22Aをなしている。また、他の組の対角が、ほぼ直角な角部22Bをなしている。
【0025】
また、このボス部22の下端部(図10中、下端部)には、該ボス部22の下端部よりも各々外側方向に所定長さ(本実施例では、約1.5mm〜3mmである。)突出する平面視略四角形で所定厚さ(本実施例では、厚さ約4mm〜6mmの厚さ寸法である。)の平板状のフランジ部24(図10等参照)が形成されている。
また、図11に示すように、このフランジ部24は、全体として平面視略正方形に形成され、一組の対角が幅寸法とほぼ同一直径の円弧24Aをなしている。また、他の組の対角が、ほぼ直角な角部24Bをなしている。
【0026】
また、このフランジ部24の平板部21の底面に対向する切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向の左右(図10中、左右)の両外側端縁部には、基台部5の上壁5Aの下面部に当接する所定高さ(本実施例では、約0.3mm〜0.5mmの高さ寸法である。)の各当接リブ部24Cが立設されている。これにより、ボス部22を基台部5の切欠溝部6に嵌入した場合には、平板部21の底面と各当接リブ部24Cの上端面部とによって上壁5Aを挟み込み、クリップ1が基台部5に組み付けられた状態となると共に、クッリプ1が切欠溝部6に沿って摺動可能となる(図23参照)。
【0027】
また、図11、図13、図14に示すように、このフランジ部24の下端中央部(図10中、下端部)には、該フランジ部24の厚さ寸法にほぼ等しい深さ寸法を有する水平断面略六角形の凹部26が形成され、後述のように六角レンチ等の工具100の先端部を嵌入可能に構成されている(図30参照)。
【0028】
また、平板部21の上面の中央部には、後述のように被取付部材41の略長方形の長孔(第2長孔)42に嵌入される嵌入頭部28が立設されている。また、この嵌入頭部28は、全体として該長孔42の短辺方向の幅寸法を一辺とする平面視略正方形に形成される(図9参照)と共に、クリップ1を基台部5に取り付けた際に、嵌入頭部28の左右側面部(図9中、左右側面部)が切欠溝部6の長手方向に沿うように設けられている。また、嵌入頭部28の上端部は、側面視先細り状に形成されている(図12参照)。
【0029】
また、図9及び図13に示すように、嵌入頭部28の上端面部には、平板部21の上面部に達する深さで、水平断面が左右方向に長い長方形に形成された各孔部29、29が、クリップ1を基台部5に取り付けた際に、切欠溝部6の長手方向に沿うように設けられている。また、嵌入頭部28の各孔部29、29に対向する前後(図9中、上下である。)の側面部には、縦長略長方形の各貫通孔30、30が穿設されている。そして、この各貫通孔30、30の上端縁部から下側方向に延出されて内側方向に弾性変形可能に構成される一対の弾性係止片31が設けられている。この各弾性係止片31、31は、正面視略縦長四角形に形成されると共に、図13に示すように、下端部が側断面略三角形状に突出している。また、この各弾性係止片31、31の下端部から平板部21までの高さ寸法は、後述のように平板部21の上面部から各当接部21Aの上端部までの高さ寸法と被取付部材41の厚さ寸法との合計寸法よりも少し小さい寸法になるように形成されている(図30の左図参照)。これにより、後述のようにクリップ1を被取付部材41の長孔(第2長孔)42に嵌入した場合には、該長孔42の各長辺部が各弾性係止片31、31の斜め内側に傾斜する下端部に確実に当接して、該各弾性係止片31、31が長孔42の各長辺部に弾性的に係止される(図30の左図参照)。
【0030】
また、図15に示すように、嵌入頭部28は、各弾性係止片31、31の外側に突出する各突出部から平板部21までの基端部の軸方向に垂直な断面が、全体として被取付部材41の長孔42の短辺方向の幅寸法にほぼ等しい寸法を一辺とする略正方形に形成され、一組の対角が長孔42の短辺方向の幅寸法とほぼ同一直径の円弧28Aをなしている。また、他の組の対角が、ほぼ直角な角部28Bをなしている。
これにより、後述のようにクリップ1を被取付部材41の長孔42に嵌入して、該クリップ1を基台部5に取り付けた状態で回転させる場合には、嵌入頭部28の基端部の軸方向に垂直な断面形状から、その回転方向として図30の矢印X10で示す方向、即ち、工具100を反時計方向に回転させる方向しか回転できないようになっている(図30参照)。また、嵌入頭部28の基端部は、この長孔42内を反時計方向に90度しか回転できないようになっている。
【0031】
続いて、前記のように構成されたクリップ1をコンソールボックス2の組付け部3に組み付ける方法について図17乃至図24に基づいて説明する。
図17はクリップ1の組付け部3への組み付けを説明する平面図である。図18は図17の組付け途中におけるF−F矢視断面図である。図19はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する平面図である。図20はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する正面図である。図21はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する右側面図である。図22はクリップ1を組付け部3へ組み付けた状態を説明する底面図である。図23は図19のG−G矢視断面図である。図24は図19のH−H矢視断面図である。
【0032】
図17及び図18に示すように、クリップ1を平板部21の平面視長手方向が切欠溝部6の長手方向に対して略直角になるように、即ち、各弾性係止片31、31が切欠溝部6の長手方向に沿うようにして、矢印X1方向に移動させる。
そして、クリップ1のフランジ部24の下端部を基端部4に設けられた延出部17に当接させて、該延出部17を下側方向に押し曲げつつ、クリップ1の平板部21の下端面を基台部5の上壁5Aの上端面に当接させて矢印X1方向に移動させ、ボス部22を基台部5の切欠溝部6に嵌入させる。
【0033】
更に、図19乃至図24に示すように、クリップ1を矢印X1方向に続けて押し込むことによって、フランジ部24が延出部17の先端部から離間して、平板部21の底面とフランジ部24の各当接リブ部24Cとによって上壁5Aが挟み込まれると共に、該平板部21が切欠溝部6の入口側に突設される各突起部9を乗り越えると、該平板部12の底面部が上壁5Aに当接してクリップ1が切欠溝部6に沿って、各突起部9間を所定幅寸法だけ、摺動可能となる。また、クリップ1のフランジ部24が該延出部17の先端部に対向するため、ボス部22が切欠溝部6の入口部まで移動すると、該フランジ部24が延出部17の先端部に当接することとなり(図23参照)、クリップ1が基台部5から抜け落ちるのを防止することができる。これにより、クリップ1を切欠溝部6に沿って摺動可能な状態で常時保持できると共に、クリップ1をコンソールボックス2の組付け部3に組み付けた状態で、常時一体的に取り扱うことが可能となる。
【0034】
ここで、自動車の車体を構成する金属板(ボディ)である被取付部材41のクリップ1が係止される長孔(第2長孔)42とコンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7が嵌入される長孔(第1長孔)43とについて図25及び図26に基づいて説明する。
図25は被取付部材41のクリップ1が係止される長孔42とコンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7が嵌入される長孔(第1長孔)43とを示す平面図である。図26は図25のJ−J矢視断面図である。
【0035】
図25及び図26に示すように、厚さ寸法T1(本実施例では、T1は約0.8mm〜2mmである。)の被取付部材41には、クリップ1が係止される平面視略縦長四角形の各長孔(第2長孔)42が、各組付け部3に対向するように穿設されている。また、各長孔42間の中央位置には、この各長孔42に対して平行な平面視縦長楕円形の長孔(第1長孔)43が、コンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7に対向するように穿設されている。
また、この長孔43の短径は、位置決めボス7の軸方向に垂直な断面の最大幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。これにより、位置決めボス7を長孔43に嵌挿した場合には、該位置決めボス7は、長孔43の長径方向の略中央位置に位置決めされる、即ち、被取付部材41に対するコンソールボックス2の幅方向(図25中、X方向)の位置決めがされることとなる。
【0036】
また、各長孔42、43の長手方向(図25中、Y方向)は、コンソールボックス2の各基台部5の上壁5Aに形成される切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿うように穿設されている。また、各長孔42の長手方向(図25中、Y方向)の幅寸法は、クリップ1の各弾性係止片31、31の外側突出端部間の距離寸法よりも大きくなるように形成され、後述のようにクリップ1を反時計方向に90度回転させて該長孔42から抜く際に、各弾性係止片31、31が該長孔42を通過可能な幅寸法に形成されており(図31参照)、コンソールボックス2の組付け部3に組み付けられたクリップ1と被取付部材41との該Y方向の位置ずれが吸収されるように構成されている。
また、各長孔42の長手方向に対して直角方向の幅寸法、即ち、X方向の幅寸法は、クリップ1の嵌入頭部28の幅寸法にほぼ等しくなるように形成され、後述のようにクリップ1の各弾性係止片31、31が長孔42の各長辺部に弾性的に係止される(図30参照)。
【0037】
次に、上記のように構成されたクリップ1を介してコンソールボックス2を自動車の車体を構成する金属板(ボディ)である被取付部材41に取り付ける方法について図27乃至図29に基づいて説明する。
図27はクリップ1を介してコンソールボックス2の被取付部材41への取り付けを説明する要部断面図である。図28はクリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す要部断面図である。図29はクリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す底面図である。
【0038】
図27に示すように、先ず、コンソールボックス2の底面部に立設される位置決めボス7を平面視縦長楕円形状の長孔(第1長孔)43に嵌入しつつ、コンソールボックス2の各組付け部3に組み付けられたクリップ1の嵌入頭部28の先端部を被取付部材41の対向する各長孔(第2長孔)42に挿入して、下方向(矢印X2方向)に押し下げ、該各長孔42、43に各嵌入頭部28と位置決めボス7とを挿通する。この際、平面視縦長楕円形状の長孔(第1長孔)43の長径方向中央位置の幅寸法は、位置決めボス7の軸方向に垂直断面の最大幅寸法にほぼ等しく形成されているため、コンソールボックス2は、この長孔43の短径方向(図25中、X方向である。)に対して位置決めされた状態で下方向に移動する。
【0039】
また、長孔42の長手方向(図25中、Y方向)は、コンソールボックス2の基台部5の上壁5Aに形成される切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿うように穿設されているため、クリップ1の各弾性係止片31、31は、長孔42の各長辺部に対向した状態で該長孔42に挿通される(図29参照)。かかる挿通作業は、被取付部材41に各クリップ1の平板部21の各当接部21Aが当接されるまで行われる。
【0040】
また、図29に示すように、各長孔42の長手方向に対して直角方向の幅寸法、即ち、X方向の幅寸法は、クリップ1の嵌入頭部28の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。このため、図27に示すように、各嵌入頭部28の先端部を被取付部材41の各長孔42に挿入して、下方向(矢印X2方向)に押し下げることによって、この各嵌入頭部28と各長孔42とがX方向(各長孔42の長手方向に対して直角方向である。)にずれている場合には、各嵌入頭部28の先端部の傾斜面に沿って、クリップ1が切欠溝部6内をX方向に摺動して、各嵌入頭部28が取付部材41の各長孔42に対してX方向の位置決めをされつつ該各長孔42に嵌入される。これにより、コンソールボックス2の各組付け部3に組み付けられたクリップ1と各長孔42との該長孔42の長手方向に対して直角方向(図29中、X方向)における位置ずれが吸収されて、該各クリップ1の嵌入頭部28を各長孔42に嵌入できる。
【0041】
また、図29に示すように、各長孔42の長手方向の幅寸法(図29中、Y方向の幅寸法)は、嵌入頭部28の幅寸法よりも大きいため、コンソールボックス2の各組付け部3に組み付けられたクリップ1と各長孔42との該各長孔42の長手方向(図29中、Y方向)における位置ずれが吸収される。
【0042】
そして、図27に示す状態から、コンソールボックス2を更に下方向(矢印X2方向)に押圧することによって、各弾性係止片31、31が長孔42の各長辺部に当接されて、内側方向に弾性変形され、各孔部29内に押し込まれる。これにより、各長孔42が該各弾性係止片31、31を通過して嵌入頭部28の基端部に嵌入され、被取付部材41が平板部21の各当接部21Aに当接されると共に、各弾性係止片31、31が再度、外側方向に弾性変形して平板部21側の斜め下方向に傾斜する各傾斜面が各長孔42の各長辺部に弾性的に当接して、各クリップ1が各長孔42に係止される(図30の左図参照)。この状態が図28及び図29に示されている。
【0043】
図28及び図29に示す状態では、各長孔42が各クリップ1の各弾性係止片31、31を通過して嵌入頭部28の基端部に嵌入されると共に、この各弾性係止片31、31の平板部21側の斜め下方向に傾斜する各傾斜面が、被取付部材41の各長孔42の各長辺部に弾性的に当接して、該被取付部材41を上方向(図28中、上方向である。)に押圧した状態になり、各クリップ1が各長孔42に係止される。また、各平板部21の各当接部21Aは、被取付部材41に押圧された状態になる。
これにより、コンソールボックス2は被取付部材41に取り付けられるものである。また、位置決めボス7は、平面視縦長楕円形状の長孔43の長径方向中央部に嵌入されるため、コンソールボックス2の長孔43の長手方向に対する直角方向(図29中、X方向)への位置ずれやガタつきを確実に防止できる。即ち、各クリップ1の長孔42の短辺方向(図29中、X方向)への位置ずれやガタつきを確実に防止できる。
【0044】
次に、上記のように各クリップ1を各長孔42に係止することによってコンソールボックス2を被取付部材41に取り付けた状態となるが、かかる各クリップ1の各長孔42への係止を解除して、コンソールボックス2を被取付部材41から取り外す操作について図30乃至図32に基づいて説明する。
図30はクリップ1と被取付部材41との係止を工具によって解除する方法を説明する図である。図31は、クリップ1と被取付部材41との係止を工具によって解除する場合の底面図である。図32は被取付部材41からコンソールボックス2を取り外す状態を説明する図である。
【0045】
図30に示すように、先ず、コンソールボックス2の各組付け部3が形成された反対側から一方の工具孔8に断面六角形の六角レンチ等の工具100を挿入して、この工具100の先端部を一方のクリップ1のフランジ部24に形成された水平断面が六角形の凹部26に挿入する。
そして、工具100を反時計方向(矢印X10方向)に回転させると、上記の通り、クリップ1の嵌入頭部28の基端部、及びボス部22のそれぞれの軸方向に垂直な断面形状から(図15、図16参照)、該嵌入頭部28の基端部は長孔42内を反時計方向に90度だけ回転し、該ボス部22は嵌入される切欠溝部6内を反時計方向に90度だけ回転するため、該クリップ1は各突起部9を乗り越えて反時計方向に90度だけ回転して停止する。また、この一方のクリップ1から工具100を抜いて、他方の工具孔8に工具100を挿入して他方のクリップ1を同様に反時計方向に90度だけ回転して停止する。尚、各クリップ1から工具100を抜いても、クリップ1が軸回りに回転すると、平板部21の側面部が各突起部9に当接するため、クリップ1が係止状態の位置に戻ることはない。
【0046】
これにより、図31に示すように、クリップ1が反時計方向(矢印X10方向)に90度だけ回転して停止した場合には、各弾性係止片31、31が被取付部材41の長孔42の長手方向に位置決めされるため、該各弾性係止片31、31と長孔42との係止が解除される。
続いて、図32に示すように、被取付部材41からコンソールボックス2を上方(矢印X11方向)に持ち上げて各クリップ1を各長孔42から抜くと共に、位置決めボス7を長孔43から抜くことによって、被取付部材41からコンソールボックス2を取り外すことができる。
【0047】
したがって、本実施例に係るクリップ1では、このクリップ1の平板部21の底面に垂設されるボス部22を、コンソールボックス2の基台部5の上壁5Aに形成される横長の切欠溝部6に一方の側面部から嵌入させることによって、この平板部21とボス部22の下端部に形成されるフランジ部24とによって基台部5の上壁5Aが挟まれるため、クリップ1をコンソールボックス2に組み付けた状態で常時一体的に取り扱うことが可能となる。また、クリップ1のフランジ部24を基端部4に設けられた延出部17に当接させて、該延出部17を下側方向に押し曲げつつ、クリップ1のボス部22を基台部5の切欠溝部6に嵌入させることによって、クリップ1のフランジ部24が該延出部17の先端部に対向するため、クリップ1が基台部5から抜け落ちるのを防止することができる。これにより、各クリップ1を切欠溝部6に沿って摺動可能な状態でコンソールボックス2に常時保持できると共に、各クリップ1をコンソールボックス2の各組付け部3に組み付けた状態で、常時一体的に取り扱うことが可能となる。
【0048】
また、各クリップ1のボス部22をコンソールボックス2の底面部に設けられる各組付け部3の基台部5の切欠溝部6に嵌入して組み付けた後、位置決めボス7を被取付部材41に切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設される長孔43に嵌入すると共に、各クリップ1の嵌入頭部28を被取付部材41に切欠溝部6の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された各長孔42に嵌入する。そして、各嵌入頭部28が被取付部材41に穿設される各長孔42に嵌入されつつ、ボス部22が切欠溝部6内を摺動移動して、平板部21の長手方向両端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部21Aが該被取付部材41に当接されると共に、それぞれ一対の弾性係止片31が該各長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止される。
これにより、被取付部材41の長孔43及び各長孔42の長手方向に対するコンソールボックス2の位置ずれを吸収することが可能になると共に、コンソールボックス2の位置決めボス7を被取付部材41の長孔43に嵌入することによって、被取付部材41の長孔43の長手方向に対して直角方向の位置決めをすることが可能となる。また、各クリップ1の平板部21の底面に垂設されるボス部22が、切欠溝部6内を摺動移動することによって、この各クリップ1は各長孔42の長手方向に対して直角方向に移動するため、クリップ1の被取付部材41の各長孔42の長手方向に対して直角方向の位置ずれも吸収することが可能となる。
【0049】
従って、各クリップ1をコンソールボックス2に組み付けた状態で常時一体的に取り扱いつつ、コンソールボックス2の被取付部材41に穿設される長孔43の長手方向に対する位置ずれを容易に吸収して、このコンソールボックス2を長孔43の長手方向に対する直角方向の位置決めをしつつ、極めて簡単なワンタッチ動作で被取付部材41に取り付けることが可能となる。また、2個の組付け部3をコンソールボックス2の底面部に設けることによって、該コンソールボックス2を被取付部材41に取り付けた後に、外部からコンソールボックス2に加えられた衝撃力等によるコンソールボックス2の該被取付部材41に対する位置ずれやガタつきを確実に防止することが可能となる。
【0050】
また、クリップ1の平板部21の長手方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部21Aが被取付部材41に当接されると共に、クリップ1の一対の弾性係止片31が該被取付部材41の長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止される。このため、該一対の当接部21Aと一対の弾性係止片31とによって被取付部材41を挟持するため、クリップ1のぐらつき等を確実に防止することが可能となる。
【0051】
また、工具孔8から工具100をクリップ1の凹部26に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、被取付部材41の長孔42とクリップ1の一対の弾性係止片31との係止を解除可能に構成されているため、被取付部材41に対するコンソールボックス2の取り外しをネジ止めの場合と同様に極めて簡単な作業により行うことができる。
【0052】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)図33乃至図36に示すように、平板部21と略同一の平面視横長四角形の平板状で、中央部にクリップ1の嵌入頭部28に嵌入可能な平面視略正方形の貫通孔51Aが穿設されて該嵌入頭部28に嵌入されて平板部21の上面部に当接されるゴム等の弾性部材で形成されて防水性を有する防水用弾性部材51を各クリップ1に装着するようにしてもよい。また、この防水用弾性部材51の厚さ寸法は、平板部21の長手方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部21Aの高さ寸法よりも大きく、且つ一対の弾性係止片31に係止可能な厚さ寸法に形成されている。
これにより、図37及び図38に示すように、この防水用弾性部材51をコンソールボックス2の各組付け部3に取り付けられるクリップ1に装着することによって、該コンソールボックス2を被取付部材41に取り付けた場合には、各当接部21Aが被取付部材41に当接されると共に、一対の弾性係止片31が該被取付部材41の各長孔42の各長辺部周縁に弾性的に係止されることによって、該防水用弾性部材51が厚さ方向に圧縮されて該平板部21と被取付部材41との間に挟持されるため、該各長孔42の防水を確実に行うことが可能となる。
【0053】
ここで、図33はクリップ1に防水用弾性部材51を装着した状態を示す平面図である。図34はクリップ1に防水用弾性部材51を装着した状態を示す正面図である。図35は図33のK−K矢視断面図である。図36は図33のL−L矢視断面図である。図37は防水用弾性部材51を装着した各クリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す長孔42の長手方向に対して略直角方向の要部拡大断面図である。図38は防水用弾性部材51を装着した各クリップ1を介してコンソールボックス2を被取付部材41に係止した状態を示す長孔42の長手方向の要部拡大断面図である。
【0054】
(B)また、上記実施例では、クリップ1の凹部26は、水平断面を略六角形に形成したが、水平断面を略横長四角形等に形成してマイナスドライバ等によりクリップ1を反時計方向に回転させて、コンソールボックス2を被取付部材41から取り外す構成にしてもよい。また、凹部26の水平断面を星形など特殊な形状にして専用工具でないとクリップ1を回転させることができないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施例に係るクリップと該クリップが組み付けられるコンソールボックスの組付け部と、被取付部材のクリップが係止される各長孔等を模式的に示す斜視図である。
【図2】コンソールボックスの組付け部を示す平面図である。
【図3】コンソールボックスの組付け部を示す正面図である。
【図4】コンソールボックスの組付け部を示す左側面図である。
【図5】コンソールボックスの組付け部を示す底面図である。
【図6】コンソールボックスの組付け部を示す右側面図である。
【図7】図2のA−A矢視断面図である。
【図8】図2のB−B矢視断面図である。
【図9】クリップを示す平面図である。
【図10】クリップを示す正面図である。
【図11】クリップを示す底面図である。
【図12】クリップを示す右側面図である。
【図13】図9のC−C矢視断面図である。
【図14】図9のD−D矢視断面図である。
【図15】図10のE−E矢視断面図である。
【図16】図10のF−F矢視断面図である。
【図17】クリップの組付け部への組み付けを説明する平面図である。
【図18】図17の組付け途中におけるF−F矢視断面図である。
【図19】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する平面図である。
【図20】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する正面図である。
【図21】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する右側面図である。
【図22】クリップを組付け部へ組み付けた状態を説明する底面図である。
【図23】図19のG−G矢視断面図である。
【図24】図19のH−H矢視断面図である。
【図25】被取付部材のクリップが係止される長孔とコンソールボックスの底面部に立設される位置決めボスが嵌入される長孔とを示す平面図である。
【図26】図25のJ−J矢視断面図である。
【図27】クリップを介してコンソールボックスの被取付部材への取り付けを説明する要部断面図である。
【図28】クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を説明する要部断面図である。
【図29】クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を説明する底面図である。
【図30】クリップと被取付部材との係止を工具によって解除する方法を説明する図である。
【図31】クリップと被取付部材との係止を工具によって解除する場合の底面図である。
【図32】被取付部材からコンソールボックスを取り外す状態を説明する図である。
【図33】クリップに防水用弾性部材を装着した状態を示す平面図である。
【図34】クリップに防水用弾性部材を装着した状態を示す正面図である。
【図35】図33のK−K矢視断面図である。
【図36】図33のL−L矢視断面図である。
【図37】防水用弾性部材を装着した各クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を示す長孔の長手方向に対して略直角方向の要部拡大断面図である。
【図38】防水用弾性部材を装着した各クリップを介してコンソールボックスを被取付部材に係止した状態を示す長孔の長手方向の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 クリップ
2 取付部材
3 組付け部
5 基台部
5A 上壁
6 切欠溝部
8 工具孔
16 リブ部
17 延出部
21 平板部
21A 当接部
22 ボス部
24 フランジ部
26 凹部
28 嵌入頭部
31 弾性係止片
41 被取付部材
42、43 長孔
51 防水用弾性部材
100 工具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材の一面側に設けられた基台部の上面部に組み付けられて該取付部材を被取付部材に取り付けるクリップにおいて、
前記基台部は、側面視下側方向に開口される略コの字型に突設されると共に、上壁の一方の側面部から内側方向に形成される横長の切欠溝部を有し、
前記取付部材は、前記一面側に立設される位置決めボスを有し、
前記被取付部材は、前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設されて前記位置決めボスが嵌入される第1長孔を有し、
前記上壁の上面部に当接される平板部と、
前記平板部の底面に前記切欠溝部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法で垂設されて該切欠溝部に嵌入されるボス部と、
前記ボス部の下端部から前記切欠溝部の両外側に延出されて前記上壁の底面部に当接される所定厚さのフランジ部と、
前記平板部の上面に立設されて前記被取付部材に前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された第2長孔に嵌入される平面視略正方形の嵌入頭部と、
前記嵌入頭部の前記切欠溝部の長手方向の両側面部に設けられて、それぞれ外側方向に所定高さ突設される係止突起が下端部に形成されて該嵌入頭部の挿入方向に弾性変形可能な一対の弾性係止片と、
前記平板部の前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部と、
を備え、
前記位置決めボスが前記被取付部材に穿設される第1長孔に嵌入されると共に、前記嵌入頭部が前記被取付部材に穿設される第2長孔に嵌入されつつ、前記ボス部が前記切欠溝部内を移動して、前記一対の当接部が該被取付部材に当接されると共に、前記一対の弾性係止片が該第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止されることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記取付部材は、
前記基台部の前記上壁の一方の側面部の外側に立設されるリブ部と、
前記リブ部の前記フランジ部に対向する高さから略垂直に前記切欠溝部の入口部ま で延出されて下側方向に弾性変形可能な延出部と、
を有し、
前記ボス部を該切欠溝部に嵌入する場合に、該フランジ部は、前記延出部を下側方向に押し曲げつつ移動することを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記取付部材は、前記基台部の上壁部に対向する位置に穿設される工具孔を有し、
前記フランジ部は、底面部に形成されて工具の先端部が挿入される凹部を有し、
前記嵌入頭部の前記第2長孔の内周面に対向する部分と、前記ボス部とは、水平断面が、全体として略正方形状をなし、一組の対角が該各正方形の一辺を直径とする円弧をなし、他の対角が略直角をなすように形成され、
前記工具孔から工具を前記凹部に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、前記第2長孔と前記一対の弾性係止片との係止が解除されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
前記嵌入頭部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法の平面視略正方形の貫通孔が穿設されて、該貫通孔に該嵌入頭部が嵌挿されて前記平板部の上面に当接される平板状の防水用弾性部材を備え、
前記防水用弾性部材の厚さは、前記当接部の高さ寸法よりも大きく、且つ前記一対の弾性係止片に係止可能な厚さであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリップ。
【請求項1】
取付部材の一面側に設けられた基台部の上面部に組み付けられて該取付部材を被取付部材に取り付けるクリップにおいて、
前記基台部は、側面視下側方向に開口される略コの字型に突設されると共に、上壁の一方の側面部から内側方向に形成される横長の切欠溝部を有し、
前記取付部材は、前記一面側に立設される位置決めボスを有し、
前記被取付部材は、前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設されて前記位置決めボスが嵌入される第1長孔を有し、
前記上壁の上面部に当接される平板部と、
前記平板部の底面に前記切欠溝部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法で垂設されて該切欠溝部に嵌入されるボス部と、
前記ボス部の下端部から前記切欠溝部の両外側に延出されて前記上壁の底面部に当接される所定厚さのフランジ部と、
前記平板部の上面に立設されて前記被取付部材に前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向に沿って穿設された第2長孔に嵌入される平面視略正方形の嵌入頭部と、
前記嵌入頭部の前記切欠溝部の長手方向の両側面部に設けられて、それぞれ外側方向に所定高さ突設される係止突起が下端部に形成されて該嵌入頭部の挿入方向に弾性変形可能な一対の弾性係止片と、
前記平板部の前記切欠溝部の長手方向に対して略直角方向の両側端縁部から略直角上側方向に所定高さ延出される一対の当接部と、
を備え、
前記位置決めボスが前記被取付部材に穿設される第1長孔に嵌入されると共に、前記嵌入頭部が前記被取付部材に穿設される第2長孔に嵌入されつつ、前記ボス部が前記切欠溝部内を移動して、前記一対の当接部が該被取付部材に当接されると共に、前記一対の弾性係止片が該第2長孔の各長辺部周縁に弾性的に係止されることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記取付部材は、
前記基台部の前記上壁の一方の側面部の外側に立設されるリブ部と、
前記リブ部の前記フランジ部に対向する高さから略垂直に前記切欠溝部の入口部ま で延出されて下側方向に弾性変形可能な延出部と、
を有し、
前記ボス部を該切欠溝部に嵌入する場合に、該フランジ部は、前記延出部を下側方向に押し曲げつつ移動することを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記取付部材は、前記基台部の上壁部に対向する位置に穿設される工具孔を有し、
前記フランジ部は、底面部に形成されて工具の先端部が挿入される凹部を有し、
前記嵌入頭部の前記第2長孔の内周面に対向する部分と、前記ボス部とは、水平断面が、全体として略正方形状をなし、一組の対角が該各正方形の一辺を直径とする円弧をなし、他の対角が略直角をなすように形成され、
前記工具孔から工具を前記凹部に挿入して反時計方向に90度回転させることによって、前記第2長孔と前記一対の弾性係止片との係止が解除されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
前記嵌入頭部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法の平面視略正方形の貫通孔が穿設されて、該貫通孔に該嵌入頭部が嵌挿されて前記平板部の上面に当接される平板状の防水用弾性部材を備え、
前記防水用弾性部材の厚さは、前記当接部の高さ寸法よりも大きく、且つ前記一対の弾性係止片に係止可能な厚さであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2008−38964(P2008−38964A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211211(P2006−211211)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000208293)大和化成工業株式会社 (174)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000208293)大和化成工業株式会社 (174)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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