説明

クロック供給システム

【課題】基準クロックが異常であるのか、電圧制御発振器が異常であるのか故障原因を特定することが可能なクロック供給システムを提供する。
【解決手段】現用系のシステム200のVCXO203の制御値Xがα<X<βにあるかを監視し、その範囲から外れた時に異常を検出する。この異常検出時にVCXO203の制御値を予め決められた制御値γに設定し、現用系のシステムで運用する。また、この運用状態で予備系のシステム210のVCXO213の制御値X’がα’<X’<β’にあるかを判定し、その範囲内にある場合には基準クロック2aの異常と判定し、現用系のまま運用する。一方、その範囲内から外れている場合には現用系のVCXO203が異常と判定し、予備系のシステムに切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現用系と予備系の2つの系からなる冗長構成のクロック供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のクロック供給システムとしては、例えば、特許文献1に記載されているように電圧制御発振器を用いて基準クロックと同期クロックとの位相差を検出し、その位相差が0になるように同期制御を行うシステムがある。そして、同特許文献1には、位相差を0とするように同期制御をする時、その位相差を0とする制御値が予めメモリに保持された2つの制御値をそれぞれ上限下限値とする制御範囲の値であるかを判定し、制御範囲内である場合には位相差を0とする同期制御を行い、制御範囲外である場合には前回の制御値をそのまま用いることが記載されている。その他にクロック供給システムに関する技術としては、特許文献2〜4に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−353807号公報
【特許文献2】特開2007−235577号公報
【特許文献3】特開2007−251925号公報
【特許文献4】特開2008−153910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のクロック供給システムでは、外部からの基準クロックにVCXO(電圧制御発振器)の出力クロックを同期させており、VCXOの制御値が一定の制限範囲を超えると、外部からの基準クロックが異常と判定している。そのため、システム内部のVCXO自体が故障している可能性は考慮されておらず、VCXOの制御値が一定の制限範囲を超えた際には本当に外部からの基準クロックが異常なのか、VCXOが異常なのかを切り分けがつかない。その結果、VCXOが異常だった場合には、故障したVCXOを用いてクロック供給システムを運用する危険性があった。
【0005】
本発明の目的は、基準クロックが異常であるのか、VCXO(電圧制御発振器)が異常であるのか故障原因を特定することが可能なクロック供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、前記異常検出時に前記現用系クロック供給システムの前記基準クロックへの同期を停止し、且つ、前記第1の電圧制御発振器に予め決められた仮制御値を設定して前記現用系クロック供給システムを動作させる手段と、前記仮制御値による動作状態で前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にあるか否かによって前記基準クロックが異常であるのか、前記第1の電圧制御発振器が異常であるのかを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器の制御値を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器の制御値を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、前記現用系クロック供給システムの異常発生時に、前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替える切り替え手段と、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、前記現用系クロック供給システムの運用時に前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、前記検出手段の異常検出時に前記現用系クロック供給システムの前記基準クロックへの同期を停止し、且つ、前記第1の電圧制御発振器に予め決められた仮制御値を設定して前記現用系クロック供給システムを動作させる手段と、前記仮制御値による動作状態で前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にあるかを判定し、当該制御値が当該所定範囲内にある場合には前記基準クロックの異常と判定し、当該所定範囲内から外れている場合には前記第1の電圧制御発振器の異常と判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、前記異常検出時に前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと前記第2の電圧制御発振器の出力クロックとの第1の位相差及び前記基準クロックと前記第2の電圧制御発振器の出力クロックとの第2の位相差を検出する手段と、前記検出された前記第1の位相差及び第2の位相差が0かどうかを判定し、その判定結果に基づいて前記基準クロックの異常か、前記第1の電圧制御発振器の異常か、前記第2の電圧制御発振器の異常かを切り分ける手段と、前記異常切り分け結果に基づいて前記現用系クロック供給システム及び前記予備系クロック供給システムを運用する手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現用系クロック供給シスタムに異常が発生した際に外部からの基準クロックが不良であるのか、現用系のVCXOが不良であるのか異常原因を特定することが可能となる。そのため、故障原因がVCXOの不良であった場合に故障部品でクロック供給システムを運用する危険性を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るクロック供給システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す回路図である。
【図3】図2の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図4】図2の実施例の動作を説明するタイムチャートである。
【図5】本発明の第2の実施例を示す回路図である。
【図6】図5の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施例の動作を説明するフローチャートである。
【図9】図8の切り分け処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明は、外部からの基準クロックに同期させてクロック供給を運用するシステムにおいて、基準クロックに同期できないという異常を検出した際に冗長構成で備えられた予備系クロック供給システムを利用して、現用系の電圧制御発振器(以下、VCXO)が正常か否かをチェックし、その結果に基づいて異常原因が外部からの基準クロックにあるのか、使用部品のVCXOにあるのかを判定するものである。
【0012】
図1は本発明に係るクロック供給システムの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態のクロック供給システムは冗長構成のシステムであり、通常運用時に使用される現用系クロック供給システム100と、現用系クロック供給システム100に異常があった際に運用が切り替えられる予備系クロック供給システム110とで構成されている。
【0013】
現用系クロック供給システム100は、クロック同期制御部101と、VCXO(電圧制御(水晶)発振器)102と、基準値&制限値記憶部103から構成されている。クロック同期制御部101は外部からの基準クロック1aとVCXO102の出力クロック1bとの位相差を比較し、基準クロック1aとVCXO102の出力クロック1bとの位相差が0になるように制御電圧1cをVCXO102に入力する。
【0014】
仮基準電圧&制限電圧記憶部103はVCXO102が目標の周波数に対して高精度で発振する為の仮基準値電圧(例えば、VCXO102が周波数安定度0ppmで発振するときの制御電圧)V0と、VCXO102が基準クロック1aに同期できる周波数範囲を決めた制限電圧(例えば、VCXO102が周波数安定度±ΔHzで発振する時の制御値電圧)Va、Vbを記憶している。仮基準電圧&制限電圧記憶部103は仮基準電圧&制限電圧情報1dをクロック同期制御部101に通知する。
【0015】
クロック同期制御部101は制御電圧1cが制限電圧内(Va〜Vb)で運用されているかをもって基準クロック1aが正常か否かを判断する。制御電圧1cがVa〜Vbの範囲に無い場合には異常だと判定し、基準クロック1aへの同期をストップし、制御電圧1cに仮基準電圧V0を設定する。その際、仮基準電圧V0を制御電圧1cに設定するモードを自走モードと呼ぶ。自走モードに切り替わった情報は切り替え信号1fとして予備系クロック供給システム110に通知する。
【0016】
予備系クロック供給システム110は、同様にクロック同期制御部111と、VCXO112と、仮基準電圧&制限電圧記憶部113から構成されている。クロック同期制御部111は現用系のVCXO102の出力クロック1bと予備系のVCXO112の出力クロック1b’との位相差を比較し、現用系のVCXO102の出力クロック1bと予備系のVCXO112の出力クロック1b’との位相差が0になるように制御電圧1c’をVCXO112に入力し、予備系の出力クロック1b’を現用系の出力クロック1bに同期させる。
【0017】
基準値&判別範囲値記憶部113はVCXO112が高精度で発振する為の仮基準値電圧(例えば、VCXO112が周波数安定度0ppmで発振するときの制御電圧)V0’と、VCXO112が現用系出力クロック1bに同期できる周波数範囲を決めた制限電圧(例えば、VCXO112が周波数安定度±Δ’Hzで発振する時の制御値電圧)Va’、Vb’を記憶している。基準値&判別範囲値記憶部113は仮基準電圧&制限電圧情報1d’をクロック同期制御部111に通知する。
【0018】
予備系のクロック同期制御部111は切り替え信号1fを受けると、予備系のVCXO112の制御電圧1c’が制限範囲内の値であるかを確認し、現用系のVCXO102の出力クロック1bが正常か否かのチェックを行う。チェックの結果、制御電圧1c’がVa’〜Vb’の範囲にない場合には、VCXO102の出力クロック1bが不良と判定し、現用系のクロック1bへの同期をストップし、制御電圧1c’として基準値&判別範囲値記憶部113に記憶している仮基準値V0’を設定する。
【0019】
また、予備系のクロック供給システムにクロック出力を切り替えるために制御信号1gを現用系クロック供給システム100に通知する。現用系クロック供給システム100は制御信号1gを受けると、クロック出力をストップし、予備系クロック供給システム110からのクロック出力に切り替える。
【実施例】
【0020】
(第1の実施例)
図2は図1のクロック供給システムを具体化した第1の実施例を示す回路図である。現用系クロック供給システム200は、CPU201、デジタル/アナログコンバータ(以下、D/Aコンバータという)202、VCXO203、位相差検出回路204、メモリ205、出力スイッチ206、分周器207、208から構成されている。
【0021】
予備系クロック供給システム210は、現用系クロック供給システム200と同様にCPU211、D/Aコンバータ212、VCXO213、位相差検出回路214、メモリ215、出力スイッチ216、分周器217、218から構成されている。図2の実施例では、外部からの基準クロックは2aで示している。
【0022】
現用系クロック供給システム200の構成を詳しく説明する。CPU201はD/Aコンバータ制御値21を出力し、D/Aコンバータ202は制御値21に対応する周波数調整電圧22を出力する。VCXO203は周波数調整電圧22に対応するクロック2bを出力し、出力スイッチ206と分周器208、217に分配する。分周器207、208はそれぞれ外部からの基準クロック2aを1/M周波数、VCXO203の出力クロック2bを1/N周波数に分周し、2a’、2b’として位相差検出回路204へ出力する。
【0023】
位相差検出回路204は2a’と2b’の位相差の情報を23としてCPU201に通知する。メモリ205はD/A制御値21の制限範囲値と仮基準値を記憶しており、情報24としてCPU201に受け渡す。また、CPU201は出力クロック2bを外部に出力するか否かを選択する情報25を出力スイッチ206に渡す。
【0024】
次に、予備系クロック供給システム210の構成を詳しく説明する。CPU211はD/Aコンバータ制御値21’を出力し、D/Aコンバータ212は制御値21’に対応する周波数調整電圧22’を出力する。VCXO213は周波数調整電圧22’に対応するクロック2cを出力し、出力スイッチ216と分周器218に分配する。分周器217、218はそれぞれ現用系のVCXO203の出力クロック2bと予備系のVCXO213の出力クロック2cを1/N周波数に分周し、2b”、2c’として位相差検出回路214へ出力する。
【0025】
位相差検出回路214は2b”と2c’の位相差の情報を23’としてCPU211に出力する。メモリ215はD/Aコンバータ制御値21’の制御範囲値と仮基準値を記憶しており、情報24’としてCPU211に受け渡す。CPU211は出力クロック2cを外部に出力するか否かを選択する情報25’を出力スイッチ216に渡す。
【0026】
また、現用系のCPU201と予備系のCPU211はクロック出力ストップ要求信号26を送信する信号線と、クロック出力停止連絡信号27を送信する信号線とで接続されている。現用系のシステムと予備系のシステムのどちらがクロックを出力するかは、これらの信号26、27を送受信することで切り替えられる。
【0027】
次に、本実施例の動作を図3に示すフローチャートを参照して説明する。システムが起動すると、まず、現用系クロック供給システム200からクロックを出力する。現用系のCPU201は出力スイッチ206に対して出力ONを指示する情報25を発信する。予備系クロック供給システム210のCPU211は出力スイッチ216に対して出力OFを指示する情報25’を発信する。情報25、25’により現用系クロック供給システム200はクロック出力ON、予備系クロック供給システム210はクロック出力OFFとなる。
【0028】
システム起動後、現用系クロック供給システム200では外部からの基準クロック2aにVCXO203の出力クロック2bが同期するように動作する(S301)。その際、現用系のCPU201は位相差検出回路204から2a’と2b’の位相差情報23を受け取り、2a’と2b’との位相差が0となるようにD/Aコンバータ制御値21を操作する。D/Aコンバータ202はD/Aコンバータ制御値21を受けると、2a’と2b’の位相差が0となるような周波数調整電圧22をVCXO203に出力する。
【0029】
同様に、予備系クロック供給システム210は現用系の出力クロック2bにVCXO213の出力クロック2cが同期するように動作する(S302)。その際、予備系のCPU211は位相差検出回路214から2b”と2c’の位相差情報23’を受け取り、2b”と2c’との位相差が0となるようにD/Aコンバータ制御値21’を操作する。D/Aコンバータ212はD/Aコンバータ制御値21’を受けると、2b”と2c’の位相差が0となるような周波数調整電圧22’をVCXO213に対して出力する。
【0030】
一定時間が経過すると(S303)、現用系のCPU201はVCXO203の出力クロック2bがある一定周波数範囲内(a〜bHz;a<b)で出力されているかを常に監視する(S304)。即ち、メモリ205にはD/Aコンバータ制御値21の制限範囲値αとβが記憶され、αはVCXO203がaHzでクロックを出力する時のD/Aコンバータ制御値、βはVCXO203がbHzでクロックを出力する時のD/Aコンバータ制御値である。CPU201は基準クロックに同期したD/Aコンバータ制御値21の値Xが、α<X<βであるかを常に監視する。Xは基準クロックに同期した結果による変動値を示す。
【0031】
例えば、図4(a)に示すようにXがこの条件を満たさなくなると、基準クロック2aまたは現用系のVCXO203に異常が発生したと判定し、現用系クロック供給システム200は基準クロックへの同期をストップし、異常発生と判定する(S305)。CPU201はD/Aコンバータ制御値21にメモリ205に記憶している仮基準値γを設定し、VCXO203は仮基準値γでクロックを出力する(S306)。γはVCXO203がa〜bHz以内の周波数で発振する為のD/Aコンバータ制御値である。
【0032】
また、異常発生と判定すると、現用系のCPU201はクロック出力停止連絡信号27を予備系のCPUC211に送信し、異常発生を通知する。予備系のCPU211はこのクロック出力停止連絡信号27を受けると異常の切り分けを行い、予備系のシステムによる故障判別を開始する(S307)。
【0033】
ここで、予備系クロック供給システム210は現用系クロック供給システム200の出力クロック2bに同期しており、現用系のVCXO203と予備系のVCXO213は同じ周波数でクロックを出力する。その際、現用系のVCXO203が故障していなければ予備系のVCXO213は正常な一定範囲の周波数(a’〜b’Hzの範囲内の周波数)でクロックを出力するはずである(a’<b’Hz)。
【0034】
予備系のメモリ215にはD/Aコンバータ制御値21’の制御範囲値α’とβ’が記憶されており、α’はVCXO213がa’Hzでクロックを出力する時のD/Aコンバータ制御値、β’はVCXO213がb’Hzでクロックを出力する時のD/Aコンバータ制御値である。現用系のシステムにおける出力クロック2bに同期した場合の予備系のシステムにおけるD/Aコンバータ制御値21’の値をX’とすると、X’がα’<X’<β’を満たすか否かを判定し、故障原因の切り分けを行う(S308)。
【0035】
例えば、図4(b)に示すようにD/Aコンバータ制御値21’の値X’がα’<X’<β’を満たしていれば、現用系のVCXO203は正常に一定範囲内の周波数で運用されていると判定できるので、異常個所は基準クロック2aだと判定する。その場合には、現用系のシステムのまま運用を続ける(S309)。
【0036】
一方、図4(c)に示すようにD/Aコンバータ制御値21’の値X’が、X’<α’またはβ’<X’である場合には、現用系のVCXO203は一定範囲の周波数で運用されておらず、異常と判定し(S310)、予備系システムの出力クロックに切り替えを行う。まず、予備系のCPU211はメモリ215より仮基準値γ’を受け取り、D/Aコンバータ制御値21’にγ’を設定し、予備系システムをγ’の制御値で運用する(S311)。γ’はVCXO213がa’〜b’Hz以内の周波数で発振する為のD/Aコンバータ制御値である。
【0037】
また、予備系のCPU211は出力クロックの切l替えを行うためにクロック出力ストップ要求信号26を現用系のCPU201に送信し、現用系システムの出力クロックのストップ要求を行う。現用系のCPU201はこのクロック出力ストップ要求信号26を受け取ると、信号25によって出力スイッチ206をOFFにする。現用系のCPU201は同時にクロック出力停止連絡信号27によって出力クロックが停止した旨を予備系のCPU211に通知し、予備系のCPU211は信号25’によってスイッチ216をONにする。このようにして現用系から予備系のシステムに出力クロックの切り替えを行う(S312)。
【0038】
本実施例では、外部から入力された基準クロックに同期させてクロックを供給するシステムにおいて、現用系のシステムに異常が発生した際に予備系のVCXO213の制御値を監視することによって外部からの基準クロック2aが異常であるのか、現用系のVCXO203が異常であるのかを判定し、故障原因を特定することが可能となる。そのため、故障個所の切り分けを行うことができ、不良のVCXOを用いてクロック供給システムを運用することを防ぐことが可能となる。
【0039】
(第2の実施例)
図5は本発明の第2の実施例を示す回路図である。図2との違いは、予備系にも基準クロック2aが供給され、分周器219を介して位相差検出回路214に入力される。そして、現用系のVCXO203が不良と判定された場合には、予備系のシステムが基準クロックに同期させてクロック出力を運用する。図5では図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図6は図5の動作を示すフローチャートであるが、図3と同一処理には同一ステップ番号を付して説明を省略する。
【0040】
具体的には、図6に示すようにS301からS308の後、S310で現用系のVCXO203が異常と判定されると、予備系のシステムで基準クロック2aに同期させてクロック出力を運用する(S601)。その際、図5に示すように分周器219は基準クロック2aを1/M周波数に分周し、2a”として出力する。
【0041】
一方、分周器218はVCXO213の出力クロック2cを1/N周波数に分周し、2c’として出力する。位相差検出回路214は2a”と2c’との位相差を検出し、CPU211はその位相差が0となるようなD/Aコンバータ制御値をD/Aコンバータ212に設定する。VCXO213はその制御値に応じてクロックを出力する。こうすることで、予備系のシステムではクロック出力を基準クロック2aに同期させて運用することが可能となる。S312では同様に予備系システムのクロック出力に切り替えを行う。
【0042】
本実施例では、図2、図3の実施例と同様に外部から入力された基準クロックに同期させてクロックを供給するシステムにおいて、故障原因が基準クロックにあるのか、現用系のVCXOの故障にあるのかを特定することが可能となる。そのため、もし、VCXOが異常である場合には不良品を用いてクロック出力を運用する危険性がなくなり、システムの信頼性を向上させることができる。
【0043】
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例を説明する。本実施例では、クロック供給システムが外部基準クロックに同期して冗長構成で運用する構成においてクロック供給システムが基準クロックに同期できないという異常を検出した際に、予備系の電圧制御水晶発振器(VCXO)を使って異常原因が外部からの基準クロックかVCXOかを切り分ける回路構成で予備系出力クロックと現用系出力クロックとの位相差と、基準クロックと予備系出力クロックとの位相差を確認する事で異常個所を切り分ける。
【0044】
図7は本実施例の構成を示すブロック図である。図7では、図1内のクロック同期制御部101、111をクロック同期制御&位相差カウント部101’、111’に変更し、現用系の自走モード切り替え信号1fを異常発生信号1f’に変更している。また、外部基準クロック1aと現用系VCXO102の出力クロック1bとの位相差を示す情報を1hとして追加し、外部基準クロック1aを予備系110にも分配している。なお、図7ではその他の図1と同一部分には同一符号を付している。現用系100、予備系110のクロック生成方法は第1の実施例等の説明と同様である。
【0045】
現用系100のクロック同期制御&位相差カウント部101’は外部基準クロック1aと現用系VCXO102の出力クロック1bとの位相差を測定する機能を有する。予備系110のクロック同期制御&位相差カウント部111’は基準クロック1aと予備系110の出力クロック1b’との位相差と、現用系VCXO102の出力クロック1bと予備系出力クロック1b’との位相差を測定する機能を有する。
【0046】
図1と同様に現用系100内のクロック同期制御&位相差カウント部101’は、制御電圧1cが制限電圧内(Va〜Vb)で運用されているかを監視し、制御電圧1cがVa〜Vbの範囲にない場合には異常発生と判定し、異常発生信号1f’を予備系110に送信する。なお、図1等の説明とは異なり、異常発生と判定した後、現用系100’はすぐに自走モードにはならず(自走モードは図1等の説明を参照)、予備系110の故障箇所チェック後まで自走モードの切り替えは保留する。
【0047】
予備系クロック供給システム110は、通常運用時(異常発生信号1f’を受け取る前)は図1等の説明と同様に現用系VCXO102の出力クロック1bと予備系VCXO112の出力クロック1b’との位相差が0になるように制御電圧1c’をVCXO112に入力し、予備系出力クロック1b’を現用系出力クロック1bに同期させる。異常発生信号1f’を受け取った後は現用系VCXO102の出力クロック1bと予備系VCXO112の出力クロック1b’との位相差A(第1の位相差)、基準クロック1aと予備系出力クロック1b’との位相差B(第2の位相差)を測定し、位相差Aと位相差Bが0かどうかを判別して故障箇所の切り分けを行う。
【0048】
図8は本実施例の故障箇所の切り分け処理を示すフローチャート、図9は切り分け時の処理を詳細に示すフローチャートである。図8、図9を参照して本実施例の故障箇所の切り分けシーケンスを説明する。まず、通常運用時の動作を説明する。図8に示すようにシステム起動が開始されると、現用系の出力クロックをONし、予備系の出力クロックをOFFする(S801)。次に、現用系100は基準クロック1aに同期(S802)、予備系110は現用系出力クロック1bに同期させる(S803)。その後、一定時間経過するのを待つ(S804)。
【0049】
一定時間が経過すると、現用系100の制御電圧1cが制限電圧Va〜Vbの範囲内かを判定し(S805)、制限電圧Va〜Vb内でなければ故障個所の切り分け処理を開始し、異常発生信号1f’を出力する(S806)。次いで、予備系110のクロック同期制御&位相差カウント部111’は異常発生信号1f’を受け取ると、現用系VCXO102の出力クロック1bと予備系出力クロック1b’との位相差A、基準クロック1aと予備系VCXO112の出力クロック1b’との位相差Bを測定する(S807)。
【0050】
その後、位相差A、Bが0であるかを判定し(S808)、S808において位相差A=0、位相差B=0であるならば、図9(a)の処理に移行する。その際、現用系VCXO102は基準クロック1aに正常に同期し、基準クロック1aに同期した現用系VCXO102に予備系VCXO112は正常に同期できている為、現用系VCXO102、予備系VCXO112は正常に動作していると判断できる。
【0051】
よって、図9(a)に示すように現用系100の基準クロック1aが悪化していると切り分けできるため(S901)、現用系100は基準クロック1aに対する同期を中止し、基準値&制限値記憶部103が有する基準値を用いてVCXO102を運用する。即ち、現用系100は自走モードに入る(S902)。予備系110は通常運用時のまま現用系VCXO102の出力クロック1bに予備系VCXO112を同期させるように動作させる(S903)。
【0052】
また、S808において位相差A=0、位相差B≠0の場合には、予備系VCXO112は現用系のVCXO102に同期しているが、現用系VCXO102は基準クロック1aに同期していないと判断できる。VCXO102が基準クロック1aに同期しない原因としては基準クロック1aが悪化している場合、又は現用系VCXO102が故障の場合の2パターンがあるので、予備系VCXO102を使いパターン切り分けを行う。
【0053】
まず、位相差A=0、位相差B≠0の判定後、予備系110のクロック同期制御&位相差カウント部111’は基準クロック1aとVCXO112の出力クロック1b’との位相差が0になるように制御電圧1c’をVCXO112に入力し、予備系110の出力クロック1b’を基準クロック1aに同期させる(S809)。次いで、同期するクロックを変更後に、再度基準クロック1aと予備系110の出力クロック1b’との位相差を測定する(S810)。この再測定の位相差の測定結果をB’とする。
【0054】
次いで、位相差A=0、位相差B≠0の判定後の再測定の結果B’がB’=0かどうかを判定し(S811)、B’=0の場合には図9(b)の処理に移行する。この場合には、予備系110は基準クロックに同期できるため現用系VCXO102の故障と判定できる。即ち、図9(b)に示すように現用系VCXO102の故障と判定後(S904)、予備系のクロック同期制御&位相差カウント部111’は現用系100のクロック同期制御&位相差カウント部101’に対し制御信号1gを送信して現用系出力クロックを停止させ(S905)、予備系110は基準クロック1aに同期したまま運用を続ける(S906)。
【0055】
また、S811において位相差A=0、位相差B≠0の判定後の再測定の結果B’がB’≠0の場合には、予備系110は基準クロック1aに同期できていないため現用系100と予備系110の両方が基準クロックが悪化したと判断する。この場合には、図9(a)の処理を行い、現用系VCXO102、予備系VCXO112の同時故障は無いと考え、基準クロック1aが異常と判定する(S901)。また、判定後の処理は位相差A=0、位相差B=0と同様の処理を行い、現用系100は自走モードに入り(S902)、予備系110は自走モードに入った現用系に同期するように動作する(S903)。
【0056】
S808において位相差A≠0、位相差B≠0の場合には、予備系VCXO112は現用系VCXO102に正常に同期できていないことになる。同期できていない理由としては、「予備系VCXO112が故障していて同期できない」、「現用系VCXO102が故障して同期できない」、「基準クロックが異常で現用系VCXO102の周波数が異常となっており、同期できない」の3つの理由が考えられる。
【0057】
これらの理由を切り分けるため、予備系クロック供給システム110は位相差A=0、位相差B≠0の判定後と同様に現用系VCXO102の出力クロック1bから基準クロック1aに同期するクロックを変更し(S812)、基準クロックと予備系VCXO112の位相差を再測定して位相差B’を取得する(S813)。
【0058】
また、位相差A=0、位相差B≠0の時とは異なり、位相差A≠0、位相差B≠0の時には現用系クロック同期制御&位相差カウント部101は基準クロック1aと現用系VCXO102の出力クロック1bとの位相差Cがどの程度あるかを追加で測定する(S813)、次に、現用系クロック同期制御&位相差カウント部101’は位相差Cの結果を1hとして予備系クロック同期制御&位相差カウント部111’に送信し、クロック同期制御&位相差カウント部111’は位相差B’とCが0かどうかの判定を行い(S814)、位相差B’とCのパターンによって原因を切り分ける処理を行う。
【0059】
まず、S814において位相差A≠0、位相差B≠0と判定後にB’≠0、C≠0の場合には、現用系100と予備系110の両方が基準クロック1aに同期できていないことなる。その場合には、図9(a)の処理に移行し、現用系VCXO102、予備系VCXO112の同時故障は無いと考え、基準クロック1aが異常と判定する(S901)。次に、同様に現用系100は自走モードに入り(S902)、予備系110は自走モードに入った現用系100に同期するように動作する(S903)。
【0060】
S814において位相差A≠0、位相差B≠0と判定後にB’=0、C≠0の場合には、予備系110は基準クロック1aに同期できるが、現用系100は基準クロック1aに同期できないため、現用系VCXO102が基準クロック1aに同期する機能を失っていることになる。この場合には、図9(b)の処理を行い、現用系VCXO102が異常と判定する(S904)。次に、予備系クロック同期制御&位相差カウント部111’は現用系のクロック同期制御&位相差カウント部111’に対し制御信号1gを送信して現用系出力クロックを停止させ(S905)、予備系110は基準クロック1aに同期したまま運用を続ける(S906)。
【0061】
S814において位相差A≠0、位相差B≠0と判定後にB’≠0、C=0の場合には、現用系100は基準クロック1aに同期できるが、予備系110は基準クロック1aに同期できないため、予備系VCXO112が他のクロックに同期する機能を失っていることになり、予備系VCXO112が故障と判定できる。この時は、図9(c)の処理を行い、予備系VCXO112が故障と判定後に(S907)、予備系110は出力クロック1b’を停止する(S908)。また、現用系110は正常と判断されたため、外部基準クロック1aへの同期をストップし、現用系100は自走モードで運用する(S909)。
【0062】
また、S814において、位相差A≠0、位相差B≠0と判定後にB’=0、C=0の場合には、現用系100と予備系110の両方が基準クロック1aに同期できるため、現用系VCXO102、予備系VCXO112は正常と判別できる。但し、現用系VCXO102、予備系VCXO112は正常という判断と、予備系110が現用系100への同期時にA≠0だったという判定は矛盾する。基本的に、この結果はあり得ないが、仮に、もし、この結果にたどり着いた場合には、図9(d)に示すようにVCXO以外の現用系〜予備系間同期システムに異常があったと判定する(S910)。
【0063】
一方、S808において位相差A≠0、位相差B=0の場合には、予備系110は基準クロック1aに同期する現用系100に同期するように動作しているものの、位相差A≠0より現用系〜予備系間で同期が取れていないが、位相差B=0より基準クロック1aには同期しているという結果になる。予備系110は現用系100に同期する事で基準クロック1aに同期するので、現用系100に同期できないのに基準クロック1aに同期するという事は論理的にあり得ない。よって、図9(e)に示すように位相差A≠0、位相差B=0の場合には、故障箇所不明(原因不明)とする(S911)。
【0064】
第1の実施例等では予備系が故障原因になる可能性を考慮していなかったが、本実施例では故障箇所の切り分けを「現用系出力クロックと予備系出力クロックとの位相差」、「基準クロックと予備系出力クロックとの位相差」、「現用系出力クロックと予備系出力クロックとの位相差」を確認する方法に変えることで、基準クロック、現用系VCXO、予備系VCXOのうち何処が故障原因かを切り分ける事が出来る。
【0065】
なお、上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限らない。
【0066】
(付記1)基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、
前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、
前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、
前記異常検出時に前記現用系クロック供給システムの前記基準クロックへの同期を停止し、且つ、前記第1の電圧制御発振器に予め決められた仮制御値を設定して前記現用系クロック供給システムを動作させる手段と、
前記仮制御値による動作状態で前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にあるか否かによって前記基準クロックが異常であるのか、前記第1の電圧制御発振器が異常であるのかを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするクロック供給システム。
【0067】
(付記2)前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にある場合には、前記基準クロックの異常と判定され、前記現用系クロック供給システムからのクロック出力で運用を続けることを特徴とする付記1に記載のクロック供給システム。
【0068】
(付記3)前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内から外れている場合には、前記第1の電圧制御発振器が異常と判定され、前記第2の電圧制御発振器の制御値を予め決められた制御値に設定し、前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする付記1又は2に記載のクロック供給システム。
【0069】
(付記4)前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内から外れている場合には、前記第1の電圧制御発振器が異常と判定され、前記予備系クロック供給システムを前記基準クロックに同期して動作させることによって前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする付記1又は2に記載のクロック供給システム。
【0070】
(付記5)基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器の制御値を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、
前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器の制御値を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、
前記現用系クロック供給システムの異常発生時に、前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替える切り替え手段と、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、
前記現用系クロック供給システムの運用時に前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、
前記検出手段の異常検出時に前記現用系クロック供給システムの前記基準クロックへの同期を停止し、且つ、前記第1の電圧制御発振器に予め決められた仮制御値を設定して前記現用系クロック供給システムを動作させる手段と、
前記仮制御値による動作状態で前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にあるかを判定し、当該制御値が当該所定範囲内にある場合には前記基準クロックの異常と判定し、当該所定範囲内から外れている場合には前記第1の電圧制御発振器の異常と判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするクロック供給システム。
【0071】
(付記6)前記判定手段により前記基準クロックの異常と判定された場合には、前記現用系クロック供給システムからのクロック出力で運用を続けることを特徴とする付記5に記載のクロック供給システム。
【0072】
(付記7)前記判定手段により前記第1の電圧制御発振器が異常と判定された場合には、前記第2の電圧制御発振器の制御値を予め決められた制御値に設定し、前記切り替え手段により前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする付記5又は6に記載のクロック供給システム。
【0073】
(付記8)前記判定手段により前記第1の電圧制御発振器が異常と判定された場合には、前記予備系クロック供給システムを前記基準クロックに同期して動作させて、前記切り替え手段により前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする付記5又は6に記載のクロック供給システム。
【0074】
(付記9)基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、
前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、
前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、
前記異常検出時に前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと前記第2の電圧制御発振器の出力クロックとの第1の位相差及び前記基準クロックと前記第2の電圧制御発振器の出力クロックとの第2の位相差を検出する手段と、
前記検出された前記第1の位相差及び第2の位相差が0かどうかを判定し、その判定結果に基づいて前記基準クロックの異常か、前記第1の電圧制御発振器の異常か、前記第2の電圧制御発振器の異常かを切り分ける手段と、
前記異常切り分け結果に基づいて前記現用系クロック供給システム及び前記予備系クロック供給システムを運用する手段と、
を備えたことを特徴とするクロック供給システム。
【0075】
(付記10)前記運用手段は、前記第1の位相差=0、前記第2の位相差=0の場合には、前記基準クロックが異常と判定し、前記現用系クロック供給システムを前記第1の電圧制御発振器に予め決められた制御値を設定して運用することを特徴とする付記9に記載のクロック供給システム。
【0076】
(付記11)前記運用手段は、前記第1の位相差=0、前記第2の位相差≠0の場合には、前記第2の位相差を再検出し、その再検出した第3の位相差に基づいて前記基準クロックの異常か、前記第1の電圧制御発振器の異常かの切り分けを行い、前記第1の電圧制御発振器が異常の場合には前記予備系クロック供給システムを前記基準クロックに同期させて運用し、前記基準クロックが異常の場合には前記現用系クロック供給システムを前記第1の電圧制御発振器に予め決められた制御値を設定して運用することを特徴とする付記9に記載のクロック供給システム。
【0077】
(付記12)前記運用手段は、前記第1の位相差≠0、前記第2の位相差≠0の場合には、前記第2の位相差を再度検出して第3の位相差とし、且つ、前記基準クロックと前記第1の電圧制御発振器の出力クロックとの第4の位相差を検出し、前記再検出した第3の位相差と前記第4の位相差が0かどうかを判定し、その判定結果に基づいて前記現用系クロック供給システム及び前記予備系クロック供給システムを運用することを特徴とする付記9に記載のクロック供給システム。
【0078】
(付記13)前記運用手段は、前記第3の位相差≠0、前記第4の位相差≠0の場合には、前記現用系クロック供給システムを前記第1の電圧制御発振器に予め決められた制御値を設定して運用し、前記第3の位相差=0、前記第4の位相差≠0の場合には、前記予備系クロック供給システムを前記基準クロックに同期させて運用し、前記第3の位相差≠0、前記第4の位相差=0の場合には、前記現用系クロック供給システムを前記第1の電圧制御発振器に予め決められた制御値を設定して運用することを特徴とする付記12に記載のクロック供給システム。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、移動通信システムの基地局等に用いられる二重化クロックシステム等に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
100、200 現用系クロック供給システム
110、210 予備系クロック供給システム
101、111 クロック同期制御部
102、112 VCXO
103、113 仮基準電圧&制限電圧記憶部
101’ 現用系のクロック同期制御&位相差カウント部
111’ 予備系のクロック同期制御&位相差カウント部
201、211 CPU
202、212 D/Aコンバータ
203、213 VCXO
204、214 位相差検出回路
205、215 メモリ
206、216 出力スイッチ
207、208、217〜219 分周器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、
前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、
前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、
前記異常検出時に前記現用系クロック供給システムの前記基準クロックへの同期を停止し、且つ、前記第1の電圧制御発振器に予め決められた仮制御値を設定して前記現用系クロック供給システムを動作させる手段と、
前記仮制御値による動作状態で前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にあるか否かによって前記基準クロックが異常であるのか、前記第1の電圧制御発振器が異常であるのかを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするクロック供給システム。
【請求項2】
前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にある場合には、前記基準クロックの異常と判定され、前記現用系クロック供給システムからのクロック出力で運用を続けることを特徴とする請求項1に記載のクロック供給システム。
【請求項3】
前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内から外れている場合には、前記第1の電圧制御発振器が異常と判定され、前記第2の電圧制御発振器の制御値を予め決められた制御値に設定し、前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載のクロック供給システム。
【請求項4】
前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内から外れている場合には、前記第1の電圧制御発振器が異常と判定され、前記予備系クロック供給システムを前記基準クロックに同期して動作させることによって前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載のクロック供給システム。
【請求項5】
基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器の制御値を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、
前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器の制御値を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、
前記現用系クロック供給システムの異常発生時に、前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替える切り替え手段と、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、
前記現用系クロック供給システムの運用時に前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、
前記検出手段の異常検出時に前記現用系クロック供給システムの前記基準クロックへの同期を停止し、且つ、前記第1の電圧制御発振器に予め決められた仮制御値を設定して前記現用系クロック供給システムを動作させる手段と、
前記仮制御値による動作状態で前記第2の電圧制御発振器の制御値が所定範囲内にあるかを判定し、当該制御値が当該所定範囲内にある場合には前記基準クロックの異常と判定し、当該所定範囲内から外れている場合には前記第1の電圧制御発振器の異常と判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするクロック供給システム。
【請求項6】
前記判定手段により前記基準クロックの異常と判定された場合には、前記現用系クロック供給システムからのクロック出力で運用を続けることを特徴とする請求項5に記載のクロック供給システム。
【請求項7】
前記判定手段により前記第1の電圧制御発振器が異常と判定された場合には、前記第2の電圧制御発振器の制御値を予め決められた制御値に設定し、前記切り替え手段により前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする請求項5又は6に記載のクロック供給システム。
【請求項8】
前記判定手段により前記第1の電圧制御発振器が異常と判定された場合には、前記予備系クロック供給システムを前記基準クロックに同期して動作させて、前記切り替え手段により前記予備系クロック供給システムからのクロック出力に切り替えることを特徴とする請求項5又は6に記載のクロック供給システム。
【請求項9】
基準クロックと第1の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第1の電圧制御発振器を制御することによって前記基準クロックに同期させてクロックを出力する現用系クロック供給システムと、
前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと第2の電圧制御発振器の出力クロックとの位相差が0となるように前記第2の電圧制御発振器を制御することによって前記第1の電圧制御発振器の出力クロックに同期させてクロックを出力する予備系クロック供給システムと、を有する冗長構成のクロック供給システムであって、
前記第1の電圧制御発振器の制御値を監視し、当該制御値が所定範囲から外れた時に前記現用系クロック供給システムの異常を検出する検出手段と、
前記異常検出時に前記第1の電圧制御発振器の出力クロックと前記第2の電圧制御発振器の出力クロックとの第1の位相差及び前記基準クロックと前記第2の電圧制御発振器の出力クロックとの第2の位相差を検出する手段と、
前記検出された前記第1の位相差及び第2の位相差が0かどうかを判定し、その判定結果に基づいて前記基準クロックの異常か、前記第1の電圧制御発振器の異常か、前記第2の電圧制御発振器の異常かを切り分ける手段と、
前記異常切り分け結果に基づいて前記現用系クロック供給システム及び前記予備系クロック供給システムを運用する手段と、
を備えたことを特徴とするクロック供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−288261(P2010−288261A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69783(P2010−69783)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】