説明

クロック生成回路、情報再生装置、電子機器及びクロック生成回路の設計方法

【課題】 PLLを用いることなく、低コスト且つ低消費電力で、複数のクロックを生成するクロック生成回路、情報再生装置、電子機器等を提供する。
【解決手段】 クロック生成回路200は、周波数fを有する入力クロックiclkに基づいて、第1の出力クロック及び周波数fを有する第2の出力クロックを生成する。クロック生成回路200は、前記入力クロック又は該入力クロックを間引いたクロックを第1の分周比d1(d1は正の整数)で分周した前記第1の出力クロックを生成する第1の分周カウンタと、前記第1の出力クロックを第2の分周比d2(d2は正の整数)で分周し前記第2の出力クロックを生成する第2の分周カウンタと、前記第2の出力クロックに基づいて、前記第1の分周カウンタで分周される前記入力クロックの間引き制御を行う間引き制御部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック生成回路、情報再生装置、電子機器及びクロック生成回路の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上アナログ放送に替わって登場する地上デジタル放送では、画像及び音声の高品質化に加えて種々の新サービスの提供に期待が寄せられている。地上デジタル放送の導入によって新たに提供されるサービスの1つに、携帯端末向けサービスとして、いわゆる「1セグメント放送」がある。「1セグメント放送」では、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式で変調されたデジタル変調波をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式で多重化することで、携帯端末の移動時でも安定した放送受信が可能となる。
【0003】
「1セグメント放送」では、音声データの符号化方式として、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2AAC(Advanced Audio Coding:高能率オーディオ符号化方式)が採用されている。MPEG−2AACのパラメータのうち「1セグメント放送」で用いられるパラメータとして、例えばサンプリング周波数が48kHz(キロヘルツ)、44.1kHz、32kHz等が規格化されている。そのため、「1セグメント放送」の受信を行う携帯電話機等の電子機器では、複数の周波数のサンプリングクロックを生成する必要がある。
【0004】
通常のシステムでは上記のサンプリング周波数に誤差が生じていても、それほど問題になることはない。ところが、「1セグメント放送」のような放送の場合、サンプリングクロックの周波数の誤差が蓄積されてしまい、所定のタイミングで辻褄を合わせるためのタイミング調整が必要になってしまう。そのため、制御及び構成を複雑化させてしまう。
【0005】
そこで、一般的には、上述のような複数のサンプリング周波数を高精度で生成するためにPLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)が用いられる。例えば特許文献1には、PLLを用いてクロックを生成するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平8−237240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PLLは消費電流が多い。また、1つのPLLで上記の複数のサンプリング周波数を生成することは困難であり、上記のサンプリング周波数毎に設けると、消費電流の増大及びコスト高を招く。更に、上記の複数のサンプリングクロックを生成するために、高い周波数を有する複数の逓倍用のクロックを用意する必要があり、より一層の消費電流の増大及びコスト高を招くことになる。
【0007】
以上のように、PLLを用いることなく、低コスト且つ低消費電力で、複数のクロックを生成するクロック生成回路の提供が望まれる。このようなクロック生成回路は、「1セグメント放送」を受信する携帯電話機に限らず、現在PLLを用いる携帯端末のすべてに共通する課題である。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、PLLを用いることなく、低コスト且つ低消費電力で、複数のクロックを生成するクロック生成回路、情報再生装置、電子機器及びクロック生成回路の設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、
周波数fを有する入力クロックに基づいて、第1の出力クロック及び周波数fを有する第2の出力クロックを生成するためのクロック生成回路であって、
前記入力クロック又は該入力クロックを間引いたクロックを第1の分周比d1(d1は正の整数)で分周した前記第1の出力クロックを生成する第1の分周カウンタと、
前記第1の出力クロックを第2の分周比d2(d2は正の整数)で分周し前記第2の出力クロックを生成する第2の分周カウンタと、
前記第2の出力クロックに基づいて、前記第1の分周カウンタで分周される前記入力クロックの間引き制御を行う間引き制御部とを含むクロック生成回路に関係する。
【0010】
また本発明に係るクロック生成回路では、
d1×d2が、[f/f]([x(xは実数)]はxを超えない最大の整数値)又は([f/f]+1)であり、(1/f−(d1×d2)/f)=M/N(N、Mは正の整数)で、(d1×d2)/f・N/M=n/m(n、mは正の整数)としたとき、
前記間引き制御部が、
前記入力クロックを、n×(d1×d2)クロックごとに、m×(d1×d2)クロックを間引くように制御することができる。
【0011】
また本発明に係るクロック生成回路では、
前記第1の分周カウンタから出力されるクロック、又は前記第1の分周カウンタから出力されるクロックを間引いたクロックを、前記第1の出力ロックとして出力するクロック間引き部を含むことができる。
【0012】
また本発明に係るクロック生成回路では、
前記第1の分周カウンタが、
前記間引き制御部からの制御に基づいて前記入力クロックを間引き、間引き後のクロックを分周比e1(e1は2以上の整数)で分周する間引き分周カウンタと、
前記間引き分周カウンタで分周されたクロックを、分周比e2(e2=d1/e1)で分周する分周回路とを含むことができる。
【0013】
また本発明に係るクロック生成回路では、
前記間引き制御部が、
前記第2の出力ロックに基づいて間引き周期に対応するカウント数をカウントする間引きカウンタと、
前記間引きカウンタにより間引き周期に対応するカウント数がカウントされたことを条件に間引きパルスを発生させる間引きパルス発生回路とを含み、
前記間引き分周カウンタが、
前記間引きパルスが入力されない状態では、分周比e1で分周されるクロックを生成し、
前記間引きパルスが入力された状態では、分周比(e1−1)で分周されたクロックを生成することができる。
【0014】
また本発明に係るクロック生成回路では、
前記間引き分周カウンタが、
前記入力クロックに基づいてカウントアップし、カウント値がe1となったときにカウント値が初期化されるカウンタを含み、
前記間引きパルスが入力されない状態では、前記カウンタのカウント値に1を加算し、
前記間引きパルスが入力された状態では、前記カウンタのカウント値に2を加算することができる。
【0015】
また本発明に係るクロック生成回路では、
前記第2のクロックが、サンプリングクロックであり、
前記第1のクロックが、前記サンプリングクロックによりサンプリングされたデータの転送同期クロックとなる基本クロックであってもよい。
【0016】
また本発明に係るクロック生成回路では、
d2が、32以上50の範囲の整数であってもよい。
【0017】
上記のいずれかの発明によれば、PLLを用いることなく、低コスト且つ低消費電力で、第1及び第2の出力クロックを生成するクロック生成回路を提供することができるようになる。また、入力クロックを単純に分周するだけでは生成できないような周波数を有する第1及び第2の出力クロックを、低コスト且つ低消費電力で生成できる。
【0018】
また本発明は、
受信した放送信号に含まれる音声データの再生処理を行うための情報再生装置であって、
所与の入力クロックに基づいて前記第1及び第2の出力クロックを出力する上記のいずれか記載のクロック生成回路と、
前記音声データを前記第2の出力クロックでサンプリングしたデータを、前記第1の出力クロックに同期して音声出力部に出力する音声再生処理部とを含む情報再生装置に関係する。
【0019】
本発明によれば、PLLを用いることなく、低コスト且つ低消費電力で、複数のクロックを生成するクロック生成回路を含む情報再生装置を提供できる。
【0020】
また本発明は、
前記放送信号から希望信号を抽出するためのチューナと、
前記チューナによって抽出された希望信号が供給される上記記載の情報再生装置とを含む電子機器に関係する。
【0021】
本発明によれば、PLLを用いることなく、低コスト且つ低消費電力で、複数のクロックを生成するクロック生成回路を有する情報再生装置が適用された電子機器を提供できる。
【0022】
また本発明は、
周波数fを有する入力クロック又は該入力クロックを間引いたクロックを第1の分周比で分周した第1の出力クロックを生成する第1の分周カウンタと、
前記第1の出力クロックを第2の分周比で分周し前記第2の出力クロックを生成する第2の分周カウンタと、
前記第2の出力クロックに基づいて、前記第1の分周カウンタで分周される入力クロックの間引き制御を行う間引き制御部とを含み、周波数fを有する第1の出力クロック及び周波数fを有する第2の出力クロックを生成するためのクロック生成回路の設計方法であって、
[f/f]([x(xは実数)]はxを超えない最大の整数値)である全体分周比パラメータD(Dfは正の整数)を求め、
[f/f]を前記第1の分周比d1(d1は正の整数)として前記第1の分周カウンタの分周比を決定し、
/d1を前記第2の分周比として前記第2の分周カウンタの分周比を決定するクロック生成回路の設計方法に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0024】
1. 情報再生装置
図1に、本実施形態における情報再生装置が適用された放送受信端末の構成例のブロック図を示す。
【0025】
例えば携帯電話機に適用される携帯型の放送受信端末10(広義には電子機器)は、チューナ20、情報再生装置100、DAC(Digital-to-Audio Converter)22、スピーカ24、表示ドライバ26、表示パネル28を含む。DAC22及びスピーカ24は、音声出力部ということができる。表示ドライバ26及び表示パネル28は、映像出力部ということができる。
【0026】
チューナ20は、図示しないアンテナを介して受信された放送信号から希望する信号を抽出し、該信号を放送信号として情報再生装置100に対して供給する。
【0027】
情報再生装置100は、チューナ20からの放送信号に含まれる音声データの再生処理を行う。また情報再生装置100は、チューナ20からの放送信号に含まれる映像データの再生処理を行うことができる。
【0028】
このような情報再生装置100は、信号解析部110、クロック生成回路200、入力クロック生成回路120、CPU(Central Processing Unit)130、メモリ140、音声再生処理部150、映像再生処理部(画像再生処理部)160を含むことができる。
【0029】
信号解析部110は、チューナ20からの放送信号であるTS(Transport Stream)から、映像データを生成するための映像用TSパケット、音声データを生成するための音声用TSパケット、映像用TSパケット及び音声用TSパケットを除くTSパケットを抽出し、メモリ140にバッファリングさせる。
【0030】
クロック生成回路200は、音声データをサンプリングするためのサンプリングクロックsclk(第1のクロック)と、サンプリングクロックsclkによりサンプリングされた音声データをDAC22に転送するための転送同期クロックとなる基本クロックaclk(第2のクロック)を生成する。ここで、サンプリングクロックは、例えば48kHz、44.1kHz、又は32kHzの周波数を有することができる。
【0031】
入力クロック生成回路120は、入力クロックiclkを生成する。クロック生成回路200は、PLLを用いることなく、入力クロックiclkに基づいて、上記の周波数を有するサンプリングクロックsclk及び基本クロックaclkを生成する。
【0032】
音声再生処理部150は、メモリ140の記憶領域のうち音声用TSパケット専用に設けられた記憶領域から音声用TSパケットを読み出し、該音声用TSパケットに基づいて音声データを生成する音声デコード処理を行う。より具体的には、音声再生処理部150は、MPEG−2AAC(Advanced Audio Coding)の規格に従ったデコード処理を行う音声デコーダと、I2S(inter-IC sound)回路とを含むことができる。音声デコーダは、音声用TSパケットのTSヘッダを解析してPESパケットを生成した後、そのPESヘッダを削除する処理を行ってそのペイロード部を音声用ESデータとし、該音声用ESデータに対して上記のデコード処理を行う。
【0033】
I2S回路は、I2Sバス規格に従ったシリアルクロックSCK、選択信号WS、シリアルデータSDを生成する。このI2S回路では、音声データをサンプリングクロックsclkでサンプリングしてシリアル化されたシリアルデータSDが、基本クロックaclkであるシリアルクロックSCKに同期して転送される。
【0034】
このような音声再生処理部150の機能は、図示しないメモリに格納されたプログラムを読み込んで実行するCPUや専用のハードウェア回路によって実現される。
【0035】
映像再生処理部160は、メモリ140の記憶領域のうち映像用TSパケット専用に設けられた記憶領域から映像用TSパケットを読み出し、該映像用TSパケットに基づいて映像データを生成する映像デコード処理を行う。より具体的には、映像再生処理部160は、H.264/AVC(Advanced Video Coding)の規格に従ったデコード処理を行う映像デコーダを含む。映像デコーダは、映像用TSパケットのTSヘッダを解析してPESパケットを生成した後、そのPESヘッダを削除する処理を行ってそのペイロード部を映像用ESデータとし、該映像用ESデータに対して上記のデコード処理を行う。
【0036】
このような映像再生処理部160の機能は、図示しないメモリに格納されたプログラムを読み込んで実行するCPUや専用のハードウェア回路によって実現される。
【0037】
CPU130は、例えばメモリ140に格納されたプログラムを読み込んで、該プログラムに従って情報再生装置100の各部の機能の制御を司る。
【0038】
DAC22は、デジタル信号である音声データをアナログ信号に変換し、スピーカ24に供給する。スピーカ24は、DAC22からのアナログ信号に対応した音声出力を行う。
【0039】
表示ドライバ26は、映像データに基づいて表示パネル(広義には電気光学装置)28を駆動する。より具体的には、表示パネル28は、複数の走査線、複数のデータ線、各画素が各走査線及び各データ線により特定される複数の画素を有し、表示パネル28として液晶表示(Liquid Crystal Display)パネルを採用できる。表示ドライバ26は、複数の走査線を走査する走査ドライバの機能と、該映像データに基づいて複数のデータ線を駆動するデータドライバの機能とを有する。
【0040】
以上のように、情報再生装置100は、入力クロックiclkに基づいて基本クロックaclk及びサンプリングクロックsclkを出力するクロック生成回路200と、音声データをサンプリングクロックsclkでサンプリングしたデータを、基本クロックaclkに同期して音声出力部に出力する音声再生処理部150とを含むことができる。
【0041】
更に、放送受信端末10は、情報再生装置100と、チューナ20とを含むことができる。
【0042】
図2に、図1の入力クロック生成回路120の構成例のブロック図を示す。
【0043】
入力クロック生成回路120は、発振回路122と、PLL回路124とを含む。発振回路122には、発振振動子126が接続される。発振回路122の発振出力は、PLL回路124に供給される。PLL回路124は、発振回路122からの発振出力を所定の逓倍比で逓倍した後に分周等を行って、周波数fを有する入力クロックiclkを生成することができる。
【0044】
こうして生成される入力クロックfは、クロック生成回路200に供給される。
【0045】
図3に、図1のクロック生成回路200の構成例のブロック図を示す。
【0046】
図3において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0047】
クロック生成回路200は、周波数制御分周カウンタ(広義には第1の分周カウンタ)210と、分周カウンタ(広義には第2の分周カウンタ)220と、クロック間引き部230と、間引き制御部240とを含む。
【0048】
周波数制御分周カウンタ210は、入力クロックiclk又は該入力クロックiclkを間引いたクロックを第1の分周比d1(d1は正の実数)で分周した基本クロックaclkを生成する。なお、第1の分周比d1は、正の整数であることが望ましい。
【0049】
分周カウンタ220は、基本クロックaclkを第2の分周比d2(d2は正の実数)で分周しサンプリングクロックsclkを生成する。なお、第2の分周比d2は、正の整数であることが望ましい。ここで、経験則から、基本クロックaclkとサンプリングクロックsclkの周波数の関係と回路規模との関係で、d2は、32〜50の間であることが望ましい。
【0050】
間引き制御部240は、サンプリングクロックsclkに基づいて、周波数制御分周カウンタ210で分周される入力クロックiclkの間引き制御を行う。より具体的には、d1×d2が[f/f]([x(xは実数)]はxを超えない最大の整数値)又は([f/f]+1)であり、(1/f−(d1×d2)/f)=M/N(N、Mは正の整数)で、(d1×d2)/f・N/M=n/m(n、mは正の整数)としたとき、間引き制御部240が、入力クロックiclkを、n×(d1×d2)クロックごとに、m×(d1×d2)クロックを間引くように制御する。
【0051】
ここで、D=d1×d2の値は[f/f]である。また、基本クロックaclkの周波数をfとすると、第1の分周比d1は[f/f]として求められる。その結果、第2の分周比d2は、D/d1として求められる。
【0052】
こうすることで、周波数fを有する1つの入力クロックiclkに基づいて、周波数fを有するサンプリングクロックsclkを生成すると共に、周波数f、f以外の周波数を有する基本クロックoclkを生成することができる。しかも、サンプリングクロックsclkによりサンプリングされたデータを転送する場合に、該データの転送同期クロックとなる基本クロックaclkとして生成できる。
【0053】
なお、転送同期クロックは、例えば周波数fよりも高い周波数を有し、所定の期間内に任意のパルスを有していればよい。
【0054】
そのため、本実施形態では、クロック生成回路200が、クロック間引き部230を含むことができる。この場合、クロック間引き部230で間引きされたクロックが、基本クロックaclkとして出力される。このようなクロック間引き部230は、周波数制御分周カウンタ210からクロックoclk、又は周波数制御分周カウンタ210から出力されるクロックoclkを間引いたクロックを、基本クロックaclkとして出力する。なお、クロック間引き部230の機能を、周波数制御分周カウンタ210又は分周カウンタ220に持たせてもよい。
【0055】
これにより、サンプリングクロックsclkによりサンプリングされたデータの転送同期クロックとして、所定の期間内に任意のパルスを有する基本クロックaclkを生成することができる。
【0056】
このようなクロック生成回路200によって生成される基本クロックaclk及びサンプリングクロックsclkは、音声再生処理部150に供給される。
【0057】
音声再生処理部150は、出力データラッチ部152と、I2S回路154とを含むことができる。出力データラッチ部152は、音声再生処理部150の音声デコーダのデコード処理によって生成された音声データを、サンプリングクロックsclkによりデータラッチする。I2S回路154は、シリアルクロックSCKとして基本クロックaclkを用いて、出力データラッチ部152でラッチされたデータを音声出力部に転送する制御を行う。
【0058】
I2S回路154は、I2Sバス規格に従ったシリアルクロックSCK、選択信号WS、シリアルデータSDを生成する。このI2S回路は、少なくとも音声データをサンプリングクロックsclkで受け取り、I2Sバス規格に従ったシリアルクロックSCK、選択信号WS、シリアルデータSDを出力する。
【0059】
図4に、図3のI2S回路154の構成例のブロック図を示す。
【0060】
I2S回路154は、出力制御部170と、左用データレジスタ172と、右用データレジスタ174と、シフトレジスタ176とを含む。
【0061】
出力制御部170は、基本クロックaclkであるシリアルクロックSCKと選択信号WSに基づいて左用データレジスタ172又は右用データレジスタ174のデータを読み出す制御を行う。左用データレジスタ172には、音声の左側の音声データが保持される。右用データレジスタ174には、音声の右側の音声データが保持される。シフトレジスタ176には、左用データレジスタ172又は右用データレジスタ174の音声データを、シリアルクロックSCKに同期してシフトし、そのシフト出力をシリアルデータSDとして出力する。
【0062】
図5に、図4のI2S回路154の動作例のタイミング図を示す。
【0063】
このように左用データレジスタ172又は右用データレジスタ174のデータがサンプリングクロックsclkによりサンプリングされ、選択信号WSにより選択されたいずれか一方のデータが基本クロックaclkに同期してシリアルデータSDとして順次出力される。
【0064】
2. クロック生成回路
以下では、本実施形態におけるクロック生成回路200の詳細な構成例について説明する。以下では、入力クロック生成回路120が、例えば放送局から27MHzの精度で記述されるPCR(Program Clock Reference)と呼ばれる番組の基準時間情報を逓倍した54MHz(=f)の周波数を有する入力クロックiclkを生成するものとする。そして、クロック生成回路200が、周波数48kHz、44.1kHz、32kHz(=f)を有するサンプリングクロックsclkを生成するものとする。
【0065】
また、以下では、d1×d2が[f/f]であるものとして説明するが、d1×d2が([f/f]+1)であっても同様である。
【0066】
図6に、本実施形態におけるクロック生成回路200の第1の構成例の構成の概要を示す。図6において、図3と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0067】
クロック生成回路200は、周波数54MHzを有する1種類の入力クロックiclkから、3種類の周波数を有するサンプリングクロックsclkを生成するために、サンプリングクロックsclkの周波数毎に、周波数制御分周カウンタ210、分周カウンタ220、クロック間引き部230及び間引き制御部240の各部が区分されている。そして、出力するサンプリングクロックsclkの周波数に対応したモード制御信号MODEに基づいて、周波数制御分周カウンタ210、分周カウンタ220、クロック間引き部230及び間引き制御部240の各部が動作するようになっている。このようなモード制御信号MODEは、例えば情報再生装置100内のCPU130がクロック生成回路200に対して設定する。
【0068】
即ち、周波数制御分周カウンタ210が、48kHz用周波数制御分周カウンタ210−1、44.1kHz用周波数制御分周カウンタ210−2、32kHz用周波数制御分周カウンタ210−3を有し、モード制御信号MODEにより指定された1つの周波数制御分周カウンタが動作する。また分周カウンタ220が、48kHz用分周カウンタ220−1、44.1kHz用分周カウンタ220−2、32kHz用分周カウンタ220−3を有し、モード制御信号MODEにより指定された1つの分周カウンタが動作する。更に、クロック間引き部230は、48kHz用クロック間引き部230−1、44.1kHz用クロック間引き部230−2、32kHz用クロック間引き部230−3を有し、モード制御信号MODEにより指定された1つのクロック間引き部が動作する。
【0069】
更に、間引き制御部240は、44.1kHz用間引き制御部240−2、32kHz用間引き制御部240−3を有し、モード制御信号MODEにより指定された1つの間引き制御部240が動作する。なお、48kHzのサンプリングクロックsclkを生成する場合、後述するように入力クロックiclkを間引く必要がないため、間引き制御部240は、48kHz用間引き制御部240−1が省略された構成となっている。
【0070】
本実施形態におけるクロック生成回路200は、図6に示す第1の構成例の構成に限定されるものではない。
【0071】
図7に、本実施形態におけるクロック生成回路200の第2の構成例の構成の概要を示す。図7において、図3と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0072】
第2の構成例では、クロック生成回路200は、周波数54MHzを有する1種類の入力クロックiclkから、3種類の周波数を有するサンプリングクロックsclkを生成するために、サンプリングクロックsclkの周波数毎に、図3のクロック生成回路が設けられている。そして、出力するサンプリングクロックsclkの周波数に対応したモード制御信号MODEに基づいて、各クロック生成回路で生成された基本クロックaclk及びサンプリングクロックsclkが1つずつ選択されるようになっている。
【0073】
即ち、クロック生成回路200は、48kHz用クロック生成回路200−1、44.1kHz用クロック生成回路200−2、32kHz用クロック生成回路200−3を有する。48kHz用クロック生成回路200−1、44.1kHz用クロック生成回路200−2及び32kHz用クロック生成回路200−3の各クロック生成回路は、図3に示すクロック生成回路と同様の構成を有している。
【0074】
更にクロック生成回路200は、セレクタSEL1、SEL2を含む。セレクタSEL1は、48kHz用クロック生成回路200−1、44.1kHz用クロック生成回路200−2及び32kHz用クロック生成回路200−3により生成されたサンプリングクロックの1つを、モード制御信号MODEに基づいて選択出力する。セレクタSEL2は、48kHz用クロック生成回路200−1、44.1kHz用クロック生成回路200−2及び32kHz用クロック生成回路200−3により生成された基本クロックの1つを、モード制御信号MODEに基づいて選択出力する。
【0075】
以下では、第2の構成例の各クロック生成回路の構成及び動作を説明する。
【0076】
2.1 サンプリングクロック(48kHz)
図8に、周波数が48kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路200−1の構成例を示す。
【0077】
図3の周波数制御分周カウンタ210に対応する周波数制御分周カウンタ210−1は、間引き分周回路(広義には、間引き分周カウンタ)212−1、分周回路214−1を含む。間引き分周回路212−1は、入力クロックiclkを分周比5(=e1(e1は2以上の整数))で分周し、10.8MHzの周波数を有するクロックを出力する。分周回路214−1は、間引き分周回路212−1の出力クロックを、分周比5(=e2=d1/e1)で分周し、21.6MHzの周波数を有するクロックを出力する。
【0078】
図3の分周カウンタ220に対応する分周カウンタ220−1は、分周回路222−1、224−1を含む。分周回路222−1は、分周比5で、周波数制御分周カウンタ210−1からのクロックを分周し、432kHzの周波数を有するクロックを生成する。分周回路224−1は、分周比9で、分周回路222−1からのクロックを分周し、48kHzの周波数を有するサンプリングクロックsclkを生成する。
【0079】
このように、図8の構成では、周波数制御分周カウンタ210−1において入力クロックiclkを間引くことなく、48MHzの周波数を有するサンプリングクロックsclkを生成することができる。
【0080】
図3のクロック間引き部230に対応するクロック間引き部230−1は、周波数制御分周カウンタ210−1からの2.16MHzの周波数を有するクロックを間引き、間引き後のクロックを基本クロックaclkとして出力する。
【0081】
図9に、図8のクロック間引き部230−1の動作説明図を示す。
【0082】
基本クロックaclkとサンプリングクロックsclkとの関係に着目すると、基本クロックaclkの1クロックの期間に、サンプリングクロックsclkが45クロック存在する。図5に示すように、I2S回路154では、左用データ及び右用データの各データを16ビットずつ転送するものとする。
【0083】
クロック間引き部230−1は、図9に示すように、45クロックのうち前半の16パルスと後半の16パルスのみを残し、残りのパルスを間引くように、周波数制御分周カウンタ210−1からのクロックを間引く制御を行う。
【0084】
これにより、48kHzの周波数を有するサンプリングクロックsclkでサンプリングされたデータを、I2S回路154において、基本クロックaclkに同期させて転送させることができる。
【0085】
2.2 サンプリングクロック(44.1kHz)
図10に、周波数が44.1kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路200−2の構成例を示す。
【0086】
図3の周波数制御分周カウンタ210に対応する周波数制御分周カウンタ210−2は、間引き分周回路(広義には、間引き分周カウンタ)212−2、分周回路214−2を含む。間引き分周回路212−2は、入力クロックiclkを分周比4(=e1)で分周する。分周回路214−2は、間引き分周回路212−2の出力クロックを、分周比9(=e2=d1/e1)で分周する。
【0087】
図3の分周カウンタ220に対応する分周カウンタ220−2は、分周回路222−2、224−2を含む。分周回路222−2は、分周比17で、周波数制御分周カウンタ210−2からのクロックを分周する。分周回路224−2は、分周比2で、分周回路222−2からのクロックを分周する。
【0088】
ここで、分周カウンタ220−2の出力がサンプリングクロックsclkとなるが、入力クロックiclkを上記の通り分周しても、44.1kHzの周波数を得ることができない。
【0089】
図10において、周波数制御分周カウンタ210−2及び分周カウンタ220−2による分周比は、1224(=4×9×17×2)である。44.1kHzのサンプリングクロックsclkの周波数をws、54MHzの入力クロックiclkを1224分周した分周クロックの周波数をwsxとすると、各周波数は、以下のようになる。
【0090】
ws = 44.1kHz ・・・(1)
wsx= 54000k/1224 ≒ 44.1176kHz ・・・(2)
従って、サンプリングクロックsclkと分周クロックとの周期の差Δwsは、次のように表される。
【0091】
Δws = 1/ws-1/wsx = 1/(7×3×7×3×100)―17/(5×5×3×10k)
= 1/(7×7×3×3×5×5×10k) ・・・(3)
そのため、ws/Δws=2500、wsx/Δws=2499となり、wsx/ws=2499/2500となる。
【0092】
図11に、サンプリングクロックと分周クロックの関係を示す。
【0093】
図11に示すように、分周クロックの2499クロック毎に、分周クロックを1クロック分だけ間引くことで、サンプリングクロックsclkの2500クロック分のクロックパルスを発生させることができる。ここで、分周クロックの1クロックは、入力クロックiclkの1224クロック分に相当する。
【0094】
このとき、入力クロックiclkのパルスのうち、間引きされるパルスは時間的に離れている方が好ましいので、パルスを間引きする周期を設定し、該周期ごとに、パルスを間引くことが望ましい。
【0095】
ここで、d1=4×9=36、d2=17×2=34とすると、Df=d1×d2=1224となる。従って、(1/f−Df/f)は、以下の通りとなる。
【0096】
1/f−Df/f=M/N=1/(7×7×3×3×5×5×10k)
そして、Df/f・N/M=n/mとすると、n=2499、m=1となる。そのため、54MHzの周波数を有する入力クロックiclkを、2499×1224クロック毎に、1×1224回の割合で間引くということができる。
【0097】
本実施形態では、間引き制御部240−2の制御により入力クロックiclkを間引くことで、54MHzの周波数を有するクロックを単純に分周するだけでは得ることができない44.1kHzの周波数を有するサンプリングクロックsclkを生成する。
【0098】
そのため間引き制御部240−2は、間引きカウンタ242−2と、間引きパルス発生回路244−2を含む。
【0099】
間引きカウンタ242−2は、入力クロックiclkのパルスを間引く周期をカウントする。間引きカウンタ242−2では、サンプリングクロックsclkをカウントし、そのカウント値が2499となるたびに出力パルスを発生させる。このカウント値は、2499となった後に初期化される。
【0100】
間引きパルス発生回路244−2は、間引きカウンタ242−2により間引き周期に対応するカウント数がカウントされたことを条件に間引きパルスを発生させる。そして、間引きパルス発生回路244−2は、間引きカウンタ242−2でカウントされた周期で、所定の数の間引きパルスを発生させる。間引きパルス発生回路244−2では、間引きカウンタ242−2からの出力パルスが2回来る毎に1224回の割合で間引きパルスを発生させる。間引き分周回路212−1は、間引きパルス発生回路244−2からの間引きパルスを受けるたびに、入力クロックiclkを1クロック間引きする。
【0101】
そして間引き分周回路212−2は、間引きパルスが入力されない状態では、分周比e1で分周されるクロックを生成し、間引きパルスが入力された状態では、分周比(e1−1)で分周されたクロックを生成する。
【0102】
図12に、間引きパルスに基づいてパルスを間引きする間引き分周カウンタの動作例のフロー図を示す。
【0103】
まず、間引き分周回路212−2は、分周比4(=e1)に対応した4進カウンタを有し、入力クロックiclkの入力(入力クロックiclkのパルスの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジ)を待つ(ステップS10:N)。間引き分周回路212−2は、入力クロックiclkが入力され(ステップS10:Y)、間引きパルス発生回路244−2からの間引きパルスが入力されないとき(ステップS11:N)、4進カウンタのカウント値を1だけ進める(ステップS12)。
【0104】
一方、ステップS11において、間引きパルス発生回路244−2からの間引きパルスが入力されたとき(ステップS11:Y)、4進カウンタのカウント値を2だけ進める(ステップS13)。4進カウンタのカウント値が0のときにカウント値を2に設定し、カウント値が1のときにカウント値を3に設定し、カウント値が2のときにカウント値を0に設定し、カウント値が3のときにカウント値を1に設定する。
【0105】
ステップS12又はステップS13の後、間引き分周回路212−2は、4進カウンタのカウントアップ後のカウント値が4以上であるか否かを判別する(ステップS14)。カウントアップ後のカウント値が4以上であるとき(ステップS14:Y)、間引き分周回路212−2は、出力クロックを発生させ(ステップS15)、4進カウンタのカウント値を初期化し(ステップS16)、ステップS10に戻る(リターン)。
【0106】
ステップS14において、4進カウンタのカウント値が3以下のとき(ステップS14:N)、ステップS10に戻り(リターン)、次の入力クロックiclkの入力を待つ。
【0107】
このようにすれば、4進カウンタは、間引きパルスが入力されないとき、入力クロックiclkに基づいて、カウント値を0、1、2、3、0、1、・・・と進む。また、間引きパルスが入力されたとき、入力クロックiclkに基づいて、例えばカウント値を0、1、3、0、1、2、3、0、・・・と進めることができる。
【0108】
即ち、間引き分周回路212−2が、入力クロックiclkに基づいてカウントアップし、カウントアップ後のカウント値がe1となったときにカウント値が初期化されるカウンタを含むことができる。そして、間引きパルスが入力されない状態では、カウンタのカウント値に1を加算し、間引きパルスが入力された状態では、カウンタのカウント値に2を加算するということができる。
【0109】
なお図12では、間引き分周カウンタの分周比が4であるものとして説明したが、該分周比が任意の整数であってもよい。
【0110】
このように間引き分周回路212−2を動作させることで、間引き制御部240−2は、間引きパルス発生回路244−2により発生させた間引きパルスを用いて入力クロックiclkを間引く制御を行うことができる。
【0111】
図13に、図10の間引きパルス発生回路244−2の構成例のブロック図を示す。
【0112】
間引きパルス発生回路244−2は、D型フリップフロップDFFと、間引き周期レジスタ300−2、周期カウンタ302−2、コンパレータ304−2、パルス発生回路306−2、間引き回数カウンタ308−2、間引き回数レジスタ310−2、コンパレータ312−2を含む。
【0113】
D型フリップフロップDFFのデータ端子Dには、高電位側電源電圧VDDが供給されている。D型フリップフロップDFFのクロック端子Cには、間引きカウンタ242−2からの出力パルスがスタートパルスSPとして入力される。D型フリップフロップDFFの出力端子Qからはカウントイネーブル信号が出力される。
【0114】
周期カウンタ302−2は、D型フリップフロップDFFからのカウントイネーブル信号がHレベルのときに、入力クロックiclkに同期してカウント値をカウントアップする。周期カウンタ302−2のカウント値は、コンパレータ304−2に入力されると共に、該カウント値は間引きパルスにより初期化される。
【0115】
間引き周期レジスタ300−2には、図1のCPU130により、間引き周期に対応した設定値RAが設定される。コンパレータ304−2は、間引き周期レジスタ300−2に設定された設定値RAと周期カウンタ302−2のカウント値とを比較し、両者の値が一致したとき一致パルスをパルス発生回路306−2に出力する。
【0116】
パルス発生回路306−2は、コンパレータ304−2からの一致パルスが入力されたときに、所定のパルス幅を有する間引きパルスを発生させる。間引きパルスは、図10の間引き分周回路212−2に供給されると共に、間引きパルス発生回路244−2の間引き回数カウンタ308−2にも供給される。
【0117】
間引き回数カウンタ308−2は、間引きパルスのパルス数をカウントする。
【0118】
間引き回数レジスタ310−2には、図1のCPU130により、間引き回数に対応した設定値RBが設定される。コンパレータ312−2は、間引き回数レジスタ310−2に設定された設定値RBと間引き回数カウンタ308−2のカウント値とを比較し、両者の値が一致したとき一致パルスをD型フリップフロップDFFのリセット端子Rに出力する。
【0119】
なお、コンパレータ312−2は、図1のCPU130により制御されるイネーブル信号により、上述の機能のイネーブル制御が行われる。イネーブル信号によりディスエーブルが設定されたとき、コンパレータ312−2の出力は、常に非アクティブとなる。
【0120】
このような構成において、間引き周期レジスタ300−2に「2」、間引き回数レジスタ310−2に「1224」を設定することで、間引きパルス発生回路244−2は、間引きカウンタ242−2からの出力パルスが2回来る毎に1224回の割合で間引きパルスを発生させることができる。
【0121】
図3のクロック間引き部230に対応する図10のクロック間引き部230−2は、周波数制御分周カウンタ210−2からのクロックを間引き、間引き後のクロックを基本クロックaclkとして出力する。
【0122】
クロック間引き部230−2は、34(=17×2)クロックのうち前半の16パルスと後半の16パルスのみを残し、残りのパルスを間引くように、周波数制御分周カウンタ210−2からのクロックを間引く制御を行う。
【0123】
これにより、44.1kHzの周波数を有するサンプリングクロックsclkでサンプリングされたデータを、I2S回路154において、基本クロックaclkに同期させて転送させることができる。
【0124】
なお、図10では、分周クロックの2499クロック毎に、分周クロックを1クロック分だけ間引いていたが、これに限定されるものではない。即ち、図10では、分周クロックの2499(=7×7×3×17)クロック毎に、入力クロックiclkの1224(=17×3×8×3)クロックを間引く。そのため、分周クロックのクロック数と入力クロックiclkのクロック数との最大公約数である51(=17×3)を考慮に入れると、分周クロック49クロック毎に、入力クロックiclkを24クロックだけ間引いてもよい。
【0125】
図14に、周波数が44.1kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路200−2の他の構成例を示す。
【0126】
図14において、図10と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0127】
図14のクロック生成回路200−2が、図10のクロック生成回路200−2と異なる点は、間引き制御部240−2の構成である。間引き制御部240−2は、間引きカウンタ246−2と、間引きパルス発生回路248−2とを含む。
【0128】
間引きカウンタ246−2は、入力クロックiclkのパルスを間引く周期をカウントする。間引きカウンタ246−2では、サンプリングクロックsclkをカウントし、そのカウント値が49となるたびに出力パルスを発生させる。このカウント値は、49となった後に初期化される。
【0129】
間引きパルス発生回路248−2は、間引きカウンタ246−2でカウントされた周期で、所定の数の間引きパルスを発生させる。間引きパルス発生回路248−2では、間引きカウンタ246−2からの出力パルスが2回来る毎に24回の割合で間引きパルスを発生させる。間引き分周回路212−1は、間引きパルス発生回路248−2からの間引きパルスを受けるたびに、入力クロックiclkを1クロック間引きする。
【0130】
間引きパルス発生回路248−2の機能は、図13の構成において、間引き周期レジスタ300−2に「2」を設定し、間引き回数レジスタ310−2に「24」を設定することで実現される。
【0131】
2.3 サンプリングクロック(32kHz)
図15に、周波数が32kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路200−3の構成例を示す。
【0132】
図3の周波数制御分周カウンタ210に対応する周波数制御分周カウンタ210−3は、間引き分周回路(広義には、間引き分周カウンタ)212−3を含む。間引き分周回路212−3は、入力クロックiclkを分周比7(=e1)で分周する。
【0133】
図3の分周カウンタ220に対応する分周カウンタ220−3は、分周回路222−3を含む。分周回路222−3は、分周比241で、周波数制御分周カウンタ210−3からのクロックを分周する。そして、分周回路222−3の内部ノードから基本クロックaclkが出力されるようになっている。
【0134】
ここで、分周カウンタ220−3の出力がサンプリングクロックsclkとなるが、入力クロックiclkを上記の通り分周しても、32kHzの周波数を得ることができない。
【0135】
図15において、周波数制御分周カウンタ210−3及び分周カウンタ220−3による分周比は、1687(=7×241)である。32kHzのサンプリングクロックsclkの周波数をws1、54MHzの入力クロックiclkを1687分周した分周クロックの周波数をwsx1とすると、各周波数は、以下のようになる。
【0136】
Ws1 = 32kHz ・・・(4)
Wsx1= 54000k/1687 ≒ 32.009kHz ・・・(5)
従って、サンプリングクロックsclkと分周クロックとの周期の差Δws1は、次のように表される。
【0137】
Δws1 = 1/ws1-1/wsx1 = 1/(8×4×1000)―1687/(6×9×1000k)
= 8/(8×2×6×9×1000k) ・・・(6)
そのため、ws1/Δws1=27000、wsx1/Δws1=26992となり、wsx1/ws1=26992/27000となる。
【0138】
図16に、サンプリングクロックと分周クロックの関係を示す。
【0139】
図16に示すように、分周クロックの26992クロック毎に、分周クロックを8クロック分だけ間引くことで、サンプリングクロックsclkの27000クロック分のクロックパルスを発生させることができる。ここで、分周クロックの1クロックは、入力クロックiclkの1687クロック分に相当する。
【0140】
このとき、入力クロックiclkのパルスのうち、間引きされるパルスは時間的に離れている方が好ましいので、パルスを間引きする周期を設定し、該周期ごとに、パルスを間引くことが望ましい。
【0141】
ここで、d1=7、d2=241とすると、Df=d1×d2=1687となる。従って、(1/f−Df/f)は、以下の通りとなる。
【0142】
1/f−Df/f=M/N=8/(8×2×6×9×1000k)
そして、Df/f・N/M=n/mとすると、n=3374、m=1となる。そのため、54MHzの周波数を有する入力クロックiclkを、3374×1687クロック毎に、1×1687回の割合で間引くということができる。
【0143】
本実施形態では、間引き制御部240−3の制御により入力クロックiclkを間引くことで、54MHzの周波数を有するクロックを単純に分周するだけでは得ることができない32kHzの周波数を有するサンプリングクロックsclkを生成する。
【0144】
26992は(1687×8)×2であるため、間引きパルス発生回路244−3は、サンプリングクロックsclkのパルスをスタートパルスSPとして、サンプリングクロックsclkの2クロック毎に、入力クロックiclkを1クロック間引くための間引きパルスを発生させる。間引き分周回路212−3は、間引きパルス発生回路244−3からの間引きパルスを受けるたびに、入力クロックiclkを1クロック間引きする。
【0145】
間引きパルス発生回路244−3の機能は、図13において、間引き周期レジスタに「2」、イネーブル信号によりコンパレータ312をディスエーブル状態に設定することで実現される。
【0146】
図17に、図15の分周回路222−3の構成例のブロック図を示す。
【0147】
分周回路222−3は、7進カウンタ400、34進カウンタ402、コンパレータ404、3進カウンタ406、コンパレータ408、D型フリップフロップDFF1を含む。
【0148】
7進カウンタ400は、周波数制御分周カウンタ210−3の出力クロックに同期してカウント値をカウントアップし、カウントアップ後のカウント値が7になったときにそのカウント値が0に戻るカウンタである。7進カウンタ400の出力が、基本クロックaclkとなる。
【0149】
34進カウンタ402は、基本クロックaclkに同期してカウント値をカウントアップする。34進カウンタ402のカウント値は6ビットデータであり、上位5ビット目の信号がサンプリングクロックsclkとなる。
【0150】
コンパレータ404は、34進カウンタ402のカウント値と「34」とを比較し、両者の値が一致したときに一致パルスを発生させる。この一致パルスは、3進カウンタ406のイネーブル端子ENに入力されると共に、D型フリップフロップDFF1のクロック端子Cに入力される。
【0151】
3進カウンタ406は、周波数制御分周カウンタ210−3からのクロックに同期してカウント値をカウントアップする。3進カウンタ406のカウント値は、コンパレータ408に入力される。
【0152】
コンパレータ408は、3進カウンタ406のカウント値と「3」とを比較し、両者の値が一致したときに一致パルスを発生させる。この一致パルスは、D型フリップフロップDFF1のリセット端子Rに入力される。
【0153】
D型フリップフロップDFF1のデータ端子Dには、高電位側電源電圧VDDが供給される。D型フリップフロップDFF1の出力端子Qからの出力信号は、7進カウンタ400、34進カウンタ402、3進カウンタ406の初期化信号として用いられる。
【0154】
図18に、図15の分周回路222−3の動作例のタイミング図を示す。
【0155】
周波数制御分周カウンタ210−3からの出力クロックは7進カウンタ400に入力されて、7進カウンタ400の出力クロックは基本クロックaclkとして出力される。この結果、基本クロックaclkは、入力クロックiclkの49分周したクロックとなる。
【0156】
34進カウンタ402は、基本クロックaclkに同期してカウント値をカウントし、6ビットのカウントデータのうち上位5ビット目の信号をサンプリングクロックsclkとして取り出すため、基本クロックaclkが16クロックになると、サンプリングクロックsclkの論理レベルを反転させる。
【0157】
34進カウンタ402でカウントが終了すると3進カウンタ406のカウントが開始されるため、周波数制御分周カウンタ210−3からの出力クロックの241(=7×34+3)クロックで、7進カウンタ400、34進カウンタ402、3進カウンタ406が初期化される。
【0158】
この結果、32kHzのサンプリングクロックsclkが生成されると共に、サンプリングクロックsclkの1周期内に32個のパルスを有する基本クロックaclkを生成することができる。
【0159】
これにより、32kHzの周波数を有するサンプリングクロックsclkでサンプリングされたデータを、I2S回路154において、基本クロックaclkに同期させて転送させることができる。
【0160】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0161】
また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本実施形態における情報再生装置が適用された放送受信端末の構成例のブロック図。
【図2】図1の入力クロック生成回路の構成例のブロック図。
【図3】図1のクロック生成回路の構成例のブロック図
【図4】図3のI2S回路の構成例のブロック図。
【図5】図4のI2S回路の動作例のタイミング図。
【図6】本実施形態におけるクロック生成回路の第1の構成例の構成の概要の図。
【図7】本実施形態におけるクロック生成回路の第2の構成例の構成の概要の図。
【図8】周波数が48kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路の構成例を示す図。
【図9】図8のクロック間引き部の動作説明図。
【図10】周波数が44.1kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路の構成例を示す図。
【図11】サンプリングクロックと分周クロックの関係を示す図。
【図12】間引きパルスに基づいてパルスを間引きする間引き分周カウンタの動作例のフロー図。
【図13】図10の間引きパルス発生回路の構成例のブロック図。
【図14】周波数が44.1kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路の他の構成例を示す図。
【図15】周波数が32kHzのサンプリングクロックを生成するクロック生成回路の構成例を示す図。
【図16】サンプリングクロックと分周クロックの関係を示す図。
【図17】図15の分周回路の構成例のブロック図。
【図18】図15の分周回路の動作例のタイミング図。
【符号の説明】
【0163】
10 放送受信端末、 20 チューナ、 22 DAC、 24 スピーカ、
26 表示ドライバ、 28 表示パネル、 100 情報再生装置、
110 信号解析部、 120 入力クロック生成回路、 122 発振回路、
124 PLL回路、 130 CPU、 140 メモリ、
150 音声再生処理部、 152 出力データラッチ部、 154 I2S回路、
160 映像再生処理部、 170 出力制御部、 172 左用データレジスタ、
174 右用データレジスタ、 176 シフトレジスタ、
200 クロック生成回路、 200−1 48kHz用クロック生成回路、
200−2 44.1kHz用クロック生成回路、
200−3 32kHz用クロック生成回路、 210 周波数制御分周カウンタ、
210−1 48kHz用周波数制御分周カウンタ、
210−2 44.1kHz用周波数制御分周カウンタ、
210−3 32kHz用周波数制御分周カウンタ、
212−1、212−2、212−3 間引き分周回路
214−1、214−2、222−1、222−2、222−3、224−1、224−2 分周回路
220 分周カウンタ、 220−1 32kHz用分周カウンタ、
220−2 44.1kHz用分周カウンタ、
220−3 48kHz用分周カウンタ、 230 クロック間引き部、
230−1 48kHz用クロック間引き部、
230−2 44.1kHz用クロック間引き部、
230−3 32kHz用クロック間引き部、 240 間引き制御部、
242−2、246−2 間引きカウンタ、
244−2、244−3、248−2 間引きパルス発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数fを有する入力クロックに基づいて、第1の出力クロック及び周波数fを有する第2の出力クロックを生成するためのクロック生成回路であって、
前記入力クロック又は該入力クロックを間引いたクロックを第1の分周比d1(d1は正の整数)で分周した前記第1の出力クロックを生成する第1の分周カウンタと、
前記第1の出力クロックを第2の分周比d2(d2は正の整数)で分周し前記第2の出力クロックを生成する第2の分周カウンタと、
前記第2の出力クロックに基づいて、前記第1の分周カウンタで分周される前記入力クロックの間引き制御を行う間引き制御部とを含むことを特徴とするクロック生成回路。
【請求項2】
請求項1において、
d1×d2が、[f/f]([x(xは実数)]はxを超えない最大の整数値)又は([f/f]+1)であり、(1/f−(d1×d2)/f)=M/N(N、Mは正の整数)で、(d1×d2)/f・N/M=n/m(n、mは正の整数)としたとき、
前記間引き制御部が、
前記入力クロックを、n×(d1×d2)クロックごとに、m×(d1×d2)クロックを間引くように制御することを特徴とするクロック生成回路。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1の分周カウンタから出力されるクロック、又は前記第1の分周カウンタから出力されるクロックを間引いたクロックを、前記第1の出力ロックとして出力するクロック間引き部を含むことを特徴とするクロック生成回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第1の分周カウンタが、
前記間引き制御部からの制御に基づいて前記入力クロックを間引き、間引き後のクロックを分周比e1(e1は2以上の整数)で分周する間引き分周カウンタと、
前記間引き分周カウンタで分周されたクロックを、分周比e2(e2=d1/e1)で分周する分周回路とを含むことを特徴とするクロック生成回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記間引き制御部が、
前記第2の出力ロックに基づいて間引き周期に対応するカウント数をカウントする間引きカウンタと、
前記間引きカウンタにより間引き周期に対応するカウント数がカウントされたことを条件に間引きパルスを発生させる間引きパルス発生回路とを含み、
前記間引き分周カウンタが、
前記間引きパルスが入力されない状態では、分周比e1で分周されるクロックを生成し、
前記間引きパルスが入力された状態では、分周比(e1−1)で分周されたクロックを生成すること特徴とするクロック生成回路。
【請求項6】
請求項5において、
前記間引き分周カウンタが、
前記入力クロックに基づいてカウントアップし、カウント値がe1となったときにカウント値が初期化されるカウンタを含み、
前記間引きパルスが入力されない状態では、前記カウンタのカウント値に1を加算し、
前記間引きパルスが入力された状態では、前記カウンタのカウント値に2を加算することを特徴とするクロック生成回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記第2のクロックが、サンプリングクロックであり、
前記第1のクロックが、前記サンプリングクロックによりサンプリングされたデータの転送同期クロックとなる基本クロックであることを特徴とするクロック生成回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
d2が、32以上50の範囲の整数であることを特徴とするクロック生成回路。
【請求項9】
受信した放送信号に含まれる音声データの再生処理を行うための情報再生装置であって、
所与の入力クロックに基づいて前記第1及び第2の出力クロックを出力する請求項1乃至8のいずれか記載のクロック生成回路と、
前記音声データを前記第2の出力クロックでサンプリングしたデータを、前記第1の出力クロックに同期して音声出力部に出力する音声再生処理部とを含むことを特徴とする情報再生装置。
【請求項10】
前記放送信号から希望信号を抽出するためのチューナと、
前記チューナによって抽出された希望信号が供給される請求項9記載の情報再生装置とを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
周波数fを有する入力クロック又は該入力クロックを間引いたクロックを第1の分周比で分周した第1の出力クロックを生成する第1の分周カウンタと、
前記第1の出力クロックを第2の分周比で分周し前記第2の出力クロックを生成する第2の分周カウンタと、
前記第2の出力クロックに基づいて、前記第1の分周カウンタで分周される入力クロックの間引き制御を行う間引き制御部とを含み、周波数fを有する第1の出力クロック及び周波数fを有する第2の出力クロックを生成するためのクロック生成回路の設計方法であって、
[f/f]([x(xは実数)]はxを超えない最大の整数値)である全体分周比パラメータD(Dfは正の整数)を求め、
[f/f]を前記第1の分周比d1(d1は正の整数)として前記第1の分周カウンタの分周比を決定し、
/d1を前記第2の分周比として前記第2の分周カウンタの分周比を決定することを特徴とするクロック生成回路の設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−300450(P2007−300450A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127269(P2006−127269)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】