説明

クロック生成回路及びこれを備える半導体装置並びにデータ処理システム

【課題】クロック生成回路の消費電力を低減する。
【解決手段】内部クロック信号LCLKを生成するディレイライン110と、ディレイライン110を制御することによって内部クロック信号LCLKの位相を調整する位相制御部120と、位相制御部120の動作モードを切り替えるモード切り替え回路130とを備える。位相制御部120は、サンプリングクロック信号SYNCLK2に同期して内部クロック信号LCLKの位相を変化させる第1の動作モードと、内部クロック信号LCLKの位相を固定させる第2の動作モードを有しており、モード切り替え回路130は、リフレッシュ信号REFBなどのトリガ信号に応答して位相制御部120を第1の動作モードに遷移させ、内部クロック信号LCLKが所望の位相に達したことに応答して位相制御部120を第2の動作モードに遷移させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロック生成回路及びこれを備える半導体装置に関し、特に、DLL回路のように位相調整された内部クロック信号を生成するクロック生成回路及びこれを備える半導体装置に関する。また、本発明は、このような半導体装置を備えるデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータなどのメインメモリとして、クロックに同期した動作を行うシンクロナスメモリが広く使用されている。中でも、DDR(Double Data Rate)型のシンクロナスメモリでは、入出力データを外部クロック信号に対して正確に同期させる必要があることから、外部クロック信号に同期した内部クロック信号を生成するためのDLL回路が必須である(特許文献1参照)。
【0003】
DLL回路は、外部クロック信号と内部クロック信号の位相に基づいてカウント値が更新されるカウンタ回路と、カウンタ回路のカウント値に基づいて外部クロック信号を遅延させることにより内部クロック信号を生成するディレイラインとを備えている。カウント値の更新はDLL回路がロックした後、つまり、内部クロック信号の位相が外部クロック信号の位相に対して所望の位相に達した(一般的には、位相ゼロ)後も、外部クロック信号に追従すべく更新動作が継続される。このため、DLL回路はロックした後においても所定の電力を消費し続けることになる。
【0004】
特許文献2には、リフレッシュ動作中にDLL回路への電力供給を停止可能な半導体装置が記載されている。リフレッシュ動作中は、DLL回路の出力である内部クロック信号が使用されないことから、リフレッシュ動作中にDLL回路への電力供給を停止すれば、少なくともリフレッシュ動作中の消費電力を低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−292947号公報
【特許文献2】特開2004−273106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、DLL回路への電力供給を停止すると、カウンタ回路のカウント値もリセットされてしまう。このため、DLL回路への電力供給を再開した後、DLL回路が再びロックするまでの期間はアクセスができなくなり、半導体装置のパフォーマンスを低下させてしまう。
【0007】
また、リフレッシュコマンドが発行されるまではDLL回路が動作し続けることから、この期間におけるDLL回路の消費電力を低減することはできない。
【0008】
このような問題は、DLL回路のみならず、位相制御された内部クロック信号を生成するクロック生成回路において共通に生じる問題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるクロック生成回路は、第1のクロック信号を生成するクロック生成部と、前記クロック生成部を制御することによって前記第1のクロック信号の位相を調整する位相制御部と、前記位相制御部の動作モードを切り替えるモード切り替え回路と、を備え、前記位相制御部は、所定の周期で前記第1のクロック信号の位相を変化させる第1の動作モードと、前記第1のクロック信号の位相を固定させる第2の動作モードを有しており、前記モード切り替え回路は、トリガ信号に応答して前記位相制御部を前記第1の動作モードに遷移させ、前記第1のクロック信号が所望の位相に達したことに応答して前記位相制御部を前記第2の動作モードに遷移させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クロック生成部の出力である第1のクロック信号が所望の位相に達した場合には第1のクロック信号の位相が固定されることから、位相制御動作に伴って生じる消費電力を低減することが可能となる。また、トリガ信号に応答して位相制御動作が再開されることから、内部クロック信号の位相が所望の位相から大幅に外れることもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるDLL回路100の構成を示すブロック図である。
【図3】モード切り替え回路(ディザー判定回路)130の回路図である。
【図4】モード切り替え回路130の動作を説明するためのタイミング図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるDLL回路200の構成を示すブロック図である。
【図6】モード切り替え回路230の回路図である。
【図7】モード切り替え回路230の動作を説明するためのタイミング図である。
【図8】本発明の第3の実施形態による半導体装置10aの構成を示すブロック図である。
【図9】電圧変動検知回路300の回路図である。
【図10】本発明の第4の実施形態による半導体装置10bの構成を示すブロック図である。
【図11】変形例による半導体装置10cの構成を示すブロック図である。
【図12】半導体装置10を用いたデータ処理システム500の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の課題を解決する技術思想(コンセプト)の代表的な一例は、以下に示される。但し、本願の請求内容はこの技術思想に限られず、本願の請求項に記載の内容であることは言うまでもない。すなわち、本発明は、生成されるクロック信号が所望の位相に達した場合、クロック信号の生成を停止するのではなく、クロック信号の位相制御動作を停止することによって消費電力を低減させるとともに、トリガ信号に応答して位相制御動作を再開することを技術思想とするものである。すなわち、位相制御動作を間欠的に行うことによって、消費電力の低減を図ることを特徴としている。半導体装置の電源起動時またはDLL回路のリセットコマンドが投入された時に、DLL回路が位相制御動作を実行し、位相制御が完了すると(外部クロック信号と内部クロック信号との位相がマッチングした状態)、DLL回路は位相制御動作を停止する。その後、トリガ信号に応答して位相制御動作を再開し、所定の位相制御動作の結果に対応して位相制御動作を自動停止する。つまり、トリガ信号に応答して位相制御動作が非活性な第2の動作モードから位相制御動作が活性な第1の動作モードへ遷移し、更にその後自動的に第2の動作モードへ遷移する。ここで、トリガ信号はリセットコマンドとは異なる。第2の動作モードから第1の動作モードへ遷移は、直前の第2の動作モードの位相制御値を保持しつつ位相制御動作を行い、位相制御動作によって位相制御値を変更(更新)または維持(非更新)するのに対して、リセットコマンドはDLL回路自身をリセット(つまり、位相制御値を破棄する)し、新たに位相制御値を生成し直す。
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の全体構成を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態による半導体装置10はDDR型のSDRAMであり、外部端子として、クロック端子11a,11b、コマンド端子12a〜12e、アドレス端子13及びデータ入出力端子14を備えている。その他、電源端子やデータストローブ端子なども備えられているが、これらについては図示を省略してある。
【0016】
クロック端子11a,11bは、それぞれ外部クロック信号CK,/CKが供給される端子であり、供給された外部クロック信号CK,/CKは、クロック入力回路21に供給される。本明細書において信号名の先頭に「/」が付されている信号は、対応する信号の反転信号又はローアクティブな信号であることを意味する。したがって、外部クロック信号CK,/CKは互いに相補の信号である。クロック入力回路21は、外部クロック信号CK,/CKに基づいて単相の内部クロック信号ICLKを生成し、これをDLL回路100(200)に供給する。
【0017】
DLL回路100(200)は、内部クロック信号ICLKを受けて、外部クロック信号CK,/CKに対して位相制御された内部クロックLCLKを生成し、これをデータ入出力回路70に供給する。図1に示すように、DLL回路100(200)には、ディレイライン(クロック生成部)110、位相制御部120及びモード切り替え回路130が含まれている。DLL回路100(200)の詳細について後述する。
【0018】
コマンド端子12a〜12eは、それぞれロウアドレスストローブ信号/RAS、カラムアドレスストローブ信号/CAS、ライトイネーブル信号/WE、チップセレクト信号/CS、及びオンダイターミネーション信号ODTが供給される端子である。これらのコマンド信号CMDは、コマンド入力回路31に供給される。コマンド入力回路31に供給されたこれらコマンド信号CMDは、コマンドデコーダ32に供給される。コマンドデコーダ32は、コマンド信号の保持、デコード及びカウントなどを行うことによって、各種内部コマンドICMDを生成する回路である。生成された内部コマンドICMDは、ロウ系制御回路51、カラム系制御回路52、モードレジスタ53、データ入出力回路70及びDLL回路100(200)などに供給される。図1に示すように、内部コマンドICMDのうちリフレッシュ信号REFBについては、少なくともロウ系制御回路51及びDLL回路100(200)に供給される。
【0019】
アドレス端子13は、アドレス信号ADDが供給される端子であり、供給されたアドレス信号ADDは、アドレス入力回路41に供給される。アドレス入力回路41の出力は、アドレスラッチ回路42に供給される。アドレスラッチ回路42にラッチされたアドレス信号ADDのうち、ロウアドレスについてはロウ系制御回路51に供給され、カラムアドレスについてはカラム系制御回路52に供給される。また、モードレジスタセットにエントリしている場合には、アドレス信号ADDはモードレジスタ53に供給され、これによってモードレジスタ53の内容が更新される。
【0020】
ロウ系制御回路51は、アドレスラッチ回路42より供給されるロウアドレスをロウデコーダ61に供給する回路である。また、ロウ系制御回路51にはリフレッシュカウンタ51aが含まれており、リフレッシュ信号REFBが活性化されると、リフレッシュカウンタ51aのカウント値であるリフレッシュアドレスをロウデコーダ61に供給する。ロウデコーダ61は、メモリセルアレイ60に含まれるいずれかのワード線WLを選択する回路である。メモリセルアレイ60内においては、複数のワード線WLと複数のビット線BLが交差しており、その交点にはメモリセルMCが配置されている(図1では、1本のワード線WL、1本のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを示している)。メモリセルMCに記憶されたデータを保持するためには、リフレッシュ動作(メモリセルの情報の再更新)が必要である。ビット線BLは、センス回路63内の対応するセンスアンプSAに接続されている。
【0021】
また、カラム系制御回路52の出力は、カラムデコーダ62に供給される。カラムデコーダ62は、センス回路63に含まれるいずれかのセンスアンプSAを選択する回路である。カラムデコーダ62によって選択されたセンスアンプSAは、メインI/O線MIOを介してデータアンプ64に接続される。データアンプ64は、リード動作時においてはセンスアンプSAによって増幅されたリードデータをさらに増幅し、リードライトバスRWBSを介してこれをデータ入出力回路70に供給する。一方、ライト動作時においては、リードライトバスRWBSを介してデータ入出力回路70から供給されるライトデータを増幅し、これをセンスアンプSAに供給する。
【0022】
データ入出力端子14は、リードデータDQの出力及びライトデータDQの入力を行うための端子であり、データ入出力回路70に接続されている。データ入出力回路70には出力バッファ71が含まれており、リード動作時においては内部クロックLCLKに同期して出力バッファ71からリードデータDQが出力される。尚、図1にはデータ入出力端子14を1つだけ示しているが、データ入出力端子14の数が1つである必要はなく、複数個設けても構わない。
【0023】
以上が本実施形態による半導体装置10の全体構成である。次に、DLL回路100について詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態によるDLL回路100の構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、DLL回路100は、ディレイライン(クロック生成部)110、位相制御部120及びモード切り替え回路130を含んでいる。
【0026】
ディレイライン110は、内部クロック信号ICLKを遅延させることによって出力用の内部クロック信号LCLKを生成する回路であり、その遅延量は位相制御部120によって調整される。特に限定されるものではないが、ディレイライン110には、相対的に粗い調整ピッチで内部クロック信号ICLKを遅延させるコースディレイラインと、相対的に細かい調整ピッチで内部クロック信号ICLKを遅延させるファインディレイラインを含んでいることが好ましい。
【0027】
位相制御部120は、内部クロック信号ICLK及び出力用の内部クロック信号LCLKを受け、これらに基づいてディレイライン110の遅延量を調整することによって、内部クロック信号LCLKの位相を調整する回路ブロックである。図2に示すように、位相制御部120には、レプリカ回路121、位相判定回路122、カウンタ制御回路123、カウンタ回路124及び分周回路125が含まれている。
【0028】
レプリカ回路121は、図1に示した出力バッファ71と実質的に同一の回路構成を有しており、内部クロック信号LCLKに同期してフィードバッククロック信号fbCLKを出力する。これにより、フィードバッククロック信号fbCLKの位相は、出力信号(リードデータ)DQの位相と正確に一致することになる。但し、レプリカ回路121を構成するトランジスタのサイズとしては、出力バッファ71を構成するトランジスタのサイズと同一である必要はなく、インピーダンスが実質的に同じである限り、シュリンクしたトランジスタを用いても構わない。
【0029】
フィードバッククロック信号fbCLK及び内部クロック信号ICLKは、位相判定回路122に供給される。位相判定回路122は、内部クロック信号ICLKとフィードバッククロック信号fbCLKとの位相差を検出する回路である。上述の通り、フィードバッククロック信号fbCLKの位相はリードデータDQの位相と一致するよう、ディレイライン110によって調整されるが、電圧や温度などディレイライン110の遅延量に影響を与えるパラメータの変動や、外部クロック信号CK,/CK自体の周波数変動などによって、両者の位相は刻々と変化する。位相判定回路122はこのような変化を検出し、内部クロック信号ICLKに対してフィードバッククロック信号fbCLKの位相が進んでいるか或いは遅れているかを判定する。判定は内部クロック信号ICLKの毎周期ごとに行われ、その結果は位相判定信号PDとしてカウンタ制御回路123に供給される。
【0030】
カウンタ制御回路123は、位相判定信号PDに基づいてアップダウン信号U/Dを生成する回路であり、アップダウン信号U/Dの更新はサンプリングクロック信号SYNCLK1に同期して行われる。ここで、サンプリングクロック信号SYNCLK1は、分周回路125によって生成される信号である。分周回路125は、内部クロック信号ICLKを分周することによって、より周波数の低いサンプリングクロック信号SYNCLK1,2を生成する回路である。特に限定されるものではないが、分周数は16又は32に設定することができる。したがって、例えば、分周回路125が内部クロック信号ICLKを16分周する場合には、内部クロック信号ICLKの16サイクルごとにサンプリングクロック信号SYNCLK1,2が活性化することになる。この場合、サンプリング周期は16クロックサイクルとなる。
【0031】
カウンタ制御回路123によって生成されるアップダウン信号U/Dは、カウンタ回路124に供給される。カウンタ回路124は、アップダウン信号U/Dに基づいてカウントアップ又はカウントダウンする回路であり、カウントアップ又はカウントダウンは、サンプリングクロック信号SYNCLK1に対して位相の遅れたサンプリングクロック信号SYNCLK2に同期して行われる。カウンタ回路124のカウント値COUNTはディレイライン110に供給され、これによってディレイライン110の遅延量が定められる。
【0032】
以上の構成を有する位相制御部120は、サンプリングクロック信号SYNCLK2に同期してディレイライン110の遅延量を変化させる第1の動作モードと、ディレイライン110の遅延量を固定させる第2の動作モードを有している。つまり、第1の動作モードにおいては内部クロック信号LCLKの位相制御動作が行われ、第2の動作モードにおいては内部クロック信号LCLKの位相が固定される。
【0033】
位相制御部120が第2の動作モードに遷移すると、各回路ブロック121〜125の動作が停止し、位相制御部120は電力をほとんど消費しない状態となる。但し、第2の動作モードに遷移した場合であってもカウンタ回路124のカウント値がリセットされることはなく、第2の動作モードに遷移した時点におけるカウント値が保持される。つまり、ディレイライン110の遅延量は、第2の動作モードに遷移する直前の遅延量に固定される。したがって、少なくともカウンタ回路124については電力供給を遮断してはならない。その他の回路ブロック(レプリカ回路121、位相判定回路122、カウンタ制御回路123及び分周回路125)については、第2の動作モードに遷移した場合、電力供給を遮断しても構わない。但し、第1の動作モードへ速やかに遷移(復帰)するためには、電力供給を遮断するのではなく、入力信号の変化によってスイッチングを行わない状態、つまり、論理固定された状態とすることが好ましい。
【0034】
位相制御部120の動作モードは、モード切り替え回路130より供給される停止信号STOPによって選択される。具体的には、位相制御部120は、停止信号STOPが非活性状態(ローレベル)である場合は第1の動作モードとなり、停止信号STOPが活性状態(ハイレベル)である場合は第2の動作モードとなる。
【0035】
図2に示すように、モード切り替え回路130には、カウンタ制御回路123の出力であるアップダウン信号U/Dと、コマンドデコーダ32の出力であるリフレッシュ信号REFBが供給されており、これらに基づいて停止信号STOPを生成する。以下詳細に説明するように、本実施形態では、モード切り替え回路130がディザー判定回路によって構成されている。ディザー判定回路とは、アップダウン信号U/Dの変化パターンを監視することによって、DLLロックを検出する回路である。ここで「DLLロック」とは、内部クロック信号ICLKとフィードバッククロック信号fbCLKの位相がほぼ一致している状態を指す。
【0036】
図3はモード切り替え回路(ディザー判定回路)130の回路図であり、図4はその動作を説明するためのタイミング図である。
【0037】
図3に示すように、本実施形態におけるモード切り替え回路130は、リフレッシュ信号REFBをラッチするラッチ回路131,132と、これらラッチ回路131,132の出力DT0,DT1を受けるANDゲート133と、リフレッシュ信号REFBに基づいてワンショットパルスOPを生成するワンショットパルス生成回路134とを含んでいる。
【0038】
リフレッシュ信号REFBはローアクティブな信号であり、通常時(半導体装置がセル情報のリフレッシュ動作を外部から命令されない状態のとき)はハイレベルに固定されている。そして、外部からリフレッシュコマンドが発行されると、コマンドデコーダ32によってリフレッシュ信号REFBが所定時間ローレベルへ変化する。そして、ロウ系制御回路51によるリフレッシュ動作が完了すると、リフレッシュ信号REFBはハイレベルに戻る。尚、外部から半導体装置へ発行されるリフレッシュコマンドとしては、オートリフレッシュコマンドが挙げられる。ここで、ロウ系制御回路51によるリフレッシュ動作が完了した後、後述するワンショットパルス生成回路134によってDLL回路100の位相制御動作が行われることに注意が必要である。ロウ系制御回路51によるチップ(半導体装置)内の動作ノイズが、位相制御動作の精度に影響を与えない。
【0039】
リフレッシュ信号REFBが非活性化、つまり、ローレベルからハイレベルに変化すると、図4に示すように、ワンショットパルス生成回路134によってワンショットパルスOPが生成される。ワンショットパルスOPが発生すると、ラッチ回路131,132はリセットされ、その出力DT0,DT1はいずれもローレベルとなる。このため、リフレッシュ動作の完了直後においては、ANDゲート133の出力である停止信号STOPは必ずローレベルとなる。上述の通り、停止信号STOPがローレベルである場合には、位相制御部120は第1の動作モードが選択される。つまり、サンプリングクロック信号SYNCLK2に同期した内部クロック信号LCLKの位相制御動作が行われる。
【0040】
また、ラッチ回路131のクロック入力端にはアップダウン信号U/Dが供給されており、ラッチ回路132のクロック入力端には反転されたアップダウン信号U/Dが供給されている。このため、アップダウン信号U/Dが1回変化すると、ラッチ回路131,132のいずれか一方にハイレベルがラッチされ、アップダウン信号U/Dがもう1回変化すると、ラッチ回路131,132の他方にもハイレベルがラッチされる。つまり、アップダウン信号U/Dが2回変化した場合(つまり、ディザー判定により位相調整の作業により位相がほぼゼロに達した状態を示すDLLロックが検出された場合)にラッチ回路131,132の出力DT0,DT1の両方がハイレベルとなり、その結果、ANDゲート133の出力である停止信号STOPがハイレベルに変化する。上述の通り、停止信号STOPがハイレベルである場合には、位相制御部120は第2の動作モードが選択される。つまり、内部クロック信号LCLKの位相が固定される。これが、ディザー判定回路のディザープロセスである。アップダウン信号U/Dは、ディザー信号ともいえる。
【0041】
アップダウン信号U/Dが2回変化するケースとしては、アップ判定、ダウン判定、アップ判定の順に変化するケース(U/D/U)と、ダウン判定、アップ判定、ダウン判定の順に変化するケース(D/U/D)が挙げられる。いずれのケースも、外部クロック信号CKとフィードバッククロック信号fbCLKの位相がほぼ一致している場合に出現するパターンであり、DLLロックした場合に現れる特徴である。
【0042】
これにより、図4に示すように、ディザー判定によりDLLロックが検出される度に第1の動作モードから第2の動作モードに遷移し、リフレッシュ信号REFBが活性化する度に第2の動作モードから第1の動作モードに遷移することになる。つまり、位相制御動作がトリガ信号(リフレッシュ信号REFB)により間欠的に行われることになり、位相制御部120における消費電力が低減される。
【0043】
ここで、位相制御部120が第2の動作モードに遷移すると、位相制御動作が停止することから、内部クロック信号LCLKが外部クロック信号CK,/CKに正しく追従しないおそれがある。しかしながら、本実施形態では、所定の頻度で活性化されるリフレッシュ信号REFBをトリガ信号として第1の動作モードに復帰させていることから、位相制御動作の停止による位相のズレはほとんど生じない。具体的には、オートリフレッシュコマンドの発行頻度はμsecオーダーであることから、このような短期間で顕著な位相のズレが生じることは稀であり、位相制御動作の間欠的な停止によってリードデータの出力品質が低下することはない。むしろ、位相制御動作を停止させている間は、内部クロック信号LCLKにジッタが発生しないことから、リードデータの出力品質が高められる可能性もある。
【0044】
また、本実施形態では、オートリフレッシュコマンドが所定の頻度で活性化される点に着目し、これを第2の動作モードから第1の動作モードに遷移するトリガ信号として利用していることから、位相制御部120を第1の動作モードに遷移させるための特別な回路を付加する必要もない。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0046】
図5は、本発明の第2の実施形態によるDLL回路200の構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施形態によるDLL回路200は、位相制御部120が位相制御部220に置き換えられ、モード切り替え回路130がモード切り替え回路230に置き換えられている点において、図2に示したDLL回路100と相違している。また、位相制御部220は、分周回路125が分周回路225に置き換えられている点において、図2に示した位相制御部120と相違している。その他の点については図2に示したDLL回路100と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0048】
分周回路225は、サンプリングクロック信号SYNCLK1,2に加え、セット信号SET及びリセット信号RSTを生成する。セット信号SETは、サンプリングクロック信号SYNCLK1,2と同じ周期をもつ信号である。したがって、サンプリングクロック信号SYNCLK1,2の一方をセット信号SETとして兼用することも可能である。一方、リセット信号RSTは、サンプリングクロック信号SYNCLK1,2よりも周期の長い信号であり、サンプリングクロック信号SYNCLK1,2の4倍程度に設定することが好ましい。この場合、サンプリングクロック信号SYNCLK1,2の周期が内部クロック信号ICLKの16倍であれば、リセット信号RSTの周期は内部クロック信号ICLKの64倍となる。
【0049】
これらセット信号SET及びリセット信号RSTは、モード切り替え回路230に供給される。図5に示すように、モード切り替え回路230は、ディザー判定回路240及び連続判定回路250を含んでいる。
【0050】
図6はモード切り替え回路230の回路図であり、図7はその動作を説明するためのタイミング図である。
【0051】
図6に示すように、連続判定回路250は、2つのSRラッチ回路260,270と、これらSRラッチ回路260,270の出力である判定信号CN0,CN1を受けるANDゲート280を備えている。
【0052】
SRラッチ回路260は、NANDゲート261,262が循環接続された構成を有しており、NANDゲート261側がセット入力端(S)、NANDゲート262側がリセット入力端(R)である。セット入力端(S)には位相判定信号PDが供給され、リセット入力端(R)にはインバータ282によって反転されたセット信号SETが供給される。
【0053】
同様に、SRラッチ回路270は、NANDゲート271,272が循環接続された構成を有しており、NANDゲート271側がセット入力端(S)、NANDゲート272側がリセット入力端(R)である。セット入力端(S)にはインバータ282によって反転された位相判定信号PDが供給され、リセット入力端(R)にはインバータ281によって反転されたセット信号SETが供給される。
【0054】
かかる構成により、セット信号SETが活性化すると、そのときの位相判定信号PDの論理レベルによって判定信号CN0,CN1の一方がハイレベル、他方がローレベルとなることから、セット信号SETの活性化直後においては、判定信号CN02は必ずローレベルとなる。その後、位相判定信号PDの論理レベルが変化しなければ判定信号CN02はローレベルを維持するが、次にセット信号SETが活性化する前に位相判定信号PDの論理レベルが変化すると、判定信号CN02はハイレベルとなる。判定信号CN02はラッチ回路283に供給され、セット信号SETに同期して判定信号CN2として出力される。つまり、連続判定回路250は、セット信号SETの活性化周期において位相判定信号PD論理レベルが変化したか否かを判定することができる。図7に示すタイミング図においては、セット信号SETによって規定される連続した更新サイクルCYC1〜CYC4の全てにおいて途中で位相判定信号PDが変化しており、その結果、判定信号CN2がハイレベルを保持しているケースが示されている。
【0055】
図6に示すように、連続判定回路250はSRラッチ回路290をさらに備えている。SRラッチ回路290は、NANDゲート291,292が循環接続された構成を有しており、NANDゲート291側がセット入力端(S)、NANDゲート292側がリセット入力端(R)である。セット入力端(S)には上述した判定信号CN2が供給され、リセット入力端(R)にはインバータ284によって反転されたリセット信号RSTが供給される。SRラッチ回路290の出力である判定信号CNS01はラッチ回路285に供給され、リセット信号RSTに同期して判定信号CNS1として出力される。判定信号CNS1はインバータ286によって反転され、ハイアクティブな判定信号CNS2として出力される。
【0056】
かかる構成により、リセット信号RSTが活性化するとSRラッチ回路290の出力である判定信号CNS01はローレベルとなるが、次にリセット信号RSTが活性化する前に判定信号CN2が一度でもローレベルになると、判定信号CNS01はハイレベルとなる。上述の通り、判定信号CN2がローレベルとなるのは、位相判定信号PDの論理レベルが更新サイクル中に変化しないケースである。これに対し、図7に示す例にように、次にリセット信号RSTが活性化するまで判定信号CN2が常にハイレベルを維持している場合には、SRラッチ回路290はセットされず、その結果、判定信号CNS01はローレベルを維持する。上述の通り、判定信号CN2がハイレベルとなるのは、位相判定信号PDの論理レベルが更新サイクル中に変化するケースである。
【0057】
そして、SRラッチ回路290の出力である判定信号CNS01はリセット信号RSTに同期してラッチ回路285にラッチされ、インバータ286を介して判定信号CNS2として出力される。したがって、セット信号SETの1周期である更新サイクルにおいて、位相判定信号PDの論理レベルが変化しない現象がリセット信号RSTの1周期に一度でも出現すれば、判定信号CNS2はローレベル(非活性レベル)となる。逆に、更新サイクル中に位相判定信号PDの論理レベルが変化する現象がリセット信号RSTの1周期全ておいて出現すれば、判定信号CNS2はハイレベル(活性レベル)となる。
【0058】
このようにして得られた判定信号CNS2は、ORゲート231の一方の入力端に供給される。ORゲート231の他方の入力端には、ディザー判定回路240からの出力である判定信号DTS1が供給される。
【0059】
ディザー判定回路240は、図3に示したモード切り替え回路130と同じ回路構成を有している。したがって、ディザー判定によりDLLロックが検出された場合に、その出力である判定信号DTS1をハイレベルに活性化させる。その動作については既に説明したとおりである。
【0060】
本実施形態では、ORゲート231の出力が停止信号STOPとして用いられる。したがって、ディザー判定回路240の出力(DTS1)及び連続判定回路250の出力(CNS2)の少なくとも一方が活性化すれば、停止信号STOPがハイレベルとなる。
【0061】
したがって、本実施形態では、第1の実施形態のようにディザー判定によりDLLロックが検出された場合のみならず、セット信号SETの1周期内に位相判定信号PDが変化する現象が複数回連続して出現した場合、すなわち、位相制御動作がトリガ信号(リフレッシュ信号REFB)により第2の動作モードから第1の動作モードに遷移し、位相の検出をおこなうも内部クロック信号ICLKとフィードバッククロック信号fbCLKの位相がほぼ一致している状態でありアップダウン信号U/Dが変化しないStable状態を示す不連続判定によってDLLロックが検出された場合においても、位相制御部220が第2の動作モードに遷移する。上記のように、連続した更新サイクルの全てにおいて途中で位相判定信号PDが変化するというパターンは、DLLロックされた場合に出現するもう一つのパターンであり、ディザー判定による検出パターンよりも先に現れることがある。したがって、本実施形態のようにディザー判定と不連続判定を併用することにより、DLL回路のロックを速やかに検出することが可能となる。その結果、消費電力をより低減することが可能となる。
【0062】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0063】
図8は、本発明の第3の実施形態による半導体装置10aの構成を示すブロック図である。
【0064】
本実施形態による半導体装置10aは、電圧変動検知回路300及びANDゲート301が設けられている点において、図1に示した半導体装置10と異なる。その他の点については、図1に示した半導体装置10と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
電圧変動検知回路300は、電源電圧の変動を検知した場合に検知信号J3を活性化させる回路であり、生成される検知信号J3は、リフレッシュ信号REFBともにANDゲート301に入力される。本実施形態では、ANDゲート301の出力が停止信号STOPとして用いられ、DLL回路100,200に供給される。
【0066】
図9は、電圧変動検知回路300の回路図である。
【0067】
図9に示すように、電圧変動検知回路300は、複数の抵抗R1〜R3と、コンパレータ311,312と、ANDゲート320によって構成されている。コンパレータ311の反転入力ノード(+)は、電源間に直列接続された抵抗R1と抵抗R2の節点N1Uに接続されている。また、コンパレータ312の非反転入力ノード(−)は、電源間に直列接続された抵抗R2と抵抗R1の節点N1Lに接続されている。さらに、コンパレータ311の非反転入力ノード(−)及びコンパレータ312の反転入力ノード(+)は、電源間に直列接続された2つの抵抗R3の節点N1に接続されている。
【0068】
ここで、これら抵抗R1〜R3の抵抗値は、R1>R2≫R3に設定されている。これにより、節点N1の電圧は電源電圧VDDの半分となり(=VDD/2)、節点N1Uの電圧は電源電圧VDDの半分よりも高くなり(>VDD/2)、節点N1Lの電圧は電源電圧VDDの半分よりも低くなる(<VDD/2)。一例として、電源電圧VDDが1.2Vである場合、N1=0.6V、N1U=0.7V、N1L=0.5Vに設定される。その結果、コンパレータ311,312の出力である検知信号J1,J2はいずれもハイレベルとなり、検知信号J3もハイレベル(非活性レベル)となる。
【0069】
ここで、電源電圧VDDが急速に変動すると、各節点N1,N1U,N1Lの電圧も変動するが、上述の通り、抵抗R1,R2の抵抗値が抵抗R3の抵抗値よりも十分に大きいことから、節点N1U,N1Lの電圧変動速度は、節点N1の電圧変動速度よりも遅くなる。このため、所定以上の加速度で電源電圧VDDが変動した場合、検知信号J1,J2のいずれかがローレベルに反転し、検知信号J3がローレベルに活性化される。このような原理により、電圧変動検知回路300は、急速な電源電圧VDDの変動を検知することが可能となる。
【0070】
図8に示したように、電圧変動検知回路300の出力である検知信号J3はANDゲート301に入力される。このため、本実施形態では、リフレッシュ信号REFBが活性化した場合のみならず、検知信号J3が活性化した場合においてもDLL回路100,200は第1の動作モードとなり、位相制御動作が再開される。
【0071】
このように、本実施形態においては、電源電圧VDDの変動を検知したことに応答して、位相制御部120を第2の動作モードから第1の動作モードに遷移させていることから、電源電圧VDDの変動による内部クロック信号LCLKの位相のズレを防止することが可能となる。
【0072】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0073】
図10は、本発明の第4の実施形態による半導体装置10bの構成を示すブロック図である。
【0074】
本実施形態による半導体装置10bは、タイマ回路400及びANDゲート401が設けられている点において、図8に示した半導体装置10aと異なる。その他の点については、半導体装置10aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0075】
タイマ回路400は、所定の周期でタイマ信号OSCを活性化させる回路であり、半導体装置10bの外部とは非同期で動作する。タイマ信号OSCは、リフレッシュ信号REFBの代わりに用いられる信号であり、検知信号J3ともにANDゲート401に入力される。本実施形態では、ANDゲート401の出力が停止信号STOPとして用いられ、DLL回路100,200に供給される。
【0076】
本実施形態によれば、リフレッシュ信号REFBの代わりにタイマ信号OSCを用いていることから、位相制御部120を一定の周期で第2の動作モードから第1の動作モードに遷移させることが可能となる。このため、オートリフレッシュコマンドが連続して発行されることにより長時間第2の動作モードに遷移しないというケースや、オートリフレッシュコマンドが長時間発行されないことにより長時間第1の動作モードに遷移しないというケースが生じることがない。
【0077】
タイマ回路400としては、周知の電流値が抑制されたセルフリフレッシュ時に使用するリフレッシュタイマを用いることも可能である。これによれば、タイマ回路400を別途設ける必要がなくなる。しかも、リフレッシュタイマは非常に低消費電力で動作することから、消費電力の増大も極めて少ない。また、リフレッシュタイマを用いれば、タイマ信号OSCの活性化頻度がリフレッシュ信号REFBの活性化頻度と一致することから、第1の動作モードに遷移する頻度も第1及び第2の実施形態と同じ頻度となる。
【0078】
尚、図11に示す半導体装置10cのように、タイマ信号OSCとリフレッシュ信号REFBを併用しても構わない。
【0079】
図12は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10を用いたデータ処理システム500の構成を示すブロック図である。
【0080】
図12に示すデータ処理システム500は、データプロセッサ520と、本実施形態による半導体装置(DRAM)10が、システムバス510を介して相互に接続された構成を有している。データプロセッサ520としては、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)などを含まれるが、これらに限定されない。図12においては簡単のため、システムバス510を介してデータプロセッサ520とDRAM10とが接続されているが、システムバス510を介さずにローカルなバスによってこれらが接続されていても構わない。
【0081】
図12に示すデータ処理システム500は、少なくとも図1に示される半導体装置10のクロック端子11a,11b(第1の外部端子)とデータ入出力端子14(第2の外部端子)が、システムバス510を介してデータプロセッサ520と接続されている。
【0082】
また、図12には、簡単のためシステムバス510が1組しか描かれていないが、必要に応じ、コネクタなどを介しシリアルないしパラレルに設けられていても構わない。また、図12に示すメモリシステムデータ処理システムでは、ストレージデバイス540、I/Oデバイス550、ROM560がシステムバス510に接続されているが、これらは必ずしも必須の構成要素ではない。
【0083】
ストレージデバイス540としては、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、フラッシュメモリなどが挙げられる。また、I/Oデバイス550としては、液晶ディスプレイなどのディスプレイデバイスや、キーボード、マウスなどの入力デバイスなどが挙げられる。また、I/Oデバイス550は、入力デバイス及び出力デバイスのいずれか一方のみであっても構わない。さらに、図12に示す各構成要素は、簡単のため1つずつ描かれているが、これに限定されるものではなく、1又は2以上の構成要素が複数個設けられていても構わない。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0085】
例えば、上記実施形態ではDLL回路を搭載したSDRAMを例に説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではなく、メモリ以外の半導体装置に本発明を適用しても構わない。具体的には、DLL回路を搭載したCPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Control Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ASSP(Application Specific Standard Circuit)等の半導体製品全般に、本願発明が適用できる。
【0086】
また、本発明によるクロック生成回路がDLL回路に限定されるものではなく、位相調整された内部クロック信号を生成する回路であれば、他の種類のクロック生成回路であっても本発明を適用することができる。
【0087】
さらに、上記実施形態では、位相制御部120の動作モードが第1及び第2の動作モード間で遷移しているが、位相制御部120が第3の動作モードを有していても構わない。つまり、第1の動作モードから第2の動作モード(又はその逆)に直接遷移することは必須でなく、第3の動作モードを経由しても構わない。
【0088】
また、上記実施形態では、第1の動作モードに遷移するためのトリガ信号として、リフレッシュ信号REFB、電源電圧VDDの変動を示す検知信号J3、タイマ信号OSCなどを用いているが、本発明においてトリガ信号がこれらに限定されるものではない。例えば、セルフリフレッシュをイグジットする外部コマンド(一般的には、外部端子CKEのLowからHighへの遷移で規定される)によって、トリガ信号としてもよい。また、2以上のトリガ信号を用いる場合、その組み合わせは任意である。さらに、トリガ信号は該半導体装置の内部で生成される信号であっても、外部から供給される信号であっても構わない。
【0089】
同様に、上記実施形態では、第2の動作モードに遷移するためのDLLロックの検出を、ディザー判定又は不連続判定により行っているが、DLLロックの検出方法がこれらに限定されるものではない。また、2以上の検出方法を用いる場合、その組み合わせは任意である。また、上記実施形態におけるディザー判定では、アップダウン信号U/Dが2回変化した場合にDLLロックと判定しているが、具体的なディザー判定の判定ルールについては特に限定されない。不連続判定についても同様であり、具体的な不連続判定の判定ルールについては特に限定されない。
【0090】
また、位相制御部120を2つ備え、一方の位相制御部によって内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジの位置を制御し、他方の位相制御部によって内部クロック信号LCLKの立ち下がりエッジの位置を制御するタイプのDLL回路に本発明を適用する場合は、内部クロック信号LCLKの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジについてそれぞれDLLロックの検出を行い、両方のエッジについてDLLロックが検出された場合に、第2の動作モードに遷移させればよい。
【0091】
また、上記実施形態では、第2の動作モードに遷移する位相制御部120,220を構成する全ての回路ブロックの動作を停止させているが、本発明において位相制御部を構成する全ての回路ブロックの動作を停止させることは必須でなく、一部の回路ブロックの動作を継続させても構わない。
【0092】
また本願を適用したデバイスは、SOC(システムオンチップ)、MCP(マルチチップパッケージ)やPOP(パッケージオンパッケージ)等の半導体装置にも適用できる。また、トランジスタは、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor; FET)であってもバイポーラ型トランジスタであっても良い。MOS(Metal Oxide Semiconductor)以外にもMIS(Metal-Insulator Semiconductor)、TFT(Thin Film Transistor)等の様々なFETに適用できる。FET以外のトランジスタであっても良い。バイポーラ型トランジスタを一部含んでいても良い。
【0093】
また、Pチャンネル型のトランジスタまたはPMOSトランジスタは、第1導電型のトランジスタ、Nチャンネル型のトランジスタまたはNMOSトランジスタは、第2導電型のトランジスタの代表例である。更に、使用する半導体基板は、P型の半導体基板に限らず、N型の半導体基板であっても良いし、SOI(Silicon on Insulator)構造の半導体基板であっても、それ以外の半導体基板であっても良い。
【0094】
更に、ディザー判定回路や連続判定回路などの回路形式は、実施形態において開示した回路形式に限定されない。
【0095】
また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
10,10a,10b,10c 半導体装置
11a,11b クロック端子
12a〜12e コマンド端子
13 アドレス端子
14 データ入出力端子
21 クロック入力回路
31 コマンド入力回路
32 コマンドデコーダ
41 アドレス入力回路
42 アドレスラッチ回路
51 ロウ系制御回路
51a リフレッシュカウンタ
52 カラム系制御回路
53 モードレジスタ
60 メモリセルアレイ
61 ロウデコーダ
62 カラムデコーダ
63 センス回路
64 データアンプ
70 データ入出力回路
71 出力バッファ
100,200 DLL回路
110 ディレイライン
120,220 位相制御部
121 レプリカ回路
122 位相判定回路
123 カウンタ制御回路
124 カウンタ回路
125,225 分周回路
130,230 モード切り替え回路
240 ディザー判定回路
250 連続判定回路
300 電圧変動検知回路
400 タイマ回路
500 データ処理システム
510 システムバス
520 データプロセッサ
540 ストレージデバイス
550 I/Oデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部クロック信号に基づいて第1のクロック信号を生成するクロック生成部と、
前記クロック生成部を制御することによって前記第1のクロック信号の位相を前記外部クロック信号の位相と同期するように調整する位相制御部と、
前記位相制御部の動作モードを切り替えるモード切り替え回路と、を備え、
前記位相制御部は、所定の周期で前記第1のクロック信号の位相を変化させる第1の動作モードと、前記第1のクロック信号の位相を固定させる第2の動作モードを有しており、且つ、前記第2の動作モードから第1の動作モードへの遷移に対応して、位相制御の結果により前記第2の動作モード時に保持する位相制御値から変更または維持し、
前記モード切り替え回路は、トリガ信号に応答して前記第2の動作モード状態にある前記位相制御部を前記第1の動作モードに遷移させ、前記第1のクロック信号が所望の位相に達したことに応答して前記位相制御部を前記第2の動作モードに遷移させることを特徴とするクロック生成回路。
【請求項2】
前記クロック生成部は、第2のクロック信号を遅延させることによって前記第1のクロック信号を生成するディレイラインを含み、
前記位相制御部は、前記ディレイラインの遅延量を設定するカウンタ回路を含み、
前記第1の動作モードにおいては、前記所定の周期で前記カウンタ回路のカウント値が更新され、
前記第2の動作モードにおいては、前記カウンタ回路のカウント値の更新が停止されることを特徴とする請求項1に記載のクロック生成回路。
【請求項3】
前記第2の動作モードにおいては、前記カウンタ回路のカウント値がリセットされることなく、前記第2の動作モードに遷移した時点におけるカウント値が保持されることを特徴とする請求項2に記載のクロック生成回路。
【請求項4】
前記位相制御部は、前記第2のクロック信号と第3のクロック信号の位相を比較する位相判定回路をさらに含み、
前記カウンタ回路のカウント値は、前記位相判定回路の出力に基づいて前記所定の周期で更新され、
前記第2の動作モードにおいては、前記位相比較回路の動作が停止することを特徴とする請求項2又は3に記載のクロック生成回路。
【請求項5】
前記位相制御部は、前記第1のクロック信号を分周することによって前記第1のクロック信号よりも周波数の低い第4のクロック信号を生成する分周回路をさらに含み、
前記第1の動作モードにおいては、前記カウンタ回路は前記第4のクロック信号に同期してカウント値が更新され、
前記第2の動作モードにおいては、前記分周回路の動作が停止することを特徴とする請求項4に記載のクロック生成回路。
【請求項6】
前記位相制御部は、前記第1のクロック信号に基づいて前記第3のクロック信号を生成するレプリカ回路をさらに含み、
前記第2の動作モードにおいては、前記レプリカ回路の動作が停止することを特徴とする請求項4又は5に記載のクロック生成回路。
【請求項7】
前記モード切り替え回路は、前記カウンタ回路のカウント値が所定のパターンで変化したことに応答して、前記位相制御部を前記第2の動作モードに遷移させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のクロック生成回路。
【請求項8】
前記所定のパターンは、前記カウンタ回路が前記所定の周期でアップカウントとダウンカウントを交互に繰り返すパターンを含むことを特徴とする請求項7に記載のクロック生成回路。
【請求項9】
前記モード切り替え回路は、前記位相判定回路の出力変化に基づいて、前記位相制御部を前記第2の動作モードに遷移させることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のクロック生成回路。
【請求項10】
前記モード切り替え回路は、一定の期間内に前記位相判定回路の出力が変化する現象が複数回連続して出現したことに応答して、前記位相制御部を前記第2の動作モードに遷移させることを特徴とする請求項9に記載のクロック生成回路。
【請求項11】
前記トリガ信号は、所定の頻度で活性化されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のクロック生成回路。
【請求項12】
前記トリガ信号は、メモリセルの情報を再更新するリフレッシュ動作の度に活性化されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のクロック生成回路。
【請求項13】
前記モード切り替え回路は、前記リフレッシュ動作が終了した後に、前記トリガ信号を活性することを特徴とする請求項12に記載のクロック生成回路。
【請求項14】
前記トリガ信号は、少なくとも、電源電圧の変動に応答して活性化されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のクロック生成回路。
【請求項15】
外部クロック信号に基づいて内部クロック信号を生成するクロック生成回路と、前記内部クロック信号に同期して出力信号を外部に出力する出力バッファを備え、
前記クロック生成回路は、
前記内部クロック信号を生成するクロック生成部と、
前記内部クロック信号に基づいてフィードバッククロック信号を生成するレプリカ回路と、
前記外部クロック信号と前記フィードバッククロック信号の位相差に基づき前記クロック生成部を制御することによって、前記内部クロック信号の位相を前記外部クロック信号の位相と同期するように調整する位相制御部と、
前記位相制御部の動作モードを切り替えるモード切り替え回路と、を備え、
前記位相制御部は、所定の周期で前記内部クロック信号の位相を変化させる第1の動作モードと、前記内部クロック信号の位相を固定させる第2の動作モードを有しており、且つ、前記第2の動作モードから第1の動作モードへの遷移に対応して、位相制御の結果により前記第2の動作モード時に保持する位相制御値から変更または維持し、
前記モード切り替え回路は、トリガ信号に応答して前記第2の動作モード状態にある前記位相制御部を前記第1の動作モードに遷移させ、前記内部クロック信号が所望の位相に達したことに応答して前記位相制御部を前記第2の動作モードに遷移させ、
前記レプリカ回路は、前記出力バッファと実質的に同一の回路構成を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
リフレッシュ動作によってデータの保持が必要な複数のメモリセルを有するメモリセルアレイをさらに備え、
前記トリガ信号は、前記リフレッシュ動作の度に活性化される制御信号であることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記モード切り替え回路は、前記リフレッシュ動作が終了した後に、前記トリガ信号を活性することを特徴とする請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記トリガ信号は、外部から発行されるオートリフレッシュコマンドであることを特徴とする請求項16又は17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記トリガ信号は、該半導体装置の内部で生成される信号であることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記内部で生成される信号は、該半導体装置の電源検出回路の出力信号であることを特徴とする請求項19に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記内部で生成される信号は、該半導体装置の外部とは非同期で動作するタイマ回路の出力信号であることを特徴とする請求項19に記載の半導体装置。
【請求項22】
請求項15乃至21のいずれか一項に記載の半導体装置と、前記半導体装置の第1と第2の外部端子に接続されたコントローラとを備えることを特徴とするデータ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−61457(P2011−61457A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208455(P2009−208455)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】