説明

グルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体、それらの化合物を含有する医薬組成物、それらの使用及び製造方法

式(I)のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体(式中、R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチルブタ-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシルエチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチルエチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、ヒドロキシ、メチルオキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、1-アセチルピペリジン-4-イルオキシ、2-メチルオキシエチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル又はシアノである)、又はそれらの誘導体(ここで、β-D-グルコピラノシル基の一つ以上のヒドロキシル基は、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル(C1-3-アルキル)カルボニルより選ばれる基でアシル化されている); 又はそれらの互変異性体、立体異性体又はそれらの混合物; 又はそれらの生理的に許容され得る塩が開示される。本発明の化合物は、代謝異常の治療に適する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式Iのグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体、又はそれらの互変異性体、立体異性体、それらの混合物又はそれらの塩に関する。
【化1】

【0002】
(式中、基R3は、以下に定義される。)
本発明は、更に、本発明の式Iの化合物を含有する医薬組成物及び代謝異常の治療用の医薬組成物を調製するための本発明の化合物の使用に関する。更に、本発明は、医薬組成物及び本発明の化合物を調製するための方法に関する。
文献には、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に対して阻害作用を有する化合物が疾患、特に糖尿病の治療に提案されている。
グルコピラノシル置換芳香族基及びそれらの調製並びにSGLT2阻害剤として可能なそれらの活性は、国際出願WO 2005/092877及びその中に引用される文献から既知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、新規なグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2に関して活性であるものを見出すことである。本発明の目的は、更に、既知の構造的に類似の化合物と比較して試験管内及び/又は生体内でナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に対する阻害作用を増強し及び/又は薬理学的又は薬物動態学的性質がより良好なグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体を発見することである。
本発明の目的は、更に、代謝異常、特に糖尿病の予防及び/又は治療に適する新規な医薬組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、上記及び下記の所見から直接に当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一態様において、本発明は、下記式(I)のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体
【化2】

【0005】
(式中、R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチルブタ-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシルエチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチルエチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、ヒドロキシ、メチルオキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、1-アセチルピペリジン-4-イルオキシ、2-メチルオキシエチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル又はシアノである)、又は
それらの誘導体(ここで、β-D-グルコピラノシル基の一つ以上のヒドロキシル基は、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル(C1-3-アルキル)カルボニルより選ばれる基でアシル化されている); 又はそれらの互変異性体、立体異性体又はそれらの混合物; 又はそれらの生理的に許容され得る塩が開示される。
本発明の化合物及びその生理的に許容され得る塩は、有益な薬理学的性質、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2に対する阻害作用を有する。更に、本発明の化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT1に対しても阻害作用を有するものである。SGLT1に対する可能な阻害作用と比較して、本発明の化合物は、好ましくは、選択的にSGLT2を阻害する。
本発明は、また、無機酸又は有機酸による本発明の化合物の生理的に許容され得る塩に関する。
【0006】
本発明は、また、本発明の少なくとも一つの化合物又は本発明の生理的に許容され得る塩を含有し、所望により、一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含有してもよい、医薬組成物に関する。
本発明は、また、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2を阻害することによって影響され得る疾患又は症状の治療又は予防に適する医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一つの化合物又はその生理的に許容され得る塩の使用に関する。
本発明は、また、一つ以上の代謝異常の治療に適する医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一つの化合物又はその生理的に許容され得る塩の使用に関する。
態様において、更に、本発明は、また、膵臓ベータ細胞の変性を予防する及び/又は膵臓ベータ細胞の機能性を改善する及び/又は回復させる医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一つの化合物又はその生理的に許容され得る塩の使用に関する。
態様において、更に、本発明は、また、肝臓脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状の、それらを必要としている患者における予防、緩徐、遅延又は治療用の医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一つの化合物又はその生理的に許容され得る塩の使用に関する。
本発明は、また、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2を阻害する医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一つの化合物又はその生理的に許容され得る塩の使用に関する。
本発明は、更に、本発明の医薬組成物の調製方法であって、本発明の化合物又はその生理的に許容され得る塩の一つを、化学的方法以外の方法によって一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤に配合することを特徴とする、前記方法に関する。
本発明は、また、本発明の一般式Iの化合物の調製方法であって、
a)上文と下文に定義される一般式Iの化合物を調製するために、
【0007】
下記一般式IIの化合物
【化3】

【0008】
(式中、R'は、H、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール(C1-3-アルキル)カルボニルであり、ここで、アルキル基又はアリール基は、ハロゲンによってモノ置換又は多置換されていてもよく;
R8a、R8b、R8c、R8dは、互いに独立して、水素又はアリル基、ベンジル基、(C1-4-アルキル)カルボニル基、(C1-4-アルキル)オキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール(C1-3-アルキル)カルボニル基及びアリール(C1-3-アルキル)オキシカルボニル基又はRaRbRcSi基又はケタール基又はアセタール基、特にアルキリデン基又はアリールアルキリデンケタール基又はアセタール基であり、それぞれの場合において、二つの隣接基R8a、R8b、R8c、R8dは、環状ケタール基又は環状アセタール基又は1,2-ジ(C1-3アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)エチレン架橋を形成していてもよく、上述のエチレン架橋は、二つの酸素原子とピラノース環の二つの会合した炭素原子と共に、置換ジオキサン環、特に2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成し、アルキル基、アリル基、アリール基及び/又はベンジル基は、ハロゲン又はC1-3-アルコキシによってモノ置換又は多置換されていてもよく、ベンジル基もまた、ジ(C1-3-アルキル)アミノ基によって置換されていてもよく;
Ra、Rb、Rcは、互いに独立して、C1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルであり、ここで、アリール基又はアルキル基は、ハロゲンによってモノ置換又は多置換されていてもよく;
上記の基の定義において述べられるアリール基は、フェニル基又はナフチル基、好ましくはフェニル基を意味し;
基R3は上文と下文のように定義される)
と還元剤とをルイス酸又はブレンステッド酸の存在下に反応させ、存在するあらゆる保護基を同時に又は続いて切断する; か又は
b)一般式Iの化合物を調製するために、
【0009】
下記一般式IIIの化合物
【化4】

【0010】
(式中、R8a、R8b、R8c、R8d及びR3は上文と下文のように定義されるが、R8a、R8b、R8c、R8dより選ばれる少なくとも一つの置換基は水素でない)
水素でない保護基R8a、R8b、R8c、R8dを切断し;
所望により、このようにして得られた一般式Iの化合物を、アシル化によって一般式Iの対応するアシル化合物へ変換し、及び/又は
必要ならば、上記反応に用いられるあらゆる保護基を切断し及び/又は
所望により、このようにして得られた一般式Iの化合物をその立体異性体に分割し及び/又は
所望により、このようにして得られた一般式Iの化合物をその塩に、特に医薬使用のためにその生理的に許容され得る塩に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
本発明の態様は、更に、以下の反応スキーム及び実験の部分に記載される新規な中間体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の態様、特に、化合物、医薬組成物及びそれらの使用は、上文と下文に定義されている一般式Iのグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体、又はそれらの誘導体、又はそれらの互変異性体、立体異性体又は混合物、又はそれらの生理的に許容され得る塩に関係する。
好ましくは、β-D-グルコピラノシル基の全てのヒドロキシル基は、無置換であるか又は、β-D-グルコピラノシル基のヒドロキシル基O-6のみが定義されるように置換される。好ましい置換基は、(C1-8-アルキル)カルボニル、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル及びフェニルカルボニルより選ばれる。より好ましい置換基は、アセチル、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニル、特にアセチル及びエトキシカルボニルより選ばれる。
環状基、例えば、フェニル環の置換基の結合が、環状基の中心に向かって示されている、上記及び下記に用いられる構造式の命名法は、特に明記しない限り、この置換基がH原子を持つ環状基のあらゆる自由位置に結合してもよいことを示す。
本発明の化合物は、原則として既知の合成方法を用いて得ることができる。好ましくは、化合物は、以下により詳細に記載される本発明の以下の方法によって得られる。
本発明の式IIのグルコース誘導体は、D-グルコノラクトン又はその誘導体から所望のベンジルベンゼン化合物を有機金属化合物の形で添加することによって合成することができる(スキーム1)。
【0012】
スキーム1: 有機金属化合物のグルコノラクトンへの添加
【化5】

【0013】
スキーム1の反応は、好ましくは、一般式IVのハロゲン化ベンジルベンゼン化合物から出発して行われ、ここで、Halは、塩素、臭素、又はヨウ素である。スキーム1におけるR1は、シアノ又は後にシアノ基に変換することができる基、例えば、塩素、臭素、カルボキシ、カルボン酸エステル、カルボキシアミド又はその誘導体、ホウ素基又はシリル基、保護された又はマスクされたアルデヒド官能基、例えば、アセタール又はチアゾール又は保護された又はマスクされたアミノ官能性、例えば、ニトロである。ベンジルベンゼン(V)のグリニヤール試薬又はリチウム試薬は、対応する塩素化された、臭素化された又はヨウ素化されたベンジルベンゼンIVからいわゆるハロゲン-金属交換反応によって或いは金属を炭素-ハロゲン結合に挿入することによって調製することができる。対応するリチウム化合物Vを合成するハロゲン-金属交換は、例えば、n-、sec-又はtert-ブチルリチウムのような有機リチウム化合物により行うことができる。類似のマグネシウム化合物もまた、追加の塩、例えば、メタル化反応を促進することができる塩化リチウムを存在させずに又は存在下に、適切なグリニャール試薬、例えば、イソプロピル-又はsec-ブチルマグネシウムブロマイド又はクロライド又はジイソプロピル-又はジ-sec-ブチルマグネシウムによるハロゲン-金属交換によって生成することができ; 個々のトランスメタル化有機マグネシウム化合物もまた、適切な前駆物質からその場で生成させることができる(例えば、Angew. Chem. 2004, 116, 3396-3399; Angew. Chem. 2006, 118, 165-169及びその中に引用される参考文献を参照)。更に、例えば、ブチルマグネシウムクロライド又はブロマイド又はイソプロピルマグネシウムクロライド又はブロマイドとブチルリチウムを組み合わせることから得られる有機マグネシウム化合物のアート錯体も同様に使うことができる(例えば、Angew. Chem. 2000, 112, 2594-2596; Tetrahedron Lett. 2001, 42, 4841-4844及びその中に引用される参考文献を参照)。ハロゲン-金属交換反応は、不活性溶媒又はその混合物、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン又はそれらの混合物中で、好ましくは40°C〜-100°C、特に好ましくは10°C〜80°Cで行われる。このようにして得られたマグネシウム又はリチウム誘導体化した化合物は、所望により、金属塩、例えば、三塩化セリウム、塩化亜鉛又は臭化亜鉛、塩化インジウム又は臭化インジウムでトランスメタル化されてもよく、付加に適した代替的有機金属化合物(V)を形成する。或いは、有機金属化合物Vは、また、金属をハロ芳香族化合物IVの炭素-ハロゲン結合に挿入することによって調製することができる。リチウム又はマグネシウムは、この変換に適切な元素金属である。挿入は、溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、ジメチルスルホキシド及び混合物中で-80〜100°C、好ましくは-70〜40°Cの範囲にある温度で達成することができる。
【0014】
自然反応が行われない場合には、金属の前もっての活性化、例えば、1,2-ジブロムエタン、ヨウ素、トリメチルシリルクロライド、酢酸、塩酸及び/又は音波破砕による処理が必要になる。有機金属化合物Vのグルコノラクトン又はその誘導体(VI)への添加は、不活性溶媒又はその混合物中で、好ましくは40°C〜-100°C、特に好ましくは0〜-80°Cの温度で行われ、式IIの化合物を得る。全ての上記反応は、空気中で行うことができるが、アルゴンや窒素のような不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。金属化及び/又はカップリング反応は、また、高交換速度を可能にするマイクロリアクタ及び/又はマイクロミキサにおいて; 例えば、WO 2004/076470に記載される方法と同様に行うことができる。金属化されたフェニル基Vの適切に保護されたグルコノラクトンVIへの付加に適切な溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物である。付加反応は、更にいかなる補助剤も含めずに又はカップリングパートナーを緩慢に反応させる場合には促進剤、例えば、BF3*OEt2又はMe3SiClの存在下に行うことができる(M. Schlosser, Organometallics in Synthesis, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1994を参照)。スキーム1における置換基R8の好ましい定義は、ベンジル、置換ベンジル、アリル、トリアルキルシリル、特に好ましくはトリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、アリル、4-メトキシベンジル又はベンジルである。二つの隣接した置換基R8が共に結合する場合には、これらの二つの置換基は、好ましくはベンジリデンアセタール、4-メトキシベンジリデンアセタール、イソプロピルケタールの一部であるか又はピラノースの隣接の酸素原子とブタンの2位と3位によって結合される2,3-ジメトキシブチレンを有するジオキサンを構成する。基R'は、好ましくは水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル又はC1-4-アルキルオキシカルボニル、特に好ましくは水素、メチル又はエチルである。基R'は、有機金属化合物Vの又はその誘導体のグルコノラクトンVIへの添加後に導入される。R'が水素又はC1-4-アルキルに等しい場合には、反応溶液は、酸、例えば、酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、又は塩酸の存在下に、アルコール、例えば、メタノール又はエタノール又は水で処理される。R'は、また、水素化合物IIの調製後に、アノマーヒドロキシル基と適切な求電子試薬、例えば、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、ヨウ化エチル、硫酸ジエチル、塩化アセチル又は酢酸無水物とを塩基、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム又は炭酸セシウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム又は水酸化セシウムの存在下に反応させることによって結合することができる。ヒドロキシル基は、また、求電子試薬の添加の前に、例えば、水素化ナトリウムによって脱プロトン化し得る。R'を取り付ける間に、保護基R8は、使われる反応条件下で不安定な場合には切断することができ、対応するプロトン化された化合物、即ち、R8がHである化合物IIが得られる。
【0015】
式IVのハロ芳香族化合物の合成は、有機化学における標準変換又は少なくとも有機合成における専門の文献から既知の方法を用いて行うことができる(特にJ. March, Advanced Organic Reactions, Reactions, Mechanisms, and Structure, 4th Edition, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1992及びその中に引用される文献を参照)。より詳しくは、芳香族化合物の合成のための遷移金属及び有機金属化合物の使用が異なる単行本に詳述されている(例えば、L. Brandsma, S.F. Vasilevsky, H.D. Verkruijsse, Application of Transition Metal Catalysts in Organic Synthesis, Springer-Verlag, Berlin/Heidelberg, 1998; M. Schlosser, Organometallics in Synthesis, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1994; P.J. Stang, F. Diederich, Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions, Wiley-VCH, Weinheim, 1997及びその中に引用される参考文献を参照)。以下に記載される合成戦略は、このことを一例として示すものである。更に、アグリコン部分は、同様の合成方法を用いて既に存在するピラノース部分によって組立てられてもよい。
【0016】
スキーム2: ジアリールケトン断片の合成
【化6】

【0017】
スキーム2は、フリーデルクラフツアシル化条件又はその変更を適用する塩化ベンゾイルと第二芳香族基から出発して式IVのハロ芳香族化合物の合成に役に立つことができる前駆体化合物の調製を示す。スキーム2におけるR1は、シアノ又は後にシアノ基に変換することができる基、例えば、塩素、臭素、カルボキシ、カルボン酸エステル、カルボキシアミド又はそれらの誘導体、保護された又はマスクされたアルデヒド官能基、例えば、チオアセタール又はチアゾール、又は保護された又はマスクされたアミノ官能性、例えば、ニトロである。この古典的な反応は、広い基質範囲を有し、一般に、触媒量又は化学量論量で用いられる触媒、例えば、AlCl3、FeCl3、ヨウ素、鉄、ZnCl2、硫酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸の存在下に行われる。塩化ベンゾイルの代わりに、対応するカルボン酸、無水物、エステル又はベンゾニトリルも同様に用いることができる。反応は、優先して、塩素化炭化水素、例えば、ジクロロメタンや1,2-ジクロロエタン中で-30〜120°C、好ましくは30〜100°Cの温度で行われる。しかしながら、溶剤を含まない反応又はマイクロ波オーブンにおける反応も可能である。
【0018】
スキーム3: ジアリールケトンとジアリールメタノールのジアリールメタンへの還元
【化7】

【0019】
スキーム3において、置換基Rは、C1-3-アルキル又はアリールであり、R1は、シアノ又は後にシアノ基に変換することができる基、例えば、塩素、臭素、カルボキシ、カルボン酸エステル、カルボキシアミド又はその誘導体、ホウ素基又はシリル基、保護された又はマスクされたアルデヒド官能基、例えば、アセタール又はチアゾール、又は保護された又はマスクされたアミノ官能基、例えば、ニトロである。ジアリールケトン又はジアリールメタノールから出発して、一つ又は二つの反応段階でジアリールメタンが得られる。ジアリールケトンは、対応するジフェニルメタノールを経て二段階で又は一段階でジアリールメタンに還元することができる。二段階の変形において、ケトンを、還元剤、例えば、金属水素化物、例えば、NaBH4、LiAlH4又はiBu2AlHによって還元して、アルコールを形成する。得られたアルコールを、ルイス酸、例えば、BF3*OEt2、InCl3又はAlCl3又はブレンステッド酸、例えば、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、又は酢酸の存在下に還元剤、例えば、Et3SiH、NaBH4、又はPh2SiClHで所望のジフェニルメタンに変換することができる。ケトンから出発してジフェニルメタンを得る一段階過程は、ルイス酸又はブレンステッド酸、例えば、BF3*OEt2、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロ酢酸、塩酸、塩化アルミニウム又はInCl3の存在下に、例えば、シラン、例えば、Et3SiH、ホウ化水素、例えば、NaBH4又は水素化アルミニウム、例えば、LiAlH4で行うことができる。反応は、好ましくは、溶媒、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トルエン、アセトニトリル、又はそれらの混合物中で-30〜150°C、好ましくは20〜100°Cの温度で行われる。遷移金属触媒の存在下に水素による還元、例えば、Pd/木炭が他の可能な合成方法である。ウォルフ・キッシュナー又はその変形の還元も可能である。ケトンを、まず、ヒドラジン又はその誘導体、例えば、1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドラジンによってヒドラゾンに変換し、それを強塩基性反応条件と加熱によって分解して、ジフェニルメタンと窒素を形成する。反応を、一反応段階で又はヒドラゾン又はその誘導体の分離後に二つの別々の反応段階で行うことができる。適切な塩基としては、溶媒、例えば、エチレングリコール、トルエン、DMSO、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール又はtert-ブタノールにおける、例えば、KOH、NaOH又はKOtBuが挙げられ; 溶剤を含まない反応も可能である。反応は、20〜250°C、好ましくは80〜200°Cの温度で行うことができる。別のウォルフ・キッシュナー還元の塩基性条件は、酸性条件で行われるクレメンセン還元であり、ここで用いることもできる。ジアリールメタノールのアルコール官能基もまた、まず、より良好な脱離基、例えば、クロライド、ブロマイド、ヨーダイド、アセテート、カーボネート、ホスフェート、又はスルフェートに変換することができ; ジアリールメタンを形成する続く還元段階は、有機化学文献に広範囲に記載されている。
【0020】
スキーム4: ジアリールメタン単位及びその可能な前駆体化合物の合成
【化8】

【0021】
スキーム4において、R1は、シアノ又は後にシアノ基に変換することができる基、例えば、塩素、臭素、カルボキシ、カルボン酸エステル、カルボキシアミド又はその誘導体、ホウ素基又はシリル基、保護された又はマスクされたアルデヒド官能基、例えば、アセタール又はチアゾール、又は保護された又はマスクされたアミノ官能基、例えば、ニトロである。用語“Alk”は、C1-4-アルキルであり、それぞれの置換基Rは、互いに独立して、H、C1-3-アルキル及びC1-3-アルコキシからなる群より選ばれる。スキーム4は、メタル化されたフェニル基から出発してジアリールメタン及びその可能な前駆体化合物の合成の概要を説明するものである。リチウム又はマグネシウム置換芳香族化合物は、塩素化された、ブロム化された、又はヨウ素化された芳香族化合物から、例えば、ブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムハロゲン化物又はジイソプロピルマグネシウムによるハロゲン-金属交換反応によって又は元素金属のハロゲン-炭素結合への挿入によって合成することができる。対応するホウ素置換化合物、例えば、ボロン酸、ボロン酸エステル又はジアルキルアリールボランは、これらのメタル化されたフェニル基からホウ素求電子試薬、例えば、ボロン酸エステル又はその誘導体との反応によって得られる。更に、ボリル化された芳香族化合物は、また、対応するハロゲン化された又は疑似ハロゲン化された前駆物質とジボロン又はボラン化合物から遷移金属、例えば、パラジウム、触媒反応によって調製することができる(例えば、Tetrahedron Lett. 2003, p. 4895-4898及びその中に引用される参考文献を参照)。リチウム又はマグネシウム置換フェニル化合物は、ベンズアルデヒド(工程3)とその安息香酸又は誘導体(工程4)、例えば、安息香酸エステル、ベンズアミド、例えば、ワインレブ(Weinreb)タイプ、ベンゾニトリル、又は塩化ベンゾイルに添加する。これらの反応は、主に、追加の遷移金属触媒又は他の金属、例えば、セリウム、インジウム又は亜鉛へのトランスメタル化を含めずに行うことができる; しばしば、後者の代替物の一つの使用が有利である。アリールボロン酸は、ロジウム触媒によってベンズアルデヒドに添加することができ、それぞれのジアリールメタノールを得る(例えば、Adv. Synth. Catal. 2001, p. 343-350及びその中に引用される参考文献を参照)。更に、アリールボロン酸、そのエステル、ジアルキルアリールボラン、又はアリールトリフルオロボレートは、遷移金属、例えば、パラジウム、その錯体又は塩によって仲介される塩化ベンゾイルとカップリングすることができ、ジアリールケトンを得る。メタル化フェニル基は、ベンジル求電子試薬、例えば、塩化ベンジル、臭化ベンジル又はヨウ化ベンジルと反応することができ、ジアリールメタンを得る。リチウム又はマグネシウム誘導体化フェニル化合物は、有利には、遷移金属、例えば、銅、鉄、又はパラジウムの存在下に反応するが、必ずしも常にでない(例えば、Org. Lett. 2001, 3, 2871-2874及びその中に引用される参考文献を参照)。リチウム又はマグネシウムから、例えば、ホウ素、スズ、シリコン、又は亜鉛へのトランスメタル化によって、それぞれ、ベンジル求電子試薬、例えば、ベンジルハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、又はカルボン酸エステルとのカップリングを受けることができる、例えば、対応する芳香族ボロン酸、スタナン、シラン又は亜鉛化合物が得られる。反応は、遷移金属、例えば、パラジウム、ニッケル、ロジウム、銅、又は鉄の存在下に行われる(例えば、Tetrahedron Lett. 2004, p. 8225-8228及びOrg. Lett. 2005, p. 4875-4878及びその中の引用文献を参照)。
【0022】
スキーム5: シアノ部分の導入
【化9】

【0023】
スキーム5は、標的分子の合成の種々の段階でシアノ残基を中央フェニル基に結合するために可能な経路を示す。シアノ基は、適切なシアノ源、例えば、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化亜鉛又はシアン化銅とハロゲン化された又は疑似ハロゲン化されたフェニル基との遷移金属仲介カップリング反応を経て導入することができる。適切な触媒は、遷移金属、例えば、パラジウム、ロジウム、ニッケル、鉄又は銅から誘導することができ、元素の形で、例えば、炭素上のパラジウム、塩、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム又は酢酸パラジウム又は例えば、ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン、トリtert-ブチルホスフィン又はdppf又はアルケン、例えば、ジベンジリデンアセトンとの錯体として用いることができる。活性触媒は、その場で又は反応混合物に添加する前に生成することができる。添加剤、例えば、元素又は塩としての亜鉛が有利なものである(Tetrahedron Lett. 2005, 46, 1849-1853; Tetrahedron Lett. 2005, 46, 1815-1818及びその中に引用された参考文献を参照)。塩素化された、臭素化された又はヨウ素化された化合物からハロゲン金属交換反応を経て又はそれぞれの金属のハロゲン結合への挿入によって得られる対応する亜鉛、マグネシウム又はリチウム化合物とシアン求電子試薬、例えば、p-トリルスルホニルシアニド、臭化シアン又は2-ピリジルシアネートとを反応させることは、シアノ官能性を導入する他の実行可能な方法である(例えば、Synth. Commun. 1996, 3709-3714及びその中に引用される参考文献を参照)。
【0024】
スキーム6: アルデヒド又はカルボン酸誘導体からシアノ残基の導入
【化10】

【0025】
シアノ基の代替的導入は、アルデヒド又はカルボキシアミドから出発する合成である(スキーム6)。アルデヒド官能性自体は、例えば、保護又はマスクされて導入することができる。アルデヒド官能基のよく知られている保護基は、アセタールであるが、他の保護基も同様に用いることができる(T. W. Greene, P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999を参照)。アルデヒド官能基に適したマスクは、例えば、オレフィン及びチアゾールである。アルデヒドは、例えば、ヒドロキシルアミンを、例えば、ギ酸、濃塩酸、ポリリン酸又はピリジン-トルエンと組み合わせて用いてシアノ基に変換することができる。これらの反応条件下で形成される中間オキシムは、最終生成物を得るために脱水前に分離することができる。代替的ヒドロキシルアミン試薬、例えば、ビストリフルオロアセチルヒドロキシルアミンやNH2OSO3も同様に用いることができ、試薬を追加せずにニトリルを得る。適用できる試薬は、更に、例えば、酢酸、トリメチルシリルアジド又はS,S-ジメチルサルファジイミドにおけるNH4PO4H2やニトロプロパンである。
カルボキシアミドもまた、適切なニトリル前駆物質であることができる。変換は、脱水剤、例えば、トリフルオロ酢酸無水物、五酸化リンの、POCl3、CCl4-ホスフィンの組み合わせ、Cl3COCl-アミンの組み合わせ、バージェス試薬、ビルスメイヤー試薬、SOCl2又は塩化シアヌル酸によって行うことができる。対応するモノアルキル化されたカルボキシアミド、カルボン酸、エステル又は塩化カルボン酸から出発するニトリルの形成は、いかなる中間体も分離せずにワンポットですることができる。
【0026】
スキーム7: アニリン前駆物質からシアノ残基の導入
【化11】

【0027】
ニトリル官能基を導入する確立した方法は、それぞれのアニリン誘導体のジアゾ化によって得られるシアン化銅と対応するジアゾニウム化合物とのいわゆるサンドメイヤー反応である。ジアゾニウム化合物の合成及び続いてのシアノ-脱ジアゾ化は、有機化学文献において広範囲に証明されている。
【0028】
スキーム8: ジアリールメタン単位の代替的合成
【化12】

【0029】
ジアリールメタン単位の構造のための代替的方法をスキーム8に示す。それは、市販されているか又は前述の方法で得ることができるオルトフルオロ置換ベンゾニトリルを利用する。オルトフルオロ置換ベンゾニトリルを、塩基性条件にR3によって置換されたアルキルフェニルアセテートと反応させ(例えば、J. Org. Chem. 55、1990、4817-4821; J. Heterocycl. Chem、32、1995、1461〜1466を参照)、続いてエステル切断及び脱炭酸(例えば、J. Heterocycl. Chem, 32, 1995, 1461-1466; Org. Prep. Proced. Int. 37, 2005, 550-555を参照)又は直接脱アルコキシカルボニル化(例えば、J. Med. Chem. 46, 2003, 5249-5257; Angew. Chem. Int. Ed. 47, 2004, 6493-6496を参照)する。
【0030】
本発明の工程a)において、一般式Iの化合物を調製するために、
下記一般式II
【化13】

【0031】
(式中、R'及びR3は、上文に定義される通りであり、
R8a、R8b、R8c、R8dは、上文に定義される通りであり、互いに独立して、例えば、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アリル、トリアルキルシリル、ベンジル又は置換ベンジルであるか又はそれぞれの場合において二つの隣接基R8a、R8b、R8c、R8dが、ベンジリデンアセタール基又はイソプロピリデンケタール基又は2,3-ジメトキシブチレン基を形成し、ブチレン基の位置2と3によってピラノース環の酸素原子に結合し且つそれらと置換ジオキサン形成し、これは上文に記載されるように得ることができる)
の化合物をルイス酸又はブレンステッド酸の存在下に還元剤と反応させる。
反応に適した還元剤としては、シラン、例えば、トリエチル-、トリプロピル-、トリイソプロピル-又はジフェニルシラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、水素化アルミニウムリチウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド又はヨウ化サマリウムが挙げられる。還元は、適切なブレンステッド酸、例えば、塩酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸、又はルイス酸、例えば、三フッ化ホウ素エーテラート、トリメチルシリルトリフレート、四塩化チタン、四塩化スズ、スカンジウムトリフレート又はヨウ化亜鉛を存在させずに又は存在下に行われる。還元剤と酸によっては、反応は、溶媒、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、水又はそれらの混合物中で-60°C〜120°Cの温度で行うことができる。特に適切な試薬の一組み合わせは、例えば、トリエチルシランと三フッ化ホウ素エーテラートからなり、便利には、アセトニトリル又はジクロロメタン中で-60°C〜60°Cの温度で用いられる。更に、水素は、記載される変換のために、遷移金属触媒、例えば、パラジウム/木炭又はラネーニッケルの存在下に、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、水又は酢酸中で用いることができる。
【0032】
或はまた、本発明の工程b)の一般式Iの化合物を調製するために、
下記一般式III
【化14】

【0033】
(式中、R3は、上文に定義される通りであり、
R8a〜R8dは、上文に定義される保護基の一つ、例えば、アシル基、アリールメチル基、アリル基、アセタール基、ケタール基又はシリル基であり、例えば、上文に記載されるように、式IIの化合物から還元によって得ることができる)
の化合物において、保護基を切断する。
基R8a〜R8dの1つ又はいくつかは、上述の合成プロセスの間に変更されてもよいことは理解される。
用いられるいかなるアシル保護基も、例えば、加水分解的に水性溶媒中、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水中、酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸の存在下に又はアルカリ金属塩基、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下に又は非プロトン的に、例えば、ヨードトリメチルシランの存在下に0〜120°Cの温度で、好ましくは10〜100°Cの温度で切断される。トリフルオロアセチル基は、好ましくは、酸、例えば、塩酸で、所望により、溶媒、例えば、酢酸の存在下であってもよく、50〜120°Cの温度で処理することによって又は水酸化ナトリウム溶液で処理によって所望により、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン又はメタノールの存在下に、0〜50°Cの温度で切断される。
用いられるいかなるアセタール保護基又はケタール保護基も、例えば、加水分解的に、水性溶媒中、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水中で、酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸の存在下に又は非プロトン的に、例えば、ヨードトリメチルシランの存在下に、0〜120°Cの温度で、好ましくは10〜100°Cの温度で切断される。
トリメチルシリル基は、例えば、水、水性溶媒混合物又は低級アルコール、例えば、メタノール又はエタノール中、塩基、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又はナトリウムメトキシドの存在下に切断される。水性溶媒又はアルコール溶媒中の酸、例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸も適切である。有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジクロロメタン中で切断するためには、フッ化物試薬、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムを用いることも適切である。
【0034】
ベンジル基、メトキシベンジル基又はベンジルオキシカルボニル基は、有利には、水素化分解的に、例えば、水素で、触媒、例えば、パラジウム/木炭の存在下に、適切な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、酢酸エチル又は氷酢酸中で、所望により、酸、例えば、塩酸を添加してもよく、0〜100°Cの温度で、好ましくは20〜60°Cの周囲温度で、1〜7バール、好ましくは3〜5バールの水素圧で切断される。しかしながら、2,4-ジメトキシベンジル基は、好ましくは、アニソールの存在下にトリフルオロ酢酸中で切断される。
tert-ブチル基又はtert-ブチルオキシカルボニル基は、好ましくは、酸、例えば、トリフルオロ酢酸又は塩酸で処理することによって又はヨードトリメチルシランで処理することによって切断され、所望により、溶媒、例えば、塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテルを用いて切断されてもよい。
上文に記載される反応において、存在するいかなる反応基も、例えば、エチニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基又はイミノ基も、反応の間、従来の保護基によって保護することができ、反応の後に再び切断される。
例えば、エチニル基の保護基は、トリメチルシリル基又はトリイソプロピル基であるのがよい。2-ヒドロキシイソプロパ-2-イル基もまた、保護基として用いることができる。
例えば、ヒドロキシ基の保護基は、トリメチルシリル基、アセチル基、トリチル基、ベンジル基又はテトラヒドロピラニル基であるのがよい。
アミノ基、アルキルアミノ基又はイミノ基の保護基は、例えば、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、メトキシベンジル基又は2,4-ジメトキシベンジル基であるのがよい。
更に、得られる一般式Iの化合物は、上述のように、それらのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割することができる。従って、例えば、シス/トランス混合物は、それらのシス異性体とトランス異性体に分割することができ、少なくとも一つの光学活性炭素原子を有する化合物をそれらのエナンチオマーに分けることができる。
【0035】
従って、例えば、シス/トランス混合物は、そのシス異性体とトランス異性体にクロマトグラフィーによって分割することができ、ラセミ体として生じる得られる一般式Iの化合物は、それ自体は既知方法(Allinger N. L. and Eliel E. L. in "Topics in Stereochemistry", Vol. 6, Wiley Interscience, 1971を参照のこと)によってそれらの光学的対掌体に分離することができ、少なくとも2つの不斉炭素原子を有する一般式Iの化合物は、それ自体は既知の方法を用いて、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶によってそれらの物理化学的差に基づいてそれらのジアステレオマーに分割することができ、これらの化合物がラセミ体で得られる場合には、続いて、上述されるようにエナンチオマーに分割することができる。
エナンチオマーは、好ましくは、キラル相によるカラム分離によって又は光学活性溶媒からの再結晶によって又は塩又は誘導体を形成する光学活性物質、例えば、ラセミ化合物、特に酸とその活性化された誘導体又はアルコールによるエステル又はアミドと反応させ、このようにして得られる塩又は誘導体のジアステレオマー混合物を、例えば、溶解性の差異に基づいて分離することによって分離され、適切な薬剤の作用によって遊離対掌体を純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から遊離することができる。慣用の光学活性酸は、例えば、酒石酸又はジベンゾイル酒石酸、酸のジ-o-トリル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファスルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸のD体とL体である。光学活性アルコールは、例えば、(+)又は(-)-メントールであるのがよく、アミドの光学活性アシル基は、例えば、(+)又は(-)-メチルオキシカルボニルであるのがよい。
更に、式Iの化合物は、その塩に、特に医薬使用に、無機酸又は有機酸による生理的に許容され得る塩に変換することができる。このために用いることができる酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が挙げられる。
更に、得られる化合物は、アミノ酸と、特にαアミノ酸、例えば、プロリン又はフェニルアラニンと混合物、例えば、1:1又は1:2混合物に変換することができ、これは、特に有利な性質、例えば、高結晶化度を有するのがよい。
本発明の化合物は、有利には、また、以下の実施例に記載される方法を用いて得ることができ、このために文献から当業者に既知の方法、例えば、WO 98/31697、WO 01/27128、WO 02/083066、WO 03/099836、WO 2004/063209に記載される方法と組み合わせることができる。
本発明は、また、上文の反応スキームにおいて記載され以下の実験の項において記載される新規な中間化合物に関する。
【0036】
特に、以下の中間化合物は、本発明の追加の態様である:
【化15】

【0037】
【化16】

【0038】
(式中、R8a〜R8dは上文のように定義され、好ましくはH又はアセチルであり;
R'は上文のように定義され、好ましくはH、メチル又はエチルであり;
Alkは、C1-4-アルキル、好ましくはメチル又はエチルであり;
R1は、上文のように定義され、好ましくはBr又はCN、最も好ましくはCNであり;
R3は、上文のように定義され、例えば、シクロプロピル又はシクロブチル、好ましくは、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、ヒドロキシ、シアノ、(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C1-3-アルキルオキシ、ヒドロキシからなる群より選ばれ;
LGは、脱離基、例えば、Br、I、-O(SO2)-CF3、好ましくは-O(SO2)-CF3であり;
Uは、Cl、Br、I、-O-CO-C1-4-アルキル、-O-C(=O)-O-C1-4-アルキル又は-OPO(O-C1-4-アルキル)2であり; 好ましくはBrである)。
既に述べたように、本発明の一般式Iの化合物及びその生理的に許容され得る塩は、有益な薬理学的性質、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、好ましくはSGLT2に対して阻害作用を有する。
新規な化合物の生物学的性質は、以下のように調べることができる:
物質のSGLT-2活性阻害能は、CHO-K1細胞系(ATCC No. CCL-61)或いはHEK293細胞系(ATCC No. CRL-1573)が、発現ベクターpZeoSV(Invitrogen, EMBL受託番号L36849)で安定してトランスフェクトされ、ヒトナトリウムグルコース共輸送体2のコード配列のcDNA(Genbank Acc. No.NM_003041)(CHO-hSGLT2又はHEK-hSGLT2)を含有する、試験装置で実証することができる。これらの細胞系は、14C標識アルファ-メチルグルコピラノシド(14C-AMG、Amersham)を細胞の内部にナトリウム依存方法において運搬する。
【0039】
SGLT-2分析は、以下のように行われる:
CHO-hSGLT2細胞を、10%ウシ胎児血清と250μg/mL Zeocin(Invitrogen)を有するハムF12培地(BioWhittaker)中で培養し、HEK293-hSGLT2細胞を、10%ウシ胎児血清と250μg/mL Zeocin(Invitrogen)を有するDMEM培地中で培養する。細胞をPBSで二回洗浄し、続いてトリプシン/EDTAで処理することによって、培養フラスコから分離する。細胞培養液を添加した後、細胞を、遠心分離し、培養液に再浮遊し、Casy細胞カウンタにおいて計数する。ウェルにつき40,000細胞をポリ-D-リシンで被覆される白色96ウェルプレートに接種し、37°C、5% CO2で一晩インキューベートする。細胞を250μlの分析緩衝液(ハンクス平衡塩液、137mM NaCl、5.4mM KCl、2.8mM CaCl2、1.2mM MgSO4及び10mM HEPES(pH 7.4)、50μg/mLゲンタマイシン)で二回洗浄する。その後、250μlの分析緩衝液と5μlの試験化合物を各ウェルに添加し、プレートをインキュベータにおいて更に15分間インキューベートする。負の対照として5μlの10% DMSOが用いられる。各ウェルに5μlの14C-AMG(0.05μCi)を添加することによって反応を開始させる。37°C、5% CO2で2時間インキュベーションした後、細胞を再び250μlのPBS(20°C)で洗浄し、次に、25μlの0.1N NaOH(37°Cで5分間)を添加することによって溶解する。200μlのMicroScint20(Packard)を各ウェルに添加し、更に、37°Cで20分間インキュベーションを続ける。このインキュベーションの後、吸収した14C-AMGの放射能を14Cシンチレーションプログラムを用いてTopcount (Packard)で測定する。
ヒトSGLT1に関して選択性を求めるために、hSGLT2 cDNAの代わりにhSGLT1(Genbank Acc. No. NM_000343)のcDNAをCHO-K1又はHEK293細胞で発現させて同様の試験を行う。
本発明の化合物のEC50値は、例えば、1000nM未満、特に200nM未満、最も好ましくは50nM未満であるのがよい。
SGLT活性のそれらの阻害能を考慮して、本発明の化合物及びその対応する医薬的に許容され得る塩は、SGLT活性、特にSGLT-2活性の阻害によって働きかけることができる全ての症状又は疾患の治療及び/又は予防治療に適する。それ故、本発明の化合物は、特に、疾患、特に代謝異常、又は症状、例えば、1型及び2型糖尿病、糖尿病の合併症(例えば、網膜症、腎症又は神経障害、糖尿病による足の壊疽、大血管障害)、代謝性アシドーシス又は代謝性ケトーシス、反応性血糖低下、高インスリン血症、糖代謝異常、インスリン抵抗性、代謝性症候群、異なる原因の脂質異常症、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患、肥満、高血圧、慢性心不全、浮腫及び脂質異常症の予防又は治療に適する。これらの物質は、また、ベータ細胞変性、例えば、膵臓ベータ細胞のアポトーシス又は壊死を予防するのに適する。物質は、また、膵臓細胞の機能性の改善又は回復、また、膵臓ベータ細胞の数を増やし、サイズを増大させるのに適する。本発明の化合物は、また、利尿剤又は抗高血圧剤として用いることができ、更に急性腎不全の予防や治療に適する。
【0040】
本発明の化合物の投与によって、肝臓における脂肪の異常な蓄積を減少させるか又は阻害させることができる。それ故、本発明の他の態様によれば、肝臓脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状をそれを必要としている患者において予防、緩徐、遅延又は治療する方法であって、本発明の化合物又は医薬組成物が投与されることを特徴とする前記方法が提供される。肝臓脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状は、特に、一般的脂肪肝、非アルコール性脂肪肝(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、過栄養誘発脂肪肝、糖尿病性脂肪肝、アルコール誘発脂肪肝又は毒性脂肪肝からなる群より選ばれる。
特に、本発明の化合物、又はその生理的に許容され得る塩は、糖尿病の予防又は治療、特に1型及び2型糖尿病及び/又は糖尿病合併症に適する。
更に、本発明の化合物は、特に、太りすぎ、肥満(クラスI、クラスII及び/又はクラスIII肥満を含む)、内臓型肥満及び/又は腹部肥満の予防又は治療に適する。
治療又は予防に対応する活性を達成するために必要とされる用量は、通常は、投与すべき化合物、患者、疾患又は症状の種類と重篤度及び投与の方法と回数に左右され、患者の医師が決めることである。便宜上、用量は、静脈内経路で、1〜100mg、好ましくは1〜30mg、経口経路で、1〜1000mg、好ましくは1〜100mg、それぞれの場合に、1日1〜4回投与されるのがよい。このために、本発明の化合物は、従来のガレヌス製剤、例えば、素錠又はコーティング錠、カプセル、散剤、懸濁液剤又は坐薬を製造するために、所望により、他の活性物質と共に処方されてもよく、一つ以上の従来の不活性担体及び/又は希釈剤、例えば、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、マイクロクリスタリンセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば、固い脂肪又はその適切な混合物と処方することができる。
【0041】
本発明の化合物は、また、特に、上述の疾患及び症状の治療及び/又は予防に、他の活性物質と共に用いることができる。このような併用に適する他の活性物質としては、例えば、述べた適応症の一つに関して本発明のSGLT拮抗薬の治療効果を高め及び/又は本発明のSGLT拮抗薬の用量を減少させることを可能にするものが挙げられる。このような併用に適する治療剤としては、例えば、抗糖尿病薬、例えば、メトホルミン、スルホニルウレア(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR-ガンマ-アゴニスト(例えば、GI 262570)及び拮抗薬、PPAR-ガンマ/アルファモジュレータ(例えば、KRP 297)、αグルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ボグリボース)、DPPIV阻害剤(例えば、LAF237、MK-431)、アルファ2-アンタゴニスト、インスリン及びインスリン類似体、GLP-1及びGLP-1類似体(例えば、エキセンジン-4)又はアミリンが挙げられる。リストには、また、タンパク質チロシンホスファターゼ1阻害剤、肝臓における無秩序なグルコース産生に働きかける物質、例えば、グルコース-6-ホスファターゼ、又はフルクトース-1,6-ビスホスファターゼの阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ、グルカゴン受容体アンタゴニスト及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グリコーゲン合成酵素キナーゼ又はピルビン酸デヒドロキナーゼの阻害剤、脂質低下薬、例えば、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤(例えば、シンバスタチン、アトルバスタチン)、フィブレート(例えば、ベザフィブレート、フェノフィブレート)、ニコチン酸及びその誘導体、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、ACAT阻害剤(例えば、アバシミベ)又はコレステロール吸収阻害剤、例えば、エゼチミベ、胆汁酸結合物質、例えば、コレスチラミン、回腸胆汁酸輸送の阻害剤、HDL上昇化合物、例えば、CETP阻害剤、又はABC1レギュレータ又は肥満を治療するための活性物質、例えば、シブトラミン又はテトラヒドロリポスタチン、デキシフェンフルラミン、アキソキン、カンナビノイド1受容体遮断薬、MCH-1受容体アンタゴニスト、MC4受容体アゴニスト、NPY5又はNPY2遮断薬又はβ3-アゴニスト、例えば、SB-418790又はAD-9677及び5HT2c受容体アゴニストが挙げられる。
更に、高血圧、慢性心不全又はアテローム性動脈硬化症に影響する薬剤、例えば、A-II拮抗薬又はACE阻害剤、ECE阻害剤、利尿剤、β-遮断薬、Ca拮抗薬、中枢に作用する抗高血圧剤、アルファ-2-アドレナリン受容体の拮抗薬、中性のエンドペプチダーゼの阻害剤、血小板凝集阻害剤等又はそれらの組み合わせが適する。アンギオテンシンII受容体拮抗薬の例は、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、エプロサルタンメシレート、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP-3174、L-158809、EXP-3312、オルメサルタン、メドキソミル、タソサルタン、KT-3-671、GA-0113、RU-64276、EMD-90423、BR-9701等である。アンギオテンシンII受容体拮抗薬は、好ましくは、高血圧及び糖尿病の合併症の治療又は予防に用いられ、しばしば、利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドと組み合わせられる。
【0042】
尿酸合成阻害薬又は尿酸排泄促進薬との併用は、痛風の治療又は予防に適する。
GABA受容体拮抗薬、Na-チャネル遮断薬、トピラマット、タンパク質キナーゼC阻害剤、最終糖化生成物阻害剤又はアルドース還元酵素阻害剤との併用は、糖尿病の合併症の治療又は予防に用いることができる。
前述の併用パートナーの用量は、有用には、通常推奨される最少用量の1/5から通常推奨用量の1/1までである。
それ故、他の態様において、本発明、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することによって働きかけることができる疾病又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための、本発明の化合物又は併用パートナーとして上記活性物質の少なくとも一つと組み合わせたその化合物の生理的に許容され得る塩の使用に関する。これらは、好ましくは代謝性疾患、特に上記疾患又は症状の一つ、最も具体的には糖尿病又は糖尿病合併症である。
本発明の化合物又はその生理的に許容され得る塩の他の有効成分と組み合わせた使用は、同時でも交互でもよいが、特に短時間にうちに行うのがよい。同時に投与される場合には、二つの有効成分は共に患者に投与され; 交互に用いられる場合には、二つの有効成分は12時間以内、特に6時間以内に患者に投与される。
従って、他の態様において、本発明は、本発明の化合物又はその化合物の生理的に許容され得る塩と組合せパートナーとしての上記有効成分を少なくとも一つを含み、所望により一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含んでもよい、医薬組成物に関する。
従って、例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物又はその化合物の生理的に許容され得る塩と少なくとも一つのアンギオテンシンII受容体拮抗薬の併用を含み、所望により、一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含んでもよい。
本発明の化合物、又はその生理的に許容され得る塩と、それと組み合わせるべき追加の有効成分は、一つの製剤、例えば、錠剤又はカプセルに共に存在してもよく、例えば、いわゆるキットオブパーツ(kit-of-parts)として二つの同一又は異なる製剤に別々に存在させてもよい。
前記及び後記の本文において、ヒドロキシル基のH原子は構造式にいずれの場合も明示していない。以下の実施例は、本発明を具体的に説明するものであり、本発明を限定するものではない。用語“室温”及び“周囲温度”は同じ意味で用いられ、約20°Cの温度を示す。
【実施例】
【0043】
出発化合物の調製:
実施例I
【化17】

【0044】
4-ブロモ-3-ヒドロキシメチル-1-ヨードベンゼン
塩化オキサリル(13.0mL)をCH2Cl2(200mL)中の2-ブロモ-5-ヨード安息香酸の氷冷溶液に添加する。DMF(0.2mL)を添加し、この溶液を室温で6時間撹拌する。次に、この溶液を減圧下で濃縮し、残留物をTHF(100mL)に溶解する。得られた溶液を氷浴で冷却し、LiBH4(3.4g)を少しずつ添加する。冷却浴を取り除き、混合液を室温で1時間撹拌する。反応混合液をTHFで希釈し、0.1M塩酸で処理する。次に、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧下で蒸発して、粗生成物を得る。
収量: 47.0g(理論量の99%)
【0045】
実施例II
【化18】

【0046】
4-ブロモ-3-クロロメチル-1-ヨードベンゼン
DMF(0.1mL)を含有するジクロロメタン(100mL)中の4-ブロモ-3-ヒドロキシメチル-1-ヨードベンゼン(47.0g)の懸濁液に塩化チオニル(13mL)を添加する。混合液を周囲温度で3時間撹拌する。次に、溶媒と過剰量の試薬を減圧下で除去する。残留物をメタノールで摩砕し、乾燥する。
収量: 41.0g(理論量の82%)
【0047】
実施例III
【化19】

【0048】
4-ブロモ-1-ヨード-3-フェノキシメチルベンゼン
4M KOH溶液(60mL)に溶解したフェノール(13g)をアセトン(50mL)に溶解した4-ブロモ-3-クロロメチル-1-ヨードベンゼン(41.0g)に添加する。NaI(0.5g)を添加し、得られた混合液を50°Cで一晩撹拌する。次に、水を添加し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出する。合わせた抽出液を乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残留物をシリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル19:1)よるクロマトグラフィーで精製する。
収量: 38.0g(理論量の79%)
【0049】
実施例IV
【化20】

【0050】
(5-ブロモ-2-クロロフェニル)-(4-メトキシフェニル)メタノン
38.3mLの塩化オキサリルと0.8mLのジメチルホルムアミドを、500mLのジクロロメタン中の100gの5-ブロモ2-クロロ-安息香酸の混合液に添加する。反応混合液を14時間撹拌し、次に、ろ過し、回転蒸発器で全ての揮発性成分から分離する。残留物を150mLのジクロロメタンに溶解し、得られた溶液を-5°Cに冷却し、46.5gのアニソールを添加する。次に、温度が5°Cを超えないように、51.5gの三塩化アルミニウムをバッチ式で添加する。この溶液を1〜5°Cで1時間撹拌し、次に、砕いた氷に注入する。有機相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を、1M塩酸で、1M水酸化ナトリウム溶液で二回、更に食塩水で洗浄する。次に、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、残留物をエタノールから再結晶する。
収量: 86.3g(理論量の64%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 325/327/329(Br+Cl)[M+H]+
【0051】
実施例V
【化21】

【0052】
1-ブロモ-4-クロロ-3-(4-メトキシベンジル)ベンゼン
75mLのジクロロメタンと150mLのアセトニトリル中の86.2gの(5-ブロモ-2-クロロフェニル)-(4-メトキシフェニル)メタノンと101.5mLのトリエチルシランの溶液を10°Cに冷却する。次に、撹拌しながら温度が20°Cを超えないように50.8mLの三フッ化ホウ素エーテラートを添加する。この溶液を周囲温度で14時間撹拌した後、別の9mLのトリエチルシランと4.4mLの三フッ化ホウ素エーテラートを添加する。この溶液を45-50°Cで更に3時間撹拌し、次に、周囲温度に冷却する。70mLの水中の28gの水酸化カリウムの溶液を添加し、得られた混合液を2時間撹拌する。有機相を分離し、水相をジイソプロピルエーテルで更に3回抽出する。合わせた有機相を2M水酸化カリウム溶液で二回、食塩水で一回洗浄し、次に、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させた後、残留物をエタノールで洗浄し、60°Cで乾燥する。
収量: 50.0g(理論量の61%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 310/312/314(Br+Cl)[M+H]+
【0053】
実施例VI
【化22】

【0054】
4-(5-ブロモ-2-クロロベンジル)フェノール
150mLのジクロロメタン中の14.8gの1-ブロモ-4-クロロ-3-(4-メトキシベンジル)ベンゼンの溶液を氷浴中で冷却する。50mLの1M三臭化ホウ素/ジクロロメタン溶液を添加し、得られた溶液を周囲温度で2時間撹拌する。次に、この溶液を再び氷浴中で冷却し、炭酸カリウム飽和水溶液を滴下する。周囲温度で、この混合液を1M塩酸水溶液でpH 1に調整し、有機相を分離し、水相を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を完全に除去する。
収量: 13.9g(理論量の98%)
質量スペクトル(ESI-):m/z = 295/297/299(Br+Cl)[MH]-
【0055】
実施例VII
【化23】

【0056】
[4-(5-ブロモ-2-クロロベンジル)フェノキシ]-tert-ブチルジメチルシラン
140mLのジクロロメタン中の13.9gの4-(5-ブロモ-2-クロロベンジル)フェノールの溶液を氷浴中で冷却する。次に、20mLのジクロロメタン中の7.54gのtert-ブチルジメチルシリルクロライドを添加し、続いて9.8mLのトリエチルアミンと0.5gの4-ジメチルアミノピリジンを添加する。得られた溶液を周囲温度で16時間撹拌し、次に、100mLのジクロロメタンで希釈する。有機相を、1M塩酸水溶液で二回、炭酸水素ナトリウム水溶液で一回洗浄し、次に、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を除去した後、残留物をシリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル100:1)でろ過する。
収量: 16.8g(理論量の87%)
質量スペクトル(EI): m/z = 410/412/414(Br+Cl)[M]+
【0057】
実施例VIII
【化24】

【0058】
2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノン
200mLのテトラヒドロフラン中の20gのD-グルコノ-1,5-ラクトンと98.5mLのN-メチルモルホリンの溶液を-5°Cに冷却する。次に、温度が5°Cを超えないように85mLのトリメチルシリルクロライドを滴下する。次に、この溶液を周囲温度で1時間、35°Cで5時間、再び周囲温度で14時間撹拌する。300mLのトルエンを添加した後、この溶液を氷浴中で冷却し、温度が10°Cを超えないように500mLの水を添加する。有機相を分離し、リン酸二水素ナトリウム水溶液、水、食塩水で洗浄する。溶媒を除去し、残留物をトルエンで共沸的に乾燥する。
収量: 52.5g(純度約90%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 467[M+H]+
【0059】
実施例IX
【化25】

【0060】
1-ブロモ-4-(1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(フェノキシメチル)ベンゼン
2M iPrMgCl/THF(11mL)溶液をTHF(11mL)に懸濁した乾燥LiCl(0.47g)に添加する。この混合液を全てのLiClが溶解されるまで室温で撹拌する。この溶液を、アルゴン雰囲気中で-60°Cに冷却したテトラヒドロフラン(40mL)中の4-ブロモ-1-ヨード-3-フェノキシメチルベンゼン(8.0g)の溶液に滴下する。この溶液を-40°Cに加温し、次に、テトラヒドロフラン(5mL)中の2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノン(10.7g、純度90%)を添加する。得られた溶液を冷却浴中で-5°Cに加温し、この温度で更に30分間撹拌する。NH4Cl水溶液を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をメタノール(80mL)に溶解し、メタンスルホン酸(0.6mL)で処理する。35-40°Cで一晩反応溶液を撹拌した後、この溶液を固体のNaHCO3で中和し、メタノールを減圧下で除去する。残部をNaHCO3水溶液で希釈し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出する。合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させ、粗生成物を得、精製せずに還元に供する。
収量: 7.8g(理論量の93%)
以下の化合物は、実施例IXと同様にして得ることができる:
【0061】
(1) 1-ブロモ-4-(1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-フルオロベンゼン
【化26】

【0062】
実施例X
【化27】

【0063】
1-ブロモ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(フェノキシメチル)ベンゼン
三フッ化ホウ素エーテラート(4.9mL)を-20°Cに冷却したジクロロメタン(35mL)とアセトニトリル(50mL)中の1-ブロモ-4-(1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(フェノキシメチル)ベンゼン(8.7g)とトリエチルシラン(9.1mL)の溶液に-10°Cより低い温度が維持されるような速度で添加する。得られた溶液を0°Cに1.5時間加温し、次に、炭酸水素ナトリウム水溶液で処理する。得られた混合液を0.5時間撹拌し、有機溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をジクロロメタン(50mL)に溶解し、この溶液にピリジン(9.4mL)、酢酸無水物(9.3mL)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.5g)を連続して添加する。この溶液を周囲温度で1.5時間撹拌し、次に、ジクロロメタンで希釈する。この溶液を1M塩酸で二回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を除去した後、残留物をエタノールから再結晶して、生成物を無色固体として得る。
収量: 6.78g(理論量の60%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 610/612(Br)[M+NH4]+
以下の化合物は、実施例Xと同様にして得ることができる:
【0064】
(1) 1-ブロモ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)-2-フルオロベンゼン
【化28】

【0065】
実施例XI
【化29】

【0066】
2-(フェノキシメチル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
1-ブロモ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(フェノキシメチル)ベンゼン(5.4g)、シアン化亜鉛(1.0g)、亜鉛(30mg)、Pd2(ジベンジリデンアセトン)3*CHCl3(141mg)及びトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(111mg)を充填したフラスコをアルゴンでフラッシュする。次に、NMP(12mL)を添加し、得られた混合液を室温で18時間撹拌する。酢酸エチルで希釈した後、混合液をろ過し、ろ液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を乾燥し(硫酸ナトリウム)、溶媒を除去する。残留物をエタノールから再結晶する。
収量: 4.10g(理論量の84%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 557[M+NH4]+
以下の化合物は、実施例XIと同様にして得ることができる:
【0067】
(1) 2-フルオロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化30】

【0068】
実施例XII
【化31】

【0069】
2-ブロモメチル-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
33%臭化水素酸/酢酸(15mL)溶液を酢酸(10ml)中の2-フェニルオキシメチル-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル(0.71g)と酢酸無水物(0.12mL)の溶液に添加する。得られた溶液を55°Cで6時間撹拌し、次に、氷浴中で冷却する。反応混合液を、冷却した炭酸カリウム水溶液で中和し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を酢酸エチル/シクロヘキサン(1:5)に溶解し、沈殿をろ過で分離し、50°Cで乾燥して、純粋な生成物を得る。
収量: 0.52g(理論量の75%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 543/545(Br)[M+NH4]+
【0070】
実施例XIII
【化32】

【0071】
1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン
42mLの乾燥ジエチルエーテル中の4.0gの[4-(5-ブロモ-2-クロロベンジル)フェノキシ]-tert-ブチルジメチルシランの溶液をアルゴン下で-80°Cに冷却する。11.6mLの1.7M tert-ブチルリチウム/ペンタン冷却(約-50°C)溶液を冷却した溶液に徐々に添加し、次に、この溶液を-80°Cで30分間撹拌する。次に、この溶液をドライアイスで冷却した分注用注射針で-80°Cに冷却した38mLのジエチルエーテル中の4.78gの2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンの溶液に滴下する。得られた溶液を-78°Cで3時間撹拌する。次に、35mLのメタノール中の1.1mLのメタンスルホン酸の溶液を添加し、得られた反応溶液を周囲温度で更に16時間撹拌する。次に、この溶液を固体の炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルを添加し、得られた溶液を減圧下で濃縮する。残存する溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、酢酸エチルで四回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させる。残留物を30mLのアセトニトリルと30mLのジクロロメタンに溶解し、得られた溶液を-10°Cに冷却する。4.4mLのトリエチルシランを添加した後、温度が-5°Cを超えないように2.6mLの三フッ化ホウ素エーテラートを滴下する。添加が完了した後、反応溶液を-5〜-10°Cで更に5時間撹拌し、次に、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加することによって急冷する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで四回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール)によるクロマトグラフィーで精製する。得られた生成物は、約6:1β/α混合物であり、これをジクロロメタン中で酢酸無水物、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジンでヒドロキシル基を地球規模のアセチル化し、得られたアセチル化生成物をエタノールから再結晶することによって、分離することができる。このようにして得られた純粋なアセチル化β-生成物を、4M水酸化カリウム溶液を有するメタノール中でアセチル基を除去することによって標記化合物に変換する。
収量: 1.6g(理論量の46%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 398/400(Cl)[M+NH4]+
【0072】
実施例XIV
【化33】

【0073】
1-クロロ-2-(4-シクロペンチルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
0.16mLのヨードシクロペンタンを、2.5mLのジメチルホルムアミド中の0.25gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンと0.4gの炭酸セシウムの混合物に添加する。この混合液を45°Cで4時間撹拌し、更に0.1gの炭酸セシウムと0.05mlのヨードシクロペンタンを添加する。45°Cで更に14時間撹拌した後、塩化ナトリウム水溶液を添加し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→5:1)を用いて精製する。
収量: 0.23g(理論量の78%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 466/468(Cl)[M+NH4]+
以下の化合物は、実施例XIVと同様にして得られる:
【0074】
(1) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4((R)テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)ベンジル]ベンゼン
反応は、カップリングパートナーとしてテトラヒドロフラン-3-イル(S)-トルエン-4-スルホネートによって行われる。
【化34】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 451/453(Cl)[M+H]+
【0075】
(2) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)ベンジル]ベンゼン
反応は、カップリングパートナーとしてテトラヒドロフラン-3-イル(R)-トルエン-4-スルホネートによって行われる。
【化35】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 451/453(Cl)[M+H]+
【0076】
(3) 1-クロロ-2-(4-シクロブチルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化36】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 452/454(Cl)[M+NH4]+
【0077】
(4) 1-クロロ-2-(4-シクロヘキシルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化37】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 480/482(Cl)[M+NH4]+
【0078】
(5) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)ベンジル]ベンゼン
【化38】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 487/489(Cl)[M+Na]+
【0079】
(6) 2-[4-(1-アセチルピペリジン-4-イルオキシ)ベンジル]-1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
反応は、求電子試薬として1-アセチル-4-メチルスルホニルオキシピペリジンによって行われる。
【化39】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 506/508(Cl)[M+H]+
【0080】
(7) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシベンジル)ベンゼン
【化40】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 412/414(Cl)[M+NH4]+
【0081】
(8) 1-クロロ-2-(4-エトキシベンジル)-4(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化41】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 426/428(Cl)[M+NH4]+
【0082】
(9) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-イソプロポキシベンジル)ベンゼン
【化42】

【0083】
実施例XV
【化43】

【0084】
1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノ-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼン
10mgの4-ジメチルアミノピリジンを、10mlの乾燥ジクロロメタン中の0.38gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、0.21mlのトリエチルアミン及び0.39gのN,N-ビス-(トリフルオロメタンスルホニル)アニリンの溶液に添加する。この溶液を周囲温度で4時間撹拌し、次に、食塩水と合わせる。得られた混合液を酢酸エチルで抽出し、有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物を、シリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→4:1)によるクロマトグラフィーで精製する。
収量: 0.33g(理論量の64%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 530/532(Cl)[M+NH4]+
以下の化合物は、実施例XVと同様にして得られる:
【0085】
(1) 1-シアノ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼン
【化44】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 504[M+H]+
【0086】
実施例XVI
【化45】

【0087】
1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼン
75mLのジクロロメタン中の5.6gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼンの溶液に、7mLのピリジン、7.8mLの酢酸無水物及び0.12gの4-ジメチルアミノピリジンを連続して添加する。この溶液を周囲温度で1時間撹拌する。50mLの水を添加した後、得られた混合液を更に5間撹拌する。有機相を分離し、1M塩酸水溶液と炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒を蒸発させた後、生成物を白色固形物として得る。
収量: 7.0g(理論量の94%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 698/700(Cl)[M+NH4]+
以下の化合物は、実施例XVIと同様にして得られる:
【0088】
(1) 1-シアノ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチルβ-D-グルコピラノ-1イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼン
【化46】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 689[M+NH4]+
【0089】
実施例XVII
【化47】

【0090】
1-クロロ-2-(4-エチニルベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
25mgのヨウ化銅、44mgのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド、0.30mlのトリエチルアミン及び最後に0.14mlのトリメチルシリルアセチレンを、3mlのジメチルホルムアミド中の0.32gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4(トリイフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼンの溶液にアルゴン下で添加する。フラスコを密封し、混合液を90°Cで8時間撹拌する。次に、別の25mgのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライドと0.1mlのトリメチルシリルアセチレンを添加し、この溶液を90°Cで更に10時間撹拌する。次に、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、得られた混合液を酢酸エチルで三回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させた後、残留物を5mlのメタノールに溶解し、0.12gの炭酸カリウムと合わせる。混合液を周囲温度で1時間撹拌し、次に、1M塩酸で中和する。次に、メタノールを蒸発させ、残留物を食塩水と合わせ、酢酸エチルで抽出する。集めた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物を、シリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→5:1)によるクロマトグラフィーで精製する。
収量: 0.095g(理論量の40%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 406/408(Cl)[M+NH4]+
【0091】
実施例XVIII
【化48】

【0092】
1-クロロ-2-(4-エチルベンジル)-4(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
2,87gの1-クロロ-2-(4-エチニルベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼンを10mlの酢酸エチルと5mlのエタノールに溶解する。0.3gの10%のパラジウム/炭素を添加し、得られた混合液を水素雰囲気(1気圧)下で一晩撹拌する。反応混合液をセライトでろ過し、ろ液を濃縮する。残留物を、シリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→5:1)によるクロマトグラフィーで精製する。
収量: 1,0 g(理論量の34%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 410/412(Cl)[M+NH4]+
【0093】
実施例XIX
【化49】

【0094】
1-クロロ-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)ベンジル]-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
20mLのジクロロメタン中の2.02gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)ベンジル]ベンゼンの溶液に2.5mLのピリジン、2.8mLの酢酸無水物及び50mgの4-ジメチルアミノピリジンを連続して添加する。反応溶液を周囲温度で4時間撹拌する。この溶液を50mLのジクロロメタンで希釈し、50mLの1M塩酸で二回、炭酸水素ナトリウム溶液で一回洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を蒸発させて、生成物を得る。
収量: 2.53g(理論量の91%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 642/644(Cl)[M+Na]+
以下の化合物は、実施例XIXと同様にして得ることができる:
【0095】
(1) 1-クロロ-2-[4-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)ベンジル]-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化50】

【0096】
(2) 1-クロロ-2-(4-シクロペンチルオキシベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化51】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 634/636(Cl)[M+NH4]+
【0097】
(3) 1-クロロ-2-(4-シクロブチルオキシベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化52】

【0098】
(4) 1-クロロ-2-(4-シクロヘキシルオキシベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化53】

【0099】
(5) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)ベンジル]ベンゼン
【化54】

【0100】
(6) 2-[4-(1-アセチルピペリジン-4-イルオキシ)ベンジル]-1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化55】

【0101】
(7) 1-クロロ-2-(4-メトキシベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化56】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 585/587(Cl)[M+NH4]+
【0102】
(8) 1-クロロ-2-(4-エトキシベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化57】

【0103】
(9) 1-クロロ-2-(4-イソプロポキシベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化58】

【0104】
(10) 1-クロロ-2-(4-エチルベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化59】

【0105】
(11) 2-(4-アセトキシベンジル)-1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
【化60】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 608/610(Cl)[M+NH4]+
【0106】
実施例XX
【化61】

【0107】
1-クロロ-2-(4-メチルベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
ジイソブチルアルミニウムヒドリド(54μL、トルエン中1モル/l)をAr雰囲気中でTHF(3mL)中の1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(22mg)の混合液に添加し、氷浴中で冷却する。この混合液を氷浴中で0.5時間撹拌し、次に、1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼン(0.60g)とMe2Zn(0.88mL、トルエン中1モル/L)を連続して添加する。氷浴を除去し、混合液を2.5時間加熱還流する。室温に冷却後、1M塩酸を添加し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出される。集めた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル1:0→2:1)によるクロマトグラフィーで精製する。
収量: 0.25g(理論量の52%)
【0108】
実施例XXI
【化62】

【0109】
1-クロロ-2-(4-シアノベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.13g)を、Ar雰囲気中で1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼン(0.80g)とシアン化亜鉛(0.14g)を充填したフラスコに添加する。混合液を100°Cで3時間撹拌する。室温に冷却した後、酢酸エチルを添加し、得られた混合液をろ過し、NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、溶媒を除去する。残留物をエタノールから再結晶する。
収量: 0.45g(理論量の69%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 580/582(Cl)[M+Na]+
【0110】
実施例XXII
【化63】

【0111】
4-シクロプロピルフェニルホウ酸
ヘキサン(14.5mL)中の2.5M nブチルリチウムを、-70°Cに冷却したTHF(14mL)とトルエン(50mL)中の1-ブロモ-4-シクロプロピルベンゼン(5.92g)に滴下する。得られた溶液を-70°Cで30分間撹拌した後、トリイソプロピルボレート(8.5mL)を添加する。この溶液を-20°Cに加温し、次に、4M塩酸水溶液(15.5mL)で処理する。反応混合液を更に室温に加温し、次に、有機相を分離する。水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を乾燥する(硫酸ナトリウム)。溶媒を蒸発させ、残留物をエーテルとシクロヘキサンの混合液で洗浄して、生成物を無色固体として得る。
収量: 2.92g(理論量の60%)
質量スペクトル(ESI-): m/z = 207(Cl)[M+HCOO]-
以下の化合物は、実施例XXIIと同様にして得ることができる:
【0112】
(1) 4-ジフルオロメトキシフェニルホウ酸
【化64】

質量スペクトル(ESI-): m/z = 233(Cl)[M+HCOO]-
上記手順から出発して、4-ジフルオロメトキシ-1-ヨードベンゼンからiPrMgClを用いてアリール金属化合物を生成し、この中間体をホウ酸トリメチルでトラップして化合物を調製する。
【0113】
(2) 4-ジフルオロメチルフェニルホウ酸
【化65】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 172(Cl)[M+H]+
上記手順から出発して、4-ジフルオロメチル-1-ヨードベンゼン(4-ヨードベンゼンアルデヒドからジクロロメタン中ジエチルアミノサルファトリフルオライド(DAST)を用いて調製した)からiPrMgClを用いてアリール金属化合物を生成し、この中間体をホウ酸トリメチルでトラップして化合物を調製する。
【0114】
実施例XXIII
【化66】

【0115】
1-ブロモ-4-シアノ-3-(4-メトキシベンジル)ベンゼン
25gのエチル(4-メトキシフェニル)アセテート、27.4gの1-ブロモ-4-シアノ-3-フルオロベンゼン及び20mLのN-メチルピロリジン-2-オンの混合液を、130mLのN-メチルピロリジン-2-オン中の31.4gのカリウムtertブトキシドに10°C未満の温度を保ちつつ徐々に添加する。室温で1時間撹拌した後、100mLのメタノールと137mLの1M水酸化ナトリウム水溶液を添加し、混合液を室温で一晩撹拌する。メタノール部分を蒸発させ、残留物を1M水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にし、tertブチルメチルエーテルで抽出する。水相を4M塩酸で酸性にし、酢酸エチルで数回抽出する。合わせた酢酸エチル抽出液を蒸発させ、残留物を120mLのN,N-ジメチルホルムアミドと24.9gの炭酸カリウムと共に100°Cで1時間加熱する。反応混合液を重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで数回抽出する。合わせた抽出液を蒸発させ、残留物をメタノールから結晶化させる。
収量: 13g(理論量の33%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 319/321(Br)[M+NH4]+
【0116】
実施例XXIV
エチル4-シクロプロピルフェニルアセテート
【化67】

【0117】
Tetrahedron Lett. 2002, 43, 6987-6990に従い、エチル4-ブロモフェニルアセテートから、トルエンと水中でトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボレート、酢酸パラジウム、リン酸カリウムを用いてシクロプロピルボロン酸と遷移金属触媒カップリングすることによって調製される
質量スペクトル(ESI+): m/z = 205[M+H]+
最終化合物の調製:
【0118】
実施例1
【化68】

【0119】
4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラニル-3-オキシ)ベンジル]ベンゾニトリル
2.5mLのN-メチル-2-ピロリドン中の1.00gの1-クロロ-2-[4-((S)-テトラヒドロフラニル-3-オキシ)ベンジル]-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼン、0.16のシアン化ナトリウム及び0.35gの臭化ニッケルの混合液を、220°Cで15分の間の電子レンジ内で加熱する。室温に冷却した後、水を添加し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出する。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発した後、残留物を5mLのメタノールに溶解する。4mLの4M水酸化カリウム水溶液を添加し、反応溶液を周囲温度で3時間撹拌する。この溶液を1M塩酸で中和し、メタノールを蒸発させる。残留物を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール4:1)によるクロマトグラフィーで精製する。
収量: 0.35g(理論量の49%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 442[M+H]+
以下の化合物は、実施例1と同様にして得ることができる:
【0120】
(2) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)ベンジル]ベンゾニトリル
【化69】

【0121】
(3) 2-(4-シクロペンチルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化70】

【0122】
(4) 2-(4-シクロブチルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化71】

【0123】
(5) 2-(4-シクロヘキシルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化72】

【0124】
(6) 2-[4-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)ベンジル]-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化73】

【0125】
(7) 2-[4-(1-アセチルピペリジン-4-イルオキシ)ベンジル]-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化74】

【0126】
(8) 2-(4-メトキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化75】

【0127】
質量スペクトル(ESI+): m/z = 403[M+NH4]+
この化合物もまた、1-ブロモ-4-シアノ-3-(4-メトキシベンジル)ベンゼン(実施例XXIII)と2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンから、tert-ブチルリチウムとの反応をテトラヒドロフラン中-87°Cで行い、メタノール/メタンスルホン酸との反応を55°Cで行う以外は、実施例XIIIと同様の方法で得られる。
【0128】
(9) 2-(4-エトキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化76】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 417[M+NH4]+
【0129】
(10) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-イソプロポキシベンジル)ベンゾニトリル
【化77】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 431[M+NH4]+
【0130】
(11) 2-(4-エチルベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化78】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 401[M+NH4]+
【0131】
(12) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)ベンゾニトリル
この化合物を2-(4-アセトキシベンジル)-1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゼンから調製した。
【化79】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 389[M+NH4]+
この化合物もまた、2-(4-メトキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル(化合物1(8))を過アセチル化し、続いて、三臭化ホウ素でエーテル切断し、脱アセチル化することによって得られる。
【0132】
(13) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メチルベンジル)ベンゾニトリル
【化80】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 387[M+NH4]+
【0133】
(14) 2-(4-シアノベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化81】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 398[M+NH4]+
【0134】
実施例15
【化82】

【0135】
4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシエトキシベンジル)ベンゾニトリル
2-ブロモエチルジメチルエーテル(85μl)を、3mLのジメチルホルムアミド中の4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゾニトリル(0.30g)と炭酸セシウム(0.39g)の混合液に添加する。この混合液を80°Cで16時間撹拌した後、水と食塩水を添加する。得られた混合液を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→5:1)によるクロマトグラフィーで精製する。
収量: 0.19g(理論量の49%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 430[M+H]+
【0136】
実施例16
【化83】

【0137】
4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-トリフルオロメトキシベンジル)ベンゾニトリル
Arで満たされたフラスコに、2-ブロモメチル-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル(0.25g)、4-トリフルオロメトキシフェニルホウ酸(0.20g)、炭酸カリウム(0.26)及び脱ガスアセトンと水(4mL)の3:1混合物を充填する。この混合液を室温で5分間撹拌した後、氷浴中で冷却する。次に、二塩化パラジウム(5mg)を添加し、反応混合液を周囲温度で16時間撹拌する。次に、この混合液を食塩水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。残留物をメタノール(9mL)に溶解し、4M水酸化カリウム水溶液(1mL)で処理する。得られた溶液を周囲温度で1時間撹拌し、次に、1M塩酸で中和する。メタノールを蒸発させ、残留物を食塩水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。集めた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル(1:0ジクロロメタン/メタノール→8:1)によりクロマトグラフィー処理する。
収量: 0.145g(理論量の69%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 457[M+NH4]+
以下の化合物は、実施例16と同様にして得ることができる:
【0138】
(17) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-トリフルオロメチルベンジル)ベンゾニトリル
【化84】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 441[M+NH4]+
【0139】
(18) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-イソプロピルベンジル)ベンゾニトリル
【化85】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 415[M+NH4]+
【0140】
(19) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-tert-ブチルベンジル)ベンゾニトリル
【化86】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 429[M+NH4]+
【0141】
(20) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-トリメチルシリルベンジル)ベンゾニトリル
【化87】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 445[M+NH4]+
【0142】
(21) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メチルスルファニルベンジル)ベンゾニトリル
【化88】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 419[M+NH4]+
【0143】
(22) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-(3-メチルブタ-1-イル)ベンジル]ベンゾニトリル
【化89】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 443[M+NH4]+
【0144】
(23) 2-(4-フルオロベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化90】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 391[M+NH4]+
【0145】
(24) 2-(4-クロロベンジル)-4-(β-D-グルコピラノ-1-イル)-ベンゾニトリル
【化91】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 407/409(Cl)[M+NH4]+
【0146】
(25) 2-(4-ジフルオロメトキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化92】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 439[M+NH4]+
【0147】
(26) 2-(4-ジフルオロメチルベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化93】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 423[M+NH4]+
【0148】
(27-1) 2-(4-シクロプロピルベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化94】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 413[M+NH4]+
【0149】
この化合物は、実施例16(ここで、4-トリフルオロメトキシフェニルホウ酸の代わりに、抽出物(XXII) 4-シクロプロピルフェニルホウ酸を用いる)に従って得られる。
この化合物(27)は、また、Tetrahedron Lett. 2002, 43, 6987-6990に従って、2-(4-ブロモベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル又は1-シアノ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ベンジル]ベンゼン(化合物XVI(1))とシクロプロピルボロン酸とをトルエンと水中でトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボレート、酢酸パラジウム、リン酸カリウムを用いて遷移金属触媒カップリングし、続いてカップリング生成物をメタノール中でKOHによって脱アセチル化することによって得られる。
化合物(27)は、また、2-フルオロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル(化合物XI(1))とエチル4-シクロプロピルフェニルアセテート(化合物XXIV)を塩基性条件下で反応させ、続いてエステル加水分解と脱カルボキシル化を行うことによって得ることができる。
【0150】
(27-2) 2-(4-シクロブチルベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化95】

この化合物は、実施例(27-1)(ここで、例えば、4-シクロプロピルボロン酸の代わりに、4-シクロブチルボロン酸(実施例XXIIと同様にして得られる)を用いる)に従って得られる。
質量スペクトル(ESI+): m/z = 427[M+NH4]+
【0151】
(28) 4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-プロパ-1-イルベンジル)ベンゾニトリル
【化96】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 415[M+NH4]+
【0152】
実施例29
【化97】

【0153】
4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヨードベンジル)ベンゾニトリル
1M一塩化ヨウ素/ジクロロメタン(0.9mL)溶液を、ジクロロメタン(5mL)に溶解した4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-トリメチルシリルベンジル)ベンゾニトリル(0.26g)に添加する。この溶液を室温で1時間撹拌し、次に、Na2S2O3水溶液とNaHCO3水溶液を添加することによって急冷する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→8:1)によりクロマトグラフィー処理する。
収量: 0.15g(理論量の88%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 499[M+NH4]+
以下の化合物は、実施例29と同様にして得ることができる:
【0154】
(30) 2-(4-ブロモベンジル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)ベンゾニトリル
【化98】

質量スペクトル(ESI+): m/z = 451/453[M+NH4]+
この化合物は、ジクロロメタン中で臭素を用いる実施例29の手順に従って得られる。
【0155】
実施例31
【化99】

【0156】
4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ペンタフルオロエチルベンジル)ベンゾニトリル
4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヨードベンジル)ベンゾニトリル(0.16g)、ペンタフルオロエチルトリメチルシラン(0.14g)、KF(43mg)、CuI(0.16g)、DMF(2mL)とAr雰囲気を充填したフラスコに60°Cで24時間加熱する。次に、NaHCO3水溶液を添加し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をメタノール(8mL)に溶解し、4M KOH溶液(0.8mL)で処理する。この溶液を室温で1時間撹拌し、次に、NaHCO3水溶液で希釈する。減圧下でメタノールを除去した後、残留物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出液を乾燥し、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→8:1)によりクロマトグラフィー処理する。
収量: 0.08g(理論量の69%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 491[M+NH4]+
【0157】
実施例32
【化100】

【0158】
4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メチルスルフィニルベンジル)ベンゾニトリル
35%過酸化水素/水(48μL)を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(2mL)中の4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メチルスルファニルベンジル)ベンゾニトリル(83mg)に添加する。得られた溶液を周囲温度で1時間撹拌し、次に、Na2S2O3水溶液とNaHCO3水溶液を添加することによって急冷する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→5:1)によりクロマトグラフィー処理する。
収量: 24mg(理論量の28%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 418[M+H]+
【0159】
実施例33
【化101】

【0160】
4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メチルスルホニルベンジル)ベンゾニトリル
3-クロロペルオキシ安息香酸(70%、0.14g)を、氷浴中で冷却したジクロロメタン(2mL)中の4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メチルスルファニルベンジル)ベンゾニトリル(100mg)に添加する。冷却浴を取り除き、得られた溶液を周囲温度で1時間撹拌する。Na2S2O3水溶液とNaHCO3水溶液を添加した後、有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0→8:1)によりクロマトグラフィー処理する。
収量: 68mg(理論量の63%)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 451[M+NH4]+
以下の化合物は、また、上述の実施例又は文献から既知の他の方法と同様にして調製することができる:
【0161】
【化102】

【0162】
【化103】

【0163】
ここに、製剤例をいくつか記載するが、その中の用語“有効成分”は、本発明の一つ以上の化合物、又はそのプロドラッグ又は塩を意味する。前記一つ以上の有効成分との併用剤の一つの場合、用語“有効成分”は追加の有効成分も含む。
【0164】
実施例A
有効成分100mgを含有する錠剤
組成:
1錠に以下を含有する:
有効成分 100.0mg
ラクトース 80.0mg
コーンスターチ 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
調製方法:
有効成分、ラクトース及びスターチを混合し、ポリビニルピロリドンの水溶液で均一に湿らせる。湿った組成物を篩(メッシュサイズ2.0mm)にかけ、ラック型乾燥器に入れて50℃で乾燥させた後、再度篩(メッシュサイズ1.5mm)にかけ、滑沢剤を加える。最終混合物を圧縮して錠剤を形成する。
錠剤の重量: 220mg
直径: 10mm、両側にファセットのある2平面型で、一方の側面には切り欠きが設けられている。
【0165】
実施例B
有効成分150mgを含有する錠剤
組成:
1錠に以下を含む:
有効成分 150.0mg
粉末状ラクトース 89.0mg
コーンスターチ 40.0mg
コロイド状シリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
調製:
ラクトース、コーンスターチ及びシリカと混合した有効成分を、20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、メッシュサイズ1.5mmの篩に通す。粒状物を45°Cで乾燥させた後、同じ篩に再度通し、所定量のステアリン酸マグネシウムと混合する。混合物を圧縮して錠剤を得る。
錠剤の重量: 300mg
ダイ: 10mm、平面
【0166】
実施例C
有効成分150mgを含有するゼラチン硬カプセル剤
組成:
1カプセルに以下を含む:
有効成分 150.0mg
コーンスターチ (乾燥) 約180.0mg
ラクトース (粉末状) 約87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
調製:
有効成分を賦形剤と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩に通し、適当な装置を用いて均一に混合する。最終混合物をゼラチン硬カプセル に充填する。
カプセル充填物 : 約320mg
カプセルのシェル : サイズ1号、ゼラチン硬カプセル
【0167】
実施例D
有効成分150mgを含有する坐薬
組成:
坐薬1個に以下を含む:
有効成分 150.0mg
ポリエチレングリコール1500 550.0mg
ポリエチレングリコール6000 460.0mg
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 840.0mg
2,000.0mg
調製:
坐薬塊を溶融後、有効成分をその中に均一に分散させ、溶融物を冷却した型に注入する。
【0168】
実施例E
有効成分10mgを含有するアンプル
組成:
有効成分 10.0mg
0.01N塩酸 適量
再蒸留水 全量2.0ml
調製:
有効成分を0.01N HClの必要量に溶解させ、食塩を用いて等張にし、滅菌ろ過し、 2mlのアンプルに移し入れる。
【0169】
実施例F
有効成分50mgを含有するアンプル
組成:
有効成分 50.0mg
0.01N塩酸 適量
再蒸留水 全量10.0ml
調製:
有効成分を0.01NHClの必要量に溶解させ、食塩を用いて等張にし、滅菌ろ過し、10 mlのアンプルに移し入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iのグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体
【化1】

(式中、R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、3-メチルブタ-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシルエチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチルブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチルエチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、ヒドロキシ、メチルオキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、1-アセチルピペリジン-4-イルオキシ、2-メチルオキシエチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル又はシアノである)、又は
それらの誘導体(ここで、β-D-グルコピラノシル基の一つ以上のヒドロキシル基は、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)カルボニルより選ばれる基でアシル化されている); 又はそれらの互変異性体、立体異性体又はそれらの混合物; 又はそれらの生理的に許容され得る塩。
【請求項2】
β-D-グルコピラノシル基のヒドロキシル基O-6の水素原子が、(C1-8-アルキル)カルボニル、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル及びフェニルカルボニルより選ばれる基で置換されることを特徴とする、請求項1に記載のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体、又はその生理的に許容され得る塩。
【請求項3】
無機酸又は有機酸による請求項1又は2に記載の化合物の生理的に許容される塩。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の化合物又は請求項3に記載の生理的に許容される塩を含み、一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤を共に含んでもよい、医薬組成物。
【請求項5】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することによって影響され得る疾患又は症状の治療又は予防に適する医薬組成物を調製するための請求項1又は2に記載の少なくとも一つの化合物又は請求項3に記載の生理的に許容される塩の使用。
【請求項6】
一つ以上の代謝異常の治療又は予防に適する医薬組成物を調製するための請求項1又は2に記載の少なくとも一つの化合物又は請求項3に記載の生理的に許容される塩の使用。
【請求項7】
代謝異常が、1型及び2型糖尿病、糖尿病の合併症、代謝性アシドーシス又は代謝性ケトーシス、反応性血糖低下、高インスリン血症、糖代謝異常、インスリン抵抗性、代謝性症候群、異なる原因の脂質異常症、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患、肥満、高血圧、慢性心不全、浮腫及び脂質異常症からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2を阻害する医薬組成物を調製するための請求項1又は2に記載の少なくとも一つの化合物又は請求項3に記載の生理的に許容される塩の使用。
【請求項9】
膵臓ベータ細胞の変性の予防用及び/又は膵臓ベータ細胞の機能性の改善及び/又は回復用の医薬組成物を調製するための請求項1又は2に記載の少なくとも一つの化合物又は請求項3に記載の生理的に許容される塩の使用。
【請求項10】
肝臓脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状の、それらを必要としている患者における予防、緩徐、遅延又は治療用の医薬組成物を調製するための請求項1又は2に記載の少なくとも一つの化合物又は請求項3に記載の生理的に許容される塩の使用。
【請求項11】
利尿剤及び/又は抗高血圧剤を調製するための請求項1又は2に記載の少なくとも一つの化合物又は請求項3に記載の生理的に許容される塩の使用。
【請求項12】
下記式II、III、i.1、i.2、i.3、i.4、i.5又はi.6のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体、又はそれらの互変異性体、立体異性体又はそれらの混合物; 又はそれらの生理的に許容される塩。
【化2】

【化3】

(式中、R3は、請求項1のように定義され、
R'は、H、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール(C1-3-アルキル)カルボニルであり、ここで、アルキル基又はアリール基は、ハロゲンによってモノ置換又は多置換されていてもよく;
R8a、R8b、R8c、R8dは、互いに独立して、水素又はアリル基、ベンジル基、(C1-4-アルキル)カルボニル基、(C1-4-アルキル)オキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール(C1-3-アルキル)カルボニル基又はアリール(C1-3-アルキル)オキシカルボニル基又はRaRbRcSi基又はケタール基又はアセタール基、特にアルキリデン基又はアリールアルキリデンケタール基又はアセタール基であり、それぞれの場合において、二つの隣接基R8a、R8b、R8c、R8dは、環状ケタール基又は環状アセタール基又は1,2-ジ(C1-3アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)エチレン架橋を形成していてもよく、上述のエチレン架橋は、二つの酸素原子とピラノース環の二つの会合した炭素原子と共に、置換ジオキサン環、特に2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成し、アルキル基、アリル基、アリール基及び/又はベンジル基は、ハロゲン又はC1-3-アルコキシによってモノ置換又は多置換されていてもよく、ベンジル基もまた、ジ(C1-3-アルキル)アミノ基によって置換されていてもよく;
Ra、Rb、Rcは、互いに独立して、C1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルであり、ここで、アリール基又はアルキル基は、ハロゲンによってモノ置換又は多置換されていてもよく;
上記の基の定義において述べられるアリール基は、フェニル基又はナフチル基、好ましくはフェニル基を意味し;
Alkは、C1-4-アルキルであり;
R1は、塩素、臭素、シアノ、カルボキシ、カルボン酸エステル、カルボキシアミド又はそれらの誘導体、ホウ素基又はシリル基、保護された又はマスクされたアルデヒド基、又は保護された又はマスクされたアミノ基であり、好ましくはR1はBr又はCNであり;
LGは、脱離基、例えば、Br、I又は-O-(SO2)-CF3であり;
Uは、Cl、Br、I、-O-CO-C1-4-アルキル、-O-C(=O)-O-C1-4-アルキル又は-OPO(O-C1-4-アルキル)2である)。

【公表番号】特表2009−531291(P2009−531291A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554770(P2008−554770)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051411
【国際公開番号】WO2007/093610
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】