説明

ゲート装置

【課題】可動支柱を固定支柱に対して上下方向にスライドしているときであっても、この可動支柱とともに上下方向にスライドする制止部材と物体との接触を精度よく検出し、安全性を一層高めたゲート装置を提供する。
【解決手段】可動支柱12は、入出口の両側のそれぞれに立設している固定支柱11毎に、この固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。下側制止バー14は、可動支柱12間に上下方向にスライド自在に掛け渡している。可動柵1は、可動支柱12に対する下側制止バー14の上下方向のスライドを停止し、且つ、固定支柱11に対して可動支柱12を上下方向にスライドしているときに、可動支柱12に対する下側制止バー14の上下方向の位置が変化すると、下側制止バー14が物体に接触したと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入出口における人や車両等の通行を制限するゲート装置に関し、特に、駅ホームに設置し、乗降客が駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道会社では、乗降客が駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止するために、駅ホームの側端部に沿って落下防止柵を設置することを進めている。この落下防止柵として、例えば特許文献1に開示された可動柵がある。
【0003】
特許文献1に開示されている可動柵は、入出口の両側に固定支柱を立設している。また、固定支柱毎に、その固定支柱に対して上下方向にスライド自在に可動支柱を取り付けている。さらに、可動支柱間に、複数本の制止バーを上下方向に並べ、水平方向に掛け渡している。最上段の制止バーは、可動支柱に固定しているが、その他の制止バーは、可動支柱に対して上下方向にスライド自在に掛け渡している。
【0004】
この可動柵は、乗降客が駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止する閉状態と、駅ホームに停車している列車に乗降する乗降客の通路を確保する開状態と、の間で、その状態を切り換える開閉動作を行う。閉状態は、可動支柱が固定支柱に対する下限位置に位置し、且つ、最上段以外の制止バーのそれぞれが可動支柱に対する下限位置に位置する状態である。また、開状態は、可動支柱が固定支柱に対する上限位置に位置し、且つ、最上段以外の制止バーのそれぞれが可動支柱に対する上限位置に位置する状態である。
【0005】
この可動柵は、閉状態であるとき、最上段の制止バーが駅ホームの床面から130cm程度の高さに位置し、最下段の制止バーが駅ホームの床面から60cm程度の高さに位置する。最上段の制止バーは、大人の乗降客が乗り越えて駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止する。また、最下段の制止バーは、幼児や車椅子利用者等の乗降客が、最上段の制止バーの下を通って、駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止する。
【0006】
また、この可動柵は、開状態であるとき、最下段の制止バーが駅ホームの床面から200cm程度の高さに位置し、駅ホームに停車している列車に乗降する乗降客の通行を妨げることもない。
【0007】
さらに、可動柵は、上下方向にスライドしている制止バーが乗降客等に接触するのを防止するために、透過型や反射型の光センサで制止バーの周辺に位置する物体(乗降客等)の有無を検出し、物体を検出したときには開閉動作を停止する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/024612号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、光センサで物体を検出する構成では、物体の検出が行えない死角が存在することがある。安全性の向上を図る上で、開閉動作時に制止バーが物体と接触したとき、速やかに開閉動作を停止させる必要がある。
【0010】
上述した特許文献1に記載の可動柵は、閉状態と開状態との間の移行時に、固定支柱に対して可動支柱を上下方向にスライドする構成である。したがって、可動支柱間に掛け渡している制止バーは、可動支柱に対して上下方向にスライドしているときだけでなく、固定支柱に対して可動支柱を上下方向にスライドしているときも、上下方向に移動する。固定支柱や、可動支柱は、制止バーに比べて、剛性の強い鋼材を用いており、その重量が大きい。可動支柱を上下方向にスライドする駆動源は、可動支柱を上下方向にスライドする駆動源に比べて、大きな駆動力が要求される。このため、固定支柱に対して可動支柱を上下方向にスライドしているときに、この可動支柱を上下方向にスライドする駆動源の負荷変動によって、物体と制止バーとの接触を精度よく検出することができなかった。
【0011】
この発明の目的は、可動支柱を固定支柱に対して上下方向にスライドしているときであっても、この可動支柱とともに上下方向にスライドする制止部材と物体との接触を精度よく検出し、安全性を一層高めたゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のゲート装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0013】
固定支柱は、入出口の両側のそれぞれに立設している。可動支柱は、固定支柱毎に、この固定支柱に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。さらに、制止部材を可動支柱間に上下方向にスライド自在に掛け渡している。可動支柱駆動部が、可動支柱を固定支柱に対して上下方向にスライドする。したがって、可動支柱駆動部が、可動支柱を固定支柱に対して上下方向にスライドすると、制止部材が、この可動支柱とともに上下方向にスライドする。また、制止部材駆動部が、制止部材を可動支柱に対して上下方向にスライドする。
【0014】
また、検出部が、可動支柱に対する制止部材の上下方向の位置の変化を検出する。制御部は、制止部材駆動部が可動支柱に対する制止部材の上下方向のスライドを停止し、且つ、可動支柱駆動部が可動支柱を固定支柱に対して上下方向にスライドしているとき、検出部が可動支柱に対する制止部材の上下方向の位置の変化を検出すると、制止部材が物体に接触したと判定する。制止部材は、物体と接触すると、そのときに作用する応力により、可動支柱に対する上下方向の位置(高さ)が変化する。制御部は、制止部材の位置が可動支柱に対して上下方向に変化すると、制止部材が物体に接触したと判定する。
【0015】
したがって、固定支柱に対して可動支柱を上下方向にスライドする可動支柱駆動部の駆動力が大きくても、制止部材と物体との接触を精度よく検出することができる。
【0016】
また、制御部は、制止部材が物体に接触したと判定したとき、可動支柱駆動部に対して固定支柱に対する可動支柱の上下方向のスライドを停止させる構成とするのが好ましい。
【0017】
また、制止部材駆動部が、制止部材駆動モータの駆動力により、可動支柱に対して制止部材を上下方向にスライドする構成であれば、検出部を制止部材駆動モータの回転軸の回転を検出する簡単な構成で、可動支柱に対する制止部材の上下方向の位置の変化を検出することができ、装置本体のコストアップが抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、可動支柱駆動部が可動支柱を固定支柱に対して上下方向にスライドしているとき、この可動支柱とともに上下方向にスライドしている制止部材と、物体との接触の検出精度を向上させることができ、安全性が一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】駅ホームにおける落下防止柵の設置例を示す概略図である。
【図2】可動柵を示す概略図である。
【図3】可動柵の主要部の構成を示すブロック図である。
【図4】可動支柱を上下方向にスライドさせる機構を説明する概略図である。
【図5】下側制止バーを上下方向にスライドさせる機構を説明する概略図である。
【図6】可動柵の開閉動作を説明する図である。
【図7】可動柵の開閉動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明にかかるゲート装置の実施形態について説明する。ここでは、駅ホームで列車を待っている乗降客が駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止する落下防止柵を例にして説明する。
【0021】
図1は、駅ホームにおける落下防止柵の設置例を示す概略図である。図1(A)は、駅ホームを上方から見た平面図であり、図1(B)は、駅ホームの側端部を対向する側から見た平面図である。この落下防止柵は、図1に示すように、駅ホームの側端部に沿って、適当な間隔(2m〜3m間隔)で設置した複数の可動柵1を有している。各可動柵1が、この発明で言うゲート装置に相当する。
【0022】
列車は、その種類によって車両ドアの間隔が異なる。この落下防止柵は、設置した駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、各可動柵1を列車の車両ドアに対向させるため、駅ホームに停車する列車の車両ドアの幅よりも広くしている。可動柵1を開状態にすることにより、列車に乗降する乗降客の通路を確保する。また、可動柵1を閉状態にすることにより、駅ホームにいる乗降客等が駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止する。
【0023】
また、駅ホームにいる乗降客等が、隣接する可動柵1間において、駅ホームから落ちる等して線路内に入るのを防止するために、固定バー2を隣接する可動柵1間に掛け渡している。図1では、隣接する可動柵1間に、2本の固定バー2を上下に並べて掛け渡した例を示している。
【0024】
なお、可動柵1は、駅ホームに停車する列車の種類毎に、その列車の車両ドアの全体が対向すればよく、列車ドアでない部分を含んで対向しても特に問題はない。
【0025】
図2は、列車の車両ドアに対向する駅ホーム側から見た可動柵の平面図である。図2は、可動柵が閉している状態(閉状態)である。
【0026】
この可動柵1は、2本の固定支柱11と、2本の可動支柱12と、上側制止バー13、と、下側制止バー14と、を備えている。
【0027】
固定支柱11は、駅ホームの側端部に立設している。駅ホームには、固定支柱11の設置位置に台座が取り付けられている。2本の固定支柱11の間が、列車に乗降する乗降客の通路になる。言い換えれば、2本の固定支柱11は、駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、各列車の車両ドアが対向する位置をカバーするように設置している。固定支柱11は、その高さが130〜150cm程度である。また、固定支柱11は、100kgf程度のもたれ荷重に耐える鋼材である。
【0028】
2本の可動支柱12は、固定支柱11毎に、その固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動支柱12は、固定支柱11の背面(線路側)に取り付けている。可動支柱12は、その高さが130cm程度の鋼材であり、その重さは数十Kgである。
【0029】
上側制止バー13は、2本の可動支柱12間に掛け渡している。上側制止バー13は、可動支柱12の上端部付近に固定している。上側制止バー13は、可動柵1が閉状態であるとき、駅ホームの床面から130cm程度の高さに位置する。したがって、閉状態であるとき、大人であっても、上側制止バー13を乗り越えて線路内に入るのは比較的困難である。言い換えれば、閉状態であるとき、乗降客が上側制止バー13を乗り越えて線路内に入るのを防止できる。
【0030】
下側制止バー14は、2本の可動支柱12間に、この可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に掛け渡して、取り付けている。この下側制止バー14が、この発明で言う制止部材に相当する。下側制止バー14は、可動柵1が閉状態であるとき、駅ホームの床面から60cm程度の高さに位置する。したがって、閉状態であるとき、幼児(2歳児の身長80〜90cm)や、車椅子利用者(車椅子の肘掛け高さ60cm程度)が、駅ホーム床面と、下側制止バー14との間を通って、線路内に入るのを防止できる。
【0031】
上側制止バー13、および下側制止バー14は、筒状のパイプであり、例えばその外径が48mm、厚さ3.5mmのPC管であり、その重さは数Kgである。
【0032】
図3は、この可動柵の主要部の構成を示すブロック図である。
【0033】
この可動柵1は、制御部50と、可動支柱駆動制御部51と、可動支柱駆動モータ52と、制止バー駆動制御部53と、制止バー駆動モータ54と、通信部55と、報知部56と、を備えている。
【0034】
制御部50は、可動柵1各部の動作を制御する。上述したように、可動柵1は、乗降客の通路の両側に固定支柱11を、設置しているとともに、この固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に可動支柱12を取り付けている。可動柵1は、固定支柱11毎に可動支柱駆動モータ52を設けている。可動支柱駆動制御部51は、制御部50からの指示にしたがって、2本の可動支柱12が略同じ高さで変位するように、2本の固定支柱11に設けている可動支柱駆動モータ52を連動して制御する。
【0035】
図4は、可動支柱を上下方向にスライドさせる機構を説明する概略図である。固定支柱11は、その内部に上下方向に並べたプーリ62、63に無端ベルト64を張架している。可動支柱駆動モータ52の回転軸に取り付けたモータ軸ギア60は、一方のプーリ62(駆動プーリ62)を回転する駆動プーリギア61に連結している。駆動プーリ62は、可動支柱駆動モータ52の回転駆動により、モータ軸ギア60、および駆動プーリギア61を介して回転駆動される。無端ベルト64は、駆動プーリ62の回転にともなって上下方向に回転する。可動支柱12は、無端ベルト64に連結しており、この無端ベルト64の回転にともない、固定支柱11に対して上下方向にスライドする。可動支柱駆動モータ52は、正方向(可動支柱12が上昇する方向)、および逆方向(可動支柱12が下降する方向)に回転できる。この実施形態では、可動支柱駆動モータ52は、200WのACサーボモータである。
【0036】
また、エンコーダ69は、可動支柱駆動モータ52の回転軸の回転量を検出する。具体的には、モータ軸ギア60には、連結ギア65が連結されている。無端ベルト68は、プーリ66、67に張架している。プーリ66は、連結ギア65と回転軸で連結しており、この連結ギア65とともに回転する。また、プーリ67は、エンコーダ69の回転軸に連結している。したがって、プーリ67の回転にともなって、エンコーダ69の回転軸が回転する。このように、可動支柱駆動モータ52の回転軸の回転が、モータ軸ギア60、連結ギア65、プーリ66、無端ベルト68、プーリ67を介して、エンコーダ69の回転軸を回転させる。
【0037】
エンコーダ69は、可動支柱駆動制御部51に接続している。可動支柱駆動制御部51は、エンコーダ69の出力から、可動支柱駆動モータ52の回転軸の回転量を検出する。これにより、可動支柱駆動制御部51は、無端ベルト64の上下方向の移動量を検出し、この無端ベルト64に連結している可動支柱12の位置(固定支柱11に対する上下方向の位置)を得る。
【0038】
なお、可動支柱駆動制御部51は、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が下限位置にあること、および、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。
【0039】
また、可動柵1は、2本の固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けた可動支柱12間に、2本の制止バー13、14を掛け渡している。上側制止バー13は、上述したように、可動支柱12の上端部付近に固定している。また、下側制止バー14は、可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動柵1は、可動支柱12毎に制止バー駆動モータ54を設けている。制止バー駆動制御部53は、制御部50からの指示にしたがって、下側制止バー14の両端が可動支柱12に対して略同じ高さで変位するように、2本の可動支柱12に設けている制止バー駆動モータ54を連動して制御する。
【0040】
図5は、下側制止バーを上下方向にスライドさせる機構を説明する概略図である。可動支柱12は、その内部に上下方向に並べたプーリ72、73に無端ベルト74を張架している。制止バー駆動モータ54の回転軸に取り付けたモータ軸ギア70は、一方のプーリ72(駆動プーリ72)を回転する駆動プーリギア71に連結している。駆動プーリ72は、制止バー駆動モータ54の回転駆動により、モータ軸ギア70、および駆動プーリギア71を介して回転駆動される。無端ベルト74は、駆動プーリ72の回転にともなって上下方向に回転する。下側制止バー14は、無端ベルト74に連結しており、この無端ベルト74の回転にともない、可動支柱12に対して上下方向にスライドする。制止バー駆動モータ54は、正方向(下側制止バー14が上昇する方向)、および逆方向(下側制止バー14が下降する方向)に回転できる。この実施形態では、制止バー駆動モータ54は、パルスモータである。
【0041】
また、エンコーダ79は、制止バー駆動モータ54の回転軸の回転量を検出する。具体的には、モータ軸ギア70には、連結ギア75が連結されている。無端ベルト78は、プーリ76、77に張架している。プーリ76は、連結ギア75と回転軸で連結しており、この連結ギア75とともに回転する。また、プーリ77は、エンコーダ79の回転軸に連結している。したがって、プーリ77の回転にともなって、エンコーダ79の回転軸が回転する。このように、制止バー駆動モータ54の回転軸の回転が、モータ軸ギア70、連結ギア75、プーリ76、無端ベルト78、プーリ77を介して、エンコーダ79の回転軸を回転させる。
【0042】
エンコーダ79は、制止バー駆動制御部53に接続している。制止バー駆動制御部53は、エンコーダ79の出力から、制止バー駆動モータ54の回転軸の回転量を検出する。これにより、制止バー駆動制御部53は、無端ベルト74の上下方向の移動量を検出し、この無端ベルト74に連結している可動支柱12の位置(固定支柱11に対する上下方向の位置)を得る。
【0043】
なお、制止バー駆動制御部53は、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が下限位置にあること、および、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。
【0044】
また、制止バー駆動モータ54が停止している状態であっても、下側制止バー14が接触している物体によって、上方に持ち上げられたり、下方に押し下げられたりして、可動支柱12に対する上下方向の位置(高さ)が変化すると、そのことをエンコーダ79で検出することができる。具体的には、下側制止バー14が、可動支柱12に対して上下方向に移動すると、無端ベルト74が回転する。この無端ベルト74の回転が、駆動プーリ72、駆動プーリギア71、モータ軸ギア70を回転させる。そして、上述したように、モータ軸ギア70の回転が、エンコーダ79の回転軸を回転させる。
【0045】
通信部55は、駅ホームに停車した列車や、駅務室に設置された管理装置等の上位装置との間における通信を制御する。列車との通信は、公知のトランスポンダを経由して行う。報知部56は、乗降客や、駅係員等に対して、音声等による警告報知を行う。
【0046】
次に、この可動柵1の開閉動作について説明する。可動柵1は、通常、閉状態であり、駅ホームに列車が到着すると、開状態に移行する。そして、列車に対する乗降客の乗降が完了すると、閉状態に移行する。まず、可動柵1が閉状態から、開状態状に移行する動作について説明する。図6は、可動柵が閉状態から、開状態に移行する動作を説明する図である。
【0047】
可動柵1は、通信部55において開指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を上方にスライドする。図6(A)は、可動柵1の閉状態を示している。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を上方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで上方にスライドする。このとき、可動支柱駆動モータ52は正回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が上限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(図6(B)参照)。
【0048】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を上方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を上方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで上方にスライドする。このとき、制止バー駆動モータ54は正回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が上限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(図6(C)参照)。この状態が、開状態である。この開状態であるとき、下側制止バー14は、駅ホームの上面から、2m程度の高さに位置する。
【0049】
次に、可動柵1が開状態から、閉状態状に移行する動作について説明する。図7は、可動柵が開状態から、閉状態に移行する動作を説明する図である。図7(A)は、図6(C)と同様に、可動柵1の開状態を示している。
【0050】
可動柵1は、通信部55において閉指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を下方にスライドする。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を下方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで下方にスライドする。このとき、可動支柱駆動モータ52は逆回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が下限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(図7(B)参照)。
【0051】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を下方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を下方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで下方にスライドする。このとき、制止バー駆動モータ54は逆回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が下限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(図7(C)参照)。この状態が、閉状態である。図7(C)は、図6(A)と同じ閉状態である。
【0052】
なお、上記の説明では、開状態から閉状態に移行する動作では、可動支柱12に対して下側制止バー14の上昇を開始するタイミングを、可動支柱12が固定支柱11に対して上限位置に達した後としたが、このタイミングについては、可動支柱12が固定支柱11に対して予め定めた高さ(上限位置よりも低い高さ)に達したときにしてもよい。
【0053】
また、閉状態から開状態に移行する動作では、可動支柱12に対して下側制止バー14の下降を開始するタイミングを、可動支柱12が固定支柱11に対して下限位置に達した後としたが、このタイミングについても、可動支柱12が固定支柱11に対して予め定めた高さ(下限位置よりも高い高さ)に達したときにしてもよい。
【0054】
また、この可動柵1は、固定支柱11間や、可動支柱12間に位置する物体(乗降客等)を検出するセンサ(不図示)を備えている。具体的には、一方の固定支柱11や一方の可動支柱12の側面に発光素子を取り付けているとともに、他方の固定支柱11や他方の可動支柱12の側面に受光素子(不図示)を取り付けている。受光素子は、対応する発光素子から照射された光を受光するように、その発光素子に対向させて取り付けている。制御部50は、受光素子毎に、発光素子から照射された光の受光の有無に基づいて、固定支柱11間に位置する物体を検出する。
【0055】
制御部50は、図6に示した可動柵1の閉状態から開状態への移行動作時、および図7に示した開状態から閉状態への移行動作時、上記センサが固定支柱11間や、可動支柱12間に位置する物体を検出すると、開閉動作を停止するとともに、報知部56において警報報知を行う。具体的には、制御部50は、センサが固定支柱11間や、可動支柱12間に位置する物体を検出すると、可動支柱駆動制御部51に対して可動支柱駆動モータ52の駆動停止を指示するとともに、制止バー駆動制御部53に対して制止バー駆動モータ54の駆動停止を指示する。可動支柱駆動制御部51、および制止バー駆動制御部53は、この制御部50からの指示にしたがって、可動支柱駆動モータ52、制止バー駆動モータ54を停止する。
【0056】
可動柵1の開閉動作時に、センサが固定支柱11間や、可動支柱12間に位置する物体を検知すると、この可動柵1の開閉動作をすみやかに停止することができる。
【0057】
また、制御部50は、上述した図6(A)から図6(B)の状態に移行しているとき、および、上述した図7(A)から図7(B)の状態に移行しているとき、下側制止バー14が物体(乗降客等)と接触した判定すると、可動支柱駆動制御部51に対して可動支柱駆動モータ52の駆動停止を指示するとともに、制止バー駆動制御部53に対して制止バー駆動モータ54の駆動停止を指示する。
【0058】
図6(A)から図6(B)の状態に移行しているとき、および、図7(A)から図7(B)の状態に移行しているとき、可動支柱駆動制御部51は可動支柱駆動モータ52を駆動し、固定支柱11に対して可動支柱12を上下方向にスライドしている。この可動支柱12の上下方向のスライドにともなって、下側制止バー14も上下方向にスライドしている。一方、制止バー駆動制御部53は制止バー駆動モータ54の駆動を停止している。したがって、下側制止バー14が接触した物体によって、上方に持ち上げられたり、下方に押し下げられたりしたとき、可動支柱12に対する下側制止バー14の上下方向の位置が変化する。
【0059】
上述したように、制止バー駆動モータ54が停止している状態であっても、下側制止バー14が接触している物体によって、上方に持ち上げられたり、下方に押し下げられたりして、可動支柱12に対する上下方向の位置が変化すると、そのことをエンコーダ79で検出することができる。
【0060】
制止バー駆動制御部53は、エンコーダ79の出力から、可動支柱12に対する下側制止バー14の上下方向の位置が変化したことを検出すると、そのことを制御部50に通知する。制御部50は、制止バー駆動制御部53からの通知により、下側制止バー14が物体に接触したと判定し、可動支柱駆動制御部51に対して可動支柱駆動モータ52の駆動停止を指示するとともに、制止バー駆動制御部53に対して制止バー駆動モータ54の駆動停止を指示する。
【0061】
なお、上述の制止バー駆動制御部53から制御部50への通知は、図6(A)から図6(B)の状態に移行しているとき、および、図7(A)から図7(B)の状態に移行しているときに行われる通知であり、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動しているときには行われない。
【0062】
また、制御部50は、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動していないので、制止バー駆動制御部53に対して制止バー駆動モータ54の駆動停止を指示しなくてもよい。
【0063】
したがって、可動支柱駆動制御部51が可動支柱12を固定支柱11に対して上下方向にスライドしているときにおいても、下側制止バー14と物体との接触を精度よく検出でき、安全性が一層高められる。
【0064】
また、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54を駆動し、可動支柱12に対して下側制止バー14を上下方向にスライドしているときは、エンコーダ79の出力であるパルス信号の周期から、制止バー駆動モータ54の負荷変動を検出すればよい。下側制止バー14は、比較的重量が軽いので、制止バー駆動モータ54の負荷変動により、下側制止バー14と物体との接触が精度よく検出できる。
【0065】
制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の負荷変動により下側制止バー14と物体との接触を検出したときには、制止バー駆動モータ54を停止する。また、その旨を制御部50に通知する。制御部50は、制止バー駆動制御部53からの負荷変動の通知があると、可動支柱制御部51に対して可動支柱駆動モータ52の駆動停止を指示する。
【0066】
したがって、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54を駆動し、可動支柱12に対して下側制止バー14を上下方向にスライドしているときにおいても、下側制止バー14と物体との接触を検出したときには、すみやかに開閉動作を停止することができ、安全性を確保することができる。
【0067】
なお、上記の例では、本願発明を駅ホームに設置される可動柵1に適用した場合を例にして説明したが、工事現場等において車両が出入りする出入口等に設けるゲート装置としても利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1…可動柵
11…固定支柱
12…可動支柱
13…上側制止バー
14…下側制止バー
50…制御部
51…可動支柱駆動制御部
52…可動支柱駆動モータ
53…制止バー駆動制御部
54…制止バー駆動モータ
55…通信部
56…報知部
70…モータ軸ギア
71…駆動プーリギア
72…駆動プーリ
74…無端ベルト
75…連結ギア
76…プーリ
77…プーリ
78…無端ベルト
79…エンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出口の両側のそれぞれに立設した固定支柱と、
前記固定支柱毎に、当該固定支柱に対して上下方向にスライド自在に取り付けた可動支柱と、
前記可動支柱間に、この可動支柱に対して上下方向にスライド自在に掛け渡した制止部材と、
前記可動支柱を前記固定支柱に対して上下方向にスライドする可動支柱駆動部と、
前記制止部材を前記可動支柱に対して上下方向にスライドする制止部材駆動部と、を備えたゲート装置において、
前記可動支柱に対する前記制止部材の上下方向の変位を検出する検出部と、
前記制止部材駆動部が前記可動支柱に対する前記制止部材の上下方向のスライドを停止し、且つ前記可動支柱駆動部が前記可動支柱を前記固定支柱に対して上下方向にスライドしているとき、前記検出部が前記可動支柱に対する前記制止部材の上下方向の変位を検出すると、前記制止部材が物体に接触したと判定する制御部と、を備えたゲート装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記制止部材が物体に接触したと判定したとき、前記可動支柱駆動部に対して前記固定支柱に対する前記可動支柱の上下方向のスライドを停止させる、請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記制止部材駆動部は、制止部材駆動モータの駆動力により、前記可動支柱に対して前記制止部材を上下方向にスライドし、
前記検出部は、前記可動支柱に対する前記制止部材の上下方向の変位を、前記制止部材駆動モータの回転軸の回転により検出する、請求項1、または2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記制止部材駆動モータは、パルスモータである、請求項3に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記可動支柱駆動部は、可動支柱駆動モータの駆動力により、前記固定支柱に対して前記可動支柱を上下方向にスライドし、
前記可動支柱駆動モータは、サーボモータである、請求項1〜4のいずれかに記載のゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−1295(P2013−1295A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135867(P2011−135867)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000143396)株式会社高見沢サイバネティックス (55)
【Fターム(参考)】