説明

コネクタ、電気光学装置、電子機器

【課題】コストを抑えつつ、静電気等による影響を確実に防ぐことを可能とするコネクタ、電気光学装置、電子機器を提供する。
【解決手段】FPC基板に取り付けられるコネクタ部18であって、筐体部22と、筐体部22内に所定数配置された接続端子23と、を備え、接続端子23のうちの少なくともいずれか1つにESD対策部品24が接続され、ESD対策部品24が筐体部22に内蔵されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機、携帯情報端末機等といった各種の電子機器において、各種の情報を視覚的に表示するための表示部として、例えば液晶装置等の電気光学装置が用いられている。
【0003】
この液晶装置としては、一対の電極が形成された基板間に液晶を封入しシール材によって貼り合わされてなるものが知られている。この液晶装置は、液晶を挟む導電性パターンに印加する電圧を制御することによって液晶の配向を制御し、可視情報を表示可能となっている。
【0004】
このような液晶装置は静電気によるダメージに弱いことが知られている。例えば液晶パネル内に静電気が入り込むと、パネル内に形成されている駆動素子やドライバIC等の回路構成素子(電子部品)が静電気等の外部ノイズによって破壊され、液晶パネルを駆動することができなくなってしまう。
【0005】
そこで、ICモジュール基板(フレキシブル配線基板:以下、FPC基板と称する。)上に配設された電子部品をモールド樹脂で被覆し、モールド樹脂上に導電性金属板を設けることによって、IC等の電子部品が導電性金属板とICモジュール基板とにより挟まれた構成となるので、直接電子部品に静電気が放電するのを防止するという技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−99744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献の構成では、電子部品を樹脂でモールドした上に導電性金属板を積層する必要があるため、電子部品の製造に手間とコストが掛かってしまう。さらに、近年における素子サイズの小型化傾向は静電気耐量を低下させる要因にもなっている。また、基板上に形成される電子部品や配線(ITO配線)も狭ピッチ化される傾向にあり、上記した構成では静電気対策として不十分な場合があった。
【0007】
電子部品や配線は、FPC基板上に実装されたコネクタに接続されており、このコネクタが外部装置のコネクタ受け部と接続することによって液晶装置の駆動を可能としている。ところが、FPC側のコネクタと嵌合する外部のコネクタ受け部との接続或いは接続解除を行なう際に、帯電した静電気がFPC基板に流れ込み、電子部品や配線に影響(ダメージ)を与える虞があった。そのため、電子部品自体に静電気対策を施す他に、コネクタ側において静電気対策を施す方法が望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストを抑えつつ、静電気等による影響を確実に防ぐことを可能とするコネクタ、電気光学装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコネクタは、上記課題を解決するために、基板に取り付けられるコネクタであって、コネクタフレームと、当該コネクタフレーム内に所定数配置された接続端子と、を備え、接続端子のうちの少なくともいずれか1つに静電保護素子が接続され、静電保護素子がコネクタフレームに内蔵されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のコネクタによれば、静電気等の外部ノイズの帯電を防ぐ静電保護素子を内蔵することにより、コネクタに接続されているIC等の電子部品や配線の破壊や誤作動を防止することができる。このようにして、コネクタにおいて静電気除去を可能とすることによって、電子部品や配線から構成される基板上の内部回路を保護することができる。静電保護素子は、コネクタフレームに設けられた全ての接続端子に設けてもよいし、外部ノイズに弱い電子部品や配線に接続される特定の接続端子に設けるようにしても良い。
【0011】
また、静電保護素子は一対の端子を有し、一対の端子のうち一方の端子が接続端子に接続され、一対の端子のうち他方の端子がグランド電位に接続されていることも好ましい。
このような構成によれば、静電保護素子の他方の端子を通じて静電気をグランドに放出することができる。これにより、電子部品や配線が静電気によってダメージを受けることを防止することができる。
【0012】
また、静電保護素子の他方の端子は、所定数配置された接続端子のうちグランド電位に固定されたグランドピンに接続されていることも好ましい。
このような構成によれば、グランドピンを通して静電気をグランドに放出することができる。これにより、電子部品や配線が静電気によってダメージを受けることを確実に防止することができる。
【0013】
また、静電保護素子の他方の端子は、基板上のグランド配線に接続されていることも好ましい。
このような構成によれば、グランド配線を通して静電気をグランドに放出することができる。これにより、電子部品やITO配線(ガラス配線)が静電気によってダメージを受けることを確実に防止することができる。
【0014】
また、静電保護素子は、コンデンサ、バリスタ、ツェナーダイオード、抵抗、コイルのうちいずれかを用いたノイズフィルタであることも好ましい。
このような構成によれば、上記したコンデンサ、バリスタ、ツェナーダイオード、抵抗、コイルのうちいずれかを用いることによって、電子部品や配線が静電気によってダメージを受けることを確実に防止することができる。
【0015】
本発明の電気光学装置は、上記のコネクタを備えた配線基板と、配線基板によって駆動可能とされた光変調装置と、照明装置と、を有することを特徴とする。
本発明の電気光学装置によれば、耐静電性に優れたコネクタを備えるため、静電気による不良の発生が防止された信頼性の高い電気光学装置を提供することができる。
【0016】
本発明の電子機器は、上記の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、高品質な画像表示を長期的に維持することができるので、製品信頼性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る電気光学装置を電気光学装置の一例である液晶表示装置に適用した場合の実施形態を例に挙げて説明する。なお、本発明がその実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、これらの図面に示される構造は特徴的な部分を分かり易く示すために実際の構造に対して寸法を異ならせて示す場合があることに注意する。
【0018】
(電気光学装置の一実施形態)
まず、電気光学装置の一実施形態に係る液晶表示装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置1の平面構造を示している。図2は、その液晶表示装置の側面構造を示している。図3は、その液晶表示装置のうち配線基板の平面構造を示す図であって、図1の裏面側から見た配線基板の下面図である。図4は、配線基板に設けられたLEDを電気光学パネルに組み込んだ際の側面構造を示している。図5は、コネクタ部の平面構造を示す図であって、図3の裏面側から見たコネクタ部の下面図である。
【0019】
この液晶表示装置1は、液晶パネル(電気光学パネル)2と、当該液晶パネル2に接続されたFPC(配線基板、Flexible Printed Circuit)基板3とを有する。
FPC基板3は、液晶パネル2に信号を供給する外部装置との接続を可能とする入力端子(以下、コネクタ部18と称する)を設けてなるが、本実施形態におけるコネクタ部18はESD(Electro Static Discharge)対策が施されたものとなっている。
【0020】
液晶パネル2は、図2に示すように、素子基板6と対向基板4とを有する。これらの基板は、図1に示す正方形状又は長方形状で環状のシール材によって貼り合わされている。これらの基板4,6の間には間隙、いわゆるセルギャップが形成され、そのセルギャップ内に液晶(電気光学材料)、例えばTN(Twisted Nematic)液晶が封入されて液晶層を構成している。
【0021】
図2において、素子基板6は、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性を備えた第1の基板6aを有し、この基板6aの外側表面に偏光板12aが例えば貼着によって装着されている。
【0022】
他方、第1基板6aの内側表面、すなわち液晶側の表面には図1に示す複数の直線状のデータ線8が、例えばITO(Indium Tin Oxide)を材料としてフォトエッチング処理(すなわち、フォトリソグラフィ処理とそれに続くエッチング処理)によって形成されている。また、各データ線8に沿って複数のTFD(Thin Film Diode)素子9が形成され、さらに、各TFD素子9に対応して画素電極11が形成されている。TFD素子9は非線形抵抗素子であり、スイッチング素子として機能する。
【0023】
個々のTFD素子9は、例えば、第1電極の上に絶縁膜を形成し、その絶縁膜の上に第2電極を形成することによって形成される。このような積層構造は、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造と呼ばれることがある。個々のTFD素子9の第1電極は、例えばデータ線8に接続される。また、個々の画素電極11は個々のTFD素子9の第2電極に接続される。以上の構成により、複数のデータ線8は個々が互いに平行に並び、全体としてストライプ状に形成されている。また、複数の画素電極11は、行方向X及び列方向Yに並べられて、全体としてドットマトリクス状に配列されている。素子基板6の液晶側表面には、上記の要素の他に必要に応じて他の光学要素、例えば、層間絶縁膜、配向膜等が形成される。
【0024】
図2において、素子基板6に対向する対向基板4は、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性を備えた第2の基板4aを有し、この基板4aの外側表面に偏光板12bが例えば貼着によって装着されている。
また、偏光板12bの外側表面には、光学シート12cが設けられている。当該光学シート12cとしては、例えば、位相差板、光散乱板、反射偏光板、プリズムシート等を採用することができる。また、光学シート12cの外側表面には、導光板12dが設けられており、後述するLED36の照明光を光学シート12cの全面に向けて導くようになっている。また、導光板12dの外側表面には、反射板(図示略)が設けられており、導光板12dによって導かれた照明光を、対向基板4の側に反射させるようになっている。
【0025】
他方、第2基板4aの内側表面には、図1に示す複数の帯状電極13が形成される。これらの帯状電極13は走査電極として機能する。これらの帯状電極13は、個々がデータ線8に対して直角方向(すなわち、行方向X)に延び、全体としてストライプ状に形成されている。
【0026】
個々の帯状電極13は、素子基板6上で行方向Xに並ぶ複数の画素電極11と平面視でドット状に重なり合っている。このドット状の領域は表示の最小単位を構成する領域であり、サブ画素と呼ばれることがある。サブ画素と呼ばれる理由は次の通りである。液晶パネル2によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色、又はC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色を用いてカラー表示を行う場合には、表示の最小単位であるドット状領域がR,G,B又はC,M,Yの3個分集まって1つの画素が形成される。上記のサブ画素はこの1つの画素を形成する要素という意味でサブ画素と呼ばれるものである。なお、白黒表示又は他の2色によるモノカラー表示の場合には、1つのサブ画素によって1つの画素が形成される。
【0027】
また、素子基板6を構成する第1基板6aの液晶側表面には、帯状電極13の他にカラーフィルタ層、配向膜、その他必要に応じて各種の光学要素が形成される。カラーフィルタ層は、R,G,B又はC,M,Yの各色着色要素と、それらの着色要素の間に設けられる遮光部材、すなわちブラックマスクとによって形成される。個々の着色要素は個々のサブ画素に重なる領域に設けられる。
【0028】
複数の画素電極11と複数の帯状電極13とが重なり合って形成されたサブ画素は、画素電極11と同じく行方向X及び列方向Yに沿ってドットマトリクス状に並ぶことになる。そして、そのように並んだ複数のサブ画素によって表示領域V(図1)が形成され、この表示領域V内に文字、数字、図形等といった画像が表示される。
【0029】
次に、図3を参照して、FPC基板3の構成について詳述する。
液晶パネル2に接続されたFPC基板3は、液晶パネル2の側縁部から外方へと垂直に延在する第1延在部3Aと、第1延在部3Aの側方から垂直に延在する第2延在部3Bとから構成され、第1延在部3Aに制御回路部19を有し、第2延在部3Bに例えば雄型のコネクタ部18を有している。
【0030】
ここで、FPC基板3は、ポリイミド等のフィルム基板を基体とし、可撓性を有する基板である。また、詳細には、ベースフィルムの表面又は表裏両面に銅(Cu)線等によって配線パターンが形成され、その配線パターンをカバーレイ、レジスト等といった保護膜で覆うことによって形成されている。
【0031】
制御回路部19は、複数の回路構成素子からなり、例えば、コンデンサ31、コイル32、抵抗33、電源用IC34、制御用IC37、LED36を備えている。また、各回路構成素子は、FPC基板3に形成された配線パターンを通じて電気的に接続されている。また、LED36は、FPC基板3上に3つ設けられており、符号Bに示す方向に照明光を出射するようになっている。
【0032】
コネクタ部18は、外部装置の基板等に設けられた後述の雌型のコネクタ部に組み付けられることにより、液晶表示装置1と外部装置とを電気的に接続するものである。コネクタ部18から入力される信号は、入力配線18aを通じて制御回路部19に与えられるようになっている。本実施形態のコネクタ部18の構成については後に詳しく説明する。
【0033】
このようなFPC基板3は、可撓性を有していることから、図4に示すように湾曲させることが可能となっている。そして、LED36の光出射側を導光板12dの側面に接触させることで、LED36を液晶パネル2の一部として組み込ませている。このような構成により、LED36から出射される照明光は、導光板12dの内部において符号36aに示す方向に進むと共に、光学シート12cや反射板によって符号36bに示す方向に出射される。これら導光板12d、光学シート12c、反射板、LED36により、バックライト(照明装置)15が構成され、LED36の照明光を液晶パネル2に照射することが可能となる。
【0034】
また、図4において、第1基板6aは第2基板4aの外側へ張り出す張出し部14を有する。この張出し部14の表面には、図1に示すように、データ線8が延在してなる不図示の配線及び外部接続端子17がITOを材料としてフォトエッチング処理によって形成されている。
【0035】
図1及び図4において、張出し部14上に駆動用IC23がACF(Anisotropic Conductive Film)を用いたCOG(Chip On Glass)技術によって実装され、上記配線及び外部接続端子17に導電接続されている。また、FPC基板3は、ACFによって張出し部14に辺端に固着され、FPC基板3の出力配線21がACF内の導電粒子によって張出し部14上の外部接続端子17に導電接続されている。
【0036】
このFPC基板3において、液晶パネル2と接続される第1延在部3A(図3参照)の先端部分は、出力配線21が露出しており張出し部14側の端子17との導電接続が確実に行われる構成となっている。そして、端子17と接続される部分以外の出力配線21が外部へ露出することを防止するために、張出し部14とFPC基板3との接続部分の幅方向の全域に図1及び図2に示す絶縁材29が設けられている。
【0037】
このように構成された液晶表示装置1においては、図1に示すFPC基板3のコネクタ部18へ画像信号が供給されると、制御回路部19において所定の信号処理が行われて、液晶パネル2を駆動するための信号がFPC基板3の出力配線21及び液晶パネル2の外部接続端子17を介して駆動用IC23へ伝送される。駆動用IC23は供給された信号に基づいてデータ信号及び走査信号を生成し、データ信号をデータ線8へ伝送し、走査信号を帯状電極13へ伝送する。
【0038】
そして、表示領域V内の複数のTFD素子9はデータ信号及び走査信号の内容に応じてサブ画素ごとにON/OFF制御され、これにより、液晶層内の液晶分子の配向がサブ画素ごとに制御される。そして、液晶層に光が供給されたとき、その光が液晶分子の配向状態に応じてサブ画素ごとに変調され、その変調された光が図2の偏光板12a又は偏光板12bを通過するときに、偏光板12a,12bの偏光軸の状態に応じて光の通過の許容及び光の通過の禁止が選択される。その結果、偏光板12a又は偏光板12bの外側に文字、数字、図形等といった像が表示され、観察者によって視認される。
また、液晶パネル2による表示を行う必要が無い場合、FPC基板3のコネクタ部18には図示しないホスト回路からリセット信号が供給される。すると、駆動用IC23から液晶パネル2への走査信号及びデータ信号の供給が中止され、表示領域V内の表示が消える。
【0039】
本実施形態においては、液晶表示装置1の雄型のコネクタ部18が外部装置側の雌型のコネクタ部(以下、コネクタ受け部と称する)に接続されることにより画像信号等が供給されるようになっている。
【0040】
以下に、本実施形態のコネクタ部18の構成について図5〜図8を用いて詳しく説明する。図5は本実施形態のコネクタ部の概略構成を模式的に示した平面図であって、図6はコネクタ部の概略構成を示す断面図である。図7は、本実施形態のコネクタ部に嵌合する外部装置のコネクタ部の概略構成を示す断面図である。図8は、本実施形態のコネクタ部と外部装置のコネクタ部とから構成される接続用コネクタを示す断面図である。
【0041】
本実施形態のコネクタ部18は、後述する外部装置のコネクタ受け部に嵌合することにより、液晶パネル2と外部装置とを接続する接続用コネクタ40(図8参照)として機能する。図5に示すように、コネクタ部18は、平面視矩形状の合成樹脂成形品からなる筐体部22(コネクタフレーム)と、この筐体部22の長手方向にそれぞれ一定間隔で配置された接続端子23と、筐体部22に内蔵されたESD対策部品24(静電保護素子)と、を主な要素として構成されている。各接続端子23の一端は、FPC基板3上の電極部等、本実施形態においては例えば上記入力配線18aに電気的に接続されている。
【0042】
図6に示すように、筐体部22は、その中央に、コネクタ受け部を嵌め込むコネクタ収容凹部25を有してなるものである。そして、コネクタ受け部との電気的な接続を可能とする複数の接続端子23が上記コネクタ収容凹部25内に露出するようにして設けられている。各接続端子23は、Cu等からなる導電性金属板を打ち抜いて曲げ加工により形成されたもので、FPC基板3へハンダ付けするための端子部23aと、壁部22Aを挟持して接続端子23を筐体部22に保持させるための保持部23bと、が一体的に連続形成されている。保持部23bは壁部22Aの外面側から上面22a、内面22bに沿って折り曲げられ、端子部23aは壁部22Aの下面22cに沿って外部に露出して筐体部22の外方へと延在している。そして、接続端子23の端子部23aが上記入力配線18aとハンダにより接続されている。
【0043】
本実施形態では、筐体部22の底部22dに、複数の接続端子23のうちのいずれかに接続されたESD対策部品24が内蔵配置されている。ESD対策部品24として、例えばコンデンサ、バリスタ、ツェナーダイオード、抵抗、コイル等の素子を使用し、ノイズフィルタを構成する。図5に示すように、ESD対策部品24は、一方のリード端(不図示)が所定の接続端子23に接続され、他方のリード端(不図示)がFPC基板3のグランド配線35に導通接続されている。ここで、グランド配線35は接地された所定の電位に維持されているグランド端子に接続されている。
【0044】
このようなESD対策部品24とグランド配線35とは、コネクタ部18をFPC基板3上に実装するときのハンダにより接続されている。これにより、コネクタ部18の実装と同時に、ESD対策部品24とグランド配線35との接続作業を行なうことができるので作業の効率化を図れる。
【0045】
なお、ESD対策部品24は、筐体部22に備えられる全ての接続端子23のそれぞれに接続させて設けるようにしてもよい。重要なのは、静電気の侵入を嫌う電子部品へと通じる接続端子23にはESD対策部品24を必ず設けるようにする。また、コネクタ部18に設けるESD対策部品24は、上記した各種の素子うちの一種類のみで構成する必要はなく、適宜各種組み合わせるようにしても良い。例えば複数種の素子をアレイ状に並べてモジュール的なものとしても良い。
【0046】
一方、図7に示すコネクタ受け部41は、平面視矩形状の合成樹脂成形品からなる筐体部42と、この筐体部42の長辺側にそれぞれ一定間隔で配置されたコンタクトピン43と、を主な要素として構成されている。
【0047】
筐体部42は、周囲が壁部42Aで囲まれた底部42Bの中央に突出部44を一体的に形成して、FPC基板3側のコネクタ部18を嵌め込むコネクタ収容凹部45を設けてなるものである。突出部44と周辺の壁部42Aとの間には、相互間に亘るようにしてコネクタ収容凹部45が長手方向に一定間隔で形成されている。コネクタ収容凹部45は、筐体部42の上面側に開口する穴により構成されるもので、各々にコンタクトピン43が収納配置される。
【0048】
コンタクトピン43は、Cu等からなる導電性金属板を打抜いて曲げ加工により形成されたもので、FPC基板3へハンダ付けするための端子部43aと、壁部42Aに係合してコンタクトピン43を筐体部42に保持させるための保持部43bと、上記FPC基板3側のコネクタ部18を挟持する挟持部43cと、が一体的に連続形成されている。
【0049】
挟持部43cは、図7及び図8に示すように、コネクタ部18における壁部22Aの外面側から接続端子23に当接する第1当接部46と、壁部22Aの内面側から接続端子に当接する第2当接部46’と、から構成される。これら第1当接部46及び第2当接部46’の先端が夫々接触する2点接触により電気的にコネクタ部18の接続端子23に接続される。
【0050】
このように構成されたコネクタ受け部41は、液晶パネル2に対向配置される外部装置の基板60上にハンダ付けして実装されている。
【0051】
斯くして図8に示すように、コネクタ部18がコネクタ受け部41に嵌合するに際して、接続端子23とコンタクトピン43との電気的な接続は、コネクタ部18がコネクタ受け部41のコネクタ収容凹部45内に挿入され、接続端子23を備えた筐体部22の壁部22Aがコンタクトピン43の挟持部43cに挟持されることによって実現する。このように、互いに嵌合状態にあるコネクタ部18及びコネクタ受け部41によって構成される接続用コネクタ40によって、FPC基板3と外部装置側の基板60とが所定の間隔をおいて互いに平行に重なった状態で保持される。
【0052】
このような液晶表示装置1側のコネクタ部18を外部装置のコネクタ受け部41に対して接続或いは接続解除を行なう際に、帯電していた静電気が制御回路部19の電子部品に影響(ダメージ)を与える虞がある。つまり、コネクタ受け部41に対してコネクタ部18を挿入するときにコネクタ受け部41から静電気が放電し、印加される時がある。こうなると、内部回路(電子部品)の破壊や誤作動による液晶パネル2の表示に乱れが生じるという事態が発生する。コネクタ部18の筐体部22内に流れ込んだ静電気は、筐体部22に接続された導体に侵入し易く、仮にグランド配線35に流れた場合には問題は生じないが、制御回路部19に通じる入力配線18aに流れ込んだ場合には、LED36やこのLED36に電気的に接続された他の電子部品等に高電圧の電流が流れ、これらLED36や他の電子部品等が破損する虞がある。
【0053】
この点に関し、本実施形態では、FPC基板3のコネクタ部18にESD対策部品24を設けることにより、制御回路部19へ静電気等の影響が及ぶことを防止した。すなわち、ESD対策部品24は、一方のリード端がFPC基板3のグランド配線35に接続されていることから、筐体部22内に流れ込んだ静電気をESD対策部品24で吸収してグランド配線35に逃がすことにより、制御回路部19(電子部品)に流れ込むことを確実に防止している。さらに、制御回路部19に帯電した静電気においてもESD対策部品24を介して放電されるようになっている。このようにして、静電気による悪影響から内部回路の保護が図られている。
【0054】
上述したように、ESD対策部品24として2端子の素子を用い、一方の端子(リード)を接続端子23との導通を図るようにして接続するとともに、他方の端子(リード)をグランド配線35に接続させるようにして、ESD対策部品24をコネクタ部18へ設けることで、コネクタ部18と嵌合するコネクタ受け部41との接続或いは接続解除を行なう際に生じるサージや静電気放電による高電圧からFPC基板3上の電子部品を保護することができる。つまり、侵入した静電気をグランド配線35を介して外部に放電することで、制御回路部19に静電気が侵入することを確実に防ぎ、電子部品が破壊したり誤作動することを防止している。このように、表示部に表示異常が生じてしまうことが確実に防止されるという効果を有する。したがって、液晶表示装置1の静電気耐量を向上させることによって表示に乱れが生じることもなく、視認性の良好な画像を提供することができる。
なお、本実施形態においては、電子部品の他、ITO配線(ガラス配線)等の破壊も防止することができる。
【0055】
(コネクタ部の他の実施形態)
以下に、コネクタ部の他の実施形態について図9を用いて説明する。
図9(a),(b)に示すコネクタ部50は、内蔵されているESD対策部品24の一方のリード端(不図示)が所定の接続端子23に接続され、他方のリード端24bがグランド電位に維持されたGND接続端子23Aに接続されている。
【0056】
このような構成とすることにより、筐体部22内に流れ込んだ静電気をESD対策部品24で吸収してGND接続端子23Aを介して外方へと逃がすことができるので、制御回路部19(電子部品)に静電気が流れ込むことが確実に防止される。
【0057】
次に、図10は、本発明に係る電子機器の実施形態である携帯電話機を示している。
ここに示す携帯電話機130は、本体部131と、これに開閉可能に設けられた表示体部132とを有する。液晶表示装置等といった電気光学装置によって構成された表示装置133は、表示体部132の内部に配置され、電話通信に関する各種表示は、表示体部132において表示画面134によって視認できる。本体部131には操作ボタン136が配列されている。
【0058】
表示体部132の一端部にはアンテナ137が伸縮自在に取り付けられている。表示体部132の上部に設けられた受話部138の内部には、図示しないスピーカが配置される。
【0059】
また、本体部131の下端部に設けられた送話部139の内部には図示しないマイクが内蔵されている。表示装置133の動作を制御するための制御部は、携帯電話機の全体の制御を司る制御部の一部として、又はその制御部とは別に、本体部131又は表示体部132の内部に格納される。
【0060】
従って、上記した液晶表示装置を用いて構成された電子機器によれば、その表示部において、安定した表示を行うことができる。
【0061】
(変形例)
なお、電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るFPC配線基板の概略構成を示す平面図である。
【図4】図2の配線基板を電気光学パネルに組み込んだ際の側面図。
【図5】本発明の第1実施形態に係るコネクタ部の概略構成を模式的に示す平面図である。
【図6】図5のN−N断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るコネクタ部に嵌合するコネクタ受け部の概略構成を示す断面図である。
【図8】コネクタ部がコネクタ受け部に嵌合した状態にある接続用コネクタの概略構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコネクタ部の概略構成を模式的に示す平面図である。
【図10】本発明に係る電子機器の他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1…液晶表示装置(電気光学装置)、2…液晶パネル(光変調装置)、3…FPC基板、15…バックライト(照明装置)、18…コネクタ部(コネクタ)、22…筐体部(コネクタフレーム)、23…接続端子、23A…GND接続端子(グランドピン)、
24…ESD対策部品、24b…ESD対策部品の一方のリード端、35…グランド配線、40…接続用コネクタ、130…携帯電話機(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられるコネクタであって、
コネクタフレームと、当該コネクタフレーム内に所定数配置された接続端子と、を備え、
前記接続端子のうちの少なくともいずれか1つに静電保護素子が接続され、当該静電保護素子が前記コネクタフレームに内蔵されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記静電保護素子は一対の端子を有し、
前記一対の端子のうち一方の端子が前記接続端子に接続され、
前記一対の端子のうち他方の端子がグランド電位に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記静電保護素子の前記他方の端子は、所定数配置された前記接続端子のうち前記グランド電位に固定されたグランドピンに接続されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記静電保護素子の前記他方の端子は、前記基板上のグランド配線に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記静電保護素子は、コンデンサ、バリスタ、ツェナーダイオード、抵抗、コイルのうちいずれかを用いたノイズフィルタであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコネクタを備えた配線基板と、
当該配線基板によって駆動可能とされた光変調装置と、
照明装置と、を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
上記請求項5記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−130272(P2008−130272A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311419(P2006−311419)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】