説明

コネクタ接続構造

【課題】コネクタ接続構造において、防水性、耐振性等を向上させる。
【解決手段】雄端子101,雄端子を取り囲むスカート部102を含む雄型コネクタ100、雌端子151,雌端子を取り囲むと共にスカート部に嵌合されるスリーブ部153を含む雌型コネクタ150を備え、雄型コネクタを雌型コネクタに嵌合して雄端子と雌端子を電気的に接続するコネクタ接続構造において、スリーブ部がスカート部に嵌合された状態で、スリーブ部及びスカート部の周りを覆うように組み付けられたカバーキャップ200を設けた。これによれば、スリーブ部及びスカート部の周りがカバーキャップにより覆われているため、この接続領域に水滴、その他の塵等が容易に付着するのを防止でき、防水性及び防塵性を向上させることができ、又、ユーザが間違ってコネクタを取り外すのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄型コネクタと雌型コネクタを接続して電気的接続を得るコネクタ接続構造に関し、特に、船外機及びPersonal Water Craft(以下、PWCと称す)等に搭載されるスロットル装置等の制御配線に適用されるコネクタ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタ接続構造としては、防水性を高めるべく、雄端子,雄端子の付け根側を固定する柱状部,及び雄端子の周りを囲むスカート部をもつ雄型コネクタ、雌端子,及び雌端子の周りを囲むと共にスカート部に嵌合されるスリーブ部をもつ雌型コネクタ、スカート部と柱状部の間に嵌め込まれてその内壁及びスリーブ部の先端等で圧縮されるシールリングを備える構成において、シールリングを圧縮しつつ雄型コネクタを雌型コネクタに挿入して、スナップフィット結合により接続するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このコネクタ接続構造においては、雄型コネクタを雌型コネクタに接続する際に、単にシールリングを挟み込むだけであるため、振動等によりガタツキが発生して、気密(防水)不良、接点不良等を引き起こす虞があり、又、接続状態が単にスナップフィット結合により保持されているため容易に取り外すことができ、ユーザが間違ってコネクタを取り外す虞もある。
【0004】
また、他のコネクタ接続構造としては、フランジ部,及びフランジ部から突出する雄端子をもつ雄型コネクタ、雌端子,及び雌端子を取り囲むように形成されてフランジ部を内側に嵌合させると共に外周に雄ネジが形成されたスリーブ部をもつ雌型コネクタ、雄端子に接続される配線を収容するチューブの周りに可動に外嵌されたナットを備える構成において、フランジ部をスリーブ部の内側に嵌合させつつ雄型コネクタを雌型コネクタに接続して、フランジ部を押圧するようにナットをスリーブ部の雄ネジに螺合するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、このコネクタ構造においては、雄型コネクタ及び雌型コネクタ以外に、専用のナット、スリーブ部の外周に雄ネジを形成した専用の雌型コネクタが必要であり、汎用品を用いることができず、コストの増加を招く。また、ナットで締結するため堅固に接続することはできても、防水性、気密性等については十分とは言えない。さらに、接続状態が単にナットの締結により保持されているためナットを緩めることで容易に取り外すことができ、ユーザが間違ってコネクタを取り外す虞もある。
【0006】
【特許文献1】実開昭64−36986号公報
【特許文献2】特開2006−151010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の装置の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、接続作業の簡素化、汎用品の流用による低コスト化等を図りつつ、防水性あるいは防塵性を向上(気密性を向上)させ、ガタツキ等による接点不良の発生を防止でき、振動等によるガタツキを防止でき、ユーザの間違った取り外しを防止でき、メンテナンスフリー化を行なえるコネクタ接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタ接続構造は、雄端子,雄端子を取り囲むスカート部を含む雄型コネクタと、雌端子,雌端子を取り囲むと共にスカート部に嵌合されるスリーブ部を含む雌型コネクタを備え、雄型コネクタを雌型コネクタに嵌合して雄端子と雌端子を電気的に接続するコネクタ接続構造であって、上記スリーブ部がスカート部に嵌合された状態で、スリーブ部及びスカート部の周りを覆うように組み付けられたカバーキャップを有する、構成となっている。
この構成によれば、雌型コネクタのスリーブ部を雄型コネクタのスカート部に嵌合して雄端子と雌端子を電気的に接続した状態で、スリーブ部及びスカート部の周りがカバーキャップにより覆われているため、この接続領域に水滴、その他の塵等が容易に付着するのを防止でき、防水性及び防塵性を向上させることができる。また、スリーブ部がスカート部に接続された後は、カバーキャップがその周りにあるためその接続を容易に解除することができず、ユーザが間違ってコネクタを取り外すのを防止することができる。特に、船外機、PWC等の視認が困難な領域に適用される場合において、汎用(既存)の雄型コネクタ及び雌型コネクタを流用しつつ単にカバーキャップを追加するだけで、防水性、防塵性を向上させつつ、ユーザの誤作業による取り外しを防止することができる。
【0009】
上記構成において、カバーキャップは、筒状に形成され、その一端側においてスカート部及びスリーブ部の一方の外輪郭を受け入れる内輪郭をなす貫通孔を画定するフランジ部を有し、カバーキャップは、フランジ部を雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に接合して貫通孔を閉塞するように組み付けられている、構成を採用することができる。
この構成によれば、フランジ部がスカート部又はスリーブ部を通すようにして嵌め込まれて接合されると、カバーキャップは一端側(の貫通孔)が閉塞し他端側が開口した状態に組み付けられる。したがって、カバーキャップ内への水滴あるいは塵等の侵入を極力防止しつつ、水滴あるいは塵等が入り込んだ場合であっても、他端側の開口から容易に排出することができる。
【0010】
上記構成において、フランジ部は、スカート部の外輪郭を受け入れる内輪郭をなす貫通孔を画定するように形成され、かつ、スリーブ部がスカート部の外側に外嵌された状態で、スリーブ部の先端により押圧されて固定されるように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、カバーキャップを組み付ける際に、フランジ部の貫通孔にスカート部を通して雄型コネクタに当接させ、スリーブ部をスカート部に外嵌させてフランジ部を挟み込むことで、雄型コネクタを雌型コネクタに接続すると同時に、カバーキャップを容易に固定することができる。
【0011】
上記構成において、カバーキャップは、雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に対して、締結により固定されるように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、雄型コネクタを雌型コネクタに接続しない状態において、カバーキャップを予め雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に固定することができ、又、両者の接続によりフランジ部を挟み込む場合はその固定状態をより堅固にすることができる。
【0012】
上記構成において、カバーキャップには、スリーブ部がスカート部に嵌合された状態で、部分的に又は全体的に接着剤又は封止剤が充填されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、カバーキャップ内に接着剤又は封止剤が充填されることで、接続領域の気密性(防水性)をより高めることができ、又、耐振性を高めてガタツキを防止することができ、電気的な接続不良等の発生を確実に防止することができる。
【0013】
上記構成において、フランジ部を雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に接合して固定した状態で、スカート部及びスリーブ部は、予め接着剤が塗布された状態で嵌合されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、予め接着剤を塗布してスカート部とスリーブを嵌合させることで、両者の接続をより堅固にすることができ、又、塗布した際に余分な接着剤をカバーキャップ内に溜めることができるため、接着剤の垂れ落ちを防止することができる。
【0014】
上記構成において、カバーキャップは、フランジ部を上側に向けて下向きに開口するように組み付けられている、構成を採用することができる。
この構成によれば、カバーキャップが下向きに開口するように組み付けられることで、水滴あるいは塵等がカバーキャップ内の空間に入り込むのを防止することができ、又、仮に入り込んだとしても自然に落下するため、溜まり込むのを防止することができる。
【0015】
上記構成において、雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方は、エンジンの吸気を制御するスロットル装置に一体的に組み込まれ、カバーキャップは、スロットル装置に対して予め組み込んで固定されるように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、エンジンのスロットル装置に対してこのコネクタ構造が適用されることで、防水性を向上させ、接点不良の発生及びガタツキ等を防止して、所期の機能(スロットルバルブの開閉動作)を確実に保証することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記構成をなすコネクタ接続構造によれば、構造の簡素化、接続作業の簡素化、汎用品の流用による低コスト化等を達成しつつ、防水性を向上(気密性を向上)させ、ガタツキ等による接点不良の発生を防止でき、振動等によるガタツキを防止でき、ユーザの間違った取り外しを防止でき、メンテナンスフリー化を行なえるコネクタ接続構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図9は、本発明に係るコネクタ接続構造がPWCの吸気系に適用された実施形態を示すものであり、図1はPWCの吸気系を示す側面図、図2は吸気系に適用されたコネクタ構造を示す部分側面図、図3及び図4は吸気系のスロットル装置を示す下面図及び断面図、図5はスロットル装置の一部をなすカバー部材に一体的に組み込まれた雄型コネクタを示す端面図及び側面図、図6は雌型コネクタを示す側面図及び端面図、図7はコネクタ構造の一部をなすカバーキャップを示す端面図及び側面図並びに断面図、図8はコネクタ構造の組み付けを説明する分解図、図9はコネクタ構造を示す部分断面図である。
【0018】
このPWCの一部をなす吸気系は、図1に示すように、吸気を溜めるコレクタ1、コレクタ1から分岐する複数のインテークマニホールド2、各々のインテークマニホールドに取り付けられたインジェクタ3、インジェクタ3に燃料を供給するデリバリパイプ4、コレクタ1に対して上下方向Zの下側から連結されその上流側(下端)にダクト5が接続されたスロットル装置M等を備えている。
【0019】
スロットル装置Mは、図3及び図4に示すように、吸気通路10aを画定するスロットルボデー10、スロットルボデー10にネジ等により締結して固定されるカバー部材20、吸気通路10aを開閉するスロットルバルブ31、スロットルバルブ31を軸線S回りに開閉自在に支持するスロットルシャフト32、モータ33、モータ33の回転駆動力をスロットルシャフト32に伝達する歯車機構40(駆動歯車41、中間歯車42,43、スロットルシャフト32に固定された扇状の被動歯車44、リターンスプリング(不図示)等)等を備えている。
【0020】
カバー部材20には、図3ないし図5に示すように、スロットルシャフト32の回転角度を検出する角度センサ50、角度センサ50に接続された電気配線、モータ33を駆動するための電気配線等が内蔵されており、その外縁部21から突出するように、雄型コネクタ100が一体的に形成され、この雄型コネクタ100に対して雌型コネクタ150が接続され、雄型コネクタ100に接続された雌型コネクタ150の周りを覆うようにカバーキャップ200が固定されるようになっている。
尚、モータ33の配線は、カバー部材20側とスロットルボデー10側とで、ピンの挿入/離脱により電気的に接続/切断されるようになっている。
また、カバー部材20の外側面には、図2及び図5(b)に示すように、カバーキャップ200を締結して固定するネジBを締め込むネジ穴22、後述するチューブ160を固定するブラケット161を締結して固定するネジBを締め込むネジ穴23等が形成されている。
【0021】
雄型コネクタ100は、図3及び図5(a),(b)に示すように、外縁部21から突出する複数の雄端子101、雄端子101を取り囲むように略矩形の筒状に形成されたスカート部102等を備えるように形成されている。
スカート部102は、その外周面において、後述する雌型コネクタ150の掛止片153aを掛止する突起102aを一体的に備えている。
【0022】
雌型コネクタ150は、図2及び図6(a),(b)に示すように、雄端子101に接続される複数の雌端子151、雌端子151を保持する略矩形の柱状部152、柱状部152の周りを取り囲むように形成されると共にスカート部102の外側に外嵌されるスリーブ部153等を備えるように形成されている。
スリーブ部153は、その外周面において、雄型コネクタ100の突起102aに掛止される掛止片153aを一体的に備えている。
また、スリーブ部153は、雄型コネクタ100のスカート部102の外壁面に適合する内壁面を画定するように形成されている。
そして、スリーブ部153がスカート部102に外嵌されて押し込まれると、その先端153bが後述するカバーキャップ200のフランジ部202を雄型コネクタ100の付け根部すなわち外縁部21に押し付けるようになっている。
【0023】
また、雌型コネクタ150には、雌端子151から引き出された複数の配線Hが接続され、これらの配線Hを束ねて収容するチューブ160が接続されている。そして、チューブ160は、その途中領域をブラケット161で保持すると共に、ネジBによりカバー部材20に締結して固定されるようになっている。
【0024】
カバーキャップ200は、図2及び図7(a),(b)に示すように、樹脂材料を用いて、スリーブ部153がスカート部102に嵌合(外嵌)された状態で、スリーブ部153(及びスカート部102)の周りを覆う筒状部201、筒状部201の一端側においてスカート部102の外輪郭を受け入れる内輪郭をなす貫通孔202aを画定するフランジ部202、フランジ部202の近傍において筒状部201の外壁面から突出しかつ屈曲して形成されネジ孔203aをもつ締結片203等を備えるように形成されている。
【0025】
そして、カバーキャップ200は、フランジ部202の貫通孔202aにスカート部102を通すようにして嵌め込まれ、フランジ部202を雄型コネクタ100(すなわちカバー部材20の外縁部21(の端面))に当接させて接合されることにより、貫通孔202aが完全に閉塞され、筒状部201の他端側が開口した状態になるように、雄型コネクタ100すなわちカバー部材20に組み付けられる。
【0026】
また、この組付け状態において、締結片203のネジ孔203aを通してネジBをネジ穴22に締め込むことにより、カバーキャップ200が雄型コネクタ100すなわちカバー部材20に対して締結により固定されるようになっている。
また、この締結固定状態で、雌型コネクタ150のスリーブ部153がスカート部102に外嵌されて押し込まれると、その先端153bがフランジ部202に当接し、外縁部21(端面)と協働してフランジ部202を挟み込んで固定するようになっている。
【0027】
したがって、カバーキャップ200がカバー部材20に締結(固定)された状態で、その開口を下向きにすると、カバーキャップ200内への水滴あるいは塵等の侵入を極力防止しでき、例え内部に水滴あるいは塵等が入り込んでも、開口から容易に排出することができるようになっている。
また、フランジ部202は、雌型コネクタ150のスリーブ部153(の先端153b)により押圧されて固定されるため、フランジ部202の貫通孔202aにスカート部102を挿通させて雄型コネクタ100(カバー部材20の外縁部21)に当接させた後に、雌型コネクタ150のスリーブ部153をスカート部102に外嵌させて雄型コネクタ100に雌型コネクタ150を接続するだけで、同時にカバーキャップ200を固定することができる。このように、ネジBによる締結及び挟み込みによる固定により、カバーキャップ200を堅固に固定することができる。
【0028】
さらに、カバーキャップ200(の筒状部201)は、図9に示すように、スリーブ153がスカート部102に外嵌されて雌型コネクタ150が雄型コネクタ100に接続された状態で、スリーブ部153の周りに隙間を画定するように形成されている。
したがって、この隙間領域に、スリーブ部153とスカート部102の領域に塗布された接着剤210のうちはみ出した余分な接着剤210を溜めて、外部に垂れ落ちるのを防止することができ、又、この隙間領域に、接着剤又は封止剤を部分的に又は完全に充填することにより、防水性(気密性)、機械的強度を高めることができるようになっている。
【0029】
次に、上記構成をなすコネクタ接続構造の組付け及び接続の手順について、図8及び図9を参照しつつ説明する。
先ず、雄型コネクタ100を一体的に成形したカバー部材20、雌型コネクタ150、カバーキャップ200を用意する。
そして、カバーキャップ200を予めカバー部材20に組み付けて固定する。この組付けは、フランジ部202の貫通孔202aに雄型コネクタ100のスカート部102を通して、フランジ部102を外縁部21に当接(接合)させ、締結片203のネジ孔203aにネジBを通してカバー部材20のネジ孔22に締め込む。
これにより、フランジ部202の貫通孔202aが完全に閉塞され、カバーキャップ200が、カバー部材20(雄型コネクタ100)に対して、ネジBによる締結にて固定された状態となる。
【0030】
続いて、スリーブ部153とスカート部102に接着剤210を塗布した状態で、図8に示すように、雌型コネクタ150のスリーブ部153を、上方からカバーキャップ200に近づけて、その内側に取り囲まれた雄型コネクタ100のスカート部102に外嵌させつつ停止するまで押し込む。
すると、雌端子151と雄端子101が電気的に接続されると共に、掛止片153aが突起102aにスナップフィット結合して、スリーブ部153がスカート部102に連結されると共に接着され、雌型コネクタ150が雄型コネクタ100に堅固に接続された状態となる。
【0031】
このとき、スリーブ部153及びスカート部102に塗布された接着剤210のうち余分な接着剤210は、それらの嵌合領域からはみ出して、カバーキャップ200内の隙間領域に溜まり固化する。したがって、接着剤210が外部に垂れ落ちるのを防止することができる。また、スカート部102及びスリーブ部202は予め接着剤210が塗布された状態で嵌合されるため、両者の接続をより堅固にすることができる。これにより、耐振性を高めてガタツキを防止することができ、接続不良等の発生を防止でき、又、防水性(気密性)を向上させることができる。
【0032】
続いて、雌型コネクタ150に接続されたチューブ160は、その途中領域を保持したブラケット161が、ネジBをネジ穴23に締め込むことで、カバー部材20に堅固に固定される。
その後、雌型コネクタ150を雄型コネクタ100に接続したカバー部材20は、種々の部品(スロットルバルブ31、スロットルシャフト32、モータ33、歯車機構40等)が組み込まれたスロットルボデー10に締結して固定され、スロットル装置Mが完成する。
【0033】
そして、このスロットル装置Mは、図1及び図2に示すように、カバーキャップ200の(フランジ部202を上側に向けて)開口を下向きにするように、コレクタ1に連結される。これにより、水滴あるいは塵等がカバーキャップ200内の空間に入り込むのを防止することができ、又、仮に入り込んだとしても自然に落下するため、溜まり込むのを防止することができる。
【0034】
上記構成のコネクタ接続構造によれば、雌型コネクタ150を雄型コネクタ100に接続した状態で、スリーブ部202及びスカート部102の周りがカバーキャップ200により覆われているため、この接続領域に水滴、その他の塵等が容易に入り込んで付着するのを防止でき、防水性及び防塵性を向上させることができる。
また、スリーブ部202がスカート部102に接続された後は、カバーキャップ200がその周りにあるためその接続を容易に解除することができず、ユーザが間違ってコネクタを取り外すのを防止することができる。
【0035】
特に、PWC等の視認が困難な領域に適用される場合において、汎用(既存)の雄型コネクタ100及び雌型コネクタ150を流用しつつ、単にカバーキャップ200を追加するだけで、防水性、防塵性等を向上させつつ、ユーザの誤作業による取り外しを防止することができ、又、防水性等の向上によりメンテナンスフリー化を達成することができる。
また、ここでは、PWC(エンジン)のスロットル装置Mに対して上記のコネクタ構造が適用されているため、防水性を向上させ、接点不良の発生及びガタツキ等を防止して、所期の機能(スロットルバルブ31の開閉動作)を確実に保証することができる。
【0036】
上記実施形態においては、雄型コネクタ100がカバー部材20に一体的に形成され、カバーキャップ200をカバー部材20に対して予め締結により固定する場合を示したが、これに限定されるものではなく、雌型コネクタ150がカバー部材に予め一体的に形成され、カバーキャップのフランジ部により画定される貫通孔が雌型コネクタ150のスリーブ部153の外輪郭を受け入れる内輪郭を画定するように形成され、このカバーキャップがカバー部材に対して予め締結により固定される構成を採用してもよい。
【0037】
上記実施形態においては、カバーキャップ200が締結片203を一体的に備え、カバー部材20に対して締結により固定される場合を示したが、これに限定されるものではなく、締結片203を廃止し、スリーブ部153の先端153bでフランジ部202を外縁部21に押し付けて挟み込むことにより、カバー部材20に固定する手法だけを採用してもよい。
【0038】
上記実施形態においては、カバーキャップ200の内部に接着剤210を溜める場合を示したが、これに限定されるものではなく、スリーブ部202がスカート部102に嵌合された状態で、部分的に又は完全に封止剤を充填する構成を採用してもよい。この場合も、防水性(気密性)、耐振性等を向上させることができ、又、ユーザの間違った取り外しを防止することができる。
【0039】
上記実施形態においては、雌型コネクタ150のスリーブ部153を雄型コネクタ100のスカート部102に外嵌(外側に嵌合)させる場合を示したが、これに限定されるものではなく、スカート部がカバーキャップ200により取り囲まれて覆われた状態となるべく、スリーブ部をスカート部に内嵌(内側に嵌合)させる構成において、本発明を採用してもよい。
【0040】
上記実施形態においては、カバーキャップ200がカバー部材20に接合して組み付けられた状態で、一端側(の貫通孔202a)が完全に閉塞される場合を示したが、これに限定されるものではなく、スリーブ部202がスカート部102に嵌合された状態で、スリーブ部202及びスカート部102の周りを覆うように形成されていれば、貫通孔が開口した状態であってもよい。この場合でも、スリーブ部202がスカート部102に接続された後は、カバーキャップ200の筒状部201が周りを取り囲むため、その接続を容易に解除することができず、ユーザが間違ってコネクタを取り外すのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上述べたように、本発明のコネクタ接続構造は、構造の簡素化、接続作業の簡素化、汎用品の流用による低コスト化等を達成しつつ、防水性を向上(気密性を向上)させ、ガタツキ等による接点不良の発生を防止でき、振動等によるガタツキを防止でき、ユーザの間違った取り外しを防止でき、メンテナンスフリー化を行なえるため、PWC等の電機接続に適用できるのは勿論のこと、PWCに限らず、二輪車の電気的な接続領域、あるいは、その他の電気的な接続領域で特に外部に直接曝された状態で使用される場合においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るコネクタ接続構造を採用したPWCの吸気系を示す側面図である。
【図2】図1に示す吸気系の一部をなすスロットル装置を示す側面図である。
【図3】吸気系に設けられたスロットル装置を下方から見た下面図である。
【図4】図3に示すスロットル装置の内部を示す断面図である。
【図5】スロットル装置の一部をなし、雄型コネクタが一体的に形成されたカバー部材を示すものであり、(a)は雄型コネクタの端面を示す端面図、(b)はその側面図である。
【図6】雄型コネクタに接続される雌型コネクタを示すものであり、(a)はその側面図、(b)はその端面図である。
【図7】コネクタ接続構造の一部をなすカバーキャップを示すものであり、(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)は(a)中のE−Eにおける断面図である。
【図8】雄型コネクタ、雌型コネクタ、カバーキャップの組付け(接続)を説明するための分解図である。
【図9】雄型コネクタ(カバー部材)に対して、カバーキャップ及び雌型コネクタが接続された状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0043】
M スロットル装置
10 スロットルボデー
20 カバー部材
21 外縁部
22,23 ネジ穴
31 スロットルバルブ
32 スロットルシャフト
33 モータ
40 歯車機構
50 角度センサ
100 雄型コネクタ
101 雄端子
102 スカート部
102a 突起
150 雌型コネクタ
151 雌端子
152 柱状部
153 スリーブ部
153a 掛止片
153b 先端
160 チューブ
161 ブラケット
200 カバーキャップ
201 筒状部
202 フランジ部
202a 貫通孔
203 締結片
203a ネジ孔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子,前記雄端子を取り囲むスカート部を含む雄型コネクタと、雌端子,前記雌端子を取り囲むと共に前記スカート部に嵌合されるスリーブ部を含む雌型コネクタを備え、前記雄型コネクタを前記雌型コネクタに嵌合して前記雄端子と前記雌端子を電気的に接続するコネクタ接続構造であって、
前記スリーブ部が前記スカート部に嵌合された状態で、前記スリーブ部及びスカート部の周りを覆うように組み付けられたカバーキャップを有する、
ことを特徴とするコネクタ接続構造。
【請求項2】
前記カバーキャップは、筒状に形成され、その一端側において前記スカート部及びスリーブ部の一方の外輪郭を受け入れる内輪郭をなす貫通孔を画定するフランジ部を有し、
前記カバーキャップは、前記フランジ部を前記雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に接合して前記貫通孔を閉塞するように組み付けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のコネクタ接続構造。
【請求項3】
前記フランジ部は、前記スカート部の外輪郭を受け入れる内輪郭をなす貫通孔を画定するように形成され、かつ、前記スリーブ部が前記スカート部の外側に外嵌された状態で、前記スリーブ部の先端により押圧されて固定されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のコネクタ接続構造。
【請求項4】
前記カバーキャップは、前記雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に対して、締結により固定されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のコネクタ接続構造。
【請求項5】
前記カバーキャップには、前記スリーブ部が前記スカート部に嵌合された状態で、部分的に又は全体的に、接着剤又は封止剤が充填されている、
ことを特徴とする請求項2ないし4いずれか一つに記載のコネクタ接続構造。
【請求項6】
前記フランジ部を前記雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に接合して固定した状態で、前記スカート部及びスリーブ部は、予め接着剤が塗布された状態で嵌合されている、
ことを特徴とする請求項2ないし5いずれか一つに記載のコネクタ接続構造。
【請求項7】
前記カバーキャップは、前記フランジ部を上側に向けて下向きに開口するように組み付けられている、
ことを特徴とする請求項2ないし6いずれか一つに記載のコネクタ接続構造。
【請求項8】
前記雄型コネクタ及び前記雌型コネクタの一方は、エンジンの吸気を制御するスロットル装置に一体的に組み込まれ、
前記カバーキャップは、前記スロットル装置に対して予め組み込んで固定されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載のコネクタ接続構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−76238(P2009−76238A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242083(P2007−242083)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000177612)株式会社ミクニ (332)
【Fターム(参考)】