説明

コラーゲン産生促進剤

【課題】日常生活のなかでヒト皮膚線維芽細胞のコラーゲン産生を促進させることにより、皮膚の老化遅延や防止、コラーゲンの異常分解又はコラーゲン産生能の低下による疾病治療に使用でき、且つ生体に対して安全なコラーゲン産生促進剤を提供すること。
【解決手段】コンドロイチン硫酸を有効成分として含有するコラーゲン産生促進剤、当該コラーゲン産生促進剤を含有する化粧品及び医薬品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコラーゲン産生促進剤に関し、詳細には、ヒト皮膚線維芽細胞のコラーゲン産生を促進させることにより、皮膚の老化遅延や防止、コラーゲンの異常分解又はコラーゲン産生能の低下による疾病治療に使用でき、且つ生体に対して安全なコラーゲン産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴う新陳代謝の減衰により皮膚の老化が生じるが、太陽光(紫外線)や酸化等による乾燥や肌荒れも皮膚の老化の原因となる。皮膚の老化は、表皮におけるしわ増加などの形態学的変化、あるいは表皮水分量の減少や皮膚弾性の低下などの生理学的・機能的変化として現れる。近年、皮膚のメカニズムに関する研究が進められ、老化した皮膚には、皮膚真皮線維芽細胞の機能低下、コラーゲンの変性や減少、ヒアルロン酸などのムコ多糖類の減少等が生じていることが明らかとなっている。
【0003】
特にコラーゲンは真皮マトリックスを構成する主要成分の一つであるが、上記加齢等の原因により、真皮線維芽細胞によるコラーゲンの代謝機能が低下したり、コラーゲン分子内外において架橋形成等の様々な修飾や変性が生じて、コラーゲン線維の弾力性が低下したりすると考えられている。また、コラーゲンはその分子中に水分を保持でき、皮膚の保湿にも関わっているため、外的因子によりコラーゲンが破壊されると、肌は乾燥し、荒れた状態になる。
【0004】
老化した皮膚を改善するために保湿剤を配合した化粧品が数多く提案されている。保湿剤としては、ヒアルロン酸ナトリウムやコンドロイチン硫酸ナトリウムなどのムコ多糖類、水溶性コラーゲンやポリペプチドなどのコラーゲン、グリシンやセリンなどのアミノ酸等の生体高分子(生化学製品)及びグリセリンやポリエチレングリコールなどの多価アルコール等の合成高分子製品がある。しかしながら、これらの保湿剤では、皮膚表面の水分を保持するだけで、本質的に老化した皮膚を改善したり、老化を防止したりすることができない。そこで、細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用及び抗酸化作用のいずれかの作用又はこれら複数の作用を有する成分の検索と配合が試みられている。上記作用を有する成分として、種々の動植物由来成分が知られている。例えば、植物由来のものとしては、カキの葉又はサンザシの果実の抽出物を含有するコラーゲン産生促進剤(例えば、特許文献1参照。)や、カッコン抽出物を含有するコラーゲン産生促進剤(例えば、特許文献2参照。)がある。また、セネデスムス属である植物プランクトン(微細藻類)の抽出物を含有するI型コラーゲン産生促進剤(例えば、特許文献3参照。)がある。動物由来のものとしては、カニ、エビなどの甲殻より得ることができるキチンのリン酸化物を含有するコラーゲン合成促進剤(例えば、特許文献4参照。)がある。複数を組み合わせたものとしては、エタノールアミン誘導体、ペントキシフィリン、硫酸塩及びセリン誘導体などのコラゲナーゼ産生促進物質と、アスコルビン酸誘導体などのコラーゲン合成促進物質を含有するコラーゲン代謝賦活剤(例えば、特許文献5参照。)がある。しかし、各成分の安定性、副作用、効果や入手容易性などの点から未だ十分なものはない。以上のことから、真皮層の主要な成分の一つであるコラーゲンの産生を促進させることにより、皮膚のシワやたるみを改善・防止でき、しかも安全性の点でも問題のない皮膚コラーゲン産生促進剤が望まれていた。
【0005】
一方、コンドロイチン硫酸は、保湿剤、感触改良剤、増粘剤、乳化安定剤等として、通常ナトリウム塩として市販されており、化粧品、医薬部外品、医薬品及び食品などに用いられている。このようなものとしては、皮膚保湿のための水中油型乳剤性ローション剤(例
えば、特許文献6参照。)や、創傷(潰瘍)のようなコラーゲン原線維形成に関連する疾患又は状態を治療するための医薬品(例えば、特許文献7参照。)や、眼圧上昇の危険を減少させる眼科外科用の弾粘性溶液(例えば、特許文献8参照。)などがある。また、L−アスコルビン酸類によるコラーゲン産生作用が、α,α−トレハロース及びその糖質誘導体により増強され、更にコンドロイチン硫酸の併用により、より増強されることは知られていた(例えば、特許文献9参照。)。しかしながら、コンドロイチン硫酸自体にコラーゲン産生促進作用があることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−160629号公報
【特許文献2】特開2001−348338号公報
【特許文献3】特開2007−186471号公報
【特許文献4】特開平6−279294号公報
【特許文献5】特開平6−157232号公報
【特許文献6】特開平11−180821号公報
【特許文献7】特表2007−534749号公報
【特許文献8】特許第3224815号公報
【特許文献9】国際公開第2007/018124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、日常生活のなかでヒト皮膚線維芽細胞のコラーゲン産生を促進させることにより、皮膚の老化遅延や防止、コラーゲンの異常分解又はコラーゲン産生能の低下による疾病治療に使用でき、且つ生体に対して安全なコラーゲン産生促進剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を行った結果、コンドロイチン硫酸がコラーゲン産生促進作用を有することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明はコンドロイチン硫酸を有効成分として含有するコラーゲン産生促進剤である。本発明は上記コラーゲン産生促進剤を含有する化粧品及び医薬品も包含する。上記化粧品は、さらにN−アセチルグルコサミンを含有することが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、日常生活のなかでヒト皮膚線維芽細胞のコラーゲン産生を促進できることから、皮膚の老化遅延や防止、コラーゲンの異常分解又はコラーゲン産生能の低下による疾病の治療に応用でき、且つ生体に対して安全である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のコラーゲン産生能を示すグラフである。
【図2】肌弾力性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明のコラーゲン産生促進剤に用いるコンドロイチン硫酸としては、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸K及びこれらの塩が挙げられる。コンドロイチン硫酸の塩としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、ルビジウム塩などのアルカリ金
属塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。上記コンドロイチン硫酸は、鮭、サメ、イカ、鯨、ウシ及び豚などの動物から得られ、通常は軟骨、皮膚などの部位が用いられる。上記コンドロイチン硫酸は市販品を用いることができる。例えば、「コンドロイチン硫酸A.ナトリウム塩(クジラ軟骨).SSG」、「コンドロイチン硫酸A.ナトリウム塩(クジラ軟骨).SG」、「コンドロイチン硫酸A.ナトリウム塩(チョウザメ脊索)」、「コンドロイチン硫酸B.ナトリウム塩(ブタ皮)」、「コンドロイチン硫酸C.ナトリウム塩(サメ軟骨).SSG」、「コンドロイチン硫酸C.ナトリウム塩(サメ軟骨).SG」、「コンドロイチン硫酸Dナトリウム塩(サメ軟骨)」、「コンドロイチン硫酸E.ナトリウム塩(イカ軟骨)」など(以上、生化学バイオビジネス株式会社)、秋鮭鼻軟骨由来のコンドロイチン硫酸ナトリウムであってコンドロイチン硫酸A及びコンドロイチン硫酸Cが混在する「MCマリンコンドロイチン」及び「SCSマリンコンドロイチン」(ともに株式会社日本バリアフリー)、豚気管軟骨由来の「コンドロイチン硫酸ナトリウム(外原基)」、「コンドロイチン硫酸ナトリウム(局外基)FDT−P」及び「コンドロイチン硫酸ナトリウム(局外基)FDC−P」(以上、BiofacA/S)などが挙げられる。上記コンドロイチン硫酸のなかでは、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C及びこれらのナトリウム塩が好ましいが、現時点ではその作用メカニズムは明らかではない。これらコンドロイチン硫酸は、1種単独又は2種以上を有効成分として本発明のコラーゲン産生促進剤に配合する。コンドロイチン硫酸は化粧品、医薬部外品、医薬品及び食品などに用いられてきた物質であって安全性に問題はなく、安定性においても優れている。
【0013】
上記コンドロイチン硫酸は、例えば次の製造方法によって得られる。まず原料として、鮭、サメ、イカ、鯨、ウシ又は豚由来の軟骨又は皮膚を適宜使用する。次に、この原料に常法による酵素処理を施して、タンパク質を除去する。さらに常法による脱カルシウム処理、脱脂処理、脱色処理及び脱臭処理を施す。各処理工程を経て得られた溶液にトリクロル酢酸を添加し、トリクロル酢酸の最終濃度が10%になるように調製する。調製液を4℃で24時間静置した後、遠心分離し、得られた上清を24時間透析する。透析内液に10%酢酸ナトリウムを加えて、得られた上清にエタノールを添加し、得られる沈殿物をコンドロイチン硫酸の粗抽出物として回収する。コンドロイチン硫酸の粗抽出物はゲルろ過クロマトグラフィー用担体「セファデックスG−25」(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)を用いて精製し、得られた精製物を粉末にして回収する。
【0014】
本発明のコラーゲン産生促進剤の剤型としては、上記製造方法例により得られた粉末状のほか、適宜溶媒を用いて液状にしたり、適宜賦形剤を用いて顆粒状にしたりするなど使用し易い状態に製剤化されたものを用いればよい。
【0015】
本発明のコラーゲン産生促進剤には、有効成分である上記コンドロイチン硫酸以外に、目的に応じて化粧品又は医薬品に通常使用されている成分又は使用が許容されている成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜配合することができる。
【0016】
本発明のコラーゲン産生促進剤を含有する化粧品又は医薬品において、有効成分であるコンドロイチン硫酸の配合量は、化粧品又は医薬品の総量を基準として、乾燥固形分換算で0.005質量%(以下、wt%と表記する。)以上、10wt%以下が効果の発現性や原価の点から考えて好ましい。特に0.005wt%以上、5wt%以下が製品に配合して応用する際に好ましい。
【0017】
本発明のコラーゲン産生促進剤を化粧品又は医薬品に配合する際に、コラーゲン産生促進剤とともに配合する他の成分としては、化粧品又は医薬品のそれぞれにおいて通常使用できるものなら全て使用でき、効能、効果に応じ適宜選択する。
【0018】
本発明の化粧品の形態は特に限定されるものではないが、例えばクリーム、乳液、化粧水、エッセンス、洗顔料、クレンジング料、パックなどの基礎化粧品、口紅、ファンデーション、アイカラーなどのメイクアップ化粧品、ボディソープ、石鹸、シャンプー、リンス、コンデッショナーなどのトイレタリー製品、毛髪用セット剤などの毛髪用化粧品として用いることができる。本発明のコラーゲン産生促進剤を含有する化粧品は、皮膚老化防止効果に優れることから、皮膚外用形態の化粧品が好適である。
【0019】
上記化粧品には、例えば一般に化粧品に用いられている賦形剤、香料などをはじめ、油脂類、界面活性剤、保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤類、多価アルコール類、精油及び香料類、増粘剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、顔料、植物粉砕物及び生薬類、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤などの各種化粧品成分を適宜配合することができる。
【0020】
本発明の化粧品は、上記配合可能な化粧品成分のなかでもN−アセチルグルコサミンを、コンドロイチン硫酸を有効成分として含有するコラーゲン産生促進剤とともに配合することが好ましい。両者を併用した場合、肌弾力性など老化した皮膚の改善効果がより優れたものとなる。N−アセチルグルコサミンの配合量は特に限定されないが、化粧品の総量を基準として、乾燥固形分換算で0.005wt%以上、10wt%以下が効果の発現性や原価の点から考えて好ましい。
【0021】
本発明の医薬品の剤型としては特に限定されず、経口投与製剤でも非経口投与製剤のいずれであっても構わない。具体的には、エアゾール剤、液剤、エキス剤、エリキシル剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセル)、顆粒剤、丸剤、眼軟膏剤、経皮吸収型製剤、懸濁剤、乳剤、坐剤(含膣剤)、散剤、酒精剤、錠剤(素錠、コーティング錠、特殊錠)、シロップ剤、浸剤・煎剤、注射剤(水溶性注射剤、非水溶性注射剤)、貼付剤、チンキ剤、点眼剤、トローチ剤、軟膏剤、パップ剤、芳香水剤、リニメント剤、リモナーデ剤、流エキス剤、ローション剤などが挙げられる。これらの製剤は、製剤技術分野における慣用方法にて製造でき、例えば日本薬局方記載の方法で製造することができる。これらの製剤は、ヒトを含む哺乳動物に対して安全に投与することができるものである。
【0022】
前記薬理学的に許容される担体としては特に限定されず、製剤素材として公知である各種担体物質を使用することができる。前記担体物質としては特に限定されず、例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を挙げることができる。前記担体物質に加えて、更に、防腐剤、着色剤、天然色素、甘味剤等の製剤添加物も必要に応じて用いることができる。これらの物質として、乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が具体的に例示できるが、これらに限られるものではない。
【0023】
液状製剤における前記担体物質としては特に限定されず、例えば、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤等として配合されるもの等を挙げることができる。更に、防腐剤、着色剤、水不溶性レーキ色素、甘味剤等の製剤添加物も必要に応じて用いることができる。これらの物質として、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセロール、キシリトール、フルクトース、マルトース、マンノース等の等張化剤、亜硫酸ナトリウム等の安定化剤、ベンジルアルコール、パラヒドロキシ安息香酸メチル等の保存剤等の他、溶解補助剤、無痛化剤やpH調整剤等が具体的に例示できるが、これらに限られるものではない。
【実施例】
【0024】
以下、実施例及び比較例を例示することにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0025】
(コンドロイチン硫酸の抽出・調製)
鮭の鼻軟骨を常法による酵素処理を施して、タンパク質を除去した。次に、常法による脱カルシウム処理、脱脂処理、脱色処理及び脱臭処理を施した。各処理工程を経て得られた溶液にトリクロル酢酸を添加し、トリクロル酢酸の最終濃度が10%になるように調整した。調製液を4℃で24時間静置した後、遠心分離し、得られた上清を24時間透析した。透析内液に10%酢酸ナトリウムを加えて、得られた上清にエタノールを添加し、得られた沈殿物をコンドロイチン硫酸の粗抽出物として回収した。コンドロイチン硫酸の粗抽出物はゲルろ過クロマトグラフィー用担体「セファデックスG−25」(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)を用いて精製し、得られた精製物を粉末にして回収した。粉末回収したコンドロイチン硫酸を以下の評価試験に用いた。
【0026】
(評価試験:コラーゲン産生能の測定)
正常ヒト線維芽細胞(倉敷紡績株式会社)の細胞数を、10%非動化FBSを含むMEM培地にて1×10個/mlに調製した。調製した細胞を、24ウェルプレート(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)に0.5mlずつ播種し、37℃、5%CO気相下で48時間静置培養した。
【0027】
0.25%非動化FBSを含むMEM培地にて、コンドロイチン硫酸の終濃度が0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.4mg/mlの各濃度になるように、粉末回収したコンドロイチン硫酸を調製した。48時間静置培養したウェルプレートの培養上清液を吸引除去し、調製した各コンドロイチン硫酸を0.5mlずつ各ウェル(各濃度で4ウェルずつ)に添加した。コンドロイチン硫酸を添加しないウェルをコントロール(4ウェル)とした。72時間静置培養後、培養上清を回収し、培養上清中のコラーゲン含量を市販のヒトコラーゲンタイプ1測定キット(株式会社エーシーバイオテクノロジーズ)にて測定した。同時に、回収した細胞上清中のタンパク質をBradford法で測定した。単位タンパク量あたりのコラーゲン量を算出し、これをコラーゲン産生量とした。
【0028】
得られたデータはt−検定を用いデータの有意差検定を行った。有意水準5%にて*(p<0.05)を示す。結果を図1に示す。なお、各濃度におけるコラーゲン量は、コントロールにおけるコラーゲン量を100%としたときの相対値である。
【0029】
図1に示した結果から明らかなように、コンドロイチン硫酸は濃度依存的にコラーゲンの産生を促進した。また、どの濃度においてもコンドロイチン硫酸添加によって有意にコラーゲン産生促進が見られた。
【0030】
以下に、本発明のコラーゲン産生促進剤を含有する化粧品及び医薬品の実施例を示す。組成はwt%で示す。なお、以下の実施例では、コンドロイチン硫酸ナトリウムとして「SCSマリンコンドロイチン」(株式会社日本バリアフリー)を用いた。
【0031】
(実施例1) 化粧水 wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
N−アセチルグルコサミン 0.05
エタノール 7.5
プラセンタエキス 0.05
D−パントテニルアルコール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
フェノキシエタノール 0.3
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.05
エデト酸二ナトリウム 0.05
濃グリセリン 3.5
1,3−ブチレングリコール 2.5
ポリグリセリン 0.5
キサンタンガム 0.5
ソルビット液 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.1
精製水 to 100
【0032】
(実施例2) 乳液 wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
D−パントテニルアルコール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
流動パラフィン 10.0
濃グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
ソルビット液 5.0
サラシミツロウ 0.5
流動パラフィン 1.5
親油型モノステアリン酸グリセリル 0.1
ステアリン酸 0.3
メチルポリシロキサン 1.0
ワセリン 1.0
コレステロール 0.02
ベントナイト 0.1
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.3
キサンタンガム 0.2
ベヘニルアルコール 0.3
フェノキシエタノール 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム(2) 0.05
水溶性コラーゲン(F) 0.1
鮭卵巣抽出物 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.1
N−アセチルグルコサミン 0.05
精製水 to 100
【0033】
(実施例3) クリーム wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
D−パントテニルアルコール 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
流動パラフィン 4.0
サラシミツロウ 0.5
コレステロール 1.0
メチルシクロポリシロキサン 2.0
ジプロピレングリコール 7.0
親油型モノステアリン酸グリセリル 0.3
セチル硫酸ナトリウム 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム(2) 0.5
水溶性コラーゲン(F) 0.1
フェノキシエタノール 0.5
エデト酸二ナトリウム 0.05
N−アセチルグルコサミン 0.05
精製水 to 100
【0034】
(実施例4) 栄養クリーム wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 1.0
ステアリン酸 2.5
ステアリルアルコール 8.0
スクワラン 5.0
オクチルドデカノール 7.0
グリセリルモノステアレート 4.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
グリセリン 6.0
ソルビトール 13.0
乳酸カリウム 0.5
精製水 to 100
【0035】
(実施例5) リップトリートメント wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
キャンデリラロウ 12.0
固形パラフィン 8.0
ミツロウ 5.0
カルナバロウ 2.0
ラノリン 14.0
マンニット 15.0
イソプロピルミリステート 10.0
香料 適 量
酸化防止剤 適 量
ヒマシ油 to 100
【0036】
(実施例6) パック wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.5
タルク 25.0
プロピレングリコール 6.0
塩化カリウム 0.1
香料 適 量
カオリン to 100
【0037】
(実施例7) 乳液 wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.2
ステアリン酸 2.0
セタノール 2.0
ワセリン 2.0
ラノリンアルコール 1.5
流動パラフィン 9.0
スクワラン 3.5
ソルビトール 10.0
トリエタノールアミン 1.0
プロピレングリコール 5.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 to 100
【0038】
(実施例8) 栄養クリーム wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 1.0
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 8.0
還元ラノリン 2.0
スクワラン 8.0
オクチルドデカノール 6.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
プロピレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
乳酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.5
精製水 to 100
【0039】
(実施例9) スリミングマッサージジェル wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 2.0
グリセリン 60.0
ポリエチレングリコール200 14.0
ポリビニルアルコール 0.2
精製水 to 100
【0040】
(実施例10) スリミングマッサージソープ wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 5.0
ラウリン酸 10.0
水酸化カリウム 2.8
ヤシ油脂肪酸カリウム液 30.0
エデト酸2ナトリウム 0.15
メチルセルロース 0.5
ラウリン酸アミノプロピルベタイン液 2.0
グリセリン 8.0
香料 適 量
精製水 to 100
【0041】
(実施例11) マッサージ用ジェル wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.5
カフェイン 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.5
ポリビニルアルコール 3.0
グリセリン 35.0
ポリエチレングリコール400 45.0
エタノール 適 量
防腐剤 適 量
精製水 to 100
【0042】
実施例1から実施例11の製法は通常の化粧品の方法に準じた。いずれの化粧品も連用により、肌のしわ、水分量、弾力性などが改善された。
【0043】
(実施例12) 顆粒剤 wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 10.0
デンプン 30.0
乳糖 49.0
結晶セルロース to 100
【0044】
上記の各重量部を均一に混合し、常法により作製し顆粒剤とした。なお、コンドロイチン硫酸ナトリウムとして「コンドロイチン硫酸ナトリウム(局外基)FDT−P」(BiofacA/S)を使用した。1包20mg(コンドロイチン硫酸ナトリウム2mg)を1日3回食後に服用したところ、一ヶ月経過後に肌のしわ、水分量、弾力性などが改善された。
【0045】
(実施例13) 錠剤 wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 1.0
結晶セルロース 1.5
ビタミンC 20.0
香料 1.0
グアガム 0.1
ショ糖脂肪酸エステル 1.5
粉糖 to 100
【0046】
上記の各重量部を均一に混合し、常法により作製し錠剤とした。なお、コンドロイチン硫酸ナトリウムとして「コンドロイチン硫酸ナトリウム(局外基)FDT−P」(BiofacA/S)を使用した。1錠500mg(コンドロイチン硫酸ナトリウム5mg)を毎晩就寝前に服用したところ、一ヶ月経過後に肌のしわ、水分量、弾力性などが改善された。
【0047】
(実施例14) ソフトカプセル剤 wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 3.0
ビタミンE 20.0
小麦胚芽油 15.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
ミツロウ 2.0
シソ油 to 100
【0048】
上記成分を混合し、ゼラチン、グリセリンからなるセラチン皮膜に充填し常法に準じソフトカプセルとした。なお、コンドロイチン硫酸ナトリウムとして「コンドロイチン硫酸ナトリウム(局外基)FDC−P」(BiofacA/S)を使用した。1カプセル100mg(コンドロイチン硫酸ナトリウム3mg)を朝晩食後に服用したところ、一ヶ月経過後に肌のしわ、水分量、弾力性などが改善された。
【0049】
(実施例15) ハードカプセル剤 wt%
コンドロイチン硫酸ナトリウム 15.0
アスコルビン酸ナトリウム 18.0
デキストリン 24.0
グリセリン脂肪酸エステル 0.5
粉糖 to 100
【0050】
上記成分を混合し、ゼラチンからなるカプセル容器に充填し常法に準じハードカプセルとした。1カプセル50mg(コンドロイチン硫酸ナトリウム7.5mg)を毎晩就寝前に服用したところ、一ヶ月経過後に肌のしわ、水分量、弾力性などが改善された。
【0051】
(比較例1〜3)
コンドロイチン硫酸ナトリウム及びN−アセチルグルコサミンを配合しない以外は、実施例1〜3と同様にして、比較例1〜3の化粧水、乳液及びクリームを得た。
【0052】
(実用試験:肌の弾力性)
実施例1〜3の化粧水、乳液及びクリームを使用するP群と、比較例1〜3の化粧水、乳液及びクリームを使用するQ群に分けた。P群及びQ群に対し、男性10名及び女性8名のそれぞれ14名が6週間連用した。連用前後の肌の弾力性について皮膚粘弾性測定装置(Courage + Khazaka Electronic GmbH「Cutometer MPA580」)を使用して測定した。
【0053】
得られたデータはt−検定を用いデータの有意差検定を行った。有意水準5%にて*(p<0.05)を示す。結果を図2に示す。なお、各群の値は連用前における値を100としたときの相対値である。
【0054】
図2に示した結果から明らかなように、6週間の連用によりP群、Q群のいずれも連用前に比べ肌弾力性が上がったが、Q群には有意性はみられなかった。P群はQ群よりも高い弾力性を示し、有意性もみられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドロイチン硫酸を有効成分として含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載のコラーゲン産生促進剤を含有する化粧品。
【請求項3】
さらにN−アセチルグルコサミンを含有する請求項2に記載の化粧品。
【請求項4】
請求項1に記載のコラーゲン産生促進剤を含有する医薬品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−31122(P2012−31122A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173778(P2010−173778)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】