コルゲートチューブ保持構造
【課題】コルゲートチューブの保持性が高いコルゲートチューブ保持構造を提供する。
【解決手段】軸方向に間隔を置いて外周面に係止溝31aが設けられ、且つ、軸方向に沿って内部の電線収容室32に開口するスリット30aが設けられたコルゲートチューブ30を保持するコルゲートチューブ保持構造であって、コルゲートチューブ30を収容するコルゲートチューブ保持室24が設けられ、コルゲートチューブ保持室24の内面には係止溝31aに入り込む係止突起25が設けられ、コルゲートチューブ30の電線収容室32に配置される内側突起26が設けられ、係止突起25と内側突起26によってコルゲートチューブ30のスリット30aの両側の周辺箇所を挟み込む。
【解決手段】軸方向に間隔を置いて外周面に係止溝31aが設けられ、且つ、軸方向に沿って内部の電線収容室32に開口するスリット30aが設けられたコルゲートチューブ30を保持するコルゲートチューブ保持構造であって、コルゲートチューブ30を収容するコルゲートチューブ保持室24が設けられ、コルゲートチューブ保持室24の内面には係止溝31aに入り込む係止突起25が設けられ、コルゲートチューブ30の電線収容室32に配置される内側突起26が設けられ、係止突起25と内側突起26によってコルゲートチューブ30のスリット30aの両側の周辺箇所を挟み込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲートチューブを保持するコルゲートチューブ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コネクタ、電気接続箱、プロテクタ等から引き出される電線を、その配策自由性を確保しつつ結束・保護等するのにコルゲートチューブが使用される。このような場所に使用されるコルゲートチューブは、コネクタ、電線接続箱等に設けられたコルゲートチューブ保持構造によって一端側が保持される。かかるコルゲートチューブ保持構造として、特許文献1や特許文献2に開示されたものが従来より提案されている。
【0003】
特許文献1に記載されたコルゲートチューブ保持構造は、コルゲートチューブのスリットを電線カバーの突起部に挿入してコルゲートチューブを拡径させ、これによりコルゲートチューブの外周面を電線カバーの内周面に当接されたものである。
【0004】
特許文献2に記載されたコルゲートチューブ保持構造は、コルゲートチューブのスリットをコルゲートチューブ用カバーの突起部に挿入してコルゲートチューブを拡径させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−357386号公報
【特許文献2】実開平6−84726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記各従来例のコルゲートチューブ保持構造では、コルゲートチューブを強制的に拡径した状態でコルゲートチューブを保持するため、コルゲートチューブの変形を招くおそれがある。コルゲートチューブが変形すると、安定した保持力を維持することができず、保持力の低下を招来する。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、コルゲートチューブの保持性が高いコルゲートチューブ保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軸方向に間隔を置いて外周面に係止溝が設けられ、且つ、軸方向に沿って内部の電線収容室に開口するスリットが設けられたコルゲートチューブを包み込んで保持するコルゲートチューブ保持構造であって、前記コルゲートチューブを収容するコルゲートチューブ保持室が設けられ、前記コルゲートチューブ保持室の内面には前記係止溝に入り込む係止突起が設けられ、前記コルゲートチューブの前記電線収容室に配置される内側突起が設けられ、前記係止突起と前記内側突起によって前記コルゲートチューブの前記スリットの両側の周辺箇所を挟み込むことを特徴とするコルゲートチューブ保持構造である。
【0009】
前記内側突起は、前記コルゲートチューブの前記スリットが進入される側がテーパ面に形成されていることが好ましい。
【0010】
コルゲートチューブ保持構造は、コネクタハウジングの電線引出側に装着され、前記コネクタハウジングより引き出された電線を内部の電線収容室を通して外部に導き出すコネクタカバーに設けるものを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コルゲートチューブは、装着過程では内側突起によって強制的に拡径されるが、装着状態では元の径寸法に戻るため、コルゲートチューブの変形を招かない。そして、コルゲートチューブに何らかの理由によって荷重が作用しても、コルゲートチューブの変形が係止突起と内側突起によって規制されるため、縮径方向に容易に変形しない。従って、コルゲートチューブの保持性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示し、コネクタの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、コネクタの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、コネクタカバーの内面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、コネクタカバーの一部斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、(a)は図2のA−A線断面図、(b)は(a)のB−B線拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、コルゲートチューブをコルゲートチューブ保持室への装着直前を示す断面図である。
【図7】比較例を示し、コネクタの分解斜視図である。
【図8】比較例を示し、コネクタの側面図である。
【図9】比較例を示し、コネクタカバーの内面図である。
【図10】比較例を示し、コネクタカバーの一部斜視図である。
【図11】比較例を示し、(a)は図8のC−C線断面図、(b)は(a)のD−D線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(実施形態)
図1〜図5は、本発明のコルゲートチューブ保持構造を適用したコネクタ1の一実施形態を示す。図1及び図2において、コネクタ1は、コネクタハウジング2と、このコネクタハウジング2に装着され、本発明のコルゲートチューブ保持構造を適用されたコネクタカバー10と、コネクタカバー10に一端側が固定されたコルゲートチューブ30とを備えている。
【0015】
コネクタハウジング2は、前面に開口されたコネクタ嵌合室(図示せず)と後面に開口する一対の電線出口3を有する。コネクタ嵌合室には、相手コネクタ(図示せず)が嵌合される。コネクタ嵌合室の奥位置には、相手コネクタの端子(図示せず)が接続される一対の端子(図示せず)が配置されている。各端子には、電線Wの端末がそれぞれ接続されている。一対の電線Wは、一対の電線出口3より外部に引き出されている。各電線出口3には、電線Wの外周に取り付けられた防水栓4が圧入されている。各防水栓4によって、水等が電線出口3からコネクタハウジング2内に侵入するのを防止している。コネクタハウジング2の後側には、カバー取付壁5が一体に設けられている。カバー取付壁5は、一対の電線出口3の全周囲を囲んでいる。カバー取付壁5の両側部には、ロック溝6がそれぞれ設けられている。
【0016】
コネクタカバー10は、図3及び図4に詳しく示すように、カバー本体11と、このカバー本体11の側部にヒンジ部20を介して連結されたコルゲート蓋部21とを備えている。
【0017】
カバー本体11は、電線カバー本体部12とこの電線カバー本体部12の下方に一体に設けられたコルゲート保持部13とを有する。電線カバー本体部12の内部には、電線収容室14が設けられている。電線カバー本体部12の両側部には、ロック爪15がそれぞれ設けられている。一対のロック爪15がカバー取付壁5の一対のロック溝6に係止することによってコネクタカバー10がコネクタハウジング2に装着されている。コネクタカバー10の装着状態では、電線カバー本体部12の前端側がカバー取付壁5の後端側に一部重なり合った状態で嵌合される。これにより、電線収容室14がほぼ閉塞状態とされる。
【0018】
電線収容室14には、左右2箇所に電線保持部(図示せず)が突設されている。各電線保持部は、各電線Wを挟持する一対の電線挟持アーム(図示せず)より形成されている。コネクタハウジング2の電線出口3より引き出された各電線Wは、一対の電線挟持アームで保持された状態で電線収容室14に配策される。これにより、電線保持室14内では電線Wの自由な振動が抑えられている。
【0019】
電線収容室14には、左右2箇所に防水栓押さえ部17が突設されている。各防水栓押さえ部17は、断面が半円弧状のロッドである。各防水栓押さえ部17の先端は、防水栓4に当接している。防水栓押さえ部17によって、各防水栓4の電線引出方向への移動が阻止されている。
【0020】
図1〜図5に示すように、コルゲート蓋部21は、コルゲート保持部13の端部にヒンジ部20を介して連結されている。コルゲート保持部13の両側部にはロック爪22が、コルゲート蓋部21の両端部には、枠状のロックアーム23がそれぞれ設けられている。コルゲート保持部13のロック爪22がコルゲート蓋部21のロックアーム23に係止されることによってコルゲート蓋部21がコルゲート保持部13に合体される。コルゲート保持部13とコルゲート蓋部21の内部には、コルゲートチューブ保持室24が構成されている。コルゲートチューブ保持室24は、一端側が電線収容室14に連通し、他端側が外部に開口している。
【0021】
コルゲートチューブ保持室24の内面には、軸方向に間隔をおいて複数の係止突起25が突設されている。コルゲートチューブ保持室24には、コルゲートチューブ30の一端側が保持されている。
【0022】
コルゲートチューブ30は、軸方向に凹部31Aと凸部31Bを繰り返す蛇腹状で、且つ、軸方向に沿ってスリット30aが形成されたチューブである。コルゲートチューブ30は、スリット30aを利用することによって電線Wを内部の電線収容室32に容易に収容することができる。コルゲートチューブ30は、その蛇腹状によって外周面には等間隔に係止溝31aが設けられている。コルゲートチューブ30の一端側は、その各係止溝31aにコルゲートチューブ保持室24の各係止突起25が入り込んでいる。
【0023】
コルゲートチューブ保持室24には、電線カバー本体部12より延設された内側突起26が配置されている。内側突起26は、コルゲートチューブ保持室24の軸方向に沿って、且つ、各係止突起25の先端よりコルゲートチューブ30のほぼ肉厚寸法だけ離間した位置に配置されている。内側突起26は、その外周面がフラット面であるが、内周面が左右一対のテーパ面26aに形成されている。一対のテーパ面26aは、コルゲートチューブ保持室24の円周方向の中央が頂点とされたテーパ状である。つまり、コルゲートチューブ30のスリット30aが進入される側がテーパ面26aに形成されている。内側突起26は、コルゲートチューブ30の電線収容室32に配置されている。コルゲートチューブ30のスリット30aの左右両側の周辺箇所は、係止突起25と内側突起26によって内外周側から挟み込まれている。このようにして、コルゲートチューブ30は、その一端側がコネクタカバー10に固定されている。電線収容室14に配策された一対の電線Wは、コルゲートチューブ30内を通ってコネクタカバー10より引き出されている。
【0024】
コルゲートチューブ30は、コルゲートチューブ保持室24に次の手順で装着される。図6に示すように、電線Wが電線収容室32に収容されたコルゲートチューブ30を、そのスリット30aを内側突起26の頂点に一致させる位置にセットし、コルゲートチューブ30を図6の矢印方向に押圧する。すると、コルゲートチューブ30のスリット30aが内側突起26のテーパ面26aによって徐々に開口し、スリット30a内に内側突起26が徐々に入り込む。そして、内側突起26がコルゲートチューブ30の電線収容室32に完全に入り込むと、スリット30aが弾性復帰変形して閉口し、内側突起26がコルゲートチューブ30の電線収容室32に配置される。
【0025】
ここで、コルゲートチューブ30の図6の矢印方向への押圧は、コルゲート蓋部21をコルゲート保持部13に合体させることによって行っても、又、コルゲート蓋部21の合体動作とは別に行っても良い。
【0026】
以上説明したように、コルゲートチューブ30を収容するコルゲートチューブ保持室24が設けられ、コルゲートチューブ保持室24の内面には係止溝31aに入り込む係止突起25が設けられ、コルゲートチューブ30の電線収容室32に配置される内側突起26が設けられ、係止突起25と内側突起26によってコルゲートチューブ30を挟み込むよう構成されている。従って、コルゲートチューブ30は、装着過程では内側突起26によって強制的に拡径されるが、装着状態では元の径寸法に戻るため、コルゲートチューブ30の変形を招かない。そして、コルゲートチューブ30に何らかの理由によって荷重が作用しても、コルゲートチューブ30の変形が係止突起25と内側突起26によって規制されるため、コルゲートチューブ30が縮径方向に容易に変形しない。従って、コルゲートチューブ30の保持性が高く、コルゲートチューブ130がコネクタカバー110より容易に脱落することがない。
【0027】
内側突起26は、コルゲートチューブ30のスリット30aの左右両側の周辺箇所を係止突起25と共に挟む。コルゲートチューブ30はスリット30aの位置が最も構造的に弱く変形し易いが、そのスリット30aの周辺の変形を規制するため、コルゲートチューブ30の縮径方向の変形を有効に防止できる。
【0028】
コルゲートチューブ30は、そのスリット30aがコルゲートチューブ保持室24に装着過程では開口されるが、コルゲートチューブ保持室24に装着された状態では、スリット30aが閉口位置に戻されるため、スリット30aが開口状態である場合に較べて安定した保持力が得られる。
【0029】
内側突起26は、コルゲートチューブ30のスリット30aが進入される側がテーパ面26aに形成されている。従って、コルゲートチューブ30の内部の電線収容室32に、内側突起26をスリット30aよりスムーズに挿入でき、コルゲートチューブ30の装着作業性が容易である。
【0030】
コルゲートチューブ保持構造は、コネクタハウジング2の電線引出側に装着され、コネクタハウジング2より引き出された電線Wを内部の電線収容室14を通して外部に導き出すコネクタカバー10に適用されているが、本発明は、コルゲートチューブ30を保持する部品(電気接続箱、プロテクタ等)であれば適用可能であることはもちろんである。
【0031】
(比較例)
図7〜図11は、本発明の比較例を示す。図7〜図11において、比較例に係るコルゲートチューブ保持構造を適用したコネクタ100は、コネクタハウジング102と、このコネクタハウジング102に装着されたコネクタカバー110と、コネクタカバー110に一端側が固定されたコルゲートチューブ130とを備えている。
【0032】
コネクタハウジング102の後面には、一対の電線出口103が設けられている。一対の電線出口103より一対の電線Wが外部に引き出されている。
【0033】
コネクタカバー110は、カバー本体111と、このカバー本体111の側部にヒンジ部120を介して連結されたコルゲート蓋部121とを備えている。カバー本体111は、電線カバー本体部112とこの電線カバー本体部112の下方に一体に設けられたコルゲート保持部113とを有する。
【0034】
電線カバー本体部112の両側部には、ロック爪115がそれぞれ設けられている。一対のロック爪115がコネクタハウジング102の一対のロック溝106に係止することによってコネクタカバー110がコネクタハウジング102に装着されている。
【0035】
電線カバー本体部112の内部には、電線収容室114が設けられている。
【0036】
コルゲート保持部113の両側部にはロック爪122が、コルゲート蓋部121の両端部には、枠状のロックアーム123がそれぞれ設けられている。コルゲート保持部113のロック爪122がコルゲート蓋部121のロックアーム123に係止されることによってコルゲート蓋部121がコルゲート保持部113に合体される。コルゲート保持部113とコルゲート蓋部121の内部には、コルゲートチューブ保持室124が構成される。コルゲートチューブ保持室124の内面には、軸方向に間隔をおいて複数の係止突起125が突設されている。
【0037】
コルゲートチューブ130は、軸方向に凹部と凸部を繰り返す蛇腹状で、且つ、軸方向に沿ってスリット130aが形成されたチューブである。コルゲートチューブ130は、スリット130aを利用することによって電線Wを内部の電線収容室132に容易に収容することができる。コルゲートチューブ130は、その蛇腹状によって外周面には等間隔に係止溝131aが設けられている。コルゲートチューブ130の一端側は、各係止溝131aにコルゲートチューブ保持室124の各係止突起125が入り込むことによってコネクタカバー110に保持されている。
【0038】
コネクタハウジング102の電線出口103より引き出された各電線Wは、電線収容室114を介してコルゲートチューブ130内を通って外部に引き出されている。
【0039】
しかしながら、前記比較例のコルゲートチューブ保持構造では、コルゲートチューブ保持室124の各係止突起125がコルゲートチューブ130の各係止溝131aに入り込むことによってコルゲートチューブ130を保持しているに過ぎない。コルゲートチューブ130には軸方向に沿ってスリット130aが形成されているため、コルゲートチューブ130に何らかの理由によって荷重が作用すると、図11(b)の矢印方向(縮径方向)に容易に変形し易し、コルゲートチューブ130の保持性が低い。保持性が低いと、コルゲートチューブ130がコネクタカバー110より容易に脱落することになる。
【0040】
これに対し、本発明では、上記実施形態で説明したように、コルゲートチューブ30の保持性が高く、コルゲートチューブ130がコネクタカバー110より容易に脱落することがない。
【符号の説明】
【0041】
2 コネクタハウジング
10 コネクタカバー
14 電線収容室
24 コルゲートチューブ保持室
25 係止突起
26 内側突起
26a テーパ面
30 コルゲートチューブ
30a スリット
31a 係止溝
32 電線収容室
W 電線
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲートチューブを保持するコルゲートチューブ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コネクタ、電気接続箱、プロテクタ等から引き出される電線を、その配策自由性を確保しつつ結束・保護等するのにコルゲートチューブが使用される。このような場所に使用されるコルゲートチューブは、コネクタ、電線接続箱等に設けられたコルゲートチューブ保持構造によって一端側が保持される。かかるコルゲートチューブ保持構造として、特許文献1や特許文献2に開示されたものが従来より提案されている。
【0003】
特許文献1に記載されたコルゲートチューブ保持構造は、コルゲートチューブのスリットを電線カバーの突起部に挿入してコルゲートチューブを拡径させ、これによりコルゲートチューブの外周面を電線カバーの内周面に当接されたものである。
【0004】
特許文献2に記載されたコルゲートチューブ保持構造は、コルゲートチューブのスリットをコルゲートチューブ用カバーの突起部に挿入してコルゲートチューブを拡径させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−357386号公報
【特許文献2】実開平6−84726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記各従来例のコルゲートチューブ保持構造では、コルゲートチューブを強制的に拡径した状態でコルゲートチューブを保持するため、コルゲートチューブの変形を招くおそれがある。コルゲートチューブが変形すると、安定した保持力を維持することができず、保持力の低下を招来する。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、コルゲートチューブの保持性が高いコルゲートチューブ保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軸方向に間隔を置いて外周面に係止溝が設けられ、且つ、軸方向に沿って内部の電線収容室に開口するスリットが設けられたコルゲートチューブを包み込んで保持するコルゲートチューブ保持構造であって、前記コルゲートチューブを収容するコルゲートチューブ保持室が設けられ、前記コルゲートチューブ保持室の内面には前記係止溝に入り込む係止突起が設けられ、前記コルゲートチューブの前記電線収容室に配置される内側突起が設けられ、前記係止突起と前記内側突起によって前記コルゲートチューブの前記スリットの両側の周辺箇所を挟み込むことを特徴とするコルゲートチューブ保持構造である。
【0009】
前記内側突起は、前記コルゲートチューブの前記スリットが進入される側がテーパ面に形成されていることが好ましい。
【0010】
コルゲートチューブ保持構造は、コネクタハウジングの電線引出側に装着され、前記コネクタハウジングより引き出された電線を内部の電線収容室を通して外部に導き出すコネクタカバーに設けるものを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コルゲートチューブは、装着過程では内側突起によって強制的に拡径されるが、装着状態では元の径寸法に戻るため、コルゲートチューブの変形を招かない。そして、コルゲートチューブに何らかの理由によって荷重が作用しても、コルゲートチューブの変形が係止突起と内側突起によって規制されるため、縮径方向に容易に変形しない。従って、コルゲートチューブの保持性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示し、コネクタの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、コネクタの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、コネクタカバーの内面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、コネクタカバーの一部斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、(a)は図2のA−A線断面図、(b)は(a)のB−B線拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、コルゲートチューブをコルゲートチューブ保持室への装着直前を示す断面図である。
【図7】比較例を示し、コネクタの分解斜視図である。
【図8】比較例を示し、コネクタの側面図である。
【図9】比較例を示し、コネクタカバーの内面図である。
【図10】比較例を示し、コネクタカバーの一部斜視図である。
【図11】比較例を示し、(a)は図8のC−C線断面図、(b)は(a)のD−D線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(実施形態)
図1〜図5は、本発明のコルゲートチューブ保持構造を適用したコネクタ1の一実施形態を示す。図1及び図2において、コネクタ1は、コネクタハウジング2と、このコネクタハウジング2に装着され、本発明のコルゲートチューブ保持構造を適用されたコネクタカバー10と、コネクタカバー10に一端側が固定されたコルゲートチューブ30とを備えている。
【0015】
コネクタハウジング2は、前面に開口されたコネクタ嵌合室(図示せず)と後面に開口する一対の電線出口3を有する。コネクタ嵌合室には、相手コネクタ(図示せず)が嵌合される。コネクタ嵌合室の奥位置には、相手コネクタの端子(図示せず)が接続される一対の端子(図示せず)が配置されている。各端子には、電線Wの端末がそれぞれ接続されている。一対の電線Wは、一対の電線出口3より外部に引き出されている。各電線出口3には、電線Wの外周に取り付けられた防水栓4が圧入されている。各防水栓4によって、水等が電線出口3からコネクタハウジング2内に侵入するのを防止している。コネクタハウジング2の後側には、カバー取付壁5が一体に設けられている。カバー取付壁5は、一対の電線出口3の全周囲を囲んでいる。カバー取付壁5の両側部には、ロック溝6がそれぞれ設けられている。
【0016】
コネクタカバー10は、図3及び図4に詳しく示すように、カバー本体11と、このカバー本体11の側部にヒンジ部20を介して連結されたコルゲート蓋部21とを備えている。
【0017】
カバー本体11は、電線カバー本体部12とこの電線カバー本体部12の下方に一体に設けられたコルゲート保持部13とを有する。電線カバー本体部12の内部には、電線収容室14が設けられている。電線カバー本体部12の両側部には、ロック爪15がそれぞれ設けられている。一対のロック爪15がカバー取付壁5の一対のロック溝6に係止することによってコネクタカバー10がコネクタハウジング2に装着されている。コネクタカバー10の装着状態では、電線カバー本体部12の前端側がカバー取付壁5の後端側に一部重なり合った状態で嵌合される。これにより、電線収容室14がほぼ閉塞状態とされる。
【0018】
電線収容室14には、左右2箇所に電線保持部(図示せず)が突設されている。各電線保持部は、各電線Wを挟持する一対の電線挟持アーム(図示せず)より形成されている。コネクタハウジング2の電線出口3より引き出された各電線Wは、一対の電線挟持アームで保持された状態で電線収容室14に配策される。これにより、電線保持室14内では電線Wの自由な振動が抑えられている。
【0019】
電線収容室14には、左右2箇所に防水栓押さえ部17が突設されている。各防水栓押さえ部17は、断面が半円弧状のロッドである。各防水栓押さえ部17の先端は、防水栓4に当接している。防水栓押さえ部17によって、各防水栓4の電線引出方向への移動が阻止されている。
【0020】
図1〜図5に示すように、コルゲート蓋部21は、コルゲート保持部13の端部にヒンジ部20を介して連結されている。コルゲート保持部13の両側部にはロック爪22が、コルゲート蓋部21の両端部には、枠状のロックアーム23がそれぞれ設けられている。コルゲート保持部13のロック爪22がコルゲート蓋部21のロックアーム23に係止されることによってコルゲート蓋部21がコルゲート保持部13に合体される。コルゲート保持部13とコルゲート蓋部21の内部には、コルゲートチューブ保持室24が構成されている。コルゲートチューブ保持室24は、一端側が電線収容室14に連通し、他端側が外部に開口している。
【0021】
コルゲートチューブ保持室24の内面には、軸方向に間隔をおいて複数の係止突起25が突設されている。コルゲートチューブ保持室24には、コルゲートチューブ30の一端側が保持されている。
【0022】
コルゲートチューブ30は、軸方向に凹部31Aと凸部31Bを繰り返す蛇腹状で、且つ、軸方向に沿ってスリット30aが形成されたチューブである。コルゲートチューブ30は、スリット30aを利用することによって電線Wを内部の電線収容室32に容易に収容することができる。コルゲートチューブ30は、その蛇腹状によって外周面には等間隔に係止溝31aが設けられている。コルゲートチューブ30の一端側は、その各係止溝31aにコルゲートチューブ保持室24の各係止突起25が入り込んでいる。
【0023】
コルゲートチューブ保持室24には、電線カバー本体部12より延設された内側突起26が配置されている。内側突起26は、コルゲートチューブ保持室24の軸方向に沿って、且つ、各係止突起25の先端よりコルゲートチューブ30のほぼ肉厚寸法だけ離間した位置に配置されている。内側突起26は、その外周面がフラット面であるが、内周面が左右一対のテーパ面26aに形成されている。一対のテーパ面26aは、コルゲートチューブ保持室24の円周方向の中央が頂点とされたテーパ状である。つまり、コルゲートチューブ30のスリット30aが進入される側がテーパ面26aに形成されている。内側突起26は、コルゲートチューブ30の電線収容室32に配置されている。コルゲートチューブ30のスリット30aの左右両側の周辺箇所は、係止突起25と内側突起26によって内外周側から挟み込まれている。このようにして、コルゲートチューブ30は、その一端側がコネクタカバー10に固定されている。電線収容室14に配策された一対の電線Wは、コルゲートチューブ30内を通ってコネクタカバー10より引き出されている。
【0024】
コルゲートチューブ30は、コルゲートチューブ保持室24に次の手順で装着される。図6に示すように、電線Wが電線収容室32に収容されたコルゲートチューブ30を、そのスリット30aを内側突起26の頂点に一致させる位置にセットし、コルゲートチューブ30を図6の矢印方向に押圧する。すると、コルゲートチューブ30のスリット30aが内側突起26のテーパ面26aによって徐々に開口し、スリット30a内に内側突起26が徐々に入り込む。そして、内側突起26がコルゲートチューブ30の電線収容室32に完全に入り込むと、スリット30aが弾性復帰変形して閉口し、内側突起26がコルゲートチューブ30の電線収容室32に配置される。
【0025】
ここで、コルゲートチューブ30の図6の矢印方向への押圧は、コルゲート蓋部21をコルゲート保持部13に合体させることによって行っても、又、コルゲート蓋部21の合体動作とは別に行っても良い。
【0026】
以上説明したように、コルゲートチューブ30を収容するコルゲートチューブ保持室24が設けられ、コルゲートチューブ保持室24の内面には係止溝31aに入り込む係止突起25が設けられ、コルゲートチューブ30の電線収容室32に配置される内側突起26が設けられ、係止突起25と内側突起26によってコルゲートチューブ30を挟み込むよう構成されている。従って、コルゲートチューブ30は、装着過程では内側突起26によって強制的に拡径されるが、装着状態では元の径寸法に戻るため、コルゲートチューブ30の変形を招かない。そして、コルゲートチューブ30に何らかの理由によって荷重が作用しても、コルゲートチューブ30の変形が係止突起25と内側突起26によって規制されるため、コルゲートチューブ30が縮径方向に容易に変形しない。従って、コルゲートチューブ30の保持性が高く、コルゲートチューブ130がコネクタカバー110より容易に脱落することがない。
【0027】
内側突起26は、コルゲートチューブ30のスリット30aの左右両側の周辺箇所を係止突起25と共に挟む。コルゲートチューブ30はスリット30aの位置が最も構造的に弱く変形し易いが、そのスリット30aの周辺の変形を規制するため、コルゲートチューブ30の縮径方向の変形を有効に防止できる。
【0028】
コルゲートチューブ30は、そのスリット30aがコルゲートチューブ保持室24に装着過程では開口されるが、コルゲートチューブ保持室24に装着された状態では、スリット30aが閉口位置に戻されるため、スリット30aが開口状態である場合に較べて安定した保持力が得られる。
【0029】
内側突起26は、コルゲートチューブ30のスリット30aが進入される側がテーパ面26aに形成されている。従って、コルゲートチューブ30の内部の電線収容室32に、内側突起26をスリット30aよりスムーズに挿入でき、コルゲートチューブ30の装着作業性が容易である。
【0030】
コルゲートチューブ保持構造は、コネクタハウジング2の電線引出側に装着され、コネクタハウジング2より引き出された電線Wを内部の電線収容室14を通して外部に導き出すコネクタカバー10に適用されているが、本発明は、コルゲートチューブ30を保持する部品(電気接続箱、プロテクタ等)であれば適用可能であることはもちろんである。
【0031】
(比較例)
図7〜図11は、本発明の比較例を示す。図7〜図11において、比較例に係るコルゲートチューブ保持構造を適用したコネクタ100は、コネクタハウジング102と、このコネクタハウジング102に装着されたコネクタカバー110と、コネクタカバー110に一端側が固定されたコルゲートチューブ130とを備えている。
【0032】
コネクタハウジング102の後面には、一対の電線出口103が設けられている。一対の電線出口103より一対の電線Wが外部に引き出されている。
【0033】
コネクタカバー110は、カバー本体111と、このカバー本体111の側部にヒンジ部120を介して連結されたコルゲート蓋部121とを備えている。カバー本体111は、電線カバー本体部112とこの電線カバー本体部112の下方に一体に設けられたコルゲート保持部113とを有する。
【0034】
電線カバー本体部112の両側部には、ロック爪115がそれぞれ設けられている。一対のロック爪115がコネクタハウジング102の一対のロック溝106に係止することによってコネクタカバー110がコネクタハウジング102に装着されている。
【0035】
電線カバー本体部112の内部には、電線収容室114が設けられている。
【0036】
コルゲート保持部113の両側部にはロック爪122が、コルゲート蓋部121の両端部には、枠状のロックアーム123がそれぞれ設けられている。コルゲート保持部113のロック爪122がコルゲート蓋部121のロックアーム123に係止されることによってコルゲート蓋部121がコルゲート保持部113に合体される。コルゲート保持部113とコルゲート蓋部121の内部には、コルゲートチューブ保持室124が構成される。コルゲートチューブ保持室124の内面には、軸方向に間隔をおいて複数の係止突起125が突設されている。
【0037】
コルゲートチューブ130は、軸方向に凹部と凸部を繰り返す蛇腹状で、且つ、軸方向に沿ってスリット130aが形成されたチューブである。コルゲートチューブ130は、スリット130aを利用することによって電線Wを内部の電線収容室132に容易に収容することができる。コルゲートチューブ130は、その蛇腹状によって外周面には等間隔に係止溝131aが設けられている。コルゲートチューブ130の一端側は、各係止溝131aにコルゲートチューブ保持室124の各係止突起125が入り込むことによってコネクタカバー110に保持されている。
【0038】
コネクタハウジング102の電線出口103より引き出された各電線Wは、電線収容室114を介してコルゲートチューブ130内を通って外部に引き出されている。
【0039】
しかしながら、前記比較例のコルゲートチューブ保持構造では、コルゲートチューブ保持室124の各係止突起125がコルゲートチューブ130の各係止溝131aに入り込むことによってコルゲートチューブ130を保持しているに過ぎない。コルゲートチューブ130には軸方向に沿ってスリット130aが形成されているため、コルゲートチューブ130に何らかの理由によって荷重が作用すると、図11(b)の矢印方向(縮径方向)に容易に変形し易し、コルゲートチューブ130の保持性が低い。保持性が低いと、コルゲートチューブ130がコネクタカバー110より容易に脱落することになる。
【0040】
これに対し、本発明では、上記実施形態で説明したように、コルゲートチューブ30の保持性が高く、コルゲートチューブ130がコネクタカバー110より容易に脱落することがない。
【符号の説明】
【0041】
2 コネクタハウジング
10 コネクタカバー
14 電線収容室
24 コルゲートチューブ保持室
25 係止突起
26 内側突起
26a テーパ面
30 コルゲートチューブ
30a スリット
31a 係止溝
32 電線収容室
W 電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に間隔を置いて外周面に係止溝が設けられ、且つ、軸方向に沿って内部の電線収容室に開口するスリットが設けられたコルゲートチューブを保持するコルゲートチューブ保持構造であって、
前記コルゲートチューブを収容するコルゲートチューブ保持室が設けられ、前記コルゲートチューブ保持室の内面には前記係止溝に入り込む係止突起が設けられ、前記コルゲートチューブの前記電線収容室に配置される内側突起が設けられ、前記係止突起と前記内側突起によって前記コルゲートチューブの前記スリットの両側の周辺箇所を挟み込むことを特徴とするコルゲートチューブ保持構造。
【請求項2】
請求項1記載のコルゲートチューブ保持構造であって、
前記内側突起は、前記コルゲートチューブの前記スリットが進入される側がテーパ面に形成されていることを特徴とするコルゲートチューブ保持構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコルゲートチューブ保持構造は、コネクタハウジングの電線引出側に装着され、前記コネクタハウジングより引き出された電線を内部の電線収容室を通して外部に導き出すコネクタカバーに設けられたことを特徴とするコルゲートチューブ保持構造。
【請求項1】
軸方向に間隔を置いて外周面に係止溝が設けられ、且つ、軸方向に沿って内部の電線収容室に開口するスリットが設けられたコルゲートチューブを保持するコルゲートチューブ保持構造であって、
前記コルゲートチューブを収容するコルゲートチューブ保持室が設けられ、前記コルゲートチューブ保持室の内面には前記係止溝に入り込む係止突起が設けられ、前記コルゲートチューブの前記電線収容室に配置される内側突起が設けられ、前記係止突起と前記内側突起によって前記コルゲートチューブの前記スリットの両側の周辺箇所を挟み込むことを特徴とするコルゲートチューブ保持構造。
【請求項2】
請求項1記載のコルゲートチューブ保持構造であって、
前記内側突起は、前記コルゲートチューブの前記スリットが進入される側がテーパ面に形成されていることを特徴とするコルゲートチューブ保持構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコルゲートチューブ保持構造は、コネクタハウジングの電線引出側に装着され、前記コネクタハウジングより引き出された電線を内部の電線収容室を通して外部に導き出すコネクタカバーに設けられたことを特徴とするコルゲートチューブ保持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−9518(P2013−9518A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140599(P2011−140599)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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