説明

コンクリート製品

【課題】より効率よく太陽光線を反射させるコンクリート製品を提供する。
【解決手段】太陽光が照射されるコンクリート製品1の側面3へ水平方向の山部5を形成し、その山部5の上面7へ塗料層17を形成し、この塗料層17の表面にガラスビーズ20を分散させる。この塗料層17は白色系塗料で形成することが好ましい。側面3へ照射された太陽光線は塗料層17で反射されることはもとよい、ガラスビーズ20で再帰反射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製品の表面に金属アルミニウムや採油などからなる太陽光反射層を形成する技術が特許文献1に開示されている。
このコンクリート製品では、太陽からの熱線を反射して宇宙へ返し、コンクリート製品の熱吸収・昇温・蓄熱を低減させている。かかるコンクリート製品を利用することでヒートアイランド現象が抑制されることとなる。
本件発明に関連する技術を開示する文献として特許文献2、特許文献3を参照されたい。
【0003】
【特許文献1】特開2007−192016号公報
【特許文献2】特開2004−182917号公報
【特許文献3】特開平08−134854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンクリート製品によれば太陽光線が反射され、その結果としてヒートアイランド現象が抑制されることとなる。本発明者らは、かかるコンクリート製品に着目し、太陽光線をより効率よく反射させるべく鋭意検討を重ねてきた結果、コンクリート製品の表面へ太陽光線を再帰反射させるガラスビーズを配設することに気が付き、この発明を完成するに至った。
すなわち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
太陽光が照射される側面を有し、該側面には水平方向に連続する山部が形成されるコンクリート製の基体部と、
前記山部の上面へ積層される塗料層であって、表面にガラスビーズが分散されている塗料層と、
を備えることを特徴とするコンクリート製品。
【0005】
このように規定されるコンクリート製品によれば、太陽光線が直接照射される山部の上面にガラスビーズが分散されているので、ガラスビーズの再帰反射機能により当該上面に照射された太陽光線は実質的にその入射方向へ反射される。これにより、太陽光線の反射効率が向上する。
コンクリート製品には用途、目的に応じてその意匠に制限がかかる場合がある。例えば山部の上面の傾斜が小さいとき(即ち、より垂直面に近いとき)においても、上面の太陽光線はその入射方向へ反射されるので、太陽光線を確実に宇宙へ返すことができる。換言すれば、太陽光線の反射効率を維持しつつコンクリート製品の意匠の自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明者らの検討によれば、上記第1の局面で規定される形状のコンクリート製品においては、その山部の上面の塗料層として白色塗料を選択し、その膜厚を100〜700μmとし、さらにガラスビーズの平均粒径を塗料層の膜厚の50〜250%とすることが太陽光線の反射効率を大きくする見地から好ましいことがわかった。
ここに、白色塗料を用いるのは白色光である太陽光線の全波長成分を反射するためである。金属アルミニウム膜などの鏡面材料によっても太陽光線の全波長成分を反射することができるが、かかる材料にガラスビーズを安定して固定することは困難である。
塗料の材質はコンクリート部品を安定して被覆できるものであれば特に限定されないが、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等を用いることができる。
【0007】
白色塗料の膜厚を100μm未満とすると、コンクリート製品の地色が表出するおそれがあり、またガラスビーズを充分に埋め込めずその支持力が不安定となるおそれがあり、好ましくない。700μmを超えて白色塗料の膜厚を厚くすることは経済的ではない。また、ガラスビーズが完全若しくはその大部分が塗料層の内に埋没して太陽光線に対する再帰反射に寄与しなくなるおそれがあり、好ましくない。
白色塗料のより好ましい膜厚は200〜500μmである。
環境に対する配慮から、白色塗料は水性塗料とすることが好ましい。
【0008】
ガラスビーズの平均粒径が塗料層の膜厚の50%未満となると、ガラスビーズの全部若しくは大部分が塗料層内に埋没して太陽光線に対する再帰反射に寄与しなくなるおそれがあるので好ましくない。他方、ガラスビーズの平均粒径が塗料層の膜厚の250%を超えると、塗料層によるガラスビーズの保持力が不充分になるおそれがある。
ガラスビーズはその半分が塗料層中へ埋入されることが好ましい。塗料層に対する安定性を確保しつつ太陽光に対する最大の再帰反射機能を維持するためである。塗料層中にガラスビーズの半分が埋入されるようにするには、塗料の厚さに対するガラスビーズ直径の長さを200%とすることが好ましい。こうであれば、ガラスビーズの下縁が基体部(下地層)で支持されるので、ガラスビーズを完全に塗料層中へ沈みこませた状態で、ガラスビーズの半分が塗料層から表出し、太陽光線を再帰反射させる。この場合、塗料層の粘度や乾燥度合いを厳密に管理する必要が無くなり、製造が容易になる。
もちろん、塗料の粘度や塗料とガラスビーズとの比重の差、塗料の乾燥度等により、塗料層に対するガラスビーズの埋入の度合いが異なるので、塗料の膜厚に対するガラスビーズの直径が200%未満であっても、ガラスビーズの半分が塗料層中に埋入した状態を作り得る。
【0009】
塗料層及びガラスビーズは少なくとも山部の上面に形成されていればよい。勿論、山部の下面に形成することを排除するものではない。
塗料層に対してガラスビーズは均一に分散させることが好ましいが、ガラスビーズの分散濃度に変化を持たせてもよい。ガラスビーズの濃度変化の境界線により、文字、シンボル、模様その他の図形を表現することができる。
ガラスビーズは太陽光線の全波長成分を反射させる見地から無色透明とすることが好ましい。
【実施例】
【0010】
以下、この発明の実施例について説明する。
図1に実施例のコンクリート製品の道路用ブロック1の斜視図を示す。
このブロック1は側面視ほぼ台形であり、その車道側側面3の全面に水平方向に連続する山部5が複数条形成されている。意匠上の要請から、山部5を側面3の一部に設けることもできるし、側面3において山部5を部分的に分断することもできる。山部5の高さ、上面及び/又は下面の傾斜角度に変化をつけてもよい。
図2に示すように、山部5の上面7と水平面との挟角(下が角β)は45度以上とせず、かつ下面と水平面との挟角(登り角α)は30度以上にしないに対する傾斜角度は、登り角度αを30度、かつ下り角度βを45度以上としないことが好ましい。これにより、ガラスビーズに捉えられない太陽光線を地表より上側に反射することができる。この実施例では各山部の登り角αを30度とし、下り角βを45度としている。
【0011】
図3に山部5の上面7の要部拡大図を示す。
図3において、符号15はブロック1の下地(ブロック本体)を示し、その上に下地層16が積層される。
実施例では、下地層16としてエポキシ樹脂を採用した。コンクリート製の下地15に対して塗料層17を固定するものであればその材質は特に制限されるものではない。
上面7が水平となるように、ブロック1を、図1の状態からα度回転させる。そして、2液混合タイプのエポキシ系プライマーを用い、ローラ若しくは刷毛にて下地層15の表面に均等厚さに塗布した。塗布量は0.1〜1.5kg/mである。塗布後、養生のため2〜3時間放置して乾燥させた。
【0012】
塗料層17には水性白色塗料を用いた。この塗料の成分は次の通りである。
白色顔料(酸化チタン) 58重量%
樹脂エマルジョン(アクリルエマルジョン) 16重量%
補助剤(分散剤、防腐剤、省泡剤等) 1重量%
溶媒(揮発性有機溶剤(3重量%):水(22重量%))25重量%

上記塗料をエアスプレーにより下地層16の上面へ均等に塗布した。塗料の使用量は0.2〜0.5L/mであり、その結果、塗料層17の膜厚は200〜500μmとなった。
【0013】
塗料層17を塗布した直後に、即ち、塗料が乾燥する前に、塗料層17の表面にガラスビーズ20を散布する。この実施例ではガラスビーズを篩い器に充填し、篩い器を振動させることにより塗料層17の表面へガラスビーズ20を均等に散布した。勿論、エアスプレー等の他の方法によりガラスビーズ20を塗料層17の表面へ供給することもできる。
乾燥前で流動性のある塗料層17上へ散布されたガラスビーズ20はその一部が自重により塗料層17へ沈みこむ。そして、塗料の乾燥にともない塗料層17へ強固に固定される。
この実施例では下記ガラスビーズを採用した。
比重:2.4〜2.5
平均粒径:500〜800μm
屈折率:1.50〜1.64

ガラスビーズ20の散布量は0.4kg/mとした。
【0014】
このように構成されたブロック1によれば、その車道側側面3に照射された太陽光線は、山部5の上面7に形成された白色塗料層17で反射されることはもとより、ガラスビーズ20により再帰反射される。
上記の実施例では、ブロック1において車道側側面3の山部5の上面7へ塗料層17とガラスビーズ20を配設したが、車道側側面3と反対側の側面(即ち、歩道側側面)にも同様に山部を設け、その上面へ塗料層17を塗布し、ガラスビーズ20を散布することができる。更には、ブロック1の上面へも塗料層17とガラスビーズ20を配設できる。
この発明のコンクリート製品は上で説明した道路用ブロックに限られず、建築物の壁、コンクリートL型よう壁等に適用することができる。
【0015】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施例のブロックの斜視図である。
【図2】図2は実施例の山部の形状を説明する模式図である。
【図3】図3は実施例の山部の上面の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ブロック
3 側面
5 山部
7 上面
15 ブロック本体
16 下地層
17 塗料層
20 ガラスビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光が照射される側面を有し、該側面には水平方向に連続する山部が形成されるコンクリート製の基体部と、
前記山部の上面へ積層される塗料層であって、表面にガラスビーズが分散されている塗料層と、
を備えることを特徴とするコンクリート製品。
【請求項2】
前記塗料層は白色塗料からなり、膜厚は100〜700μmであり、前記ガラスビーズの平均粒径は前記膜厚の50〜250%である、ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−102924(P2009−102924A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277061(P2007−277061)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000187600)松岡コンクリート工業株式会社 (14)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】