説明

コンタクトレンズ、眼内レンズまたは人工角膜用のモノマー

【課題】N−ビニルピロリドンのような親水性モノマーと共重合しても高い透明性を有し、しかも高酸素透過性および高い水濡れ性を有する眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーの提供。
【解決手段】下記式(a)で表されることを特徴とするモノマー。


[式(a)中、XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。Yはアルコキシカルボニルエチル基、N−アルキルアミドエチル基などを表す。RはHおよびメチル基から選ばれた基を表す。Rは3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルメチル基およびトリメチルシロキシジメチルシリルメチル基から選ばれた置換基を表す。nは0または1の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーに関するものであり、該眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーはコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年高い酸素透過性を有する眼用レンズ用ポリマーとして3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートなどのシロキサニル基含有メタクリレートや、変性ポリシロキサンを一成分とするポリマーからなるものが開発され利用されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかしながらこれらのモノマー(マクロマー)からなるポリマーは、酸素透過性を向上させる目的で導入されているシリコーンが持つ性質、即ち疎水性と分子間相互作用が小さいという性質のために表面が疎水性となりやすく水をはじいたり汚れが付きやすいという物性上の欠点が存在していた。
【0004】
また、これらのモノマー(マクロマー)は、N−ビニルピロリドンのような親水性モノマーとの相溶性が悪く、ポリマーの親水性向上のためにこのような親水性モノマーを共重合させた場合には相分離が起こり透明なポリマーが得られない
という欠点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−142324号
【特許文献2】特開昭54−24047号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、N−ビニルピロリドンのような親水性モノマーと共重合しても高い透明性を有し、しかも高酸素透過性および高い水濡れ性を有する眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーは、下記の構成を有する。
「〔1〕下記式(a)で表されることを特徴とする眼用レンズ用モノマー。
【0008】
【化1】

【0009】
[式(a)中、XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。
【0010】
Yは下記式(y1−1)〜(y1−14)および(y2−1)〜(y2−15)から選ばれた置換基を表す。
【0011】
はHおよびメチル基から選ばれた基を表す。
【0012】
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルメチル基およびトリメチルシロキシジメチルシリルメチル基から選ばれた置換基を表す
【0013】
nは0または1の整数を表す。]
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
[式(y1−10)および(y1−13)中、iは3〜8の整数を表す。]
【発明の効果】
【0018】
本発明により、N−ビニルピロリドンのような親水性モノマーと共重合しても高い透明性を有し、しかも高酸素透過性および高い水濡れ性を有する眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
本発明の眼用レンズ用モノマーは下記式(a)で表されることを特徴とする。
【0021】
【化5】

【0022】
[式(a)中、XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。
【0023】
YはH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基および置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。
【0024】
はHおよびメチル基から選ばれた基を表す。
【0025】
はH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基および置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。
【0026】
XがN−Yを表す場合、YとRは互いに結合してNを含む環を形成してもよい。
【0027】
nは0または1の整数を表す。]
式(a)中、XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。
【0028】
YはH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基および置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。
【0029】
以下にYとして好適な置換基の例を挙げる。
【0030】
置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては直鎖状であっても分枝状であっても特に限定されるものではないが、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[トリメチルシロキシジメチルシリル]プロピル基、シアノエチル基および下記式(y1)および(y2)で表される置換基を挙げることができる。
【0031】
【化6】

【0032】
[式(y1)および(y2)中、R22〜R24はそれぞれ独立に、H、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。またR23とR24は互いに結合してN原子を含む環を形成してもよい。]
式(y1)および(y2)で表される置換基をさらに具体的に例示するなら、下記式(y1−1)〜(y1−14)および(y2−1)〜(y2−15)で表される置換基が挙げられる。
【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
【化9】

【0036】
[式(y1−10)および(y1−13)中、iは3〜8の整数を表す。]
置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基としては特に限定されるものではないが、炭素数6〜20のものが好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基などが挙げられる。
【0037】
式(a)中、RはHおよびメチル基から選ばれた基を表す。
【0038】
式(a)中、RはH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基および置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。
【0039】
以下にRとして好適な置換基の例を挙げる。
【0040】
置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状であっても分枝状であっても特に限定されるものではないが、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、アリル基、1−エチルプロピル基、イソアミル基、2−ヒドロキシエチル基、1−メチル−2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−イソブトキシエチル基、2−(2−エチルヘキシロキシ)エチル基、2−デシロキシエチル基、2−ラウリロキシエチル基、2−ミリスチロキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−プロポキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、3−イソブトキシプロピル基、3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピル基、3−デシロキシプロピル基、3−ラウリロキシプロピル基、3−ミリスチロキシプロピル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、2−(エチルアミノ)エチル基、2−(ジエチルアミノ)エチル基、2−(ジイソプロピルアミノ)エチル基、2−(ジブチルアミノ)エチル基、2−[ビス(ヒドロキシエチル)アミノ]エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(エチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−(ジイソプロピルアミノ)プロピル基、3−(ジブチルアミノ)プロピル基、3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)プロピル基、3−[ビス(ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル基、ピペリジノエチル基、(4−メチルピペリジノ)エチル基、(2−メチルピペリジノ)エチル基、モルホリノエチル基、ピペリジノプロピル基、(4−メチルピペリジノ)プロピル基、(2−メチルピペリジノ)プロピル基、モルホリノプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルエチル基、ベンジル基、フェネチル基、p−メトキシフェネチル基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基およびシロキサニル基で置換されたアルキル基などを挙げることができる。
【0041】
置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基としては特に限定されるものではないが、炭素数6〜20のものが好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、4−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基およびシロキサニル基で置換されたアリール基などが挙げられる。
【0042】
以下、シロキサニル基で置換されたアルキル基およびシロキサニル基で置換されたアリール基についてさらに説明を加える。
【0043】
本明細書において、シロキサニル基とは、少なくとも1つのSi−O−Si結合を有する基を表す。シロキサニル基としては下記式(A)で表される置換基が好ましく使用される。
【0044】
【化10】

【0045】
[式(A)中、A〜A11はそれぞれが互いに独立にH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。kは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしk=a=b=c=0の場合は除く。]
式(A)中、A〜A11はそれぞれが互いに独立にH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が、その具体的な例としてはH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基を挙げることができる。これらの中で最も好ましいのはメチル基である。
【0046】
式(A)中、kは0〜200の整数であるが、好ましくは0〜50、さらに好ましくは0〜10である。a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数であるが、好ましくはa、b、cがそれぞれが互いに独立に0〜5の整数である。
k=0の場合、好ましいa、b、cの組み合わせはa=b=c=1、a=b=1かつc=0、およびa=1かつb=c=0である。
【0047】
式(A)で表される置換基の中で、工業的に比較的安価に入手できることから特に好適なものは、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリメチルシロキサン基およびポリ−コ−メチルシロキサン−ジメチルシロキサン基などである。
【0048】
シロキサニル基で置換されたアルキル基およびシロキサニル基で置換されたアリール基として好適なものは、シロキサニル基で置換されたメチル基、シロキサニル基で置換されたプロピル基、およびシロキサニル基で置換されたフェニル基であり、これらの中でも特に好適なものは3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルメチル基およびトリメチルシロキシジメチルシリルメチル基である。
【0049】
式(a)中、XがN−Yを表す場合、YとRは互いに結合してNを含む環を形成してもよいが、その場合、下記構造(E1)
【0050】
【化11】

【0051】
で示される部分の具体例としては、下記式(e1)〜(e7)を挙げることができる。
【0052】
【化12】

【0053】
式(a)中、nは0または1の整数を表す。
【0054】
式(a)で表される眼用レンズ用モノマーの合成法の一例としては、以下の方法を挙げることができる。すなわち、式(b1)
【0055】
【化13】

【0056】
で表される化合物と式(b2)
【0057】
【化14】

【0058】
で表される化合物をマイケル付加反応させる方法である。
【0059】
本発明の眼用レンズ用ポリマーは、式(a)で表される眼用レンズ用モノマーを単独で重合して得ることも、他のモノマーと共重合して得ることも可能である。他のモノマーと共重合する場合の共重合モノマーとしては、共重合さえ可能であれば何ら制限はなく、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニル基および他の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを使用することができる。
【0060】
以下、その例をいくつか挙げるがこれらに限定されるものではない。(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート、両末端に炭素炭素不飽和結合を有するシロキサンマクロマーなどの多官能(メタ)アクリレート類、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N,N−ジn−ブチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニルモノマー、マレイミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルピラジンなどのヘテロ環ビニルモノマー、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルカルボキサミド類、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリレート、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(
メタ)アクリレート、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリレート、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]スチレン、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]スチレン、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]スチレン、N−〔3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル〕カルバミン酸ビニル、N−〔3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル〕カルバミン酸ビニル、N−〔3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル〕カルバミン酸ビニルおよび下記式(c1)〜(c19)の化合物などである。
【0061】
【化15】

【0062】
【化16】

【0063】
【化17】

【0064】
【化18】

【0065】
【化19】

【0066】
[式(c1)〜(c19)中、R11はHまたはメチル基を表す。R12はH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表す。R13およびR14はそれぞれ独立にH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表し、R13とR14が互いに結合してNを含む環を形成していてもよい。aは0〜3の整数を表す。]
以下に式(c1)〜(c19)中における、各置換基の具体例を述べる。
【0067】
11はHまたはメチル基を表す。
【0068】
12はH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表すが、好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基および下記式(d1)〜(d10)で表される置換基が挙げられる。
【0069】
【化20】

【0070】
[式(d1)〜(d10)中、mは2〜20の整数を表す。]
13およびR14はそれぞれ独立にH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表し、R13とR14が互いに結合してNを含む環を形成していてもよいが、好適な具体例としては、前述のR12の好適な具体例と同様の置換基を挙げることができる。また、R13とR14が互いに結合してNを含む環を形成している場合、下記構造(E2)で示される部分の具体例としては、
【0071】
【化21】

【0072】
下記式(e1)〜(e7)を挙げることができる。
【0073】
【化22】

【0074】
本発明の眼用レンズ用ポリマーにおいては、良好な機械物性が得られ、消毒液や洗浄液に対する良好な耐性が得られるという意味で、1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを共重合成分として用いることが好ましい。1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーの共重合比率は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましい。
【0075】
また、高酸素透過性と高い水濡れ性を両立させるという点からは、本発明の眼用レンズ用ポリマーはシロキサニル基含有モノマーを(共)重合して用いることが好ましく、その場合のシロキサニル基含有モノマーの(共)重合比率は30重量%〜100重量%、より好ましくは50重量%〜99重量%、最も好ましくは60重量%〜95重量%である。式(a)で表される眼用レンズ用モノマーがシロキサニル基を含有する場合、式(a)で表される眼用レンズ用モノマーが該シロキサニル基含有モノマーの全部または一部であってもよい。
【0076】
本発明の眼用レンズ用ポリマーは、紫外線吸収剤や色素、着色剤などを含むものでもよい。また重合性基を有する紫外線吸収剤や色素、着色剤を、共重合した形で含有してもよい。
【0077】
本発明の眼用レンズ用ポリマーの重合方法、成形方法としては、公知の方法を使用することができる。例えば、一旦、丸棒や板状等に重合、成形しこれを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト重合法などである。
【0078】
本発明の眼用レンズ用ポリマーを(共)重合により得る際は、重合をしやすくするために過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40〜120℃のアゾ系開始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光重合開始剤としてはカルボニル化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩などを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそ1重量%くらいまでの量で使用される。
【0079】
本発明の眼用レンズ用ポリマーを(共)重合により得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては有機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に制限は無い。例を挙げれば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、安息香酸メチル等のエステル系溶剤、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロへキサン、エチルシクロへキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、石油系溶剤等各種のものであり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
【0080】
本発明の眼用レンズ用ポリマーの重合方法、成形方法としては、公知の方法を使用することができる。例えば、一旦、丸棒や板状等に重合、成形しこれを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト重合法などである。
【0081】
一例として本発明の眼用レンズ用ポリマーをモールド重合法により得る場合について、次に説明する。
【0082】
モノマー組成物を一定の形状を有する2枚のモールドの空隙に充填する。そして光重合あるいは熱重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは、樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されているが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。眼用レンズ用ポリマーを製造する場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙にモノマー組成物が充填されるが、モールドの形状やモノマーの性状によっては眼用レンズ用ポリマーに一定の厚みを与えかつ充填したモノマー組成物の液モレを防止する目的を有するガスケットを併用してもよい。空隙にモノマー組成物を充填したモールドは、続いて紫外線のような活性光線を照射されるか、オーブンや液槽に入れて加熱されて重合される。光重合の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合する両者を併用する方法もありうる。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を短時間(通常は1時間以下)照射するのが一般的である。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温し、数時間ないし数十時間かけて60℃〜200℃の温度まで高めて行く条件が、眼用レンズ用ポリマーの光学的な均一性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好まれる。
【0083】
本発明の眼用レンズ用ポリマーは、種々の方法で改質処理を行うことができる。表面の水濡れ性を向上させるためには、該改質処理を行うことが好ましい。
【0084】
眼用レンズ用ポリマーの具体的な改質方法としては、電磁波(光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着およびスパッタリングなどケミカルベーパーデポジション処理、加熱、塩基処理、酸処理、その他適当な表面処理剤の使用、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの改質手段の中で、簡便であり好ましいのは塩基処理である。
【0085】
塩基処理の一例としては、眼用レンズ用ポリマーを塩基性溶液に接触させる方法、眼用レンズ用ポリマーを塩基性ガスに接触させる方法等が挙げられる。そのより具体的な方法としては、例えば塩基性溶液に眼用レンズ用ポリマーを浸漬する方法、眼用レンズ用ポリマーに塩基性溶液または塩基性ガスを噴霧する方法、眼用レンズ用ポリマーに塩基性溶液をヘラ、刷毛等で塗布する方法、眼用レンズ用ポリマーに塩基性溶液をスピンコート法やディップコート法で塗布する方法などを挙げることができる。最も簡便に大きな改質効果が得られる方法は、眼用レンズ用ポリマーを塩基性溶液に浸漬する方法である。
【0086】
眼用レンズ用ポリマーを塩基性溶液に浸漬する際の温度は特に限定されないが、通常−50℃〜300℃程度の温度範囲内で行われる。作業性を考えれば−10℃〜150℃の温度範囲がより好ましく、−5℃〜60℃が最も好ましい。
【0087】
眼用レンズ用ポリマーを塩基性溶液に浸漬する時間については、温度によっても最適時間は変化するが、一般には100時間以内が好ましく、24時間以内がより好ましく、12時間以内が最も好ましい。接触時間が長すぎると、作業性および生産性が悪くなるばかりでなく、酸素透過性の低下や機械物性の低下などの悪影響が出る場合がある。
【0088】
塩基としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、各種炭酸塩、各種ホウ酸塩、各種リン酸塩、アンモニア、各種アンモニウム塩、各種アミン類などが使用可能である。
【0089】
塩基性溶液の溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジア
ルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタントリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。中でも経済性、取り扱いの簡便さ、および化学的安定性などの点で水が最も好ましい。溶媒としては、2種類以上の物質の混合物も使用可能である。
【0090】
本発明において使用される塩基性溶液は、塩基性物質および溶媒以外の成分を含んでいてもよい。
【0091】
本発明において、眼用レンズ用ポリマーは、塩基処理の後、洗浄により塩基性物質を除くことができる。
【0092】
洗浄溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタントリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。
【0093】
洗浄溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合物を使用することもできる。洗浄溶媒は、溶媒以外の成分、例えば無機塩類、界面活性剤、および洗浄剤を含有してもよい。
【0094】
該改質処理は、ポリマー全体に対して行っても良く、例えば表面のみに行うなどポリマーの一部のみに行ってもよい。表面のみに改質処理を行った場合にはポリマー全体の性質を大きく変えることなく表面の水濡れ性のみを向上させることができる。
【0095】
本発明の眼用レンズ用ポリマーは、水濡れ性は純水に対する動的接触角(前進時、浸漬速度0.1mm/秒)が90゜以下が好ましい。酸素透過性は、酸素透過係数[ml(STP)cm・cm−2・sec−1・mmHg−1]60×10−11以上が好ましく、70×10−11以上がより好ましく、80×10−11以上が最も好ましい。
【0096】
本発明の眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーはコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適に用いられる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔測定方法〕
本実施例における各種測定は、以下に示す方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル
日本電子社製のEX270型を用いて測定した。溶媒にクロロホルム−dを使用し、クロロホルムのピークを内部標準(7.26ppm)とした。
(2)酸素透過係数
理化精機工業社製の製科研式フィルム酸素透過率系を用いて35℃の水中にてフィルム状サンプルの酸素透過係数を測定した。
(3)動的接触角
サンプルとして、5mm×10mm×0.2mm程度のサイズのフィルム状のものを使用し、レスカ社製のWET−6000型を用いて、純水に対する前進時の動的接触角を測定した。浸漬速度は0.1mm/秒、浸漬深さは7mmとした。
〔実施例1〕
(1)1Lのナス型フラスコにメチルアクリレート(48g,0.56mol)、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(200g,0.56mol)、酢酸エチル(250ml)を加えて室温で7日間撹拌した。反応終了後、ロータリーバキュームエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、減圧蒸留を行ない透明な液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(3H)、2.4〜2.7ppm付近(4H)、2.9ppm付近(2H)および3.7ppm付近(3H)にピークが検出されたことから下記式(h1)
【0098】
【化23】

【0099】
で表される化合物であることを確認した。
(2)200mlのナス型フラスコに、式(h1)の化合物(20.0g)、ビニルアクリレート(22.3g)および酢酸エチル(20g)を加えて室温で48時間撹拌した。反応終了後、ロータリーバキュームエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、さらに減圧下、60℃で1時間かけて揮発成分を除去して無色透明液体を得た。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、7.3ppm付近(1H)、4.9ppm付近(1H)、4.6ppm付近(1H)、3.6ppm付近(3H)、2.8ppm付近(4H)、2.3〜2.6ppm付近(6H)、1.4ppm付近(2H)、0.4ppm付近(2H)および0.1ppm付近(27H)にピークが検出されたことから下記式(M1)
【0100】
【化24】

【0101】
で表される眼用レンズ用モノマーであることを確認した。
〔実施例2〕
(1)1Lのナス型フラスコにN,N−ジメチルアクリルアミド(60.8g)、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(200.3g)、エタノール(600ml)を加えて室温で7日間撹拌した。反応終了後、ロータリーバキュームエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、減圧蒸留を行ない透明な液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、3.0ppm付近(3H)、2.9ppm付近(3H)、2.8ppm付近(2H)、2.6ppm付近(2H)、2.5ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、0.4ppm付近(2H)および0.1ppm付近(27H)にピークが検出されたことから下記式(h2)
【0102】
【化25】

【0103】
で表される化合物であることを確認した。
(2)100mlのナス型フラスコに、式(h2)の化合物(30.0g)およびビニルアクリレート(6.6g)を加えて60℃で48時間撹拌した。反応終了後、減圧下、60℃で3時間かけて揮発成分を除去して無色透明液体を得た。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、7.3ppm付近(1H)、4.9ppm付近(1H)、4.5ppm付近(1H)、3.0ppm付近(3H)、2.9ppm付近(3H)、2.8ppm付近(4H)、2.3〜2.6ppm付近(6H)、1.5ppm付近(2H)、0.4ppm付近(2H)および0.1ppm付近(27H)にピークが検出されたことから下記式(M2)
【0104】
【化26】

【0105】
で表される眼用レンズ用モノマーであることを確認した。
〔実施例3〕
実施例1で得た式(M1)の化合物(80重量部)、N−ビニルピロリドン(18重量部)、アジピン酸ジビニル(2重量部)、ダロキュア1173(CIBA社、0.5重量部)およびパーブチルO(日本油脂社、0.5重量部)を混合し撹拌した。均一で透明なモノマー混合物が得られた。このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気のグローブボックス中で透明樹脂(ポリ4−メチルペンテン−1)製のコンタクトレンズ用モールドに注入し、捕虫灯を用いて光照射(1mW/cm、10分間)して重合し、レンズ状サンプルを得た。
【0106】
得られたレンズ状サンプルを水和処理した後、1M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、25℃で4時間改質処理を行った。改質処理後、純水に浸漬し、超音波洗浄器による洗浄(5分間)を2回行った。純水は洗浄が終了する度に交換した。
【0107】
得られたサンプルは透明で濁りが無かった。このサンプルを水和処理したときの酸素透過係数は90×10−11ml(STP)cm・cm−2・sec−1・mmHg−1、動的接触角は67゜であり、高い透明性、高酸素透過性および高い水濡れ性を有していた。
〔実施例4〕
実施例2で得た式(M2)の化合物(80重量部)、N−ビニルピロリドン(18重量部)、アジピン酸ジビニル(2重量部)、ダロキュア1173(CIBA社、0.5重量部)およびパーブチルO(日本油脂社、0.5重量部)を混合し撹拌した。均一で透明なモノマー混合物が得られた。このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気のグローブボックス中で透明樹脂(ポリ4−メチルペンテン−1)製のコンタクトレンズ用モールドに注入し、捕虫灯を用いて光照射(1mW/cm、10分間)して重合し、レンズ状サンプルを得た。
【0108】
得られたレンズ状サンプルを水和処理した後、1M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、25℃で4時間改質処理を行った。改質処理後、純水に浸漬し、超音波洗浄器による洗浄(5分間)を2回行った。純水は洗浄が終了する度に交換した。
【0109】
得られたサンプルは透明で濁りが無かった。このサンプルを水和処理したときの酸素透過係数は90×10−11ml(STP)cm・cm−2・sec−1・mmHg−1、動的接触角は73゜であり、高い透明性、高酸素透過性および高い水濡れ性を有していた。
〔比較例1〕
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(80重量部)、N−ビニルピロリドン(18重量部)、アジピン酸ジビニル(2重量部)、ダロキュア1173(CIBA社、0.5重量部)およびパーブチルO(日本油脂社、0.5重量部)を混合し撹拌した。該モノマー混合物は不均一で白濁していた。
【0110】
このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気のグローブボックス中で透明樹脂(ポリ4−メチルペンテン−1)製のコンタクトレンズ用モールドに注入し、捕虫灯を用いて光照射(1mW/cm、10分間)して重合し、レンズ状サンプルを得た。
【0111】
得られたレンズ状サンプルを水和処理した。該レンズ状サンプルは白濁しておりコンタクトレンズとしては不適であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a)で表されることを特徴とするコンタクトレンズ、眼内レンズまたは人工角膜モノマー。
【化1】

[式(a)中、XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。
Yは下記式(y1−1)〜(y1−14)および(y2−1)〜(y2−15)から選ばれた置換基を表す。
はHおよびメチル基から選ばれた基を表す。
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルメチル基およびトリメチルシロキシジメチルシリルメチル基から選ばれた置換基を表す
nは0または1の整数を表す。]
【化2】

【化3】

【化4】

[式(y1−10)および(y1−13)中、iは3〜8の整数を表す。]

【公開番号】特開2012−51890(P2012−51890A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206879(P2011−206879)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【分割の表示】特願平11−176503の分割
【原出願日】平成11年6月23日(1999.6.23)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】