説明

コンテナ搬送車の遠隔誘導装置及びシステム並びに方法

【課題】 荷役を行うヤードクレーンが無人の場合であっても、そのヤードクレーンに対してシャシを正しい位置に停止させることのできるコンテナ搬送車の遠隔誘導装置及びシステム並びに方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置であって、ヤードクレーンに取り付けられた移動通信装置からコンテナ搬送車の映像信号を画像として表示するモニタ31乃至33と、シャシに対する誘導指令を入力するためのマイク35と、誘導指令をヤードクレーン又はシャシに取り付けられた移動通信装置へ送信する送信装置とを備えるコンテナ搬送車の遠隔誘導装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置及びシステム並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、蔵置エリアに蔵置されたあるコンテナをコンテナ搬送車(以下、「シャシ」という。)に搭載する場合は、ヤードクレーンを自走させて、目標となるコンテナが含まれるコンテナの山を跨ぐように配置するとともに、シャシをシャシ走行レーンに進入させてヤードクレーンの直下で停止させる。そして、トロリを目標となるコンテナの直上に移動させ、スプレッダを下降させてコンテナを掴ませ、その後、スプレッダを上昇させることによりコンテナを吊り上げ、コンテナを吊り上げたトロリをシャシ走行レーンに停止させたシャシの直上に移動させ、スプレッダを下降させてコンテナをシャシ上に降ろす。
【0003】
また、シャシに搭載された所定のコンテナを蔵置エリアのある位置に降ろす場合、ヤードクレーンを自走させてコンテナを降ろすべきある位置を跨ぐように配置するとともに、目標となるコンテナを搭載したシャシをシャシ走行レーンに進入させてヤードクレーンの直下で停止させる。そして、トロリをシャシの直上に移動させ、スプレッダを下降させて目標のコンテナを掴ませ、スプレッダを上昇させてコンテナを吊り上げ、コンテナを吊り上げたトロリを、コンテナを降ろすべき位置の直上に移動させ、スプレッダを下降させてコンテナを目標位置に降ろす。
【0004】
上記ヤードクレーンについては、近年、遠隔からの運転制御が検討されている。例えば、特開平5−246683号公報(特許文献1)には、ヤードクレーンの上部に設置されたトロリに複数のカメラを設置し、このカメラによって撮影された映像信号を管理棟へ無線伝送することにより、管理棟に設置されたモニタに映し出し、このモニタに映された画像を確認しながらオペレータがヤードクレーンを遠隔運転する方法が開示されている。このような運転方法によれば、オペレータの削減を図ることができるとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−220087
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蔵置エリアに段積みされたコンテナをシャシの所定位置に積み降ろす作業や、シャシに載せられたコンテナをスプレッダにて把持し、吊り上げる作業を行う場合、ヤードクレーンに対して正しい位置にシャシが配置されていることが前提となる。この場合、有人のヤードクレーンであれば、ヤードクレーンの運転席に座っているオペレータとシャシのオペレータとが直接的に言葉を交わすことにより、シャシの停止位置を調整することが可能であった。しかしながら、無人のヤードクレーンとの間でコンテナの積み下ろし等が行われる場合には、上述のようなやり取りが不可能となるため、シャシの停止位置調整を如何に行うかということが問題となる。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、荷役を行うヤードクレーンが無人の場合であっても、そのヤードクレーンに対してシャシを正しい位置に停止させることのできるコンテナ搬送車の遠隔誘導装置及びシステム並びに方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置であって、前記ヤードクレーンに取り付けられた映像提供装置から前記コンテナ搬送車の映像信号を取得する映像信号取得手段と、前記映像信号を画像として表示する表示手段と、前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を入力するための入力手段と、前記誘導指令を前記ヤードクレーン又は前記コンテナ搬送車に取り付けられた指令出力装置へ送信する送信手段とを備えるコンテナ搬送車の遠隔誘導装置を提供する。
【0009】
このような構成によれば、ヤードクレーンに取り付けられた映像提供装置から送られてくるコンテナ搬送車の映像信号が画像として表示され、この画像を確認しながらオペレータにより発せられた誘導指令が入力手段により受け付けられる。この誘導指令は、ヤードクレーンまたはコンテナ搬送車に取り付けられた指令出力装置へ送られる。コンテナ搬送車のオペレータは、誘導指令に従って運転を行うことにより、目標停止位置に確実にコンテナ搬送車を停止させることができる。
【0010】
本発明は、コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンに取り付けられる映像提供装置であって、前記ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置の周辺に存在するコンテナ搬送車を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により取得された前記コンテナ搬送車の映像信号を、前記コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置に対して送信する送信手段とを具備する映像提供装置を提供する。
【0011】
このような構成によれば、ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置の周辺に存在するコンテナ搬送車が撮影手段により撮影され、この映像信号が遠隔からコンテナ搬送車を誘導するための遠隔誘導装置へ送信される。これにより、ヤードクレーンの下方に存在するコンテナ搬送車の様子を遠隔の遠隔誘導装置のオペレータに対して提供することが可能となる。
【0012】
本発明は、コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーン又はコンテナ搬送車に取り付けられる指令出力装置であって、前記コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置から送信された前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を受信する受信手段と、受信した誘導指令を前記コンテナ搬送車のオペレータに対して通知する通知手段とを具備する指令出力装置を提供する。
【0013】
このような構成によれば、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置から送信されてきた誘導指令をコンテナ搬送車のオペレータに対して通知することが可能となる。オペレータは、この誘導指令に従ってコンテナ搬送車の運転を行うことにより、速やかにコンテナ搬送車を目標停止位置に停止させることが可能となる。
【0014】
本発明は、コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導システムであって、前記ヤードクレーンに取り付けられる映像提供装置と、前記ヤードクレーンと離れた場所に設置されるコンテナ搬送車の遠隔誘導装置と、前記ヤードクレーン又は前記コンテナ搬送車に取り付けられる指令出力装置とを備え、前記映像提供装置は、前記ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置の周辺に存在するコンテナ搬送車を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により取得された前記コンテナ搬送車の映像信号を前記コンテナ搬送車の遠隔誘導装置に対して送信する送信手段とを有し、前記コンテナ搬送車の遠隔誘導装置は、前記映像提供装置から前記コンテナ搬送車の映像信号を取得する映像信号取得手段と、前記映像信号を画像として表示する表示手段と、前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を入力するための入力手段と、前記誘導指令を前記指令出力装置へ送信する送信手段とを有し、前記指令出力装置は、前記コンテナ搬送車の遠隔誘導装置から前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を受信する受信手段と、受信した前記誘導指令を前記コンテナ搬送車のオペレータに対して通知する通知手段とを有するコンテナ搬送車の遠隔誘導システムを提供する。
【0015】
このような構成によれば、ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置の周辺に存在するコンテナ搬送車が撮影され、この映像信号が遠隔からコンテナ搬送車を誘導するための遠隔誘導装置へ送信される。これにより、ヤードクレーンの下方に存在するコンテナ搬送車の様子を遠隔の遠隔誘導装置のオペレータに対して提供することが可能となる。遠隔誘導装置では、映像提供装置から送られてくるコンテナ搬送車の映像信号が画像として表示され、この画像を確認しながらオペレータにより発せられた誘導指令が入力手段により受け付けられる。この誘導指令は、ヤードクレーンまたはコンテナ搬送車に取り付けられた指令出力装置へ送られる。指令出力装置では、コンテナ搬送車の遠隔誘導装置から送信されてきた誘導指令をコンテナ搬送車のオペレータに対して通知する。そして、コンテナ搬送車のオペレータがこの誘導指令に従ってコンテナ搬送車の運転を行うことにより、目標停止位置に確実にコンテナ搬送車を停止させることができる。
【0016】
本発明は、コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法であって、前記ヤードクレーンの下方周辺に存在するコンテナ搬送車を撮影し、その映像信号を送信する過程と、前記映像信号を受信して、表示する過程と、遠隔操作を行うオペレータから、前記コンテナ搬送車を前記目標停止位置に誘導するための誘導指令を受け付ける過程と、前記誘導指令を前記コンテナ搬送車のオペレータに対して通知する過程とを具備するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法を提供する。
【0017】
このような構成によれば、ヤードクレーンの下方周辺に存在するコンテナ搬送車が撮影され、この映像信号がコンテナ搬送車を遠隔から誘導するオペレータのもとへ送られる。オペレータ側では、映像信号が表示され、この表示画面を確認したオペレータから誘導指令が入力されることとなる。そして、この誘導指令は、コンテナ搬送車のオペレータに対して送信され、オペレータに通知される。これにより、オペレータは、誘導指令に基づいてコンテナ搬送車を運転することによって、目標停止位置にコンテナ搬送車を停止させることができる。
【0018】
本発明は、コンテナヤード内で荷役を行う複数のヤードクレーン又は複数のコンテナ搬送車に設けられた複数の移動通信装置と、前記ヤードクレーンから離れた場所に設けられた複数の遠隔誘導装置と、複数の前記遠隔誘導装置を管理する上位装置との間で、互いに情報を授受することにより、一の前記ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に一の前記コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法であって、一の前記ヤードクレーンが所定の作業を開始する際に、前記移動通信装置から前記上位装置に対して、前記遠隔誘導装置の割り当て要求を行う過程と、前記割り当て要求に対して、前記上位装置が一の前記遠隔誘導装置を割り当てる過程と、割り当てられた一の前記遠隔誘導装置が前記移動通信装置に対して自己の識別情報を送信する過程と、前記移動通信装置が前記遠隔誘導装置の識別情報を受信するとともに、該識別情報に基づく通信チャネルを設定する過程と、前記移動通信装置と前記遠隔誘導装置との間で、前記コンテナ搬送車の誘導に関する情報を授受することにより、前記コンテナ搬送車を前記目標停止位置に誘導する過程とを具備するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法を提供する。
【0019】
このような遠隔誘導方法によれば、ヤードクレーンが作業を開始する際に、ヤードクレーン側から上位装置に対して、遠隔誘導装置の割り当て要求が送られる。これにより、現在空き状態である一の遠隔誘導装置が割り当てられ、この遠隔誘導装置からヤードクレーン側に対して、遠隔誘導装置に予め割り当てられている固有の識別情報が通知される。ヤードクレーン側では、この識別情報を受信すると、この識別情報に対応する通信チャネルを設定し、割り当てられた遠隔誘導装置とのデータ通信を確立させるための準備を行う。そして、データ通信回線の確立後、遠隔誘導装置からヤードクレーンに取り付けられた移動通信装置に対して、コンテナ搬送車を目標停止位置に誘導するための誘導指令が送られることにより、この誘導指令に基づくコンテナ搬送車の運転が行われることによって、コンテナ搬送車を目標停止位置に速やかに誘導することが可能となる。
【0020】
具体的には、上記移動通信装置は、ヤードクレーン側の通信を制御する通信制御装置と、遠隔誘導装置からの誘導指令を受信して出力する指令出力装置とを備えており、以下のようにして遠隔誘導装置との通信が確立される。
まず、ヤードクレーンが作業を開始する際に、ヤードクレーン側の通信制御装置から上位装置に対して、遠隔誘導装置の割り当て要求が送られる。これにより、上位装置によって現在空き状態である一の遠隔誘導装置が割り当てられ、この遠隔誘導装置から通信制御装置に対して、接続開始要求及び該遠隔誘導装置に割り当てられている固有の識別情報が通知される。通信制御装置は、遠隔誘導装置の識別情報を受信すると、指令出力装置に対して、この識別情報に対応する通信チャネルの設定指示を出力する。これにより、指令出力装置の通信チャネルが該遠隔誘導装置との通信用チャネルに設定され、遠隔誘導装置と指令出力装置との間で誘導指令データ用の通信が確立される。この後、遠隔誘導装置上、より詳しくは、遠隔誘導装置が備える誘導指令入力装置から指令出力装置に対して、コンテナ搬送車を目標停止位置に誘導するための誘導指令が送られることにより、この誘導指令に基づくコンテナ搬送車の運転が行われることによって、コンテナ搬送車を目標停止位置に速やかに誘導することが可能となる。
【0021】
上記コンテナ搬送車の遠隔誘導方法において、前記遠隔誘導装置の通信チャネルは固定されていることが好ましい。このように、遠隔誘導装置側の通信チャネルが固定されていることにより、遠隔誘導装置側において、移動通信装置(具体的には、移動通信装置が備える指令出力装置)の通信チャネルを管理する必要がなくなり、処理負担を軽減させることが可能となる。
また、前記移動通信装置は、前記遠隔誘導装置の識別情報と前記遠隔誘導装置(具体的には、遠隔誘導装置が備える誘導指令入力装置)の通信チャネルとが対応付けられたテーブルを備えていることが好ましい。このようなテーブルを備えていることにより、両者間の通信を確実に確立させることができるとともに、速やかに通信を確立させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コンテナ搬送車のオペレータに対して、遠隔から的確な誘導指令を与えることが可能となるので、無人のヤードクレーンであってもコンテナ搬送車を正しい位置に停止させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1に示すコンテナヤードには、実際にコンテナCが段積みされて蔵置される蔵置エリア1と、有人のシャシ(コンテナ搬送車)Sを蔵置エリア1に沿って走行させるシャシ走行レーン2とが設けられており、蔵置エリア1とシャシ走行レーン2とを跨ぐようにヤードクレーン10が配置されている。蔵置エリア1とシャシ走行レーン2とは互いに平行に延在して設けられている。ヤードクレーン10及びヤードクレーン10の直下に停止されるシャシの誘導については、別個(遠隔)に設けられたオペレーション室(図示略)にいるオペレータによって遠隔操作される。これにより、ヤードクレーン10は、蔵置エリア1やシャシ走行レーン2の延在する方向に自走しながら所定位置に停止し、ヤードクレーン10の直下に設けられた走行レーン2の目標停止位置に誘導停止されたシャシSと蔵置エリア1との間でコンテナCの荷役を行う。
【0024】
ヤードクレーン10は、図2に示すように、門形の本体11と、本体の両脚部11a,11bにそれぞれ設けられた複数の走行輪12と、本体11の上部梁11c上を移動可能に設けられたトロリ13と、トロリ13からワイヤ14を介して吊り下げられたスプレッダ15とを備えている。走行輪12は、図示しない駆動装置によって回転駆動され、ヤードクレーン10を前後に走行させる。トロリ13は、上部梁11c上に沿って移動し、蔵置エリア1やシャシ走行レーン2の延在する方向に対して直交する方向にスプレッダ15を移動させる。
【0025】
スプレッダ15は、トロリ13からワイヤ14を巻き上げたり送り出したりすることで上下方向に移動する。さらに、スプレッダ15は、図3に示すように、コンテナCの上面の四隅にそれぞれ設けられた係止穴Caに、スプレッダ15の四隅にそれぞれ設けられたフックピン15aを挿入し、フックピン15aを90°回転させて係止穴Caにフックピン15aを係止させることでコンテナCを掴む。また、スプレッダ15は、前後のブーム15bを伸縮することで全長20フィート、40フィート、45フィートの各サイズのコンテナに対応することが可能である。
【0026】
ヤードクレーン10は、シャシ走行レーン2に停止している空のシャシSの直上に配置したコンテナCを下降させてシャシSに載せる作業、ならびにシャシ走行レーン2に停止しているシャシSに載せられたコンテナCの直上に配置したスプレッダ15を下降させてコンテナCを掴む作業については、遠隔に設置されたオペレーション室にいるオペレータの手動運転によって実施する。
【0027】
その他の作業、例えば蔵置エリア1に蔵置されたコンテナCをシャシSに載せるためにシャシ走行レーン2に停止している空のシャシSの直上まで搬送する作業や、スプレッダ15で掴んだコンテナCを搬送し蔵置エリア1の何処かに蔵置する作業については、オペレータを介在しない自動運転によって実施する。自動運転は蔵置エリア1上で、手動運転はシャシ走行レーン2上で行われるので、門形の本体11下の空間は、蔵置エリア1の上方の空間を自動運転領域、シャシ走行レーン2の上方の空間を手動運転領域というように認識される。
【0028】
また、シャシSについては、運転席に座ったシャシのオペレータにより運転が行われる。このとき、シャシSのオペレータは、ヤードクレーン10に設けられている移動通信装置から出力される誘導指令に基づいて、シャシSを運転することにより、ヤードクレーン10の直下に設けられている走行レーン2の目標停止位置にシャシSを確実に停止させる。
【0029】
ヤードクレーン10には、遠隔のオペレータによりヤードクレーンの操作並びにシャシSの誘導を可能とするため、移動通信装置20が設置されている。図4に示すように、移動通信装置20は、映像提供装置21と、指令出力装置22と、通信制御装置23とを備えて構成されている。
【0030】
映像提供装置21は、主に、荷役作業の状況及びシャシSの停止位置を撮影して、遠隔にあるオペレータ室へ送信するためのものであり、例えば、複数台のカメラ(撮影手段)210乃至218、及びカメラ210等により取得された映像信号を処理する映像処理部219、及びオペレータ室へ送信するための送信機(送信手段)220等を備えている。
指令出力装置22は、遠隔のオペレータ室からの操作指令や誘導指令を受信してシャシSのオペレータ等に通知するためのものであり、例えば、オペレータ室からの誘導指令等を受信する受信機(受信手段)221、受信した誘導指令を増幅する増幅器222、及び増幅した誘導指令を出力する出力部(通知手段)223を備えている。出力部223としては、誘導指令のデータ種別(音声、文字データ等)に応じて、スピーカや表示モニタ等が採用される。
通信制御装置23は、主に、映像提供装置21及び指令出力装置22が行うオペレータ室との通信を制御するために設けられており、例えば、ヤードクレーン10が手動運転領域に入ったときに、オペレータ室側に通信要求を発して、ヤードクレーン側とオペレータ室側との間での通信を確立させる。
【0031】
上述した映像提供装置21が備える複数のカメラ210乃至218は、例えば、以下のように配置されている。図1に示すように、ヤードクレーン10のトロリ13には、上方からスプレッダ15の全体を視野に収めるカメラ210と、同じく上方から本体11直下のシャシ走行レーン2を視野に収めるカメラ211とが設置されている。
【0032】
ヤードクレーン10の一方の脚部11aには、ほぼ中間の高さに、下降途中のコンテナCとシャシSとを斜め上方からひとつの視野に収めるカメラ212が設置されている。また、脚部11aには、走行輪12が設けられた下端にほぼ等しい高さに、コンテナCとシャシSとを側方からひとつの視野に収めるカメラ213、214が設置されている。カメラ213、214は、シャシSの前後に向けてそれぞれ設けられており、一方のカメラ213はシャシSの前端を視野に収め、他方のカメラ214はシャシSの後端を視野に収めるようになっている。
【0033】
スプレッダ15には、ビーム15bの先端に、コンテナCとスプレッダ15との連結部分を視野に収めるカメラ215乃至218が設置されている。カメラ215乃至128は、コンテナCの上面の四隅に向けてそれぞれ設けられており、スプレッダ15がコンテナCを掴んだ状態では、カメラ215はスプレッダ15の前左隅とコンテナCの上面及び下端の前左隅とをひとつの視野に収め、カメラ216はスプレッダ15の前右隅とコンテナCの上面及び下端の前右隅とをひとつの視野に収め、カメラ217はスプレッダ15の後左隅とコンテナCの上面及び下端の後左隅とをひとつの視野に収め、カメラ218はスプレッダ15の後右隅とコンテナCの上面及び下端の後右隅とをひとつの視野に収めるようになっている。なお、前後左右は図2に記した方向の表示に従う(以下も同様)。
【0034】
次に、図5に、ヤードクレーン10を遠隔操作するとともに、シャシSに対して誘導指令を出すための遠隔操作装置30を示す。この遠隔操作装置30は、コンテナヤード内に設けられたオペレータ室に設置されている。遠隔操作装置30には、ヤードクレーン10の各所に設置したカメラ210乃至218が捕らえた映像を表示する2つのモニタ(表示手段)31、32と、コンテナC、シャシS、ヤードクレーン10のリアルタイムの配置をアニメーション化して表示するサブモニタ33と、ヤードクレーン10の遠隔操作やシャシSの誘導を行うための遠隔操作卓34と、シャシSに対して誘導指令を入力するためのマイク(入力手段)35が設けられている。更に、遠隔操作装置30は、上述したクレーン装置10に設けられている移動通信装置20等と通信を行うための通信装置(映像信号取得手段)(図示略)を備えている。
【0035】
上記モニタ31、32には、画面を分割して複数の映像を同時に表示したり、ひとつの映像を全面に表示したりして、コンテナC、シャシS、スプレッダ15の様々な状態を捕らえた映像が、選択的に表示されるようになっている。
【0036】
上記遠隔操作卓34には、図6に示すように、映像選択スイッチ341、キーボード及びマウス342、安全確認ボタン343、操作卓開放スイッチ344、自動ボタン及び手動ボタン345、無線機(送信手段)346、警報347、ブザー348、割り当て通知スイッチ349、手動完了スイッチ350、操作スティック351、352等が設けられている。
【0037】
映像選択スイッチ341は、上記モニタ31、32に表示させる画像を切り替えるためのスイッチである。安全確認ボタン343は、オペレータがモニタに映し出された画面上で安全確認したことをシステム側に通知するためのボタンである。操作卓開放スイッチ344は、遠隔操作が終了したときにオペレータにより操作されるスイッチであり、このスイッチが操作されることにより、クレーン側との通信を終了させることが可能となる。
【0038】
自動ボタン及び手動ボタン345は、蔵地エリア1内もすべて遠隔操作による手動運転とするか、通常の自動運転との組合せとするかを選択設定する為のスイッチである。無線機346は、図4に示した指令出力装置22に対して誘導指令を送信する際に用いられる。警報347及びブザー348は、当該遠隔操作卓に操作割り当てがなされたときや、異常等が発生したときに、これらの事象をオペレータに通知するために設けられている。割り当て通知スイッチ349は、スイッチを入れておくことにより、当該遠隔操作卓34にヤードクレーン等の遠隔操作が割り当てられた際にブザー348が鳴るように設定するものである。手動完了スイッチ350は、遠隔手動のみで荷役を行う際に、作業完了を入力する際に使用するスイッチである。操作スティック351、352は、ヤードクレーンの荷役を操作するためのものである。
【0039】
次に、上記のように構成された遠隔操作システムによるコンテナの荷役作業について説明する。
【0040】
まず、コンテナヤードでは、複数台のヤードクレーン10が配置されて、それぞれが荷役を行う。また、オペレータ室には、上述した構成を備える遠隔操作装置30が複数台設置されている。これら複数台の遠隔操作装置30は、図示しない上位装置により管理されており、ヤードクレーン10が備える移動通信装置20から通信要求があった場合には、上位装置により一の遠隔操作装置30が選択され、この選択された遠隔操作装置30と通信要求元である移動通信装置20との通信が行われることとなる。
【0041】
以下、コンテナヤードの蔵置エリア1に蔵置されたあるコンテナCをシャシSに載せる作業を行う場合の遠隔操作、遠隔誘導について詳しく説明する。
ヤードクレーン10は、蔵置エリア1に蔵置されたあるコンテナCをシャシ1に載せる作業(「ジョブ」と呼ばれる)が指示されると、走行輪12を駆動させて自走し、荷役すべきコンテナCを門形の本体11の直下に置く目標位置まで移動する。目標位置まで移動している間に、ヤードクレーン10は、トロリ13を荷役すべきコンテナCの直上にあたる目標位置まで移動させる。なお、スプレッダ15は、コンテナCを掴んでいない状態ではワイヤ14をすべて巻き上げられて最も高い位置にまで吊り上げられている。
【0042】
ヤードクレーン10が目標位置まで移動して停止すると、荷役すべきコンテナCが蔵置された蔵置エリア1に沿うシャシ走行レーン2に、荷台が空のシャシSが進入し、門形の本体11の直下付近に停止する。
【0043】
シャシSが本体11の直下に停止すると、ヤードクレーン10は、ワイヤ14を送り出し、スプレッダ15を下降させて荷役すべきコンテナCを掴ませ、続いてスプレッダ15を上昇させてコンテナCを吊り上げる。次に、ヤードクレーン10は、コンテナCを吊り上げたトロリ13を、シャシ走行レーン2に停止させたシャシSの直上に移動させる。
ここまで、ヤードクレーン10の運転はすべて自動で行われる。
【0044】
コンテナCを吊り上げたトロリ13がシャシ走行レーン2の付近に配置されると、図7に示すように、ヤードクレーン10に設けられた移動通信装置20の通信制御装置23から上位装置へ遠隔操作装置の割り当て要求が送信され(ステップS1)、ヤードクレーンは遠隔操作装置からの手動運転待ちの状態となる。なお、上記割り当て要求には、通信制御装置23の識別情報が含まれている。
【0045】
割り当て要求を受けた上位装置は、現在空き状態である遠隔操作装置を検索し、空き状態にある一の遠隔操作装置30を選択する。そして、選択した遠隔操作装置30に対して、通信制御装置23の識別情報及びこの通信制御装置23への割り当て指令を出力する(ステップS2)。このようにして割り当て指令を受けた遠隔操作装置30では、上位装置より識別情報により指定のあった通信制御装置23に通信の接続を開始するとともに、遠隔操作装置30自身の識別信号を送信する。この通信の接続により当該遠隔操作装置30による操作指示内容が通信制御装置23へ伝えられるようになる(ステップS3)。
この通信の接続により遠隔操作卓34に設けられたブザー348が鳴り、当該遠隔操作装置30のオペレータに対して割り当てが通知される。
【0046】
このようにして移動通信装置20の通信制御装置23と遠隔操作装置30との通信が接続されると、移動通信装置20が備えるカメラ210乃至218により取得された映像信号が任意に選択されて遠隔操作装置30へ送信され、この映像信号が画像としてモニタ31、32に表示される(ステップS4)。また、通信制御装置23は、遠隔操作装置30の識別情報に基づいて、指令出力装置22の通信チャネルを設定する(ステップS5)。これにより、遠隔操作装置30からの誘導指令の受信が可能となる。
【0047】
このような通信の確立がなされると、ヤードクレーン10の自動運転がオペレータによる手動運転に切り替わるとともに、ヤードクレーン10の直下の走行レーン2に侵入しているシャシSの誘導が開始される。ここで、上記通信制御装置23による指令出力装置22の通信チャネルの設定は、例えば、通信制御装置23が前記遠隔誘導装置の識別情報と前記遠隔誘導装置の無線機(送信手段)346(図6参照)の通信チャネルとが対応付けられたテーブルを予め備えており、このテーブルを参照することにより行われる。このように、移動通信装置の通信制御装置23が遠隔操作装置と遠隔操作卓上の無線機346の通信チャネルとが対応付けられたテーブルを備えていることにより、両者間の通信を確実に確立させることができるとともに、速やかに通信を確立させることが可能となる。
【0048】
遠隔操作装置30のオペレータは、モニタ31、32に表示される様々な映像を確認しながら、シャシSが、荷役作業を行い得る状態にあるか否かを確認する。この結果、荷役作業を行い得る状態にない場合には、つまり、シャシSの停車位置がヤードクレーンの直下に設けられた目標停止位置からずれている場合には、シャシSを目標停止位置に停止させるべく、誘導指令を音声で入力する。この音声は、マイク36(図4参照)にて電気信号に変換され、この電気信号が変調等されて、無線機346(図6参照)を介して移動通信装置20へ送信される(ステップS6)。
【0049】
この誘導指令は、移動通信装置20の受信機221にて受信され、増幅器222により増幅され、出力部223としてのスピーカから音声として出力される。シャシSのオペレータは、スピーカから出力される誘導指令に従ってシャシSを運転することにより、ヤードクレーン10の直下に設けられた目標停止位置にシャシSを停車させる。
【0050】
遠隔操作装置30のオペレータは、モニタ31、32に映し出される映像をみることにより、目標停止位置にシャシSが停車したことを確認すると、続いて、モニタ31、32に表示される映像及びサブモニタ33に表示されるアニメーションを参照しながら操作スティック34、35を操作することにより、コンテナCを目標停止位置に止まっているシャシSの荷台に搭載する作業を行う。そして、遠隔操作装置30のオペレータは、コンテナCをシャシSの適正な位置に載せると、モニタ31、32の画面を見ながら、コンテナCをスプレッダ15から離す操作を行い、スプレッダ15がコンテナCから問題なく離間したか否かを確認する。
【0051】
スプレッダ15がコンテナCから問題なく離間したら、オペレータは、遠隔操作卓34に設けられている操作スティック34、35を操作しスプレッダ15を安全な高さまで巻き上げる。これにより、手動によるヤードクレーン10の運転が終了し、自動運転に切り替わり、ヤードクレーン10は次のジョブの実行に取り掛かる(ステップS7)。この自動運転への切り替わり後、スプレッダ15が自動運転領域へ入ると上位装置は遠隔操作装置に30に移動通信装置20との接続解除を指示し(ステップS8)、接続が解除された後は、当該遠隔操作装置30は、次の割り当て通知を受けるまで空き状態となる。
【0052】
また、オペレータは、自動領域に入る前に、遠隔操作卓34に設けられている操作卓開放ボタン344を押下する。これにより、移動通信装置20の通信制御装置23と遠隔操作装置30との通信が終了し、当該遠隔操作装置が開放となった旨の通知が遠隔操作装置30から上位装置に対してなされ、当該遠隔操作装置30は、次の割り当て通知を受けるまで空き状態とすることも出来る。
【0053】
次に、シャシSに搭載されたコンテナCを蔵置エリア1のある位置に降ろす作業について説明する。
ヤードクレーン10は、シャシSに搭載されたコンテナCを蔵置エリア1のある位置に降ろす作業が指示されると、まず、走行輪12を駆動させて自走し、荷役すべきコンテナCを門形の本体11の直下に配する目標位置まで移動する。目標位置まで移動している間に、ヤードクレーン10は、トロリ13をシャシ走行レーン2の直上に配する位置まで移動させる。なお、スプレッダ15は、コンテナCを掴んでいない状態ではワイヤ14をすべて巻き上げられて最も高い位置にまで吊り上げられている。
【0054】
ヤードクレーン10が目標位置まで移動して停止すると、蔵置エリア1に沿うシャシ走行レーン2に、コンテナCを載せたシャシSが進入し、門形の本体11の直下付近に停止する。ここまで、ヤードクレーン10の運転はすべて自動で行われる。
【0055】
シャシSが本体11の直下付近に停止すると、図7に示したステップS1からステップS5に従って移動通信装置20、上位装置、及び遠隔操作装置30の間で情報の授受が行われ、ステップS6にて、移動通信装置20の指令出力装置22と遠隔操作装置30との間で遠隔誘導及びヤードクレーンの遠隔操作が開始される。これにより、ヤードクレーン10の自動運転がオペレータによる手動運転に切り替わる。荷役作業を引き継いだオペレータは、モニタ31、32に表示される様々な映像を確認しながら、シャシSが、荷役作業を行い得る状態にあるか否かを確認する。
【0056】
この結果、荷役作業を行い得る状態にない場合には、つまり、シャシSの停車位置がヤードクレーンの直下に設けられた目標停止位置からずれている場合には、シャシSを目標停止位置に停止させるべく、誘導指令を音声で入力する。これにより、誘導指令は、音声データとして移動通信装置20の指令出力装置22へ送られ、指令出力装置22が備える出力部223から音声として出力されることとなる(ステップS6)。シャシSのオペレータは、スピーカから出力される誘導指令に従ってシャシSを運転することにより、ヤードクレーン10の直下に設けられた目標停止位置にシャシSを停車させる。遠隔操作装置30のオペレータは、目標停止位置にシャシSが停止したことを確認すると、遠隔操作卓34の操作スティック34、35を操作し、ワイヤ14を送り出してスプレッダ15を下降させ、更に、スプレッダ15に設けられたフックピン15aを係止させ、スプレッダ15でコンテナCを掴む操作を行う。
【0057】
スプレッダ15でコンテナCを掴んだら、オペレータは、モニタ31の画面を見ながら、コンテナCがスプレッダ15に問題なく掴まれてシャシSから離れたか否かを確認する。コンテナCがシャシSから離間したら、オペレータによる手動運転がヤードクレーン10の自動運転に切り替わり(ステップS7)、ヤードクレーン10は次のジョブの実行に取り掛かる。
【0058】
この自動運転への切り替わり後、スプレッダ15が自動運転領域へ入ると、上位装置は遠隔走査装置に30に移動通信装置20との接続解除を指示し(ステップS8)、接続が解除された後は、当該遠隔操作装置30は、次の割り当て通知を受けるまで空き状態となる。
また、オペレータは、自動領域に入る前に、遠隔操作卓34に設けられている操作卓開放ボタン344を押下する。これにより、移動通信装置20の通信制御装置23と遠隔操作装置30との通信が終了し、当該遠隔操作装置が開放となった旨の通知が遠隔操作装置30から上位装置に対してなされ、当該遠隔操作装置30は、次の割り当て通知を受けるまで空き状態とすることも出来る。
【0059】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る遠隔操作システムによれば、ヤードクレーン10の下方に設けられた目標停止位置の周辺に存在するシャシSがカメラ210乃至218により撮影され、この映像信号が遠隔誘導装置30へ送信される。これにより、ヤードクレーン10の下方に存在するシャシSの様子を遠隔に設置された遠隔誘導装置30のオペレータに対して提供することが可能となる。遠隔誘導装置30では、映像提供装置20から送られてくるシャシSの映像信号が画像として表示され、この画像を確認しながらオペレータにより発せられた誘導指令がマイク35(図5参照)により受け付けられる。この誘導指令は、ヤードクレーン10に取り付けられた指令出力装置22へ送られる。指令出力装置22では、遠隔誘導装置30から送信されてきた誘導指令をシャシSのオペレータに対して通知する。そして、コンテナ搬送車Sのオペレータがこの誘導指令に従ってシャシSの運転を行うことにより、目標停止位置に確実にシャシSを停止させることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、自動で遠隔操作装置30と移動通信装置20との間で情報の授受が行われることとしたが、このような例に限定されず、例えば、オペレータが遠隔操作卓34の手動開始ボタン345を操作することにより、オペレータの意思を確認してから、遠隔操作装置30と移動通信装置20との間の通信を確立させるような構成としても良い。
【0061】
また、遠隔操作装置30からではなく、遠隔操作装置30の識別情報等を上位装置から移動通信装置20へ送信するような構成としても良い。
また、上記実施形態においては、ヤードクレーンの台数と遠隔操作装置の台数とが異なっていたが、ヤードクレーン10と遠隔操作装置30とが同数になるように設置し、1対1対応で遠隔操作を行うような構成としても良い。
また、上記実施形態においては、指令出力装置22をヤードクレーン10に設置した場合について述べたが、この指令出力装置は、各コンテナ搬送車に設置されていても良い。また、音声により誘導指令を伝える手法のほか、画像、文字データなどにより誘導指令を通知するような構成としても良い。この場合、出力部223としては、表示モニタなどが採用される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態を示すコンテナヤードの一部の立面図である。
【図2】ヤードクレーンの斜視図である。
【図3】スプレッダをコンテナに連結する部分の構造を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る移動通信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】ヤードクレーンの遠隔操作装置を示す立面図である。
【図6】遠隔操作卓の概略構成を示す概観図である。
【図7】移動通信装置、遠隔操作装置、上位装置の間で行われる通信手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
2 シャシ走行レーン
10 ヤードクレーン
20 移動通信装置
21 映像提供装置
22 指令出力装置
23 通信制御装置
31乃至33 モニタ
34 遠隔操作卓
35 マイク
220 送信機
221 受信機
223 出力部
210乃至218 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置であって、
前記ヤードクレーンに取り付けられた映像提供装置から前記コンテナ搬送車の映像信号を取得する映像信号取得手段と、
前記映像信号を画像として表示する表示手段と、
前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を入力するための入力手段と、
前記誘導指令を前記ヤードクレーン又は前記コンテナ搬送車に取り付けられた指令出力装置へ送信する送信手段と
を備えるコンテナ搬送車の遠隔誘導装置。
【請求項2】
コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンに取り付けられる映像提供装置であって、
前記ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置の周辺に存在するコンテナ搬送車を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により取得された前記コンテナ搬送車の映像信号を、前記コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置に対して送信する送信手段と
を具備する映像提供装置。
【請求項3】
コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーン又はコンテナ搬送車に取り付けられる指令出力装置であって、
前記コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導装置から送信された前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を受信する受信手段と、
受信した誘導指令を前記コンテナ搬送車のオペレータに対して通知する通知手段と
を具備する指令出力装置。
【請求項4】
コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導システムであって、
前記ヤードクレーンに取り付けられる映像提供装置と、前記ヤードクレーンと離れた場所に設置されるコンテナ搬送車の遠隔誘導装置と、前記ヤードクレーン又は前記コンテナ搬送車に取り付けられる指令出力装置とを備え、
前記映像提供装置は、
前記ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置の周辺に存在するコンテナ搬送車を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により取得された前記コンテナ搬送車の映像信号を前記コンテナ搬送車の遠隔誘導装置に対して送信する送信手段とを有し、
前記コンテナ搬送車の遠隔誘導装置は、
前記映像提供装置から前記コンテナ搬送車の映像信号を取得する映像信号取得手段と、
前記映像信号を画像として表示する表示手段と、
前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を入力するための入力手段と、
前記誘導指令を前記指令出力装置へ送信する送信手段とを有し、
前記指令出力装置は、
前記コンテナ搬送車の遠隔誘導装置から前記コンテナ搬送車に対する誘導指令を受信する受信手段と、
受信した前記誘導指令を前記コンテナ搬送車のオペレータに対して通知する通知手段と
を有するコンテナ搬送車の遠隔誘導システム。
【請求項5】
コンテナヤード内で荷役を行うヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に、コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法であって、
前記ヤードクレーンの下方周辺に存在するコンテナ搬送車を撮影し、その映像信号を送信する過程と、
前記映像信号を受信して、表示する過程と、
遠隔操作を行うオペレータから、前記コンテナ搬送車を前記目標停止位置に誘導するための誘導指令を受け付ける過程と、
前記誘導指令を前記コンテナ搬送車のオペレータに対して通知する過程と
を具備するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法。
【請求項6】
コンテナヤード内で荷役を行う複数のヤードクレーン又は複数のコンテナ搬送車に設けられた複数の移動通信装置と、前記ヤードクレーンから離れた場所に設けられた複数の遠隔誘導装置と、複数の前記遠隔誘導装置を管理する上位装置との間で、互いに情報を授受することにより、一の前記ヤードクレーンの下方に設けられた目標停止位置に一の前記コンテナ搬送車を遠隔から誘導するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法であって、
一の前記ヤードクレーンが所定の作業を開始する際に、前記移動通信装置から前記上位装置に対して、前記遠隔誘導装置の割り当て要求を行う過程と、
前記割り当て要求に対して、前記上位装置が一の前記遠隔誘導装置を割り当てる過程と、
割り当てられた一の前記遠隔誘導装置が前記移動通信装置に対して自己の識別情報を送信する過程と、
前記移動通信装置が前記遠隔誘導装置の識別情報を受信するとともに、該識別情報に基づく通信チャネルを設定する過程と、
前記移動通信装置と前記遠隔誘導装置との間で、前記コンテナ搬送車の誘導に関する情報を授受することにより、前記コンテナ搬送車を前記目標停止位置に誘導する過程と
を具備するコンテナ搬送車の遠隔誘導方法。
【請求項7】
前記遠隔誘導装置の通信チャネルは固定されている請求項6に記載のコンテナ搬送車の遠隔誘導方法。
【請求項8】
前記移動通信装置は、前記遠隔誘導装置の識別情報と前記遠隔誘導装置の通信チャネルとが対応付けられたテーブルを備えている請求項7に記載のコンテナ搬送車の遠隔誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−91394(P2007−91394A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282038(P2005−282038)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】