説明

コンデンサ

【課題】放熱部品による放熱効果を十分に生かすことができ、電極板の発熱に伴うコンデンサ素子への悪影響を少なくすることができるコンデンサを提供する。
【解決手段】このコンデンサは、コンデンサ素子2及び電極板3、4を、上面開放の箱形に形成したケース1内に収納して樹脂5を充填してなり、電極板3、4を、ケース1の底面部6とコンデンサ素子2との間に配置して、その電極板3、4の外部接続用端子24、24を、ケース1の側面部8とコンデンサ素子2との間を通してケース1の開口部7から引き出している。そして、ケース1の底面部6外面に、放熱部品30を配設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンデンサ素子を電極板とともにケース内に収納して樹脂を充填してなるケース入りのコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のケース入りのコンデンサの構造を示している。このコンデンサは、上面開放の箱形に形成された樹脂製ケース50内に、コンデンサ素子51及び一対の電極板52、53を収納して、そのケース50内にエポキシ樹脂等の樹脂54を充填することによって構成されている。
【0003】
電極板52、53は、絶縁体55を介して重ね合わされた状態で、ケース50の開口部56側においてコンデンサ素子51の表面を覆うようにして配置されている。そして、電極板52、53から延出した内部接続用端子57・・がコンデンサ素子51のメタリコン電極58、58に接続され、外部接続用端子59、59がケース50の開口部56から引き出されている。
【0004】
このようなコンデンサ素子の表面を覆うようにして電極板を配置した構造のコンデンサとしては、例えば特許文献1にも開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−5467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなコンデンサでは、電極板52、53を重ね合わせることで、電極板52、53部分の低インダクタンス化を図って発熱を抑えているものの、電極板52、53の発熱量が大きい場合には、その熱によってコンデンサ素子51に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0007】
そこで、例えばケース50の底面部外面に放熱部品60を配設して、放熱を促すといった対策が講じられている。しかしながら、上記のように電極板52、53がコンデンサ素子51の表面を覆うようにしてケース50の開口部56側に配置されている場合、電極板52、53の熱は、そのほとんどがコンデンサ素子51を介して放熱部品60へ逃げることになり、特にコンデンサ素子51の表面付近は依然として温度上昇を免れず、受熱による影響を受け易いといった不具合があった。すなわち、従来の構造においては、放熱部品60を折角設けたにもかかわらず、その放熱効果を十分に生かし切れていないといった問題があった。
【0008】
この発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、放熱部品による放熱効果を十分に生かすことができ、電極板の発熱に伴うコンデンサ素子への悪影響を少なくすることができるコンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明のコンデンサは、コンデンサ素子2及び電極板3、4を、上面開放の箱形に形成したケース1内に収納して樹脂5を充填してなり、前記電極板3、4を、前記ケース1の底面部6と前記コンデンサ素子2との間に配置して、その電極板3、4の外部接続用端子24、24を、前記ケース1の側面部8と前記コンデンサ素子2との間を通して前記ケース1の開口部7から引き出したことを特徴とする。
【0010】
具体的に、前記電極板3、4は、前記コンデンサ素子2に設けた一対の電極部10、10のうちの一方に接続する正極側電極板3と、前記一対の電極部10、10のうちの他方に接続する負極側電極板4とを備え、これら正極側電極板3と負極側電極板4とを絶縁体20を介して重ね合わしている。また、前記ケース1の底面部6外面に、放熱部品30を配設している。
【発明の効果】
【0011】
この発明のコンデンサにおいては、ケースの底面部とコンデンサ素子との間に電極板を配置しているので、ケースの底面部外面に放熱部品を配設することで、電極板と放熱部品との間にコンデンサ素子を介在させないようにして、電極板において生じた熱を放熱部品へ効率良く逃がすことができる。これにより、電極板の発熱量が大きい場合でも、放熱部品の放熱効果を十分に生かして、コンデンサ素子の温度上昇を効果的に抑えることができ、電極板の発熱に伴うコンデンサ素子への悪影響を軽減して、コンデンサの長寿命化を図ることができる。
【0012】
また、正極側電極板と負極側電極板とを絶縁体を介して重ね合わせることで、この重ね合わせ部分において電流が互いに逆方向に流れて、電流により生じる磁界が一部相殺され、低インダクタンス化を図って発熱を抑えることができ、コンデンサ素子の受熱による影響をより一層低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明のコンデンサの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。この発明の一実施形態に係るコンデンサは、図1乃至図3に示すように、樹脂製ケース1内に、コンデンサ素子2及び電極板3、4を収納して、そのケース1内に例えばエポキシ樹脂等の樹脂5を充填することによって構成されている。
【0014】
ケース1は、上面開放の箱形に形成されており、略長方形状の底面部6と、この底面部6の周端から立ち上がった方形枠状の側面部8とからなり、底面部6と対向する側を開放してなる開口部7を有している。
【0015】
コンデンサ素子2は、例えば積層形又は巻回形のフィルムコンデンサ素子であって、薄肉偏平な略直方体状に形成されている。このコンデンサ素子2の相対する厚み方向に沿った側面には、電極部としてのメタリコン電極10、10が夫々形成されている。そして、コンデンサ素子2は、そのメタリコン電極10、10がケース1の側面部8に対向した状態で、ケース1内に収納されている。
【0016】
電極板3、4は、正極側電極板3と負極側電極板4とを備えており、これら正極側電極板3と負極側電極板4は、その厚み方向に絶縁体20を介して重ね合わされた状態で、ケース1の底面部6とコンデンサ素子2との間にこれらと略平行に配置されている。
【0017】
正極側電極板3は、1mm程度の厚みを有する略長方形状の本体部21と、この本体部21の一端部から略L字状に延びて、その先端部が一方のメタリコン電極10に半田22、22付けされた一対の内部接続用端子23、23と、本体部21における一端部と直交する端部から略L字状に延びて、ケース1の側面部8とコンデンサ素子2との間を通ってケース1の開口部7から外方へ引き出された外部接続用端子24とを備えている。
【0018】
負極側電極板4は、1mm程度の厚みを有する略長方形状の本体部21と、この本体部21の一端部と平行な他端部から正極側電極板3の内部接続用端子23、23とは相対する方向へ略L字状に延びて、その先端部が他方のメタリコン電極10に半田22、22付けされた一対の内部接続用端子23、23と、本体部21における他端部と直交する端部から正極電極板3の外部接続用端子24と同方向へ略L字状に延びて、ケース1の側面部8とコンデンサ素子2との間を通ってケース1の開口部7から外方へ引き出された外部接続用端子24とを備えている。
【0019】
このようにケース1内において設けられた正極側及び負極側電極板3、4は、そのケース1から突出した外部接続用端子24、24が図示しない外部電極に夫々接続される。この配線状態において、電極板3、4の絶縁体20を介して互いに重ね合わされた本体部21、21には、電流が互いに逆方向に流れることになり、電流により生じる磁界が一部相殺されて、ケース1内部の配線インダクタンスを低減して、発熱を抑えることができる。
【0020】
また、コンデンサ素子2と電極板3、4の本体部21、21との間には、例えば1mm以上の隙間が形成されていて、その隙間には樹脂5が介在された状態となっており、コンデンサ素子2への受熱の影響を軽減している。
【0021】
さらに、上記コンデンサにおいては、ケース1の底面部6の外面に、例えば水冷式の放熱部品30が配設されている。すなわち、ケース1の底面部6の外面が放熱部品30の冷却面に面接触されていて、コンデンサの熱を放熱部品30に逃がすようになっている。
【0022】
上記構成のコンデンサにおいて、電極板3、4が発熱すると、その熱の一部は、電極板3、4とケース1の底面部6との間の樹脂5を介してケース1の底面部6に伝わり、低温側の放熱部品30へ逃げることになる。また、残りの熱が、電極板3、4とコンデンサ素子2との間の樹脂5を介して、或いは、内部接続用端子23・・を介してコンデンサ素子2に伝わることになる。
【0023】
すなわち、電極板3、4の熱が分散して伝導することになり、しかもその熱の一部は、コンデンサ素子2を介することなく低温側の放熱部品30へ逃げることになるので、従来のようにケースの開口部側に電極板を配置する場合と比べて、放熱部品による放熱効果を十分に生かしてコンデンサ素子2の温度上昇を抑えることができ、コンデンサ素子2の受熱による影響を軽減することができる。
【0024】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施形態に係るコンデンサの縦断面図である。
【図2】同じくその分解斜視図である。
【図3】同じくその斜視図である。
【図4】従来のコンデンサの縦断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1・・ケース、2・・コンデンサ素子、3・・正極側電極板、4・・負極側電極板、5・・樹脂、6・・底面部、7・・開口部、8・・側面部、10・・電極部、20・・絶縁体、24・・外部接続用端子、30・・放熱部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子(2)及び電極板(3)(4)を、上面開放の箱形に形成したケース(1)内に収納して樹脂(5)を充填してなるコンデンサにおいて、前記電極板(3)(4)を、前記ケース(1)の底面部(6)と前記コンデンサ素子(2)との間に配置して、その電極板(3)(4)の外部接続用端子(24)(24)を、前記ケース(1)の側面部(8)と前記コンデンサ素子(2)との間を通して前記ケース(1)の開口部(7)から引き出したことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記電極板(3)(4)は、前記コンデンサ素子(2)に設けた一対の電極部(10)(10)のうちの一方に接続する正極側電極板(3)と、前記一対の電極部(10)(10)のうちの他方に接続する負極側電極板(4)とを備え、これら正極側電極板(3)と負極側電極板(4)とを絶縁体(20)を介して重ね合わした請求項1記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記ケース(1)の底面部(6)外面に、放熱部品(30)を配設した請求項1又は2記載のコンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−134612(P2007−134612A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328309(P2005−328309)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(390022460)株式会社指月電機製作所 (99)
【Fターム(参考)】