説明

コンバインの刈高さ制御装置

【課題】コンバインの刈高さ制御装置において、穀稈の刈高さの変動を少なくし、刈取搬送部の地面への突込みを防止する。
【解決手段】接地センサSE1と刈高さポジションセンサSE2とで刈取搬送部の刈高さを設定機体高さに昇降制御する刈取搬送部昇降制御手段を備え、接地センサSE1が刈取搬送部の地面への接地を検出すると、接地センサSE1が接地検出をしなくなるまで刈取搬送部を所定高さに上昇させる。次いで、上昇後所定時間あるいは所定距離走行した後に、刈取搬送部を設定対機体高さまで低速で下降させるコントローラ20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈高さ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの刈高さ制御装置において、刈取部の対地高さが目標対地高さになるように昇降操作手段を制御する刈取昇降制御、並びに、刈取部の水平基準面に対する傾斜角が目標傾斜角に維持されるように姿勢変更手段の作動を制御する姿勢制御を実行する制御手段を備えたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術のものでは、対機体高さセンサ、対地高さセンサの検出値が目標高さからずれると、刈取部を昇降制御する構成であるので、湿田での刈取作業では耕盤の安定しない場合には頻繁に昇降制御を繰り返すという不具合が発生することがあった。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、刈取搬送部(7)の接地を検出する接地センサ(SE1)と、刈取搬送部(7)の対機体高さを検出する刈高さポジションセンサ(SE2)を備え、刈取搬送部(7)を設定された対機体高さに昇降制御する刈取搬送部昇降制御手段を備えたコンバインにおいて、前記接地センサ(SE1)が刈取搬送部(7)の接地を検出すると、該接地センサ(SE1)が接地を検出しなくなるまで刈取搬送部(7)を所定高さまで上昇させ、その後所定時間あるいは所定距離走行する間に前記接地センサ(SE1)が接地検出をしない場合に、刈取搬送部(7)を前記設定された対機体高さまで低速で下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とするコンバインの刈高さ制御装置とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記刈取搬送部(7)の昇降制御中に前記接地センサ(SE1)が刈取搬送部(7)の接地を検出した後、接地検出をしなくなるまで前記刈取搬送部(7)を所定高さまで上昇させるまでの間に再び前記接地センサ(SE1)が接地検出した場合には、前記接地センサ(SE1)が接地検出をしなくなるまで前記刈取搬送部(7)を上昇させ、次いで所定時間あるいは所定距離走行した後に、前記刈取搬送部(7)を前記設定された対機体高さまで低速で下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈高さ制御装置とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、車体の前後傾斜角度を検出する車体ピッチングセンサ(SE5)を備え、走行車体を所定の姿勢にピッチング制御するピッチング制御手段を備えたコンバインにおいて、前記刈取搬送部昇降制御手段の昇降制御中に前記接地センサ(SE1)が前記ピッチング制御により接地検出をしたと判定した場合には、前記接地センサ(SE1)が接地検出をしなくなるまで刈取搬送部(7)を上昇させ、その後に走行車体のピッチング制御が水平に戻るに従い、刈取搬送部(7)を設定された対機体高さまで徐々に下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインの刈高さ制御装置とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、車体ローリングセンサ(SE4)を備え、走行車体をローリング制御するローリング制御手段を具備するコンバインにおいて、前記刈取搬送部昇降制御手段の昇降制御中に前記ローリング制御により前記接地センサ(SE1)が接地検出をしたと判定した場合には、前記接地センサ(SE1)が接地検出をしなくなるまで前記刈取搬送部(7)を上昇させ、その後に走行車体のローリング制御が水平に戻るに従い、前記刈取搬送部(7)を設定した対機体高さまで徐々に下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバインの刈高さ制御装置とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、刈取搬送部(7)が刈高さ昇降制御中に地面に突っ込むこともなく、穀稈の刈高さの変動を少なくしながら安定した刈取作業を行うことができる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、刈取搬送部(7)の上昇下降の繰り返しを抑制し、安定した刈高さ制御を行うことができる。
請求項3記載の発明によると、走行車体のピッチング制御中でも刈取搬送部(7)の刈高さを設定した対機体高さまで迅速に制御しながら、刈取搬送部(7)の地面への突込みを防止し安定した刈取作業を行うことができる。
【0011】
請求項4記載の発明によると、走行車体のローリング制御中でも刈取搬送部(7)の刈高さを設定した機体高さに迅速に制御しながら、刈取搬送部(7)の地面への突込みを防止して安定した刈取作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】接地センサの側面図である。
【図5】接地センサの側面図である。
【図6】制御ブロック図である。
【図7】フローチャートである。
【図8】フローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づきこの発明の実施例について説明する。
まず、図1及び図2に基づき本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。コンバインの走行車台1の下方には左右クローラ走行装置2,2を配設し、走行車台1上には、右側前部に座席付きの操縦部3を、その後方にはエンジン(図示省略)及び穀粒収納用のグレンタンク4を配設し、走行車台1の左側部に脱穀部5を搭載し、走行車台1の前側部には刈取搬送部7を昇降自在に設け、脱穀部5及びグレンタンク4の後方に排稾処理装置8を設けている。
【0014】
前記刈取搬送部7には、左右方向に並列配置している複数の分草杆11,…、穀稈引起し装置12、…、刈刃装置13、穀稈掻込搬送装置(図示省略)、穀稈集送搬送装置(図示省略)、穀稈搬送装置15等により構成されている。
【0015】
前記構成により、コンバイン1の回転各部を駆動し刈取作業を開始すると、クローラ走行装置2,2が回転してコンバイン1は走行を開始し、圃場の穀稈は刈取搬送部7前側部の分草杆11,…により穀稈条列毎に分草されながら穀稈引起し装置12,…に案内され、穀稈引起し装置12,…の引起しラグ12a,…により引き起される。引起された穀稈は刈刃装置13により刈り取られ、穀稈掻込搬送装置(図示省略)、穀稈集送搬送装置(図示省略)により左右両側から中央部に集送され、次いで、穀稈搬送装置15に引き継がれて後方に搬送され、脱穀部5のフィードチエン16に引き継がれ脱穀部5で脱穀される。
【0016】
次に、図3〜図5に基づき刈取搬送部7の刈高さ制御装置について説明する。
図3に示すように、マイクロコンピュータを内蔵しているコントローラ20の入力側には、入力インターフェイスを経由して、接地センサ制御入切スイッチSW1、刈取搬送部7の接地を検出する接地センサSE1、刈取搬送部7の対機体高さを検出する刈高さポジションセンサSE2、コンバインの車速を検出する車速センサSE3、車体のローリング状態を検出する車体ローリングセンサSE4、車体のピッチング状態を検出する車体ピッチングセンサSE5、接地センサSE1の感度調節をする接地センサ感度調節ダイヤル22、刈取・脱穀クラッチレバーの入切を検出する刈取・脱穀クラッチスイッチSW2を、それぞれ接続している。
【0017】
また、コントローラ20の出力側には、出力インターフェイスを経由して、刈取昇降制御弁作動用の刈取上昇ソレノイドSL1,刈取下降ソレノイドSL2、刈取搬送部7の昇降速度を調節する刈取昇降用比例流量弁21、車体ローリング制御弁作動用の車体左上昇ソレノイドSL3,車体左下降ソレノイドSL4、車体右上昇ソレノイドSL5,車体右下降ソレノイドSL6、車体ピッチング制御弁作動用の車体後上昇ソレノイドSL7,車体後下降ソレノイドSL8を、それぞれ接続している。
【0018】
なお、接地センサSE1は、図4に示すように、例えば刈取搬送部7の分草杆11の先端部下方に取り付けている。
次に、前記構成の制御内容について説明する。
【0019】
刈取搬送部7の刈高さ制御中に接地センサSE1が刈取搬送部7の接地を検出すると、接地センサSE1が接地を検出しなくなるまで刈取搬送部7を上昇させ、次いで、刈取搬送部7を設定した対機体高さまで低速で下降させる。
【0020】
前記構成によると、刈取搬送部7の刈高さ制御中に地面に突っ込むこともなく、穀稈の刈高さの変動を少なくしながら安定した刈取作業をすることができる。
また、前記刈高さ制御において、接地センサSE1が刈取搬送部7の接地を検出し、次いで接地を検出しなくなるまで刈取搬送部7を上昇させるまでの間に、接地センサSE1が再度の接地検出をすると、接地センサSE1が接地を検出しなくなるまで刈取搬送部7を更に上昇させ、その上昇高さを維持させる。次いで、所定時間あるいは所定距離走行した後に、刈取搬送部7を設定した対機体高さまで低速で下降させる。
【0021】
前記構成によると、刈取搬送部7の刈高さ制御中に上昇下降の繰り返しを抑制し、安定した刈高さ制御をすることができる。
また、前記刈高さ制御中において、車体のピッチング制御により接地センサSE1が接地検出をしたと判定した場合には、接地センサSE1が接地を検出しなくなるまで刈取搬送部7を上昇させる。そして、その後に車体のピッチング制御状態が順次水平に戻るに従い、刈取搬送部7を元の設定機体高さまで徐々に下降させるようにしている。
【0022】
前記構成によると、車体のピッチング制御中でも刈取搬送部7の刈高さを設定対機体高さに迅速に移動させ、刈取搬送部7の地面への突込みを防止し安定した刈取作業をすることができる。
【0023】
また、前記刈高さ制御中において、車体のローリング制御により接地センサSE1が接地検出をしたと判定した場合には、接地センサSE1が接地を検出しなくなるまで刈取搬送部7を上昇させる。そして、その後に車体のローリング制御状態が順次水平に戻るに従い、刈取搬送部7を徐々に元の設定対機体高さまで下降させるようにしている。
【0024】
前記構成によると、車体のローリング制御中でも対機体刈高さを設定機体高さに迅速に移動させ、刈取搬送部7の地面への突込みを防止し安定した刈取作業をすることができる。
【0025】
また、接地センサ制御入切スイッチSW1がONのときには、接地センサSE1による刈取搬送部7の昇降制御を実行する。また、刈取作業中であるか否かを、例えば、刈取・脱穀クラッチの入切により検出し、刈取・脱穀クラッチスイッチSW2が切りで、且つ、例えば高速走行の非刈取作業の場合でも、接地センサSE1が接地を検出すると、刈取搬送部7を上昇させる制御を実行し、刈取搬送部7の破損を防止するようにしている。
【0026】
また、前記接地センサSE1を感圧式に構成し、接地圧力の強弱に基づく電気抵抗値の変化により接地検出するように構成している。そして、接地センサSE1の検出感度を調節する接地感度調節ダイヤル22を設けている。しかして、湿田等の軟らかい圃場での刈取作業の場合にも、接地センサSE1の検出感度を敏感側に調節することにより、接地検出を安定させ、適正な刈高さ制御をすることができる。
【0027】
また、接地センサSE1による刈取搬送部7の前記刈高さ制御中において、車体ローリング制御における一定角度以上への変動回数が所定時間に所定回数より多い場合には、コントローラ20の指令により、接地センサSE1の検出感度を敏感側に補正するようにしている。従って、湿田等の軟らかい圃場で車体ローリング制御をしながら刈取作業をしている場合にも、操作を簡単にしながら、接地センサSE1による接地検出を安定させ、適正な刈高さ制御をすることができる。
【0028】
また、接地センサSE1による刈高さ制御中において、車体ピッチング制御における一定角度以上への変動回数が所定時間内に所定回数より多い場合には、コントローラ20の指令により、接地センサSE1の検出感度を敏感側に補正するようにしている。従って、湿田等の軟らかい圃場で車体ピッチング制御をしている場合にも、操作を簡単にしながら、接地センサSE1による接地検出を安定させ、適正な刈高さ制御をすることができる。
【0029】
また、接地センサSE1による刈高さ制御中において、車速に対応してコントローラ20の指令により接地センサSE1の検出感度を補正するように構成し、車速が速いほど敏感側に補正するようにしている。従って、湿田等の軟らかい圃場での刈取作業でも、刈取搬送部7の地面への突込みを防止することができる。
【0030】
次に、図5に基づき接地センサSE1の取付構成の他の実施例について説明する。
刈取フレーム23の前後支持棒24,24に、センサブラケット25を介して接地センサSE1を上下方向に移動自在に取り付け、バネ26,26により下方へ押圧付勢し、接地センサSE1に一定以上の力が作用すると、上昇側に退避し、接地センサSE1の破損を防止するようにしている。
【0031】
次に、図6及び図7に基づき汎用コンバインにおける刈取搬送部7の刈高さ制御について説明する。
図6に示すように、マイクロコンピュータを内蔵しているコントローラ20の入力側には、刈取・脱穀クラッチレバーの入切を検出する刈取・脱穀クラッチスイッチSW11、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12、刈高さ制御自動入切(対機体高さ)スイッチSW13、刈高さ平行制御自動入切スイッチSW14、車体水平制御自動入切スイッチSW15、刈取搬送部7の対機体高さを検出する刈取搬送部対機体高さセンサSE11、刈取搬送部7の左側部の接地を検出する刈取左接地センサSE12、刈取搬送部7の右側部の接地を検出する刈取右接地センサSE13、コンバインの車速を検出する車速センサSE14を、入力インターフェイスを介して接続している。
【0032】
また、コントローラ20の出力側には、出力インターフェイスを経由して、昇降油圧バルブの車高左昇降用ソレノイドSL11,SL12、昇降油圧バルブの車高右昇降用ソレノイドSL13,14、刈取搬送部7昇降用の昇降油圧バルブの昇降用ソレノイドSL5,SL16をそれぞれ接続している。
【0033】
前記構成によると、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12を入りにすると、コントローラ20の指令により、刈取搬送部7が所定の対地高さを保持するように刈高さ制御される。
【0034】
また、刈高さ自動入切(対機体高さ)スイッチSW13を入りにすると、コントローラ20の指令により、刈取搬送部7が所定の機体高さを保持するように刈高さ制御される。
また、刈高さ平行制御自動入切スイッチSW14を入りにすると、コントローラ20の指令により、刈取搬送部7が左右平行状態で所定の高さを保持するように刈高さ制御される。
【0035】
また、車体水平制御自動入切スイッチSW15を入りにすると、コントローラ20の指令により、車体を水平に保持しながら刈取搬送部7が刈高さ制御される。
また、刈高さ自動入切スイッチ(対地高さ)SW12をONにすると、コントローラ20の指令により、刈取左右接地センサSE11,SE12の検出値の差を検出し、刈取搬送部7の刈刃装置刈取面が地面に対して左右平行となるように車体のローリング制御をする所謂対地平行制御機能を有している。そして、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12がONのときには、刈取左右接地センサSE11,SE12による刈取搬送部7の刈刃装置を所定高さに制御する刈高さ自動制御も同時に有効とし、刈取搬送部7の刈刃装置の刈取面の左右平行制御と刈取搬送部7の対地高さ制御を同時に行なうようにしている。従って、単一の刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12の選択操作により、2種類の刈高さ制御を同時に有効にすることができる。
【0036】
また、刈高さ自動入切(対機体高さ)スイッチSW13のONのときには、刈取搬送部7の刈取左右接地センサSE11,SE12の検出値の差を検出し、車体が左右平行となるように車体のローリング制御を行なう。そして、車体水平自動入切スイッチSW15がONのときには、刈取左右接地センサSE11,SE12のによる刈取搬送部7の刈高さ制御も同時に有効とし、車体水平制御と刈取搬送部7の対機体刈高さ制御を同時に行なうようにしている。従って、単一の車体水平自動入切スイッチSW15の選択操作により、2種類の刈高さ制御を同時に有効にし、刈取搬送部7で安定した刈取作業をすることができる。
【0037】
また、刈取搬送部7の刈高さ制御として、刈取左右接地センサSE11,SE12による対地刈高さ制御(低刈モード)と、対機体高さ制御(高刈制御モード)を選択実行可能時には、高刈制御モードを選択実行中に刈取対地平行制御または車体水平制御が選択されても、低刈モードに変更できないようにしている。
【0038】
図7に示すように、本制御が開始すると、刈取・脱穀クラッチレバーが入りか否かを判定し(ステップS1)、Yesであると、刈高さ自動入切(対機体高さ)スイッチSW13がONか否かを判定し(ステップS2)、Yesであると、刈取搬送部7の対機体高さ基準による刈高さ制御を実行する(ステップS3)。
【0039】
また、Noであると、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12がONか否かを判定し(ステップS4)、Yesであると、前記低刈モードの刈高さ制御を実行する(ステップS7)。また、Noであると、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12がONか否かを判定し(ステップS5)、Yesであると、前記低刈モードの刈高さ制御を実行する(ステップS7)。また、Noであると、車体水平自動入切スイッチSW15がONか否かを判定し(ステップS6)、Yesであると、前記低刈モードの刈高さ制御を実行する(ステップS7)。
【0040】
前記構成によると、刈取搬送部7の刈高さ制御が車体水平制御と連携しなくても支障がない場合には、自動切換しえないので刈高さ制御を簡単にすることができる。
また、刈取・脱穀クラッチスイッチSW11がONの状態では、刈取左右接地センサSE11,SE12のいずれか一方がONで、一定速度以上の作業速度で走行開始をしたときには、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12,刈高さ自動入切(対機体高さ)スイッチSW13のON/OFFにかかわらず、刈取搬送部7の刈高さ自動制御の対地高さ制御を有効としている。
【0041】
前記構成によると、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12,刈高さ自動入切(対機体高さ)スイッチSW13の入力を忘れた場合にも、刈取搬送部7が接地したときには刈高さ自動制御を実行することができ、刈取搬送部7が地面に突っ込むような危険を回避することができる。
【0042】
また、刈高さ自動制御として対機体高さ制御(高刈取モード)がONになっている場合には、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12を自動的にONさせないようにし、矛盾する自動制御を強制的に牽制し、誤操作を防止するようにしている。
【0043】
また、刈取搬送部7の対地高さ制御あるいは対機体高さ制御中において、刈取左右接地センサSE11,SE12が接地検出のない状態で所定距離(あるいは所定時間)以上を走行すると、刈高さ制御を強制的に解除するようにし、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12,刈高さ自動入切(対機体高さ)スイッチSW13の切り忘れを防止している。
【0044】
次に、図8によりその制御フローを説明する。
本制御が開始すると、刈取・脱穀クラッチレバーが入りか否かを判定し(ステップS11)、Yesであると、刈高さ自動入切(対機体高さ)スイッチSW13がONか否かを判定し(ステップS12)、Yesであると、刈取搬送部7の対機体高さ基準による高刈さ制御を実行する(ステップS13)。
【0045】
また、Noであると、左接地センサSE1が非接地検出か否かを判定し(ステップS14)、Yesであると、車速が例えば0.3m/Secより速いか否かを判定し(ステップS16)、Yesであると、終了監視距離のカウントを初期化する(ステップS17)。また、Noであると、右接地センサSE1が非接地検出か否かを判定し(ステップS15)、Yesであると、前記ステップS16、ステップS17に移行する。
【0046】
また、Noの場合には、刈高さ自動入切(対地高さ)スイッチSW12がONか否かを判定し(ステップS18)、Yesであると、前記低刈モードの刈高さ制御を実行する(ステップS21)。また、Noであると、車速センサSE14の検出値により走行距離のカウント処理を実行する(ステップS19)。次いで、終了監視距離通過か否かを判定し(ステップS20)、Noであると、前記低刈モードの刈高さ制御を実行し(ステップS21)、Yesであると、ステップS1に戻る。
【符号の説明】
【0047】
7 刈取搬送部
20 コントローラ
SE1 接地センサ
SE2 刈高さポジションセンサ
SE3 車速センサ
SE5 車体ピッチングセンサ
SE4 車体ローリングセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取搬送部(7)の接地を検出する接地センサ(SE1)と、刈取搬送部(7)の対機体高さを検出する刈高さポジションセンサ(SE2)を備え、刈取搬送部(7)を設定された対機体高さに昇降制御する刈取搬送部昇降制御手段を備えたコンバインにおいて、前記接地センサ(SE1)が刈取搬送部(7)の接地を検出すると、該接地センサ(SE1)が接地を検出しなくなるまで刈取搬送部(7)を所定高さまで上昇させ、その後所定時間あるいは所定距離走行する間に前記接地センサ(SE1)が接地検出をしない場合に、刈取搬送部(7)を前記設定された対機体高さまで低速で下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とするコンバインの刈高さ制御装置。
【請求項2】
前記刈取搬送部(7)の昇降制御中に前記接地センサ(SE1)が刈取搬送部(7)の接地を検出した後、接地検出をしなくなるまで前記刈取搬送部(7)を所定高さまで上昇させるまでの間に再び前記接地センサ(SE1)が接地検出した場合には、前記接地センサ(SE1)が接地検出をしなくなるまで前記刈取搬送部(7)を上昇させ、次いで所定時間あるいは所定距離走行した後に、前記刈取搬送部(7)を前記設定された対機体高さまで低速で下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈高さ制御装置。
【請求項3】
車体の前後傾斜角度を検出する車体ピッチングセンサ(SE5)を備え、走行車体を所定の姿勢にピッチング制御するピッチング制御手段を備えたコンバインにおいて、前記刈取搬送部昇降制御手段の昇降制御中に前記接地センサ(SE1)が前記ピッチング制御により接地検出をしたと判定した場合には、前記接地センサ(SE1)が接地検出をしなくなるまで刈取搬送部(7)を上昇させ、その後に走行車体のピッチング制御が水平に戻るに従い、刈取搬送部(7)を設定された対機体高さまで徐々に下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインの刈高さ制御装置。
【請求項4】
車体ローリングセンサ(SE4)を備え、走行車体をローリング制御するローリング制御手段を具備するコンバインにおいて、前記刈取搬送部昇降制御手段の昇降制御中に前記ローリング制御により前記接地センサ(SE1)が接地検出をしたと判定した場合には、前記接地センサ(SE1)が接地検出をしなくなるまで前記刈取搬送部(7)を上昇させ、その後に走行車体のローリング制御が水平に戻るに従い、前記刈取搬送部(7)を設定した対機体高さまで徐々に下降させるコントローラ(20)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバインの刈高さ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−273560(P2010−273560A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126689(P2009−126689)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】