説明

コンパクトなCTSフィードおよびMEMS位相シフタを有する広帯域二次元電子的走査アレイ

マイクロ電子機械システム(MEMS)の操縦可能な電子的に走査されるレンズアレイ(ESA)アンテナとその周波数走査方法とが開示されている。MEMS ESAアンテナは広帯域のフィードスルーレンズ11と、連続横断スタブ(CTS)フィードアレイ12とを含んでいる。広帯域のフィードスルーレンズ11は広帯域放射素子14の第1および第2のアレイと、その放射素子14の第1と第2のアレイとの間に配置されているMEMS位相シフタモジュール18のアレイとを含んでいる。連続横断スタブ(CTS)フィードアレイ12は近視野で平面波頭を与えるための放射素子14の第1のアレイに近接して配置されている。MEMS位相シフタモジュール18はCTSフィードアレイ12から放射されたビームを二次元で操縦する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子的に走査されるアンテナ、特にマイクロ電子機械システム(MEMS)無線周波数(RF)位相シフタを有する電子走査されるアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
改良された航空機上およびスペースベースのレーダシステムは数千の放射素子を含む電子的に走査されるアンテナ(ESA)を有している。例えば、多数のターゲットに同時に対応して動作する大型の射撃制御用レーダは必要なパワーアパーチャプロダクトを提供するためにESAを使用する。
【0003】
スペースベースのレンズアーキテクチャは航空機上およびスペースベースのレーダシステムでESAを実現するための1方法である。しかしながら、スペースベースのレンズアーキテクチャがさらに高い周波数、例えばX帯域で使用され、位相シフタのようなさらにアクチブなコンポーネントが所定の領域内でパッケージされるとき、重量、増加した熱密度、電力消費はこのようなシステムの価格と応用性に対して有害な影響を与えうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、電子的に走査されたレンズアレイアンテナの位相シフタ回路はフェライト、PINダイオード、FETスイッチ装置を含んでいる。これらの位相シフタは重く、相当量のDCパワーを消費し、高価である。また、PINダイオードとFETスイッチのRF位相シフタ回路への構成はRFパスに沿って付加的なDCバイアス回路を必要とすることにより複雑にされる。PINダイオードとFETスイッチにより必要とされるDC回路は位相シフタの周波数性能を限定し、RF損失を増加する。ESAを現在利用可能な送信/受信(T/R)モジュールに含ませることは、高いコストと不適切な熱放散と非効率的な電力消費のために望ましくない。要約すると、利用可能な位相シフタ回路の重量、コスト、性能は数千のこれらの装置が使用されるスペースベースのレーダおよび通信ESAに対して必要とされている要求に及ばない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はマイクロ電子機械システム(MEMS)の操縦可能な電子的に走査されるレンズアレイ(ESA)アンテナを提供する。本発明の1特徴によれば、MEMS ESAアンテナは広帯域のフィードスルーレンズと、連続横断スタブ(CTS)フィードアレイとを含んでいる。広帯域のフィードスルーレンズは広帯域放射素子の第1および第2のアレイと、その放射素子の第1および第2のアレイの間に配置されているMEMS位相シフタモジュールのアレイとを含んでいる。連続横断スタブ(CTS)フィードアレイは近視野において平面波頭を与えるために放射素子の第1のアレイに近接して配置されている。MEMS位相シフタモジュールはCTSフィードアレイから放射されるビームを二次元で操縦する。
【0006】
本発明の別の特徴によれば、無線周波数エネルギを周波数走査する方法が提供され、その方法は、無線周波数(RF)エネルギを連続横断スタブ(CTS)フィードアレイへ入力し、近視野で平面波の形態で複数のCTS放射素子を通ってRFエネルギを放射し、複数のMEMS位相シフタモジュールを含んでいる広帯域のフィードスルーレンズの入力アパーチャへRF平面波を放射し、RF波平面をディスクリートなRF信号へ変換し、RF信号を処理するためにMEMS位相シフタモジュールを使用し、広帯域のフィードスルーレンズの放射アパーチャを通ってRF信号を放射し、それによってRF信号を再結合して、アンテナビームを形成し、CTSフィードアレイに入力されたRF信号の周波数を変化させて広帯域のフィードスルーレンズのE平面におけるアンテナビームの角度位置を変化させ、アンテナビームによる周波数走査を行うステップを含んでいる。
【0007】
前述および関連する目的を実現するために、本発明は以下十分に説明され、特に特許請求の範囲で指摘されている特徴を有する。以下の説明と添付図面は本発明のある例示的な実施形態を詳細に説明している。しかしながら、これらの実施形態は本発明の原理が使用されることのできる種々の方法のうちの幾つかを示しているに過ぎない。本発明のその他の目的、利点、優れた特徴は図面を参照にして以下の詳細な説明から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、同一のコンポーネントはこれらが本発明の異なる実施形態で示されているか否かにかかわりなく、同一の参照符号を与えられている。本発明を明白で正確な方法で示すため、図面は必ずしも実寸大ではなく、ある特性はやや概略的な形態で示されている。
【0009】
最初に、図1乃至3を参照すると、本発明は二次元のマイクロ電子機械システム(MEMS)の操縦可能な電子的に走査されるレンズアレイアンテナ10(図3)であり、広帯域のフィードスルーレンズ11と、連続横断スタブ(CTS)フィードアレイ12とを含んでいる。広帯域のフィードスルーレンズ11は広帯域放射素子14aの後部アレイと、広帯域放射素子14bの前部アレイと、放射素子14aと14bの後部アレイと前部アレイとの間に挟まれているMEMS位相シフタモジュール18(図2)のアレイとを含んでいる。広帯域放射素子14aの後部アレイの近くに位置するCTSフィードアレイ12は近視野で平面波頭を提供する。MEMS位相シフタモジュール18はCTSフィードアレイ12から放射されたビームを二次元、即ちE面とH面で操縦し、したがってCTSフィードアレイ12は固定したビームだけを発生する必要がある。認識されるように、本発明は伝送線、電力分割器、共同するフィードアンテナにカスタムに関連する相互接続の必要性をなくす。
【0010】
アンテナ10は例えば飛行船、船、監視用航空機、宇宙船を含む商用および軍事用応用の両者で適している。図1はアンテナ10が適切に組込まれている幾つかの改良された航空機上およびスペースベースのレーダシステムの環境の図を示している。これらのシステムは例えば合成アパーチャレーダー(SAR)システム22用の軽重量のX帯域スペースベースレーダ、地上移動標的指示装置(GMTI)システム26、機上移動標的表示装置(AMTI)システム28を含んでいる。これらのシステムは実質的な数のアンテナを使用し、MEMS位相シフタモジュール18による本発明のアンテナ10はPINダイオードおよびFETスイッチ位相シフタまたは送信/受信(T/R)モジュールを使用する従来技術のアンテナと比較して比較的廉価で、比較的消費電力が少なく、軽重量であることが認められている。
【0011】
図2に示されているように、各MEMS位相シフタモジュール18は1対の対向する広帯域放射素子14間に挟まれている。示されている実施形態では、放射素子14は実質的に同一の幾何学形状を有し、MEMS位相シフタモジュール18および軸Aを中心として対称的に配置され、軸Aはアンテナ10、特にそのMEMS位相シフタモジュール18を介するフィード/放射方向を表している。認識されるように、代わりに、放射素子14は異なる幾何学形状を有し、および/またはMEMS位相シフタモジュール18および/またはフィード/放射軸Aを中心に非対称的に配置されることもできる。換言すると、前部または出力放射素子14bは後部または入力放射素子14aとは異なる幾何学形状を有することができる。
【0012】
広帯域放射素子14は長方形のベース部34、比較的狭いステム部38、アーチ型の末端部42を有する1対の蟹のはさみ状の突出部32を含んでいる。はさみ状の突出部32はアンテナ10の動作中に(例えばフィード/放射軸A方向で)RFエネルギがそれに沿って伝播するパスを与えるスロット36をその間に形成している。ここでは接地平面を指すベース部34は相互にフィード/放射軸Aを中心に近接し、フィード/放射軸Aの方向で位相シフタモジュール18の対向端部において位相シフタモジュール18に隣接している。共にベース部34はMEMS位相シフタモジュール18の幅と実質的に同一の幅を有する。ステム部38はそれぞれのベース部34よりも狭く、フィード/放射軸Aの方向でベース部34から突出し、またフィード/放射軸Aを中心に相互に近接している。湾曲した末端部42はフィード/放射軸A方向でそれぞれのステム部38から突出し、フィード/放射軸Aから離れるように側方に分岐し、相互に離れている。湾曲した末端部42は共にフィード/放射軸A方向で位相シフタモジュール18から外方向に開いているフレア状または湾曲したV形の開放部を形成する。広帯域のフィードスルーレンズ11の後端部にある広帯域の放射素子14のフレア状開放部はCTSフィードアレイ12から無線周波数(RF)エネルギを受信し、対応するスロット36に沿ってRFエネルギを対応するMEMS位相シフタモジュール18に伝播させる。広帯域のフィードスルーレンズ11の反対側または前端部の広帯域の放射素子14のフレア状開放部は対応するMEMS位相シフタモジュール18からのRFエネルギを対応するスロット36に沿って自由空間へ放射する。
【0013】
図3を参照すると、MEMS位相シフタ18は広帯域のフィードスルーレンズ11のアレイとして構成される。すなわち、広帯域のフィードスルーレンズ11はMEMS位相シフタ18の後方に入力放射素子14aのアレイを具備する入力放射アパーチャ54と、MEMS位相シフア18の前方に出力放射素子14bのアレイを具備する出力または放射アパーチャ58とを含んでいる。図3のフィードスルーレンズ11はMEMS位相シフタ18の4つの行と7つの列のアレイと、入力および出力放射素子14aおよび14bの4つの行と7つの列を有する。アレイは特定の応用で所望されるように、任意の適切な量のMEMS位相シフタ18と入力および出力放射素子14aおよび14bを具備できることが認識されよう。例えば図4では、広帯域のフィードスルーレンズ11は16個のMEMS位相シフタ18と、16個の入力および出力広帯域放射素子14aと14bを含んでいる。
【0014】
広帯域のフィードスルーレンズ11はCTSフィードアレイ12により供給スペースを与えられている。図3および4に示されているCTSフィードアレイ12は複数のRF入力62(図3の実施形態では4個)と、連続スタブ64と、連続スタブ64から広帯域のフィードスルーレンズ11の入力アパーチャ54の方向へ突出する複数のCTS放射素子68とを含んでいる。示されている実施形態では、CTS放射素子は、量において入力および出力放射素子14aおよび14bに対応している。また、示されている実施形態では、CTS放射素子68は入力放射素子14a間の横断間隔および出力放射素子14b間の横断間隔と実質的に同一の距離だけ横断方向で間隔を隔てられている。CTS放射素子68間の間隔は入力放射素子14a間の間隔と同一またはそれに対応する必要はないことが認識されるであろう。さらに、CTSフィードアレイ12のCTS放射素子68(即ち列)および/またはRF入力62(即ち行)は入力および出力放射素子14aと14bおよび/または広帯域のフィードスルーレンズ11のMEMS位相シフタモジュール18の列および行と同一および/またはそれらと整列するか対応する必要はないことが認識されるであろう。したがってCTSフィードアレイ12は例えば特定のアンテナ応用にしたがって広帯域のフィードスルーレンス11よりも多数または少数の行および/または列を有することができる。
【0015】
図5は図3のCTSフィードアレイ12のセグメントの断面図である。CTSフィードアレイ12はrexoliteまたはポリプロピレンのようなプラスティックから作られている誘電体70を含んでおり、図5に示されている形状に機械加工または突出される。誘電体70はその後連続スタブ64とCTS放射素子68とを形成するために金属層74で金属被覆される。CTSフィードアレイ12はそれ自体に自動推進製造動作で普通である高容量のプラスティック押出しおよび金属鍍金プロセスを施し、したがって廉価な製造を容易にしている。
【0016】
CTSフィードアレイ12はマイクロ波結合/放射アレイである。図5に示されているように、随意の構造の一次ラインフィードにより行われる入射平行導波体モードはそれらを、連続スタブ64の存在により中断される縦方向の電流成分と関連付け、したがってスタブ/平行プレートインターフェースを横切って縦方向のz方向に変位電流を励起する。この誘起された変位電流は、等価の電磁波が連続スタブ64中でCTS放射素子68へx方向で自由空間へ伝播するように励起する。このようなCTS非走査アンテナは94GHz程度の高さの周波数で動作することができることが発見されている。例示的なCTSフィードアレイに関するさらに詳細は米国特許第6,421,021号、第5,361,076号、第5,349,363号、第5,266,961号明細書を参照することができ、これらはここで全体的に参考文献とされている。
【0017】
動作において、RFエネルギはRF入力62からCTSフィードアレイ12の平行プレート導波体を介してCTS放射素子68へ直列に供給され、近視野で平面波の形態で放射される。RFエネルギがRF入力62からCTS放射素子68へ伝播する距離は等しくないことに注意すべきである。RF平面波はCTS放射素子68により広帯域のフィードスルーレンズ11の入力アパーチャ54へ放射され、その後、ディスクリートなRF信号へ変換される。そのRF信号はその後、MEMS位相シフタモジュール18により処理される。MEMS位相シフタに関するさらに詳細については、米国特許第6,281,838号、第5,757,379号、第5,379,007号明細書が参照され、これらはここで全体的に参考文献とされている。
【0018】
MEMS処理された信号はその後、広帯域のフィードスルーレンズ11の放射アパーチャ58を通って再放射され、これはRF信号を再結合して、操縦アンテナビームを形成する。このような直列で供給されるCTSフィードアレイ12では、アンテナビームは例えば図4の参照符号80で示されているように、周波数の関数としてE面78(図3)に沿って異なる角度位置で移動する。周波数が変化するとき、各CTS放射素子68の出力位相は異なるレートで変化し、結果として周波数の走査が行われる。
【0019】
別の実施形態では、広帯域周波数は共通の平行プレート導波体フィード(図示せず)を使用して並列でCTS放射素子68をフィードすることにより実現される。並列でCTS放射素子68をフィードすることにより、RFエネルギがRF入力62からCTS放射素子68へ伝播する距離は等しい。周波数が変化するとき、各CTS放射素子68の出力位相は実質的に同一のレートで変化し、したがって放射アパーチャ58を通って放射されたアンテナビームは固定位置に留まる。
【0020】
図6乃至10は広帯域放射素子14a、14bとMEMS位相シフタモジュール18のアレイの例示的な実施形態を示しており、ここでは広帯域放射素子14a、14bは印刷回路板(PCB)84上に製造され、MEMS位相シフタモジュール18は入力および出力放射素子14a、14b間でPCB84に取付けられている。各MEMS位相シフタモジュール18は例えばコバールから作られたハウジング86(図9)と、ハウジング86に取付けられた例えば2個の適当な数のMEMS位相シフタスイッチ(図示せず)とを含んでいる。MEMS位相シフタスイッチの数は特定の応用にしたがうことが認識されるであろう。
【0021】
1対のRFピン88と複数のDCピン92はハウジング86(図7)の平面に実質的に垂直な方向でハウジング86の底部から突出している。RFピン88はそれぞれ入力および出力放射素子14aと14bに対応する。RFピン88はPCB84の平面に垂直な方向でPCB84の厚さを通して延在し、それぞれのマイクロストリップ伝送線104(即ちバラン)に電気的に接続され、そのマイクロストリップ伝送線104は、RF MEMS位相シフタモジュール18が取付けられている面と反対側のPCB84の表面に取付けられている(図7および8)。伝送線104は入力および出力放射素子14aと14bへ電気的に結合されてそれらへ、またはそれらからRF信号を伝送する。示されている例示的な実施形態では、伝送線104はL型であり、それぞれの入力および出力放射素子14aと14bの長方形のベース部34(図2)におけるそれぞれのスロット36を横切って延在する1つの足部を有する。長方形のベース部34は伝送線104の接地平面として機能する。スロット36において、接地平面(即ち長方形部34)を横切って切断部が存在し、それは電圧の電位を発生して、それぞれの放射素子14aと14bのスロット36に沿ってRFエネルギを伝播させる。
【0022】
DCピン92もまたPCB84の厚さを通って延在し、DC制御信号およびバイアス線108に電気的に接続されている。DC制御信号およびバイアス線108はPCB84の中心に沿って経路を定められ、PCB84のエッジ110へ延在している。
【0023】
MEMS位相シフタモジュール18のハウジング86の平面に関するRFピン88とDCピン92の方向付けにより、RFピン88とDCピン92は垂直に設置されることが可能であることが認識されるであろう。このような垂直の相互接続特性は例えば同軸接続または外部ワイヤ結合を有する通常のMMICS、或いは多数のプロセス動作を必要とするエンドツーエンドタイプの接続を有するその他の通常のパッケージと比較して、MEMS位相シフタモジュール18の設置を比較的簡単にしている。垂直の相互接続は例えば表面の取付け、ピングリッドアレイ、またはBGAタイプのパッケージを可能にして取付けのフレキシビリティを与える。
【0024】
図10に示されているように、それぞれ広帯域フィードスルーレンズ11の行を表す多数のPCB84(示されている例示的な実施形態では8個)は積層されるか、列状に垂直に配置され、スペーサ114により隔てられることができる。このようにして、広帯域フィードスルーレンズ11のそれぞれの入力および放射アパーチャ54、58の入力および出力放射素子14a、14bは二次元で構成され、即ち入力および出力放射素子14a、14bの行および列の格子構造が形成される。格子の間隔は例えば特定の応用で所望される周波数および走査能力に基づいて選択されることができる。
【0025】
各PCB84のDC制御信号およびバイアス線108はコネクタ124と結合している。示されている実施形態では、8個のコネクタ124が存在する。コネクタ124は順番に接続ケース部132を介して共に電気的に結合され、接続ケーブル132はDC配電印刷配線ボード(PWB)138に接続されている。
【0026】
図9を参照すると、E平面およびH平面の二次元走査を行う特定用途用集積回路(ASIC)制御/ドライバ回路144は各位相シフタモジュール18のハウジング86内またはそれに取付けられる。ASIC回路144により隣接するMEMS位相シフタモジュール18のDC入力/出力が共に直列接続されることができる。ASIC回路144はそれが設置されているMEMS位相シフタモジュール18の個々のMEMS位相シフタの位相設定を制御し、MEMS位相シフタのスイッチのシリアルコマンドおよびバイアスを可能にする。認識されるように、ASIC回路144の設計は例えば現在のCMOS IC製造プロセスにしたがって行うことができる。
【0027】
示されている例示的な実施形態で方向付けされているように、MEMS位相シフタモジュール80と、広帯域フィードスルーレンズ11の入力アパーチャ54および放射アパーチャ58を作る広帯域放射素子14a、14bは、放射素子14a、14bの行に対して平行に行われるE平面78走査と、放射素子14a、14bの行に対して垂直に行われるH平面走査を行う。各MEMS位相シフタモジュール18の位相シフタ設定を調節するために、ビーム操縦コンピュータからのシリアルコマンドはDC配電PWB138を介して、行に沿って各MEMS位相シフタモジュール18へ送られ、ここでASIC回路144内で設けられた差動ライン受信機により受信される。各ASIC回路144内に設けられた論理制御回路は所望の位相シフト出力を実現するために各MEMS位相シフタスイッチのバイアスの調節に使用されることができる。各ASIC回路144はしたがってアンテナ10から放射されたビームのE平面およびH平面操縦、または二次元走査を行う。
【0028】
本発明をある示された実施形態に関して説明したが、この明細書および添付図面を読み理解して、等価の変更および変形が当業者により行われよう。特に前述の完全な全体(コンポーネント、アセンブリ、装置、構造等)によって行われる種々の機能に関して、このような完全な全体の説明に使用された用語(“手段”の参照を含む)は、本発明のここで示された例示的な実施形態の機能を行う示された構造に構造上等しくなくても、他に指定していなければ、説明された完全な全体(即ち機能的に等価である)の特定の機能を行う任意のものに対応することを意図している。さらに、本発明の特定の特徴を幾つかの示された実施形態のうちの1つだけに関して説明したが、このような特徴は、任意の与えられたまたは特定の応用で所望され、または有効であるように、他の実施形態の1以上の他の特徴と組合わせられてもよい。
【0029】
本発明は全てのこのような均等物および変形を含んでおり、特許請求の範囲に記載された技術的範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にしたがったマイクロ電子機械システム(MEMS)位相シフタにより電子的に走査されるレンズアレイ(ESA)アンテナを使用する幾つかのレーダ応用の環境の概略図。
【図2】本発明にしたがった1対の広域放射素子と、MEMS位相シフタモジュールの上部平面図。
【図3】レンズアンテナが7個のMEMS位相シフタモジュールを有する広域フィードスルーレンズと、7つのCTS放射素子を有する連続横断スタブアレイ(CTS)フィードアレイとを含んでいる本発明にしたがった電子的に走査されるレンズアレイアンテナを示す斜視図。
【図4】レンズアンテナが16個のMEMS位相シフタモジュールとCTS放射素子とを有する点を除いて図3と同様の電子的に走査されるレンズアレイアンテナの上部平面図。
【図5】図3の連続横断スタブ(CTS)アレイのセグメントの断面図。
【図6】本発明にしたがって、印刷された広帯域放射素子のアレイと、MEMS位相シフタモジュールのアレイを含んでいる印刷回路板(PCB)を示す図。
【図7】図6のライン7−7から見た図6のPCBおよびMEMS位相シフタモジュールの側面図。
【図8】図6のPCBおよびMEMS位相シフタモジュールの底面図。
【図9】本発明にしたがったMEMS位相シフタモジュールの拡大図。
【図10】取付け構造および接続線をさらに詳細に示している本発明にしたがったMEMS操縦可能な電子的に走査されるレンズアレイアンテナを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子構成システム(MEMS)の操縦可能な電子的に走査されるレンズアレイ(ESA)アンテナにおいて、
広帯域放射素子(14)の第1および第2のアレイと、その放射素子の第1および第2のアレイ(14)の間に配置されているMEMS位相シフタモジュール(18)のアレイとを含んでいる広帯域のフィードスルーレンズ(11)と、
近視野で平面波頭を与えるための放射素子(14)の第1のアレイに近接して配置されている連続横断スタブ(CTS)フィードアレイ(12)とを具備し、
MEMS位相シフタモジュール(18)はCTSフィードアレイ(12)から放射されるビームを二次元で操縦するMEMS ESAアンテナ。
【請求項2】
広帯域放射素子(14)の第1および第2のアレイは印刷回路板(PCB)(84)上に形成され、MEMS位相シフタモジュール(18)は入力および出力広帯域放射素子(14)の間でPCB(84)に取付けられている請求項1記載のMEMS ESAアンテナ。
【請求項3】
各MEMS位相シフタモジュール(18)は広帯域のフィードスルーレンズ(11)の放射素子(14)の第1および第2のアレイのそれぞれ第1および第2の放射素子(14)に対応する1対のRFピン(88)を含んでいる請求項1または2記載のMEMS ESAアンテナ。
【請求項4】
各MEMS位相シフタモジュール(18)はPCB(84)の厚さを通して延在し、それぞれDC制御信号およびバイアス線(108)に電気的に接続されている複数のDCピン(92)を備え、前記DC制御信号およびバイアス線(108)は、RF MEMS位相シフタモジュール(18)が取付けられている表面と反対側のPCB(84)の表面に設けられ、PCB(84)の中心に沿って経路を定められ、PCB(84)のエッジへ延在し、DC配電線(138)に接続されている請求項1乃至3のいずれか1項記載のMEMS ESAアンテナ。
【請求項5】
各MEMS位相シフタモジュール(18)は広帯域のフィードスルーレンズ(11)の放射素子(14)の第1および第2のアレイの各第1および第2の放射素子(14)に対応している1対のRFピン(88)と、CTSフィードアレイ(12)から放射されたビームを少なくとも部分的に操縦するためにビーム操縦コンピュータからシリアルコマンドを受信するための複数のDCピン(92)とを含み、RFピン(88)とDCピン(92)は比較的垂直にPCB(84)への相互接続を可能にするために各MEMS位相シフタモジュール(18)のハウジング(86)に関して垂直に方向付けされている請求項1乃至4のいずれか1項記載のMEMS ESAアンテナ。
【請求項6】
MEMS位相シフタモジュール(18)に近接して共に電気的に直列接続され、各MEMS位相シフタモジュール(18)の個々の位相設定を制御するために、各位相シフタモジュール(18)に関して取付けられている特定用途集積回路(ASIC)制御/ドライバ回路(144)をさらに含んでいる請求項1乃至5のいずれか1項記載のMEMS ESAアンテナ。
【請求項7】
広帯域のフィードスルーレンズ(11)の広帯域の放射素子(14)はE平面の走査が放射素子(14)の行に平行して行われるように方向付けされている請求項1乃至6のいずれか1項記載のMEMS ESAアンテナ。
【請求項8】
無線周波数エネルギを周波数走査する方法において、
無線周波数(RF)エネルギを連続横断スタブ(CTS)フィードアレイ(12)へ入力し、
近視野において平面波の形態で複数のCTS放射素子(14)を通ってRFエネルギを放射し、
複数のMEMS位相シフタモジュール(18)を含んでいる広帯域のフィードスルーレンズ(11)の入力アパーチャ(54)へRF平面波を放射し、
RF波平面をディスクリートなRF信号へ変換し、
RF信号を処理するためにMEMS位相シフタモジュール(18)を使用し、
広帯域のフィードスルーレンズ(11)の放射アパーチャ(58)を通ってRF信号を放射し、それによってRF信号を再結合し、アンテナビームを形成し、
CTSフィードアレイ(12)に入力されたRF信号の周波数を変化させて二次元でアンテナビームの角度位置を変化させ、アンテナビームによる周波数走査を行うステップを含んでいる方法。
【請求項9】
RFエネルギを入力するステップは直列のCTS放射素子(14)のフィードを含んでいる請求項8記載の方法。
【請求項10】
それぞれのMEMS位相シフタモジュール(18)の1以上のMEMS位相シフタスイッチのバイアスを調節することによりそれぞれのMEMS位相シフタモジュール(18)の位相シフタ出力を調節するステップをさらに含んでいる請求項8または9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−518968(P2006−518968A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503462(P2006−503462)
【出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/003905
【国際公開番号】WO2004/077607
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(390039147)レイセオン・カンパニー (149)
【氏名又は名称原語表記】Raytheon Company
【Fターム(参考)】