説明

コンピュータの不正使用防止方法、不正使用防止機能付き装置およびプログラム

【課題】登録された認証者が遠隔地にいても、コンピュータの起動の承認、データの消去を行えるようにして不正使用の防止を図ること。
【解決手段】コンピュータ7の起動時に、通信機能部4によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、認証者からのコード入力により起動が許可された場合はコンピュータ7を起動し、データ消去が要求された場合はデータ消去機能部10はコンピュータ7のデータを消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの不正使用の防止を図ることができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータの不正使用を防止する方法としては、コンピュータ起動後のパスワードによる認証や、スマートカードによる使用者の認証、指紋による認証などがあったが、いずれも使用者がコンピュータのすぐそばで直接操作する必要があった。また、データ漏洩防止の対策としては、データの暗号化という方法がある。
【0003】
ここで、ユーザにユーザ名、パスワードおよびユーザの携帯電話機を対応付け格納したユーザ認証データベースを設け、認証サーバーは、データ通信網を介して通信端末からユーザ名、パスワードを指定したログイン要求があると、ユーザ認証データベースより該当ユーザの携帯電話機に接続要求(電話をかける)を行い、ログイン要求を行ったーユーザは、自分自身の携帯電話機を使って制限時間内に接続応答(受話器をあげる)を返し、認証サーバは、制限時間内に携帯電話機からの接続応答(受話器をあげる)があれば、ログインを許可することで、高いセキュリティ性を提供することができる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−038912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンピュータを紛失したり、盗難にあった場合、上記の対策を施しても、コンピュータは起動してしまう。このため、例えば、推測可能なパスワード設定であった場合や、ネットワークからの接続が可能な設定であった場合、コンピュータを不正に使用される可能性があり、データを参照される危険がある。また、データ漏洩防止対策として、暗号化を行っていたとしても、データはコンピュータ内に残ったままで、遠隔から消去する方法がないため、将来的には暗号が解読される危険性を持っている。
【0005】
また、特許文献1で開示されている手法では、構成要素に認証サーバ、Webサーバが必要なため、構成が大規模となる。例えば、ノートPCと携帯電話機しかもたない個人では構成が困難であった。また、ソフトウェア起動開始前に通信を行っているため、ソフトウェアのバグなどによるセキュリティホールを利用した不正使用の可能性があった。
【0006】
本発明は、以上説明した問題点を解決するためになされたものである。その目的は、構成要素に認証サーバ、Webサーバがないため、簡単な構成で実現でき、また、ソフトウェア起動開始前に通信を行っているため、ソフトウェアのバグなどによるセキュリティホールを利用した不正使用を回避でき、さらに、登録された認証者が遠隔地にいても、コンピュータの起動の承認、データの消去を行えるようにして不正使用の防止を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合は前記コンピュータのデータを消去するコンピュータの不正使用防止方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合はコード記録部に入力されたコードを記録した後に、前記コンピュータを起動し、前記コンピュータは起動時にコード確認手段により前記コード記録部のコードを確認して自機のデータ消去機能により自機のデータを消去するコンピュータの不正使用防止方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合は前記コンピュータのデータを消去する不正使用防止機能付き装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合はコード記録部に入力されたコードを記録した後に、前記コンピュータを起動し、前記コンピュータに起動時にコード確認手段により前記コード記録部のコードを確認させて自機のデータ消去機能により自機のデータを消去させる不正使用防止機能付き装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、登録された認証者が遠隔地にいても、コンピュータの起動の承認、データの消去を行えるようにして不正使用の防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態におけるコンピュータの不正使用防止方法は、通信機能を有するコンピュータで、コンピュータ起動時の認証を、通信を使って行い、登録された認証者にコンピュータ起動の拒否、あるいは、コンピュータ内のデータ消去を通信によって遠隔地から指示できるようにしたことを特徴としている。
【0014】
以下に、図1を参照して説明する。通信経路は、インターネットや、電話網などを示す。通信機能付きコンピュータ1は電源が投入された際に、自動的に、搭載されている通信機能を使って登録された認証者2に認証を要求する。
【0015】
通信機能付きコンピュータ1からの認証要求を受けた登録された認証者2は、起動を許可するコード、起動を拒否するコード、コンピュータのデータを消去するコードを送信する。
【0016】
通信機能付きコンピュータ1は送信されたコードに従った動作を行う。また、登録された認証者2からの応答がない場合と、登録された認証者2からのコードの入力がない場合はコンピュータを停止させる。
【0017】
このようにして、本願発明では、登録された認証者が遠隔地にいても、コンピュータの起動の承認、データの消去を行えるので、不正使用の防止が可能となる。
【0018】
次に、図2に、本実施の形態における通信機能付きコンピュータ1の内部ブロック図が示す。通信機能とは、携帯電話、固定電話、インターネット、有線通信、無線通信などである。
【0019】
図2において、不正使用防止部2には、コンピュータ7、電源部3、内部データ記憶部8、外部データ記憶部9が接続されている。
【0020】
通信機能部4には、認証者を登録しておく。電源部3から電源が供給されると、通信機能部4は、登録された認証者へ通信を行い、登録された認証者からのコード入力を待つ。コードの入力があったら、通信機能部4は登録された認証者からのコードを制御部5へ送信する。また、データ消去が完了した場合には、登録された認証者へデータ消去が完了したことを通知する。
【0021】
制御部5は、登録された認証者から受信したコードの判定を行う。起動拒否コードであった場合は、電源オフを実行する。起動許可コードであった場合は、起動機能部6よりコンピュータ7の起動を行う。データ消去コードであった場合は、データ消去機能部10より内部データ記憶部8と外部データ記憶部9のデータ消去を行う。データ消去が完了したら、通信機能部4より登録された認証者へデータが完了したことを通知する。
【0022】
データ消去機能部10は、内部データ記憶部8と、外部データ記憶部9に対してデータ消去を行う命令を実行する。データ消去が完了したら、データ消去が完了したことを制御部5へ通知する。
【0023】
次に、図2の機能の動作を図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0024】
まず、電源部3を起動する(ステップS1)。
【0025】
通信機能部4より、登録された認証者へ通信を行う(ステップS2)。
【0026】
通信の応答があるまで待ち続ける(ステップS3)。
【0027】
応答があった場合、コードが入力されるのを待ち続ける(ステップS4)。
【0028】
コードの入力がなく登録された認証者より通信が切断された場合(ステップS6)は、コンピュータの起動の意思なしと判断し、電源部3を停止する(ステップS12)。
【0029】
コード入力があった場合、コードを制御部5にて判定する(ステップS5、ステップS7、ステップS8)。
【0030】
起動拒否コードであった場合は、電源部3をオフにする(ステップS12)。
【0031】
データ消去コードであった場合、データ消去機能部10にて外部データ記憶部9と内部データ記憶部8のデータ消去を行う(ステップS10)。
【0032】
データ消去が完了したら、使用者へデータ消去が完了したことを通信機能部4から通知する(ステップS11)。
【0033】
通知が終了したら、電源3を停止にする(ステップS12)。
【0034】
起動許可コードであった場合、コンピュータ7を起動する(ステップS9)。
【0035】
不明なコードであった場合には、電源部3を停止する(ステップS12)。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載するような効果を奏する。
第1の効果はコンピュータ起動の前に登録された認証者の認証をしているので、コンピュータ起動後の認証と合わせて2重で不正使用が防止できることである。
【0037】
第2の効果はコンピュータ起動時に通信機能を利用して登録された認証者に認証を求めているので、不正使用が試みられた時点で不正使用を即時に認識し、起動制御できることである。
【0038】
第3の効果は遠隔地からのデータ消去を可能にしているので、コンピュータ紛失時にデータ漏洩を防止ができることである。
【0039】
上記の本実施の形態によれば、携帯電話機からの発信者番号およびパスワードの送信にて電源が起動される技術と異なり、コンピュータの起動時にコンピュータから認証者へ発呼を行い、認証者からのコードの返信にて起動を行うので、発呼の向きが異なることとなる。したがって、認証者からの発呼を待つため使用していない時間も、受信待ちの状態でなければならなく受信待ちのための電力が必要となる従来技術と異なり、起動時にコンピュータから発呼を行うため、使用していない時間の受信待ちという状態が存在しないため、受信待ちの電力は必要なく、ノート型パソコンなどで、バッテリーの消費に影響が現れる。
【0040】
また、従来技術では、発呼が認証者からであるため、何者かが、認証者がコンピュータのそばにいない時に、不正使用のために起動を試みたとしても、痕跡が残らないが、本実施の形態によれば、起動時にコンピュータから発呼を行うため、不正使用が試みられた場合、その履歴が携帯電話機の着信履歴として残るので、この情報は、不正使用を試みた者の特定や、保管場所の安全性の検証など、コンピュータの安全管理のために有効に活用できる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。その基本的構成は上記の第1の実施の形態と同様であるが、図4に示すように、データ消去機能部を使用せず、コンピュータ7のデータ消去の機能により実施することが可能である。
【0042】
本実施の形態では、登録された認証者より、データ消去コードが入力された場合に、制御部5は、コード記録部10に入力されたコードを記録し、コンピュータ7の起動を行う。コンピュータ7は起動時にコード確認部12よりコード記録部10へコードの確認をしてコードに従った動作を行う。
【0043】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、通信機能付きコンピュータ1の機能を実現するためのプログラムを装置に読込ませて実行することにより装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0044】
本発明は、機密データが記録されているコンピュータの不正使用防止、データ漏洩防止へ適用できる。特に、通信機能として携帯電話を利用した場合に大きな効果が期待できる。通信機能として、携帯電話機能を搭載したノート型パソコンを利用している環境で、機密データを、携帯電話機能を搭載したノート型パソコンに記録したまま様々な場所へ携帯電話機能を搭載したノート型パソコンを持ち込んで作業を行う営業担当員などが、携帯電話機能を搭載したノート型パソコンの紛失、盗難した場合に、機密情報漏洩防止対策として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の概念を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のシステム構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態のシステム構成を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 通信機能付きコンピュータ
2 不正使用防止部
3 電源部
4 通信機能部
5 制御部
6 起動機能部
7 コンピュータ
8 内部データ記憶部
9 外部データ記憶部
10 データ消去機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合は前記コンピュータのデータを消去することを特徴とするコンピュータの不正使用防止方法。
【請求項2】
コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合はコード記録部に入力されたコードを記録した後に、前記コンピュータを起動し、前記コンピュータは起動時にコード確認手段により前記コード記録部のコードを確認して自機のデータ消去機能により自機のデータを消去することを特徴とするコンピュータの不正使用防止方法。
【請求項3】
コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合は前記コンピュータのデータを消去することを特徴とする不正使用防止機能付き装置。
【請求項4】
コンピュータ起動時に、ネットワーク通信機能によりあらかじめ登録された認証者へ通信を行い、該認証者からのコード入力により起動が許可された場合は前記コンピュータを起動し、データ消去が要求された場合はコード記録部に入力されたコードを記録した後に、前記コンピュータを起動し、前記コンピュータに起動時にコード確認手段により前記コード記録部のコードを確認させて自機のデータ消去機能により自機のデータを消去させることを特徴とする不正使用防止機能付き装置。
【請求項5】
コンピュータシステムに請求項3記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
コンピュータシステムに請求項4記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−176647(P2008−176647A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10636(P2007−10636)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】