説明

コーティングされていない分離したユニットおよび延長放出マトリクスを含む制御放出配合物

単回投与での処置を必要とする患者への投与を可能にするように物理的に並置される1つ以上の別個の分離したユニットを含む制御放出配合物であって、ユニットまたは各ユニットが、(i)単位投与量の活性医薬成分またはその医薬的に受容可能な塩;(ii)1種以上の延長放出剤;および任意選択的に、(iii)1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、単位投与量の合計が活性医薬成分の医薬的に有効な量を構成することを特徴とする制御放出配合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出調節医薬組成物、前記組成物を調製する方法、および前記組成物の使用に関する。より具体的には、本発明は、放出調節医薬組成物、前記組成物を調製する方法、および前記組成物の使用に関し、ここで活性医薬成分は、制酸薬、抗炎症物質(非ステロイド性抗炎症薬、NSAID、血管拡張薬、冠状血管拡張薬、脳血管拡張薬、および末梢血管拡張薬を含むが、これに限定されない)、抗感染薬、向精神薬、抗躁病薬、興奮薬、抗ヒスタミン剤、緩下剤、鬱血除去剤、ビタミン、胃腸鎮静剤、止痢製剤、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、血管収縮薬および片頭痛治療薬、抗凝血薬および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、催眠薬、鎮静剤、制吐剤、抗嘔吐剤、抗痙攣薬、神経筋遮断薬、高血糖症剤および低血糖症剤、甲状腺製剤および抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、ミネラル添加剤および栄養添加剤、肥満抑制薬、同化剤、赤血球生成薬、抗喘息薬から選択され、具体的には、ゾピクロン、ゾルピデム、ガランタミン、ロシグリタゾン、エスゾピクロン、およびメトホルミン、それらの医薬的に受容可能な塩、より具体的には、ガランタミン、最も具体的には、ガランタミン臭化水素酸塩である。
【背景技術】
【0002】
多くの活性医薬成分(API)は一般的に、タブレット、カプセル、またはペレットのような、即時放出の従来の投薬形態として配合されたとき、活性成分の血漿レベルのピーク値とトラフ値を毎日2回以上伴う投与を必要とする。しかしながら、多くの疾患状態に対して、APIの血漿レベルを定常状態またはその付近に維持することは有利である。ある先行技術の組成物は、投薬形態の摂取後にAPIの初回放出があり、次いで、血漿濃度を維持するための持続放出がある、二相放出プロフィールを利用することによって、これを達成する。従って、毎日の投与回数は、3回または4回の投与から2回へ、そして2回の投与から1回へとしばしば低減されることができる。このような形態は、活性成分の血漿レベルが即時放出形態の血漿レベルよりも一定であり、そのため投薬直後の過剰に高いピークレベルによる副作用より観察される副作用を少なくすることができ、そしてより良好な治療的保護が得られるという、追加の可能な利益を有する。特に催眠性のAPI、例えばゾルピデムは、この二相放出プロフィールから恩恵を受ける。個体を素早く眠らせるために、最小治療濃度を上回る初回投与量が必要とされる。しかしながら、即時放出配合物は、いったん投与量が放出されて、ピーク濃度レベルが得られると、血漿濃度は典型的な即時放出血漿プロフィールに従って低下するという不都合を有する。通常、別の投与量の医薬品が服用されるだろうが、もちろん促進される状態が睡眠である場合、別の投与量を服用することは、催眠薬が誘導しようとしている効果を無効にするだろう。従って、理想的な状況は、薬物の初回即時放出後に、睡眠状態を維持するための持続放出であろう。
【0003】
二相放出プロフィールを提供することの問題に対して、多くの解決策が進められてきた。
【0004】
WO01/78725は、ペレットから作られ、かつ調節された放出を示す催眠性医薬組成物に関する。ゾルピデムまたはその医薬的に受容可能な塩は、典型的な催眠剤である。ペレットは好ましくは、球状であり、かつ催眠剤の60%が特定の生体外溶解試験の開始から5分以後にペレットから放出されることを含む溶解プロフィールを示す。調節された放出プロフィールは、催眠剤の50%が溶解試験の開始から15分以後に放出されることを含むことができるが、ペレットは好ましくは、放出速度制御賦形剤または放出速度制御コーティングを含有しない。その代わりに、微結晶性セルロースおよび活性成分がペレットの大部分(例えば、90%以上)を構成する。さらに、実施例1〜8の全てが、API(ゾルピデムまたはゾピクロンの種々の塩、微結晶性セルロースおよび水)を含有する組成物を開示する。球状のペレットはまた、いかなる医薬的に活性な薬剤にも適用可能な都合のよい方法によって作られる。さらに、その開示は、「……このような薬剤は、所望の調節された放出溶解プロフィールに干渉するかもしれないので、……このような薬剤は必要とされず、そして好ましくは除外される」と記載して、崩壊剤を含む組成物を避ける教示を行っている。
【0005】
WO95/28147またはそれに対応する米国特許第6290990号(BASF)は、球状またはレンズ状の形状および0.5〜4mmの範囲の均一な最大直径を有するコーティングされていない低速放出マトリクスペレットに関し、それは、a)0.1〜87重量%の少なくとも1種の生物学的に活性な化合物、b)5〜50重量%の少なくとも1種の水不溶性ポリマー、c)ポリマーbのための可塑剤としての、5〜45重量%の少なくとも1種の親油性成分、d)3〜40重量%の天然または半合成のゲル形成剤、およびe)0〜50重量%の1種以上の従来の配合助剤から構成される。
【0006】
WO00/33835(Synthelabo)は、溶解の二相プロフィールに従って所定の期間にわたってゾルピデムを放出するのに適合した、ゾルピデムまたはその塩の制御放出投薬形態に関する。二相放出は、第1相および第2相によって達成される。第1相は即時放出相であり、第2相は長期放出相である。
【0007】
欧州特許第0288138号は、多数の球状体(spheroid)を含有する制御放出医薬組成物に関し、球状体は、制御放出マトリクス中に分散された水不溶性の薬物を含有する。マトリクスは、70%〜99.5%(重量)の微結晶性セルロース、0.5%〜4%(重量)のセルロース誘導体、および任意選択的に、26%以下の糖または糖アルコールを含有する。水不溶性の薬物は、20℃の水(pH5)に1.0mg ml−1未満の濃度まで、好ましくは0.5mg ml−1未満の濃度まで溶解しなければならない。好ましい薬物は、非ステロイド性の抗炎症薬剤であり、特に、フェノプロフェンカルシウム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナクナトリウム、フェンブフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾンまたはピロキシカムである。
【0008】
英国特許第2264639号は、水溶性の活性成分を含む組成物、特に、活性成分および球状化剤(spheronising agent)からなる球状形態の塩酸ヒドロモルホンに関する。球状化剤は好ましくは微結晶性セルロースであり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが結合剤として含まれることができる。コーティングされていない球状体が、放出制御膜コーティングの必要無しで予想される通常の放出よりもむしろ、調節された放出を与えることが主張されている。しかしながら、二相放出プロフィールは示されていない。
【0009】
WO2005051322は、摂取の1〜4時間以内に第1の血漿濃度ピークレベルおよび第1のTmaxパルスを示し、摂取後5〜8時間以内に第2の血漿濃度ピークレベルおよび第2のTmaxパルスを示す、二相放出プロフィールを示す持続放出カルベジロール組成物を教示する。ある実施形態において、組成物は、カルベジロール遊離塩基;または可溶性増強カルベジロール塩、溶媒和物、または無水形態;異なるサイズの即時放出コーティングされたペレット群と制御放出コーティングされたペレット群のペレット混合物または微粒子混合物を含むカプセルである。
【0010】
米国特許第6660299号は、即時放出相および低速放出相中にアモキシシリンを含む放出調節組成物を教示し、そこでは、即時放出相のアモキシシリンと低速放出相のアモキシシリンの比率は、3:1〜1:3であり、AUC値は、同じ投薬期間にわたって即時放出のタブレットまたはカプセルとして服用されるアモキシシリンの対応する投与量のAUC値の少なくとも80%である。
【0011】
米国特許出願第20060240107号は、薬剤の放出が比較的遅い第一の制御放出マトリクス中に分散された薬剤を有するコアと、そのコア上に形成されかつ薬剤の放出が比較速い第二の制御放出マトリクス中に分散された薬剤を有するコートとを持つ固体投薬配合物を教示する。投薬形態は、APIをコアマトリクス材料と混合し、そして圧縮することによって製造される。コアは次いで、ポリ酢酸ビニル(PVA)およびポリビニルピロリドン(PVP)および任意選択的に他の賦形剤と混合されたAPIを含むコートで別個の手順においてコーティングされる。
【0012】
WO2004098572は、グリピザイドの二相放出のために有用な単一区画の浸透圧制御送達システムを教示し、このシステムは、グリピザイドを含むコア、コアを囲む半透性膜、および少なくとも1つの通路を含む。与えられた実施例において、コアはまず、湿式造粒法および圧縮技術によって製造され、次いで、プレコーティングおよびコーティングされ、そして各タブレット中に開口が開けられる。
【0013】
WO94/06416(Jagotec AG)は、即時放出層と低速放出層の間に均等に分配された500mgのアモキシシリンを含む多層タブレットを記載する。さらに、WO95/20946(SmithKline Beecham)は、特に、即時放出層である第1層と低速放出層である第2層(二つの層間のアモキシシリンの比率は約1:2.6である)と中間バリア層を有する、約500mgのアモキシシリンを含む層状タブレットを記載する。さらに、クラブラン酸およびアモキシシリンを含む二層タブレットが、WO98/05305(Quadrant Holdings Ltd)に記載されている。このようなタブレットにおいて、第1の層はアモキシシリンを含み、第2の層はクラブラン酸成分を安定させるためにクラブラン酸および賦形剤のトレハロースを含む。
【0014】
さらに、WO95/28148(SmithKline Beecham)は、特に、アモキシシリンおよび任意選択的にクラブラン酸を含むタブレット配合物を記載し、この配合物は、放出遅延剤によってコーティングされ、かつアモキシシリンおよびクラブラン酸カリウムの外側ケーシング層によって囲まれたアモキシシリンを含むコアを有する。放出遅延剤は腸溶性コーティングであり、従って外部コアの内容物の即時放出の後に、コアが腸に到達するまで遅延されたコアからの第2相の放出がある。さらに、WO96/04908(SmithKline Beecham)は、特に、即時放出のためにマトリクス中にアモキシシリンを含み、遅延された放出形態のアモキシシリンを含む顆粒を含む、タブレット配合物を記載する。このような顆粒は、腸溶性コーティングでコーティングされ、そのため放出は顆粒が腸に到達するまで遅延される。
【0015】
WO2006010640は、長期間にわたって一定の血漿濃度を維持する問題を解決するために、少なくとも2つの層、高いpH依存性の溶解度を有する1種の活性成分、pH維持賦形剤、およびマトリクス形成賦形剤を含む制御放出多層タブレットを開示する。さらに、タブレットが以下の2つの工程において調製されることができることが開示される:異なる粉末がまず上記に記載されるように、第1の型または第2の型の層組成物に対応して製造され、そして多層タブレットを形成するように圧縮される。さらに、タブレットの製造は、比較的複雑な工程を含む。
【0016】
さらなる例としては、WO2006082809およびWO2005013935が挙げられ、これらは、薬物を異なる放出速度で放出するように配置された第1組成のペレットと第2組成のペレットを含む経口投薬形態に関する。好ましくは、放出プロフィールは、pHに依存しない。従って、1つの投薬形態のために2つの別個の組成を製造する必要性によって、組成物は、それに関する全ての追加の費用を伴って複雑化される。
【0017】
ガランタミンは、良く知られているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり、それはニコチン受容体部位で活性であり、ヒトの血液脳関門を通過することができる。それは、治療有効投与量において重篤な副作用を示さない。ガランタミン臭化水素酸塩は、Janssen Pharmaceuticalsによって製品ラザダイン(レミニールとしても知られる)として市販されており、アルツハイマー型の軽度〜中程度の重篤度の痴呆の対症療法のために使用されている。ラザダインXLは、2004年12月22日に米国において認可された1日1回の延長放出配合物である。その配合物は、カプセル中にいくつかの即時放出ペレットと組み合わせた延長放出ペレットを含む。
【0018】
ガランタミンまたはその塩または類似体を含有する多数の異なる医薬組成物が提案されており、それは、噴霧乾燥されたラクトース一水和物および微結晶性セルロースを75:25の比率で含有する高速溶解タブレット配合物を含む(米国特許第6099863号)。
【0019】
EP1169024 A(Janssen)は、アルファ化デンプン(pregelatinized starch)が親水性の制御放出配合物からの投与ダンピング(dose−dumping)を防止するために使用される配合物を開示する。親水性の制御放出配合物は、アルファ化デンプン、1種以上の活性成分、1種以上の粘性親水性ポリマー、および任意選択的に医薬的に受容可能な配合剤を含む。好ましい親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0020】
WO0038686(Janssen)は、活性成分としてガランタミンを含有する制御放出配合物に関し、この配合物は、ガランタミンまたはその医薬的に受容可能な酸付加塩を含む粒子、水溶性の医薬的に受容可能な賦形剤、および任意選択的に他の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、前記粒子が放出速度制御膜コーティングによってコーティングされていることを特徴とする。治療有効量の前記制御放出配合物を含む投薬形態は、毎日1回患者に経口的に投与されることができる。好ましい投薬形態において、ガランタミンの一部は、即時放出形態で、例えば放出速度制御膜コーティングを欠く粒子として、または即時放出ペレットとして、または制御放出配合物上のトップコートとして存在する。
【0021】
持続放出配合物は、米国特許第5231811号において開示され、そこでは、持続放出コーティングは、少なくとも3種のポリマーの混合物を含み、それらのそれぞれは、溶解するpHに応じて異なる役割を有する。
【0022】
さらなる持続放出組成物は、アルツハイマー病の経口処置に関するカナダ国特許第1326632号において開示され、この組成物は、ポリビニルピロリドンの層でコーティングされたガランタミンの粒子を含む。
【0023】
上記の開示およびさらなる先行技術の開示から、二相放出プロフィールを示す投薬形態の多くの例が存在することが理解することができる。しかしながら、開示された投薬形態のうちの多くは、多数のコーティングされたユニットを利用可能にするように胃において崩壊する(一般的にはコーティングされている)タブレットを形成するために圧縮されたコーティングされた粒子、または遅延放出プロフィールをもたらすために内容物(粉末、ペレットまたは球状体)の全てまたは一部がコーティングされているカプセル、多層タブレット、または浸透圧制御手段を含む。あるいは、上記に記載される先行技術の制御放出配合物は、摂取の際に活性成分の投与ダンピングを防止するために、アルファ化デンプンのようなポリマー材料を与えることによってそれらの放出プロフィールを達成する。コーティングされた先行技術の配合物の場合、典型的には、コーティングはpH依存性である。このpH依存性こそが、延長された放出プロフィールを与えるのである。コーティングされていないペレットを含む先行技術の配合物(WO01/78725)はさらに、崩壊剤が配合物中の催眠性のAPIの調節された放出溶解プロフィールに有害に影響しうるので崩壊剤の存在が推奨されないことを明確に開示する。
【0024】
先行技術の配合物は、製造するのが比較的複雑で、一般的には多数の工程を含んでいる。例えば、良く確立されている技術ではあるが、コーティングは、特定のAPIを配合するときに、コート中に存在するコーティングポリマーまたは他の成分とタブレットコア中の活性成分または賦形剤との相互作用のような問題を引き起こしうる。さらに、コーティングがタブレットコア、顆粒、ペレットまたは小型タブレットのいずれのものであっても、コーティングは追加的な工程であり、それは費用および薬物製品を配合することの複雑さを増大させる。
【0025】
従って、先行技術の二相配合物または先行技術のマルチユニットまたは多層タブレット組成物の放出プロフィールを模倣し、さらに、多数の製造工程、特殊な装置を必要とせず、そしてさらに、有利な放出プロフィールを達成するためにコーティングを必要としない方法で、APIの制御された放出を提供する組成物に対する必要性が存在する。特に、アルツハイマー病のような特定の状態を処置するときに、ガランタミンの血漿レベルを定常状態またはその付近に維持することは有利である。速く溶解するタブレットを使用するとき、これは活性成分の血漿レベルのピーク値とトラフ値を1日に少なくとも2回伴う投与を必要とする。従って、ガランタミンを含有する長期放出医薬組成物に対する必要性が存在する。
【0026】
上記の参考文献は、追加的または代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の適切な教示のために適切な場合、参考として本明細書中に援用される。
【発明の開示】
【0027】
本発明は、医薬的に有効な量のAPIを含む制御放出配合物に関する。本発明の制御放出配合物は、先行技術の配合物に対して上記に開示された問題を克服するように設計されている。さらに、本発明による配合物は、先行技術の二相制御放出系に類似するかまたはそれに等しい薬物放出プロフィールを示すペレットまたは小型タブレットのようなユニット中に配合されるマトリクスに基づく延長放出系を提供する。
【0028】
従って、本発明の第1の態様において、単回投与での処置を必要とする患者への投与を可能にするように物理的に並置される1つ以上の別個の分離したユニットを含む制御放出配合物であって、ユニットまたは各ユニットが、
(i)単位投与量の活性医薬成分またはその医薬的に受容可能な塩;
(ii)1種以上の延長放出剤;および任意選択的に、
(iii)1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤
を含み、単位投与量の合計が活性医薬成分の医薬的に有効な量を構成することを特徴とする、制御放出配合物が提供される。
【0029】
好ましい実施形態は、1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含む。ある実施形態において、延長放出剤は、1種以上のポリマーからなるマトリクスである。このような実施形態において、活性成分は好ましくは、延長放出剤のポリマーマトリクス内に均一に分散される。有利には、これは各強度で投与量の良好な均一性を有する投薬形態を与え、ユニットあたりの高い投与量は、少ない投与量のタブレットにおいて典型的な仕切りのような問題を避ける。特に好ましい実施形態において、ユニットまたは各ユニットはコーティングされていない。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、ユニットまたは各ユニットが独立して約1mm〜10mmの直径を有し、好ましくはペレット直径が約3mm〜5mmであり、より好ましくは3mmあるいは5mmである配合物が提供される。特に好ましい実施形態において、ユニットまたは各ユニットは独立して、約1mg〜50mgのガランタミン、より好ましくは約1mg〜8mg、特に好ましくは4mg、または代替的実施形態においては8mgのガランタミンを含む。
【0031】
本発明のさらなる実施形態は、ユニットまたは各ユニットが独立して約5mmの直径を有する配合物を含む。本発明の好ましい実施形態は、ユニットまたは各ユニットが独立して約4mg〜10mgのガランタミン、好ましくは約7mg〜8mg、理想的には約8mgのガランタミンを含む配合物を含む。
【0032】
本発明のさらなる実施形態は、約1〜20ユニットを含む配合物を提供する。好ましい実施形態は、1、2、3、4、5、6、12またはそれ以上のユニットを含む。
【0033】
ある実施形態において、ユニットまたは各ユニットが約0.5〜約30重量%のAPIを含む、本発明による組成物が提供される。好ましくは、ユニットまたは各ユニットは約1〜約10%、または2〜5%のAPIを含む。特に好ましいのは、ユニットまたは各ユニットが約2%のAPIを含む組成物である。
【0034】
さらに好ましい実施形態は、約0〜5重量%の流動促進剤、0〜5重量%の滑剤、0〜5重量%の結合剤/希釈剤、0〜10重量%の崩壊剤および10〜80重量%の充填剤のうちの1つ以上をさらに含む本発明による組成物を対象とする。特に好ましいユニットは、2〜6重量%のAPI、10〜50重量%のKollidon(登録商標)SR、0〜4重量%のPovidone、0〜5重量%の無水コロイドシリカ、0〜10重量%のクロスポビドン、20〜70重量%の微結晶性セルロース、および0〜5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0035】
1つより多いユニットを含む実施形態において、各ユニットが異なる量のAPIどころか、異なるAPIから構成されることができることも考えられる。さらに、ユニットが異なる賦形剤または異なる量の同じ賦形剤を含むことができることが考えられる。
【0036】
1つの実施形態において、本発明は、1つ以上のユニットを含む延長放出配合物であって、ユニットまたは各ユニットが、医薬的に有効な量の約1〜10%、および約10〜90%の延長放出剤、および任意選択的に1種以上のさらなる医薬成分を含むことを特徴とする配合物が提供される。好ましくは、延長放出剤は、ポリマーマトリクスである。特に好ましい実施形態は、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーを含むポリマーマトリクスを含み、好ましくはその混合物は、BASFから入手可能なKollidon(登録商標)SRとして知られるタイプの混合物である。本発明によるカプセルの他の実施形態は、結合剤としてポリビニルピロリドン(例えば、Povidone K90)、およびポリマーマトリクスの延長放出剤を含む。本発明によるポリマーマトリクスの提供は、有利な結果を有することが見出された。特に、本発明者は、崩壊剤と組み合わせたこのようなマトリクスが、予想外にかつ有利に先行技術の配合物の二相放出プロフィールを模倣することを見出した。
【0037】
従って、本発明による組成物の別の態様において、1つ以上のコーティングされていないユニットを含む制御放出組成物であって、ユニットまたは各ユニットが、
(i)医薬的に有効な量の活性医薬成分;
(ii)1種以上の延長放出剤;および
(iii)崩壊剤
を含み、かつ任意選択的に1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含むことを特徴とする制御放出組成物が提供される。
【0038】
硬化植物油はまた、配合物の延長放出溶解プロフィールに加えるために本発明による配合物に含まれることができる。この賦形剤は、遅延剤と滑剤を組み合わせたもののように作用すると考えられている。この賦形剤の量は、溶解試験の間の配合物の放出プロフィールを、投薬形態からのAPIの放出速度を速めるかまたは遅くするように調節するために調整されることができる。
【0039】
本発明のさらなる態様によると、活性医薬成分、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーであるポリマーマトリクス、硬化植物油、および任意選択的にさらなる医薬的に受容可能な賦形剤を含む制御放出組成物が提供される。
【0040】
マトリクス放出プロフィールは、先行技術において開示されるコーティングされた配合物とは異なり、pHに依存しない。従って、本発明による配合物は、標準的な装置および手法を使用して製造されることができる。特殊な技術は必要ない。マトリクス型タブレットの硬度が放出速度に影響を及ぼすことが、調剤者によって注目されてきた。
【0041】
本発明のさらなる態様によると、制御放出医薬配合物を調製するための方法であって、
(1)各ユニットが、
(i)単位投与量の活性医薬成分またはその医薬的に受容可能な塩;
(ii)1種以上の延長放出剤;および任意選択的に
(iii)1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤
を含む別個の分離したユニットを調製する工程;および
(2)単回投与における投与を可能にするように1つ以上の前記ユニットを物理的に並置する工程
を含む、方法が提供される。
【0042】
さらなる実施形態は、滑剤、充填剤、崩壊剤、および/または結合剤の1つ以上から選択される賦形剤を含む配合物を提供する。さらなる実施形態は、滑剤としてステアリン酸マグネシウムを有する。
【0043】
本発明による配合物の特に好ましい実施形態は、記載されるような延長放出カプセルを提供し、そこでは、ユニットまたは各ユニットはガランタミンHBr(10.256mg)、Kollidon(登録商標)SR(46.744mg)、硬化植物油(28mg)、Povidone K90(4mg)およびステアリン酸マグネシウム(1mg)を含む。
【0044】
ユニットは、カプセルのシェル中に配置され、配合され、従来の湿式造粒法、乾式造粒法または直接圧縮手段によって圧縮されてタブレットにすることができる。従って、1つの実施形態において、本発明によるユニットを含むカプセルが提供される。好ましい実施形態は、約1〜20ユニット、好ましくは1〜3ユニット、あるいは6、12または18ユニットを含むカプセルを含む。
【0045】
代替的な実施形態は、タブレットに含有される各ユニットの制御放出機構の作用に影響を及ぼさないような方法で賦形剤の一体化マトリクスに圧縮された本発明のユニットを含むタブレットを提供する。
【0046】
代表的なタイプのAPIは、制酸薬、抗炎症物質(非ステロイド性抗炎症薬、NSAID、血管拡張薬、冠状血管拡張薬、脳血管拡張薬、および末梢血管拡張薬を含むが、これに限定されない)、抗感染薬、向精神薬、抗躁病薬、興奮薬、抗ヒスタミン剤、緩下剤、鬱血除去剤、ビタミン、胃腸鎮静剤、止痢製剤、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、血管収縮薬および片頭痛治療薬、抗凝血薬および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、催眠薬、鎮静剤、制吐剤、抗嘔吐剤、抗痙攣薬、神経筋遮断薬、高血糖症剤および低血糖症剤、甲状腺製剤および抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、ミネラル添加剤および栄養添加剤、肥満抑制薬、同化剤、赤血球生成薬、抗喘息薬を含み、特に好ましいAPIは、ゾピクロン、ゾルピデム、ガランタミン、ロシグリタゾン、エスゾピクロン、およびメトホルミン、それらの医薬的に受容可能な塩を含み、より具体的には、ガランタミン、最も具体的には、ガランタミン臭化水素酸塩を含む。
【0047】
本明細書および添付の特許請求の範囲の全体にわたって使用される場合、用語「持続放出(sustained release)または延長放出(extended release)」、「長期放出(prolonged release)」および「制御放出(controlled release)」は、薬物組成物に対して適用される場合、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18版、p.1677、Mack Pub.Co.,Easton,Pa.(1990)においてそれらに与えられる意味を有する。持続放出または延長放出の薬物系は、延長された期間にわたって薬物の低速放出を達成するいかなる薬物送達系も含み、そして長期放出系および制御放出系の両方を含む。もしこのような持続放出系が血液または標的組織における実質的に一定の薬物レベルの維持に有効であるならば、それは制御放出薬物送達系であると考えられる。しかしながら、もし薬物送達系が実質的に一定の血中薬物レベルまたは組織薬物レベルを達成するのに成功していないが、それにもかかわらず従来の送達によって達成される持続時間にわたって薬物の作用の持続期間を延長するならば、それは長期放出系と考えられる。本発明の範囲内のすべての実施形態が二相放出溶解プロフィールを示す意図であることが理解されるだろう。
【0048】
本発明のさらなる態様によれば、候補配合物について、好ましくは水、0.1N HCl、pH4.5の酢酸緩衝液、およびpH6.8のリン酸緩衝液を含む媒質において、生理学的なpH範囲の全域で、溶解プロフィールを示し、それによって各媒質における候補配合物についての溶解された活性医薬成分の量としての溶解プロフィールが、30分で<25%、60分で20〜35%、180分で35〜55%、360分で50〜75%、720分で>65%である、制御放出配合物が提出される。
【0049】
1つの実施形態において、各媒質における候補配合物についての溶解プロフィールは、30分で<20%、60分で25〜30%、180分で40〜50%、好ましくは45〜50%、360分で60〜70%、そして720分で>70%、好ましくは>80%である。
【0050】
1つの実施形態において、前記媒質は、低溶解薬物の溶解度を高めるためのラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤、胃液を模倣するための酵素、または胃腸管の一部を模倣するための他の添加剤をさらに含む。
【0051】
本発明のさらなる態様によれば、水、0.1N HCl、pH4.5の酢酸緩衝液、およびpH6.8のリン酸緩衝液を含む媒質において、30分で<25%溶解、60分で20〜35%溶解、180分で35〜55%溶解、360分で50〜75%溶解、および720分で>65%溶解の溶解プロフィールを示す制御放出配合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明は、制御放出固体医薬配合物を提供し、この配合物は、医薬的に有効な量のAPIおよび延長放出剤を含む1つ以上のコーティングされていないペレットまたは小型タブレットを含む。延長放出剤は、当該分野において知られている標準的な市販の延長放出ポリマー、例えば以下の薬剤、即ちKollidon(登録商標)SRのようなポリ酢酸ビニル(PVA)とポリビニルピロリドン(PVP)のコポリマー、Povidone K90のようなポリビニルピロリドン、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)RS、およびEudragit(登録商標)NE40のようなメタクリル/メタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース(例えば、Hypromellose K100MCR)から好適に選択されることができる。Kollidon(登録商標)SRは、本発明の配合物に対して特に好適な延長放出剤であることが本発明者によって見出された。特に好ましい実施形態において、コーティングされていないペレットの組成物は崩壊剤をさらに含む。
【0053】
好ましくは、延長放出剤対APIの比は、約1:1〜約100:1であり、特に好ましい実施形態は、約1:1〜50:1、より好ましくは約1:1〜7:1の比を含む。特に好ましいのは、約1:3、1:4.5または1:6の比である。
【0054】
本発明によるカプセルのある実施形態は、カプセルの製造および安定性を補助する賦形剤をさらに含む。好ましい実施形態において、本発明によるカプセルは滑剤を含む。滑剤は、医薬配合物の分野において通常使用されるいかなるタイプのものであることもできる。本発明者は、ステアリン酸マグネシウムが特に良好に機能することを見出した。本発明者はまた、本発明による好ましい実施形態において、崩壊剤を含むことによって特に有利な性質を有する本発明による組成物を提供することを見出した。これは驚くべきことである。なぜならば、本発明者の見地において最も近い先行技術であるものにおいて開示される類似の組成物は、崩壊剤が必要でなく、それどころか、関連する催眠薬の放出プロフィールに対して有害であると明確に述べているからである。
【0055】
崩壊剤の例は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムA型を含むが、崩壊剤のように作用することができる他の成分は、量に依存して、L−HPC、HPMCおよび他の膨潤ポリマーである。本発明の実施においていかなる崩壊剤も使用されることができることが当業者によって理解されるだろうが、特に好ましいのは、市販の崩壊剤であるクロスポビドンの使用である。また、創意工夫の能力がなくても、必要とされる崩壊剤の量を決めることはまた、当業者の能力内で十分可能である。しかしながら、本発明による制御放出組成物のある実施形態において、約1〜15重量%が好ましく、特に2〜10%、最も好ましくは3〜5%である。
【0056】
利用可能なさらなる賦形剤の例は、希釈剤としてのラクトース一水和物、および流動促進剤としての無水コロイドシリカを含む。他の良く知られている賦形剤は、それらの一般的な用途について本発明の配合物において使用されることができる。
【0057】
あるいは、開示される本発明の全ての態様におけるユニットは、コーティングされることができる。
【0058】
本発明のさらなる態様は、第1および第2の態様に従って組成物を調製するための方法に関し、その方法は、APIと延長放出ポリマーを一緒に混合すること、および混合物を所望の形態に圧縮することを含む。
【実施例】
【0059】
以下の実施例は、単に本発明の例示であり、本発明の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
【0060】
以下の実施例は、本発明による組成物に関する。実施例におけるユニットは、小型タブレットであり、当該分野において知られているいかなる手段によっても調製されることができる。特に好ましい方法は、直接圧縮法である。本発明によるユニットは、いかなる大きさ、または円形、楕円形、または長方形のようないかなる形状であることもできる。典型的には、ユニットは約1mm〜10mm、好ましくは約3mm〜5mmの範囲の大きさであることができる。調製された小型タブレットは次いで、カプセルのシェル内に充填される。小型タブレットの数は、それぞれにおける活性成分の量、および必要とされる全体投与量に依存する。
【0061】
実施例1
成分 mg/タブレット
ガランタミン HBr 10.256
(8mgのガランタミンに相当する)
Povidone K90 4.0
PVA & PVP 46.744
硬化植物油 28.0
ステアリン酸マグネシウム 1.0
【0062】
上記の実施例は、本発明によるカプセルを示す。成分は混合され、3mmの小型タブレットに圧縮された。必要な投与量を得るために、8mgのガランタミンを含むカプセルは、各々が約15mgの総重量を有する6個の標準的な丸い凸状の小型タブレットを含んでいた。16mgのガランタミンを含むカプセルは12個の小型タブレットを含み、24mgのガランタミンを含むカプセルは18個の小型タブレットを含む。
【0063】
以下の実施例は、本発明によるカプセルの典型的な配合を示し、そこでは、小型タブレットは直径5mmである。
【0064】
実施例2
成分 mg/タブレット
ガランタミン HBr 10.256
(8mgのガランタミンに相当する)
Povidone K90 2.0
PVA & PVP 23.244
硬化植物油 14.0
ステアリン酸マグネシウム 0.5
【0065】
上記の実施例は、本発明によるカプセルの別の実施形態を示す。この場合もまた、成分は混合され、今回は5mmの小型タブレットに圧縮された。8mgのガランタミンのカプセルは、1個の5mm小型タブレットを含む。さらなる実施形態は、2個の5mm小型タブレットを含む16mgのガランタミンのカプセル、および3個の小型タブレットを含む24mgのガランタミンのカプセルを含む。
【0066】
実施例3
成分 mg/タブレット
ガランタミン HBr 10.256
(8mgのガランタミンに相当する)
Povidone K90 2.0
PVA & PVP 26.244
硬化植物油 11.0
ステアリン酸マグネシウム 0.5
【0067】
上記の実施例は、本発明によるカプセルの別の実施形態を示す。この場合もまた、成分は混合され、今回は5mmの小型タブレットに圧縮された。8mgのガランタミンのカプセルは、1個の5mm小型タブレットを含む。さらなる実施形態は、2個の5mm小型タブレットを含む16mgのガランタミンのカプセル、および3個の小型タブレットを含む24mgのガランタミンのカプセルを含む。
【0068】
以下の実施例は、コーティングされたユニットを含むカプセルを示す。
【0069】
実施例4
小型タブレット
成分 mg/タブレット
ガランタミン HBr 5.128
(4mgのガランタミンに相当する)
ラクトース(噴霧乾燥物) 21.122
Hypromellose K100MCR 18.0
無水コロイドシリカ 0.25
ステアリン酸マグネシウム 0.5
コーティング
Eudragit(登録商標)RL 0.135
タルク 0.675
クエン酸トリエチル 0.225
Eudragit(登録商標)RS 1.215
【0070】
上記の実施例は、本発明によるカプセルの別の実施形態を示す。この場合もまた、成分は混合され、今回は5mmの小型タブレットに圧縮された。8mgのガランタミンのカプセルは、1個の5mm小型タブレットを含む。さらなる実施形態は、2個の5mm小型タブレットを含む16mgのガランタミンのカプセル、および3個の小型タブレットを含む24mgのガランタミンのカプセルを含む。
【0071】
本発明者は、本発明による配合物が多くの利点を示すことを見出した。第1に、ユニットを調製するために湿式造粒法が使用されていないので、ガランタミンの窒素酸化物のような不純物の生成が回避される。第2に、上記に例示されるような本発明によるユニットは、各強度での投与量の優れた均一性を示し、第3に、ユニットあたりの比較的高い投与量のガランタミンは、少ない投与量のタブレットにおいて典型的な仕切りのような問題を回避する。
【0072】
表1は、本発明による配合物の種々の実施例の溶解プロフィールを示す。ユニットが一定の放出プロフィールを提供することが理解できる。

【0073】
表2は、本発明による配合物を用いて、溶解が周囲の媒質のpHの変化によって有意な程度まで影響を受けないことを示す。従って、本発明による配合物は、標準的な装置および手法を使用して製造されることができる。特殊な技術は必要ない。

【0074】
実施例5
消化管の様々状態を「シミュレートする(simulate)」かまたは模倣するために使用されることができる多くの異なる媒質が存在する。一般的に使用される主要な4種の媒質は、水、0.1N HCl、pH4.5の酢酸緩衝液、およびpH6.8のリン酸緩衝液である。これらは、中性pHについては水、酸性については絶食状態下の胃(通常、pH1〜2)、pH4.5については摂食状態下の胃(通常、pH3〜7)、pH6.8については摂食状態下の胃またはGI管の下部(即ち、小腸または大腸)のいずれかと等価である。適切な生物学的利用能を確立するために、表3に設定される種々の時点で溶解についていくらかの制限を設定した。

【0075】
実施例6
表4は、本発明による一般化された配合物を列挙する。B群からの全ての賦形剤が本発明による組成物中に存在する必要はないことが理解されるだろう。これらの賦形剤の1種以上が所望の放出プロフィールに依存して存在することができる。
表4
成分 %
A)
活性医薬成分 2−6
延長放出剤 〜10−50
B)
崩壊剤 1−15
結合剤 3−5
流動促進剤または流動剤
充填剤 〜20−70
滑剤 〜1
合計 100
【0076】
本発明による活性医薬成分は、抗不整脈性の制酸薬、抗狭心症性の制酸薬、抗炎症物質(非ステロイド性抗炎症薬、NSAID、血管拡張薬、冠状血管拡張薬、脳血管拡張薬、および末梢血管拡張薬を含むが、これに限定されない)、抗感染薬、向精神薬、抗躁病薬、興奮薬、抗ヒスタミン剤、緩下剤、鬱血除去剤、ビタミン、胃腸鎮静剤、止痢製剤、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、血管収縮薬および片頭痛治療薬、抗凝血薬および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、催眠薬、鎮静剤、制吐剤、抗嘔吐剤、抗痙攣薬、神経筋遮断薬、高血糖症剤および低血糖症剤、甲状腺製剤および抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、ミネラル添加剤および栄養添加剤、肥満抑制薬、同化剤、赤血球生成薬、抗喘息薬を含む群から選択されるいずれのものも含むことができ、特に好ましいAPIは、ゾピクロン、ゾルピデム、ガランタミン、ロシグリタゾン、エスゾピクロン、およびメトホルミン、それらの医薬的に受容可能な塩、より具体的には、ガランタミン、最も具体的には、ガランタミン臭化水素酸塩を含む。
【0077】
延長放出剤は、当該分野において知られている多くのポリマー剤のいずれも含むことができる。これらの薬剤は一般的に、可溶性または不溶性のポリマーマトリクス系の形態である。可溶性または親水性のコロイドマトリクス系は一般的に、APIと1種以上の水膨潤性親水性ポリマーの圧縮された均質な混合物を含む。ポリマーは、メチルセルロース、エチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸塩、キサンタンガム、およびカルボポール(carbopol)を含む。前記ポリマーを含む組成物が経口的に投与されるとき、ポリマーは消化器系における水分の水和で膨潤し、それによって活性成分の水分への曝露を制限する。組成物コア内への水分のさらなる侵出を妨げるゲル層が形成される。ゲル層は徐々に溶解または腐食して、水分をゲルマトリクスに浸透させ、活性成分がゆっくりと溶解し、かつゲルを通って拡散し、活性成分を身体によって吸収できるようにする。鎮痛薬/抗炎症薬のこのような延長放出投薬形態の例であるエトドラク(LodineTM)は、米国特許第4966768号に現れる。不溶性のポリマーマトリクス系は、消化管のような水を含んだ状態において可溶性でないポリマーを含む。このような系からの薬物放出速度は、緻密なポリマー粒子の間に形成される毛管の網を通って拡散する水溶液中の分子に依存する。
【0078】
結合剤は、結合剤の機能を実現するために当該分野において利用されるいかなるものであっても良い。特に好ましいのはPovidone(登録商標)K90である。
【0079】
流動促進剤は好ましくは、無水コロイドシリカおよび/またはタルクを含む。
【0080】
好ましくは、充填剤は、ポリマーまたはポリマーの組合せである。本発明者は、微結晶性セルロースが特に好ましいことを見出した。
【0081】
好ましい滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0082】
もちろん、上記に列挙される成分およびそれらの量が特許請求される発明の範囲内で変更されうることは当業者によって理解されるだろう。さらなる滑剤は、組成物の他の成分との適合性に依存して選択されることができる。
【0083】
実施例7
この実施例は、カプセル中に1×5mm小型タブレットを含むカプセルの本発明による特に好ましい実施形態を示す。
表5
成分 mg
ゾルピデム 1
Kollidon SR 11
Povidone K30 2
コロイドシリカ、無水物 0.5
微結晶性セルロース 35
101
ステアリン酸マグネシウム 0.5
合計 50
【0084】
実施例8
カプセル中に1×5mm小型タブレットを含むカプセルの本発明による、一般化された実施形態を示す。
表6
成分 mg
ロシグリタゾン 2−6
Eudragit 〜10−50
Povidone K30 3−5
コロイドシリカ、無水物
微結晶性セルロース 〜20−70
101
ステアリン酸マグネシウム 〜1
合計 100
【0085】
本発明によるカプセルの上記実施例では、当該分野で良く知られている標準的な技術を使用して、成分は混合され、1×5mm小型タブレットに圧縮された。
【0086】
本発明者は、本発明による配合物が多くの利点を示すことを見出した。上記に例示されるような本発明によるユニットは各強度での投与量の優れた均一性を示し、ユニットあたりの比較的高いAPIの用量は、少ない投与量のタブレットにおいて典型的な仕切りのような問題を回避する。
【0087】
もちろん、上記の実施例は本発明の範囲を制限することを意図していないことは理解されるだろう。添付の特許請求の範囲において規定される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、種々の変更および変形が当業者によってなされることができる。
【0088】
添付の特許請求の範囲およびこれまでの発明の記載において、文脈が表現言語または必要な含意のためにそうでないことを要求する場合を除いて、用語「含む(comprise)」または、「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」のような変形は包括的な意味で使用される。即ち、記載される特徴の存在を明記するために使用され、本発明の種々の実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するために使用されるのではない。
【0089】
本明細書において多くの先行技術の刊行物が参照されるが、この参照が、これらの文献のいずれもオーストラリアまたは他のいかなる国においても一般的な知識の一部を形成するという承認を構成しないことは明確に理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単回投与での処置を必要とする患者への投与を可能にするように物理的に並置される1つ以上の別個の分離したユニットを含む制御放出配合物であって、ユニットまたは各ユニットが、
(i)単位投与量の活性医薬成分またはその医薬的に受容可能な塩;
(ii)1種以上の延長放出剤;および任意選択的に、
(iii)1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤
を含み、単位投与量の合計が活性医薬成分の医薬的に有効な量を構成することを特徴とする制御放出配合物。
【請求項2】
ユニットまたは各ユニットは、都合の良い投与のために小さすぎる、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
ユニットまたは各ユニットは、約1mm〜約10mmの直径を有する、請求項2に記載の配合物。
【請求項4】
ユニットまたは各ユニットは、約3mmの直径を有する、請求項3に記載の配合物。
【請求項5】
ユニットまたは各ユニットは、約5mmの直径を有する、請求項3に記載の配合物。
【請求項6】
単一のユニットがカプセル内に与えられる、請求項1〜5のいずれかに記載の配合物。
【請求項7】
複数のユニットがカプセル内に与えられる、請求項1〜5のいずれかに記載の配合物。
【請求項8】
ユニットまたは各ユニットは、1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤のマトリクス内に圧縮される、請求項1〜5のいずれかに記載の配合物。
【請求項9】
ユニット数の選択は、医薬的に活性な成分の投与量を調節することを可能にする、請求項1に記載の配合物。
【請求項10】
約1〜20ユニットを含む、請求項9に記載の配合物。
【請求項11】
ユニットまたは各ユニットは、ペレットまたは小型タブレットである、請求項1〜10のいずれかに記載の配合物。
【請求項12】
延長放出剤は、1種以上のポリマーを含むマトリクスである、請求項1〜11のいずれかに記載の配合物。
【請求項13】
マトリクスは、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーを含む、請求項12に記載の配合物。
【請求項14】
延長放出剤は、1種以上のポリマーおよび崩壊剤を含むマトリクスである、請求項1〜11のいずれかに記載の配合物。
【請求項15】
崩壊剤は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスカルメロースからなる群から選択される、請求項14に記載の配合物。
【請求項16】
延長放出剤は、1種以上のポリマーおよび遅延剤と滑剤を組み合わせたものを含むマトリクスである、請求項1〜11のいずれかに記載の配合物。
【請求項17】
遅延剤と滑剤を組み合わせたものは、硬化植物油である、請求項16に記載の配合物。
【請求項18】
活性医薬成分は、制酸薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、血管拡張薬、冠状血管拡張薬、脳血管拡張薬、末梢血管拡張薬、抗感染薬、向精神薬、抗躁病薬、興奮薬、抗ヒスタミン剤、緩下剤、鬱血除去剤、ビタミン、胃腸鎮静剤、止痢製剤、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、血管収縮薬および片頭痛治療薬、抗凝血薬および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、催眠薬、鎮静剤、制吐剤、抗嘔吐剤、抗痙攣薬、神経筋遮断薬、高血糖症剤および低血糖症剤、甲状腺製剤および抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、ミネラル添加剤および栄養添加剤、肥満抑制薬、同化剤、赤血球生成薬、および抗喘息薬からなる群から選択される、請求項1〜17のいずれかに記載の配合物。
【請求項19】
活性医薬成分は、ゾピクロン、ゾルピデム、ガランタミン、ロシグリタゾン、エスゾピクロン、およびメトホルミン、ならびにそれらの医薬的に受容可能な塩から選択される、請求項18に記載の配合物。
【請求項20】
(1)ユニットまたは各ユニットが、
(i)単位投与量の活性医薬成分またはその医薬的に受容可能な塩;
(ii)1種以上の延長放出剤;および任意選択的に
(iii)1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤
を含む別個の分離したユニットを調製する工程;および
(2)単回投与における投与を可能にするように1つ以上の前記ユニットを物理的に並置する工程
を含む、制御放出医薬組成物を調製する方法。
【請求項21】
ユニットは、カプセルへのユニットの導入によって物理的な並置にもたらされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ユニットは、タブレット内に圧縮することによって物理的な並置にもたらされる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
活性医薬成分、ポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルの混合物であるポリマーマトリクス、硬化植物油、および任意選択的に、医薬的に受容可能な賦形剤を含む、制御放出組成物。
【請求項24】
医薬的に受容可能な賦形剤は、滑剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、および流動促進剤からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
ケーシング、ならびにケーシング内に配置される活性医薬成分および1種以上の延長放出剤を含む1つ以上のユニットを含む、カプセル。
【請求項26】
1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤のマトリクス、ならびに前記マトリクス内に分散された所定量の活性医薬成分および1種以上の延長放出剤を含む1つ以上のユニットを含む、タブレット配合物。
【請求項27】
1つ以上のコーティングされていないユニットを含む制御放出組成物であって、ユニットまたは各ユニットが、
(i)活性医薬成分;
(ii)1種以上の延長放出剤;および
(iii)崩壊剤
を含み、かつ任意選択的に1種以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含むことを特徴とする制御放出組成物。
【請求項28】
崩壊剤は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスカルメロースからなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
候補配合物について、好ましくは水、0.1N HCl、pH4.5の酢酸緩衝液、およびpH6.8のリン酸緩衝液を含む媒質において、生理学的なpH範囲の全域で、溶解プロフィールを示し、それによって各媒質における候補配合物についての溶解された活性医薬成分の量としての溶解プロフィールが、30分で<25%、60分で20〜35%、180分で35〜55%、360分で50〜75%、720分で>65%である、制御放出配合物。
【請求項30】
各媒質における候補配合物についての溶解プロフィールは、30分で<20%、60分で25〜30%、180分で40〜50%、好ましくは45〜50%、360分で60〜70%、そして720分で>70%、好ましくは>80%である、請求項29に記載の配合物。

【公表番号】特表2009−534429(P2009−534429A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506867(P2009−506867)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000544
【国際公開番号】WO2007/121537
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508320712)アルファファーム ピーティーワイ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】