説明

コーティング組成物および基体をコーティングする方法

【課題】コーティング組成物および基体をコーティングする方法を提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および(c)少なくとも1種の揮発性塩基を含む水性組成物であって、前記ポリマー(a)が21℃以上のTgを有する、水性組成物が提供される。皮革をコーティングする方法およびエラストマーをコーティングする方法であって、(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および(c)少なくとも1種の揮発性塩基を含む水性コーティング組成物の少なくとも1層を前記皮革または前記エラストマーに適用する工程を含む方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
比較的迅速に乾燥する水性コーティング組成物を基体に適用することにより、基体をコートすることが望ましい場合が多い。この目的を達成するための一つの手段は、オーストラリア国特許出願200025185A1号に開示されており、これは、0℃以上のTgを有するアニオン安定化ラテックスポリマー、揮発性塩基、および多官能性アミンを含む水性コーティングの硬化を、電磁エネルギーが補助することを記載している。
【特許文献1】豪州国特許出願200025185A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
基体上に光沢のあるコートを形成するコーティングも望ましい。比較的高いガラス転移温度を有する少なくとも1種のポリマーを含むコーティング組成物がさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第一の態様において、(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および(c)少なくとも1種の揮発性塩基を含む水性組成物が提供され、ここにおいて、前記ポリマー(a)は21℃以上のTgを有する。
本発明の第二の態様において、(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および(c)少なくとも1種の揮発性塩基を含む水性コーティング組成物の少なくとも1層を皮革に適用する工程を含む、皮革をコーティングする方法が提供される。
【0004】
本発明の第三の態様において、(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および(c)少なくとも1種の揮発性塩基を含む水性コーティング組成物の少なくとも1層をエラストマーに適用する工程を含む、エラストマーをコーティングする方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本明細書において用いられる場合、「水性」組成物とは、組成物の合計重量を基準として25重量%以上が水である任意の組成物である。
【0006】
本明細書において用いられ、FW Billmeyer,JR.により「Textbook of Polymer Science」、第2版、1971(以下「Billmeyer」)において定義される場合の「ポリマー」とは、より小さな化学的繰り返し単位の反応生成物から構成される比較的大きな分子である。通常、ポリマーは11以上の繰り返し単位を有する。ポリマーは、直鎖状、分岐状、星状、環状、高分岐状、または架橋状の構造を有することができ、ポリマーは、1種類の繰り返し単位を有する(ホモポリマー)か、または1より多くの種類の繰り返し単位を有する(コポリマー)ことができる。コポリマーは、ランダムに、順々に、ブロックに、他の配置で、またはそれらの任意の混合もしくは任意の組み合わせで配列された様々な種類の繰り返し単位を有することができる。
【0007】
ポリマーは比較的高い分子量を有する。ポリマー分子量は、標準的方法、たとえばサイズ排除クロマトグラフィー法または固有粘度法などにより測定することができる。一般に、ポリマーは1,000以上の数平均分子量(Mn)を有する。ポリマーは非常に高いMnを有することができ、あるポリマーは1,000,000を越えるMnを有し、典型的なポリマーは1,000,000以下のMnを有する。
【0008】
ポリマーは通常、モノマーと呼ばれる比較的小さな分子の、1以上の化学反応(重合と総称される)により製造される。重合後、モノマーの残基はポリマーの繰り返し単位(本明細書においては「重合単位」と呼ばれる)となる。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味し、「(メタ)アクリル」とはアクリルまたはメタクリルを意味する。本明細書において用いられる場合、「(メタ)アクリレートモノマー」とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル、(メタ)アクリル酸のアミド、その置換体、およびその混合物のうちの任意の一つである任意のモノマーを意味する。本明細書において用いられる場合、「アクリルポリマー」は、その重合単位が該ポリマーの合計重量を基準として40重量%以上の(メタ)アクリレートモノマーの残基を含有するポリマーである。
【0010】
あるポリマーは、水性メディア中におけるポリマー粒子の懸濁液であるラテックスの形態で存在する。水性メディアは該水性メディアの重量を基準として25重量%以上の水を含有し、いくつかの態様においては、水性メディアは、該水性メディアの重量を基準として50重量%以上の水を含有し、または75重量%以上の水を含有する。ラテックスは天然に存在するものもあれば、合成のものもある。合成ラテックスは通常、乳化重合により製造される。
【0011】
乳化重合の実施は、D.C.Blackley,Emulsion Polymerization(Wiley,1975)に詳細に記載されている。たとえば、モノマーはアニオン性または非イオン性分散剤(使用される全モノマーの重量を基準として約0.5%〜10%)で乳化させることができる。フリーラジカルタイプの重合開始剤、たとえば過硫酸アンモニウムまたはカリウムを、単独、または促進剤、たとえばカリウムメタビスルフェートもしくはチオ硫酸ナトリウムと組み合わせて、使用することができる。開始剤および促進剤(使用する場合)は通常、触媒と呼ばれ、それぞれ共重合されるモノマーの重量を基準として0.5%〜2%の割合で適宜使用することができる。重合温度は、通常どおり、たとえば室温(約20℃)から90℃またはそれ以上でよい。
【0012】
乳化重合プロセスに適した乳化剤の例としては、たとえば、アルキル、アリール、アルキル置換アリールおよびアリール置換アルキルスルホネート類、スルフェート類、およびポリエーテルスルフェート類のアルカリ金属およびアンモニウム塩、たとえば、ナトリウムビニルスルホネート、およびナトリウムメタリルスルホネート;対応するホスフェート類およびホスホネート類、たとえばホスホエチルメタクリレート;およびアルコキシル化脂肪酸、エステル、アルコール、アミン、アミドおよびアルキルフェノールが挙げられる。
【0013】
連鎖移動剤、たとえば、メルカプタン、ポリメルカプタンおよびポリハロゲン化合物を重合混合物において使用して、ポリマー分子量を調節する場合がある。
【0014】
様々な種類の任意の乳化重合を使用することができる。たとえば、「一段」乳化重合をしばしば使用する。この場合、モノマーミックス(乳化した形態の場合もある)を重合反応過程において、反応容器に一度で全てを添加し、または反応容器に徐々に添加する。あるいは、いくつかの態様においては「多段」乳化重合を使用し、この場合、モノマーミックスを2以上の部分(同じ組成を有してもよいし、あるいは互いに異なる組成を有してもよい)として提供し、各部分を重合させた後、得られるポリマーの全部または一部を容器中で保存するか、または容器中に入れ、モノマーミックスの次の部分を該容器に添加し、重合させる。
【0015】
あるラテックスはアニオン安定化され、これは、粒子の大部分または全部が、粒子の表面上にあるかまたは粒子の表面に結合した、少なくとも1種のアニオン性種を有することを意味する。あるアニオン安定化ラテックスは、1以上の粒子の表面上に1以上のアニオン性界面活性剤を有する。アニオン性界面活性剤は、少なくとも1つのアニオン性官能基を含有する界面活性剤である。1以上のアニオン性界面活性剤を、重合工程前、重合工程中、または重合工程後、あるいはその任意の組み合わせにおいて、ラテックス中に導入することができる。あるアニオン安定化ラテックスは、1より多くのアニオン性界面活性剤を含有することができる。
【0016】
あるアニオン安定化ラテックスは、ペンダントアニオン性官能基を有する少なくとも1種のポリマーを含有する粒子を含有する。たとえば、ポリマーは、少なくとも1つのカルボキシル官能基を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー群から製造することができる。この少なくとも1つのカルボキシル官能基は、重合プロセス後に未反応のまま残ることができ、カルボキシル基は重合後にカルボキシレートアニオンとして存在することができる。同様に、ポリマーは、カルボキシル以外の少なくとも1つのアニオン性官能基を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー群、またはカルボキシル官能基と他のアニオン性基を有するモノマー群の混合物から製造することができる。
【0017】
あるアニオン安定化ラテックスは、アニオン性官能基を有するポリマーを含有し、さらに1以上のアニオン性界面活性剤を含有する。
【0018】
本明細書において用いられる場合、「アニオン安定化ラテックスポリマー」とは、アニオンで安定化されたラテックスの形態において存在するポリマーである。
【0019】
本明細書において用いられる場合、「多官能性アミン」とは、水性メディア中、低pHでプロトン化された状態をとることができる2以上のアミン基を有する化合物である。
【0020】
本明細書において用いられる場合、「揮発性塩基」とは、水中に可溶性である塩基、すなわち、水性コーティング組成物に添加された場合に、通常の貯蔵条件下で水性コーティング組成物中に残留し、水性コーティング組成物の乾燥に適した条件下で水性コーティング組成物から蒸発する塩基である。
【0021】
本明細書において用いられる場合、「カルボキシル官能基」部分とは、カルボキシル基が結合した部分である。カルボキシル基は、中性カルボン酸基の形態、カルボキシレートアニオンの形態、カルボン酸塩の形態、金属原子との複合体の形態、またはその任意の組み合わせのいずれかでありうる。
【0022】
本明細書において用いられる場合、「多価金属カチオン」とは、+2以上の価数を有する金属カチオンである。金属は、任意の種類の金属、たとえば、アルカリ土類金属および遷移金属であり得る。多価金属カチオンは、溶媒和カチオン、塩の一部、複合体の一部の形態、または別のカチオン性形態であり得る。
【0023】
本明細書において用いられる場合、「基体」とは、コーティングが有用に適用され得る任意の表面である。基体の表面は、平坦、平滑、粗面、平面、曲面、不均整またはその任意の組み合わせであってよい。基体は、硬質、柔軟性、肉厚、薄厚、またはその任意の組み合わせであってよい。
【0024】
本明細書において用いられる場合、「皮革」とは、任意の天然の皮革または任意の合成皮革を意味する。天然の皮革は、動物の皮または皮膚から製造され、かかる皮または皮膚は、通常1以上のプロセス、たとえば、加塩、硬化、なめし、および他のプロセスにより処理される。合成皮革は人工の物質であり、たとえば靴、衣類、帽子、鞄、スポーツ用品、ハンドバック、ブリーフケース、および天然皮革の特性が有用である他の物品の、1以上を製造することなど、天然の皮革が使用される1以上の目的のために使用することができる物質である。合成皮革の種類としては、たとえばコーティングされた布および他の人工皮革が挙げられる。コーティングされた布には、天然繊維、合成繊維、あるいはその混合物または組み合わせで作られた1以上の布を用いることができる。コーティングされた布には、織布、不織布またはその組み合わせである1以上の布を用いることができる。コーティングされた布は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、他の合成物質、またはその組み合わせでコートすることができる。他の人工皮革は、天然皮革の性質を模倣する合成物質から製造され、ある人工皮革は、一部または全体がポリウレタンから製造される。
【0025】
「エラストマー」は、たとえば、Billmeyerにより定義されている。本明細書において用いられる場合、エラストマーは、張力を受けて伸長し、一般にそのもとの長さの少なくとも1.1倍の長さになり、そのもとの長さの数倍にもなり得る物質である。エラストマーは伸長された場合に比較的高い強度と剛性を示す。変形後、エラストマーはそのもとの形状に比較的素早く戻る傾向があり、残存する永久変形は比較的小さい。本発明の目的に関して、これらの特性のほとんどまたは全てを示す物質は、「エラストマー」と考えられる。エラストマーは広範囲におよぶ物質、たとえば天然ゴム、合成ゴム、およびそのブレンドから製造することができる。合成ゴムとしては、たとえば、ポリブタジエン、ネオプレン、ブチルゴム、ポリイソプレン、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム(SBRとも言う)、エチレンプロピレンジエンベースのゴム(EPDMと呼ばれるものもある)、その誘導体、その修飾物、その混合物などが挙げられる。エラストマーは、熱可塑性エラストマー(弾性プラスチックまたは溶融加工可能なゴムとも言う)および架橋(加硫とも言う)エラストマーの両方を含む。あるエラストマーは、1以上の添加剤、たとえば、フィラー、酸化防止剤、油、ワックスなどを含む。
【0026】
本明細書において用いられる場合、「ポリマーのTg」とは、他の成分(たとえば可塑剤、造膜助剤、軟化剤、フィラー、他のポリマーなど)の不在下における、そのポリマー自体のガラス転移温度を意味する。ポリマーのTgがある値である場合、本明細書において、該ポリマーは該値のTgを「有する」と言われる。ポリマーのTgは、中点法を用いて示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。また、ポリマーを製造するために用いられる各モノマーの各量が分かっている場合、ポリマーのTgは、T.G.Fox(Bulletin of the American Physical Society、第1巻、シリーズII、ナンバー3、1956年3月15日、p123)により教示される「Fox式」により計算することができる。いくつかのポリマー(たとえば、あるブロックポリマー、およびある多段ラテックスポリマー)は1より多くのTgを有し、本明細書において用いられる場合、特に他に記載しない限り、ポリマーがあるTgを有するとされる場合、該ポリマーは他のTgを有しても、有さなくてもよいことを意図する。
【0027】
ラテックスポリマーは架橋性のものもあるし、そうでないものもある。本明細書において用いられる場合、ラテックスポリマーは、水の除去中、水の除去後、あるいは水の除去中と除去後の両方において架橋を受けることが可能であれば、「架橋性」である。架橋は、ポリマーを架橋する通常の効果を生じる任意の相互作用でよい。架橋としては、共有結合の形成、イオン結合の形成、金属−有機複合体の形成、他の相互作用、またはその任意の組み合わせが挙げられる。
【0028】
本明細書において用いられる場合の「アルキル」基は、二重結合を有さない脂肪族炭化水素基である。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、あるいはその任意の組み合わせまたは混合物であり得る。
【0029】
本発明の実施は、少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー(本明細書においてはポリマー(a)と称する)の使用を伴う。ポリマー(a)は任意のTgを有していてよい。ある態様において、ポリマー(a)は−80℃以上、または−55℃以上、または0℃以上のTgを有する。ある態様において、ポリマー(a)は21℃以上、または25℃以上のTgを有する。ある態様において、本発明の組成物におけるアニオン安定化ラテックスポリマーの全ては21℃より低いTgを有する。ある態様においては、本発明の組成物における、アニオン安定化ラテックスポリマーの全ては21℃以上のTgを有する。独立して、ある態様において、組成物は、21℃以上のTgを有し、21℃未満のさらなるTgを有さない、少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマーを含む。独立して、21℃以上のTgを有する少なくとも1種のポリマーに加えて、本発明の組成物がさらに21℃未満のTgを有する少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、または15℃以下のTgを有する少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマーを含む態様も考えられる。
【0030】
本発明の組成物は、少なくとも1種の多官能性アミンを含有する。前述の多官能性アミンの定義に当てはまる任意の化合物が好適である。多官能性アミンとして好適である化合物の例は、ポリマー性多官能性アミン(すなわち、1以上のアミン含有モノマーを含有するモノマー混合物から重合されるポリマー)である。好適なポリマー性多官能性アミンは、ホモポリマーであるものもあるし、コポリマーであるものもあり、コポリマーのうちには、全てのモノマーがアミン含有モノマーであるモノマー混合物から重合されるコポリマーもあれば、アミンを含有するいくつかのモノマーと、アミンを含有しないいくつかのモノマーとのモノマー混合物から重合されるコポリマーもある。好適なポリマー性多官能性アミンには、可能性として他のモノマーの中でも、次の7クラスから選択される1以上のモノマーを含むモノマー群から重合されるポリマーが含まれる。
【0031】
クラス1:アミノアルキルビニルエーテルおよびアミノアルキルビニルスルフィド。アルキル基は、2個または3個の炭素原子を有する。アミノ基の窒素は、第一級、第二級、または第三級であってよい。1〜4個の炭素原子を有する1以上のアルキル、ヒドロキシアルキル、またはアルコキシアルキル基が、アミノ基の窒素原子に結合されていてもよい。クラス1の化合物のいくつかの例としては、ベータ−アミノビニルエーテル、ベータ−アミノビニルスルフィド、N−モノメチル−ベータ−アミノビニルエーテルまたはスルフィド、およびN−モノメチル−ベータ−アミノプロピルビニルエーテルまたはスルフィドが挙げられる。
【0032】
クラス2:エステル基が少なくとも1つのアミノ基を含有している(メタ)アクリルアミドエステルおよび(メタ)アクリルエステル。クラス2の化合物のいくつかの例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエトキシエチルアミン、ベータ−アミノエチル(メタ)アクリレート、およびN−ベータ−アミノエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0033】
クラス3:N−(メタ)アクリロキシアルキル−オキサゾリジンおよびN−(メタ)アクリロキシアルキルテトラヒドロ−1,3−オキサジン(「アルキル」部分がアルコキシアルキルまたはポリ(アルコキシアルキル)により置換されている類似体を包含する)。いくつかの例としては、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
クラス4:加水分解により容易にアミンを生成するモノマー。たとえば、(メタ)アクリロキシ−ケチミンおよび(メタ)アクリロキシ−アルジミンが挙げられる。
【0035】
クラス5:少なくとも2つの第一級または第二級アミノ基を有する非ポリマー性多官能性アミン。クラス5の化合物のいくつかは、2〜10個の第一級または第二級アミノ基を有する。クラス5の化合物のいくつかは2〜100個の炭素原子を有する脂肪族基(直鎖、分岐鎖、環状、またはその組み合わせ)を有する。クラス5の化合物のいくつかの例としては、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、およびポリオキシプロピレンアミンが挙げられる。
【0036】
クラス6:イミンモノマー。イミンモノマーは、炭素−窒素二重結合を有するか、あるいは炭素−窒素結合を有する複素環を有する、重合可能な化合物である。イミンモノマーは、場合によっては、たとえばエチレンまたはプロピレンをはじめとする、アルケンモノマーと共重合される。
【0037】
クラス7:ビニルアミンモノマー。ビニルアミンモノマーは、1つの炭素原子が二重結合により別の炭素原子と結合し、かつ単結合により窒素原子に結合するモノマーである。炭素原子および窒素原子はさらに、水素原子、有機基、置換された有機基、またはその任意の組み合わせと結合されていてもよい。好適なビニルアミンモノマーとしては、たとえば、非置換ビニルアミン、N−置換ビニルアミン、およびN,N−二置換ビニルアミンが挙げられる。
【0038】
いくつかの態様において、本発明の多官能性アミンは、前記の7クラスから選択される1以上のモノマー、これに加えて1以上の他のモノマーから重合されるコポリマーである。いくつかの態様において、他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミド、他のエチレン性不飽和モノマー、およびその混合物が挙げられる。いくつかの好適な他のエチレン性不飽和モノマーとしては、たとえば、アルキル基が1〜18個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、置換スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、エチレン、それらの置換体、およびその混合物が挙げられる。
【0039】
いくつかの態様において、本発明の多官能性アミンは、水性メディア中において、溶液重合により形成されるポリマーである。かかる態様のいくつかにおいて、ポリマー性多官能性アミンは水中に可溶性である。
【0040】
いくつかの態様において、本発明の多官能性アミンは、水性メディア中において乳化重合により形成されるポリマーである。かかる態様のいくつかにおいて、結果として得られるポリマー性多官能性アミンはアニオン安定化ラテックスポリマーである。
【0041】
多官能性アミンがアニオン安定化ラテックスポリマーである場合、いくつかの態様において、それは、アニオン安定化ラテックスポリマー(a)とは別個のポリマーである。多官能性アミンが、本発明の組成物において成分(a)と成分(b)の両方の働きをするアニオン安定化ラテックスポリマーである態様も考えられる。
【0042】
本発明の実施において、アニオン安定化ラテックスポリマー(a)のタイプと多官能性アミン(b)のタイプとの様々な組み合わせが考えられる。いくつかの態様の例を挙げると、次の通りである。
態様I:(a)および(b)は別の部分であり;(b)は水溶性ポリマーであり;(a)はカルボキシル官能性モノマーの残基を有していても、有していなくてもよく;(b)はカルボキシル官能基を有していても、有していなくてもよい。
態様II:(a)および(b)は別の部分であり;(b)はラテックスポリマーであり;(a)はカルボキシル官能性モノマーの残基を有していても、有していなくてもよく;(b)はカルボキシル官能性モノマーの残基を有していても、有していなくてもよい。
態様III:(a)および(b)は同じ部分であり、カルボキシル官能性モノマーの残基を有していても、有していなくてもよい。
【0043】
本発明の組成物は、基体に適用される前には、多官能性アミンにおけるアミン基の全てまたはほとんど全てが脱プロトン化状態にあるような条件下(すなわち、アミン基が非荷電で、中性または中和とも呼ばれる)に維持される。いくつかの態様において、かかる条件は、組成物のpHを、アミン基の全てまたはほとんど全てが確実に脱プロトン化されるために十分高い値に維持することにより確立される。いくつかの態様において、かかるpH値は、1以上の塩基、たとえば、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルキルアミン、モルホリン、またはその混合物の添加により確立される。
【0044】
本発明の組成物は、少なくとも1種の揮発性塩基を含有する。有用な揮発性塩基の一種は、たとえばアンモニアである。いくつかの態様においては、使用される唯一の塩基または複数の塩基は、揮発性である。他の態様において、たとえば1以上のアルカリ金属水酸化物をはじめとする少なくとも1種の不揮発性塩基に加えて、少なくとも1種の揮発性塩基が使用される。組成物中に存在する塩基の量は、確実に多官能性アミン中のアミン基が脱プロトン化されるために十分な量であることが意図される。さらに、組成物中の不揮発性塩基(存在するならば)の量は十分少ないため、揮発性塩基が除去されても、組成物のpHは十分低いので、多官能性アミン中のアミン基の一部または全部がプロトン化すると考えられる。本発明は、いかなる特定のメカニズムにも限定されるものではないが、揮発性塩基が乾燥プロセス中またはプロセス後に蒸発すると、組成物のpHが十分低くなるので、多官能性アミン中のアミン基の一部または全部がプロトン化されると考えられる。
【0045】
本発明のポリマー(a)は任意の組成を有することができる。ある好適なポリマーは、たとえば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース系ポリマー、ポリオレフィン、スチレン含有ポリマー、アクリルポリマー、そのコポリマー、およびその混合物である。いくつかの態様においては、ポリウレタンポリマー以外のポリマーが好適である。いくつかの態様においては、アクリルポリマーが好適である。
【0046】
少なくとも1種のポリマー(a)がアクリルポリマーである態様において、好適なアクリルポリマーとしては、たとえば、1以上の以下のモノマー:(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアミド、(メタ)アクリル酸のアルキロール置換アミド、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、および(メタ)アクリル酸の置換アルキルエステル、の残基を含むアクリルポリマーが挙げられる。好適なアクリルポリマーとしては、たとえば、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基を有する1以上のアルキルアクリレートモノマー、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基を有する1以上のアルキルメタクリレートモノマー、1以上のビニル芳香族モノマー、メタクリル酸、1以上の置換アルキル(メタ)アクリレートモノマー、および1以上の他のビニルモノマーを重合単位として有するものが挙げられる。置換アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル基に結合した1以上の官能基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーであり、好適な官能基としては、たとえば、アルケン基;窒素含有基、たとえばアミン基(たとえばモノ−およびジ−アルキルアミン基);酸素含有基、たとえばヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、マレイン基、アセトアセトキシ基、およびアルコキシ基;硫黄含有基;ならびにその組み合わせおよび混合物が挙げられる。
【0047】
ビニル芳香族モノマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和基および少なくとも1つの芳香環を含むモノマーである。ビニル芳香族モノマーのいくつかの例としては、たとえば、スチレンおよびアルキル置換スチレン(たとえば、アルファ−メチルスチレン)が挙げられる。
【0048】
ポリマー(a)として好適ないくつかのアクリルポリマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸の残基を含まないアクリルポリマーが挙げられる。ポリマー(a)として好適な他のアクリルポリマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸の残基を含むアクリルポリマーが挙げられる。いくつかの態様において、メタクリル酸の残基が存在する。いくつかの態様において、(メタ)アクリル酸の残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、0.1重量%以上;または0.5重量%以上;または2重量%以上;または5重量%以上である。いくつかの態様において、(メタ)アクリル酸の残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、50重量%以下;または30重量%以下;または20重量%以下である。
【0049】
本明細書において使用される場合、「ポリマーの重量」とは、溶媒または懸濁メディアを除去した後の乾燥時のポリマーの重量を意味する。
【0050】
ポリマー(a)として好適ないくつかのアクリルポリマーとしては、たとえば、1以上のアルキル(メタ)アクリレートの残基を含むアクリルポリマーが挙げられる。いくつかの態様においては、メチルメタクリレートの残基が存在する。いくつかの態様においては、ブチルアクリレートの残基が存在する。いくつかの態様において、アルキルメタクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、1重量%以上;または2重量%以上;または4重量%以上;または5重量%以上である。いくつかの態様において、アルキルメタクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、50重量%以下;または40重量%以下;または30重量%以下である。独立して、いくつかの態様において、アルキルアクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、1重量%以上;または2重量%以上;または5重量%以上;または10重量%以上である。いくつかの態様において、アルキルアクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、80重量%以下;または60重量%以下;または50重量%以下である。
【0051】
ポリマー(a)として好適ないくつかのアクリルポリマーとしては、たとえば、(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマーの残基を含まないアクリルポリマーが挙げられる。ポリマー(a)として好適な他のアクリルポリマーとしては、(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマー、たとえば、スチレン、アルファ−メチルスチレン、他の置換スチレン、ブタジエン、他のオレフィン、ビニルハライド、ビニリデンハライド、酢酸ビニル、およびその混合物などの1以上の残基を含む、アクリルポリマーが挙げられる。スチレンは、(メタ)アクリレートモノマーではない好適なモノマーの一つである。いくつかの態様において、(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマーの残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、5重量%以上;または10重量%以上;または20重量%以上である。いくつかの態様において、(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマーの残基の量は、ポリマー(a)の重量を基準として、80重量%以下;または60重量%以下;または50重量%以下である。
【0052】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、成分(a)、(b)、および(c)に加えて、21℃未満のTgを有するアニオン安定化ラテックスポリマーである少なくとも1種のポリマー(本明細書において「(d)」と称する)を含有する。いくつかの態様において、ポリマー(d)は15℃以下のTgを有する少なくとも1種のポリマーを含有する。独立して、いくつかの態様において、ポリマー(d)は21℃未満のTgを有し、かつ21℃より高いさらなるTgを有さない少なくとも1種のポリマーを含有する。
【0053】
本発明のポリマー(d)は、任意の組成を有することができる。いくつかの好適なポリマーは、たとえば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース系ポリマー、ポリオレフィン、スチレン含有ポリマー、アクリルポリマー、そのコポリマー、およびその混合物である。いくつかの態様において、ポリウレタンポリマー以外のポリマーが好適である。いくつかの態様においては、アクリルポリマーが好適である。
【0054】
ポリマー(d)が少なくとも1種のアクリルポリマーを含有する態様において、ポリマー(d)の重合した残基として包含されまたは除外されるのに適したモノマーの種類および特定のモノマーは、ポリマー(a)について既に記載したものと同じである。いくつかの態様において、ポリマー(d)は、1以上のアルキル(メタ)アクリレートエステル、1以上の(メタ)アクリル酸、および1以上の他のモノマーの1以上の重合した残基を含有する。いくつかの態様において、ポリマー(d)の重合した残基のそれぞれは、アルキル(メタ)アクリレートエステルまたは(メタ)アクリル酸のいずれかである。
【0055】
いくつかの態様において、ポリマー(d)中の(メタ)アクリル酸の残基の量は、ポリマー(d)の重量を基準として、0.05重量%以上;または0.1重量%以上;または0.5重量%以上である。いくつかの態様において、ポリマー(d)中の(メタ)アクリル酸の残基の量は、ポリマー(d)の重量を基準として、8重量%未満;または5重量%未満である。
【0056】
いくつかの態様において、ポリマー(d)中のアルキルメタクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(d)の重量を基準として、2重量%以上;または5重量%以上;または10重量%以上;または25重量%以上である。いくつかの態様において、ポリマー(d)中のアルキルメタクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(d)の重量を基準として、80重量%以下;または70重量%以下;または60重量%以下である。独立して、いくつかの態様において、ポリマー中のアルキルアクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(d)の重量を基準として、2重量以上;または5重量%以上;または10重量%以上;または20重量%以上である。いくつかの態様においては、ポリマー(d)中のアルキルアクリレートモノマーの残基の量は、ポリマー(d)の重量を基準として、80重量%以下;または70重量%以下;または60重量%以下である。
【0057】
いくつかの態様においては、本発明の組成物は、架橋可能であるアニオン安定化ラテックスポリマーを含有しない。他の態様において、本発明の組成物は、架橋可能である1以上のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有する。組成物が、架橋可能である1以上のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有する態様において、架橋可能なアニオン安定化ラテックスポリマーは任意のTgを有することができる。かかる態様のいくつかにおいて、組成物は、21℃以上のTgを有する少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有する。独立して、かかる態様のいくつかにおいて、組成物は21℃未満のTgを有する少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有する。独立して、かかる態様のいくつかにおいて、組成物は21℃未満のTgを有する少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有し、かつ21℃以上のTgを有する少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマーも含有する。
【0058】
好適な架橋可能なアニオン安定化ラテックスポリマーとしては、たとえば、ポリマーがラテックス形態において懸濁されている間は反応しないが、ラテックスからの水が蒸発または除去している過程またはその後に反応する化学基(本明細書においては、「乾燥反応性」化学基と称する)を有するものが挙げられる。かかる化学基が反応する場合、それらは有効な架橋を形成する化学反応に関与する。かかる化学反応は、たとえば以下の条件うちの任意の1以上のもとで起こり得る。すなわち、周囲温度(15℃〜40℃)の大気中での乾燥;加熱温度(40℃より高い、または50℃より高い、または100℃より高い)への暴露;酸素との接触;放射線(たとえば、赤外線、可視光線、紫外線、または電子線)への暴露;またはその任意の組み合わせである。
【0059】
組成物が架橋可能である1以上のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有するいくつかの態様において、架橋は40℃以下の温度で起こり得る。独立して、組成物が架橋可能である1以上のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有するいくつかの態様において、架橋は放射線を適用せずに起こり得る。独立して、組成物が架橋可能である1以上のアニオン安定化ラテックスポリマーを含有するいくつかの態様において、架橋は周囲条件で起こり得る。架橋が周囲条件で起こり得る場合、有用な架橋を達成するために、さらに増強された条件は必要ない。さらに増強された条件は必要ないが、組成物の層がさらに増強された条件に曝される場合には、架橋は向上されうる(すなわち、架橋がより速く起こるか、またはより高い程度まで進行する)と考えられる。
【0060】
たとえば、いくつかの架橋可能なアニオン安定化ポリマーは、互いに反応して架橋を形成することができる乾燥反応性基(本明細書において「自己反応性」基と称する)を含有する。かかる自己反応性乾燥反応性基としては、たとえば、第四級アンモニウムハライド基;アミノ官能性シランと反応したアセトアセテート官能基;他のシラン官能基;N−アルカノールアミド基;およびその組み合わせが挙げられる。
【0061】
1以上の架橋可能なアニオン安定化ラテックスポリマーを含有するいくつかの態様において、本発明の組成物はさらに、2以上の乾燥反応性化学基と相互作用して有効な架橋を形成することができる化合物である別の化合物(本明細書において「架橋剤」とも称する)を含有する。乾燥反応性化学基と架橋剤との広範囲におよぶ適当な組み合わせは公知である。いくつかの例を挙げると次の通りである。すなわち第四級アンモニウム基とアミンおよびエポキシ樹脂の混合物;カルボン酸基と様々な架橋剤(たとえば、多価金属イオン、エポキシ樹脂、カルボジイミド、ポリカルボジイミド、アジリジン、およびその組み合わせ);アセトアセテートまたはアセトアセトアミド基とアミノシランまたはコバルトの塩もしくは酸化可能な化合物;アルデヒドまたはケトン基とポリカルボン酸、ビスヒドラジド、またはビスヒドラゾン;およびイソシアネート反応性基(たとえば、ヒドロキシル、アミン、ウレタン、またはエポキシド)とポリイソシアネートである。好適な組み合わせの一つは、カルボン酸基と多価金属イオンである。
【0062】
多価金属イオンを使用する態様において、価数が+2以上である任意の金属カチオンが好適である。いくつかの好適な多価金属イオンとしては、たとえば、カルシウム、マグネシウム、ヒ素、水銀、コバルト、鉄、銅、鉛、カドミウム、ニッケル、クロム、アルミニウム、タングステン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、およびその混合物の多価イオンが挙げられる。いくつかの態様において、亜鉛、銅、マグネシウム、またはその混合物の1以上の多価イオンが使用される。いくつかの態様において、亜鉛の多価イオンが使用される。いくつかの態様において、マグネシウムの多価イオンが使用される。
【0063】
好適な架橋可能なアニオン安定化ラテックスポリマーとして、互いに反応して架橋を形成する2つの異なる乾燥反応性基を用いるポリマーも考えられる。2つの異なる乾燥反応性基は、異なるポリマー鎖上にあってもよいし、同じポリマー鎖上にあってもよい。
【0064】
いくつかの態様において、本発明の組成物は1以上のさらなる成分(「アジュバント」とも呼ばれる)を含有する。たとえば、いくつかの態様は、以下うちの1以上を含有する。すなわち、消泡剤(たとえば、シリコーンエマルジョン)、レベリング剤(たとえば、フルオロカーボン化合物)、可塑剤、ワックス(たとえば、ポリアルキレンワックスエマルジョン)、レオロジー改良剤、溶媒、補助溶媒、染料、および顔料(たとえば、カーボンブラック)である。
【0065】
可塑剤が使用される態様において、好適な可塑剤としては、揮発性可塑剤(造膜助剤と言う場合もある)および不揮発性可塑剤が挙げられる。本発明において好適な可塑剤としては、たとえば、アルコール、エーテル化合物、カルボキシレートエステル、リン酸エステル、アミド、およびその混合物が挙げられる。
【0066】
可塑剤として好適ないくつかのアルコールとしては、たとえば、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールが挙げられる。いくつかの好適なアルコールは、たとえば、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、およびパイン油である。
【0067】
可塑剤として好適ないくつかのエーテル化合物は、たとえば、モノアルキレングリコールおよび多アルキレングリコールの、アルキルおよび芳香族エーテルである。いくつかの好適な多アルキレングリコールのアルキルエーテルは、たとえば、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、およびその混合物である。可塑剤として好適なさらなるエーテル化合物は、たとえば、少なくとも1つのエーテル結合および少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する化合物であるエーテルアルコールである。いくつかの好適なエーテルアルコールは、たとえば、2ブトキシエタノールおよびブチルカルビトールである。
【0068】
可塑剤として好適な化合物の別の群は、カルボン酸エステルであり、これは少なくとも1つのカルボン酸エステル結合を含有する化合物である。
【0069】
可塑剤として好適ないくつかのカルボン酸エステルは、たとえば、モノヒドロキシル化合物とモノカルボン酸のエステル;モノヒドロキシル化合物と多カルボン酸のモノおよびジエステル;ポリオールとモノカルボン酸のモノおよびジエステル;多カルボン酸とポリオールの多エステル;ならびにその組み合わせおよび混合物である。可塑剤の一部として好適なカルボン酸としては、たとえば、4〜12個の炭素原子を有するカルボン酸をはじめとする芳香族および脂肪族カルボン酸が挙げられる。好適なカルボン酸としては、たとえば、安息香酸、4〜8個の炭素原子を有するアルキルカルボン酸、フタル酸、トリメリット酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ピメリン酸、およびその混合物が挙げられる。可塑剤の一部として好適なヒドロキシル化合物としては、たとえば、3〜13個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルモノヒドロキシルまたはポリオール化合物が挙げられる。好適なエステルのいくつかの例は、次のものである。すなわち、Texanol(商標)(Eastman Chemicalから得られる)、イソオクタンジオールのモノおよびジアルキルエステル、ブタンジオールのモノおよびジアルキルエステル、ならびにその混合物である。
【0070】
可塑剤として好適ないくつかのホスフェートエステル類としては、たとえば、トリアルキルホスフェート類(たとえば、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート)、トリアリールホスフェート類(たとえば、トリクレジルホスフェート)、混合アルキル/アリールホスフェート類(たとえば、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート)、トリアルコキシアルキルホスフェート類(たとえば、トリブトキシエチルホスフェート)、その組み合わせ、およびその混合物である。
【0071】
好適なアミド可塑剤の一つは、たとえばカプロラクタムである。
【0072】
好適な可塑剤の混合物も好適である。
【0073】
1以上のレオロジー改良剤が本発明の組成物中に含まれる態様において、好適なレオロジー改良剤としては、たとえば、非イオン性レオロジー改良剤およびイオン性レオロジー改良剤が挙げられる。非イオン性レオロジー改良剤としては、たとえば、水溶性物質、たとえば、ヒドロキシエチルセルロース、他の水溶性セルロース、および水溶性合成ポリマー、たとえばポリエーテルが挙げられる。また、非イオン性レオロジー改良剤としては、たとえば、疎水性修飾された親水性分子である「会合性増粘剤」としばしば呼ばれる物質が挙げられる。会合性増粘剤の親水性部分としては、たとえば、親水性ポリウレタン、エトキシル化ポリウレタン、ヒドロキシエチルセルロース、他の水溶性セルロース、ポリ(エチレンオキシド)、および他の親水性ポリエーテルが挙げられる。会合性増粘剤の疎水性基は、たとえばウレタン結合をはじめとする任意の種類の結合により親水性部分に結合させることができる。会合性増粘剤における疎水性基としては、たとえば、6以上の炭素原子を有する炭化水素、3以上の炭素原子と少なくとも1つのフッ素原子を有するフルオロ置換炭化水素、オルガノシロキサン含有有機基、ならびにその組み合わせおよびその混合物が挙げられる。
【0074】
好適なイオン性レオロジー改良剤には、たとえば、アミン基、酸基、または両方を有する合成ポリマーが挙げられる。かかる合成ポリマーとしては、たとえば、1以上のアミン含有(メタ)アクリレートモノマー(たとえば、(メタ)アクリルアミド)と、任意に他のモノマー(たとえば、1以上のアミン非含有(メタ)アクリレートモノマー)とを含むモノマー混合物から調製されるポリマーが挙げられる。イオン性レオロジー改良剤として好適な合成ポリマーとしては、たとえば、1以上の酸含有(メタ)アクリレートモノマー(たとえば、(メタ)アクリル酸)と、任意に他のモノマー(たとえば、1以上の酸非含有(メタ)アクリレートモノマー(モノエチレン性不飽和または多エチレン性不飽和またはその混合物であってもよい))とを含むモノマー混合物から製造されるポリマーが挙げられる。
【0075】
少なくとも1種のアミン含有モノマーまたは少なくとも1種の酸含有モノマーを含むモノマー混合物から製造される疎水性修飾された合成ポリマーもイオン性レオロジー改良剤として好適である。疎水性基は、たとえば、疎水的に修飾された合成ポリマーが製造されるモノマー混合物中に、疎水性基(すなわち、6以上の炭素原子を有する炭化水素、3以上の炭素原子と少なくとも1つのフッ素原子を有するフルオロ置換炭化水素、オルガノシロキサン含有有機基、またはその組み合わせ)を有する1以上のモノマーを含めることにより結合させることができ、かかるポリマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、C10−C20アルキル(メタ)アクリレート、任意に多エチレン性不飽和(メタ)アクリレート、および他の(メタ)アクリレート、を含むモノマー混合物から製造されたコポリマーが挙げられる。
【0076】
本発明の組成物中の成分は、任意の順序で、任意の混合法を用いて組み合わせることができる。いくつかの態様において、たとえば、少なくとも1種のポリマー(a)を少なくとも1種の多価金属カチオンと混合して、本明細書において「(a)/金属プレミックス」と称する混合物(成分(b)、(c)、および(もし使用されるならば)ポリマー(d)を含有しない混合物)が形成される。かかる態様において、場合によっては、任意の1以上の以下の方法を用いて、多価カチオンを、たとえば、アニオン安定化ラテックスポリマーと混合することができる。
【0077】
M1法:酸化物として多価金属カチオンを供給する。M1法においては、多価金属酸化物がラテックスポリマーと混合される。場合によっては、アルカリ金属の塩基性塩も添加される。
【0078】
M2法:複合体として多価金属カチオンを供給する。M2法において、いくつかの好適な複合体としては、たとえば、カーボネート、バイカーボネート、およびグリシネートが挙げられる。M2法を使用するいくつかの態様において、かかる複合体を水性ポリマー分散体に添加する前に、かかる複合体を可溶化させるのが有用である。かかる複合体を可溶化させるための一方法は、複合体を水性希アンモニアに添加することである。
【0079】
M3法:多価金属カチオンをアニオン安定化ラテックスポリマーと混合し、その間アニオン安定化ラテックスポリマーをそのTgより高い温度に維持する。M3法を使用するいくつかの態様において、多価金属カチオンは、ラテックスポリマーと混合する直前は、比較的水中に不溶性である化合物の形態である(すなわち、水100グラムあたり、0.4グラム未満の化合物の溶解度)。M3法を使用するいくつかの態様において、多価金属カチオンを含有する化合物をラテックスポリマーと混合し、この間、ラテックスポリマーエマルジョンは7以上のpHを有する。
【0080】
(a)/金属プレミックスの使用を含む態様の実施において、この(a)/金属プレミックスを他の成分と混合して、本発明の組成物を形成することが意図される。
【0081】
独立して、いくつかの態様において、成分(b)、(c)、および(もし使用されるならば)(d)を一緒に混合して、本明細書において「(b)/(c)プレミックス」と称するポリマー(a)を含有しない混合物を形成する。いくつかの態様において、(b)/(c)プレミックスは少なくとも1種のポリマー(d)を含有する。(b)/(c)プレミックスの使用を含む態様の実施において、この(b)/(c)プレミックスは他の成分と混合されて、本発明の組成物を形成することが意図される。
【0082】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、少なくとも1つの(a)/金属プレミックスと少なくとも1つの(b)/(c)プレミックスを共に混合することにより形成される。かかる態様において、揮発性塩基は(プレミックスの形成前、形成中、または形成後に)いずれかのプレミックスに添加されてもよく、揮発性塩基は2種のプレミックスと同時に組成物に添加されてもよく、揮発性塩基は、プレミックスが共に混合された後に組成物に添加されてもよく、またはその任意の組み合わせでもよいと考えられる。任意のアジュバントがかかる態様において用いられる場合、これらはいずれかのプレミックスに添加されてもよく(該プレミックスの形成前、形成中、または形成後)、これらは2種のプレミックスと同時に組成物に添加されてもよく、これらは、プレミックスが共に混合された後に組成物に添加されてもよく、またはその任意の組み合わせでもよい。
【0083】
いくつかの態様において、1以上のポリマー(a)、1以上の成分(b)、1以上の成分(c)、およびポリマー(d)が存在する場合は1以上のポリマー(d)を含有する混合物が形成され、該混合物は、多価金属イオン(不純物として存在することができる微量の多価金属イオン以外)を含有しない。かかる態様において、ポリマー(a)は(メタ)アクリル酸の残基を含む。かかる態様のいくつかにおいて、(a)、(b)、(c)、および任意に(d)の混合物が形成された後、1以上の多価金属イオンが混合物に添加される。多価金属イオンが添加される場合、これは、たとえば(a)/金属プレミックスの形成について本明細書において既に記載した方法をはじめとする任意の方法により添加することができる。かかる態様において、任意のアジュバントが用いられる場合、これらを、多価金属イオンの添加前、添加中、または添加後、あるいはその任意の組み合わせをはじめとする、組成物の形成の任意の段階で、一緒にまたは別々に添加することができる。
【0084】
本発明の実施において、本発明の組成物の1以上の層を基体に直接適用することができ、あるいは本発明の組成物の1以上の層を、前のコーティングが既に基体に適用された後に基体へ適用することができる。本発明の組成物の1以上の層を基体に適用した後、さらにコーティングを適用することなくコートされた基体を使用することができ、あるいは、さらなるコーティング(本発明の組成物であっても、なくてもよい)を適用することができる。
【0085】
本発明の組成物の層を、任意の基体に有用に適用することができる。基体は、たとえば、肉厚または薄厚、硬質または軟質、天然または合成、多孔質または非多孔質、あるいはその任意の組み合わせであり得る。基体のいくつかの例としては、木材、金属、コンクリート、テラゾ、花崗岩、他の鉱物、岩、非弾性フローリング材、セラミックタイル、プラスチックタイル、皮革、紙、厚紙、アスファルト、プラスチック、エラストマー、またはその任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様において、少なくとも1つの基体は、皮革(前記のように、天然または合成の皮革、あらかじめコートされているまたはコートされていない皮革、あるいはその任意の組み合わせである皮革を包含する)である。いくつかの態様において、少なくとも1つの基体は、エラストマー、たとえば自動車のタイヤである。
【0086】
本発明の組成物の1以上の層を基体に適用するために、任意の方法を使用することができる。いくつかの態様において、1以上の層を手作業で適用することができる。層が手作業で適用されるいくつかの態様において、組成物は、たとえば、非吸収性装置、たとえば巻き線型ロッド、計量バー、スパチュラ、スキージ、または類似の装置で塗布することができる。層が手作業で適用されるいくつかの態様において、組成物は、たとえば、吸収性装置(「アプリケーター」と呼ばれることが多い)、たとえば、スポンジ、織布、不織布、または類似の物質などの吸収性物質を含む道具で塗布することができる。本発明の組成物の層は、通常の塗料塗布用器具、たとえば、ブラシおよびローラーの助けをかりて手作業で適用することができる。いくつかの態様において、層は、1以上の機械的装置を用いる方法を使用して適用することができ;かかる方法としては、通常のスプレーまたはエアレススプレー、ロール、カーテン、メカニカルブラシ、フラッド、およびディップコーティング法が挙げられる。
【0087】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、組成物の層を基体に適用した後、層の乾燥中または乾燥後にフィルムを形成する。フィルムは望ましくは結合性(cohesive)である。すなわち、意図される目的のための通常の使用中に、フィルムは容易にばらばらにならない。さらに、フィルムは望ましくは基体に対する接着を容易に失わない。
【0088】
いくつかの態様において、本発明の組成物の層は、迅速に乾燥することができる。いくつかの場合において、層ははじめは湿っており、次いで粘着性になり、次いで乾燥する。コーティングを指で触った人が層が粘つくと感じる場合に層は粘着性である。層は、もはや粘着性ではなくなった時に乾燥していると見なされる。本発明のいくつかの使用に関して、乾燥は、周囲大気中において周囲温度で行われ、迅速な乾燥が望ましい。いくつかの態様において、層は20分以内、または10分以内で乾燥する。
【0089】
本発明の組成物は、揮発性および不揮発性成分の両方を含む。揮発性成分は、組成物の層の乾燥プロセス中に蒸発するものである。水および揮発性塩基は、本明細書においては揮発性であると見なされ、組成物は、1以上の追加の揮発性成分を含有することができ、含有しなくてもよい。不揮発性成分は、組成物の層の乾燥プロセス中に蒸発しない。ポリマーおよび多官能性アミンは本明細書においては不揮発性であると見なされ、組成物は1以上の追加の不揮発性成分を含有しても、含有しなくてもよい。いくつかの態様において、不揮発性成分の量は、組成物の合計重量を基準として、2重量%以上;または5重量%以上;または10重量%以上である。いくつかの態様において、不揮発性成分は、組成物の合計重量を基準として、70重量%以下;または50重量%以下;または40重量%以下である。
【0090】
いくつかの態様において、ポリマー(a)の重量は、組成物の合計重量を基準として、1重量%以上;3重量%以上;または8重量%以上である。いくつかの態様において、ポリマー(a)の重量は、組成物の合計重量を基準として、30重量%以下;または20重量%以下;または15重量%以下である。
【0091】
いくつかの態様において、多官能性アミンの重量(すなわち、水、溶媒、および他の成分の不在下での、多官能性アミンそれ自体の重量)は、組成物の合計重量を基準として、0.01重量%以上;または0.1重量%以上である。いくつかの態様において、多官能性アミンの重量(すなわち、水、溶媒、および他の成分の不在下での、多官能性アミンそれ自体の重量)は、組成物の合計重量を基準として、5重量%以下、または2重量%以下である。
【0092】
いくつかの態様においては、1以上のポリマー(d)が存在する。ポリマー(d)が存在する態様のいくつかにおいて、ポリマー(d)の重量は、組成物の合計重量を基準として、0.5重量%以上;または1重量%以上;または2重量%以上である。ポリマー(d)が存在する態様のいくつかにおいて、ポリマー(d)の重量は、組成物の合計重量を基準として、30重量%以下;または20重量%以下;または10重量%以下である。
【0093】
乾燥反応性基を有する少なくとも1種のポリマーが使用され、かつ架橋剤も使用される態様において、架橋剤の乾燥反応性基に対する比は、当量基準で、0.05以上、または0.1以上、または0.2以上、または0.4以上である。乾燥反応性基を有するポリマーが使用され、かつ架橋剤が使用されるいくつかの態様において、架橋剤の乾燥反応性基に対する比は、当量基準で、1.5以下、または0.9以下である。
【0094】
本明細書および特許請求の範囲の目的に関して、本明細書に記載される範囲および比の範囲は組み合わせ可能と理解される。たとえば、特定のパラメータについて60〜120および80〜110の範囲が記載されている場合、60〜110および80〜120の範囲も意図される。別の例として、特定のパラメータについての最小値が1、2、および3と記載され、特定のパラメータについての最大値が4および5と記載されている場合、1〜4、1〜5、2〜4、2〜5、3〜4、および3〜5の範囲は全て含まれると理解される。
【実施例】
【0095】
実施例において次の方法を使用した:
皮革へのコーティングの適用:
皮革を30cm×20cmの試験片に切り出し、平らにした。皮革の各試験片を次いで両面テープで水平面に貼り付ける。スポンジアプリケーターを秤量して風袋重量を得、次いで1mlの液体コーティングをピペットでスポンジアプリケーターに適用する。アプリケーターを試験片の左上角に置き、常に試験片と接触させつつ素速く上下に繰り返し動かしながら、同時に左から右へゆっくりと動かす。試験片全体が被覆されたら、アプリケーターを再び左上角に置き、常に試験片と接触させつつ次いで左右に素速く繰り返し動かしながら、同時に上から下へゆっくりと動かす。次いで、アプリケーターを再び左上角に置き、試験片と接触させつつ試験片の下まで引き下ろし;アプリケーターを持ち上げ、最初の位置の隣に置き、引き下ろし;次いで、試験片が被覆されるまで、持ち上げ、前の位置の隣に引き下ろす。コーティング層が乾燥する前に、全コーティングプロセスを素速く行う。
【0096】
室温および周囲大気中で一日乾燥した後、コーティングプロセスを繰り返す。もう一日室温および周囲大気中で乾燥した後、コーティングプロセスを再度繰り返す。
【0097】
光沢:
光沢を、Gardner Glossmeterを用い、ASTM D523(American Society for Testing and Materials,West Conshohocken,Pennsylvania,USA)の手順に従って測定し、グロス単位で報告した。60°光沢を3回、すなわち、第一コートを乾燥した後であるが、第二のコートを適用する前;第二のコートを乾燥した後であるが、第三のコートを適用する前;および第三のコートを乾燥した後に測定した。8回、すなわち、4回水平、4回垂直で読みとりを行い、読みとった値を平均する。
【0098】
レベリング:
コーティングプロセスが完了した後であるが、コーティングが乾燥する前に、「X」をスポンジアプリケーターで湿潤表面に描く。コーティングが乾燥した後、「X」の外観を次のように評価する:優秀(「X」が見えない);非常に良好(「X」のかすかな輪郭が見えるが、フィルムにすじはついていない);良好(「X」のはっきりした輪郭が見えるが、フィルムにすじはついていない);または普通(「X」の明らかな輪郭が見え、フィルムにすじがついている)。
【0099】
乾燥時間
前述のように、コーティングが非粘着性になるまでに必要な時間を記録する。
【0100】
【表1】

【0101】
注(1):供給業者により供給される成分の固形分重量%を示す。
【0102】
実施例1〜3および比較例C
以下の表に示す量で成分を混合することにより、次の水性コーティング組成物を製造した。各成分の量は、供給業者により供給されたままでの成分の量(実施例組成物の合計重量を基準としての重量%で表示)である。
【0103】
【表2】

【0104】
実施例4:試験結果
実施例1〜3および比較例Cの処方物を前記のように皮革上にコートし、試験した。結果は次の通りである。
【0105】
【表3】

【0106】
実施例は、比較例よりも高い光沢、良好なレベリング、および速い乾燥時間を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、
(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および
(c)少なくとも1種の揮発性塩基
を含む水性組成物であって、前記ポリマー(a)が21℃以上のTgを有する水性組成物。
【請求項2】
前記ポリマー(a)が架橋性である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(d)21℃未満のTgを有する少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、
をさらに含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー(a)が、前記ポリマー(a)の乾燥重量を基準として5重量%以上のカルボキシル官能性モノマーの残基を重合単位として含み、
前記ポリマー(d)が、前記ポリマー(d)の乾燥重量を基準として5重量%未満のカルボキシル官能性モノマーの残基を重合単位として含み、および
前記組成物が、少なくとも1つの多価金属カチオンをさらに含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
請求項1記載の組成物の少なくとも1層を基体に適用する工程、および
請求項1記載の組成物の前記層を乾燥するかまたは乾燥可能にする工程、
を含む、基体をコーティングする方法。
【請求項6】
基体および請求項1記載の組成物の層を含む物品。
【請求項7】
皮革をコーティングする方法であって、
(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、
(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および
(c)少なくとも1種の揮発性塩基、
を含む水性コーティング組成物の少なくとも1層を該皮革に適用する工程を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法によりコートされた皮革を含む物品。
【請求項9】
エラストマーをコーティングする方法であって、
(a)少なくとも1種のアニオン安定化ラテックスポリマー、
(b)少なくとも1種の多官能性アミン、および
(c)少なくとも1種の揮発性塩基、
を含む水性コーティング組成物の少なくとも1層を該エラストマーに適用する工程を含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法によりコートされたエラストマーを含む物品。

【公開番号】特開2006−89725(P2006−89725A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−237108(P2005−237108)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】