説明

コールドシールされ、再封止可能な包装、およびその製造のための組成物

コールドシールされ、包装の開封後に再封止可能な接着剤層を有する再封止可能な包装であって、接着剤層が乳化重合体を含有し、前記乳化重合体は少なくとも60質量%が主モノマーから構成され、前記主モノマーはC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択され、前記乳化重合体は、少なくとも1つの保護コロイドの存在中でのラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能である、包装が記載される。本発明による包装の製造のために適した水性ポリマー分散液、並びに該ポリマー分散液によってコーティングされたポリマーフィルムも記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールドシールされ、包装の開封後に再封止可能な接着剤層を有する再封止可能な包装、その包装の製造方法、その包装の製造のための水性ポリマー分散液の形態での組成物、並びに該組成物によってコーティングされたポリマーフィルムに関する。
【0002】
コールドシール可能な組成物とは、室温で圧力をかけて互いに押しつけられた場合、基材への施与および乾燥後に、粘着性の触感ではないが互いに付着している接着剤である。それらは、室温で粘着性が不足しているか、または必要な場合には粘着性が非常にわずかであるという点で、感圧物質とは異なる。それらは、熱活性化なく互いに圧力下で接着可能である点で、熱硬化性組成物とは異なる。コールドシール可能な組成物は、例えば、包装の際に熱の使用が望ましくない、殊に食品または他の熱の影響を受けやすい品物、例えばアイスクリームまたはチョコレートのための、または素早い包装速度および高いサイクル数が必要とされる場合の、袋形の包装のシーリング用に公知である。特性が粘着性ではないので、それらでコーティングされた基材は、ロールに巻かれることができ、且つ、使用のときまで、有利には支持基材の剥離コーティングを備えられた、対向する他の側との付着がない状態で保管され得る。典型的には、コールドシール接着剤のために、天然ゴムラテックスに基づくポリマー分散液が使用される。欠点は、この場合、比較的高い価格急騰、天然原料の自然な品質変動、およびとりわけ、これらの天然製品が保有するアレルゲンの可能性である。可能な限り、有機溶剤、即ち、乾燥後にコールドシール可能なコーティングを形成するポリマーの水性分散液がない、コールドシール可能な組成物が望ましい。
【0003】
何度も再封止可能であるために、何度も開封した後でも封止力が充分に高いままである包装が重要である。天然ゴムに基づく、または合成ポリマーに基づくポリマー分散液は、しばしば、初めの封止の際の充分に高いシール接合部強度、剥離コーティングに対する耐ブロッキング性、並びに、包装を何回も開封および再封止した後の充分に高い再封止力に関して、再封止可能な包装の製造のために望ましい特性を全て同時には示さない。
【0004】
EP1939106号Aには、コールドシールされ、再封止可能な包装が記載されている。その中で挙げられている天然ラテックスおよび合成ポリマー、例えばアクリレートポリマーおよびアクリレート/スチレンコポリマーを用いて、初めの開封力について、および再封止力についての望ましい値は、簡単には達成されない。
【0005】
本発明は、コールドシール性、耐ブロッキング性、および再封止性に関する良い特性の組み合わせが最大限、互いに良好に兼ね備えられ、さらには可能な限りアレルゲンの可能性および有機溶剤を含まず、且つ、可能な限り良好に、通常の塗布技術(例えば印刷)によって、殊にフィルム基材に塗布可能である、コールドシール可能なフィルムの製造のための組成物、およびこのフィルムを用いて製造可能な再封止可能な包装を提供するという課題に基づいている。
【0006】
該課題は、本発明によれば、コールドシールされ、包装の開封後に再封止可能な接着剤層を有する再封止可能な包装であって、接着剤層が乳化重合体を含有し、前記乳化重合体は少なくとも60質量%が主モノマーから構成され、前記主モノマーはC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択され、前記乳化重合体は、少なくとも1つの保護コロイドの存在中で、ラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能であり、且つ−30〜0℃の範囲のガラス転移温度を有する、前記包装によって解決される。乳化重合体を含有する接着剤層は、適した包装基材を、水性ポリマー分散液の形態での乳化重合体含有組成物によってコーティングすることによって製造され得る。
【0007】
コールドシール可能とは、本発明による組成物によってコーティングされ且つ乾燥された2つの表面が、40℃未満、殊に30℃未満もしくは25℃未満の温度で、殊に室温(20℃)で、圧力をかけながら接触される場合に互いに付着することを意味する。有利には、20℃、1.4barでのシール後の付着力(自己接着付着力)は、シール接合部強度の測定について実施例内に記載される方法に従って測定して少なくとも2N/15mmである。実際の利用の際には、目的に合わせて、周囲温度で、一般に10〜30℃、殊に15〜25℃の温度、且つ数mbarから数barまで常圧(1bar)を上回る、例えば0.01〜5barだけ、殊に0.1〜3bar、常圧を上回る圧力でコールドシールを行う。シール時間、即ち、圧力が保持されている間の時間は、例えば0.1〜20秒、殊に0.1〜3秒、通常、殊に0.5秒である。
【0008】
再封止可能とは、包装の2つの封止部分が、開封後に室温(20℃)で弱い圧力で接触された場合に、互いに付着することを意味する。有利には、再封止付着力は、20℃で、少なくとも5回の開封および封止後に、再封止強度の測定のために実施例内で記載される方法に従って測定して、少なくとも0.5N/15mmである。
【0009】
本発明によるポリマー分散液は、有利には、自己接着性であり且つポリアミド表面に対して耐ブロッキング性であるコーティングを基材に施与した後、且つ乾燥した後に形成される。自己接着性とは、2つのコーティングされた表面が互いに向き合ってコールドシール可能であることを意味する。有利には、接着剤層の自己接着付着力は、1.4bar、20℃でのコールドシール後に、少なくとも2N/15mmである。耐ブロッキング性とは、本発明による組成物によってコーティングされ且つ乾燥された表面の付着力、即ち、シールされていない接着剤層の、ポリアミド表面に対する付着力が、直径10cmの円形表面の10トンの負荷を、1日間、20℃でかけた後に、実施例内に記載される方法に従って測定して最大で0.1N/25mmであることを意味する。
【0010】
好ましい包装、コーティングされたフィルムもしくは組成物は、それぞれ、実施例に記載される方法に従って測定して、初めの開封力(シール接合部強度) 少なくとも2N/15mm、ポリアミド剥離塗料に対するコールドシールコーティングの耐ブロッキング性 最大0.1N/25mm、および、5回の再封止の後の再封止強度 少なくとも0.5N/15mmを有し、もしくは生じる。
【0011】
本発明によるポリマー分散液とは、水性媒体中のポリマーの分散液である。この際、例えば完全に脱塩された水、または水およびそれと混和可能な溶剤、例えばメタノール、エタノールまたはテトラヒドロフランからの混合物であってもよい。有利には、有機溶剤を使用しない。分散液の固形物含有率は、有利には15〜75質量%、好ましくは40〜60質量%、殊に50質量%より上である。該固形物含有率は、例えば、乳化重合の際に使用される水量および/またはモノマー量の相応する調整によってもたらすことができる。水性分散液中に分散されるポリマー粒子の平均粒径は、有利には400nm未満、殊に300nm未満である。特に好ましくは、平均粒径は140〜250nmである。平均粒径とはここでは、粒径分布のd50値であると理解され、即ち全ての粒子の全質量の50質量%は、そのd50値よりも小さい粒径を有する。この粒径分布は、公知の通りに、分析的超遠心機(W.Maechtle, Makromolekulare Chemie 185 (1984),1025−1039ページ)を用いて測定され得る。このポリマー分散液のpH値は有利には、4より大きいpH、殊に5〜9の間のpH値に調整される。
【0012】
本発明による使用のための組成物は、単に、水中に分散されたポリマーおよび保護コロイドからなることができる。それは、なおさらなる添加剤、例えば充填剤、粘着防止剤、着色剤、流動剤、または増粘剤も含有できる。
【0013】
有利には、本発明によるポリマー分散液は、乳化剤が少ない、即ちそれは有利には3質量%未満、または1質量%未満の量で乳化剤(ポリマー混合物に添加される非ポリマーの両親媒性の表面活性物質)を含有する。特に好ましいのは、乳化剤のない系である。それゆえ、本発明の1つの実施態様においては、保護コロイドの存在中で実施される乳化重合を乳化剤なく、即ち、乳化剤を添加しないで行う。
【0014】
以下において、名称「(メタ)アクリル・・・」および類似の名称は、「アクリル・・・またはメタクリル・・・」についての短縮された表記法として使用される。
【0015】
保護コロイドは、溶媒和の際に大量の水を結合し、且つ水不溶性のポリマーの分散液を安定化可能にすることができるポリマー化合物である。乳化剤とは対照的に、それは通常、ポリマー粒子と水との間の界面張力を下げない。保護コロイドの数平均分子量は、有利には、1000g/molより上、殊に2000g/molより上、および好ましくは50000g/molまで、または10000g/molまで、例えば1000〜100000g/mol、1000〜10000g/molまたは2000〜10000g/molである。
【0016】
保護コロイドは、有利には、重合されるべきモノマー100質量部に対して、0.5〜60質量%の粒子、または1〜30質量部、特に好ましくは7〜30質量%(殊に本発明による組成物の総固形物含有率が50質量%より大きい場合)の量で使用される。保護コロイドは、Houben−Weyl, Methoden der organischen Chemie、XIV/1巻, Makromolekulare Stoffe, Georg−Thieme−Verlag, Stuttgart,1961,411−420ページに詳細に記載されている。保護コロイドとして、例えば両親媒性ポリマー、従って疎水性基と親水性基とを有するポリマーが考慮に入る。それは、天然ポリマー、例えばデンプン、または合成ポリマーであってよい。
【0017】
保護コロイドは、有利には少なくとも40質量%の以下に詳細に定義される非イオン性の主モノマー、並びに、エチレン性不飽和の酸モノマーから選択される第二のモノマー種から構成される。該保護コロイドはさらにまた、随意の、さらなる、有利には非イオン性のモノマーから構成されていてよい。保護コロイドは、有利には少なくとも40質量%、殊に40〜80質量%、または50〜80質量%が主モノマーから構成され、前記主モノマーは、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1または2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択されている。
【0018】
保護コロイドのための主モノマーは、例えば、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。殊に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネート、バーサチック酸ビニルエステル(Versaticsaeurevinylester)および酢酸ビニルである。ビニル芳香族化合物としては、ビニルトルエン、アルファ−およびパラ−メチルスチレン、アルファ−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンが、有利にはスチレンが考慮に入れられる。ニトリルについての例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。ビニルハロゲン化物は、塩素、フッ素または臭素で置換されたエチレン性不飽和化合物、好ましくは塩化ビニルおよび塩化ビニリデンである。ビニルエーテルとして、例えばビニルメチルエーテルまたはビニルイソブチルエーテルが挙げられる。好ましくは、1〜4個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテルである。4〜8個の炭素原子および2つのオレフィン性二重結合を有する炭化水素として、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンが挙げられる。保護コロイド用の主モノマーとして、C1〜C10−アルキルアクリレートおよびC1〜C10−アルキルメタクリレート、殊にC1〜C8−アルキルアクリレートおよびC1〜C8−アルキルメタクリレートおよびビニル芳香族化合物、殊にスチレンおよびアルファ−メチルスチレンおよびこれらの混合物が好ましい。メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、スチレン、アルファ−メチルスチレン、並びにこれらのモノマーの混合物がとりわけ特に好ましい。
【0019】
保護コロイドは、さらにまた、有利には少なくとも15質量%、殊に15〜60質量%、または20〜50質量%がエチレン性不飽和酸モノマーから構成されている。エチレン性不飽和酸モノマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸およびビニルホスホン酸である。エチレン性不飽和カルボン酸として、有利には、分子中に3〜6個の炭素原子を有するアルファ,ベータ−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸が使用される。これらについての例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル酢酸およびビニル乳酸である。エチレン性不飽和スルホン酸として、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレートおよびスルホプロピルメタクリレートが適している。好ましくは、アクリル酸およびメタクリル酸およびこれらの混合物であり、特に好ましくはアクリル酸である。酸モノマーを、遊離酸の形態で、並びに部分的または完全に適した塩基で中和された形態で、重合の際に使用できる。有利には、中和剤として、カ性ソーダ液、水酸化カリウムまたはアンモニアが使用される。
【0020】
好ましい実施態様において、保護コロイドは、
(i) 重合されるべきモノマー100質量部に対して7〜30質量%の量で使用され、
(ii) 少なくとも40質量%が、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和のニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1または2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される主モノマーから構成されており、
(iii) 少なくとも15質量%が、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物から選択されるエチレン性不飽和酸モノマーから構成されており、
(iv) 数平均分子量1000〜10000を有する。
【0021】
結合剤として機能する接着剤層の作用物質は、ラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能な乳化重合体であり、以下に接着剤ポリマーを挙げる。接着剤ポリマーは、有利には、少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%、例えば80〜100質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%または100質量%が、1つまたは複数の以下に記載される主モノマーからなる。主モノマーは、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1または2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される。
【0022】
例えば、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。殊に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネート、バーサチック酸ビニルエステルおよび酢酸ビニルである。ビニル芳香族化合物としては、ビニルトルエン、α−およびp−メチルスチレン、アルファ−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンおよび有利にはスチレンが考慮に入れられる。ニトリルについての例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。ビニルハロゲン化物は、塩素、フッ素または臭素で置換されたエチレン性不飽和化合物、好ましくは塩化ビニルおよび塩化ビニリデンである。ビニルエーテルとして、例えばビニルメチルエーテルまたはビニルイソブチルエーテルが挙げられる。好ましくは、1〜4個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテルである。4〜8個の炭素原子および2つのオレフィン性二重結合を有する炭化水素として、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンが挙げられる。
【0023】
接着剤ポリマーのための主モノマーとして、C1〜C10−アルキルアクリレートおよびC1〜C10−アルキルメタクリレート、殊にC1〜C8−アルキルアクリレートおよびC1〜C8−アルキルメタクリレートおよびビニル芳香族化合物、殊にスチレンおよびこれらの混合物が好ましい。メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、スチレン、並びにこれらのモノマーの混合物がとりわけ特に好ましい。
【0024】
主モノマーの他に、接着剤ポリマーは、さらなるモノマー、例えばカルボン酸基、スルホン酸基またはホスホン酸基を有するモノマーを含有できる。カルボン酸基が好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸が挙げられる。さらなるモノマーは、例えば、ヒドロキシル基も含有するモノマー、殊にC1〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びに(メタ)アクリルアミドである。さらなるモノマーとして、さらにまた、フェニルオキシエチルグリコールモノ−(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アミノ−(メタ)アクリレート、例えば2−アミノエチル−(メタ)アクリレートが挙げられる。別のモノマーとして、架橋性モノマーも挙げられる。
【0025】
接着剤ポリマーもしくは乳化重合によって製造される乳化重合体であるが、しかし、酸基を有さないものが有利である。
【0026】
殊に、接着剤ポリマーは、少なくとも60質量%が、特に好ましくは少なくとも80質量%が、例えば60〜100質量%、およびとりわけ特に好ましくは少なくとも95質量%または100質量%が、少なくとも1つのC1〜C20−アルキルアクリレート、少なくとも1つのC1〜C20−アルキルメタクリレート、これらの混合物、またはそれとスチレンとの混合物から構成される。1つの実施態様において、結合剤はエチルアクリレートのホモポリマーである。
【0027】
接着剤ポリマーもしくは少なくとも1つの保護コロイドの存在中で製造される乳化重合体は、−30〜0℃、有利には−28〜−5℃のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(ASTM D 3418−08、いわゆる「中点温度」)によって測定できる。
【0028】
該ポリマーの製造を、乳化重合によって行うことができ、その際、それは乳化重合体である。乳化重合の際、通常、イオン性および/または非イオン性乳化剤および/または保護コロイドもしくは界面活性化合物としての安定剤が、水性媒体中でのモノマーの分散を促進するために使用される。本発明によれば、1つまたは複数の上記の保護コロイドを唯一の分散剤として、即ち、乳化剤を添加しないで、使用できる。しかし、望ましい場合には、乳化剤をわずかな量で併用してもよい。有利には、乳化重合を少なくとも1つの保護コロイドの存在中で、非ポリマーの乳化剤の添加をせずに行う。
【0029】
追加的な界面活性物質としての乳化剤が使用される場合、それは有利にはアニオン性または非イオン性乳化剤である。適した乳化剤は、例えばエトキシル化されたC8〜C36−またはC12〜C18−脂肪アルコールであってエトキシル化度3〜50または4〜30を有するもの、エトキシル化されたモノ−、ジ−、およびトリ−C4〜C12−またはC4〜C9−アルキルフェノールであってエトキシル化度3〜50を有するもの、スルホコハク酸のジアルキルエステルのアルカリ金属塩、C8〜C12−アルキルスルフェートのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C12〜C18−アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、およびC9〜C18−アルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。カチオン活性乳化剤は、例えば、少なくとも1つのアミノ基またはアンモニウム基、および少なくとも1つのC8〜C22−アルキル基を有する化合物である。さらに適した乳化剤は、一般式
【化1】

[式中、
5およびR6は水素またはC4〜C14−アルキルを意味し、且つ、同時に水素ではなく、且つ、XおよびYはアルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンであってよい]
の化合物である。有利には、R5、R6は、直鎖または分枝鎖の6〜18個の炭素原子を有するアルキル基または水素、殊に6、12および16個の炭素原子を有するものであり、前記R5およびR6は2つが同時に水素ではない。XおよびYは、好ましくはナトリウム、カリウムまたはアンモニウムイオンであり、その際、ナトリウムが特に好ましい。特に有利であるのは、XおよびYが、ナトリウムであり、R5が、12個の炭素原子を有する分枝鎖のアルキル基であり、且つR6が水素またはR5である化合物IIである。50〜90質量%の割合のモノアルキル化生成物を有する工業用混合物、例えばDowfax(登録商標)2A1(Dow Chemical Company社の商標)がしばしば使用される。適した乳化剤は、Houben−Weyl, Methoden der organischen Chemie、14/1巻、Makromolekulare Stoffe,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1961、192−208ページにも記載されている。乳化剤の商品名は、例えばDowfax(登録商標)2 A1、Emulan(登録商標) NP 50、Dextrol(登録商標) OC 50、Emulgator 825、Emulgator 825 S、Emulan(登録商標) OG、Texapon(登録商標) NSO、Nekanil(登録商標) 904 S、Lumiten(登録商標) l−RA、Lumiten(登録商標) E 3065、Disponil(登録商標) FES 77、Lutensol(登録商標) AT 18、Steinapol(登録商標) VSL、Emulphor(登録商標) NPS 25である。ラジカル重合可能な、エチレン性不飽和の二重結合を含有する共重合可能な乳化剤、例えば反応性アニオン乳化剤、例えばAdeka(登録商標) Resoap SR−10も適している。
【0030】
乳化重合は、通常、30〜130℃、有利には50〜90℃で行われる。重合媒体は、水のみからなっていても、水と、それと混合可能な液体、例えばメタノールとからの混合物からなってもよい。有利には、水のみが使用される。乳化重合は、バッチプロセスとしても、段階式または勾配式を含めた供給法の形態でも実施することができる。重合バッチの一部を装入し、重合温度に加熱し、部分的に重合し、引き続き該重合バッチの残りを、通常、複数の空間的に分離された供給部(その1つまたは複数はモノマーを純粋な形でまたは乳化された形で含有する)を介して、連続的に、または段階的に供給する供給法が好ましい。
【0031】
乳化重合は、少なくとも1つの保護コロイドの存在中で実施される。これは、保護コロイドが装入されているか、またはモノマーと一緒に重合容器内に供給されることを意味する。それは、有利には、乳化重合の際に装入される一方、場合によっては追加的に使用される乳化剤が、モノマーと一緒に、重合の経過中にも供給され得る。
【0032】
乳化重合の際、通常且つ公知の助剤、例えば水溶性開始剤および調節剤を使用できる。乳化重合のための水溶性開始剤は、例えばペルオキシ二硫酸のアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム、過酸化水素または有機ペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドである。いわゆる酸化還元(レドックス)開始剤系も適している。レドックス開始剤系は、少なくとも1つの、多くの場合は無機の還元剤、および無機または有機の酸化剤からなる。酸化成分は、例えば、既に前記で挙げられた乳化重合用開始剤である。還元成分は、例えば、亜硫酸のアルカリ金属塩、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸のアルカリ金属塩、例えば二亜硫酸ナトリウム、脂肪族アルデヒドおよびケトンの重亜硫酸付加化合物、例えば重亜硫酸アセトン、または還元剤、例えばヒドロキシメタンスルフィン酸およびその塩、またはアスコルビン酸である。レドックス開始剤系は、金属性成分が複数の原子価を生じ得る溶解性金属化合物の併用下で使用できる。通常のレドックス開始剤系は、例えばアスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキシ二亜硫酸ナトリウム、tert−ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、tert−ブチルヒドロペルオキシド/Na−ヒドロキシメタンスルフィン酸またはtert−ブチルヒドロペルオキシド/アスコルビン酸である。個々の成分、例えば還元成分は、混合物であってもよく、例えば、ヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩と二亜硫酸ナトリウムとからの混合物であってよい。上記の化合物は多くの場合、水溶液の形態で使用され、その際、濃度の下限は分散液中で是認できる水の量によって、且つ、濃度の上限は、当該の化合物の水中での溶解度によって決定される。一般に、濃度は、溶液に対して0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1.0〜10質量%である。開始剤の量は一般に、重合されるべきモノマーに対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。乳化重合の際に、複数の異なる開始剤を使用することもできる。残りのモノマーの除去のために、通常、本来の乳化重合終にも、開始剤を添加する。
【0033】
重合の際、調節剤を、例えば、重合されるべきモノマー100質量部に対して、0〜0.8質量部の量で使用でき、それによってモル質量が低下される。適しているのは、例えば、チオール基を有する化合物、例えばtert−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸エチルエステル、メルカプトエタノール、メルカプトプロピルトリメトキシシランまたはtert−ドデシルメルカプタンである。さらには、チオール基のない調節剤、例えばテルピノレンを使用できる。好ましい実施態様において、乳化重合体は、モノマー量に対して0.05〜0.5質量%の、少なくとも1つの分子量調節剤の使用下で製造される。
【0034】
本発明の1つの実施態様においては、乳化重合によって製造される乳化重合体が純粋なアクリレートまたはスチレンアクリレートである、即ち、もっぱら、アルキル(メタ)アクリレートモノマーから、またはアルキル(メタ)アクリレートモノマーとスチレンとの混合物からなり、アルキル基が有利には1〜8個の炭素原子を有し、且つ、有利には少なくとも1つのモノマーがエチルアクリレートまたはn−ブチルアクリレートである組成物に関する。
【0035】
本発明の1つの実施態様においては、再封止可能な包装であって、コールドシールのために使用される、乳化重合によって保護コロイドの存在中で製造される乳化重合体が、ガラス転移温度−30〜0℃を有し、且つ100%がアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンおよびこれらの混合物から構成されており、且つ、前記保護コロイドが、
(i) 乳化重合体の量に対して7〜30質量%の量で使用され、
(ii) 少なくとも40質量%が、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルファ−メチルスチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択される主モノマーから構成され、
(iii) 少なくとも15質量%が、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物から選択されるエチレン性不飽和の酸モノマーから構成され、且つ、
(iv) 数平均分子量1000〜10000を有する、
再封止可能な包装に関する。
【0036】
本発明の対象は、水性ポリマー分散液の形態での組成物であって、該水性ポリマー分散液はコールドシール可能な、再封止可能な包装材料の製造のために適しており、且つ該ポリマー分散液は、少なくとも1つの保護コロイドの存在中で、ラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能であり、その際、乳化重合によって製造可能な乳化重合体は、−30〜0℃のガラス転移温度を有しており、且つ、100%が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、およびこれらの混合物から選択されるモノマーから構成されており、且つ、前記保護コロイドが、
(i) 乳化重合体の量に対して7〜30質量%の量で使用され、
(ii) 少なくとも40質量%が、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルファ−メチルスチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択される主モノマーから構成され、
(iii) 少なくとも15質量%が、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物から選択される酸モノマーから構成され、且つ、
(iv) 数平均分子量1000〜10000を有する、
組成物である。
【0037】
この組成物を用いて、本発明による包装が好ましく製造される。この組成物のポリマー分散液は、室温で自己接着性であり且つポリアミド表面に対して耐ブロッキング性のコーティングを基材に施与し、且つ乾燥した後に形成される。
【0038】
本発明の対象は、コールドシール可能な、初回の開封後に再封止可能な包装の製造のための、上述の水性ポリマー分散液の使用でもある。ポリマー分散液は、室温で耐ブロッキング性、自己接着性のコーティングを基材に施与した後、且つ乾燥された後に形成される。
【0039】
本発明による組成物は、2つの任意の物質のコールドシールのために適しており、
・ 両方の基材が、付着されるべき場所に、それぞれ、本発明による組成物をコーティングされているか、またはコーティングされ、且つ
・ 両方の基材が、場合により圧力をかけながら接触され、且つ、コーティングされた組成物における温度が40℃未満である(コールドシーリング、上記参照)。
【0040】
付着される基材として、任意に、例えば木材、金属、紙またはプラスチックからの基材が考慮に入れられ、それらを任意の組み合わせで互いに付着することができ、その際、有利には少なくとも1つの基材はポリマーフィルムである。基材はそのために、本発明による組成物によってコーティングされる。
【0041】
コーティングを、通常通り、例えば印刷によって、殊にフレキソ印刷によって、または凹版印刷(グラビア印刷)によって行うことができる。通常の層厚(乾燥後)は、例えば1〜30g/m2、有利には1〜10g/m2または1〜5g/m2である。殊に、本発明による組成物は、包装の製造のために適している。その際、任意の材料からの、例えば紙または有利にはプラスチックからの包装が考慮に入れられる。例えばポリマーフィルム、場合によっては金属被覆されたポリマーフィルムからの、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ポリエステル、ポリアセテートからの包装が挙げられる。
【0042】
包装の製造のために、殊に、両面コーティングされた支持材が適しており、その際、該支持材は1つの面(以下で前面として示す)に本発明による組成物の外層を有し、且つ、他の面(以下で裏面として示す)に外部の剥離コーティングを有する。該支持材は、例えば上記のポリマーフィルム、もしくは金属被覆されたポリマーフィルムからなってよく、殊に、配向ポリプロピレン、ポリエチレン、有利には高密度ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートからのフィルムが挙げられる。ポリマーフィルムは、コロナで前処理されていてもよい。本発明による組成物を、支持材前面に直接的にコーティングすることができるが、しかし、支持材と本発明による組成物との間にさらに他の層、例えばプライマー層、バリア層、または着色もしくは黒白の印刷インク層があってもよく、その際、印刷インク層は、有利には支持材の裏面にある。本質的に、本発明による組成物の層は外側にある。
【0043】
剥離コーティングは、任意の材料製であってよく、それはポリマーフィルム、例えばラミネーションされた、または同時押出された配向ポリプロピレンからのフィルム、または、塗布され且つフィルム化された液体塗料、例えばポリアミド塗料であってよく、本質的に支持材前面に施与された接着剤層(当該の場合、本発明による組成物)は剥離コーティングに付着しない(耐ブロッキング性)。支持材は一般に、巻取られ、且つその後、ロールから加工される。巻取る際、支持材の前面と裏面とが直接的に接触する。前面が裏面に付着すると、その支持材が使用できなくなることがある。剥離コーティングと支持材との間に、さらなる層があってもよく、付着を改善するプライマーのさらなる層および印刷インク層が考慮に入れられる。外部の剥離コーティングは、下方の層、殊に印刷インク層を外部の影響に対して保護するという役割も有する。
【0044】
好ましい支持材は、以下の通りに構成されており、その際、層の空間配置順序は:
接着剤層(本発明による組成物)
支持材
場合によりプライマー層
場合により印刷インク層
剥離コーティング
に相当する。
【0045】
両面コーティングされた支持材は、殊に、包装の製造のために使用され、有利には、該支持材は、コールドシールによってそれ自体で付着し、その際、外部の、本発明による組成物によってコーティングされた前面がそれぞれ接触される。その際、2つの付着されるべき支持材は、付着されるべき、後にシール接合部が形成される位置で、本発明による組成物によってコーティングされることが必須である。包装は、包装されるべき品物が詰められるとすぐに、接着剤層のコールドシールによって互いに封止される。該包装は、殊に食品のために適している。
【0046】
本発明による、コールドシールされた、再封止可能な包装の際、コールドシールは有利には第一の封止部分と第二の封止部分との間に形成され、その際、第一の部分および第二の部分でのコールドシールの結合力は、コールドシール内部の結合力よりも大きく、従って、封止が開封された場合、コールドシールは分離され、且つ、一部は第一の封止部分に、且つ一部は第二の封止部分に付着している、即ち、包装の開封の際、シール層の凝集断片が生じる。
【0047】
包装の製造の際、コールドシールのために使用される組成物は有利には、2〜5g/m2(固形物に対して)の量で、それぞれの封止部分に施与される。
【0048】
本発明による包装の封止力は、有利には、初めの開封力が、実施例に記載される方法に従って測定して少なくとも2N/15mm、有利には2.5〜5N/15mmである程度である。1つまたは複数の再封止プロセスのための開封力は、有利には、実施例内に記載される方法に従って測定して少なくとも0.5N/15mm、有利には0.5〜2N/15mmまたは1〜1.5N/15mmである。
【0049】
本発明の対象は、ポリマー支持フィルムが少なくとも部分的に、即ち少なくとも後にシール接合部を形成する領域に、本発明による組成物がコーティングされている、コーティングされたポリマーフィルムでもある。有利には、本発明によるポリマーフィルムは第一の面および第二の面を有し、その際、第一の面は外層として少なくとも部分的に本発明による組成物によってコーティングされており、且つ、第二の面は外層として剥離コーティングを有する。1つの実施態様において、本発明によりコーティングされたポリマーフィルムのポリマー支持フィルムは、ポリエチレンまたは配向ポリプロピレンからなり、且つ、剥離コーティングはポリアミドに基づいて形成される。
【0050】
本発明の対象は、本発明によりコーティングされたポリマーフィルムを、包装の製造、殊に食品用のフィルム包装の製造のために用いる使用でもある。
【0051】
本発明の対象は、本発明による、上記で詳細に記載された組成物を水性ポリマー分散液の形態で包装基材に施与し、乾燥させ、且つ、コールドシールする、再封止可能なコールドシール包装の製造方法でもある。
【0052】
実施例
文脈から他に判明しない限り、パーセントでのデータは常に質量パーセントを意味する。含有率のデータは、水溶液または分散体中での含有率に関するものである。
【0053】
以下の出発物質を使用した:
Oppalyte(登録商標) 33MW247: コールドシール使用のために推奨される、表面処理された二軸配向ポリプロピレン製の膜(Exxon Mobil Corp社)。
【0054】
Treofan(登録商標) SHD40: コールドシール使用のために推奨される、配向ポリプロピレン製の膜(Treofan GmbH&Co.KG社)。
【0055】
Gecko(登録商標) Coldseal Release Lack 70 GL 282547: 溶媒ベースからのポリアミド剥離塗料(Huber Group社)。
【0056】
コールドシール試験
ポリアミド剥離塗料によるコーティング
0.07mmのワイヤードクター(Drahtrakel)を用いて、Gecko(登録商標) Coldseal Release Lack 70 GL 282547をOPPフィルムSHD40の前処理された面に塗布し、且つ、10秒間、熱風で乾燥させる。剥離塗料の塗布量は約1.0g/m2である。
【0057】
OPPフィルムのコーティング
バードクターを用いて、接着剤を、OPPフィルム Oppalyte(登録商標) 33MW247の前処理された面に塗布し、且つ、1分間、70℃で乾燥させる。コーティングされたフィルムを、剥離塗料によってコーティングされたOPPフィルムで覆う。
【0058】
シール接合部の強度(SNF)
コーティングされたフィルムから、15mm幅のテープ(Streifen)を切り取り、且つ、シール装置でその都度、2つのテープを互いに対向させて(接着剤対接着剤)0.5秒間、200N(1.4bar)でシールする。シール後30秒で、剥離強度を剥がし速度50mm/分で、N/15mmにて測定する。
【0059】
ブロッキング試験
コーティングされたフィルムを、OPPフィルムSHD40の剥離塗料によってコーティングされた面に対向して設置し、且つ、直径10cmを有する円形部分に、1日間、10トンの負荷をかける。その後、25mm幅のテープの剥離強度を、剥がし速度800mm/分で、N/25mmにて測定する。
【0060】
再封止強度
試験体を、シール接合部強度の試験のために製造し、且つ同様に互いに対向させてシールする。引き続き、該シールを、5回、手で開封し、且つ再度封止する。封止のために、その都度、2kgの重さの手動のローラーを用いて、シール部の上を1往復、転がした。その際、測定されたシール強度が、5回封止後の再封止強度である。
【0061】
全ての試験を、室温(20℃)で行う。
【0062】
実施例B1
ポリ(エチルアクリレート): (100質量部のモノマーに対して)0.2質量部のt−ドデシルメルカプタンの存在中、並びに、44質量部のアクリル酸および56質量部のn−ブチルアクリレートから製造された数平均分子量4000を有する保護コロイドの存在中での乳化重合によって製造。
【0063】
ガラス転移温度: −25℃。
【0064】
実施例B2
ポリ(エチルアクリレート): (100質量部のモノマーに対して)0.2質量部のt−ドデシルメルカプタンの存在中、並びに、32質量部のアクリル酸、24質量部のスチレン、33質量部のアルファ−メチルスチレン、5質量部のエチルヘキシルアクリレート、および5質量部のイソオクチルアクリレートから製造された数平均分子量9000を有する保護コロイドの存在中での乳化重合によって製造。
【0065】
ガラス転移温度: −25℃。
【0066】
実施例B3
ポリ(エチルアクリレート): (100質量部のモノマーに対して)0.2質量部のt−ドデシルメルカプタンの存在中、並びに、33質量部のアクリル酸、32質量部のスチレン、30質量部のアルファ−メチルスチレン、および5質量部のイソオクチルアクリレートから製造された数平均分子量9200を有する保護コロイドの存在中での乳化重合によって製造。
【0067】
ガラス転移温度: −25℃。
【0068】
実施例B4
70質量部のn−ブチルアクリレートおよび30質量部のスチレンからのコポリマー: (100質量部のモノマーに対して)0.2質量部のt−ドデシルメルカプタンの存在中、並びに、44質量部のアクリル酸および56質量部のn−ブチルアクリレートから製造された数平均分子量4000を有する保護コロイドの存在中での乳化重合によって製造。
【0069】
ガラス転移温度: −15℃。
【0070】
実施例B5
実施例B1と同様であるが、t−ドデシルメルカプタンを用いない。
【0071】
比較例V1
市販の天然ゴム−ラテックス
Eukalin社のNK−ラテックス、固形物含有率55%
【0072】
比較例V2
70質量部のエチルアクリレートおよび30質量部のスチレンからのコポリマー: (100質量部のモノマーに対して)0.2質量部のt−ドデシルメルカプタンの存在中、並びに、44質量部のアクリル酸および56質量部のn−ブチルアクリレートから製造された数平均分子量4000を有する保護コロイドの存在中での乳化重合によって製造。
【0073】
ガラス転移温度: +5℃。
【0074】
比較例V3
44質量部のエチルアクリレートおよび56質量部のn−ブチルアクリレートからのコポリマー: (100質量部のモノマーに対して)0.2質量部のt−ドデシルメルカプタンの存在中、並びに、44質量部のアクリル酸および56質量部のn−ブチルアクリレートから製造された数平均分子量4000を有する保護コロイドの存在中での乳化重合によって製造。
【0075】
ガラス転移温度: −36℃。
【0076】
比較例V4
実施例B1と同様であるが、乳化剤の存在中での乳化重合によって製造し、保護コロイドを用いない。
【0077】
コールドシール試験の結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
本発明による組成物B1〜B5は、比較組成物V1〜V4に対して、2N/15mmより大きな、高いシール接合部強度、最大0.1N/25mmの良好な耐ブロッキング性、並びに0.5N/15mmの高い再封止強度に関する有利な特性の、予期しない組み合わせによって特徴付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールドシールされ、包装の開封後に再封止可能な接着剤層を有する再封止可能な包装であって、接着剤層が乳化重合体を含有し、前記乳化重合体は少なくとも60質量%が主モノマーから構成され、前記主モノマーはC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択され、前記乳化重合体は、少なくとも1つの保護コロイドの存在中で、ラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能であり、且つ−30〜0℃の範囲のガラス転移温度を有する、再封止可能な包装。
【請求項2】
乳化重合によって製造される乳化重合体が酸基を有さないことを特徴とする、請求項1に記載の再封止可能な包装。
【請求項3】
乳化重合によって製造された乳化重合体は、60〜100質量%が少なくとも1つのC1〜C20−アルキルアクリレート、少なくとも1つのC1〜C20−アルキルメタクリレート、これらの混合物またはこれらとスチレンとの混合物から構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の再封止可能な包装。
【請求項4】
第一の封止部分と第二の封止部分との間にコールドシールが形成され、第一の部分と第二の部分とでのコールドシールの結合力が、コールドシール内部の結合力よりも大きく、従って、封止が開封された場合、コールドシールは分離され、且つ、一部は第一の封止部分に、且つ一部は第二の封止部分に付着することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項5】
包装が、少なくとも2N/15mmの初めの開封力、並びに、少なくとも0.5N/15mmの、1または複数の再封止プロセスのための開封力を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項6】
コールドシールが、2〜5g/m2の量で、それぞれの封止部分に施与されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項7】
保護コロイドが、
(i) 重合されるべきモノマー100質量部に対して7〜30質量%の量で使用され、
(ii) 少なくとも40質量%が、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和のニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択される主モノマーから構成され、
(iii) 少なくとも15質量%が、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物から選択されるエチレン性不飽和酸モノマーから構成され、
(iv) 数平均分子量1000〜10000を有する
ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項8】
乳化重合体が、モノマー量に対して0.05〜0.5質量%の少なくとも1つの分子量調節剤の使用下で製造されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項9】
1.4bar、20℃でのコールドシール後の接着剤層の自己接着付着力が、少なくとも2N/15mmであり、且つ、直径10cmを有する円形の表面の10トンの負荷を1日間、20℃でかけた後の、シールされていない接着剤層の、ポリアミド表面に対する付着力が、最大で0.1N/25mmであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項10】
乳化重合によって製造された乳化重合体が、ガラス転移温度−30〜0℃を有し、且つ、100%がアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、およびこれらの混合物から選択されるモノマーから形成され、且つ、保護コロイドが
(i) 乳化重合体の量に対して7〜30質量%の量で使用され、
(ii) 少なくとも40質量%が、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルファ−メチルスチレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される主モノマーから構成され、
(iii) 少なくとも15質量%が、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物から選択されるエチレン性不飽和酸モノマーから構成され、且つ
(iv) 数平均分子量1000〜10000を有する
ことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項11】
乳化重合を、保護コロイドの存在中で、非ポリマーの乳化剤の添加をしないで行うことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の再封止可能な包装。
【請求項12】
水性ポリマー分散液の形態での組成物であって、該水性ポリマー分散液はコールドシール可能な、再封止可能な包装材料の製造のために適しており、且つ、該ポリマー分散液は少なくとも1つの保護コロイドの存在中で、ラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能であり、その乳化重合によって製造可能な乳化重合体は、−30〜0℃のガラス転移温度を有し、且つ100%が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンおよびこれらの混合物から選択されるモノマーから形成されており、且つ、該保護コロイドは、
(i) 乳化重合体の量に対して7〜30質量%の量で使用され、
(ii) 少なくとも40質量%が、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルファ−メチルスチレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される主モノマーから構成され
(iii) 少なくとも15質量%が、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物から選択される酸モノマーから構成され、且つ
(iv) 数平均分子量1000〜10000を有する、
水性ポリマー分散液の形態での組成物。
【請求項13】
ポリマー分散液が、基材への施与後および乾燥後、室温で自己接着性であり、且つ、ポリアミド表面に対して耐ブロッキング性のコーティングを形成することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリマー支持フィルムが、少なくとも部分的に請求項12または13に記載の組成物によってコーティングされていることを特徴とする、コーティングされたポリマーフィルム。
【請求項15】
ポリマーフィルムが、第一の面および第二の面を有し、第一の面が外部層として少なくとも部分的に請求項12または13に記載の組成物によってコーティングされており、且つ、第二の面が外部層として剥離コーティングを有することを特徴とする、請求項14に記載のコーティングされたポリマーフィルム。
【請求項16】
ポリマー支持フィルムが、ポリエチレンまたは配向ポリプロピレンからなり、且つ、剥離コーティングがポリアミドに基づいて形成されることを特徴とする、請求項14または15に記載のコーティングされたポリマーフィルム。
【請求項17】
コールドシール可能な、最初の開封後に再封止可能な包装の製造のための水性ポリマー分散液の使用であって、水中に分散された乳化重合体を含有し、前記乳化重合体は少なくとも60質量%が主モノマーから構成され、前記主モノマーはC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択され、前記乳化重合体は、少なくとも1つの保護コロイドの存在中で、ラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能であり、且つ−30〜0℃の範囲のガラス転移温度を有する、水性ポリマー分散液の使用。
【請求項18】
ポリマー分散液が、基材への施与後および乾燥後、室温で耐ブロッキング性の、自己接着性のコーティングを形成することを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
基材がポリマーフィルムであることを特徴とする、請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
再封止可能な、コールドシール包装の製造方法であって、水性分散液の形態での組成物を包装基材に施与し、乾燥させ、そしてコールドシールし、且つ、該組成物が、乳化重合体を含有し、前記乳化重合体は少なくとも60質量%が主モノマーから構成され、前記主モノマーはC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、1〜10個の炭素原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、およびこれらのモノマーの混合物からなる群から選択され、前記乳化重合体は、少なくとも1つの保護コロイドの存在中で、ラジカル重合可能なモノマーの乳化重合によって製造可能であり、且つ−30〜0℃の範囲のガラス転移温度を有する、製造方法。

【公表番号】特表2013−514403(P2013−514403A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543698(P2012−543698)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069682
【国際公開番号】WO2011/073221
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】