説明

コーン型標識

【課題】軽量で取り扱い性に優れ、風により転倒することのないコーン型標識を提供する。
【解決手段】コーン型標識は、接地部1から起立した支柱2と、支柱を軸心として回転する標識板3とで構成される。接地部は舗装路面の穴に係合する突起12を接地面に有し、標識板は正面視の形状が二等辺三角形又は等脚台形をなす。突起12は接地面の縁辺近傍に複数配置され、接地面は突起を介して接地し、地面に向いた凸面13をなしていてもよい。また、コーン型標識は、標識板3の表示面31を所定の方向に向けて静止させ、所定の風速で標識板の規制を解除する規制手段を備えていてもよく、標識板の回転を利用して電力を発生させる発電機4を備えるもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場や通行止め現場などに配置し、運転者に注意を促すとともに車両の進入を抑止するために使用される、正面視三角形状のコーン型標識に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工事現場や通行止め現場などには、運転者に注意を促すとともに車両の進入を抑止するための標識が一般的に使用されている。そして、このような標識として、ゴムで形成した中空の三角錐形標識は、コーンと称され、広く普及している。
【0003】
上記コーンと称される標識(以下、コーン型標識という)は、長年にわたり様々な場所で同じような用途に使用され続けていることから、侵入が規制される場所を示す標識として広く認識されているといえる。従って、正面視三角形の標識は、侵入が規制される場所を示すものとして、看者の暗黙の認識を利用できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、コーン型標識は、風による転倒を防止するためには、その重量が大きくする必要があり、人力による取り扱いが難しいことから、コーン型標識の持ち上げ操作は専用工具で行われる。従って、設置現場へは、コーン型標識の他、操作用工具も運搬する必要があり、その場合、2台の車両が必要となる。そこで、最近では、特公平7−623265号公報などに開示されているような、コーン型標識を設置・回収する専用車両も考案されている。一方、コーン型標識は、一体成形されることから、形状も大きくなり、この点においても、その取り扱い性に問題がある。そこで、コーン型標識の形状を維持しながら、その取り扱い性を向上させるために、実開平5−38017号に開示されたコーン型標識では、折畳み式とする試みがなされている。この折畳み式コーン型標識は、ベース板と標識部に分割できる構造をなし、標識部は、ベース板のホルダーに挿入された支柱と、支柱の周囲に配置され支柱外周をスライドするスライド筒等からなる開閉ロッドと、開閉ロッドの外周に縫製された標識シートとで構成され、開閉自在とされている。そのため、標識部を折畳むことで小さな空間であっても収容することが可能となり、配置現場への運搬作業が容易になるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−623265号公報
【特許文献2】実開平5−38017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記折畳み式コーン型標識でも、標識全体の転倒は、その重量を大きくすることで防止するものとなっている。すなわち、折畳み式の標識部とは別体のベース板の重量を大きくすることで、風による転倒の防止が図られている。従って、重量が大きいことによる取り扱い性の問題は解決されていない。また、使用現場への配置には、ベース板の設置に加え、標識部の取り付けが必要となり、設置作業に手間を要するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、軽量で取り扱い性に優れ、風により転倒することのないコーン型標識を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコーン型標識は、接地部から起立した支柱と、前記支柱を軸心として回転する標識板とで構成される。前記接地部は舗装路面の穴に係合する突起を接地面に有し、前記標識板は正面視の形状が二等辺三角形又は等脚台形をなす。
【0009】
前記突起は前記接地面の縁辺近傍に複数配置され、前記接地面は前記突起を介して接地し、地面に向いた凸面をなしていてもよい。
【0010】
本発明に係るコーン型標識は、前記標識板の表示面を所定の方向に向けて静止させ、所定の風速で前記標識板の規制を解除する規制手段を備えていてもよい。
【0011】
また、前記標識板の回転を利用して電力を発生させる発電機を備えるもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るコーン型標識では、正面視の形状が二等辺三角形又は等脚台形をなす標識板を利用することで、従来のコーン型標識の概観を維持し、侵入が規制される場所を示すものとする看者の暗黙の認識を利用できる。そして、その標識板は、接地部から起立した支柱を軸心として回転することから、標識板に対する風の力は回転力に変換され、転倒モーメントが発生することなく、従って重量を大きくすることなく風による転倒の防止を図ることができる。更に、接地部は、舗装路面の穴に係合する突起を接地面に有することから、重量を大きくすることなく、舗装路面の形状を利用し、安定性を向上させることができる。
【0013】
また、突起が接地面の縁辺近傍に複数配置され、接地面が突起を介して接地し、地面に向いた凸面をなしていれば、接地面と地面の隙間を通り抜けた風により地面方向へ揚力が働き、地面への設置力が増し、安定性を向上させることができる。
【0014】
更に、標識板の表示面を所定の方向に向けて静止させ、所定の風速で標識板の規制を解除する規制手段を備えることにより、風が吹いているときには標識板の回転を許容し転倒を防ぎながら、無風のときには表示面を、車両や人の通る方向に向けて、表示面の情報を伝えることができる。
【0015】
更にまた、標識板の回転を利用して電力を発生させる発電機を備えることにより、その電力で標識板の回転を阻害する凍結や積雪を防止することができ、寒冷地における冬季の使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコーン型標識の実施形態の概観を示す正面図である。
【図2】同コーン型標識の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るコーン型標識の実施形態を図に示す。
このコーン型標識は、接地部1から起立した支柱2と、支柱2を軸心として回転する標識板3とで構成される。接地部1は、金属製の板材でなり、接地面11である下側の面には、舗装路面の穴に係合する突起12が設けられている。突起12は、接地面11の縁辺近傍に複数配置されており、接地面11はこれら複数の突起12を介して接地し、接地していない中央部分において地面に向いた凸面13をなしている。なお、突起12は尖頭部12aを有する部材を接地部1の板材に固着して形成され、凸面13は薄いボール形の部材を接地部1の板材に固着して形成されている。また、支柱2は、接地面11の反対の面に固着されている。固着方法に制限は、溶接や、接着剤による接着など、公知の方法で固着することができる。ただし、接地部1の材質に制限はなく、コンクリート、ゴム、合成樹脂などとしてもよく、その場合、突起12や凸面13を一体成形にしてもよい。更に、接地部1に必要な強度を保つために選択した材質が路面に対し硬すぎる場合は、突起12の表面を別の材質で覆ってもよい。例えば、突起12を金属で形成した場合、尖頭部12aを、ゴムや合成樹脂で覆ってもよい。
【0018】
標識板3は、樹脂製の板材を成形したもので、正面視の形状が等脚台形となっている。正面視において対称軸と重なる位置に挿通孔が形成されており、この挿通孔に支柱2が挿通されている。また、この挿通孔は、上底側で拡径されており、この拡径部には発電機4が嵌挿されている。更に、標識板3には図示しない電熱線が張り巡らされており、発電機4は、この電熱線に結線されている。
【0019】
標識板3の表示面31は、視認性を高めるため、黄色と黒の縞模様が描かれているが、この面に表示内容は任意でよく、例えば、従来のコーン型標識を暗示させるオレンジや赤の単色としてもよい。
【0020】
標識板3の下底辺部には磁石32が固着される。一方、接地部32の上面において、表示面31が向くべき方向をとった場合に磁石32と向かい合う位置に、磁石32と対をなす磁石14が固着されている。磁石14と磁石32が引き付けあう力は、所定速度の風が標識板3に当ったときにその風の力で離れる程度に調整され、これらの磁石14、32が本発明における規制手段を構成している。
【0021】
支柱2の上端には、取っ手5が固着されている。取っ手5により、このコーン型標識の持ち運びが容易になるとともに、標識板3の回転速度が大きくなった場合に支柱2から脱落することを防止できる。
【0022】
このコーン型標識によれば、正面視の形状が等脚台形をなす標識板3を利用することで、従来のコーン型標識の概観を維持し、侵入が規制される場所を示すものとする看者の暗黙の認識を利用できる。そして、その標識板3は、接地部1から起立した支柱2を軸心として回転することから、標識板3に対する風の力は回転力(例えば、図2の白抜矢線)に変換され、転倒モーメントが発生することなく、従って重量を大きくすることなく風による転倒の防止を図ることができる。更に、接地部1は、舗装路面の穴に係合する突起12を接地面11に有することから、重量を大きくすることなく、舗装路面の形状を利用し、安定性を向上させることができる。更にまた、接地面11が突起12を介して接地し、地面に向いた凸面13をなしているため、接地面11と地面の隙間を通り抜けた風により地面方向へ揚力が働き、地面への設置力が増し、安定性を向上させることができる。
【0023】
更にまた、このコーン型標識によれば、風が吹いているときには標識板3の回転を許容し転倒を防ぐことができる一方、無風のときには磁石32と磁石14がひきつけ合って表示面31が所定の方向を向くため、車両や人の通る方向に向けて、表示面31の情報を伝えることができる。ただし、無風のときに表示面31を所定の方向に向けるため、標識板3の回転を規制する手段は、磁石に限定されず、例えば、所定の力がかかった場合に押し戻される爪を、溝などに係合させる構造としてもよい。
【0024】
更にまた、このコーン型標識によれば、発電機4の電力で標識板3に張り巡らされた電熱線を加熱し、標識板の回転を阻害する凍結や積雪を防止することができ、寒冷地における冬季の使用が可能となる。なお、電熱線の加熱が不要となる場合は、例えば、LEDなどの発光手段を発光させ、車両や人の注意を促すこととしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 接地部
2 支柱
3 標識板
4 発電機
5 取っ手
11 接地面
12 突起
12a 尖頭部
13 凸面
14、32 磁石
31 表示面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地部から起立した支柱と、前記支柱を軸心として回転する標識板とで構成され、前記接地部は舗装路面の穴に係合する突起を接地面に有し、前記標識板は正面視の形状が二等辺三角形又は等脚台形をなすことを特徴とするコーン型標識。
【請求項2】
前記突起は前記接地面の縁辺近傍に複数配置され、前記接地面は前記突起を介して接地し、地面に向いた凸面をなしている請求項1に記載のコーン型標識。
【請求項3】
前記標識板の表示面を所定の方向に向けて静止させ、所定の風速で前記標識板の規制を解除する規制手段を備える請求項1又は2に記載のコーン型標識。
【請求項4】
前記標識板の回転を利用して電力を発生させる発電機を備える請求項1、2又は3に記載のコーン型標識。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−189953(P2010−189953A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36306(P2009−36306)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【Fターム(参考)】