説明

ゴミ焼却式飲料水製造装置

【課題】大気汚染物質を排出しないゴミ焼却及び焼却余熱を用いた飲料水生成可能なゴミ焼却式飲料水製造装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、焼却炉34と、原水5と、蒸気送管3と、飲料水槽1と、濾過槽35とを備え、焼却炉34内部はゴミ焼却室30を設け、焼却炉34の下部は燃料投入口20を設け、ゴミ焼却室30底面にゴミ止メ網33を配置され、燃料とゴミが分離可能に構成され、ゴミ焼却室30天井部と濾過槽35との間に排気管24が設けられ、排気管24内部は貯熱網19が設けられ、煙が再燃焼可能に構成され、濾過槽35外部に配置された濾過水送管36から噴霧15が排出可能に構成され、原水5はゴミ焼却室30を覆うよう配置され、蒸気送管3が焼却炉34と飲料水槽1との間に配置され、ゴミ焼却室30の余熱により熱せられた原水5の蒸気が飲料水槽1内部に貯水可能に構成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ集積地などにおいてゴミ焼却を行う際に不要な大気汚染物質を排出しない装置及び飲料水の生成を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴミ焼却を行う装置において、ゴミを投入する装置内の温度を高温に保つことで焼却における大気汚染物質の排出を最小限に抑えるという方法が知られている。また、飲料水の生成に関しては、ダムを建設することによって、飲料水の確保を行う方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ゴミ焼却炉内のゴミの中には低温または水分を含んだゴミが含まれており、焼却過程の初期段階では有害物質を多く大気へ排出してしまうという問題があった。さらに、発展途上国などにおいて新たに飲料水を生成するために、ダムを建設することは破壊されつつある地球の自然をさらに破壊する必要があるとともに、発展途上国などにある飲料水の元となる水が大変汚染されているために、フィルターを用いて水の浄化を行った場合、何層ものフィルターを通しても依然水中の有害物質が除去できていないという問題がある。本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ゴミ焼却炉内のゴミと燃料部分を分離するとともに、ゴミの焼却によって発生した煙を再燃焼した後、再燃焼した煙を水に溶かし、水及び気体用フィルターをかけることで大気汚染排出の抑制を行うとともに、焼却炉の周囲に自然にある水や汚染水などの原水を配置させ、焼却炉の余熱を利用し原水を沸騰させ、蒸気を冷却し結露させることで純粋な水を生成し、さらに殺菌・飲料用の栄養素を加えることで飲料水の生成を行う装置を提供する。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0004】
本発明のゴミ焼却式飲料水製造装置は、地表面に沿って配置された焼却炉と、焼却炉と平行に地表面に沿って配置された濾過槽と、焼却炉に沿って配置された飲料水槽と、焼却炉と飲料水槽とを接続する管状に形成された蒸気送管とが備えられ、焼却炉は天井開口縁に設けられたゴミ投入口と、焼却炉内部に配置されたゴミ焼却室と、ゴミ焼却室より下に位置する焼却炉の側面に設けられた燃料投入口とを備え、ゴミ焼却室天井開口縁と濾過槽の間をゴミ焼却室内部を貫通して接続する排気管と、ゴミ焼却室内部を貫通する排気管上部に接するように配置されたゴミ止メ網とを備え、ゴミ焼却室の外側を覆うように原水が配置され、ゴミ焼却室最上部には蒸気槽が設けられ、飲料水槽は内部最上部に冷却網を備え、蒸気送管は蒸気送管側面に蒸気送モーターを備え、焼却炉の余熱により熱された原水が蒸気送管を通過し、飲料水槽内に貯水することを特徴とするので、ゴミ焼却炉の余熱を利用した飲料水の生成が可能となる。
さらに、ゴミ投入口側面開口縁と焼却炉外部に位置する排気管との間に接続された煙送管と、焼却炉内部を貫通する排気管内部に配置された貯熱網と、濾過槽天井開口縁に配置された噴射ポンプと、噴射ポンプと濾過槽側面開口縁との間に配置された濾過水送管と、噴射ポンプと濾過槽内部に配置された排気管との間に設けられた噴霧とを備え、焼却により発生した煙が排気管を通過し再燃焼された後、水に溶かされることも特徴とするので、焼却炉内のゴミ焼却によって発生した煙内に存在する汚染物質が再燃焼されるとともに、水に溶解されるので、ゴミ焼却による大気汚染の抑制が可能となる。
焼却炉内部を貫通する排気管より鉛直方向下に地表面に沿って配置された燃料受け網と、燃料受け網の上部に沿って配置された燃料とを備え、ゴミ止メ網の上に配置されたゴミと燃料とが分離されるよう構成されたことも特徴とするので、焼却用の熱を常時高温に保つことが可能となる。
また、飲料水槽外部に配置された地下水取水口と、地下水取水口と冷却網との間を接続するよう設けられた冷却管と、冷却管下部に設けられたポンプとを備え、飲料水槽天井開口縁より飲料水槽内部へ入る蒸気が冷却され結露するよう構成されたことも特徴とするので、蒸気を液体に変化する速度を速めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は本発明の最良の形態によるゴミ焼却式飲料水製造装置の全体構成図を示し、図2は冷却網及び冷却管の断面図を示し、図3はゴミ焼却室及び排気管の断面図を示し、図4はゴミ焼却式飲料水製造装置の全体断面図を示す。
【0006】
本発明のゴミ焼却式飲料水製造装置は、焼却炉34と、濾過槽35と、蒸気送管3と、焼却炉34に隣接するように配置される飲料水槽1とを備える。
【0007】
焼却炉34は、地表面に沿って配置され、天井開口縁にゴミ投入口27を設け、内部にゴミ焼却室30を設ける。図4に示すように、ゴミ焼却室30とゴミ投入口27の間は、管状に形成されたゴミ送管28が配置され、ゴミ焼却室30に接するゴミ送管28の一端は開閉可能なV字状に形成された煙止メダンパー29が備えられる。ゴミ焼却室30より下に位置する焼却炉34の側面には、燃料投入口20が設けられる。
【0008】
図3に示すようにゴミ焼却室30内部は、焼却炉34側面に配置された燃料投入口20より低い位置に燃料受け網38が配置され、燃料受け網38の表面に接するように燃料41が配置される。燃料41に周囲には、点火による炎39が配置される。
【0009】
ゴミ焼却室30の天井開口縁と濾過槽35との間は、焼却炉34外部へと延長し再びゴミ焼却室30内部に炎39に接するよう形成された排気管24が設けられる。炎39に接している排気管24の上部表面にはゴミ止メ網33が配置される。排気管24のゴミ止メ網33と炎39との間を貫通する管内は、貯熱網19が備えられる。
【0010】
ゴミ焼却室30の天井開口縁から焼却炉34外部へ延長された排気管24が再びゴミ焼却室30内部へ延長し焼却炉34と接する内部は送気ファン22が備えられ、排気管24の送気ファン22が備えられた反対側の外側開口縁に空気取込み口44を配置する。送気ファン22と空気取込み口44とは直線状に配置され、空気取込み口44に近い側に離間を保って送気モーター23を備える。
【0011】
ゴミ投入口27側面の開口縁と焼却炉34外側に延長された排気管24との間は、管状に形成された煙送管32が設けられる。煙送管32の内部に煙送ファン25が設けられ、煙送管32外側に管内の煙送ファン25と接続可能な位置に煙送ファンモーター26を配置する。
【0012】
ゴミ焼却室30の外周を覆うように原水5が配置され、焼却炉34最上部には蒸気槽42が設けられる。
【0013】
焼却炉34と濾過槽35の間に配置された排気管24(排気送管17)は、管の上部と下部の開口断面に接続するように送風管18を配置する。各送風管18の他端面は、排気ファンモーター16が接するように構成される。
【0014】
濾過槽35の一側面は、点検口13を設けられ、濾過槽35の内部を通過する排気管24の底部開口縁は一定の離間を保って排気口14が備えられる。濾過槽35の天井部の一部分は、一定の離間を保って噴霧15が配置される。複数に配置される噴霧15の上側には、噴射ポンプ12が配置され、噴霧15と濾過槽35の他側面下部開口縁の間を接続するよう管状に形成された濾過水送管36が配置される。濾過水送管36の管内の一部又は全体は、水フィルター8が設けられる。濾過槽35の天井部開口縁は、円筒状に形成された管が接するよう配置され、管の内部は排気フィルター11が備えられる。
【0015】
蒸気送管3は、焼却炉34の天井開口縁と飲料水槽1の天井開口縁との間を接続するように備えられる。蒸気送管3の管中央側面の開口縁は、蒸気送モーター31が設けられる。
【0016】
図2または図4に示すように、飲料水槽1内部の上部は、層状に形成された冷却網2を備える。冷却網2の内部は、飲料水槽1の外側から延長され冷却網2内部を通過し再び飲料水槽1の外側へと延長する管状に形成された冷却管4を設ける。飲料水槽1の外側へと延長する冷却管4の開口縁は、管状に形成された冷却水排水管37一開口縁と接続される。冷却水排水管37の他開口縁は、飲料水槽1外部に配置された冷水排水口7と接続するよう構成される。飲料水槽1の一側面下部は、蛇口6を備える。
【0017】
冷却管4の冷却水排水管37と接続されるのとは反対側の開口縁は、地下水と接するよう構成された地下水取水口10と接続される。飲料水槽1外側に配置された冷却管4の側面は、ポンプ9を設ける。
【0018】
次に動作を説明する。最初に、ゴミ焼却式飲料水製造装置の外部にある河川又は井戸水、海水などから原水5を焼却炉34内のゴミ焼却室30を覆うように位置させる。次に、燃料投入口20より燃料41を投入し点火させる。燃料41による炎39の火力が十分上がった後、ゴミ投入口27からゴミ焼却室30内へゴミ40を投入し焼却を開始する。所定時間経過すると、原水5がゴミ焼却室30の熱により沸騰することで、蒸気槽42に蒸気が溜まった後、蒸気送管3へと送出される。蒸気送管3内の蒸気は、蒸気送モーター31により飲料水槽1内に配置された冷却網2へ送出される。冷却網2へ送出された蒸気は、冷却管4により冷却され、冷却網2内において結露し、飲料水槽1内に不純物をほとんど含まない水が溜まる。飲料水槽1内に溜まった水に、菌の増殖を防ぐための塩素と水の栄養素を混合することで健康への影響がないよう生成する。
【0019】
ゴミ焼却室30のゴミ焼却により発生する灰21は燃料受け網38の下へ配置され、煙は排気管24を通過し、送気ファン22より貯熱網19が配置された排気管内の位置まで送出される。この時、空気取込み口44より排気管24内へ空気が投入され煙と混合することで、貯熱網19の熱により煙が完全燃焼される。ただし、ゴミ投入口27からゴミ40を投入する際は、煙止メダンパー29が開くため、ゴミ焼却室30内で発生する煙の一部はゴミ投入口27側面開口縁に配置された煙送管28を通り、煙送ファン25により排気管24へ送出され、貯熱網19の位置まで同じように送出される。完全燃焼された煙は、送風機18により排気口14から濾過槽35内へ排出される。排気口14から排出された煙は、噴霧15により水に溶解されることで、煙中に存在する二酸化炭素が水へ溶解される。煙中のダイオキシンなどのその他の残っている大気有害物質は、水に溶けた物質は水フィルター8により除去されるとともに、気体である煙内に残っている物質は、排気フィルター11により除去される。
【0020】
最良の形態によれば、焼却炉34内のゴミ焼却室30を覆うように原水5が配置され、焼却炉34と飲料水槽1とを接続する蒸気送管3が蒸気送モーター31を設け、飲料水槽1内において冷却網2と、冷却管4とを設けたので、ゴミ焼却室30内でゴミ焼却が行われた際の余熱により原水5が蒸気となり、飲料水槽1内で結露し純粋な水の生成が可能となる。また、ゴミ焼却室30内に設けられた燃料41とゴミ40を分離することでゴミ焼却室内30内の温度を高温に保つとともに、燃料41の上部を通過する排気管24が貯熱網19を備え、濾過槽35が噴霧15と、水フィルター8と、排気フィルター11とを備えたので、ゴミ焼却室30内のゴミ焼却によって発生する煙の中に含まれる有害物質が大気へ排出される事を抑制する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
上記では燃料41を利用したが、燃料として適したゴミ40の一部分を利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】回転式ゴミ焼却及び土壌改良装置の全体構成図(最良の形態)。
【図2】円筒型焼却炉の断面図(最良の形態)。
【図3】円筒型焼却炉の側面図(最良の形態)。
【図4】円筒型焼却炉の構成図(最良の形態)。
【符号の説明】
【0023】
1 飲料水槽、2 冷却網、3 蒸気送管、4 冷却管、5 原水、6 蛇口、7 冷水排水口、8 水フィルター、9 ポンプ、10 地下水取水口、11 排気フィルター、12 噴射ポンプ、13 点検口、14 排気口、15 噴霧、16 排気ファンモーター、17 排気送管、18 送風管、19 貯熱網、20 燃料投入口、21 灰、22 送気ファン、23 送気モーター、24 排気管、25 煙送ファン、26 煙送ファンモーター、27 ゴミ投入口、28 ゴミ送管、29 煙止メダンパー、30 ゴミ焼却室、31 蒸気送モーター、32 煙送管、33 ゴミ止メ網、34 焼却炉、35 濾過槽、36 濾過水送管、37 冷却水排水管、38 燃料受け網、39 炎、40 ゴミ、41 燃料、42 蒸気槽、43 原水水槽、44 空気取込み口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面に沿って配置された焼却炉と、焼却炉と平行に地表面に沿って配置された濾過槽と、焼却炉に沿って配置された飲料水槽と、焼却炉と飲料水槽とを接続する管状に形成された蒸気送管とが備えられ、焼却炉は天井開口縁に設けられたゴミ投入口と、焼却炉内部に配置されたゴミ焼却室と、ゴミ焼却室より下に位置する焼却炉の側面に設けられた燃料投入口とを備え、ゴミ焼却室天井開口縁と濾過槽の間をゴミ焼却室内部を貫通して接続する排気管と、ゴミ焼却室内部を貫通する排気管上部に接するように配置されたゴミ止メ網とを備え、ゴミ焼却室の外側を覆うように原水が配置され、ゴミ焼却室最上部には蒸気槽が設けられ、飲料水槽は内部最上部に冷却網を備え、蒸気送管は蒸気送管側面に蒸気送モーターを備え、焼却炉の余熱により熱された原水が蒸気送管を通過し、飲料水槽内に貯水することを特徴としたゴミ焼却式飲料水製造装置。
【請求項2】
ゴミ投入口側面開口縁と焼却炉外部に位置する排気管との間に接続された煙送管と、焼却炉内部を貫通する排気管内部に配置された貯熱網と、濾過槽天井開口縁に配置された噴射ポンプと、噴射ポンプと濾過槽側面開口縁との間に配置された濾過水送管と、噴射ポンプと濾過槽内部に配置された排気管との間に設けられた噴霧とを備え、焼却により発生した煙が排気管を通過し再燃焼された後、水に溶かされることを特徴とした請求項1に記載のゴミ焼却式飲料水製造装置。
【請求項3】
焼却炉内部を貫通する排気管より鉛直方向下に地表面に沿って配置された燃料受け網と、燃料受け網の上部に沿って配置された燃料とを備え、ゴミ止メ網の上に配置されたゴミと燃料とが分離されるよう構成されたことを特徴とした請求項1に記載のゴミ焼却式飲料水製造装置。
【請求項4】
飲料水槽外部に配置された地下水取水口と、地下水取水口と冷却網との間を接続するよう設けられた冷却管と、冷却管下部に設けられたポンプとを備え、飲料水槽天井開口縁より飲料水槽内部へ入る蒸気が冷却され結露するよう構成された請求項1に記載のゴミ焼却式飲料水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−159946(P2010−159946A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23070(P2009−23070)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(595130252)
【出願人】(508348233)
【出願人】(508347915)
【Fターム(参考)】