説明

ゴムロール、ゴムロールの製造方法、帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】残留歪による変形が抑制されたゴムロール、ゴムロールの製造方法、帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを得る。
【解決手段】芯金供給部材82内へ供給された芯金64を、回転送りロール110によって回転させる。この芯金64の外周面に、押出機66から供給されたゴム材料70が被覆する。このため、ゴム材料70を再加硫させることができ、ゴム材料70に残留する歪が緩和され、残留歪による帯電ロール54の変形が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムロール、ゴムロールの製造方法、帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター及びファクシミリ等に代表される電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置に組み込まれる帯電ロールの製造方法は、金型を用いる方法、チューブ状に押出したゴム組成物を加硫処理し、後に芯金を圧入する方法、未加硫ゴムを芯金上に予め被覆してから加硫硬化させる方法などがあるが、近年ラインの連続加工化が容易な、未加硫ゴムを芯金に被覆して加硫させる方法が主流となり、様々な改良技術が模索されている。
【0003】
芯金に未加硫ゴムを予め被覆する方法としては、クロスヘッド押出機を用いる方法が一般的である。この方法では芯金ガイドと交差する方向から押出機スクリューによって可塑化された未加硫ゴムがクロスヘッドダイ内で流れる向きを変え、芯金ガイドで位置決めされた芯金が重力加速度もしくは何らかの能動的な芯金送り手段によって供給された芯金の周りを満たし、クロスヘッドダイの出口側に設けられたダイスによってゴムと芯金の圧着及び外径寸法制御が行われる。ゴムと芯金が圧着された部材は、ダイスより放出され、受取り機構で受け取られると共に、切断することで帯電ロールを形成する。
【0004】
これ以外にも、例えば、特許文献1には、クロスヘッドダイ内の芯金ガイドにベーン等を設けると共に、芯金ガイド自体を回転させることでゴムを再可塑化させる方法が開示されている。また、特許文献2には、芯金を有するロールの表面に、熱可塑性樹脂に樹脂被覆カーボンブラックを配合した半導電性樹脂組成物を溶融被覆して半導電層を形成する方法が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3では、クロスヘッドダイに内包される芯金ガイドを前後方向にスライドさせることによりゴム圧力及び密着区間を増減し、押出されるロールの外径を変動させながらゴムロールを押出す方法が開示されている。また、特許文献4では、シャフトの外周に導電性のベース層を設け、ベース層の外周に導電膜層を設けた導電性ロールを得る場合に、熱可塑性樹脂をベース層上に押出し成形して導電膜層を形成する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−7895号公報
【特許文献2】特開2000−181195号公報
【特許文献3】特開2006−305770号公報
【特許文献4】特開平6−58325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、残留歪による変形が抑制されたゴムロール、ゴムロールの製造方法、帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ゴム筒体の軸芯に設けられた芯金の端部に、他のゴム筒体の芯金と係合して供回り可能な係合部が形成されたゴムロールである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記芯金の表面に凹部又は凸部が形成された請求項1に記載のゴムロールである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記ゴム筒体がエビクロロヒドリンゴムを主成分とし、かつカーボン配合量が10質量部以上40質量部以下で配合された請求項1又は2に記載のゴムロールである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の芯金を芯金供給部へ供給する芯金供給工程と、前記芯金供給工程で供給された複数の芯金を供回り回転させる芯金回転工程と、押出機から供給されたゴム材料が流入する成形部へ前記芯金を案内し、回転している芯金の外周に前記ゴム材料を被覆する被覆工程と、を有するゴムロールの製造方法である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記成形部へ案内される芯金の案内方向と交差する方向へ前記押出機からゴム材料が流入される請求項4に記載のゴムロールの製造方法である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記成形部の出口側に設けられ、前記芯金の外周を被覆するゴム材料を芯金に圧着させる圧着部の長さ(L)と前記圧着部の内径寸法(d)との関係が、1≦L/d≦3を満たす請求項5に記載のゴムロールの製造方法である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の何れか1項に記載のゴムロールの製造方法で製造されたゴムロールに電圧を印加し、該ゴムロールと接触する被帯電部材を帯電させる帯電装置である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記被帯電部材が像保持体であり、請求項7に記載の帯電装置と、帯電した前記像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、現像剤を用いて前記像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段と、を備えている画像形成装置である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の帯電装置を少なくとも備え、画像形成装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、ゴムロールを成形するときに芯金を回転させながら該芯金にゴム材料を被覆させることで、ゴム材料を再可塑化させることができ、これにより、残留歪による変形を抑制することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、芯金の表面に凹凸がない場合と比較して、芯金の回転時にゴム材料との摩擦力を高め、可塑化を向上させることができる
【0018】
請求項3に係る発明によれば、エピクロロヒドリンゴムを主成分とし、かつカーボン配合量が10質量部以上40質量部以下で配合していないものよりも極めて少ないカーボンの配合量であっても十分な導電性が得られ、硬度も低く維持できる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、残留歪による変形を抑制することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、成形部へ案内される芯金の案内方向と同じ方向へ押出機からゴム材料が流入される場合と比較すると、請求項4に係る発明による効果が顕著に現れる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、形状記憶の残留を低減するのに必要な時間を確保すると共にゴム材料の押出しが可能となる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、ゴムロールの軸方向の全域に亘って被帯電部材をムラなく帯電させることができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、画像欠陥を抑制することができる。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、帯電装置の交換時には便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
<画像形成装置>
【0026】
図1は本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を示した図であり、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタを示している。図1に示す画像形成装置1は、本体1Aに、各色の階調データに対応して画像形成を行う画像形成部10と、記録用紙(シート)を搬送するシート搬送部40と、例えばパーソナルコンピュータや画像読み取り装置等に接続され、受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置(Image Processing System)50と、が備えられている。
【0027】
画像形成部10は、水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置される、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kを備えている。
【0028】
各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kには、トナー像を保持させる像保持体としての感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面にレーザ光を照射し静電潜像を形成させる静電潜像形成手段としての走査光学系(Raster Output Scanner)30と、感光体ドラム12上の静電潜像を現像してトナー画像を形成するトナー画像形成手段としての現像装置14と、感光体ドラム12上のトナー像を中間転写ベルト21上に多重転写させる転写手段としての転写ユニット20と、が備えられている(詳細は後述する)。
【0029】
本体1Aには、転写ユニット20によって二次転写された記録用紙上の画像を、熱および圧力を用いて記録用紙に定着させる定着装置29が備えられており、さらに、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kに対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ19Y,19M,19C,19Kが設けられている。
【0030】
転写ユニット20には、中間転写体である中間転写ベルト21を駆動する駆動ロール22と、中間転写ベルト21に一定の張力を付与する張力付与ロール23と、重畳された各色のトナー像を記録用紙に二次転写するためのバックアップロール24と、中間転写ベルト21上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置25と、が備えられている。
【0031】
中間転写ベルト21は、駆動ロール22、張力付与ロール23およびバックアップロール24の間に一定の張力で掛け回されており、駆動ロール22には定速性に優れた専用の駆動モータ(図示せず)が連結されている。この駆動モータの駆動によって駆動ロール22が回転駆動し、中間転写ベルト21が矢印方向に所定の速度で循環駆動する。
【0032】
また、中間転写ベルト21は、例えば、チャージアップを起こさないベルト素材(ゴムまたは樹脂)にて抵抗調整されたものが使用されている。クリーニング装置25は、クリーニングブラシ25Aおよびクリーニングブレード25Bを備えており、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト21の表面から残留トナーや紙粉等を除去して、次の画像形成工程に備えるように構成されている。
【0033】
走査光学系30は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)を偏向走査するポリゴンミラー31を備えている。
【0034】
図2に示す例では、走査光学系30は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの下方に備えられることから、トナー等の落下による汚損の危険性を有している。このため、走査光学系30には、各構成部材を密閉するための直方体状のフレーム32が設けられ、また、レーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)が通過するガラス製のウィンドウ33をこのフレーム32の上方に設けて、走査露光と共にシールド効果を高めるように構成されている。
【0035】
シート搬送部40は、画像が記録される記録用紙を積載して供給する給紙装置41と、給紙装置41から記録用紙を取り上げて供給するロール42と、ロール42から供給された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送する搬送ロール43と、を備えており、搬送ロール43により1枚に分離された記録用紙は、搬送路44によって画像転写部20に向けて搬送される。
【0036】
また、シート搬送部40の画像転写部20側では、二次転写位置に向けてタイミングを合わせて搬送する位置合わせロール45と、二次転写位置に設けられバックアップロール24に圧接して記録用紙上に画像を二次転写する二次転写ロール46と、を備えている。
【0037】
さらに、シート搬送部40の二次転写ロール46の記録用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)には、定着装置29が配設されており、定着装置29の下流側には、排出ロール47が設けられ、トナー画像が定着された記録用紙が、本体1Aの機外の排出媒体受け48へ排出される。また、定着装置29の下流側には、排出ロール47側への搬送路とは別に、定着装置29によって定着された記録用紙を反転させて両面記録を可能とする両面用搬送ユニット49も備えられている。
【0038】
なお、本実施の形態ではタンデム型の画像形成装置1の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、単一の画像形成ユニットで順次多色を形成する4サイクル式の画像形成装置や、モノクロ式の画像形成装置に本発明を適用することもできる。
【0039】
次に、画像形成部10における画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kについて詳述する。
<プロセスカートリッジ>
【0040】
図2は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの構成を説明するための図であり、ここでは、イエロー(Y)の画像形成ユニット11Yとマゼンタ(M)の画像形成ユニット11Mとが示されている。他の画像形成ユニット11C,11Kもほぼ同様に構成されている。
【0041】
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、感光体ドラム12と、帯電ロール54を用いて感光体ドラム12を帯電させる帯電装置13と、帯電装置13によって帯電され走査光学系30からのレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)によって感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像ロール14Aによって現像する現像装置14と、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム12に対向して設けられ感光体ドラム12上に現像されたトナー像を中間転写ベルト21上に転写する一次転写ロール15と、転写後に感光体ドラム12上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置16と、を備えている。
【0042】
ここで、本実施形態では、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12、帯電装置13、およびクリーニング装置16を一体化し、プロセスカートリッジ52として、画像形成装置1の本体1Aに対して着脱可能としている。
【0043】
これにより、プロセスカートリッジ52と一緒に帯電装置13を画像形成装置1の本体1Aから取り外すことができるため、帯電装置13の交換時には便利である。また、帯電装置13と感光体ドラム12とは一体に移動するため、帯電装置13と感光体ドラム12の位置関係は確保される。
【0044】
なお、ここでは、プロセスカートリッジ52として、感光体ドラム12、帯電装置13、およびクリーニング装置16を一体化させたが、少なくとも帯電装置13がこのプロセスカートリッジ52に備えられていれば良いため、必ずしもこれら全てが一体化されなくても良い。
【0045】
次に、図1に示す画像形成装置の動作について説明する。
<画像形成装置の動作説明>
【0046】
図示しない原稿読み取り装置によって読み取られた原稿の色材反射光像や、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された色材画像データは、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各8ビットのデータとして画像処理装置50に入力される。
【0047】
画像処理装置50では、入力されたデータに対して、例えばシェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、走査光学系30へ出力される。
【0048】
走査光学系30では、入力された色材階調データに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)を、f−θレンズ(図示せず)を介してポリゴンミラー31へ出射する。
【0049】
ポリゴンミラー31では、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12を照射する。
【0050】
感光体ドラム12では、帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、各現像装置14によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。感光体ドラム12上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト21上に多重転写される。このとき、黒色のトナー像を形成する黒の画像形成ユニット11Kは、中間転写ベルト21の移動方向の最下流側に設けられ、黒色のトナー像は、中間転写ベルト21に対して最後に一次転写される。
【0051】
一方、シート搬送部40では、画像形成のタイミングに合わせてロール42が回転し、給紙装置41から所定サイズの記録用紙が供給される。搬送ロール43により1枚ずつ分離された記録用紙は、搬送路44を経て位置合わせロール45に搬送され、一旦、停止する。
【0052】
その後、トナー像が形成された中間転写ベルト21の移動タイミングに合わせて位置合わせロール45が回転し、記録用紙は、バックアップロール24および二次転写ロール46によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて下方から上方に向けて搬送される記録用紙には、圧接力および所定の電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。
【0053】
そして、各色のトナー像が転写された記録用紙は、定着装置29によって熱および圧力によって定着処理を受けた後、排出ロール47によって本体1Aの上部に設けられた排出トレイ48に排出される。
【0054】
尚、排出トレイ48にそのまま排出せずに、図示しない切り替えゲートによって搬送方向を切り替え、定着装置29によって定着された記録用紙を両面用搬送ユニット49によって反転させることもできる。この反転された記録用紙を位置合わせロール45に搬送した後、前述と同様な流れによって、印刷されていない他の面について画像を形成することで、記録用紙の両面に画像を形成することが可能となる。
【0055】
次に、帯電装置13について詳細に説明する。
<帯電装置>
【0056】
図3は、帯電装置13を示す図であり、図3に示すように、帯電装置13は、感光体ドラム12(図2参照)の表面に接触して感光体ドラム12の表面を所定の電位に帯電させる帯電ロール54と、この帯電ロール54を回転可能に支持する略箱状のハウジング56と、を備えている。
【0057】
ハウジング56の長手方向の両端部には、軸受部56Aが設けられており、この軸受部56Aに、帯電ロール54の軸芯に設けられた芯金60の両端部が回転可能に支持される。この軸受部56Aは、感光体ドラム12と接離する方向に移動可能に取り付けられており、軸受部56Aの外側に位置するハウジング56の底壁部56Bには、コイルスプリング58が取付けられている。
【0058】
このコイルスプリング58によって、帯電ロール54が感光体ドラム12と接近する方向に付勢される。また、このコイルスプリング58を介して帯電ロール54に対し所定のバイアス電圧が印加されるようになっている。
【0059】
本実施の形態では、帯電ロール54を回転駆動する駆動機構は特に設けられておらず、帯電ロール54が接触する感光体ドラム12の回転に伴って従動回転するようになっている。また、ハウジング56の軸受部56Aの内側の底壁部56Bには、帯電ロール54を清掃するクリーニング部材59が設けられている。
【0060】
ところで、帯電ロール54は、軸芯に設けられた芯金60と、芯金60の外周面を被覆するゴム筒体62と、で構成されている。芯金60は、帯電ロール54の電極及び支持部材として機能するものであり、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂;などの導電性の材質で構成される。
【0061】
芯金60の両端部には、図4に示すように、円柱を半分に切り落とした半月状の係合部60Aが形成されている。この係合部60Aは、他の芯金64(図5参照)と連結可能としている。
【0062】
具体的には、図5に示すように、芯金60の係合部60Aと芯金64の係合部64Aとが対面した状態で係合状態となり、この状態では、芯金60と芯金64が互いに回り止めされた状態となって互いに回転力が伝達可能となる。つまり、芯金60を回転させると、係合部60A、64Aを介して芯金64が回転し、芯金64は芯金60と供回りすることとなる(後述する)。
【0063】
一方、図4に示すゴム筒体62は、エピクロロヒドリンゴムを主成分とし、かつカーボン配合量が10質量部以上40質量部以下配合されたゴム材料が用いられることが好ましい。エピクロロヒドリンゴムを主成分とすることで、エピクロロヒドリンゴムを主成分とし、かつカーボン配合量が10質量部以上40質量部以下で配合していないもの例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムを主成分とした帯電ロールを形成する場合よりも、電気抵抗が小さく帯電特性に優れ、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムよりも極めて少ないカーボンの配合量であっても十分な導電性を得られ、ゴム硬度も低く維持される。
【0064】
ここで、帯電ロール54(ゴム筒体62)の表面硬度は、JIS K−7312(1996)附則書2に記載されているタイプC硬さで、HsC70以下が好ましく、より好ましくはHsC65以下である。タイプC硬さがHsC70以下であると、電子写真感光体との均一なニップ状態を得やすくなる。タイプC硬さは、具体的には例えば高分子計器社製、アスカーC硬度計により測定することができる。
【0065】
また、帯電ロール54の表面の十点平均粗さRzは、13μm以下が好ましく、9μm以下が更に好ましい。十点平均粗さRzが13μm以下であると、汚れの付着を防止でき、またクリーニング性能も向上する。ここでは、十点平均粗さRzはJIS B0601(1994年度)に準拠した方法で測定される。具体的には、例えば、(株)東京精密社製、表面粗さ形状測定機サーフコム1400により、測定することができる。また、測定条件は、カットオフ:0.8mm、測定長:2.4mm、トラバーススピード:0.3mm/sである。
【0066】
さらに、帯電ロール54の静止摩擦係数は、0.2以下が好ましく、0.1以下が更に好ましい。静止摩擦係数が0.2以下であると、電子写真感光体との従動性を保ちつつ,騒音防止効果が得られる。なお、本発明に係る静止摩擦係数は、ASTM−D−1894に準じる方法により測定された値をいう。
【0067】
また、帯電ロール54の静電容量は、1500pF以上3000pF以下が好ましく、2000pF以上2500pF以下が更に好ましい。静電容量が1500pF以上3000pF以下であると、帯電能力・帯電均一性・リーク耐性を確保できる。
【0068】
また、帯電ロール54の中央部の外径は端部の外径よりも大きくなるようにされており、芯金60による撓み分を考慮し、帯電ロール54の軸方向における感光体ドラム12への接触圧を均一にするようにしている。芯金60の長さによっても異なるが、帯電ロール54の中央部の外径と端部の外径との差は、通常、10μmから120μmとされる。
【0069】
なお、ここでは、エピクロロヒドリンゴムを主成分とし、かつカーボン配合量が10質量部以上40部以下配合されたゴム材料を用いたが、これに限るものではない。
【0070】
例えば、導電性のゴム筒体を形成する場合、例えばゴム材料中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材料としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR及びこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材料は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0071】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。
【0072】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0073】
弾性層には、必要に応じて、硬化剤、可塑剤、加硫促進剤等を用いてもよい。また、発泡させる場合、適宜発泡剤等も用いることができる。弾性層の厚みとしては、特に限定されないが、1mm以上10mm以下程度とすることが好ましく、1.5mm以上5mm以下程度とすることがより好ましい。
【0074】
次に、帯電ロールの製造方法について説明する。
<帯電ロールの製造方法>
まずは、帯電ロール54の製造に用いられる押出機について説明する。
(押出機の構成)
【0075】
図6及び図7(A)、(B)に示すように、押出機66には、クロスヘッドダイ(成形部)68が連結されており、押出機66の押出方向と交差する方向(左右あるいは上下)へゴム材料70を流入させるようにしている。ここでは、図示しないゴム材料投入部(ホッパ)に充填されたゴム材料70を水平方向に沿って設けられたシリンダ67内のスクリュー69によって可塑化し、押出機66から押し出された後、可塑化されたゴム材料70が鉛直方向へ落下するようにクロスヘッドダイ68が配置されている。
【0076】
クロスヘッドダイ68の内部は、下方を頂部側とする略円錐状を成しており、周面には押出機66の出口部72と繋がる流入孔74が形成されている。また、クロスヘッドダイ68の中央部には、芯金60の外周面を保持する略円筒状の芯金ホルダ76がクロスヘッドダイ68に対して着脱可能に設けられており、芯金60の直径寸法に合わせて芯金ホルダ76が交換可能とされている。
【0077】
芯金ホルダ76の外側には、ガイド筒78が設けられており、クロスヘッドダイ68に対して着脱可能とされ、芯金ホルダ76に合わせて交換可能とされる。このガイド筒78が、流入孔74から流入するゴム材料70を案内する。
【0078】
また、クロスヘッドダイ68の出口側には、ダイス(圧着部)80が着脱可能に設けられている。このダイス80によって、芯金60とゴム材料70の圧着及び外径寸法制御が行われる。このため、芯金60の外径寸法やゴム材料70の外径寸法に応じて交換可能とされている。
【0079】
芯金60とゴム材料70が圧着された部材は、ダイス80より放出されることで帯電ロール54として外径寸法が制御された状態で、図示しない受取り機構で受け取られる。
【0080】
一方、クロスヘッドダイ68の上部には、クロスヘッドダイ68へ芯金60を供給する芯金供給部材82が設けられている。この芯金供給部材82の中央部には、芯金60が供給可能な供給孔84が貫通しており、供給孔84の軸芯と芯金ホルダ76の軸芯とが同軸となるように設けられている。
【0081】
この供給孔84の入口側は、芯金60の外径寸法よりも大きくなっており、芯金60を供給しやすくしている。また、供給孔84の奥側は、芯金60の外径寸法に合わせて内径寸法が設定されており、供給孔84内で芯金60がガタ付かないようにしている。
【0082】
なお、芯金60の両端部には、前述したように、芯金60、64同士を互いに係合させ、連結させる係合部60Aが設けられており、芯金60が回転すると係合部60A、64Aを介して芯金64が芯金60と供回りする。このため、芯金供給部材82には、芯金60と芯金64が係合する際の芯金60の振れによる逃げ部86を設けている。
【0083】
ところで、芯金供給部材82には、駆動モータ88が設けられており、この駆動モータ88にはプーリ90が連結されている。プーリ90には、動力伝達ベルト92が巻き掛けられており、一対の軸受け94によって回転可能に支持されたシャフト96の一端部に固定されたプーリ98によって動力伝達ベルト92が張架されている。このため、駆動モータ88の回転駆動によってプーリ90及び動力伝達ベルト92を介してプーリ98が回転するとシャフト100が回転する。
【0084】
一方、シャフト96の他端部には、ベベルギア102が固定されており、シャフト96と一体に回転する。このベベルギア102には、ベベルギア104が噛み合っており、動力伝達の向きを変えるようにしている(後述する)。
【0085】
ベベルギア104はシャフト106の一端部に固定されており、シャフト106には、一対の軸受け108が設けられ、軸受け108の間に回転送りロール110が固定されている。この回転送りロール110はベベルギア102の回転によってシャフト106を介して回転する。ここで、回転送りロール110の外周面は、芯金60の外周面との間で摺動抵抗が得られる表面粗さとなっている。
【0086】
芯金供給部材82の下部には、供給孔84と繋がる切欠き部112が設けられており、切欠き部112によって設けられた空間114内に回転送りロール110は配置され、芯金60の外周面に接触可能となっている。
【0087】
芯金供給部材82の供給孔84には、回転送りロール110が芯金60と接触する箇所を含めて、芯金60の外径寸法よりも大きくした逃げ部116を設けており、芯金60に回転送りロール110が接触するときに回転送りロール110に必要以上の応力が作用しないようにしている。
【0088】
ここで、シャフト106は、ベベルギア102とベベルギア104によって、シャフト96に対して角度を持った状態で配置されているが、供給された芯金60に対して図7(A)で示すように正面断面図にてシャフト106の一端側から他端側へ向かって、図面手前側から奥側へ向かって傾斜している(いわゆるスリップアングルを有している)。
【0089】
これにより、回転送りロール110は、芯金60に回転力を付与すると共に、芯金60の進行方向に沿って芯金60を送り出すようにしている。
【0090】
以上のように、回転送りロール110はシャフト96、ベベルギア102、104等を介して駆動モータ88からの駆動力を得る構造となっているため、任意の回転数でこの回転送りロール110を回転させることができる。また、回転送りロール110はシャフト106の傾きを変更することで、芯金60への送り方向と回転方向の力のバランスを変更することができる。
【0091】
さらに、回転送りロール110は、その材質としては、例えば、JIS K−6253(1997)に規定のタイプAデュロメータ硬さA50のゴムが挙げられるが、芯金60に接触して、芯金60を回転させると共に、芯金60の進行方向に沿った応力を芯金60に作用することができればよいため、硬度・材質がこれと異なっていても良い。
【0092】
(芯金)
帯電ロール54の芯金60、64は、引き抜き加工にて直径8mmの円筒状棒を長さ330mmに切断後、両端部に図5に示した幅(X)4mmの半月状の切り欠きを、切り欠き長さ(Y)4mmとなるよう研削加工して係合部60A、64Aを形成し、その後に厚み8μmの無電解ニッケルメッキを施している。
【0093】
(ゴム材料)
ゴム材料70としては、エピクロロヒドリンゴム「商品名:ゼクロンG−3106,日本ゼオン(株)」90部、液体NBR「JSR N280」10部、酸化亜鉛「商品名 酸化亜鉛2種 ハクスイテック株式会社製」5質量部、ステアリン酸「商品名:ステアリン酸S、花王株式会社製」1質量部、カーボンブラック「商品名:3030B 三菱化学製」、炭酸カルシウム「商品名:ホワイトンSSB白石工業株式会社製」25質量部、 イオン導電剤「4級アンモニウム塩 商品名:KS−555 花王(株)製」2質量部、ジベンゾチアジルサルファイド「商品名:ノクセラーDM 大内新興化学株式会社製」1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド「商品名:ノクセラーTS、大内新興化学株式会社製」1質量部、硫黄「商品名:サルファックス200S、鶴見化学株式会社製」1質量部を密閉型混合機及びオープンロールを用いて混練を行う事で未加硫ゴム材料を得ている。
【0094】
(帯電ロールの製造)
図6に示すシリンダ67の内に設けられたスクリューの直径(D)60mm、スクリューの長さ(L)1200mm、L/D=20の1軸ゴム押出機66を用いてゴム材料70を押出すと共に、芯金60を芯金供給部材82内へ供給する(芯金供給工程)。
【0095】
ここで、先に芯金供給部材82内へ供給された芯金64は、回転送りロール110と接触することで、回転送りロール110から回転力が付与されると共に、回転送りロール110によって送り出されるようにして、進行方向へ沿って移動している。芯金60が芯金供給部材82内へ供給された後、芯金60は自重により落下し、芯金60の係合部60Aが芯金64の係合部64Aと係合することで、芯金60は芯金64と連結して供回りする(芯金回転工程)。
【0096】
このため、芯金60は回転しながら進行方向へ移動し、回転送りロール110と接触して、芯金60自体が回転送りロール110から回転力が付与されると共に、回転送りロール110によって送り出されるようにして、進行方向へ沿って移動する。この状態で、クロスヘッドダイ68を通過することで、芯金60の外周面にゴム材料70が被覆される(被覆工程)。
【0097】
ここで、押出機66の温度条件設定は、本実施形態ではシリンダ67、スクリュー69、クロスヘッドダイ68、ダイス80のいずれも80℃とした。押出機66に用いるダイス80は円の直径(d)13mmの物を用いた。
【0098】
そして、芯金60の外周面にゴム材料70が被覆されて未加硫のゴムロールは、ダイス80から放出され、取出される。芯金60はゴム材料70の流速で自動的にゴム材料70を被覆されてダイス80から放出される為、芯金60の送り込み速度はその放出速度に合うように調整する。そして、このゴムロールは乾燥炉に入れられ、170℃で45分加熱する事で加硫硬化し、所望の帯電ロール54が得られる。
【0099】
クロスヘッドダイ68では、芯金60の進行方向(案内方向)と交差する方向へ押出機66からゴム材料70が流入されるため、該ゴム材料70には流路変更による形状記憶が残留して、芯金60に被覆された後も僅かに反りの形状を残してしまう。
【0100】
しかし、本実施形態によれば、芯金60を回転させながら該芯金60の外周面にゴム材料70を被覆する。これにより、ゴム材料70を再加硫させることができ、ゴム材料70に残留する歪が緩和され、残留歪による帯電ロール54の変形が抑制される。このため、帯電ロール54の軸方向の全域に亘って感光体ドラム12がムラなく帯電され、画像欠陥が抑制される。
【0101】
本実施形態では、芯金60、64同士を供回り可能とすることで、1つの帯電ロール54に対して1つの芯金60とすることができる。つまり、1つの芯金から複数の帯電ロールを形成する場合、芯金の切断が必要となるが、本実施形態では、そのような作業が不要となる。
【0102】
なお、本実施形態では、図5に示すように、芯金60、64の係合部60A、64Aとして、円柱を半分に切り落とした半月状としたが、芯金60と芯金64が互いに係合して供回り可能であれば良いため、これに限るものではない。
【0103】
例えば、図9(A)に示すように、芯金118の中央部に四角柱の突起部118Aを設け、芯金120の中央部に突起部118Aが係合可能な四角柱の凹部120Aを設けて互いに係合可能としても良いし、図9(B)に示すように、芯金122の中央部に星形の突起部122Aを設け、芯金124の中央部に突起部122Aが係合可能な星形の凹部124Aを設けて互いに係合可能としても良い。また、図9(C)に示すように、芯金126の中央部に三角柱の突起部126Aを設け、芯金128の中央部に突起部126Aが係合可能な星形の凹部128Aを設けて互いに係合可能としても良い。
【0104】
また、図10に示すように、芯金60の表面に芯金60の軸方向に沿って溝部(凹部)130が形成されたローレットとし、芯金60の表面を凹凸状にしても良い。これにより、芯金60の表面にゴム材料70が被覆される際、芯金の表面に凹凸がない場合と比較して、芯金の回転時にゴム材料との摩擦力を高め、可塑化が向上する。また、芯金60の表面に凹凸がない場合と比較して芯金60とゴム材料70との密着性が向上する。さらに、ゴム材料70と芯金60との接着を強化する事を目的として、カーボン、樹脂などからなる中間層を備えても良い。
【0105】
また、本実施形態では、クロスヘッドダイ68を押出機66に対して交差させ、芯金60が成形部68へ案内される方向と交差する方向へ押出機66からゴム材料70が流入されるようにしたが、ヘッドダイは押出機66に対して交差する方向に限るものではなく、押出機66と同じ方向に沿って配置しても良い。
【0106】
また、芯金60に回転力を付与すると共に、芯金60の進行方向に沿って芯金60に応力を作用させることができれば良いため、クロスヘッドダイ68の構成は、本実施形態に限るものではない。
【0107】
例えば、図11(A)、(B)に示すように、芯金60と平行に配設された軸部134に固定された弾性ロール136の外周面に螺旋状の凹部136A(凸部であっても良い)を形成し、該弾性ロール136を芯金60の外周面に接触させるようにする。
【0108】
これにより、芯金60に回転力を付与すると共に、芯金60の進行方向に沿って芯金60に応力が作用するようにしても良い。この場合、弾性ロール136は芯金60と平行に配設されるため、図8に示すベベルギア102、104などは不要となる。
【0109】
また、駆動モータ88の向きを図7(A)、(B)の場合と変えることで、シャフト96に直接弾性ロール136を固定することができ、該弾性ロール136への動力伝達構成が回転送りロール110への動力伝達構成よりも単純化される。
【0110】
なお、芯金を回転及び進行方向へ沿って送ることができれば良いため、これ以外の装置を用いても良いのは勿論のことである。
【実施例】
【0111】
以下、実施例及び比較例を挙げる。
【0112】
(実施例1)
(芯金の準備)
帯電ロールの芯金は、引き抜き加工にて直径8mmの円筒状棒を長さ330mmに切断後、両端部に図5に示した幅(X)4mmの半月状の切り欠きを、切り欠き長さ(Y)4mmとなるよう研削加工して係合部60A、64Aを形成(芯金係合機構)し、その後に厚み8μmの無電解ニッケルメッキを施した芯金Aを準備した。
【0113】
(ゴム材料の準備)
ゴム材料としては、エピクロロヒドリンゴム「商品名:ゼクロンG−3106,日本ゼオン(株)」90質量部、液体NBR「JSR N280」10質量部、酸化亜鉛「商品名 酸化亜鉛2種 ハクスイテック株式会社製」5質量部、ステアリン酸「商品名:ステアリン酸S、花王株式会社製」1質量部、カーボンブラック「商品名:3030B 三菱化学製」、炭酸カルシウム「商品名:ホワイトンSSB白石工業株式会社製」25質量部、 イオン導電剤「4級アンモニウム塩 商品名:KS−555 花王(株)製」2質量部、ジベンゾチアジルサルファイド「商品名:ノクセラーDM 大内新興化学株式会社製」1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド「商品名:ノクセラーTS、大内新興化学株式会社製」1質量部、硫黄「商品名:サルファックス200S、鶴見化学株式会社製」1質量部を密閉型混合機及びオープンロールを用いて混練を行う事で未加硫ゴム材料を得た。
(帯電ロールの製造)
図6に示すシリンダの内に設けられたスクリューの直径(D)60mm、スクリューの長さ(L)1200mm、L/D=20の1軸ゴム押出機66を用いて上述のゴム材料を押出すと共に、芯金Aを芯金供給部材82内へ供給し、先に芯金供給部材82内へ供給された芯金Aは、回転送りロール110と接触することで、回転送りロール110から回転力が付与されると共に、回転送りロール110によって送り出されるようにして、進行方向へ沿って移動している。芯金Aが芯金供給部材82内へ供給された後、芯金60は自重により落下し、芯金60の係合部60Aが芯金64の係合部64Aと係合することで、芯金60は芯金64と連結して供回りする(芯金回転工程)。
【0114】
このため、芯金60は回転しながら進行方向へ移動し、回転送りロール110と接触して、芯金60自体が回転送りロール110から回転力が付与されると共に、回転送りロール110によって送り出されるようにして、進行方向へ沿って移動する。この状態で、クロスヘッドダイ68を通過することで、芯金60の外周面にゴム材料70が被覆される。
【0115】
ここで、押出機66の温度条件設定は、実施例1ではシリンダ67、スクリュー69、クロスヘッドダイ68、ダイス80のいずれも80℃とした。押出機66に用いるダイス80は円の直径(d)13mmの物を用いた。
【0116】
そして、このゴムロールは乾燥炉に入れられ、170℃で45分加熱する事で加硫硬化し、所望の帯電ロールAが得られる。
【0117】
<評価方法>
前述した帯電ロールの製造方法により製造された帯電ロールの屈折形状の残留度合いを測るため、表1に示す条件で帯電ロールを各10本作成し、帯電ロールの振れの測定を行い、クロスヘッドダイによる残留歪の残り度合いを評価した。
【0118】

【表1】

【0119】
また、帯電ロールの表面性状を判断する目的で、帯電ロールの周方向の表面粗さについてRzを測定した。また、帯電ロールのカーボンの配合量によるゴム硬度への影響を判定する為、微小硬度計による測定値を指数で表した(数値が小さいほど柔らかく、優れる)。さらに、帯電ロールの加工実施の可否を判断する指標として、押出機のヘッド圧を計測した。
【0120】
<画像評価>
作成した帯電ロールAをカラー複写機DocuCentre Color a450:富士ゼロックス社製 のドラムカートリッジに装着し、このDocuCentre Color a450で、10℃ 15%RH環境下で50%ハーフトーン画像を印刷した。この初期印刷の画像について目視にて評価した。
評価指標は以下の通りである。ここで「×」は使用不可であるが、それ以上は使用可能である。
(評価指標).
◎:画像不良が認められない
○:画像不良が僅かに認められたが許容できる
×:画像不良が認められ、許容できない
(実施例2〜9、比較例1)
実施例2〜9、比較例1は、芯金係合機構、芯金回転数、カーボン配合量、ダイスL/D比、スクリュー回転数をそれぞれ表1に示すように変えた事以外は、実施例1と同様にして帯電ロールを作製し、帯電ロールについて実施例1と同様の評価を実施した。
その結果を表1に示す。
【0121】
実施例1、2は、いずれも比較例1と比較すると帯電ロールの振れや表面粗さの悪化を抑制できている。また、実施例3は、実施例1、2と比較すると、帯電ロールのカーボン配合量増加の影響でゴム硬度の上昇が見られるが、帯電ロールの振れや表面粗さは他の比較例と比較しても非常に優れた結果となっている。
【0122】
ここで、比較例1は、芯金の回転を完全に止める例であるが、ゴム材料の十分な可塑化効果が得られず、加工の為のヘッド圧の低減や、帯電ロールの振れが大きく、残留歪除去の効果が得られない。逆に、芯金を高速回転させた実施例5では、ダイスによる帯電ロールへ作用するせん断力が大きくなり、押し出された帯電ロールの表面にせん断方向に剥離痕が生じやすくなる傾向にあり、実施例1〜4よりやや劣るものである。
【0123】
実施例6、7では、帯電ロールのカーボン配合量を変化させているが、カーボンが少ない場合、ゴム硬度が低下し、帯電ロールの振れが大きくなる、カーボンの多量配合ではゴム硬度が増加している。
【0124】
以上のような結果から、実施例1〜7の条件で帯電ロールの加工を行うことが好ましく、特に実施例1〜4の条件で帯電ロールの加工を行うことが好ましい。つまり、駆動モータ88の回転数は1〜180rpm、カーボン配合量は、10質量部以上40質量部以下、ダイスの圧着部の長さLと圧着部の内径寸法dとの比率L/dが1以上3以下であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本実施の形態に係るプロセスカートリッジの構成図である。
【図3】本実施の形態に係る帯電装置を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態に係るゴムロールを示す斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るゴムロールの芯金の係合部の形状を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態に係るゴムロールの製造方法を説明するための押出機、クロスセットダイ及び芯金供給部材を示す断面図である。
【図7】(A)は、図6の芯金供給部材を示す正面断面図であり、(B)は(A)の右側面図である。
【図8】図6の芯金供給部材を示す断面斜視図である。
【図9】(A)〜(C)は、本実施の形態に係るゴムロールの芯金の係合部の他の形状を示す斜視図である。
【図10】本実施の形態に係るゴムロールの芯金の他の形状を示す斜視図である。
【図11】図7に示す芯金供給部材の変形例を示す、(A)は正面断面図であり、(B)は(A)の右側面図である。
【図12】クロスセットダイの出口側に設けられたダイスを説明する断面図である。
【符号の説明】
【0126】
1 画像形成装置
1A 本体
12 感光体ドラム(像保持体)
13 帯電装置
14 現像器(トナー画像形成手段)
15 一次転写ロール(転写手段)
30 走査光学系(静電潜像形成手段)
52 プロセスカートリッジ
54 帯電ロール
60A 係合部
60 芯金(ゴムロール)
62 ゴム筒体(ゴムロール)
64A 係合部
64 芯金(ゴムロール)
66 押出機
68 クロスヘッドダイ(成形部)
70 ゴム材料
80 ダイス(圧着部)
82 芯金供給部材
118 芯金(ゴムロール)
118A 突起部(係合部)
120A 凹部(係合部)
120 芯金(ゴムロール)
122 芯金(ゴムロール)
122A 突起部(係合部)
124A 凹部(係合部)
124 芯金(ゴムロール)
126 芯金(ゴムロール)
126A 突起部(係合部)
128A 凹部(係合部)
128 芯金(ゴムロール)
130 溝部(凹部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム筒体の軸芯に設けられた芯金の端部に、他のゴム筒体の芯金と係合して供回り可能な係合部が形成されたゴムロール。
【請求項2】
前記芯金の外周に凹部又は凸部が形成された請求項1に記載のゴムロール。
【請求項3】
前記ゴム筒体がエピクロロヒドリンゴムを主成分とし、かつカーボン配合量が10質量部以上40質量部以下で配合された請求項1又は2に記載のゴムロール。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の芯金を芯金供給部へ供給する芯金供給工程と、
前記芯金供給工程で供給された複数の芯金を供回り回転させる芯金回転工程と、
押出機から供給されたゴム材料が流入する成形部へ前記芯金を案内し、回転している芯金の外周に前記ゴム材料を被覆する被覆工程と、
を有するゴムロールの製造方法。
【請求項5】
前記成形部へ案内される芯金の案内方向と交差する方向へ前記押出機からゴム材料が流入される請求項4に記載のゴムロールの製造方法。
【請求項6】
前記成形部の出口側に設けられ、前記芯金の外周を被覆するゴム材料を芯金に圧着させる圧着部の長さ(L)と前記圧着部の内径寸法(d)との関係が、1≦L/d≦3を満たす請求項4又は5に記載のゴムロールの製造方法。
【請求項7】
請求項4〜6の何れか1項に記載のゴムロールの製造方法で製造されたゴムロールに電圧を印加し、該ゴムロールと接触する被帯電部材を帯電させる帯電装置。
【請求項8】
前記被帯電部材が像保持体であり、
請求項7に記載の帯電装置と、
帯電した前記像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
現像剤を用いて前記像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、
前記像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載の帯電装置を少なくとも備え、画像形成装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−122455(P2010−122455A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295870(P2008−295870)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】