説明

ゴム製筒体、ゴムホース、空気ばね、ゴム製筒体の製造方法、及び補強コード層の形成装置

【課題】補強コードの束を巻き付けながら押し付けて補強コード層を形成し、かつ補強コードの交差を少なくすることができるゴム製筒体の提供。
【解決手段】複数の補強コード8を幅方向に間隔を空けて並べて補強コード8の束9を構成する。補強コード8の束9で中心軸を取り巻きつつ中心軸方向に往復させる。一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずらしながら複数回往復させる。補強コード8が中心軸に対して傾斜しつつ周方向に配列されて補強コード層5、6、12を構成する。往復の折り返し部10で、束9を幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返す。複数の補強コード8の互いの間隔を空けたまま、その束9が折り返される。補強コード8の折り返しによる交差が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気ばねのダイヤフラムやゴムホースなど、筒状ゴム膜に補強コード層を埋設してなるゴム製筒体、ゴム製筒体の製造方法、及び補強コード層の形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両に装備される空気ばねのダイヤフラムや、生コンクリートを圧送するゴムホースなどとして用いられるゴム製筒体は、筒状ゴム膜に補強コード層を埋設した構造とされる(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
補強コード層は、内面ゴム及び外面ゴム間に、平行に並べた複数本の補強コードを薄いシート状のゴムで包んだ構成の幅広のスダレコードを介在させてなり、バイアス裁断した複数枚のスダレコードをそのバイアス方向を互いに交差させて巻き付けることにより、複数層の補強コード層が形成される。
【0004】
ただ、内面ゴム及び外面ゴム間に幅広のスダレコードを介在させて補強コード層を形成するには、予めスダレコードをバイアス裁断し、これを手作業で所定の角度及び位置に貼り付けるという作業が必要であり、補強コード層の形成に手間が掛かりやすい。また、スダレコードの製造に高価な設備が必要であると共に、長さや径の異なる他品種のゴム製筒体を少数ずつ製造する場合にはスダレコードの裁断ロスが大きくなり、ゴム製筒体の製造コストが高くなる。
【0005】
これに対して、補強コードを内面ゴムの外側かつ中心軸周りに巻き付けながら中心軸方向に往復させることにより、補強コードを中心軸に対して傾斜させつつ周方向に配列して補強コード層を形成することが求められる。これにより、補強コード層を安価な設備で形成しつつその自動化を図ると共に、補強コードのロスを少なくして、ゴム製筒体の製造コストを安くすることができる。
【特許文献1】特開2001−20148
【特許文献2】実公昭55−18624
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、内面ゴムの外側に補強コードを巻き付けて補強コード層を形成する場合、その巻き付けに要する時間が長くなりやすい。これに対し、数本の補強コードを束にして巻き付けることにより、巻き付け時間を短縮することができるが、単に補強コードの束を巻き付けながら軸方向の端部で束の表裏を反転させるように折り返して往復させると、その往復の折り返し部で、束を構成する補強コード同士が交差する。この補強コードの交差は、補強コードの配列を乱しやすく、かつゴム製筒体の肉厚を厚くしやすい。
【0007】
また、補強コードを正確に位置決めするには、内面ゴムに巻き付けながら押し付けて密着させる必要があるが、折り返し部では、補強コードの向きが急変するので、補強コードを押し付けたまま折り返すのが難しい。
【0008】
本発明は、補強コードの束を内面ゴムに巻き付けながら押し付けて補強コード層を形成し、かつ補強コードの交差を少なくすることができるゴム製筒体、このゴム製筒体の製造方法、及び補強コード層の形成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るゴム製筒体は、筒状ゴム膜に補強コード層を埋設したものであり、その補強コード層は、補強コードの束で中心軸を取り巻きつつ中心軸方向に往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれながら複数回往復することにより、補強コードを中心軸に対して傾斜させつつ周方向に配列したものである。さらに、補強コードの束は、その幅方向に複数の補強コードを互いに間隔を空けて並べたものであり、中心軸方向の往復の折り返し部で、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま、束の幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返している。
【0010】
ここで、「補強コードを中心軸に対して傾斜させ」とは、ゴム製筒体の中心軸と平行かつ補強コードを通る直線に対して、補強コードを傾斜させることをいい、さらに、「補強コードの傾斜角度」とは、ゴム製筒体の中心軸と平行かつ補強コードを通る直線と補強コードのなす角度のことをいう。
【0011】
上記構成によれば、補強コードの束をその幅方向に向きを変えて折り返すので、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま、その束を中心軸方向に折り返すことができ、束の表裏を反転させる場合のような補強コードの折り返しによる交差を生じさせることがない。これにより、補強コードの配列を乱すことなくその束を折り返すことができ、かつゴム製筒体の肉厚を薄くすることができる。
【0012】
しかも、補強コードの束が中心軸を取り巻きつつ中心軸方向に複数回往復することによって補強コード層を構成するので、この補強コード層の形成には、スダレコードを用いた従来の構造におけるような事前のスダレコードの製造及びバイアス裁断を不要にでき、かつ容易に自動化を図ることができる。これにより、従来のゴム製筒体のように、高価な設備を用いてスダレコードを製造し、これをバイアス裁断して手作業で貼り付けて補強コード層を形成するものよりも、安価な設備で容易に補強コード層を形成することができ、さらに、長さや径の異なる他品種のゴム製筒体を少数ずつ製造する場合であっても補強コードのロスをなくすことができる。
【0013】
また、補強コードの束を巻き付けて補強コード層を構成することにより、内径や肉厚が変化する円錐台状のゴムホースや、中央部を膨出させた空気ばねのダイヤフラムのように、中心軸方向に沿って補強コード層の径が変化するゴム製筒体、あるいは、両端で曲げ剛性が異なるゴムホースのように、中心軸方向に沿って補強コードの傾斜角度が変化するゴム製筒体であっても、補強コードを容易に所望の傾斜角度及び間隔で配列して補強コード層を形成することができる。
【0014】
この場合、束を構成する補強コードの間隔を中心軸に対する補強コードの傾斜角度の変化及び/又は補強コード層がなす筒形状の径の変化に対応して設定するのがよい。なお、ゴム被覆した補強コードを束にする場合、補強コードの間隔を変化可能なよう各補強コードを独立してゴム被覆する。
【0015】
つまり、補強コード層がなす筒形状の径及び補強コードの傾斜角度がゴム製筒体の全長に渡って一定の場合には、補強コードの間隔も一定にすればよいが、補強コードの傾斜角度や補強コード層の径が変化する場合には、補強コードの間隔を変化させる必要がある。この場合、束を構成する補強コードの間隔を一定にしたまま、束と束との間隔のみを変化させることもできるが、束を構成する補強コードの間隔を変化させることにより、全周に渡って補強コードを均一な間隔に配列するのがより好ましい。具体的には、補強コードの傾斜角度を大きくするほど、さらに補強コード層の径を小さくするほど、束を構成する補強コードの間隔を小さくする。
【0016】
なお、補強コード層は、一層だけであってもよいが、二層以上の補強コード層を設けることもでき、この場合、複数の補強コード層を共通の補強コードの束によって連続して形成することができる。
【0017】
また、補強コードの束は、中心軸方向に往復しながら、中心軸を螺旋状に取り巻いてもよく、一往復ごとに中心軸を一回取り巻いてもよい。このうち、補強コードの束が中心軸を螺旋状に取り巻く場合、一往復ごとに周方向にずれることにより、互いに交差する方向に傾斜する補強コードを編み込むように二列に配列してなる補強コード層が構成される。一方、補強コードの束が一往復ごとに中心軸を一回取り巻く場合、一往復ごとに周方向にずれることにより、補強コードをそれぞれ一定の方向に傾斜させて配列してなる偶数層の補強コード層が構成され、対をなす補強コード層の傾斜方向が互いに交差する。
【0018】
すなわち、本発明は、上記のゴム製筒体の構成を前提として、以下のゴム製筒体を提供する。
【0019】
「前記補強コード層は、補強コードの束が中心軸を螺旋状に取り巻きつつ中心軸方向に往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれながら複数回往復することにより、補強コードが中心軸に対して傾斜しつつ周方向かつ二列に配列されてなり、各列の補強コードの傾斜方向が互いに交差するよう設定されたことを特徴とするゴム製筒体。」
「前記補強コード層は、補強コードの束が一往復ごとに中心軸を一回取り巻きながら、中心軸方向に複数回往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれることにより、補強コードが中心軸に対して傾斜しつつ周方向に配列されてなり、かつ偶数層に形成され、対をなす補強コード層の補強コードの傾斜方向が互いに交差するよう設定されたことを特徴とするゴム製筒体。」
本発明に係るゴム製筒体の用途としては、ゴムホースのホース本体として使用することを例示でき、例えば、端部に他のホースやパイプとの接続用の口金を取り付け、生コンクリートを圧送するゴムホースとして使用することができる。また、本発明に係るゴム製筒体の別の用途としては、両端部に金具を止着して空気ばねのダイヤフラムとして使用することを例示することができる。
【0020】
また、本発明は、筒状ゴム膜に補強コード層を埋設してなるゴム製筒体の製造方法を提供する。
【0021】
すなわち、本発明は、マンドレルの周りに内面未加硫ゴムを巻き付け、次いで、前記内面未加硫ゴムの外側に、幅方向に複数の補強コードを互いに間隔を空けて並べてなる補強コードの束を巻き付けつつ中心軸方向に往復させ、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずらしながら複数回往復させて、補強コードを中心軸に対して傾斜させつつ周方向に配列すると共に、中心軸方向の往復の折り返し部で、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま、束の幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返すことにより、補強コード層を形成し、その後、前記補強コード層の外側に外面未加硫ゴムを配置して、前記内面未加硫ゴム及び前記外面未加硫ゴムを加硫成形することを特徴とするゴム製筒体の製造方法を提供する。
【0022】
この製造方法によれば、上記のゴム製筒体の構成を採用することによる効果と同じ効果を得ることができる。
【0023】
また、本発明は、補強コードを位置決めしつつ押し付ける押し付けロールを用いて補強コード層を形成することにより、筒状ゴム膜に補強コード層を埋設してなるゴム製筒体を製造する製造方法を提供する。
【0024】
具体的には、まず、マンドレルの周りに内面未加硫ゴムを巻き付ける。次いで、内面未加硫ゴムの外側に補強コードを巻き付けつつ中心軸方向に往復させ、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずらしながら複数回往復させることにより、補強コードを中心軸に対して傾斜させつつ周方向に配列する。さらに、補強コードを巻き付ける際、この補強コードを押し付けロールで位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付けると共に、中心軸方向の往復の折り返し部で、押し付けロールを内面未加硫ゴムの外面上を旋回させて補強コードを中心軸方向に折り返すことにより、補強コード層を形成する。その後、補強コード層の外側に外面未加硫ゴムを配置して、内面未加硫ゴム及び外面未加硫ゴムを加硫成形する。
【0025】
この製造方法によれば、内面未加硫ゴムに補強コードを巻き付けて補強コード層を形成するので、安価な設備で、補強コードのロスを抑えつつ容易に補強コード層を形成することができる。しかも、押し付けロールで内面未加硫ゴムに補強コードを押し付けるので、補強コードを正確に位置決めすると共に、その位置を保つよう内面未加硫ゴムに密着させることができる。さらに、押し付けロールを内面未加硫ゴムの外面上を旋回させて補強コードを中心軸方向に折り返すので、補強コードの向きが急変する折り返し部においても、補強コードを折り返しながら内面未加硫ゴムに押し付けて位置決め及び密着させることができる。
【0026】
上記の製造方法において、補強コードの束を巻き付けることにより、その巻き付けに要する時間を短縮することができる。さらに、幅方向に複数並設した押し付けロールで、束を構成する複数の補強コードをそれぞれ位置決めすると共に、往復の折り返し部で、複数の押し付けロールを一体的に旋回させることにより、複数の補強コードを束の幅方向に向きを変えて、互いに間隔を空けたまま交差させることなく折り返すことができる。また、押し付けロールの間隔を調節することにより、補強コードの傾斜角度や補強コード層の径に対応する補強コード間隔に設定することができる。すなわち、本発明は、上記の製造方法を前提として、以下の製造方法を提供する。
【0027】
「前記補強コードを互いに間隔を空けて幅方向に複数並べて束にして前記内面未加硫ゴムの外側に巻き付けると共に、前記押し付けロールを幅方向に複数並設して、束を構成する複数の補強コードをそれぞれ位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付け、さらに、中心軸方向の往復の折り返し部で、前記複数の押し付けロールを一体的に旋回させることにより、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま補強コードの束を中心軸方向に折り返すことを特徴とするゴム製筒体の製造方法。」
「幅方向に並設した前記押し付けロールの間隔を調節することにより、中心軸に対する補強コードの傾斜角度の変化及び/又は補強コード層がなす筒形状の径の変化に対応して、束を構成する補強コードの間隔を調節することを特徴とするゴム製筒体の製造方法。」
ここで、束を構成する補強コードの本数は、これらを巻き付ける内面未加硫ゴムの径、すなわち巻き付け面の径や補強コードの太さなどを勘案して適宜選択することができる。束を構成する補強コードの本数を多くすれば、少ない巻き付け回数で補強コードを配列することができ、補強コード層の形成に要する時間を短くすることができる。一方、束を構成する補強コードの本数を少なくすれば、金具などに連結される部位である折り返し部の面積を小さくして金具などを小型化すると共に、補強コードの束の折り返しを容易にすることができる。
【0028】
つまり、曲面をなす巻き付け面に補強コードの束を押し付けるため、複数並設した押し付けロールと巻き付け面との接触線が湾曲形状を示し、巻き付け面の径が小さいほど、また補強コードの束の幅が広いほど、接触線の湾曲が顕著になる。しかも、押し付けロールを旋回させる折り返し部では、接触線の湾曲形状が変化するので、束を構成する補強コードの本数が多くその束の幅が広い場合には、補強コードの押し付けが不十分になりやすい。これに対し、束を構成する補強コードの本数を少なくすることにより、補強コードを均一かつ十分に押し付けつつ折り返すことができる。
【0029】
また、本発明は、内面未加硫ゴム及び外面未加硫ゴム間に形成することにより、前記内面未加硫ゴム及び前記外面未加硫ゴムを加硫成形してなる筒状ゴム膜に埋設される補強コード層の形成装置を提供する。すなわち、本発明は、以下の補強コード層の形成装置を提供する。
【0030】
「前記内面未加硫ゴムの外側に補強コードを巻き付けつつ中心軸方向に複数回往復させることにより補強コードを配列する補強コード配列手段と、前記補強コードを配列する際、補強コードを位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付ける押し付けロールとを備え、
前記押し付けロールは、補強コードをその往復の折り返し部で中心軸方向に折り返すよう、内面未加硫ゴムの外面上を旋回自在とされたことを特徴とする補強コード層の形成装置。」
「前記補強コード配列手段は、内面未加硫ゴムの外側に、幅方向に複数の補強コードを互いに間隔を空けて並べてなる補強コードの束を巻き付け、
前記押し付けロールは、幅方向に複数並設され、前記束を構成する複数の補強コードをそれぞれ位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付けると共に、往復の折り返し部で、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま補強コードの束を中心軸方向に折り返すよう、内面未加硫ゴムの外面上を複数の押し付けロールが一体的に旋回自在とされたことを特徴とする補強コード層の形成装置。」
「前記複数の押し付けロールは、互いの間隔を調節可能とされたことを特徴とする補強コード層の形成装置。」
これらの構成によれば、上記のゴム製筒体の製造方法の構成を採用することによる効果と同じ効果を得ることができる。
【0031】
ここで、補強コード配列手段としては、内面未加硫ゴムを巻き付けたマンドレルを中心軸周りに回転させつつ中心軸方向に往復移動させる構成や、マンドレルを中心軸周りに回転させながら、中心軸方向に往復移動する押し付けロールで補強コードを導きつつ押し付ける構成、押し付けロールを中心軸周り及び中心軸方向に移動させながら、補強コードを導きつつ押し付ける構成を例示できる。
【発明の効果】
【0032】
以上のとおり、本発明によると、複数の補強コードを束にして巻き付けるので、補強コード層の形成に要する補強コードの巻き付け時間を短縮することができる。しかも、束を構成する補強コードの間隔を空けたまま、幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返すので、補強コードの交差を少なくして、その配列の乱れを防止し、かつゴム製筒体の肉厚を薄くすることができる。
【0033】
また、押し付けロールを旋回させることにより、補強コードの向きが急変する折り返し部においても、補強コードを押し付けたまま折り返すことができるので、補強コードを正確に位置決めしたまま、内面ゴムに密着させてその位置を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係るゴム製筒体、ゴム製筒体の製造方法、及び補強コード層の形成装置を実施するための最良の形態について、ゴム製筒体をホース本体として備えたゴムホースを例示して、図面を用いて説明する。図1は本発明に係るゴムホースを示す図であり、上半分は断面図で、下半分は側面図である。なお、図1において、上半分に、その中央部を内側の層から順に剥がして内部構造を示し、下半分に、補強コードの束の一部を二点鎖線で示している。
【0035】
ゴムホース1は、例えば生コンクリートの圧送に使用するものであり、ゴム製筒体であるホース本体2の両端に、他のホースやパイプなどに接続する口金3を取り付けた構造とされる。
【0036】
ホース本体2は、筒状ゴム膜4に、主に耐圧性を高める内側補強コード層5及び外側補強コード層6と、主に耐座屈性を高めるための耐座屈層7とを埋設してなり、筒状の内面ゴム4aの外側に内側補強コード層5、耐座屈層7、外側補強コード層6及びカバーゴム4bをこの順番で配置して構成される。
【0037】
内側補強コード層5及び外側補強コード層6は、ナイロンコードやポリエステルコードなどの合成繊維コードである補強コード8をホース中心軸に対して傾斜角度(θ)で傾斜させつつ、ホース本体2の全長に渡って周方向かつ二列に配列すると共に、各列の補強コード8の傾斜方向を互いに交差するよう設定してなる。
【0038】
補強コード8は、例えば2本から5本程度の複数本が幅方向に互いに間隔を空けて並べられて補強コード8の束9を構成している。この補強コード8の束9がホース中心軸及び内面ゴム4aを螺旋状に取り巻きつつホース中心軸方向に往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれながら複数回往復して内側補強コード層5及び外側補強コード層6を構成する。
【0039】
補強コード8の束9は、その螺旋形状の端部において、折り返し部10を口金3の周方向に連続して形成された突起3aに掛けるようにして折り返されている。これにより、内側補強コード層5及び外側補強コード層6の端部が口金3に係止され、ホース本体2の両端に口金3が強固に止着されている。
【0040】
ここで、折り返し部10は、図2において図示する後述の副補強コード層12におけるものと同様、複数の補強コード8が互いの間隔を空けたまま、束9の幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返されている。また、束9を構成する補強コード8の間隔は、中心軸に対する補強コード8の傾斜角度(θ)の変化や、副補強コード層10がなす筒形状の径の変化に対応して設定される。具体的には、補強コード8の傾斜角度(θ)を大きくするほど、また内側補強コード層5や外側補強コード層6の径を小さくするほど、補強コード8の間隔を小さくする。
【0041】
耐座屈層7は、内側補強コード層5と外側補強コード層6との間に中間ゴム4cを配置すると共に、この中間ゴム4cに、内側補強コード層5を螺旋状に取り巻く硬鋼線11を埋設してなり、内圧の一部を受け持つと共に、座屈及び外力による変形を防止するようになっている。この耐座屈層7は、外側から外側補強コード層6で押さえられ、ホース本体2を曲げることによる筒状ゴム膜4からの硬鋼線11の飛び出しが防止される。なお、硬鋼線11は、ホース本体2の全長に渡って一定の螺旋ピッチであってもよく、作用する曲げモーメントの大きい部位ほど螺旋ピッチを小さくしたものであってもよい。
【0042】
また、図2に示すように、補強コード8の束9により、外側補強コード層6のさらに外側に一層又は複数層の副補強コード層12を形成することもできる。図2は副補強コード層を備えたゴムホースを示す図であり、左端部は断面図で、中央部から右端部は側面図である。なお、図2において、二点鎖線で補強コードの束の一部を、これを配列する際に押し付ける押し付けロール16と共に示している。
【0043】
副補強コード層12は、内側補強コード層5及び外側補強コード層6と同様、補強コード8の束9がホース中心軸を螺旋状に取り巻きつつホース中心軸方向に複数回往復することにより構成されるが、この副補強コード層12をホース本体2の端部から中央部までの範囲に形成するよう、補強コード8の束9がホース中心軸方向の中央部で折り返されている。この折り返し部10において、束9を構成する複数の補強コード8は、互いの間隔を空けたまま、束9の幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返されている。
【0044】
次に、ゴムホースの製造方法を説明する。まず、補強コード層の形成装置の構成を説明する。図3は補強コード層の形成装置を示す斜視図、図4は押し付けロールの正面図、図5は押し付けロールが旋回する様子を示す模式図である。なお、図3は口金を省略して示している。
【0045】
補強コード層の形成装置13は、内面ゴム4aとカバーゴム4bとの間に内側補強コード層5、外側補強コード層6及び副補強コード層12を形成するためのものであり、補強コード8を配列する補強コード配列手段としてのマンドレル15と、補強コード8を配列する際、束9を構成する複数の補強コード8を位置決めしつつ押し付ける複数の押し付けロール16と、押し付けロール16に補強コード8の束9を供給するコード供給手段17とを備えている。
【0046】
マンドレル15は、その中心軸周りに回転しつつ中心軸方向に往復移動自在な円柱状とされ、その回転及び往復移動により、コード供給手段17から供給される補強コード8の束9をマンドレル15の周りに螺旋状に巻き付けながら中心軸方向に複数回往復させるようになっている。これにより、補強コード8を中心軸に対して傾斜させつつ周方向かつ二列に配列する。
【0047】
押し付けロール16は、補強コード8を位置決め可能なよう周面が凹形状とされ、その複数が幅方向に並設されて、束9を構成する複数の補強コード8をそれぞれ位置決めしつつ、巻き付け面に押し付けて密着させるようになっている。
【0048】
この複数の押し付けロール16は、ホルダー18及びロール軸19を介して一体化されると共に、旋回シリンダー20によって補強コード8の巻き付け面上を一体的に旋回自在とされる。これにより、往復の折り返し部10で、複数の補強コード8の互いの間隔を空けたまま、その束9を中心軸方向に折り返し可能とされる。また、一体化された複数の押し付けロール16は、圧縮ばね(図示せず)、カム21及びカム駆動用の旋回シリンダー22により、互いの間隔を調節可能とされている。
【0049】
コード供給手段17は、テンション付きボビン、ガイドローラ24、複数のシングルダイス付き押し出し機25、位置ガイドローラ26、駆動引き取りローラ27及びダンサーロール28を備え、補強コード8に張力を付与しつつゴム被覆して押し付けロール16に供給する。
【0050】
次に、ゴムホース1を製造する手順を説明する。まず、成形装置13のマンドレル15に口金3を互いに間隔を空けて取り付け、口金3の周面の突起3aよりも内端側に掛かるように、口金3間のマンドレル15の周りに内面未加硫ゴム29を巻き付ける。
【0051】
次いで、コード供給手段17により、複数の補強コード8に張力を付与しつつゴム被覆すると共に、互いに間隔を空けて幅方向に並べて補強コード8の束9を構成する。この補強コード8の束9をマンドレル15に供給しながら、マンドレル15をその中心軸周りに一定方向に回転させつつ中心軸方向に往復移動させる。これにより、内面未加硫ゴム29の外側に補強コード8の束9が螺旋状に巻き付けられ、その巻き付け位置が中心軸方向に往復する。
【0052】
さらに、一往復ごとに補強コード8の束9の巻き付け位置を周方向に所定のピッチだけずらしながら、マンドレル15の回転及び軸方向移動を繰り返すことにより、二方向のうちの各方向に傾斜する補強コード8がそれぞれ周方向に配列される。なお、補強コード8の束9の螺旋形状の長さは、その端部における折り返し部10が口金3の突起3aに掛かるように設定する。
【0053】
補強コード8の束9を巻き付ける際、その複数の補強コード8を一体化された複数の押し付けロール16で、それぞれ位置決めしつつ内面未加硫ゴム29に押し付けて密着させる。また、押し付けロール16の間隔を調節することにより、補強コード8の傾斜角度(θ)の変化や、内側補強コード層5がなす筒形状の径の変化に対応して、束9を構成する補強コード8の間隔を調節する。
【0054】
折り返し部10では、旋回シリンダー20によって複数の押し付けロール16を内面未加硫ゴム29の外面上を一体的に旋回させることにより、図5に示すように、補強コード8の互いの間隔を空けたまま補強コード8の束9を幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返す。
【0055】
以上の手順により、補強コード8を中心軸に対して傾斜させつつ周方向かつ二列に配列すると共に、各列の補強コード8の傾斜方向を互いに交差させてなる内側補強コード層5が形成される。
【0056】
その後、内側補強コード層5の周りに中間未加硫ゴムを巻き付けると共に、この中間未加硫ゴムに内側補強コード層5を螺旋状に取り巻く硬鋼線11を埋設して耐座屈層7を形成し、その外側に、内側補強コード層5の形成と同様の手順で外側補強コード層6を形成し、さらに必要に応じて副補強コード層12を形成する。さらに、外側補強コード層6あるいは副補強コード層12の外側に外面未加硫ゴムを配置し、内面未加硫ゴム29、中間未加硫ゴム及び外面未加硫ゴムを加硫成形してゴムホース1を得る。
【0057】
上記構成によれば、補強コード8を複数回巻き付けることによって内側補強コード層5、外側補強コード層6及び副補強コード層12を形成するので、スダレコードを用いた補強コード層におけるような事前のバイアス裁断や手作業による貼り付けを不要にできる。これにより、各補強コード層5、6、12を容易に形成すると共に、その自動化を図ることもでき、単品少量生産する製品にも好適に採用することができる。
【0058】
しかも、マンドレル15を回転速度及び軸方向移動速度を制御するだけの単純な制御で、補強コード8の束9を正確に巻き付けることができるので、ホース本体2が、長尺のもの、ホース中心軸に沿って内径や肉厚が変化する円錐台状のもの、あるいは、ホース中心軸に沿って補強コード8の傾斜角度(θ)が変化するものであっても、各補強コード層5、6、12を所望の傾斜角度(θ)で容易かつ高精度に形成し、安定的で安価な製品を得ることができる。
【0059】
補強コード8は、未加硫ゴムで被覆しておくだけでよいので、巻き付け前の補強コード8の加工設備を簡単にすると共に、バイアス裁断などによる材料ロスをなくすことができる。また、数本の補強コード8を巻き付けるので、スチールコードなどの剛性の高いコードをも使用することができ、補強コード8の端部が極めて少ないので、補強コード8の端部を起点とする損傷を防止することができる。
【0060】
さらに、以上のような補強コード8の巻き付けを採用することによる効果に加え、補強コード8の束9を巻き付けて各補強コード層5、6、12を形成するので、巻き付けに要する時間を大幅に短縮することができる。すなわち、複数の補強コード8を束9にすることにより、1本の補強コード8を巻き付ける場合よりも、各補強コード層5、6、12の成型時間を短くすることができ、束9を構成する補強コード8が2本では、成型時間は62%、3本では40%、4本では、30%、5本では25%に短縮することができる。なお、補強コード8の本数を多くすると、押し付けロール16の旋回に要する時間は若干長くなる。
【0061】
例えば、全長1030mmでφ140mmの巻き付け面に、ピッチが2mm、傾斜角度が45°の条件で、5m/minの巻き付け速度で1本の補強コード8を二方向に巻き付ける場合の巻き付けに要する時間は、(φ140mm×π/2mm)×(1.030m/cos45°)×2/(5m/min)=128分である。これに対して、より遅い4m/minの巻き付け速度で3本の補強コード8を二方向に巻き付ける場合の巻き付けに要する時間は、(φ140mm×π/(2mm×3))×(1.030m/cos45°)×2/(4m/min)=53分であり、成型時間を短縮することができる。
【0062】
往復の折り返し部10において、補強コード8の束9をその幅方向に向きを変えて折り返すので、束9を構成する補強コード8を互いに重ねることなく巻き付けることができ、補強コード8の配列を乱しにくくすると共に、折り返し部10付近の肉厚のみが厚くなるのを防止することができる。
【0063】
また、束9を構成する補強コード8の本数を抑えることにより、折り返し部10の幅を抑えて口金3や他の金具との締結に要する面積を小さくし、口金3や金具を安価なものとすることができる。さらに、束9を構成する補強コード8を、巻き付け径が100mm以下のとき2本〜5本、φ200mm以下のとき2本〜8本、φ300mm以下のとき2本〜12本程度にすることにより、押し付けロール16と円筒状の巻き付け面との接触線の湾曲を抑え、補強コード8を十分に押し付けると共に、折り返し部10で容易に旋回させることができる。
【0064】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、図6に示すように、補強コード8を二方向に傾斜させる代わりに、一方向に傾斜させつつ配列して補強コード層30a、30bを形成することもできる。図6は補強コードの傾斜方向が交差する一対の補強コード層を示す斜視図である。なお、図6において、補強コード層30a、30bを成型フォーマ31及び内面未加硫ゴム32の外側に形成した状態を示し、成型フォーマ31及び内面未加硫ゴム32は、上部のみを図示している。
【0065】
補強コード層30a、30bは、補強コード8の束9が、中心軸を螺旋状に取り巻く代わりに、一往復ごとに中心軸を一回取り巻きながら中心軸方向に複数回往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれたものである。これにより、補強コード8が中心軸に対して傾斜しつつ周方向に配列されて偶数層の補強コード層30a、30bを構成し、対をなす補強コード層30a、30bの補強コード8の傾斜方向が互いに交差するよう設定される。
【0066】
補強コード層30a、30bを備えたゴム製筒体は、例えば両端部に金具を止着して空気ばねのダイヤフラムとして使用することにより、ダイヤフラム端部のビードワイヤを不要にすることができる。また、加硫成形後の最終製品形状に近い形状に補強コード層30a、30bを成型することができるので、フォーミングやシェーピング作業を簡略化してコストを安くすることができ、さらに、加硫成形時のコード密度の変化や変動を少なくできる分、品質を向上させることができる。なお、他の構成は、上記の実施形態と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るゴムホースを示す図であり、上半分は断面図で、下半分は側面図
【図2】副補強コード層を備えたゴムホースを示す図であり、左端部は断面図で、中央部から右端部は側面図
【図3】補強コード層の形成装置を示す斜視図
【図4】押し付けロールの正面図
【図5】押し付けロールが旋回する様子を示す模式図
【図6】補強コードの傾斜方向が交差する一対の補強コード層を示す斜視図
【符号の説明】
【0068】
1 ゴムホース
2 ホース本体
3 口金
4 筒状ゴム膜
5 内側補強コード層
6 外側補強コード層
8 補強コード
9 束
10 折り返し部
12 副補強コード層
13 形成装置
15 マンドレル
16 押し付けロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ゴム膜に補強コード層を埋設してなるゴム製筒体であって、
前記補強コード層は、補強コードの束が中心軸を取り巻きつつ中心軸方向に往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれながら複数回往復することにより、補強コードが中心軸に対して傾斜しつつ周方向に配列されてなり、
前記補強コードの束は、その幅方向に複数の補強コードを互いに間隔を空けて並べてなり、中心軸方向の往復の折り返し部で、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま、束の幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返されたことを特徴とするゴム製筒体。
【請求項2】
前記束を構成する補強コードの間隔は、中心軸に対する補強コードの傾斜角度の変化及び/又は補強コード層がなす筒形状の径の変化に対応して設定されたことを特徴とする請求項1に記載のゴム製筒体。
【請求項3】
前記補強コード層は、補強コードの束が中心軸を螺旋状に取り巻きつつ中心軸方向に往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれながら複数回往復することにより、補強コードが中心軸に対して傾斜しつつ周方向かつ二列に配列されてなり、各列の補強コードの傾斜方向が互いに交差するよう設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム製筒体。
【請求項4】
前記補強コード層は、補強コードの束が一往復ごとに中心軸を一回取り巻きながら、中心軸方向に複数回往復し、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずれることにより、補強コードが中心軸に対して傾斜しつつ周方向に配列されてなり、かつ偶数層に形成され、対をなす補強コード層の補強コードの傾斜方向が互いに交差するよう設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム製筒体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のゴム製筒体をホース本体として備えたことを特徴とするゴムホース。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のゴム製筒体をダイヤフラムとして備えたことを特徴とする空気ばね。
【請求項7】
筒状ゴム膜に補強コード層を埋設してなるゴム製筒体の製造方法であって、
マンドレルの周りに内面未加硫ゴムを巻き付け、次いで、前記内面未加硫ゴムの外側に、幅方向に複数の補強コードを互いに間隔を空けて並べてなる補強コードの束を巻き付けつつ中心軸方向に往復させ、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずらしながら複数回往復させて、補強コードを中心軸に対して傾斜させつつ周方向に配列すると共に、中心軸方向の往復の折り返し部で、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま、束の幅方向に向きを変えて中心軸方向に折り返すことにより、補強コード層を形成し、その後、前記補強コード層の外側に外面未加硫ゴムを配置して、前記内面未加硫ゴム及び前記外面未加硫ゴムを加硫成形することを特徴とするゴム製筒体の製造方法。
【請求項8】
筒状ゴム膜に補強コード層を埋設してなるゴム製筒体の製造方法であって、
マンドレルの周りに内面未加硫ゴムを巻き付け、次いで、前記内面未加硫ゴムの外側に補強コードを巻き付けつつ中心軸方向に往復させ、かつ一往復ごとに周方向に所定のピッチだけずらしながら複数回往復させることにより、補強コードを中心軸に対して傾斜させつつ周方向に配列し、さらに、補強コードを巻き付ける際、該補強コードを押し付けロールで位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付けると共に、中心軸方向の往復の折り返し部で、前記押し付けロールを内面未加硫ゴムの外面上を旋回させて補強コードを中心軸方向に折り返すことにより、補強コード層を形成し、その後、前記補強コード層の外側に外面未加硫ゴムを配置して、前記内面未加硫ゴム及び前記外面未加硫ゴムを加硫成形することを特徴とするゴム製筒体の製造方法。
【請求項9】
前記補強コードを互いに間隔を空けて幅方向に複数並べて束にして前記内面未加硫ゴムの外側に巻き付けると共に、前記押し付けロールを幅方向に複数並設して、束を構成する複数の補強コードをそれぞれ位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付け、さらに、中心軸方向の往復の折り返し部で、前記複数の押し付けロールを一体的に旋回させることにより、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま補強コードの束を中心軸方向に折り返すことを特徴とする請求項8に記載のゴム製筒体の製造方法。
【請求項10】
幅方向に並設した前記押し付けロールの間隔を調節することにより、中心軸に対する補強コードの傾斜角度の変化及び/又は補強コード層がなす筒形状の径の変化に対応して、束を構成する補強コードの間隔を調節することを特徴とする請求項9に記載のゴム製筒体の製造方法。
【請求項11】
内面未加硫ゴム及び外面未加硫ゴム間に形成することにより、前記内面未加硫ゴム及び前記外面未加硫ゴムを加硫成形してなる筒状ゴム膜に埋設される補強コード層の形成装置であって、
前記内面未加硫ゴムの外側に補強コードを巻き付けつつ中心軸方向に複数回往復させることにより補強コードを配列する補強コード配列手段と、前記補強コードを配列する際、補強コードを位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付ける押し付けロールとを備え、
前記押し付けロールは、補強コードをその往復の折り返し部で中心軸方向に折り返すよう、内面未加硫ゴムの外面上を旋回自在とされたことを特徴とする補強コード層の形成装置。
【請求項12】
前記補強コード配列手段は、内面未加硫ゴムの外側に、幅方向に複数の補強コードを互いに間隔を空けて並べてなる補強コードの束を巻き付け、
前記押し付けロールは、幅方向に複数並設され、前記束を構成する複数の補強コードをそれぞれ位置決めしつつ内面未加硫ゴムに押し付けると共に、往復の折り返し部で、束を構成する複数の補強コードの互いの間隔を空けたまま補強コードの束を中心軸方向に折り返すよう、内面未加硫ゴムの外面上を複数の押し付けロールが一体的に旋回自在とされたことを特徴とする請求項11に記載の補強コード層の形成装置。
【請求項13】
前記複数の押し付けロールは、互いの間隔を調節可能とされたことを特徴とする請求項12に記載の補強コード層の形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−82447(P2008−82447A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263685(P2006−263685)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】