説明

ゴム/樹脂複合ホース

【課題】樹脂層とゴム層との接着性に優れるゴム/樹脂複合ホースの提供。
【解決手段】内管を有し、前記内管が、最内層としての樹脂層を備えかつ前記最内層に隣接するゴム層を備え、前記樹脂層に使用される材料が、カルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する樹脂組成物であり、前記ゴム層に使用される材料が、エポキシ化ゴムを少なくとも含むゴムを含有するゴム組成物であるゴム/樹脂複合ホース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム/樹脂複合ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リキッドプロパンガスホース(LPGホース)やカーエアコンホースに代表される流体輸送用ホースには、樹脂材料とゴム材料を組み合わせた樹脂とゴムの積層体が一般的に用いられ、樹脂とゴムとの接着技術としては、接着剤の使用、樹脂材料の表面処理等などが一般的に行われてきた。しかし、良好な接着状態を得るためには、これら処理を一定の条件下で行う必要があるため、作業工程数が増えるだけでなく、生産コストがかかる等の問題があった。そのため、本願出願人はこれまでに超高分子量ポリエチレン(PE)とゴムとをフュージョンボンディング(超高分子量PEの融点以上の温度で加温することで、両物質の分子鎖が相互に絡み合うことにより起こる溶融接着)によって接着させることを提案している(特許文献1)。また、ポリアミド樹脂とゴムとの接着が提案されている(特許文献2〜4)。また本願出願人は以前ポリアミド樹脂とゴムとの接着について特許文献5を提案した。
しかし、いずれも限られた材料同士における接着技術であり、より広い範囲に適用可能な樹脂材料とゴム材料を接着させる技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平07−117179号公報
【特許文献2】特許第3891718号公報
【特許文献3】特許第2589238号公報
【特許文献4】特許第3381398号公報
【特許文献5】特開2002−79614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、樹脂層とゴム層との接着性に優れる、ゴム/樹脂複合ホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、内管を有し、前記内管が、最内層としての樹脂層を備えかつ前記最内層に隣接するゴム層を備え、樹脂層に使用される材料がカルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する樹脂組成物であり、ゴム層に使用される材料がエポキシ化ゴムを少なくとも含むゴムを含有するゴム組成物であるゴム/樹脂複合ホースが、樹脂層とゴム層との接着性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜13を提供する。
1. 内管を有し、前記内管が、最内層としての樹脂層を備えかつ前記最内層に隣接するゴム層を備え、
前記樹脂層に使用される材料が、カルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する樹脂組成物であり、
前記ゴム層に使用される材料が、エポキシ化ゴムを少なくとも含むゴムを含有するゴム組成物であるゴム/樹脂複合ホース。
2. 前記樹脂において、前記アイオノマーの量が樹脂全量中の10〜100質量%であり、
前記ゴムにおいて、前記エポキシ化ゴムの量がゴム全量中の10〜100質量%である上記1に記載のゴム/樹脂複合ホース。
3. 前記エポキシ化ゴムが、エポキシ化天然ゴムである上記1または2に記載のゴム/樹脂複合ホース。
4. 前記エポキシ化ゴムのエポキシ化率が、2〜75モル%である上記1〜3のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
5. 前記ゴムが、さらにアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含む上記1〜4のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
6. 前記樹脂が、さらにポリアミドを含む上記1〜5のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
7. 前記ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4−6、ポリアミド6−6、ポリアミド6−10、ポリアミド6−12およびポリアミドMXD−6からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記6に記載のゴム/樹脂複合ホース。
8. 前記ゴム組成物が、さらに、チウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤、ならびにアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含有する上記1〜7のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
9. 前記樹脂層と前記ゴム層との間に接着剤層を有さない上記1〜8のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
10. 前記樹脂層と前記ゴム層とが直接接着する上記1〜9のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
11. 前記内管の外側に補強層および外層を有する上記1〜10のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
12. 前記補強層に使用される材料が、ブラスメッキワイヤである上記11に記載のゴム/樹脂複合ホース。
13. 前記樹脂層と前記ゴム層とを少なくとも加硫接着させることによって上記1〜12のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホースを製造するゴム/樹脂複合ホースの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴム/樹脂複合ホースは、樹脂層とゴム層との接着性に優れる。
本発明のゴム/樹脂複合ホースの製造方法によって得られるゴム/樹脂複合ホースは、樹脂層とゴム層との接着性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のゴム/樹脂複合ホースの一例をホースの各層を切り欠いて模式的に表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のゴム/樹脂複合ホースは、内管を有し、前記内管が、最内層としての樹脂層を備えかつ前記最内層に隣接するゴム層を備え、前記樹脂層に使用される材料が、カルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する樹脂組成物であり、前記ゴム層に使用される材料が、エポキシ化ゴムを少なくとも含むゴムを含有するゴム組成物である、ゴムと樹脂との複合ホースである。
【0010】
本発明のゴム/樹脂複合ホースは、樹脂層に使用される材料がカルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する樹脂組成物であり、ゴム層に使用される材料がエポキシ化ゴムを少なくとも含むゴムを含有するゴム組成物であることによって、樹脂層とゴム層とが接着することができ、樹脂層とゴム層との接着性に優れる。また、樹脂層とゴム層との間に接着処理(例えば、接着剤の塗布、樹脂層の表面処理)を施すことなしに樹脂層とゴム層とを直接接着させることができる。
【0011】
本願発明者らは、樹脂層とゴム層との接着はカルボン酸金属塩とエポキシ化ゴムが有するエポキシ基との反応に起因すると考える。なお上記メカニズムは本願発明者らの推察であり、本願発明のメカニズムが上記以外のものであったとしても本発明の範囲内である。
【0012】
本発明のゴム/樹脂複合ホースは内管を有する。また、内管は、最内層としての樹脂層を備えかつ最内層に隣接するゴム層を備える。
本発明のゴム/樹脂複合ホースは、内管の外側にさらに補強層および外層を有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。補強層はゴム層に隣接することができる。
【0013】
本発明のゴム/樹脂複合ホースにおいて、樹脂層とゴム層とは直接接着することができる。
本発明においては、製造工程を削減し、生産性に優れるという観点から、樹脂層とゴム層とは直接接着するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、本発明においては、製造工程を削減し、作業環境および生産性に優れるという観点から、樹脂層とゴム層との間に接着剤層を有さないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、本発明においては、製造工程を削減し、生産性に優れるという観点から、樹脂層の表面に表面処理剤を施さないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0014】
最内層(樹脂層)の厚さは、ホースの柔軟性と生産性の観点から、0.05〜1.00mmであるのが好ましい。
ゴム層の厚さは、ホースの柔軟性と生産性の観点から、0.5〜6.0mmであるのが好ましい。
内管の厚さは0.6〜7.0mmであるのが好ましい。
外層の厚さは、ホースの柔軟性と生産性の観点から、1.0〜4.0mmであるのが好ましい。
【0015】
本発明のゴム/樹脂複合ホースの好適な実施態様の一例を添付の図面を用いて説明する。なお本発明は添付の図面に制限されない。
図1は、本発明のゴム/樹脂複合ホースの一例をホースの各層を切り欠いて模式的に表す斜視図である。
図1において、ゴム/樹脂複合ホース1は、内管6を有し、さらに、内管6の上に補強層7を有し補強層7の上に外層9を有する。内管6は、最内層に樹脂層3を備え、かつ樹脂層3(最内層)に隣接するゴム層5を備える。
【0016】
最内層について以下に説明する。
本発明において最内層は樹脂層である。また、樹脂層に使用される材料は、カルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する樹脂組成物である。
本発明において最内層が樹脂層であることによって、液体や気体に対する耐透過性、耐油性に優れる。
【0017】
最内層の製造の際に使用される樹脂組成物について以下に説明する。
本発明において、使用される樹脂組成物は、カルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する組成物である。
【0018】
アイオノマーについて以下に説明する。
樹脂組成物に含有される樹脂に少なくとも含まれるアイオノマーは、カルボン酸金属塩を有するポリマーであれば特に制限されない。
アイオノマーにおけるカルボン酸金属塩の金属としては、例えば、ナトリウム、亜鉛、マグネシウムが挙げられる。なかでも、金属は、樹脂層とゴム層との接着性により優れるという観点から、亜鉛が好ましい。
アイオノマーとしては、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオン(例えば亜鉛イオン)で架橋した樹脂が挙げられる。
【0019】
アイオノマーはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。アイオノマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明において、樹脂は少なくともアイオノマーを含む。
樹脂が含むことができるアイオノマー以外のポリマーとしては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィンが挙げられる。
【0021】
なかでも、耐気体透過性、耐油性、機械的強度に優れるという観点から、樹脂はさらにポリアミドを含むのが好ましい。
ポリアミドは、耐気体透過性、耐油性、機械的強度により優れるという観点から、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4−6、ポリアミド6−6、ポリアミド6−10、ポリアミド6−12およびポリアミドMXD−6からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
アイオノマー以外のポリマーはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。アイオノマー以外のポリマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
樹脂において、アイオノマーの含有量が接着性に関与することから、アイオノマーの含有量は樹脂全量中の10〜100質量%であるのが好ましく、20〜100質量%であるのがより好ましい。
樹脂がアイオノマー以外のポリマーを含む場合、アイオノマー以外のポリマー(例えばポリアミド)の量は樹脂全量中の90質量%以下とすることができる。アイオノマー以外のポリマーの量は耐気体透過性、耐油性、機械的強度を向上させるという観点から、樹脂全量中の10〜90質量%であるのが好ましく、40〜90質量%であるのがより好ましい。
【0023】
樹脂組成物は、必要に応じて本発明の目的を損わない範囲で、添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、補強剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、可塑剤、顔料(染料)、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤が挙げられる。
【0024】
樹脂組成物はその製造について特に制限されない。例えば、アイオノマー、必要に応じて使用することができる、アイオノマー以外のポリマー、添加剤を、二軸混練押し出し機を用いて混合する方法が挙げられる。混合温度は樹脂の融点以上または融点付近の温度とするのが好ましい態様として挙げられる。
【0025】
ゴム層について以下に説明する。
本発明において、ゴム層は最内層に隣接する。また、ゴム層に使用される材料は、エポキシ化ゴムを少なくとも含むゴムを含有するゴム組成物である。
【0026】
ゴム層の製造の際に使用されるゴム組成物について以下に説明する。
本発明において、ゴム組成物に含有されるゴムに含まれるエポキシ化ゴムは、エポキシ基を有するゴムであれば特に制限されない。エポキシ化ゴムは、樹脂層とゴム層との接着性により優れるという観点から、エポキシ化天然ゴムであるのが好ましい。
【0027】
エポキシ化ゴム中のエポキシ基が樹脂層とゴム層との接着に関与するため、エポキシ化率は2〜75モル%であるのが好ましく、20〜75モル%であるのがより好ましい。エポキシ化率は、エポキシ化前の原料ゴム(例えば天然ゴム)中の二重結合の全数のうちエポキシ化された数の割合を意味する。
エポキシ化ゴムはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。エポキシ化ゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
本発明において、ゴムは少なくともエポキシ化ゴムを含む。
ゴムが含むことができるエポキシ化ゴム以外のゴムとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(Cl−IIR)、ブロモブチルゴム(Br−IIR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンが挙げられる。
【0029】
ゴムは、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、耐油性に優れるという観点から、さらにアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含むのが好ましい。
エポキシ化ゴム以外のゴムは製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。エポキシ化ゴム以外のゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
ゴムにおいて、エポキシ化ゴムの量は、樹脂層とゴム層との接着により優れることから、ゴム全量中の10〜100質量%であるのが好ましいが、耐寒性等の諸物性を考慮すると、20〜70質量%であるのがより好ましい。
ゴムがエポキシ化ゴム以外のゴムを含む場合、エポキシ化ゴム以外のゴム(例えばアクリロニトリルブタジエンゴム)の量はゴム全量中の90質量%以下とすることができる。エポキシ化ゴム以外のゴムの量は樹脂層とゴム層との接着性により優れ、耐油性に優れるという観点から、ゴム全量中の30〜90質量%であるのが好ましく、50〜90質量%であるのがより好ましい。
【0031】
本発明において、ゴム組成物は、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、さらに、チウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤を含有するのが好ましい。また、ゴム組成物は、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、さらにアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含有するのが好ましい。ゴム組成物は、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、さらに、チウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤、ならびにアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含有するのが好ましい。
本発明において、ゴム組成物がさらにチウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤、ならびにアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含有することによって、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層とはより強固に直接接着することができる。
また、ゴム組成物がさらにチウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤を含有すること(特にスルフェンアミド系促進剤を含有すること)によって、高温下(例えば、40〜120℃。70℃が好ましい態様として挙げられる。)における樹脂層とゴム層との接着性を、現行の接着剤(例えば、フェノール樹脂系接着剤)を使用して樹脂層とゴム層とを接着させた場合と同等またはそれ以上にすることができる。
【0032】
本発明においては、製造工程を削減し、生産性に優れるという観点から、ゴム層と補強層とは直接接着するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、製造工程を削減し、作業環境および生産性に優れるという観点から、ゴム層と補強層との間に接着剤層を有さないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0033】
チウラム系加硫促進剤について以下に説明する。
本発明において、ゴム組成物がさらに含有することができるチウラム系加硫促進剤は、一般的にゴムに配合されるものであれば特に制限されない。例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
【0034】
【化1】

【0035】
上記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、xは1〜4の整数を表す。
【0036】
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブタ−2−エン−1−イル(−CH2−CH=CH−CH3)、ブタ−3−エン−1−イル(−CH2−CH2−CH=CH2)などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブタ−2−イン−1−イル(−CH2−C≡C−CH3)、ブタ−3−エン−1−イル(−CH3−CH2−C≡CH)などのアルキニル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基などのアリール基が挙げられる。
【0037】
チウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラヘキシルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラステアリルチウラムジスルフィド、テトラシクロヘキシルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィドのようなチウラムジスルフィドが挙げられる。
【0038】
なかでも、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム物性にも優れるという観点から、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド等が好ましい。
チウラム系加硫促進剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。チウラム系加硫促進剤はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
【0039】
チウラム系加硫促進剤の量は、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、エポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して、0.2〜3.0質量部であるのが好ましく、0.25〜2.75質量部であるのがより好ましく、0.3〜2.5質量部であるのがさらに好ましい。
チウラム系加硫促進剤の量がエポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して0.2質量部以上である場合、補強層(特にブラスメッキスチールワイヤ)との接着性に優れ(具体的には接着力が高くゴム付きが多くなる)好ましい。
チウラム系加硫促進剤の量がエポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して3.0質量部以下である場合、スコーチ時間が適切な長さとなり押し出し加工性に優れ好ましい。
【0040】
スルフェンアミド系加硫促進剤について以下に説明する。
本発明において、ゴム組成物がさらに含有することができるスルフェンアミド系加硫促進剤は、一般的にゴムに配合されるものであれば特に制限されない。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが挙げられる。
【0041】
なかでも、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。スルフェンアミド系加硫促進剤はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
【0042】
スルフェンアミド系加硫促進剤の量は、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、エポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して、0.5〜5.0質量部であるのが好ましく、0.6〜4.0質量部であるのがより好ましく、0.7〜3.0質量部であるのがさらに好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤の量がエポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して0.5質量部以上である場合、補強層(特にブラスメッキスチールワイヤ)との接着性に優れ(具体的には接着力が高くゴム付きが多くなる)、必要な物性を発現させることができ好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤の量がエポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して5.0質量部以下である場合、スコーチ時間が適切な長さとなり押し出し加工性、実用性に優れ好ましい。
【0043】
アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂について以下に説明する。
本発明において、ゴム組成物がさらに含有することができるアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂は、一般的にゴムに加硫剤として配合されるものであれば特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0044】
なかでも、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、ハロゲン化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましく、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂がより好ましい。
アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
【0045】
アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂の量は、樹脂層とゴム層との接着性により優れ、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、エポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して、1〜10質量部であるのが好ましく、2〜8質量部であるのがより好ましく、3〜7質量部であるのがさらに好ましい。
アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂の量がエポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して1質量部以上である場合、補強層(特にブラスメッキスチールワイヤ)との接着性に優れ(具体的には接着力及びゴム付きが高くなる)好ましい。
アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂の量がエポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して10質量部以下である場合、ゴムの硬さが適切なものとなり、スコーチ時間が適切な長さとなり押し出し加工性、実用性に優れ、好ましい。
【0046】
本発明において、ゴム組成物は加硫剤として硫黄を含有することができる。ゴム組成物がさらに含有することができる硫黄は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。
硫黄はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
硫黄の量は、加硫後の引張特性(例えば、100%伸び引張応力、引張強さ等)および耐熱老化性が良好となるという観点から、エポキシ化ゴムを含むゴム100質量部に対して1.5〜3.0質量部であるのが好ましく、1.7〜2.5質量部であるのがより好ましい。
【0048】
ゴム組成物は、必要に応じて本発明の目的を損わない範囲で、添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、補強剤、老化防止剤、硫黄およびアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂以外の加硫剤、チウラム系加硫促進剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤以外の加硫促進剤(例えばジベンゾチアジルジスルフィド)、加硫活性化剤、可塑剤、顔料(染料)、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤が挙げられる。
【0049】
本発明において、ゴム組成物はその製造について特に制限されない。例えば、ゴム、必要に応じて使用することができる、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、硫黄、添加剤を、オープンロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、バッチ式混練機を使用して混合(混練)する方法が挙げられる。
【0050】
補強層について以下に説明する。
本発明のゴム/樹脂複合ホースは補強層を有することによって、強度を保持することができ、耐圧性に優れるものとなる。
【0051】
本発明のゴム/樹脂複合ホースが有することができる補強層はその材料について特に制限されない。
補強層に使用される材料としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリケトン繊維のような繊維材料;硬鋼線(例えば、ブラスメッキが施されたワイヤ、亜鉛メッキワイヤ等)などの金属材料が挙げられる。
【0052】
なかでも、高耐圧が要求されるホースにおいては、ゴム層と補強層との加硫接着に優れ、ゴム層と補強層との接着性に優れるという観点から、ブラスメッキが施されたワイヤ(ブラスメッキワイヤ)が好ましい。
ブラスメッキワイヤはゴムホースの補強用に使用できるものであれば特に制限されない。
補強層はその形状について特に制限されない。例えば、ブレード状、スパイラル状のものが挙げられる。
補強層の材料はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
補強層がブラスメッキワイヤである場合、樹脂層との接着性を維持しつつ、ブラスメッキワイヤとの接着も可能とすることが出来るという観点から、ゴム組成物がさらにチウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤、ならびにアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含有するのが好ましい。
【0054】
外層について以下に説明する。
本発明のゴム/樹脂複合ホースは外層を有することによって、補強層を保護することができ、耐久性に優れるものとなる。
【0055】
本発明のゴム/樹脂複合ホースが有することができる外層はゴム層であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明のゴム/樹脂複合ホースが有することができる外層はその材料について特に制限されない。外層に使用される材料としては、本発明において使用されるゴム組成物、それ以外のゴム組成物が挙げられる。
外層を形成する際に使用されるゴム組成物に含まれるゴムは特に制限されない。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、水素添加NBR(HNBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化メチルポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、臭素化ブチルゴム(BIIR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)、BIMSが挙げられる。
【0056】
本発明のゴム/樹脂複合ホースは、その製造について特に制限されない。例えば、樹脂層とゴム層とを少なくとも加硫接着させる方法が挙げられる。より具体的には、例えば、マンドレル上に、樹脂層、ゴム層、補強層および外層をこの順に積層させた後に、それらの層を加硫して接着させる方法が挙げられる。また、本発明において、樹脂層とゴム層との間に接着処理(例えば、接着剤の塗布、樹脂層への表面処理)を行うことなく、樹脂層とゴム層とを直接加硫接着することができる。
【0057】
加硫の際の温度は、樹脂層とゴム層との接着性とゴム物性発現の観点から、140〜190℃であるのが好ましい。
加硫時間は、樹脂層とゴム層との接着性、ゴム物性及びエネルギー効率の観点から、30〜180分間であるのが好ましい。
加硫の方法としては、例えば、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)、温水加硫が挙げられる。
【0058】
本発明のゴム/樹脂複合ホースにおいて、樹脂層とゴム層との接着強度は、50N/25mm以上であるのが好ましい。
本発明において、樹脂層とゴム層との接着強度は、樹脂組成物を使用して得られた樹脂シート(シート厚0.2mm)と、ゴム組成物を使用して得られたゴムシート(生シート厚2.5mm)とをはり合わせて、これを148℃、60分間プレス加硫して、25mm幅のシート状試験片を作製し、得られたシート状試験片をオートグラフを用いて室温(23℃)または70℃の条件下で剥離スピード50mm/分でゴム層を樹脂層から180度の角度で剥離させる剥離試験を行い、接着強度(単位=幅25mm当たりのN)を測定することによって得られた値である。
【0059】
本発明において、ゴム層と補強層(ブラスメッキワイヤ)との接着強度は、外径25mmの鉄マンドレル上にブラスメッキワイヤをスパイラル状に巻き付け、その上に、ゴム組成物を使用して得られたゴムシート(生シート厚2.5mm)をはり合わせて、これを148℃、60分間で加硫缶加硫して、ホース状試験片を得て、得られたホース状試験片のゴムシートの幅が25mmとなる様、左右のゴムを切り出し、残りのゴム部とワイヤ部との接着をオートグラフを用いて室温(23℃)の条件下で剥離スピード50mm/分でゴムを補強層から剥離させる剥離試験を行い、接着強度(単位=幅25mm当たりのN)を測定することによって得られた値である。
【0060】
本発明のゴム/樹脂複合ホースは、例えば、冷媒輸送用ホース[冷媒としては、例えば、二酸化炭素、HFC−134a(カーエアコン用)が挙げられる。];リキッドプロパンガスホース(LPGホース)に適用することができる。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0062】
<評価>
下記のようにして得られたホースまたは積層体について、ゴムと樹脂との接着性(ゴム/樹脂接着1〜4)、補強層とゴム層との接着性を以下に示す方法で評価した。結果を第3表、第4表、第7表、第8表、第11表、第12表に示す。なお、ゴム/樹脂接着1〜4における評価結果は特に断わりのない限り室温下で測定されたものとする。第11表におけるゴム/樹脂接着1、2は室温および70℃の条件下において接着強度が測定された。
【0063】
1.ゴムと樹脂との接着性(ゴム/樹脂接着1〜4)
(1)ゴム/樹脂接着1で使用する試験片の製造(接着剤使用)
下記のようにして得られた樹脂シート1に、フェノール樹脂系接着剤[商品名TY−PLY−BN(ロード・ファー・イースト社製)]をメチルエチルケトン(MEK)で3倍希釈したもの]を刷毛で塗布し、乾燥させたのち、樹脂シートと下記のようにして得られたゴムシートとをはり合わせて、これを148℃、60分間プレス加硫して、シート状試験片を得た。
なお、実施例I−1、II−1、III−1については、比較参考までにゴム/樹脂接着1の結果を示す。
【0064】
(2)ゴム/樹脂接着2で使用する試験片の製造
下記のようにして得られた樹脂シート1と下記のようにして得られたゴムシートとをはり合わせて、これを148℃、60分間プレス加硫して、シート状試験片を得た。はり合わせに際し接着剤は使用しなかった。
【0065】
(3)ゴム/樹脂接着3で使用する試験片の製造
下記のようにして得られた樹脂シート2と下記のようにして得られたゴムシートとをはり合わせて、これを148℃、60分間プレス加硫して、シート状試験片を得た。はり合わせに際し接着剤は使用しなかった。
【0066】
(4)ゴム/樹脂接着4で使用する試験片の製造
下記のようにして得られた樹脂シート3(アイオノマーを含有しない。)と、下記のようにして得られたゴムシートとをはり合わせて、これを148℃、60分間プレス加硫して、シート状試験片を得た。はり合わせに際し接着剤は使用しなかった。
【0067】
(5)ゴム/樹脂接着1〜4における評価条件、評価基準
得られた各シート状試験片について、オートグラフを用いて室温(23℃)または70℃の条件下で剥離スピード50mm/分でゴム層を樹脂層から180度の角度で剥離させる剥離試験を行い、接着強度(単位=N/25mm)を測定した。また、剥離試験後のゴム付き(%、ゴムが樹脂層から剥がれず残留している面積比)を目視にて判定し、剥離試験後の破壊状態を観察した。
破壊状況の評価基準は、◎:材破(厚い材破)、○:材破、△:材破(薄い材破)、×:界面、切:ゴム切れとした。
【0068】
2.補強層とゴム層との接着性(ホース状ワイヤ接着)
(1)ホース状試験片の製造
まず、外径25mmの鉄マンドレル上にブラスメッキワイヤをスパイラル状に巻き付け、補強層を形成した。ついで、補強層の上に、得られた各ゴム組成物から調製した厚さ2.5mmの未加硫のシートを貼り合わせて、これを148℃の条件下において、60分間加硫してホース状試験片を作製した。
【0069】
(2)ホース状試験片の評価方法
得られた各ホース状試験片について、剥離スピード50mm/分(min)でゴム外層を剥離したときの接着強度(単位=幅25mm当たりのN)とゴム付き(単位%、ゴムが剥がれず残留している面積比)を測定した。
【0070】
<樹脂シート1の作製>
アイオノマー(エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を亜鉛イオンで架橋した樹脂、商品名ハイミラン1706、三井・デュポンポリケミカル社製)30質量部と、ポリアミド(11−ナイロン、アルケマ社製)70質量部とを2軸混練機で混合し、その後、Tダイ押し出し機にて押し出しを行い、0.2mm厚のシートを作製した。得られたシートを樹脂シート1とする。
【0071】
<樹脂シート2の作製>
アイオノマー(エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を亜鉛イオンで架橋した樹脂:商品名ハイミラン1706、三井・デュポンポリケミカル社製)50質量部と、ポリアミド(11−ナイロン、アルケマ社製)50質量部とを2軸混練機で混合し、その後、Tダイ押し出し機にて押し出しを行い、0.2mm厚のシートを作製した。得られたシートを樹脂シート2とする。
【0072】
<樹脂シート3の作製>
ポリアミド(11−ナイロン、アルケマ社製)をTダイ押し出し機にて押し出しを行い、0.2mm厚のシートを作製した。得られたシートを樹脂シート3とする。
【0073】
<ゴムシートの作製>
ロールを用いて下記のようにして得られるゴム組成物A〜Cから厚さ2.5mmのゴムシート(未加硫)を作製した。
【0074】
<ゴム組成物の製造>
下記第1表、第5表、第9表に示す成分を同表に示す量(質量部)で使用し、密閉型混練機を用いて均一に混合しゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物をゴム組成物A1〜A10、ゴム組成物B1〜B16、ゴム組成物C1〜C20とする。
【0075】
【表1】

【0076】
第1表に示されている各成分は、以下のとおりである。
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
第5表に示されている各成分は、以下のとおりである。
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
【表10】

【0085】
【表11】

【0086】
【表12】

【0087】
【表13】

【0088】
第9表に示されている各成分は、以下のとおりである。
【表14】

【0089】
【表15】

【0090】
【表16】

【0091】
【表17】

【0092】
【表18】

【0093】
第3表、第4表、第7表、第8表、第11表、第12表に示す結果から明らかなように、エポキシ化ゴムを含有しないゴム組成物を使用する、比較例I−1、2、比較例II−1、2、比較例III−1、2は、樹脂層とゴム層とが接着しなかった。アイオノマーを含有しない樹脂組成物を使用する、比較例I−3〜12、比較例II−3〜18、比較例III−3〜22は、樹脂層とゴム層とが接着しなかった。
これに対して、実施例I−1〜8、実施例II−1〜14、実施例III−1〜18は、樹脂層とゴム層との接着性に優れる。また、実施例I−1(ゴム/樹脂接着1〜3の結果)からも明らかな様に、本発明のゴム/樹脂複合ホースはその樹脂層とゴム層との接着性(ゴム/樹脂接着2、3)を、現行の接着剤を使用して樹脂層とゴム層とを接着させた場合(ゴム/樹脂接着1)と同等またはそれ以上にすることができる。実施例II−1、実施例III−1についても同様である。
実施例II−1〜14、実施例III−1〜18は、ゴム組成物がさらにチウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤、ならびにアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含有することによって、樹脂層との接着性を維持しつつ、ブラスメッキワイヤとの接着も可能とすることが出来る。更に、スルフェンアミド系促進剤の場合は、高温下(例えば、50〜120℃)における樹脂層とゴム層との接着性を、現行の接着剤(例えば、TY−PLY−BN:フェノール樹脂系接着剤)を使用して樹脂層とゴム層とを接着させた場合と同等またはそれ以上にすることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 ゴム/樹脂複合ホース
3 樹脂層(最内層)
5 ゴム層
6 内管
7 補強層
9 外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管を有し、前記内管が、最内層としての樹脂層を備えかつ前記最内層に隣接するゴム層を備え、
前記樹脂層に使用される材料が、カルボン酸金属塩を有するアイオノマーを少なくとも含む樹脂を含有する樹脂組成物であり、
前記ゴム層に使用される材料が、エポキシ化ゴムを少なくとも含むゴムを含有するゴム組成物であるゴム/樹脂複合ホース。
【請求項2】
前記樹脂において、前記アイオノマーの量が樹脂全量中の10〜100質量%であり、
前記ゴムにおいて、前記エポキシ化ゴムの量がゴム全量中の10〜100質量%である請求項1に記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項3】
前記エポキシ化ゴムが、エポキシ化天然ゴムである請求項1または2に記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項4】
前記エポキシ化ゴムのエポキシ化率が、2〜75モル%である請求項1〜3のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項5】
前記ゴムが、さらにアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含む請求項1〜4のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項6】
前記樹脂が、さらにポリアミドを含む請求項1〜5のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項7】
前記ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4−6、ポリアミド6−6、ポリアミド6−10、ポリアミド6−12およびポリアミドMXD−6からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項8】
前記ゴム組成物が、さらに、チウラム系加硫促進剤および/またはスルフェンアミド系加硫促進剤、ならびにアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂を含有する請求項1〜7のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項9】
前記樹脂層と前記ゴム層との間に接着剤層を有さない請求項1〜8のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項10】
前記樹脂層と前記ゴム層とが直接接着する請求項1〜9のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項11】
前記内管の外側に補強層および外層を有する請求項1〜10のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項12】
前記補強層に使用される材料が、ブラスメッキワイヤである請求項11に記載のゴム/樹脂複合ホース。
【請求項13】
前記樹脂層と前記ゴム層とを少なくとも加硫接着させることによって請求項1〜12のいずれかに記載のゴム/樹脂複合ホースを製造するゴム/樹脂複合ホースの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−255649(P2011−255649A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134315(P2010−134315)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】